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[依頼総説]プリオン蛋白質遺伝子欠損細胞を用いた正常型プリオン蛋白質機能解析: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)Title. Author(s). Citation. Issue Date. URL. Rights. [依頼総説]プリオン蛋白質遺伝子欠損細胞を用いた正 常型プリオン蛋白質機能解析. 作道, 章一. 琉球医学会誌 = Ryukyu Medical Journal, 29(3・4): 11-16. 2010. http://hdl.handle.net/20.500.12001/9043. 琉球医学会.

(2)  .

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(4) . . 

(5)  作道 章一 琉球大学医学部保健学科 生体代謝学分野.     

(6)  .   .    .   .    .   . 

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(19)  - % . !    .        .  プリオン病は蛋白質性の感染因子プリオン (    .  . 

(20)  .   

(21)    . . ) によって引き起 こされる致死性の神経変性疾患である1). プリオン病の 例としては, ヒトではクロイツフェルト・ヤコブ病, 羊 ではスクレイピー, ウシでは牛海綿状脳症 () な どが挙げられる. 現在のところプリオン病は死後脳を用 いることでのみ確定診断が可能であるが, 近年早期診断 に有効な臨床症状や核磁気共鳴画像法 ( ), ポジト ロン断層法 (), 単一光子放射断層撮影 () などによる画像検査所見が蓄積しつつあり, 診断に活用 されている2). また, 効果的な治療法も見つかっていな い. さらに, プリオンは℃分の高圧蒸気滅菌処 理でも不活化されず, これまで知られている病原体の中 で最も抵抗性の高いものと考えられている3). 本総説で は, 著者がこれまで行ってきたプリオンを対象した研究 について, 解説したい. プリオン病は正常型プリオン蛋白質 ( ) が異常  型プリオン蛋白質 (  ) へと変換し,   の蓄積に. よる毒性および の  

(22)    により神経細 胞が脱落し, 発症すると考えられている4) ( 1)..

(23)   .       プリオンに感染した動物の脳で は宿主に元々ある正常型プリオン蛋白質 ( ) が異常  型プリオン蛋白質 (  ) へと変換されると考えられて いる文献 () より改変後引用.

(24) . プリオン蛋白質遺伝子欠損細胞を用いた正常型プリオン蛋白質機能解析. その結果, プリオン感染動物の脳では空胞変性と   沈着が観察される.   はプリオン病原体の主要構成  成分であり, 一方  は脳を含む様々な臓器で発現し, 哺乳動物の間において高い相同性を持っているものの, その機能については不明の点が多く残されている5)..   ヒト はシグナルペプチド (アミノ酸残基 番 目), オクタリピート領域 (

(25) の5回繰り 返し (アミノ酸残基 番目)), 疎水性領域 (アミノ 酸残基   番目), 3つのαヘリックス構造 (  . ), グリコシルフォスファチジルイノシトール (  ) アン カー配列 (アミノ酸残基  番目) がある5) (  2). また, 型糖鎖が付加する部位が2ヶ所 (と ) あり,  結合が と の間で形成さ れる. これらの構造の中で の生理機能に最も重要と 考えられているのは  アンカーと, オクタリピート領 域および疎水性領域である.  アンカーは細胞膜のラ フト (コレステロールに富む脂質の領域) に存在するた めに必要であり, 他の  アンカー蛋白がそうであるよ うに, ラフト上でシグナル伝達に関わると考えられてい る. 一方, オクタリピート領域に繰り返し存在するヒス チジンには銅が結合することが知られており, 銅と  との関連に注目が集まっている. 主要な銅結合蛋白質と して !" スーパーオキシドジスムターゼ (#$) が 知られており, 細胞内銅濃度の変化により !" #$ の活性が変化することが報告されている. このため,  と#$との関連にも興味が持たれる. なお, 疎水 性領域には%  &   "'  () &* +% &  " ( 1) など.      .

(26)    ヒト  はシグナル ペプチド ( )、 オクタリピート領域 (

(27) )、 疎水性領域 ( )、 3つのαヘリックス構造 (  )、 グリコシル フォスファチジルイノシトール ( ) アンカー配列を持 つ. また、 2つの型糖鎖付加部位 ( 

(28) ) と1カ所の  結合が存在する. 数字はアミノ酸番号.. の蛋白質が結合することが報告されている5)..  蛋白質の機能を解析するために通常よくとられる方法 として遺伝子ノックアウト法が挙げられる. これまでに, プリオン蛋白質 ( ) 遺伝子ノックアウトマウスは世 界で6系統作製されているが, これらの 遺伝子ノッ クアウトマウスの表現形が大きく2つに分かれてしまっ たことや, ほとんど異常が見られないマウスもあったこ とから,  の生理機能を理解するうえで, 十分な情報 を得ることができなかった5). 例えば,  ,型 遺 伝子ノックアウトマウスは加齢に伴う行動異常を示した が, !  - 型や*型の 遺伝子ノックアウトマウス はそれらの異常を示さなかった5). その後, この原因は  遺伝子をノックアウトする際のコンストラクトの作 製方法の違いに起因することが明らかとなった5). 現在 では,  ,型マウスは 遺伝子のエクソン3のスプ ライシングアクセプターが破壊されていたために, 下流 の遺伝子が発現することで異常が現れたと考えられてい る. なお, 前述の!  - 型や*型マウスにはサーカディ アンリズムや長期増強 (.) の異常が報告されてい るが, その異常が顕著でないからか, 複数の研究室で一 致した結果が得られていない. そこで, 著者らの研究グループでは, 細胞株を作製し て,  の機能解析にアプローチすることにした。ま ず,  遺伝子ノックアウトマウス胎児脳の海馬より,  / 0" 1  (1) ) 0 &抗原遺伝子を発現 するレトロウイルスベクターを用いて不死化することに より,  遺伝子欠損神経細胞株 *.を樹立した. 同様 に野生型マウスから神経細胞株

(29) を作製した. これら の細胞を比較したところ, 海馬由来神経細胞株の非増殖 時培養に用いられることの多い無血清培地において,.

(30) は神経突起の伸長を示したが, *.はアポトーシス による細胞死を起こした. 一方,  遺伝子を再導入し た *.は生存することが明らかとなった6) ( 3).  これらの結果から,   が細胞の生存維持に間接的な 役割を果たしていることが示唆された. 次に, *.が細胞死にいたるメカニズムを知るため に, 血清除去により誘導されることが知られている, スー パーオキサイドアニオンの測定を蛍光試薬$ -' +& % - ' /を用いて行った6). その結果, *.は血清除去6 時間でスーパーオキサイドアニオンの発生がピークにな り, その時 再発現 *.細胞ではスーパーオキサイド アニオン発生が抑制されていることがわかった (  4). そこで次に, スーパーオキサイドアニオンを消去 する酵素である#$の活性を測定したところ,  遺 伝子再発現 *.細胞は, 非発現 *.細胞に比べ, 血清  存在下でも非存在下でも高い#$活性を示した6) ( 5). 以上の結果から,  は細胞内#$活性を上昇さ.

(31) 作道.             . 

(32) 

(33)          

(34) 

(35).  遺伝子欠損細胞 ( . ) は血清除去 によりアポトーシスを示すが,  遺伝子を再導入した細 胞は血清除去下で生存する文献 (

(36) ) より改変後引用. 章一. .  .

(37) 

(38).        

(39).  発 現によるスーパーオキシドジスムターゼ () 活性上 昇 (左図) とスーパーオキサイドアニオン (2・ ) 量の低 下 (右図). .

(40)  () と .

(41)   ( ) を血 清除去後, 0時間 (白棒) および6時間 (黒棒) 後に 活性と2・ 量の解析を行った. 活性はキサンチンベー スの比色定量により測定した (   蛋白質量). 2・. 量は蛍光試薬      を用いてフローサイトメト リーにより平均蛍光強度から算出した. なお, 右図にお いて, .

(42) の0時間時の2 ・ 量を !とした. ア ステリスク (" ) およびダブルアステリスク (" " ) はそれ ぞれ, .

(43) の血清除去6時間時と比較して有意な 差があったことを示す [# (" ) $# (" " )]. プラス (%) は .

(44) の血清除去0時間と比較して有 意な差があったことを示す [# (%)]. 文献 (6) より改変後引用.  

(45)   

(46).   . 

(47) 

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(49) 

(50) 

(51) 

(52).        

(53).  遺伝子欠損細胞 ( .

(54) ) は無血 清培地へ移行6時間後, スーパーオキサイドアニオン (2・ ) 量がピークとなる. この時,  遺伝子を再発現 した細胞 .

(55)  では2・ 量はこれよりも少ない. 2・. 量は蛍光試薬      を用いてフローサイトメト リーにより測定した. 灰色線の白抜き:0時間;黒色線 の黒塗りつぶし:6時間. 文献 (6) より引用.. せ, スーパーオキサイドアニオンを消去することで血清 除去誘導アポトーシス抑制に働くことが示唆された.  にはオクタリピート領域と疎水性領域と呼ばれる 哺乳動物間で高度に保存された領域が存在する7) (  6). そこで, 次にこれらの領域のうち, どの領域が の機能に重要であるのかを調べた.  のアポトー シス抑制機能, 活性制御機能に重要な領域を調べ るため, オクタリピート領域を欠損した , 疎水性領 域の

(56) 末端側を欠損した , 疎水性領域の末端側の 領域を欠損した を 遺伝子欠損細胞株へ発現させ た8). そして, フローサイトメトリーを用いて, 細胞表.  &    .

(57).        欠損変 異 遺伝子 (Δ', Δ'(, Δ') および野生型 遺伝 子を発現する .

(58) 細胞を血清除去(

(59) 時間後に回収し, )*を抽出して電気泳動を行った空ベクター導入細胞 () も同様に解析した:シグナルペプチド;+ : )型糖鎖;,:グリコシルフォスファチジルイノシトー ル; ∼ :ヘリックス領域;.:オクタリピート領 域; .:疎水性領域文献 (8) より改変後引用.

(60) . プリオン蛋白質遺伝子欠損細胞を用いた正常型プリオン蛋白質機能解析. 面 量がほぼ等しく発現する細胞を得た. これらの細 胞を無血清培地で 時間培養後, を抽出し,  ラダーの検出を行ったところ, オクタリピート領域欠損  発現細胞Δ や疎水性領域の末端側を欠損した 発現細胞Δ ではアポトーシスが抑制されないことが わかった (

(61) 6). 次に, アポトーシスに特徴的なヒ ス ト ン 付 加 断 片 化 の 検 出 を    

(62)  

(63)       ( !) を用いて行ったと ころ, ラダーの結果と同様に, オクタリピート領 域欠損 発現細胞Δ や疎水性領域の末端側を欠損 した 発現細胞Δ では血清除去により誘導されるア ポトーシスが抑制されないことがわかった (

(64) 7). さらに, 各欠損変異体発現細胞の!"活性を調べると, 血清除去6時間において,  再発現細胞や疎水性領域 の#末端側を欠損した 発現細胞Δ $ では, 空ベクター 導入細胞%に比べて有意に高い!"活性を示した (

(65) 8). 一方, オクタリピート領域欠損 発現細 胞Δ や疎水性領域の末端側欠損 発現細胞Δ は 空ベクター導入細胞%と同等もしくは低い!"活性を 示した. これらの結果から,  #による!"活性化に は, オクタリピート領域だけでなく, 疎水性領域の末 端側の領域も重要であり, 血清除去時のアポトーシスの 程度は!"活性と逆相関することが示唆された (

(66)  9)..     .    .  

(67) .   

(68) 欠損変異. 遺伝子 (Δ 

(69) Δ

(70) Δ ) および野生型. 遺伝子 を発現する 細胞を経時的 (0, 6,  , 時間後) に細胞を回収し,  によりヒストン付加断片化 量を比較した. 空ベクター導入細胞 () も同様に解析 した. 文献 (8) より改変後引用..   .   

(71)   .  

(72)            

(73)             .   .   .      欠損変異. 遺伝子 (Δ 

(74) Δ

(75) Δ ) および野生型. 遺伝子を発現する 細胞を血清除 去0時間および6時間後に回収し, 活性を測定した. 空ベクター導入細胞 () も同様に解析した. アステリ スク ( ) は 血清除去6時間と比較して有意な 差があったことを示す (   ). プラス () は 血清除去0時間と比較して有意な差があったことを 示す (  ). 文献 (8) より改変後引用.       .                    

(76)       .   

(77)          

(78)  

(79)     

(80)        欠損変異. 遺伝子 (Δ 

(81) Δ

(82) Δ ) および野生型. 遺伝子を発現する   細胞を血清除去を行った際の活性およびアポトー シス程度の比較を行った. 空ベクター導入細胞 () の 結果も同様に示した. +の数が多いほど, 活性もし くはアポトーシス程度が高いことを示す.  :シグナル ペプチド;!  :グリコシルフォスファチジルイノシトー ル;∼ :ヘリックス領域;"#オクタリピート領域; "#疎水性領域. 文献 () より改変後引用..

(83) 作道.  

(84)  著者らの研究により,  は抗酸化ストレス, 抗ア ポトーシス活性を持ち, その機能部位はオクタリピート 領域と疎水性領域の末端側の領域であることが明らか となった (  ). オクタリピート領域に銅が結合す ることで, 細胞内銅量の調節が により行われてい る9, ). 一方, 

(85)  は銅により活性が制御され ることが知られているため. ), 細胞内銅量の調節により 活性が制御をうけることが考えられる. また, 著 者らは疎水性領域に,  1が結合して, 活性化へ のシグナルを伝えていることを明らかにしている ) (  ). そして, はアポトーシスの誘導物質の 一つであるスーパーオキサイドアニオンを消去するため, アポトーシスが抑制されると考えられる. 今後, 銅およ び 1がどのような機構で 依存的活性化に 関わるのか, さらなる研究が必要である..    . . 

(86)   .   

(87)

(88).    

(89) 

(90)        .  

(91)   .   

(92)    

(93).

(94) . は疎水性領域 (

(95) ) に結合後, オクタリピート 領域 ( ) に結合した銅と共役して,  が  を活性化するために働くことが考えられる. 活性化され た は血清除去により発生するスーパーオキシ ドアニオン (2・ ) を消去して, 毒性を弱める. :シ グナルペプチド;

(96) :型糖鎖; :グリコシルフォ スファチジルイノシトール;

(97) ∼

(98) :ヘリックス領域;. :       ! " #   ; $ "  #%   & '  ;  $ ジスルフィド結合. 文献 (() より改変後 引用.  プリオン感染動物の脳では が へと変換され    量の低下が起きている ることにより  の蓄積と ものと考えられている. これまでの研究結果をもとに,  の蓄積による酸化ストレス発生と 量低下によ る抗酸化ストレス制御能低下により神経変性が起こると. . 章一. いうプリオン病発症メカニズムを考えることができる ). 現在のところプリオン病に有効な治療法はないが, 発症 メカニズムが明らかになることが治療法開発の手がかり になるものと期待される.. . . 本総説の一部の研究は科学研究費補助金 (若手()) および厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事 業 「プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査 研究班」 の補助を受けた. . . 1) 

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(133) . プリオン蛋白質遺伝子欠損細胞を用いた正常型プリオン蛋白質機能解析. ( )      .  

(134) 

(135) .    

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(201) )  99. 98.

(202)

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