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エンハンサートラップ法を用いた中枢神経系に発現する遺伝子の組織学的検索

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Academic year: 2021

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68 学 会 〔東女医大誌 第61巻 第7号頁598∼604平成3年7月〕

東京女子医科大学学会第287回例会

日時 平成3年6月13日(木)午後3:00∼6:15

会場 東京女子医科大学中央校舎1階会議室

1.アドレナリン作動性β受容体を介するラット 褐色脂肪組織血流量調節について (薬理学) ○内田 庸子・村木 篁・野本 照子 褐色脂肪組織(BAT)産熱機構が全身のエネルギー バランスに果す役割は大きい.この組織は交感神経支 配下にあり,noradrenalineが主としてβ受容体を介 し機能を充進ずることが知られている.こ㊧β受容体 は,従来のβ1,β2とは異なるatypical type(β3)であ る可能性が指摘されている.化学構造上isoproterenoI (ISP)と近縁の新規β作用薬(Beecham)BRL 26830 AおよびBRL 35135は, BATのβ受容体を選択的に 刺激し,強力な産熱性,抗肥満性を示すことが明らか となってきた.そこで本研究では,新規β作用薬BRL

26830AおよびBRL 35135の成熟雄性ラットBAT血

流量に及ぼす効果を明らかにするために,対照薬ISP と比較検討した. ウレタン麻酔下,β作用薬を頸静脈よりbo1賂injec− tion後,肩甲骨間褐色脂肪組織(IBAT)血流量を, laser−Doppler血流量計にて測定,血圧,心拍数を同時 にモニターした.(1)ISPおよび新規産熱性β作用薬 BRL 26830A, BRL 35135は用量依存性に, BAT血流 量を増大した.(2)これらβ作用薬の血流量増大作用 コら は,BRL 35135>ISP>BRL 26830Aであった.(3) ISPに認められた顕著な用量依存性の心拍数増加,拡 張期血圧減少は,BRL 26830A, BRL 35135では,認 められなかった.(4)BRL 26830AおよびBRL 35135 の血流量増大作用は,β・blockerのacebutolol, al− prenolol前投与により抑制されたが, ICI 118,551前 投与により影響をうけなかった.

これらの結果,新規産熱性β作用薬,特にBRL

35135は,ISPと異なり,血圧,心拍数に影響の少ない 用量でBAT血流量増大作用が強いことから, BAT選 択性が高いことを示唆しているものと考える. 2.Dopaminergic Interplexiform Ce11

(第1生理)0瘡 陽・前原 通代 日高 聡・橋本葉子 Interplexiform ce11(IP細胞)は網膜内における第 6番目の細胞型として知られ,その細胞体はアマクリ ン細胞層に位置し,樹状突起を内網状層に広げ,上行 性の突起が外網状層まで到達した細胞形態をとる遠心 性ニューロンである.その一種はドーパミン作動性で あることが報告されているが,その詳細な形態および 網膜内分布は余り知られていない.

今回,我々はウグイ剥離網膜を用い,抗TH

(tyrosine hydroxylase)抗体を用いて新しく開発した 免疫細胞化学法により,ドーパミン作動性細胞の詳細 な形態および網膜上での分布を解析した.内網状層に おける樹状突起の分岐形態から,IP細胞は,(1)sub− 1amina aにのみ分岐するmonostrati且edのもの,(2) 内網状層全体に分布するmultistratiHedまたは,2層 に分布するbistrati且edのもの,の二種に分類される. また,上行性突起は,(1)細胞体から直接分岐するも の,(2)内網状層に分布する比較的太い突起から分岐 するもの,(3)細胞体および内網状層の突起から分岐 するもの,の三種が認められた.右側網膜のwhole mount上での計測から,抗体陽性細胞の細胞密度は平 均64コ/mm2,細胞間距離は平均96μmであった.更に, 光照射時に過分極性に応答し,光遮断時に特徴ある過 分極性後電位を発生する細胞にHRPを注入し,その

形態を検索した結果,この細胞はdopaminergic

monostratified IP cellであることが同定された.本研 究の結果から,ドーパミン作動性IP細胞の役割と,網 膜内の他面細胞との多様な結合様式解明への発展が期 待される. 3.エンハンサートラップ法を用いた中枢神経系に 発現する遺伝子の組織学的検索 (第1生理)○町山 悦子・小松 明 プロモーターとレポーター遺伝子1acZをもつP因 子(トランスポゾン)を,jumpstart法を用いてDγ050一 ρ瀦α初6如%og嬉6γのゲノムにランダムに挿入し,3 齢幼虫の中枢神経系でのlacZ遺伝子の発現パターン 一598一

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69 を調べた,mutatorとしてはP−lwB(Bellen et al, 1989)をまたjumpstarterとしては∠2,3を用いた. 作製したP因子挿入系統のうち致死系統と不妊系統 はバランサー染色体と組み合わせて異型接合体とし て,また妊性系統は同型接合体にして系統保存した. 今回対象としたのは全て妊性系統である.エンハン サートラップ法では挿入部位を支配するエソハンサー の急ぎによりプロモーターが活性化され,部位特異 的・細胞特異的に,また発生段階特異的にlacZが発現 する.lacZの遺伝子発現は遺伝子産物であるβ一 galactosidaseを, X−gal法を用いて細胞内の濃青沈澱 として組織化学的に検出した. スクリーニングした181系統のうち171系統では中枢 神経系に何らかの遺伝子発現がみられた.多少とも部 位特異的な染色パターンを示したものは117系統で,そ のうち57系統は特定のニューロン群が染色された.さ らにそのうち21系統ではいくつかの体節にまたがって 相同のニューロンが,また4系統では1ないし数対の 特定のニューロンが染色された.なお2系統では脳の 特定部位が染色されるとともに,行動異常(飛翔能力 の低下)をも示した. なお本研究は山元大輔・上田 龍・佐野弓子(三菱 化成生命研)との共同研究である. 4.安定化ヘモグロビン溶液およびその赤血球浮遊 液の流動性 (第1生理)山下 雄平 安定化ヘモグロビン(以下SHbと称す)は,期限切 れ輸血用保存血の再利用を目的として,味の素中央研 究所により作製された化学修飾ヘモグロビンである. ストローマフリーヘモグロビソにピリドキサル5一リン 酸とポリオキシエチレンを結合させたもので,その数 平均分子量は約10万である.このSHbの6g/dl溶液 は,膠質浸透圧および酸素解離能の点で,血液と同等 の性質をもつことが示されている.またラットに対す る交換輸血の実験結果から肝や腎に対して悪影響を及 ぼさないこと,摘出心臓の潅流実験の結果から心臓の 機能が正常に維持されることが報告されている.この ような研究に基づき,SHb溶液の代用血液,あるいは 臓器保存液としての利用性が示唆されている. 今回の研究では,SHb溶液およびその赤血球浮遊液 について,レオロジー的立場から,その性質の検討を 行なった. 材料として,味の素中央研究室より寄贈されたSHb 溶液およびヒト赤血球を用いた.赤血球浮遊液の赤血 球容積比はほぼ42%に調節した.粘度の測定はcone− plate型粘度計(東京計器, E型)を使用し,ずり速度 19.2∼384sec 1の範囲で,25℃で行なった. SHb溶液は,血漿と異なり明らかな非ニゴートソ性 を示し,各ずり速度における見かけの粘度は,SHbの 濃度増加に伴って上昇した. 赤血球をSHb溶液に浮遊させた場合, SHbの濃度 増加に伴い,赤血球間に著しい凝集(rouleaux forma− tion)が生じた.この凝集は, SHb溶液と血漿との混 合溶液においても同様に観察された.赤血球浮遊液は, SHb溶液と同様に非ニュートン性を示し,その見かけ の粘度はSHbの濃度に依存した.この粘度上昇は凝 集が形成されないSHbの濃度範囲においても,また 高ずり速度領域においても生ずることから,SHbによ る凝集のためではなく,赤血球とSHb溶液との間の 相互作用が関与していると考えられる.以下の結果は, SHb溶液を代用血液として利用するには,さらに詳細 なレオロジー的検討の必要性を示唆するものである. 5.人工血液を用いたラット摘出肺機能評価システ ムによる肺保存条件の検討 (呼吸器センター外科,*鼓動宇都宮病院) ○曽根 康之・小野 完二・中島 秀嗣* 田原 士朗・露国 俊成・大貫 恭正 横山 正義・新田 澄郎 目的:パラフルオロケミカルを潅流液に用いたラッ ト摘出肺標本による機能評価システムを作製し,保存 肺機能を定量的に評価した. 方法:換気潅流装置は,人工呼吸器(94。5%02十 5.5%CO2),人工肺(5%02+6%CO2+89%N2),熱 交換器(37℃)およびリザーバーより構成され,灌流

液は3%牛アルブミンと20%FC43を加えたKrebs−

Ringer液を使用した.ラット摘出肺を37℃恒温槽に懸 架し,定圧条件下に換気潅流を20分間行ない,1回換 気量(VT),潅流量(Q),肺静脈潅流液酸素分圧 (PPVO2)を測定した.保存後再び同条件下に換気島流 を行ない,保存前面に対する回復率(%)にて比較し た.実験終了後乾湿重量比を求め,保存時間0のコン トロール群値と比較し,便宜上,歯群の乾湿重量比平 均回復率(%Wet/Dry)とした.37℃,気道内圧(Paw) Ocmの条件下に0分目n=6),30分(n=6),60分(n= 4)の単純保存および,37℃,Paw 10cmの条件下に 乳酸リンゲル液(n=6)とユーロコリンズ液(n=6) を用いて30分単純保存を行なった.また,7℃,Paw

lOcmの条件下にユ一日コリンズ液(n=5)とUW液

一599一

参照

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