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国際経済の秩序とオルドー学派

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(1)

北 陸 大 学  紀要 第

18

号   (

1994

)   pp

.25〜41

1

国 際 経 済

と オ

学 派

鉢   野  正   樹

Die

 

Ordnung

 

der

 

internationalen

 

Wirtschaft

 und  

die

 

ORDO

Schule

Masaki

 

Hachino

Received  

October

 

25,

1994

ZUSAMMENFASSUNG

§

1

Seit

 

dem

 

Ende

 

des

 

lezten

 

Weltkrieges

 

fing

 

die

 

ORDO

Schule

 mit  

dem

 

Verlag

  

des

 

Jahrbuches

 

ihre

 

Tatigkeiten

 an

 

Das

 

Jahrbuch

 

ORDO

 

hat

 als sein

 

zweites

  

Titel

,。

Jahrbuch

 

fiir

 

die

 

Ordnung

 

der

 

Wirtschaft

 und  

Gesellschaft

 

Es

 

drUckt

 

den

  

sozio

6komischen  

Standpunkt

 

der

 

Schule

 aus

§

2

Die

 

ORDO

Schule

 

bekennt

 sich zu 

den

 

Freihandel

 

Der

 

Freihandel

 steht  auf  

der

   Bewtihrung

 

der

 

Goldwahrung

 und

 

der

 

komparativen

 

Kosten

 

Heute

 

kann

 

man

  

ihn

 

doch

 nicht  mehr  

darauf

 aufrecherhalten

 

Weil

 

die

 

Goldwahrung

 schon  verloren

  

ist

  und  

die

 

GUltigkeit

 

der

 

komparativen

 

Kostenlehre

  vermindert   sich  wegen  

der

   

freien

 

Bewegung

 

der

 

Arbeit

 und

 des

 

Kapitals

 unter

 den L

i ndern

 

Deshalb  

will

  

die

 

ORDO

Schule

 

den

 

Freihandel

  erneut   auf  

den

 

flexibelen

 

Wechselkurs

, 

den

  

Multirateralismus

 und  

die

 

freie

 

Bewegung

 

der

 

Arbeit

 und  

des

 

Kapitals

 setzen

§

3

Die

 

ORDO

Schule

 spricht  nich  

fUr

 

die

 

institutionelle

 

Integration

 sondern  

fUr

   

die

,,

funktionale

 

Integration

 

Nach

 

ihrer

 

Meinung

 stelle  sich 

diese

  mit  

der

  

marktmti β

igeren

 

LOsung .

 

Dagegen

 

lehne

 sich 

jene

 an autoritaten  

Harmonisierung

  

an

 

Die

 

ORDO

Schule

 

hat

 

die

inder

 

MachtUbung

 

lieber

   

Key

 

Words

freie

 

Bewegung

 

der

 

Arbeit

 und  

des

 

Kapitals

 

flexibeler

 

Wechselkurs )

 

題 設

  「オル ド

学 派 」 (

Ordo

−Schule

)とは

,1948

年に経 済 学 者の ワ ル タ

ー ・

オ イ ケ ン と法 学 者の フ ラン ツ

と が

し た

年報

r

ル ド

ORDO

)に

結集

い る

学 者集

団 によっ て今 も形 成 さ れて い る経 済 学の系 統をい う 『オル ド

』は

1948

年の創 刊 以 来

1994

*外 国学部

(2)

Hokuriku University

NII-Electronic Library Service Hokurlku  Unlverslty

2

鉢  野 正 樹 年の 時 点で四五巻を数え る。 「オル ド

』 四

数 年の み は,

戦後

西 ドイッ , そ して東 西 ド イ ツ統

後の

1990年

以 降は ド イッ史に重な る。

 

「オル ド

ー学派

」の

と して

三 っ の が指 摘で きる

 一

っ は

こ の学 派は年 報 誌

r

オル ド

』が 「経 済と社 会の秩

の た めの年 報 誌 」 (

Jahrbuch

fUr

 

die

 

Ordnung

 und  

Gesellschaft

題 として いることか らもわかる よ う に, シ ュ ン ペ

の用 語を借 りれ ば 「純 粋 経 済 学 」で な く

「経 済 社 会 学 」 の立場に立っ % 経 済と社 会と は, 人

生 活の

で密 接に関 連 して い る とい う認

をもち

,例

えば 人 間 生

物 質

面 は

経 済

, 精 神 面は社 会とい っ た人 間 生 活の二分 法は と ら ない 人 間 生 活の 両 面をバ ラン ス さ せ な が ら

問 題へ の接 近 をはかる。

例 を あ げれば, 年 報 誌 『オル ド

専 門 誌 る と , 数 式や図 表や図 式が極 端に少な い これ は, こ の 学 派が

間 生 活を物 質 面 と精 神 面の 両 面か ら 研 究 対 象に し て い る こ と と無

係で は な い。 オ イ ケ ン が経 済 政 策の原理 と し た 「

済 政

かつ 人

的で な くて はな ら ない 」2)

語 も , 「オル ド

と と も

社 会

物 質と ともに精 神を とい う 「経 済 社 会 学 」の立 場を端 的にあ ら わ して い る。

 

二 つ に, 「オル ド

結 集 す

学者

人 間に と

価値

に も に も か え が たい とい う価 値 観を共 有 する。 こ の価 値 観は, 自 由の最 大の敵が権 力で ある との共 通 認 識で

強化

さ れ る。

由とい うの は, こ の学

の共 通認

に とっ て は

,決

し て

きな よ う に,

き な こ と が, 好 き な と きに で き る とい っ た, 俗に い う身 勝 手をい うの で は ない 。 自 由の 濫 用とい う

現は

しば し ば権 力を もっ 方が

力を もた ない方の

ままな行 動を非 難 するときに

使

わ れる。 し か し,

力を もつ

の 振る う

が, その かげに

力 をもつ

ま ま な

行動

を か く して い る こと も見 逃 されて は な ら ない。 自 由の価 値は

権 力慄 然と し たに よ っ て発 見さ れ,

力の恐ろ し さを知 る

に よ っ て 認

さ れつ づ け てい る。

由 を,

力の

犯か ら守 る最 後の砦が

秩 序で あ る とい う共 通 認 識をこ の学 派はもつ 年 報 誌 「オル ド

』の誌 名 「

ORDO

序)

は, なに よ りもこ の共 通 認

を 鮮

に示 して い る。

 

三 つ に, 「オル ド

」 は

済 政

に三つ の 目

をもっ て いる。 そ れ は, 市 場を開 放 する

貨 幣 を 安 定 さ せ る

貿 易 を 自 由にすることの三 っ で ある3)。 以 上三っ の 目

,戦

後 西 ド イッ の

政 策の 基本

針で も あっ た こ の経 済 政 策は エ アハ ル ト によ っ て実 践さ れ 以 降 今日 に い た るまで変わ っ て いない% いず れの政 策 も 自 由を 目的とする と

こ の た め の

段と な る。 な ぜな ら,

市場

開放

する た めの

反独 占

カ ル テル

政策

は,

市場形

態 を

独 占市場

寡 占

市 場か ら競 争 市 場へ と移 行さ せ る。 こ の移 行が成 功 すれ ば

者に とっ ては経 済 活 動の 機 会 がふえ

消 費 者にとっ て も選 択の範

がふえ る。 これに よっ て

自 由の度 合 もふ え ること に な る。

 貨

幣 を安 定させ る政

政 府に よ る景 気 政 策 (例えば

財 政 支 出の増 加

減 税 政 策

中 央 銀 行の 国 債い上 げ, 低 金 利 政 策, 平 価の切 下げ な ど)に民 間の 経

活 動が過 度に期 待 し

また過 度に依 存 するこ とを防 止 する。 自 由は

自立の ない とこ ろで は育た な い。 政 府が

にな ればな る ほ ど民

経済活

か ら は自 由が失われる。 貨 幣 を安 定さ せる政 策は, 貨 幣に関 係 する政 府の裁 量 権を制 限し

政 府の民 間の経 済へ の過 度の干 渉を防 止 する。

 貿

易 を

由にすれば, 生 産

に は外

の 市 場へ の ア クセ ス が開か れ

こ れ に と もな う ビ ジネ ス ・ チ ンスが もた ら さ れ る。 消 費 者に とっ て も

外 国の商 品 とサ

ビ スが ふ える ことでそ れ だ け選 択の

が広め ら れ る。 さ らに

, 資

本と

労働

の移 動 も

由と なれ ば, 貿

の 自 由は

26

N工 工

Eleotronlo  Mbrary  

(3)

国際経 済の秩序とオル ド

学 派

3

度合

め る。   「オ ル ド

学 派 」の 三つ の経 済 政 策は, これら を国 際 経 済に適 用 すると市 場 統 合 と通 貨 統 合 と国

家統

合に矛

な く展 開で き る。 な ぜ な ら,

経済

と開

放経済

を と る国 民

経済

が た が い に 接 近 し あえ ば, 統 制 経 済 と封 鎖 経 済で は絶 対 あり え ない市 場 統 合と通 貨 統 合と国 家 統 合とは矛

な く成 立す る か らで あ る。 それほ ど,

統合

か らは,

相当

益が

期待

さ れ る。

かに,

統合

成さ せる に は

国 民

感情

や民 族 意

をは じ め

くの

障害

が あ る。 しか し, 近代 (

1500年 )

以 来いわ ゆ る国 民 国 家に よ っ て 分 断されて きた市 場や貨 幣や国 家そ の もの が

例えば

ド イッ とフ ラン ス の 市 場が統

さ れて ヨ

ロ ッ パ 市 場と呼ば れ

ドイ ッの マ ル ク とフ ラ ン ス の フ ラ ン と が統 合されて新 通 貨

ECU

と呼 ば れ

ド イッ とフ ラン ス と が統 合 されて

EU

(欧 州 連 合 )と

ばれ る よ うにな れ ば

その

りしれ ない  ヨ

統 合

「単

欧 州 議 定 書 」 (

1986

2

17

日 と

28

ン ブル グ とハ

で調

印)

市場

完成

を, 「

欧州

合条約 (

ト リ

条約)

1992

2

7

日, マ

ス トリヒ ト で調 印 )で通 貨 統 合 と政 治 統 合 を

それぞれ 目 標にする こと は周 知の こ とで ある。 「

」は,

国境検

問の

止を

めた

非 関税障

壁の

税の 廃 止はすで に

1968年

),単

の発 行に

えて の準 備

,共

経済

と して

労 働

境, 地域 開発

, 研 究

技 術 開 発

環 境に関 す る規 定 を 加え た

こ れに と もない

「欧 州 経 済 共 同 体 設 立 条 約

条約)

1957

3

25

マ で調

印)

に は

要箇所

条項

が加え ら れ た。 「

州 連 合 条 約 」で は

通 貨 統 合と して は欧 州 中 央 銀 行の設 立

通 貨

ECU

の発 行

政 治 統 合 と して は 「

州 連

」の

結成

交 政

, 共通

防衛政策

な ど が

規定

さ れ た。 これに と も なっ て

同 じくロ

マ 条 約の 改 正が行 われ た。

 

市 場 統

, 通

貨統合

統合

か ら

期待

さ れ る

統合

益は, 以

諸 点

か ら明かで あ る。

,市場

統 合

り入 れ が の で

くの

市場

の ア クセ ス と ビ ジネス

チ ャ ン ス を 可 能に し

消 費 者に とっ て も選 択の 範 囲 を 拡 大 する。 二 つ に

通 貨 統 合は

,旅

行 者に とっ て は煩 雑で あ っ た両

替,

替相場

定の た めに と ら れて き た国

間の 金 利の調 整

国 際 収 支の安 定の ため に必 要 と される貨 幣 発 行 (マ

サ プ ライ)の国ご との調 整な ど を不 用にす る。 三つ に, 政 治

統合

も,

交 と

防衛

が統 合さ れ れ ば

例え ば ド イッの

は フ ラン ス の敵, ド イ ッ の友は フ ラ ン ス の友と な っ て, 戦 うときに は共 同の軍 事 行 動 をと ら せる こ とにな る。

外交

防衛

財政

と が

統合

さ れ れば, ドイッ

連邦

が そ うであ る よ うに,

政治統合

は国 家 統 合とい っ て過 言で ない 国 家 統 合は 国 家 間の 対 立

紛 争 戦 争を回 避さ せ るの に最 も

有効

で ある。 国

家統合

が, も し

現され る な ら ばそ の

益 は

り し れな い 。

 

ロ ッ パ の

統合

につ い て は, 以上で述べ た よ うに 「オル ド

学派

,統合

よる利 益の いず れか らみて

オ ル ド

学 派 」に とっ て 異 論が ないはずである。 しか し

ロ ッ パ の

統合

の 現

動向

に関して は,

初期

の 「

石炭

鉄 鋼

(パ

V

条約)

1957

4

18

調 印 )か ら 「欧 州 連

条 約 (

ス トリヒ ト条 約 )」の今日に い た る まで 「オ ル ド

」か らの

批判

が た え ない   「オル ド

学 派 」は

EEC

か ら

EC

をへ

EU

パ の 統 合 を 推 進 し た立 場 を, 「制

度 的統 合

institutionelle

 

Integration)

こ れ に

して

らを 「

機 能 的 統 合

」 (

funktionelle

 

Integration

と呼ん で

自他

区 別をっ ける5冫 。 この 区 別 は

エ アハ ル トが

1954

年にパ で開かれた国 際 会 議で の 演 説い た もの で る% エ ア ハ 「欧 州 石 炭 鉄 鋼 共

(4)

Hokuriku University

NII-Electronic Library Service Hokurlku  Unlverslty

4

鉢  野  正  樹 同 体 」

 

を 例 に し て ,

 

各 国 か ら

立 し た

 

「最

高 機

関 」

 (

Haute

 

Autorit

6

) を 制 度 として 設 立 し

こ こか らの上 意 下 達 方 式で 統 合 をはか る の は誤 りだ と主 張 した。 エ アハ ル トの意 見で は,

国が

調 するの は, 企

自由

取引

で き る

国際市場

の環

境 (

国際

秩 序 )の形 成に と ど め, あ とは企 業の 自 由 行 動に ま か せ るのが よいとい

ことであっ た。 こ の 立

を, エ アハ ル ト は 「

機能的統合

」と

づ け た。

鉄鋼

の よ うな

投資

に密

に か か わ る産 業で は

企 業の 投 資 決 定が国 際 市 場の 価 格

存 するの か, そ れ とも 「最

高機

関 」の 計 画に依

するの か は

経 済 効 率を

め る上で重 要で ある。

 

エ アハ ル トと

同時代

の レ プケも, 『オル ド

10

号 (

1958

年)

欧州経済

同体 (

EEC

を 「欧 州 経 済 協 力 機 構 (

OEEC

)」と比 較 して

の よ うに論 じ た。

 

rEEC

が,

かっ ての

統合

の プ ラス を,

か っ ての

統合

の マ イ ナス に よっ て しか 買い取 れな かっ た とい う

統 合の閉ざ さ れ た形

の ま さに

型と な っ た とい うこ と

これに

して

OEEC

の例が教え ている よ う に

統 合の開 か れた形 態 は

橋 渡 しを し

結 び 付 け を し

門 戸を どこ に向か っ て も閉ざ して いない こと が, こ の研 究の主題であ る」 V)   この批 判の姿 勢は

「欧 州 連 合 条 約 」 後の ヨ

統 合 を 論 じ ル ド

44

号 (

199

3

年 )の ワル タ

ー ・

ハ ム の論 文に も う けっ が れて い る。 ハ ム は,

EC

行政機

関で あ る

EC

員 会に 占め る計 画 経 済へ の偏り を批 判して

の よ うに論 じ た。   「ヨ

ロ ッ パ へ の フ ラ ン ス の 計 画 主 義の 推 進と方 法に関して は

すで に

EEC

の は じめか ら激 しく厳しい論 争が あっ た フ ラン ス の

画 主

意 図

エ アハ ル トの

によっ て

成功

し な か っ た。 しか し

『産 業 政 策』, 『研 究 と技 術 進 歩 』

会 政 策』 などの標 語 によ っ て ヨ

条約

が くみ こま れてい る」8)   「オル ド

学 派 」は

決 して ヨ

統 合そ の の に反 対て い る の で は ない。 た だ, そ こ に い た る

方法

を唱えてい るの で ある。 こ の

学派

批判

の 理由を

明して ゆ け ば,

E

EC − EC − EU

へ い たる ヨ

ロ ッ パ の

統合

へ の認

を深め, 日

経済摩 擦

の 理

に も

立 ち

ア ジァ の統 合にも有 益な知 見が えられる こ と を期 待 して 以 下の論 述をす すめ ることにする。 二

  「

オル ド

ー学 派」

国 際 経 済

へ の ス

ン ス

  (

  自由貿

易 の 歴史   国 家が国 際 経 済にどの ように対 応 する か につ い て は, 保 護 貿 易と自由 貿 易の 二 っ の 立 場が あ る。 「オル ド

学派

」は,

自由貿易

の立

に立つ 。 それは,

戦後

西 ド イ ツ の経

済政 策

の基

本 方

め たエ アハ ル トの

貿易政策

 

 

関税

廃 止

 

  通

交換  

3

国 主

か ら 成っ て い た ことに よっ て も明かである9)。 こ の立 場は

第二次 大 戦が

1920

30

年 代の保 護 貿

失敗

に よ る という反

に基づ い て い る。 戦 後の, 特に

1960

年 代の世 界の経 済 発 展は, 自 由 貿 易の結 果である とい う 認 識 は広 く支 持 さ れてい る。 しか し,

貿易

は, 理

と して もす ぐれ,

実践

で も

成功

の歴

を もっ にも か か わ らず,

と して

貿易

によっ て くっ が え さ れ, あ るい はま きか え さ れつ づ けてい る。

1970

代に は

発 展 途 上 国の国 益 保 護の要 請か ら

また

,1980

年 代 後 半に は先 進工業 国の間で も特に ア メ リカの

国際収支

均衡

か ら

保護貿易

へ の 旋 回が生じてい る。

28

N工 工

Eleotronlo  Llbrary  

(5)

国 際 経 済の秩 序とオ ル ド

学 派

5

 エ ル ン ス ト

ボ イ ス の 『オル ド

11

号 (

1959

年 ) 掲 載の論 文は

パ で 自 由 貿 易が 盛んで あっ た

19

世紀半

ば を む し ろ

特殊

時代

で あっ た と

位置

づ けてい る 】°) 。 ホイ ス は

19

紀 半ばは中 世に形 成 され た制 度 的 束 縛を最 終 的に

掃 し た時 代で あっ た とい う1%  こ の 結 果

人 間の活 動は

に わ たっ て解 放さ れ た が

自 由 貿 易 も

こ の よ う な中

制度

か らの 解 放 の

環と して位 置づ け られ るべ であるとい う「2〕 。 ホイス の見 解を

以 下で紹 介 して おこう。

 

19

世紀

とい う

代は

ロ ッ パ 封 建

時代

りで あり

個 人の解 放 と

貿 易

由の 時 代 で あ っ た。

19

世 紀の半ば には, ヨ

ロ ッ パ で中 世の最 後の遺制が とりの ぞ か れ た。 ド ナ ウ王 国 で の農

解 放や ッ ン フ ト組 織の廃 止が思い出さ れ る。

業の 自由が

経 済 活 動の

原 則とな っ

た。 この ような

19

世 紀 半ばの 展 開は, 非 制 度 化の 過 程 (ein 

Proze

β

der

 

Entinstitutionalisierung

と呼ぶ に ふ さ わ し い。 こ れは個 人が

世 紀に もわ た る束 縛か ら解 放されて

, 自

固有

経済

的 展

の ため に

由 をかちとっ た

時代

で あっ た こ れ は

の歴

において

未曽有

の ことであっ た」13)

 

ホイス が人

類史

上,

未曽有

現 し た

貿易

の 時 代 は

し か し長く続か な か っ た。 こ の

につ い て もホ イ ス の見 解を紹 介 しよ う。

 

19

世紀

の半 ばに は,

貿易

国際的

レ ベ ル で生 産

要素

適 配

を もた らすとい う

題 は完 全にあて は まっ た 生 産 要 素の 利 用が人 為に よ っ て歪め ら れず 自然の 摂 理に よ っ て の み

め られ た。 し か し

今日か ら回

し て み る と,

19世紀半

ばは,

中世

束縛

世界

か ら現

代 国

に よ る生 活の

制度化

じ る までの

な る

移行 期間

に過 ぎ な か っ た

中世

束縛

わっ て 国 家の束 縛 (国 家 干 渉 )が は じ まっ た か らで ある」14) ホ イス の

見解

に し た が えば,

貿易

国際経済

秩序

と して

実践

さ れ た歴

保護 貿易

に 比べ るとき わめて短い。 保 護 貿 易は

カ ン テ ィ リ ズム の時 代に実 践 さ れ たの で 約三百 年

1500

年頃

1800

年 頃)

の歴

をもつ 。

保護貿易

の理

は,

国家

を 豊か にするの は金 銀の

蓄積

であ り, 金 銀の蓄 積は貿 易 差 額によっ て決 ま る と説 く。 貿 易 差 額を ふ やすた めの典 型 的な貿 易

政策

は,

関税

で あっ た。  ス ミ スは, マ

カン テ ィ リズム の 保 護 貿 易を厳 しく批 判 し た 15) 。 ス ミス に よ れ ば, 貿 易 差 額 に よ る金 銀の蓄 積は国 家を豊か に せず

物 価を高 くするだ けで ある。 金 銀の蓄 積は

,貨

幣 供 給 をふや し

子 を 下 げるの で生 産

に とっ て

有利

にな る と

指摘

さ れ ることには な る が

価 も高 くする。 物 価が高 くな れ ば

輸 出がへ り輸 入が ふ え るの で

再び貿 易 差 額はへ り

金 銀の

蓄積

も失われる。 こ の た め,

貿易

はス ミス に よれ ば

国家

を 豊 かにするの で な く,

物価

によ っ て

消費者

生活

しくする だけであ る。 さ らに, 貿 易 差 額を ふやそ うと して関 税 を 高 くす れ ば

得 を するのは外 国の生 産 者 との競 争 か ら守 られて独 占 的に国 内 市 場 を 支 配 する生 産 者だ けであ る。

消費者

は,

国か らの 供

い 関 税でせ き と め ら れ るの で, 高い価 格を まぬ がれない。

 

ス ミ ス のマ

カ ン テ ィ リ ズム の

批判

返せば,

自由貿易

の 理

にな る。

貿易

をな くし て 貿 易 均 衡

践 すれ ば

金 銀の蓄 積によ る物 価の騰 貴は起 こ ない。 物 価が安 定 す れ ば

消 費 者の生 活は安 定 する

高い関 税 を な くす れ ば

外 国か らの

供給

の 増 加に よっ て

消費者

に は 安い価 格が あ ぐ ま れ る。

 

ス ミス の 自 由 貿 易の理 論は

以 上で わ か るよ うに生 産

よ り は

消費者

に とっ て受け入れ や す い理論であ る。 これ は反 面, 生 産 者にとっ て は受け入れ に くい理論で もある。 これ に反 して

(6)

Hokuriku University

NII-Electronic Library Service Hokuriku  University 6 鉢   野   正   樹

貿易

の理論が,

貿易

の理

につ きま と う生 産

に不 利という欠

い てい るこ と は 否 定で き な い た だ し, 生 産が消 費の た めに あり, 経 済 活 動の 目的は生 産でな く消 費にあ るこ とが明かで ある以上

理論と して はス ミス の方がマ

カ ンティ リズム よりはすぐれて い る。 そ こ で,

貿易

え る二

支柱

であ る金 本 位 制と比 較 生 産 費 説 を, 以下で

概説

してみ よ う。

 

(二 )

 

自 由

貿

易を 支え た金

位 制   国 家が金 本 位 制を採 用 する と

定量 の金は

定 量の貨 幣と交 換さ れ る。 例え ば

日本 とア メ リカ の 二 国 を 仮 定 す れ ば

日本で は

1

オ ン ス の金が

100

円に

ア メ リカ で は

1

ドル に とい う よ うに

換 さ れ る。 この

合, 日

とア メ リ カ との

貨幣

交換

比 率は同じ

1

オ ン ス の金をベ

ス にする と

購 買 力 平 価 説の い うよ うに

1

ドル =

100

円に な る 。 日

とア メ リカで

商 品やサ

ビス が

貿易

さ れ る と き,

入さ れ た

品やサ

ス の

支払

, 金を輸 送 する よ り為 替の 発 送 によ る

便利

であ る。 為

の需 要は, 相 手の商 品や サ

ビス へ の需 要と と もにふ え

逆 に為 替の 供 給は商 品やサ

ビス の 供 給によ っ て ふ え る 。

 

この た め,

え ば 日

が ア メ リ カ か ら より多 くの商 品やサ

ビ ス

入 する と

支 払 に必 要な ド ル為 替が供 給 を 需 要が上ま わ るの で値 上が りする。

1

ド ル =

100

円の ド ル為 替が

え ば

1

ドル

120

上 がりす 。 し か し, 金

本位制

で はこの よ う な

為替

相 場 は持 続 しない な ぜ な ら

日本の輸 入 業 者は

120

円だ して

1

ドル の ドル 為 替 を 買 っ て ア メ リカ の

出業者

1

ドル の

支払

いを するよ は, 日

中央銀行

100

円 をだ して

1

オ ン ス の 金に

え, これ をア メ リ カに

輸送

す る

だ か らであ る。 ア メ リ カの

輸 出業者

で は

日本か ら送ら れて きた

1

オ ン ス の金 をア メ リカ の 中 央 銀 行に もっ て いけ ば

1

ドル をえ られるから,

1

ドル の ドル

為替

を送ら れ るのと

わ り が ない。   金の輸 送 費と して

仮に

1

オ ン ス

10

円を要 し た と して も

日本の 輸 入 業 者 は

110

円で

1

ド ル

当の

支払

いが で きるのであるから,

120

だ して ドル

為替

支払

うよ りは

で あ る。 この た め,

替に金の輸 送が代 替 さ れるの で

ド ル と円との交 換 比 率は上 限で輸 送 費 を 入 れて も

1

ドル =

110

ま で

120

が ら な

 

以上の 関 係は, ア メ リ カの 方が 日本より商 品やサ

ビス を より多 く購 入 する と き は 日本の 方 に輸 出の超 過が生 じて

先の例とは逆に

ドル為 替が

1

ドル = ・

100

円よ は下 落

, 例

80

円に

下が りする。 こ の

場合

, 日

輸 出業者

はアメ リカから

1

オン ス の金 を

輸送

して も らっ た

1

ドル の ドル

為替

を送っ て もらうよ り も

ドル 為 替で は

80

円な の に

金で は

100

円 を 受 け取 れるので得である。 輸 送 費 と して

1

オ ン ス 当り

10

円 支 払 っ て も

金の

送で

90

円 受け

が,

1

ドル

為替

80

円 受 け 取る よ りは得で あ る。 こ のた め, ドル為 替の下 落 も下 限で は

金の輸 送で 代 替されるので

1

ドル

90

円 以 下に は下が ら ない。

 

こ の よ うに, 金

本位制

で は, 為 替 相 場は輸 送 費

10

円を無 視 すれ ば

1

ドル

100

円の固 定 相 場 が

現 する。 以 上の こと か ら わ か る よ うに

金 本 位 制は為 替 相

を 安 定させ るには

め て

効 な制 度で ある

それ だけで なく

上 記の で も明か な よ うに

金の

商品

とサ

ビ ス の

過 の国か ら

輸 出超

過の国へ と移 動 する。

般に

商 品と貨 幣が逆 方 向に移 動 す るよ うに

金 も輸 入 超 過の国か ら輸 出 超 過の国へ と商 品

ビス とは逆 方 向に移 動 する

こ の ため

出超

過 の で は金の

増加

に と も な う

貨幣発

行 (マ ネ

サプライ)の増 加によ っ て物 価が高 くな り

逆に輸 入 超 過の国では物 価が低 くな る。 こ の結 果

商 品とサ

ビ ス の方 向は

金の移 動の

30

N工 工

Eleotronio  Library  

(7)

国 際 経 済の秩 序と オル ド

学 派

7

効 果に よっ て輸 入 超 過の国か ら輸 出 超 過の国へ と逆 転 する。 これによっ て, 国 際 収 支の均 衡は

動 的に回

さ れ る。 金

本位

制は

為替

定に とっ て も

際収支

均衡

の 回

に とっ て も, 実に理想 的な国 際 経 済の 秩 序とい え る。

  (

か よっ た国

間の

貿

易の利益

 

絶対

生 産

  貿 易 国を イ ギ リス とス ペ イ ン の二国と し

貿 易 品を小 麦 と ブ ド

酒の 二 品 目と仮 定 す る16) 。 イギ リス の

小麦

内の ブ ド

に対して も, ス ペ イ ン の

小麦

して もいずれに

して も

位 という意 味で, 絶 対 優 位と仮 定 する。 ブ ド

酒につ い て は, ス ペ イ ンのブ ド

酒が ス ペ イ ン

内の

小麦

して だけで な く イギリス の ブド

して も優

とい う意

で,

絶対優位

で あると仮 定 する。

 両国

貿易

が な い

は, イギ リス が

小麦

労働 1

2

, ブ ド

1 人当

1

単位

それ ぞ れ生 産 する と仮

し よ う。

小麦

とブド

酒の

1

単位

価値

を もっ と

仮定

す れ ば

イギ リスで は労 働の生 産 性が

小 麦が ブ ド

酒の

2

倍と な る。 生 産 費 は生 産 性の逆 数で あるか ら,

小麦

は ブ ド

と な る。

生産性

生産費

の い ずれ を と っ て も, イ ギ リス で は小 麦は ブ ド

酒に対 して比 較 優 位で ある。 同 じ よ うに

ス ペイ ン で は ブド

酒が労 働

1

人 当 り

2

単位

小麦

1

位を生 産す る と

仮定

し よ う。 そ うする と

ス ペ イ ンでは イ ギ リスと は逆 に, ブ ド

酒が小 麦の生 産 性の

2

倍と な り生 産 費が

と な る。

 

もし

両国

貿易

が ない と,

小麦

につ い ては イギリス とス ペ イ ン

両国

あ わ せ る と

労働

2

にっ い て

3

単 位, ブ ド

酒にっ い て も労 働

2

人につ い て

3

が生 産される。 も し

イ ギ リス で

小麦

内の ブ ド

酒よ り

ス ペ イ ン の小 麦よ り絶 対 優 位で ある ので

ブ ド

酒の生 産 をゼロ に して

1

労 働

小麦

移動

さ せ れ ば , イ ギ リス の

小麦

2

単位

か ら

4

単位

へ と倍

す る。 同 じよ うに

ス ペ インで も

ブ ド

酒が絶 対 優 位で るので

小 麦生 産 をゼ ロ して ブ ド

の生

労働

移動

さ せ れ

ブ ド

の 生

2

単位

か ら

4

単位

倍増す

。   こうすれ ば, 両 国 あ わせて

3

単 位の小 麦は

4

単 位 とな り

3

単 位の ブ ド

酒は

4

単 位 とな る。 こ の上で

両 国が貿 易 すれば

,例

えば, イ ギ リスは生 産 し た

4

単位

小麦

の う ち

2

5

単位

して, ス ペ イ ンに

1

5

位 輸 出 すれ ば よい。 そ うすれ ば

イギ リス は貿 易な しの

2

単 位よ り小 麦の消 費を

O.

5

単 位

ス ペ イ ン も

1

単 位より小 麦の 消 費を

0

5

単 位そ れぞ れふやすこ とに な る。

じ よ うに

ブ ド

酒 もス ペ ンが生 産 し た

4

単位

の うち

2

5

単位

して

1

5

単位

を イギ リス に輸 出 す れば

ス ペ イン は貿 易な しに比べ る と

2

単 位 より

0

5

単 位

イギ リス で も

1

単 位 よ り は消 費 を

O

5

単 位そ れ ぞれふ やすこと になる。   も しこ の通 りに な れ ば

イ ギ リスが小 麦を

スペ イ ン はブ ド

酒を分 担 して生 産 し

両 国の

国際

分 業が成 立 する。 こ の

結果,

で いえばイギリス の

労働

の 生 産

は,

労働

が ブ ド

酒か ら小 麦に移 動 することで, ブ ド

酒の労 働の

1

単 位か ら小 麦の労 働の

2

単 位へ と増 加 する。 こ の ため

生 産 要 素の適 正 配 分が

現 する。 貿

に よっ て

小麦

ブ ド

と も に

合計

す る と

3

か ら

4 単

位へ 増 加 すの で, 貿 易によ っ て生 産 も増 加 し たことに なる。

 

(四) 経 済 段 階の 異なる 国家 間の

貿

易の利益

 

比 較生

産費

 

絶 対 生

産費

説は

レ ベ ル の似か よ っ た国 家 間の貿 易の利 益 を 説 明 する。 これに対 して

生 産 費 説は

条 件 設 定 を 拡 大 して

国家

間に

経済段 階

が あっ て も そ れ ぞ れの

国内

で比較

(8)

Hokuriku University

NII-Electronic Library Service Hokurlku  Unlverslty

8

鉢  野  正

劣位

の 産

か ら比

産業

産資源

移動

さ せ

較優位

産業

で生 じ た

余剰

を 貿 易に よ っ て交 換 しあ う方が

貿 易のない よ りは利 益が ある こ とを証 明 しよう とする。 そ こで

の モ デル の

数値

を比

産費説

に あ わせ て

変更

し, 比

生 産

費説

明を し よ う 1

  比 較 生 産 費 説で は, 国 家 間に経 済 格 差を設 けるの で, 小 麦と ブド

酒の生 産につ い て

いず れの生 産で も,

えば

経済段階

いス ペ イ ン の

が, イギリスよりは

れて い ると

仮定

し よ う。 例と して, イ ギ リス では

麦が労 働

1

人 当 り

4

単 位

ブ ド

酒が労 働

1

人 当 り

2

単 位 生 産 さ れ ると

仮定

し よう。 ス ペ イ ン で は,

小麦

労働 1 入 当

6 単位

, ブ ド

1

8

単位

生 産さ れ る と

仮定

し よ う。   こ の仮 定で は

ス ペ イ ンは小 麦で も

ブ ド

酒で もイ ギ リス の生 産 性を上 回 っ て い る。 これ を, ス ペ イ ン は イギリス よ りも

経済段階

で は ま さっ てい ると

解釈

し よう。 比

生 産

費説

は, こ のよ うな場 合で も, 国 内の比

優 位の生

生産

要 素を移

さ せて

比較優

位の

生 産

を増 加 し, 余 剰 生 産 をた がいに輸 出

輸 入 する方が有 利であると説 明 する。 例 え ば

イギリス のブ ド

酒 の

をゼロ に して, 労 働

1

を小 麦に移 動さ せ れ ば, イ ギ リス の

小麦

の 生 産は

8

単 位と なる。 ス ペ イ ンの 方で も

こ の理 論の意 味 を鮮 明にする ため に小 麦の生 産をゼ ロ し な

労働

0

5

人 だけ

移動

するこ とで

数値

え る と,

小麦

3

単位

, ブド

ー酒

12

単 位

生 産 さ れ ること にな る。 生 産 要 素の移 動によ っ て

両 国の小 麦と ブド

酒の生 産に は

以 下のような変 化 が 生 じ るD   貿 易のな い場 合には

両 国あ わ せて小 麦は イ ギ リス

4

単 位とスペ イン

6

単 位

10

単 位

ブ ド

酒 もイ ギ リス

2

単 位 とス ペ イ ン

8

単 位で

10

単 位で ある。 労 働 を 移 動させた

結果

,小麦

は イ ギ 1 丿ス

8

単 位 とスペ

3

で合わ せて

11

位と なり, ブ ド

酒は イ ギ リス

0

単 位とス ペ イ ン

12

単 位で合わせ て

12

単 位 とな る。 こ の

例えばイ ギ リス で は生 産された

小麦

8

単 位中

3

5

単位

をス ペ ン に

輸 出

し,

4

5

位 残せ ば

貿

易を し ない と きの

4

単 位に比べ る と

O

5

単 位だ け 小 麦をよ り多 く消 費で きる こ とにな る。 ス ペ イ ン も,

6

単 位か ら

6.5

単 位と

0.

5

単 位だ け

費で きる。 ブ ド

ンで生 産された

12

単位中

3

をイギリス に

輸 出

9

位を残せ ば

貿 易 し ない と きの

8

単 位に比べ て

1

単 位だけよ り多 く消 費で き る。 イ ギ リス で も

, 2

か ら

3

単 位と

1

単 位だ け

く消 費で きる。

 比較

生 産 費

の モデ ル で も, 貿 易さ えすれ ば イ ギ リスは

麦に, スペ インは ブ ド

酒にとい っ た国 際 分 業が成 立 する。 労 働の生 産 性 も

イギ リス の ブ ド

酒の労 働は小 麦に移 動 して

2 単 位

か ら

4

単 位へ , ス ペ イ ン の

小麦

の 労 働 もブ ド

酒に

移動

して

6

か ら

8

単 位へ と増 加 する の で

資 源は有 効に利 用され る こ とに な る。 貿 易に よ る生 産 効 果 も

両 国あわ せ て小 麦

10単位

か ら

11単位

, ブ ド

10

単位

から

12

単位

と上 昇 してい るの で

,経済

成 長へ の プ ラス の 効

も 証 明さ れ る。 比 較 生 産 費 説は

以上の ように貿 易の利 益を  (

1

)貿 易は

消 費を増 加さ せ る。 し た がっ て ,

民 所

を 増 加させ る。   貿

は, 生 産 を 増 加 さ せ る。 し た が っ て

,経済成長

を 高 くす る。 (

3

)貿 易は

資 源の利 用を有 効にする。 し た が っ て

資 源 配 分を適 正にする

と 三 点に わ た っ て証 明 する   (五)  自 由 貿 易は価 格 効 果 を 保 証 す る が 雇 用 効 果 を 保 証 しない

 自由貿易

は, 以 上の ように ス ミス の 理

で も,

金本位制

で も,

比較生産費説

で も 理

と して はす ぐれて い る。 た だ し

理論と してす ぐれて い る自 由 貿 易 も

そ の利 益を確 実にする た めの 32 N工 工

Eleotronlo  Llbrary  

(9)

国 際 経 済の秩 序とオ ル ド

学 派

9

条 件が

に備え ら れ る か とい う とそ うで は な い。

 

例え ば

定相場制

移動

が あ れば

自動的

維持

さ れ るの で理 想 的な

制度

で あ る が, 金 本 位 制 が 廃 止 さ れた今日で は自 由 貿 易の条 件と は ならない。 比 較 生 産 費 説にっ いて も

国 家 間 の 資

労働

動は

前提

に して い ないの で

,資本

と労

の 移 動が 自 由 とな りっ っ あ る今日の 国 際 経 済におい て経 済 段 階に格 差のある国 家 間ではあて は ま らない。 ス ミス の理 論にっ い て も

間で

入 を双方と もに増 加さ せ る との合 意が な け れば 無 条 件で は成 立 し ない   自 由 貿 易をス ミ ス の理 論で再 検 討 する と,

確かに

貿 易 差 額を な くして貿 易 均 衡へ 転 換 せ れ ば,

入がふえ国 内の

供給

が増 加 するので

,価格

が下が っ て消 費 者へ の 価 格 効 果は保 証さ れる。 しか し

こ の反 面 輸 入が ふ え ることで, 国 内の生 産 者によ る供

が国 外か らの 生 産 者の

供給

に よっ て 代 替 さ れ る の で 輸 入が ふ え た商 品な り

業 種な り

産 業な りで は雇 用がへ ら さ れ る こ とにな る。 ス ミ ス は, こ の よ うに して生 じ る産

業構

造の 変 動は

国 内の

商品

な り

業 種な り

産 業な りの雇 用の増 加によっ て補正 さ れるとい う。 し か し

こ の補正 がス ム

ズ に さ れ る ために は,

入 増 加が, 必ず

輸 出

増 加に よ っ て カ バ

は な ら な 。 し か し

輸 入の増 加が輸 出の増 加に よ っ て カバ

さ れるとい う保 証はない。

 

供給

が増 加 する ケ

ス と して は

輸 入と よ く

た効 果は

独 占市

放さ れて競 争 市 場に移 行し た と きにあ ら わ れ る。 独 占 企 業の 供 給 制 限が解 除さ れ れ ば, 競 争 企 業によ る供 給 の

増加

込まれ る か らで あ る。 し か し

こ の

場合

に は

供 給の増 加にと もな う生 産の増 加や 雇 用の

は,

国外

では な く

内におい て生じ る。 これに反 して

輸 入が

加 する

場合

に は, 国 内で の 供 給の増 加で増 加 する の は

国 外の生 産で あ り

国 外の雇 用で ある。 こ の た め

ス ミ ス の 自 由 貿

の 理

に し た が っ て

貿易

を 解

して

入 を 増 加させ る と

, 消費者

の ため の 価 格 効 果は保 証されるが

生 産 者のた めの雇 用 効 果は保 証 さ れ ない。

 

し た が っ て ス ミス の

自由貿易

に は 「半 分 真理」

Halbwahrheit

) とい うべ き欠

が あ る。 自 由 貿 易が理 論 と してはす ぐれて い るの に, 実 践で は保 護 貿 易に し ば し ばくっ が え さ れ るの は こ の た あである。

 

由貿

易が その 固 有欠 点を克 服 するに は, 二 っ の条 件が必 要であ る。

っ は, 輸 入

過の 国か ら輸 出超 過の国に資 本と労 働が移 動 する よ うな

秩序

をっ くるこ とで ある。 二っ は

輸 入の

加が

に起 こ るよ う な

秩序

をつ く るこ とであ る。

貿 易

加す るすべ て の

国家

が輸 入 を

斉に増 加さ せ れ ば

輸 出の増 加 も同 時に起こることにな る。

 第

後の世 界

経済

秩序

を検 討 して み ると,

GATT

IMF 体

制に は

貿

易 を

入 の

拡大

によっ て

建 する方

が, ヨ

ロ ッ パ 共 同 体には自

由貿

易を

資本

と労 働の移

によっ て維 持 しよ う とする方 向が見 受け られる。 ま ず

自 由 貿 易 を 輸 入の

斉 拡 大に よっ て再 建 しよ うと し た

GATT

IMF

体 制か ら

検討

してみ よ う。 三

 戦 後

国 際 経 済

へ の

ドー 学派

の ス タン ス

 

) 国 家 間の対 立 が 自 由 貿易を 崩 壊 させた

の 反省

 

輸 入を ど れ だ け ふ や して も

輸 入 代金 を

支払

え る だけの輸 出がで き る な ら国 家にとっ て 輸 入 を制 限 する理 由は ない。 しか し

,一

旦 国 家 間に対 立が生じ て し ま うと

相 手 国 家に利 益 とな る 輸

に門 戸を開く

国家

は ない こ う して, 国

斉に輸 入を制 限 し は じ め る と, 輸

の 門 戸

(10)

Hokuriku University

NII-Electronic Library Service Hokurlku  Unlverslty 10 鉢  野  正   樹 は

ざ さ れ る。 しか し,

輸出

封鎖

え が たい と

断さ れ る と き,

1

1914

18

)と第

2

次 大 戦 (

1939−

45

)との戦 間 期の よ うな ブロ 経 済形 成る。 貿 易が した い

相手国家

か らの

に は

特別

を認め

立 する国 家か らの 輸 入に は差 別

的高

関 税に よっ て

入を阻 止 する これは ブロ ッ ク経 済の 内 部だ けで貿 易の利 益を

ろ う とするもの で あっ た。 しか し

イギ リス を 中 心 と するポ ン ド地 域

ア メ リカを 中 心 とする ドル地 域

フ ラン ス を

心と す るフ ラン 地

な どの ブロ ッ ク経 済の形 成は, これ ら地

民 地を も た ない ドイ ツ

イ タ リア

日本な どの国 家 との

立 を

層 深め る だけで あっ た。

 

オ イ ケ ン は,

間 期に

じ た世 界 経 済の こ の よ う な

態を 「

1930

代の

失敗

」と名づ けて い る。 戦 後の国 際 経 済の再 建は

オ イケ ンの い う 「

1930

年 代の失 敗 」 を 反 省 することか ら

発し た。 「

1930

代の失 敗 」とい う オ イ ケ ン の認

は, 広 く み ら れ る認

で あ る。 た と え ば, 志 田 明は

1930

年 代の国 際 経 済にっ い て, 以 下の ように述べ てい る。

 

1930年代

世界的

な大

況に

対処

して,

くの

ぐに には,

輸入制

限や

関税 障

壁の

強化

あ るい は

為替切

下げ な どの 近

隣窮

乏化

な政 策を

用し た が

それは他 国の

復 的な貿 易

置 を 誘 発 し

世 界 貿 易は縮 小 し

世 界 経 済は崩 壊の危 機に瀕 した。 こ の ような苦い 経 験か ら

2

次大戦後

生ま れ たのが,

国際

金 (

IMF

)ガ ッ ト

GATT

(関 税 と貿

に関 する

般 協 定 ) で ある」18)

 

ヨ セ ブ

モ ル スバ

ロ ス

コ ティ オスも,

1920

年代

30

年代

経験

戦後

の西 ヨ

諸 国生 か され たと を 『ル ド

』 第

41

巻 (

1990

年 )で

以 下の ように述べ い る。

 

「多 くの西 ヨ

ロ ッ パ

国の エ リ

ト達は

自 国の

給 自足 体 制 と孤 立 主

と を緊 密な政 治 的 経 済 的 協 力に よ っ て 克 服 しよう と した。 戦 間 期 中の世 界 経 済の

足 体 制

, 自国

の 全

義 的国家体制

戦争経済

に よ る

否定的経験

自由

体制

まりに

役立

っ た」 19)   「

1930

年 代の失 敗 」の原 因は

,19

世 紀の終 りか らは じまっ てい た イギ リス を とり ま く

フ ラ ン ス, ド イッ

ア メ リ カ な ど に よ る

民 地を め ぐ る

国家

間の

立にあ っ た。 イ ギ リス は

18

世 紀 の半ばに は じまる産 業 革 命に よ り

, 19

世 紀の半ばまで は他 国 を 引 き 離 してい た が

,19

世 紀の半 ばに は, フ ラン スや ドイッやア メ リ カの 工

業水準

も イ ギ リス に

づ い た。 この

果, 列 国の関 心はおた が い の貿 易で利 益 を あ げるよ り

原 料と市 場と住 居 を 約 束 する植 民 地の獲 得へ と移っ て い っ た 。 こ う して生 じ た

経済紛争

を,

武力

解決

しよ う と し たの が

1

で あ っ た。 し か し, 問 題 は

戦争

で は

解決

さ れ な か っ た。

1

次大戦後

に も

され た

国家

間の

立を抜 きに して は

上 述の志 田 明

ヨ セ ブ ・ モ ル ス バ

ロ ス ・ コ テ ィ オ ス の い う 「近

隣窮

」や 「

自給 自足体制

」や 「

立主

」な どの

行動

は説 明っ か な い 国 家 と 国 家 との対 立が

各 国に保 護 貿 易の立 場 を と らせ たの で ある。

  国家

貿易

によっ て

経済

を深め れ ば深め る ほ ど レ プ ケの い う 「

市場

価格

と支 払の 共 同 体 」 をっ り出 すm) 。 国 内 経 済 として 日本を例にす れば

北 は北 海 道か ら南 は沖 縄まで

域性

など を

け ば テ レ ビ な どの

商品

は どこ の

市場

で も

買さ れ, 同じ

品は原 則 と して同

価 格で売

さ れ,

支払

い も円とい う

単一

貨幣

で されて い る。 この ように

国 内 経 済で は

市 場 も

価 格 も

貨 幣 も

っ で あっ て

北 海 道 と沖 縄で は別々の テ レ ビが売られる別

市場

も そ れ ぞ れ別

の価 格

支 払いも別

貨幣

とい うこと は ない こ のた め

国 内 経 済は完 全に レ プケの い う 「市 場 と価 格 と

払の共 同 体 」である

同じよ うな 「市 場 と価 格

34

N工 工

Eleotronlo  Llbrary  

(11)

国際経 済の秩序と オル ド

学 派

11

と支 払の共 同 体 」は

経 済 関 係を深め た国 家 間で も実 現され る。 確かに

異な る国 家の間で は

貨幣

に は な らない

通 貨 が 自 由 交 換されると きは

, 自国

他国

簡単

に か え れ るの で

, 自

国の通

売買

するの と

国の通

旦両

して

買 するこ との差は

き くない

「市 場 と価 格 と支 払の共 同 体 」は

国 民 経 済 だ けに で な く

国 際 経 済に も実 現 される

 

し か し

1930

年代

失敗

」は

,世界恐慌

契機

と して ヨ

ロ ッ パ の国 家 間に

19

紀の

ば に形づ く られて いた 「市 場 と価 格 と支 払の共 同 体 」 を 決 定 的に崩 壊さ せ た。

1931

のイギ リス の金

本位制

か らの

離脱

が, こ の

崩壊

象徴

し た。 国

際経済

か ら金

本位制

が失わ れ たこ と は,

り知 れない損 失であっ た。 金 本 位 制 こ そ が国 家 間の経 済 関 係 を 深め させ

「市 場 と 価 格 と 支 払 の

支柱

で あ っ た か らで あ る

 

た とえ て い え ば

キ リス ト

に よ っ て統

されて い た ヨ

ロ ッ パ が

,宗

教 改 革に よ っ て統

の支 柱 を失 っ 国 民 国 家とい う政 治 単 位へ と分 裂し た よ う

金 本 位 制 を 失っ た国 際 経

も統 合の支 柱を失っ て

再びマ

カ ン テ ィ リズム の 時 代にあっ た ように分 断さ れ た国 民 経 済を経 済 単 位に させ るこ に な っ た。 こ の結 果

保 護 貿 易に よ る国 家 間の対 立が深ま っ た。   (二 ) アメ リカを 中心 と した輸 入 拡 大 と固 定 相 場 制へ の

GATT

IMF

体 制   こ の よ うに して, 戦 後の 国 際 経 済は, 金 本 位 制に代わ るい かな る国 際 経 済の 新た な秩 序をっ くり出 すかの問 題に直 面し た。 戦 後

ア メ 1丿力を中 心に形づ くられた

IMF

GATT

体 制は こ の 問 題へ の

っ の 回 答であっ た

 

IMF

体 制は

1944

4

月ニ シ ャ

ッ ズで 連 合 国

44

ケ国 の代 表 に よ っ て

かれた戦 後の国 際 経 済の 再 建 を 討 議し た会 議に は じ ま る こ の会

IMF

と 世 界 銀 行の設 立の草 案が作 成さ れ た。 ブレ トン ウ ッ ズで の会 議につ づ い て

1947

11

月に はキュ

ハ バ ナ で

53

代 表に よ る

国際

貿

建 を 討 議 す

か れ た 。 ハ バ ナ

議で の国 際 貿 易の原 則 は, 関 係 国 家の批 准を受 けら れ な か っ た が,

1947

10

月に調 印 さ れ た

GATT

の 中に その

神が

り入 れ られた。

  IMF

GATT

体制

は,

戦後

の 国

経 済に 「

1930

代の

敗 」 と 「

界 大 戦 」で

わ れ た 自 由 貿 易を復 興さ せ

国 際 経 済の統 合を再 生さ せ る こと を目 的に した。 自 由貿 易の復 興 とは

レ プケの用 語で い えば 「市 場 と価 格 と支 払の共 同 体」 を

びつ く り

すこ とに

な ら ない

IM

F

GATT

と が

いか に して 自 由 貿 易を国 際 経 済の秩 序と して 再 建 し よ うと し た か を

そ れ ぞれの条 文に よ っ て み ると

以 下の ように な る。

 

IMF

自由貿易

を,

為替 相場

安定

さ せ ること と, プ

ル し た

資金

を国 際

支の悪

に よ る輸 入 制 限 措 置 を しない よ うに供 与 すること との両 面 か ら維 持 しよ うと したこ とは

以 下の条

に よっ て

かで あ る

 

「為

安定

を促 進し

加 盟 国 間の

秩序

あ る為

取 極を維 持 し

及び競 争 的 為 替 減 価を防 止 するこ と」 (

1

iii

)項 )21)

 

「適

証の

に基

資 金を

時的

に加 盟 国に利 用さ せ

こ のよ うに して 国 内 的 又 は国 際 的な繁 栄 を 破 壊 するよ う な措 置に訴え ることなし に国 際 収 支の失 調 を 是 正 する機 会 を 提 供す るこ とによ り,

盟国に

を与え ること」 (第

1

条 (v)項 ) za)

 GATT

が関 税を軽 減 し

ブロ ク経 済 を 阻 止 する た めの差 別 待 遇の廃 止 と, 最 恵 国 待 遇の すべ

国家

へ の

拡大

によ っ て

自由貿易

興 し よ う と し た こと も 以 下の条 文によ っ て明か

参照

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