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コラム:サッカーフ家の父娘 (特集 イエメン -- 忘れ去られた「アラブの春」の落とし子)

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Academic year: 2021

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コラム:サッカーフ家の父娘 (特集 イエメン --

忘れ去られた「アラブの春」の落とし子)

著者

佐藤 寛

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

248

ページ

38-38

発行年

2016-05

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00002952

(2)

アジ研ワールド・トレンド No.248(2016. 6)

38

column

  二〇一六年三月現在、旧南イエメンの首都ア デンは一応イエメンの正統政権とみなされてい るハーディー大統領派のコントロール下にある とされているが、ホーシー派が閣僚の滞在する ホテルに対する砲撃を行って以降は、大半の閣 僚 は、 サ ウ ジ ア ラ ビ ア に 本 拠 地 を 移 し て い る。 他方、政府職員の大半は引き続きホーシー派支 配下のサナアの省庁で働いている︵ことになっ ている︶ものの、リヤドにいる大臣からの指示 を受けているわけではない。リヤドにいる閣僚 には、サウジアラビア政府の提供でそれなりの 事務スペースはあてがわれているようだが、も ちろん十分なスタッフが整っているわけではな い。   そんな流浪中の大臣の一人にナーディア・サ ッカーフ情報相がいる。同国の有力英字紙﹃イ エ メ ン タ イ ム ズ ﹄ の 編 集 責 任 者 を 務 め、 ﹁ 国 民 対話﹂にも参加するなど民主化勢力のスポーク ス・ウーマンとして活躍してきた。二〇一四年 の内閣改造で当時の国連特使ベノマール氏の推 薦もあって情報大臣に抜され、二〇一六年一 月にホーシー派に軟禁されているハーディー大 統領の辞意を内外に発表したのも彼女である。   そのサッカーフ大臣が二〇一五年八月日本政 府主催の﹁女性会議WOW﹂に参加のために来 日した。同大臣は初来日だが、実は彼女の父親 であり﹃イエメンタイムズ﹄の創始者であるア ブドルアジズ・サッカーフ博士は一九八八年に アジア経済研究所の客員研究員として三カ月間 日本に暮らしたことがある。   経済学専攻の同博士は、イエメンの協同組合 運動の研究などで有名である。 正義感の強い ﹁国 士﹂と呼ぶにふさわしい人柄で、南北統一直後 の一九九一年にイエメンで初の英字紙を刊行し て世論の喚起に努め、また自分の故郷であるタ イズ郊外の農村地域の社会開発、女性の手工芸 支 援 の た め に 日 本 大 使 館 の﹁ 草 の 根 無 償 協 力 ﹂ の支援を受けてローカルNGOを運営するなど、 実践家としても活躍していた。   一九九七年から九九年にかけて筆者がサナア に駐在していた際、時折事務所を訪れると彼は 国 を 憂 う る 心 情 を 吐 露 し て く れ た も の で あ る。 サーレハ大統領にとっては汚職批判など﹁目障 り﹂な存在だったに違いなく、懐柔目的もあっ て何度か入閣の誘いもあったようだが、サッカ ーフ博士は在野での政権批判を続けた。しかし、 一九九九年の夏、サナア市内の目抜き通りで車 にはねられて命を落とした︵暗殺説もあるが真 相は闇のなかである︶ 。享年四八歳であった。   同博士には二男二女があり、長女が当時高校 生であったナーディアで彼女は兄ワリードとと もに﹃イエメンタイムズ﹄を引き継いだ。

サッカーフ家の父娘

  国内の民主化運動や欧米大使館など外国人コ ミュニティから応援され、 ﹃イエメンタイムズ﹄ は 二 〇 一 五 年 ま で 週 二 回 の 発 行 を 続 け て い た。 しかしながら、サウジアラビアの空爆や国内流 通網の混乱のあおりで新聞用紙の確保も困難に なり二〇一五年六月以降はウェブでのツイッタ ー的な記事発信のみとなっている。   ナーディア大臣によれば現在の情報省の仕事 は、ホーシー派に乗っ取られた国営放送、国営 新聞、ウェブサイトに対抗する放送、ウェブ発 信をリヤドから行うことだという︵二〇一五年 八月当時︶ 。   また、来日時に秋葉原を案内したときに彼女 が 注 目 し た の は﹁ 手 回 し ハ ン ド ル 付 き ラ ジ オ ﹂ であった。日本では震災用に売られているもの だが、空爆によって電気水道などのライフライ ンが破壊されているイエメンにあって、情報を 人 々 に 伝 え る こ と は 何 よ り も 大 切 で あ る。 ﹁ こ うしたラジオを特に地方部に配布して、真実を 伝えたい﹂という彼女の言葉が印象的であった。   別れ際に筆者が、日本でサッカーフ博士の執 筆した論文のコピーを手渡すと、父親思いのナ ーディア大臣は瞳に涙を浮かべて喜んでくれた。 その論文のテーマは﹁明治維新期の国家政策と そのイエメンへの適用可能性﹂である。いつの 日かその論文が、娘の手を経てイエメンの再建 に役立つ日が来ることを願ってやまない。 ︵ さ と う   か ん / ア ジ ア 経 済 研 究 所   新 領 域 研 究センター   上席主任調査研究員︶ 38_コラム.indd 38 2016/04/27 22:19

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1 Library, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (3-2-2 Wakaba Mihama-ku Chiba-shi, Chiba 261-8545). 情報管理 56(1), 043-048,

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