20 良田匹ウヰダール氏反鷹と診断液に就て
著
第三巻 一九〇 原’引ヰダール民反慮と診噺液に就て
緒 目 東京女子警學專門學校細菌學教室︵主任吉岡教授︶良 田
圭 子
ウ興ダール氏反鷹は一八九六年グ井ダ三二氏によみて﹁チフス﹂患者血清に封し腸コチフスし菌が凝集反慮の おこる事の桜見以來﹁チフス﹂性疾患の診断に最も重要覗されたるも、その後の研究により肺結核、黄疸、肺 炎その他の熱性疾患の患者血清に於てのみならす、健康抗血清に於ても非特異性に反忘し、或は高度の類属 聖慮を現はす事実又は馬防接種盛なるに從ひ其の陰陽の鋼断困難となりしを以て其れを診断に慮用せんには 細心の注意を要する事となれり。 之等の非特異性凝集反慮を特異性凝集上諭より颪別せんπめに三澤氏は氏の所謂ウ井ダール氏反慮分析法 帥ち煮沸細菌を以て副凝集素を吸湿して主凝集素による特異性愚慮を明らかにせり。一九一九年爾見氏は鉛 丹を用ひて、一九二五年西口氏は鉛丹甘張法及次亜硫酸曹達法によって、﹁チフス﹂、﹁パラチフス﹂菌厩問の類属 反鷹の阻止に供し、一九二九年長重氏は血清を六十度乃至六十三度に三十分加熱する事によりて主反慮を増張 して副伝達を阻止し細菌を﹁フ才川マリン﹂を以て腱寵する事によりて主副爾凝集反慮を識別する事を得ると。21 然るに凝集反響に於ては同じき菌種にありてもその菌株の異なるに從ってその被凝集性を異にす。被凝集 性不良撤る細菌にありてはこれを動ギー劇町図氏反掌の診断液として用ふる事あればその成績の不正確は言を 侯πす。被凝集性の不良なる菌株によりておこるウヰダ軽黒氏早耳の不正確を除外せんがために被凝集性の 鋭敏なるなるべく多藪の菌株を用ひて診断液を作りて使用すべしとは古くより言はれたる所なり。 一九二八年加藤氏は腸﹁チフス﹂診断液は一種類にては十分ならすと。叉一九二九年及び一九三〇年に加藤 穴澤爾氏は藪種の診断液を用ひで同一血溝の凝集反慮を註して,その成績の相違する事によφて,ウヰダー ル氏反慮の正確を期せんには多藪の診断液を使用して、それ等の成績より綜合的に魚卵を下すべきなりと。 一九ご=年に古閑氏も亦同様なる事を實験せう。一九三二年古川氏は同様に診断液の選揮に就て被凝集性の 可良なる菌株を以て菌液を作るべしと論じてみる。 當細菌學教室内槍査部に於てもウヰダール丁寧慮の早馬成績を正確ならしめんがだめに、藪種の診断液を 用ひて槍査し居るを以てその實験例を弦に報告して先者の例に追加せん。 聯只槍材料及び方法 實槍材料としての患者の血清は.當細菌學教室内槍査部に淵ーダヒ川下反鷹並に細菌培養の目的にて迭附 されたる患者血清並びに本校病院内華車兇科の患者血清及び平坦液なり。 診断液は東京傳染病研究所、九州傳染病研究所、大阪血清藥院等の製造によるもの及び當細菌學教室所藏 の﹁チフス﹂菌﹁パラチフス﹂菌二十早早を以て製せるものを使用せり。當敏室製は寒天培養基︵男口刈﹄︶に二十 四時間培養せるものを生理的食盛水に津饗し撮氏六十度に一時間加熱し一。0%に﹁フォ川マソン﹂を加へだ るものなり。 良田1ーウヰダール民反鷹と診蜘液に就て 第三巻 一九一
22 良田Hウヰダール氏反鷹と診断液に就て 第三巻 一九二 實槍方法は、患者血清を擁氏五十六度に三十分水浴中に加熱せるものを五十倍稀繹より倍量稀繹をなし診 断液を二滴宛滴下し.葉山器内に二時間放置し更に室温に放置して、二十四時聞後に﹁アグルチノスコープし にて之れを剣定せh・。 荷診断液は使用前腸﹁チフス﹂.菌並びに﹁パラチフス﹂A・B菌免疫家兎血清を以てその被凝集性を槍し叉類 屡反慮の程度を甚して、製造日より三ケ月以内のものを使用する事とせり。 實槍成績 第一表は當教室渡部氏の投槍例にして、第二表に余の實槍成績を示す。 以上第一表によれば第五例を除きては他の十六例は各診断液によりて何れも陽性成績を示す。 第一例は何れも八百倍迄陽性 第二例は二百倍乃至八百倍迄陽性 第三例は四百倍乃至千⊥ハ百倍迄陽性 第四例は百倍乃至二百倍迄陽性 第五例は東京傳研に陰性他は五十倍乃至四百倍迄陽性 第六例は八百倍乃至千六百倍迄陽性 第七例は百倍乃至三千二百倍迄陽性 第入例は二百倍乃至四百倍迄陽性 第九例は百倍乃至四百倍迄陽性 第十例は四百倍乃至八百倍迄陽性
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劇OO αO αO 日OO 一 巳8 卜900 αO αO 団OO 同OO 第三巻 劇OO oっnO 目OO 一九六 〇qW 1 bっ8 ◎ひ cOO bgOO 日OO bg nO αO 第十一例は四百倍乃至千⊥ハ百倍陽性 第十二傍は何れも三千二百倍迄陽性 第十三例は五十倍乃至二百倍迄陽性 第→四例は二百倍乃至八百倍迄陽性 第十五例は百倍乃至四百倍迄陽性 第十六例は百倍乃至千六百倍迄陽性 第十七例は百倍乃至四百倍迄陽性 第二表の成績を見れば 第一例は九研陰性にして他は何れも五十倍迄陽性 第二例は五十倍乃至二百倍迄陽性 第三例は百倍乃至二百倍迄陽性27 第四例は五十倍乃至二百倍迄陽性 第五例は五十倍乃至百倍迄陽性 第六例は何れも五十倍迄陽性 第七例は四百倍乃至千六百倍迄陽性 第八例は敏室製及び九研製陰性にして他は五十倍迄陽性 第九例は百倍乃至二百倍迄陽性 第十例は教室製及び東京傳研にて陰性他は五十倍迄陽性 第十一例は五十倍乃至百倍迄陽性 第十二例は何れも四百倍迄陽性 第十三例は五十倍乃至二百倍迄陽性 第十四例は百倍乃至二百倍迄陽性 第十五例は五十倍乃至四百倍迄陽性 餓叩十←ハ例は何れも陰性 第十七例は五十倍乃至二百倍迄陽性 第十八例は大血製五十倍迄陽性他は陰性なり。 第十九例及び第二十例に於ては同一患者にして四日間の馬蹄あり。血液中よ蚕﹁パラチフス﹂ム菌を分離し 得πり。腸﹁チフス﹂診断液に饗しては最初の槍査にては、二百倍乃至八百倍迄の陽性を示し、第二同目に於 ては四百倍乃至八百倍の差を示せう。﹁パラチフス﹂A診骨導に黒しては、第一同目は教室製、東京傳研製、 良田1ーウヰダール氏反鷹と診臨液に就て 第三巻 一九七
28 良田1ーウヰダール氏反鷹と診断液に就て 第三巻 一九八 大謹製にて陰性を示し、九研製のみ五十倍陽性を示せり。第二割目に当ては東京三重製、大、血製にて五十 倍陽性、九研にて二百倍陽性を示す。﹁パラチフス﹂B診断液にては初同に東京傳研五十倍陽性のみ。 第二十一例及び第二十二例は二百倍乃至四百倍迄陽性 第二十三例は五十倍乃至四百倍迄陽性 第二十四例及び第二十五例は同一患者にして一週間の間隔あり。最初は教室製腸﹁チフス﹂に百倍迄穎粒状 に凝集し次同に於ては大血製のものに五十倍迄陽性なりし。 第二十六例は何れも陰性 第二十七例は教室製のみ五十倍穎粒状に凝集せり。 第二十八例は一、一百倍乃至八百倍迄陽性 第二十九例は九研陰性他は百倍乃至二百倍迄陽性 第三十例第三十一例は何れも陰性 第三十二例は五十倍乃至八百倍迄陽性 第三十三例は﹁パラチフス﹂ム菌を血液及び糞便中より分離し得πり。ウヰダー十三反鷹は腸コチフスしに二 百倍乃至八百倍迄陽性。﹁パラチフス﹂Aには大仁製に陰性悪に二百倍乃至四百倍迄陽性、﹁パラチフス﹂Bに は敏室製にのみ五十倍陽性を示せり。 第三十四例は百倍乃至二百倍迄陽性 第三十五例は二百倍乃至千六百倍陽性 第三十六例は何れの診噺液にも陰性
29 第三十七例は百倍乃至千六百倍泡陽性 第三十八例は千六百倍乃至三千二百倍迄陽性 第三十九例は東京傳研五十倍陽性のみ第四十例は東京傳研と六器にのみ五十倍乃至百倍陽性なり。 第四十一例は東京傳研と九研とに五十倍陽性 第四十二例は百倍乃至二百倍迄陽性 第四十三例は東京傳研五十倍陽性,教室製陰性な6。 以上四十三例中差こそあれ何れの診断液にても陽性を示せるものは二十六例にして、陰性を示せるものは 五例、残りの十二例は何れにか陽性何れにか陰性を示すものにして、その不一致は二七・九一%なり。 各診断液に就て観察するに不一致を示す十二例は第三表に示すが如く。 第三表 各診母液ニテ不一致ナリシ例 大血製 九研製 東京傳: 研 製 教室製 50 50@50 50 50 200 50 100 50 100 ]一 1 loo i 50 hoo 5C﹃ 50 50 50@50 一 50@50 50
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第 第 第 一 例 八 例 十 例 1 2 00 4 pり 4i第+八例 5第廿四例 。第iトー7t.例 7第廿七例 8第『卜トブL.汐5「←う a 9第HH・九例←) 1 ’O倦謗l+例/‘“” 11第四十一例噛←) 12踏四十三例(一一・) 當敏室製にて陽性を示すもの四例東京傳上製にて同
七例九二製にて同 三例
大品製にて同 六例
なう。 第十例、第二十四例、第二十五例、第二十七 例、第二十九例、第三十九例、第四十例、第四 十一例、第四十三例証は培養試験にて陰性、叉 二十四.二十五、二十九、三十九、四十一例及 良田聾ウヰダ丁ル氏反雁と診断液に就て 第三巷 一九九30 良田Hウヰダール氏反鷹と診闘液に就て 第三巻 二〇〇 ぴ四十三例は當病院内科患者にて臨床上にても腸っチフスしならずと決定しセるも他の三例は他より逸附きれ 第四表 血液培養試瞼ニテ陽性ナリシモノ、Widals反鷹成績 虚血製 ・九研製 東京傳
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1600 400 400 200 400 800 800 3200 400 400 100 200 50 400 50 1600 1600 400 50 400 200 200 200 3200姻鄭姻姻贈脚蹴
1600 十 十 十 十 十 十 .十 十 第七団 扇+二例 第+五例 第十一例 第十三例 第骨八例 第冊二例 第冊八例12345678
しものにて診断は不明なり。 第四衷に於ける如く血液培養試験にて陽性なりしものの ウヰダール氏反臣の成績を比較すれば五十倍陽性を示せるは 東京三三一例、九研二例にしで、他は百倍乃至三千二百倍迄 に凝集せり。 次いで各患者血清の各診断液による凝集歌態を槻察するに 第五表の如し。 菌の謹明されπる腸﹁チフス﹂の診断確かなるものを見れ ば 第十二例は教室製、東京傳研製に穎粒歌にして、 第二十一例は當巌室並びに大耳製に粗大雲紫状をなし、他 の診断液にては穎粒状なり。 第三十二及び第二十三例は何れも顯粒状、 第二十八例及び第三十八例は何れも粗大の凝集状を示せり。 同時に健康者血清を各診断液にてウヰダール氏尊号を行へる成績並に凝集歌態は第六表の如し。豫防接種 を受け元る者十名、受けし事なき者一名、不明なる者署名にして合計十四名を接種してよりの年月順に表示 せり。各凝集歌里は豫防接種を行ひてよム、短年月帥ち八ヶ月及び一年の第一例第二例に於ては各診噺液に31 凝集駅態ノ襯察
第五衷
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第三例l
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第+二例1+ 十 十 第廿一例 第一跨へ=二例 第十三例 壷井四例 + + 十 T1600 例 例 例 例 八 九 二 八 十 十 冊 冊 第 第 第 第 工 2 3 4 Kり A⑪ 7 8 9 −0@11 12 13 Kハ穎三門 GKハ大穎粒 F粗大 にありては、各診断液に陰性なる者一名.東京博研にのみ五十倍乃至百倍迄小子粒歌のもの三例、 東京傳研、大台製の各々に小穎粒歌の者一名にして、豫防接種を受けざる一例は各診断液に陰性成績を示し おり。斯くの如く豫防接種後日爾響きものに去て粗大に時日を輕過せるものに小穎粒朕の凝集歌態を示せ 良田肱ウヰダール氏反雁⋮と診臨液に就て 第三谷 二〇一 粗大に凝集するを見把り。併し 第二例の九研のもののみ顯粒歌 なり。 二年前に豫防接種を受けπり し五例にありては、各診断液に て小穎粒歌にして敏室製にて一 例、九研製に二例、大血製にて 三例の陰性なるを見πり。他は 五十倍乃至二百倍迄陽性なり。 八年前に豫防接種せる一例にて は九研に陰性、その他に五十倍 乃至百倍迄の小穎粒歌の凝集を 示せり。豫防接種を受けπるも その時日不明なる二名、豫防接 種を受けしや否や不明なる三名 敏室製、32 良田ロウヰダール氏反慮と診断液に就て ︸り。 第三巻 二〇二 第.六表健康者ノウヰダーノレ氏反雁成績 大』紅三 九研製 東京駅
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陸 栗山 上 泉 井 小 11 ﹁−23456789
12@13 14 総.括 一、渡部氏の成績十七例中十六例 迄各診断液に陽性成績を示せるは九 三。五三%の一致を示す。 二、第二表の成績は四十三例中各 診断液に陽性を示すもの二十⊥ハ例、 陰性を示すもの五例にして一致率は 七二・〇九%なり。 三、不一致十二例中︵二七。九一 %︶ 當教室製にて陽性のもの四例 東京傳研製にて同 七例 九品製にて ﹁同 三例大血製にて同 六例なり。
四、腸﹁チフス﹂の診断確単なる入例のウヰダール氏反慮の成績を比較すれば、東京傳研にて一例、九研に て二例の五十倍陽性のものあり。他は百倍乃至三千二百倍迄の陽性を示す。 五、ウヰダール革質鷹に於ける凝集欺態は同一血清にて各藩噺液に或は願粒状に或は粗大に叉同一診断液にても或は粗大或は小器粒状に血清の異なるにようてその凝集状態に差異あり。依ってウヰダー川氏反懸に 於ける穎粒状の凝集朕態は非特異性なりと認むる能はす。 ⊥ハ、豫防接種を受けたる筆名の中観⋮論衡診断液にては、 後に百倍一名、陽性に現はれ把り。 二年後五十倍一名、百倍三名、二百倍一名、八年 33 結 論 以上の試験成績に於ては確實なる腸﹁チフス﹂患者の血清にて陰性を現はせるものなし。されど五十倍陽性 を示せる場合三例あり。ヴヰダール、氏反慮を腸﹁チフス﹂診断の一助となさんには多年諸研究者によりて叫ば る﹂如く、ロバ一種の診断液によりて反心成績を云々する事なく、紫黒の診断液の成績を綜合し到定する必要 あるを認む。 ウヰダール氏反鷹に於ける凝集与論の差異即ち粗大か穎粒朕かは診断液の異なるによりて、又血清の異な るによりて一定ならす。 稿を終るに臨み御懇篤なる御指導と御校閲を賜はうだる吉岡敏授、並に色々と御援助下されし敏室員一同 に深く威謝の意を表す。 文 職 一、淺川範彦、細菌學雑誌 第五十四號 二、 柴山、 大和田、 翻⋮菌學雑歎聴 柳弟一二六號 三、加藤義夫、實瞼讐報 第一七〇號 四、加醸⋮義夫 臨床殴蟹學 第十八年第六號 良田Hウヰダール氏反冨悠と診断液に就て 第三雀 二〇三
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