第11号
第11号
第11号
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家庭系廃食用油回収システム等
構築実験にみる仕組みづくり
Building of Social Structure for Collecting Used-Cooking Oil from Home
川崎 和裕
KAWASAKI Kazuhiro
1. はじめに
特集2
概要
本稿は、
(財)食品産業センターから委託を受けて、平成15年度∼17年度にかけて実施した家庭系廃食用油回収
システムの実証実験の成果のうち、実験地区における回収の仕組みづくりを中心に論述したものである。
家庭系廃食用油の回収は量的に少量でありかつ分散しているため、コストのかかるものとなっている。多くは
可燃ごみとして収集、又は下水道等へ廃棄されるものとなっている。このため、焼却炉の消耗や湖沼、海洋の汚染
に直結するという指摘も多くなされている。
一方、これらを効率よく回収することができれば、バイオ燃料等の資源としての有効活用とともに、環境保全への
対応となる。このようなことから、回収の仕組みづくりは、循環型社会への「スマーター・ソーシャル・ストラク
チャー」としてのスタートの可能性を秘めているものである。
特
集
2
特
集
2
特
集
2
第11号
66 67
KAWASAKI Kazuhiro
川崎 和裕
●
コンサルティング事業部長
●
企業や官公庁のシステム化計画策定、業務改善・改革計画
策定業務に従事
特
集
2
家庭系廃食用油は近年回収を行っている地域も増えている
ものの、多くは新聞紙に吸い込ませたり、凝固剤で固めたりし
て、可燃ごみとして収集・焼却しているのが一般的である。
ただ、台所の排水溝へ投棄される場合もみられ、「詰まり」
や「悪臭」の原因となるとともに、下水道に付着し固まった廃
食用油と下水道内の汚物等が融合し、白色固形物(オイルボー
ル)となり、大量の雨水と一緒に海や川に流れ出す。これらが
東京湾に浮遊し、水環境に悪影響を与えたことは、マスコミで
も大きく取り上げられたところである。
一方、廃食用油は回収してリサイクルすることにより、せっけ
んやインク、軽油代替燃料(バイオ燃料、以下、BDFと略)等と
して、再 利用することができる貴 重な資 源でもある。特に、
BDFは、排気ガス中にSOx(硫黄酸化物)が発生せず、CO2
や
黒煙の発生も軽油より少ないことに加え、植物起源の原料(バ
イオマス)であることからカーボンニュートラルとみなせ、地
球温暖化対策として近年注目を集めるものとなっている。
このように、回収して再 利用することにより、廃食 用油は
「環境保全」と「資源創出」の2つの効果が得られるもので
ある。
家庭からの廃食用油は、発生源(家庭)が非常に多い割に、
個々の発生量は極めて小さく、回収は極めて不効率でコストの
多くかかるものとなり、採算の合いにくいものとなっている。
このため、家庭系廃食用油の回収は、なかなか進んでいない。
回収する立場からの家庭系廃食用油回収の問題点を整理す
ると以下のようになる。[1]、[2]
● 回収量の問題
個々の家庭からの発生量が小さいため、回収時に回収コ
ストに見合う回収量が確保されないリスクがある。すなわち、
回収に行くまで、回収量が分からず、事業としてみたとき不
安定なものとなる。
● 回収までの期間の問題
一方で、回収量を確保するため、一定の期間を設けて回収
を行うことが考えられる。ただ、各家庭でその期間、廃食用
油を置いておく負担を避け、固めるなどして可燃ごみとして
廃棄してしまう可能性がある。このため、さらに回収量が確
保されにくくなる。
● 廃食用油回収の留意点
また、廃食用油の回収には、以下の留意が必要となってくる。
2. 家庭系廃食用油の回収の現状と問題点
3.1 回収の仕組みづくり
回収がもっと効率的に、すなわち、各家庭では、出したいと
きに何時でも出せ、回収業者は、回収に行く前に回収量が把握
できるような仕組みが出来上がれば、廃食用油の回収が円滑
にかつ効率的になり、全国で回収が推進されていくのではない
かと考えられる。
このようなことから、図に示すような回収の仕組みを構築し
た。(図1参照)
油量センサーを内蔵した回収ポストを常設のストックポイント
に設置する。油量センサーは、回収ポスト内の廃食用油の量を
毎日定時に、PHS回線で自動的に運 用センターまで送 信す
る。実験では、1日3回送信することにした。また、回収ポスト
内の油量が一定水準を超えた場合には、緊急に通知する機能
を付けた。
運用センターは送られてきた油量情報を受信し、決められた
回収業者の事務所へ自動的に転送する。今回の実験では回収
3. ITを活用した新しい回収システム
と実験の概要
ここでは ITを活用した廃食用油の回収システムが支えた実
験地域での回収の仕組みづくりについて、考察してみたい。
既述したとおり、従来家庭系廃食用油リサイクルは、その回
収に大きな不効率性があり、なかなか進まないものとなって
いる。
今回 ITを活用した回収システムにより、各家庭の利便性の
確保と回収業者の採算性の確保という両面が実現したことに
4. 実験地区にみる回収の仕組みづくり
地域における家庭系廃食用油回収の仕組みづくりから、資源
リサイクルの仕組みとして成長していった例を紹介したい。
1976年ごろ、琵琶湖の水質悪化が深刻化する中で、滋賀県
湖東地域において当初は家庭から出る生活雑排水の問題を重
視した消費者が中心となり、合成洗剤に変えて、「せっけんを使
おう」という運動がおこり、これは家庭から出る廃食用油も大
きな汚染要因であるとの認識から、廃食用油の回収とせっけん
へのリサイクル運動が始まった。
滋賀県湖東地域の消費者団体、住民が主体的に回収・リサイ
クルの仕組みづくりを行うとともに、地域の行政機関等の協力
も得て進められていった。
この仕組みづくりの一環として、廃食用油から自動車燃料を
精製する地域独自のBDF装置の整備も行われていった。廃食
用油回収の仕組みづくりから、そのリサイクルの仕組みへの大
きな成長である。
さらにドイツで行われていたナタネ油の燃料化計画を導入
し、転作田に菜の花を植え、搾油してナタネ油を製造し、それ
を家庭や学校給食で使っていく。搾油時に出た油かすは肥料
や飼料として使用し、廃食油は回収し、せっけんや軽油代替燃
料(BDF)にリサイクルする。[4]
このようにして、家庭系廃食用油の回収の仕組みづくりから
始まった取り組みは、地域の主体的な取り組みにより、湖東地
域独自の「地域自立の資源循環サイクル」の仕組みへと成長し
ていった。これらの取り組みは「菜の花プロジェクト」として、
現在では全国各地に展開され、それらの地域を結ぶ情報交流
のネットワークも整備されている。
「スマーター・ソーシャル・ストラクチャー」を考えるとき、非
常に分かりやすい事例であると考えられるが、現在ではさらに
IT基盤の定着・浸透により、地域内外の意欲的な人材を結び付
け、協働できる環境が整備されてきている。
地域活性化には、地域課題を解決するための地域住民の主
体的な取り組みとそれを支援・協力していく多くのサポーター
が必要になってくるが、それを円滑・かつ効率よく実現していく
IT基盤とが相まって、地域の自律的成長を促す地域独自の「ス
マーター・ソーシャル・ストラクチャー」が、今後、多く出現して
くるものと思われる。
5. 今後の展開に向けて
参考文献[1]平成15年度 家庭用廃食用油効率的リサイクルシステム等構築
事業報告書 平成16年3月 財団法人 食品産業センター
[2]平成16年度 家庭用廃食用油効率的リサイクルシステム等構築
事業報告書 平成17年3月 財団法人 食品産業センター
[3]平成17年度 家庭系廃食用油地区別回収支援事業報告書
平成18年3月 財団法人 食品産業センター
[4]菜の花エコ革命 藤井絢子 創森社 2004年
[5]エコデザイン持続可能な生産と消費のための将来性あるアプローチ
永田勝也訳監修 ミクニヤ環境システム研究所 2001年
[6]京都市循環型社会推進基本計画 京都市 平成15年
より、これまで困難性が高かった家庭系廃食用油回収の仕組み
が円滑に構築・運営された。家庭系廃食用油回収の「スマー
ター・ソーシャル・ストラクチャー」づくりととらえても良いと考
える。
家庭系廃食用油回収の仕組みづくりは、各地域によって様々
なタイプが考えられる。図5は、地域の仕組みづくりにおけるス
テークホルダーとその役割によるパターンを示したものであ
る。今回の実験においても、それぞれのタイプによるものが出
てきている。
回収作業には、大きく①回収そのもの(回収作業)と②回収
のための準備(付随作業)の2つがある。これらの作業の担い手
をどうするかが、それぞれの地域における仕組み運営の性格を
決めていくものとなる。
家庭系廃食用油の回収においては、大きく3つのパターンが
これまでの実験地域から見いだされた。
一つは、回収作業、付随作業とも行政又は、その関連団体に
より主導的に進められていくものであり、行政主導型ともいえ
るものである。これは、公共サービスの一環として、回収・リサ
イクルが行われていくもので、地域住民はそのサービスの利用
者であり、改善要求を出す立場となる。
次に、回収作業、付随作業とも地域住民又は、住民組織や
[2]、[3]
家庭系廃食用油は、資源として再利用することを念頭に回
収が行われる。そのため、灯油、ガソリン、エンジンオイル等化
石系の油と混合すると再利用できなくなってしまう。従って、回
収する場合は、「植物性油脂やてんぷら油のみ受付けます」等
の明示が極めて重要となってくる。
さらに、廃食用油は、防火面に対する配慮も必要になってく
る。廃食用油は、一般に200℃程度にならないと発火しないも
のの、常設的にストックポイントを設置した場合は、そこに大
量の廃食用油が存在するため、防犯上、防火上の気配りは極め
て重要となってくる。
このように、家庭系廃食用油の回収には、一定の回収量をい
かに確保するか、そのため、一定の期間や期日を決めて各家庭
から持ち寄るとして、どのような場所(ストックポイント)にど
のようなやり方をして集めるかといった回収の仕組みづくりが
重要な課題となってくる。
現在、多くの地域でとられているやり方をみると、以下のよ
うなものがある。
自治体が主体となり、一般ごみと同じように各家庭から、特定
の日を決めて廃食用油を回収している京都市や仙台市のよう
なところもある。これは、家庭系廃食用油の回収を公共事業・
市民サービスとして位置づけているものである。[6]
また、住民と回収業者が協議し、住民がある一定期間毎に、
特定の場所(ストックポイント)に持ち寄り、そこに回収業者が
回収に訪れるものである。一定期間としては、廃食用油が一定
量貯まると見込まれる3∼4か月程度が多くなっている。ストック
3.2 回収ポストの開発
各家庭から発生する廃食用油の発生量について推計し、今
回の実験に用いる回収ポストの大きさを検討した。また前述し
た廃食用油回収の留意点に合わせて、容器の材質等を決めて
いった。
各家庭からの廃食用油発生量については、平成15年の実験
地域において、アンケート調査を行い推計した。その結果を示
すと、表1のとおりであった。
これでみると各家庭からの廃食用油発生量は、世帯当たり
162g/月、年間でみると1,947g/年程度と推計される。
3.3 実験の概要
実証実験は平成15年度∼17年度までの3か年にわたり行っ
た。実験地域は東京(4地区)、関西(3地区)、北九州(7地
区)の合計14地区であった。
本稿では、このうち実験期間の長かった東京の3地区での
回収状況を示す(図4参照)。
東京の実験地域では、ほぼ安定した回収量となった。例え
ば、なぎさニュータウンではほぼ1か月で、60∼70リットル、
新田住宅では、1.5か月、宇喜田ホームズでは、3か月程度でほ
ぼ同程度の回収量となっている。[2] なぎさニュータウンや
新田住宅では、当初の想定より大きな発生量であった。また
各実験地域での世帯数や世帯構成により、当然発生量は異な
るが、地域毎に一定の周期が見いだされたのは興味深いもの
である。
また回収業者にとっても、回収ポストの貯蓄量が常時把握
できるとともに、各ポストに、一定の回収量が一定の周期で確
保できることも分かり、効率的な回収計画を立てることが可
能になることも分かった。
ちなみに各地域の世帯当たりの発生量を実験期間における
平均値でみると、なぎさニュータウンで、192.3g/月、新田住
宅、137.8g/月、宇喜多ホームズ、67.9g/月となった。
実験の当初で見込んだ発生量は、150g/月程度であったが、
宇喜多ホームズは、民間のマンションで比較的年齢層の高い
世帯構成となっていることが、他の地域に比べて、発生量が少
ない要因となっているものと思われる。
ポイントとしては、ごみ集積所、公民館、スーパーマーケットの
駐車場等となっている。家庭では、ペットボトル等に入れて、この
期間貯めておくものとなっている。[1]、[2]
ただ、上記のような問題のため、家庭用廃食用油の回収をし
ようとする地域も、回収業者との話し合いがまとまらず、回収
ができないという状況にもなっている。
図1 ITを活用した回収の仕組み
図2 油量と通信関係
業者への伝達は、一般の通信回線を使用しFAXで送信した。
回収業者への伝達は1日1回、定められた時間に自動的に行っ
た。ただし、先に述べた緊急通信の場合は時間に関係なく、回
収ポストからの緊急通知を受けた時点で、すぐに転送を行うも
のである。
回収業者はこの情報を用いて、各回収ポストからの回収を
最も効率的に行えるようにする。また、運用センターでは、各
回収ポストの油量情報の推移を一元管理した。
油量と送信関係は、図2のとおりである。[2]
一方、農水省による食料品消費者モニター調査(平成11年
12月)から推計すると、各家庭からの廃食用油発生量は世帯当
たり149g/月、年間では1,794g/年となった。
実験地域のアンケート調査の結果と農水省の調査結果の両
者から、家庭からの発生量はほぼ150g/月前後であろうと見
込んだ。[2]
今回の実験では、300∼200世帯を対象に回収ポストを設
置することとし、2か月毎の回収で、60∼70リットルの回収量
が確保されることを目標とした。このため回収ポストは、100
リットル程度の大きさとした。また回収の効率性を上げるた
め、上部からバキューム管が入れられるようにした。ポストの
仕様は図3のとおりである。前章で指摘した留意事項について
も回収ポストの近くに張り紙で大きく張り出すとともに、注意
や清掃等について自治会等住民の方々の協力を得た。
図3 回収ポストの仕様
表1 家庭からの廃食用油の発生量の推計
図4 実験地区の回収状況
NPOが主体的に進めていくものであり、住民主導型ともいえ
るものである。これは、地域での回収の仕組みを地域住民が主
体的に構築していくものであり、仕組みの改善改良自体も地域
が主体的に行っていくものとなる。行政機関は通常、これらの
構築・運用活動に対して各種の支援をしていく立場になる。
最後に、回収作業、付随作業とも回収事業者が主体的に行う
ものであり、回収事業者主導型ともいうべきものである。この
場合の回収事業はあくまでも企業活動であり、営利事業の性
格を持つと思われる。地域は、そのサービスを利用する立場と
なる。[2]、[3]
「スマーター・ソーシャル・ストラクチャー」の形成からみる
と、地域が主体的に取り組んでいくことが、その仕組みを地域
独自のものとし、かつ将来的にも改変や改革を行い成長させ
ていく重要な要件となると思われる。すなわち住民及び住民
組織、NPOが仕組みづくりの推進主体となっていくことが必
要である。そのような中において、行政機関、特に地域に立地
している行政施設(公民館等)や回収業者が支援・協力をして
いくことが重要なものとなってくる。
また家庭系廃食用油の回収には、事業としての経済性を検
討する必要性のある局面と経済性よりは、地域づくりの観点
から検討したほうが実際的な仕組みがつくれる局面の2つの側
面がある。ITの活用は、相反する課題に対して有効なソリュー
ションを提供することができるとともに、多くの関係者による
協働関係の形成に有効なものとなる。
今後の家庭系廃食用油の仕組みづくりを円滑に進めるための
課題を整理すると以下のようになるが、これらについても ITを
活用したソリューションの創出が有効なものとなる。[2]、[3]
(1)回収に関する課題
①回収のプラニング機能
地域住民、回収事業者等回収に係る関係者をまとめ、回
収のやり方等を決めていく音頭をとる役割が必要である。
地域の行政機関にその役割が期待される。
②回収の内容と役割分担
廃食用油だけ回収するのか、家庭からの持ち込み容器
も含めて回収するのかを決める必要がある。また回収ポ
ストを常設にするのか、非常設の場合は回収期間をどうす
るか、回収ポストの整備主体は誰か等、回収の内容と役割
分担を明確にする必要がある。これらは、地域の関係者で
の主体的な検討が期待される。
③回収促進方策
回収量を確保するため、住民意識を高めるなど、協力・参
加を促す方策を検討する必要がある。インセンティブにつ
いても、検討することも必要がある。
図5 回収の仕組みづくりのパターン 図6 菜の花プロジェクトの概念図
実験モデル地域
回収事業者
1.油量通知(自動)
●1日3回通知
●緊急通知
2.油量通知(自動)
●1日1回日次通知
●緊急通知
2.PHS回線による廃食用油
貯蔵量の自動通知、自動収集
PHS基地局
ISDN回線
事務局
回収システム
1.センサーによる廃食用油
貯蔵量の自動検出
公衆回線網
4.回収事業者への廃食用油
貯蔵量通知
3.回収ポスト毎の廃食用油の
量等、情報の一元管理
公衆回線網 運用センター
(インテック)
FAX
居住者 回収ポスト
3.回収
投入可能量は
90リットル
貯蔵限界量を80
パーセントに設定
貯蔵量は
約18リットル
通知される廃食用油の計測値
20(パーセント)
通知される廃食用油の計測値
60(パーセント)
通知される廃食用油の計測値
80(パーセント)
貯蔵量は
約54∼60
リットル
貯蔵量は
約70リットル
以上
回収計画を立て、近日中に併せ
回収を実施
センサーを痛めたり、廃食用油が溢れる
可能性があるため、回収は急いで行う。
※この場合、80パーセントを超えた時点で
「緊急通知」が、回収業者に通知される。
廃食用油発生量の推計
使用区分 回答世帯
数
くらい1割
くらい2割
くらい3割
くらい4割
くらい5割
くらい6割
くらい7割
くらい8割
くらい9割 計
廃食
用油
発生
量/
月・
世帯
(g)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
∼100g
∼200g
∼300g
∼400g
∼500g
∼600g
∼800g
∼1kg
∼1.5kg
∼2kg
∼3kg
∼3kg超
全く使わない
無回答
合計
15
34
31
19
33
22
28
22
21
8
0
0
0
0
233
35
195
200
245
315
165
140
90
375
0
0
0
0
0
1,760
10
210
150
140
360
770
560
540
250
0
0
0
0
0
2,990
15
315
375
315
1215
330
1260
2160
3000
525
0
0
0
0
9,510
20
0
100
280
180
660
840
1440
0
700
0
0
0
0
4,220
25
75
500
0
1350
825
1400
900
1250
1750
0
0
0
0
8,075
0
90
150
0
0
0
0
540
750
1050
0
0
0
0
2,580
0
105
0
0
630
770
490
0
875
1225
0
0
0
0
4,095
0
0
200
0
360
0
0
0
1000
0
0
0
0
0
1,560
0
135
0
0
810
495
0
0
0
1575
0
0
0
0
3,015
105
1125
1675
980
5220
4015
4690
5670
7500
6825
0
0
0
0
37,805
7
33
54
52
158
183
168
258
357
853
162
製品仕様 製品写真 加工ポイント
製品図面
1.容量:100リットル
2.サイズ:470×480×685(mm)
3.材質:ポリエチレン
4.重量:12kg
5.その他:液面計あり(10L単位)
①金網(ゴミ、落下防止)
②跳ね返り防止用のプラ板
③排出用バルブ(蛇口栓取り外し式)
④超音波センサー
⑤通信装置等機器ボックス取付
⑥バキューム用差込口
(mm)
A
470
B
480
C
650
D
685
E(フタ径)
145
100V電源へ
東京3地域 平成15年10月∼平成17年3月の回収ポストの油量の変化
油量(リットル)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
平成15年 平成16年 平成17年
なぎさニュータウン6号棟 新田住宅1号棟 宇喜田ホームズ
役割
担い手
担
い
手
の
可
能
性
回 収 作 業 付 随 的 作 業
家庭から
近隣SP
近隣SPから
拠点SS
SP(SS)から
再処理工場
SP(SS)の
整備
SP(SS)の
管理 啓蒙活動
仕組みの
パターン
住民(家庭)
自治会、
管理組合
行政
回収業者
NPO等
住民主導型
行政主導型
回収事業者
主導型
(2)廃食用油におけるその他の課題
①採算性を確保する回収の可能性
回収事業の採算性を確保するためには、事業系廃食用油
との併せ回収の可能性や無駄のない回収方法をとること
ができる方策を検討する必要がある。
②家庭系廃食用油の位置づけの明確化
家庭系廃食用油は廃棄物としての認識が強いものである
が、これからは貴重な資源である、それも環境にやさしい
資源であるとの考えを定着していく必要がある。従って、
古紙や古着等と合わせた回収方法の検討も必要である。
③地域の仕組みづくりのガイドラインの作成
廃食用油の回収はこれまでみてきたように、地域が主体的
に実施していくことが重要であり、このためのガイドライン
的なものを整備しておくことも必要となる。
家庭系廃食用油回収の「スマーター・ソーシャル・ストラク
チャー」は、さらに地域における廃食用油リサイクルの「ソー
一方、なぎさニュータウンはURの集合住宅であり、比較的
若い年齢層の世帯構成となっていることが、大きな発生量の
要因であると思われる。
また、今回の廃食用油回収の仕組みは、実験を行った地区の
住民から高評価を得た。
これまで可燃ごみとして廃棄することにやや違和感を持って
いたとともに、環境に対する配慮と再資源化の両方に寄与して
いるという意識が、回収ポストを常時設置させることによって
推進されたものと思われる。
回収事業者からは、回収ポストの容量拡大や個数の増加が
出された。
シャル・ストラクチャー」として成長していく可能性がある。例
えば、福岡県久留米市では、市内各地区に回収の仕組みがある
が、集められた廃食用油は精製され、市のパッカー車の燃料と
して使われている。最初は単一目的の「ソーシャル・ストラク
チャー」が、より地域の活性化や魅力化が図れるものへと発
展・成長していく力を持つことが、「スマーター・ソーシャル・ス
トラクチャー」の本質である。環境や時代の変化等により、仕
組み自体が変化していく力を持つことが重要であり、情報の正
確性や迅速性を実現するIT基盤とそれを活用して仕組みを構
築・運営している人材やサポーターの協働力が仕組みのエンジン
となっていることが必要になる。
最後の章では、「スマーター・ソーシャル・ストラクチャー」の
代表的な例として、地域の廃食用油回収から始まった仕組み
が、循環型地域を構成する仕組みへと成長発展していった滋賀
県湖東地域における菜の花プロジェクトの例を掲げる。
出典:[1]p.28 図3-1を引用
出典:[2]p.12 図2-4を引用
出典:[2]p.16 表3-3を引用
出典:[1]p.29 図3-2を引用
出典:[2]p.55 図4-28を引用
出典:[2]p.20 図3-2を引用 出典:菜の花プロジェクトホームページより引用
スマーター・ソーシャル・ストラクチャーへの取り組み
第11号
第11号
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家庭系廃食用油回収システム等
構築実験にみる仕組みづくり
Building of Social Structure for Collecting Used-Cooking Oil from Home
川崎 和裕
KAWASAKI Kazuhiro
1. はじめに
特集2
概要
本稿は、
(財)食品産業センターから委託を受けて、平成15年度∼17年度にかけて実施した家庭系廃食用油回収
システムの実証実験の成果のうち、実験地区における回収の仕組みづくりを中心に論述したものである。
家庭系廃食用油の回収は量的に少量でありかつ分散しているため、コストのかかるものとなっている。多くは
可燃ごみとして収集、又は下水道等へ廃棄されるものとなっている。このため、焼却炉の消耗や湖沼、海洋の汚染
に直結するという指摘も多くなされている。
一方、これらを効率よく回収することができれば、バイオ燃料等の資源としての有効活用とともに、環境保全への
対応となる。このようなことから、回収の仕組みづくりは、循環型社会への「スマーター・ソーシャル・ストラク
チャー」としてのスタートの可能性を秘めているものである。
特
集
2
特
集
2
特
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2
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●
コンサルティング事業部長
●
企業や官公庁のシステム化計画策定、業務改善・改革計画
策定業務に従事
特
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2
家庭系廃食用油は近年回収を行っている地域も増えている
ものの、多くは新聞紙に吸い込ませたり、凝固剤で固めたりし
て、可燃ごみとして収集・焼却しているのが一般的である。
ただ、台所の排水溝へ投棄される場合もみられ、「詰まり」
や「悪臭」の原因となるとともに、下水道に付着し固まった廃
食用油と下水道内の汚物等が融合し、白色固形物(オイルボー
ル)となり、大量の雨水と一緒に海や川に流れ出す。これらが
東京湾に浮遊し、水環境に悪影響を与えたことは、マスコミで
も大きく取り上げられたところである。
一方、廃食用油は回収してリサイクルすることにより、せっけ
んやインク、軽油代替燃料(バイオ燃料、以下、BDFと略)等と
して、再 利用することができる貴 重な資 源でもある。特に、
BDFは、排気ガス中にSOx(硫黄酸化物)が発生せず、CO2
や
黒煙の発生も軽油より少ないことに加え、植物起源の原料(バ
イオマス)であることからカーボンニュートラルとみなせ、地
球温暖化対策として近年注目を集めるものとなっている。
このように、回収して再 利用することにより、廃食 用油は
「環境保全」と「資源創出」の2つの効果が得られるもので
ある。
家庭からの廃食用油は、発生源(家庭)が非常に多い割に、
個々の発生量は極めて小さく、回収は極めて不効率でコストの
多くかかるものとなり、採算の合いにくいものとなっている。
このため、家庭系廃食用油の回収は、なかなか進んでいない。
回収する立場からの家庭系廃食用油回収の問題点を整理す
ると以下のようになる。[1]、[2]
● 回収量の問題
個々の家庭からの発生量が小さいため、回収時に回収コ
ストに見合う回収量が確保されないリスクがある。すなわち、
回収に行くまで、回収量が分からず、事業としてみたとき不
安定なものとなる。
● 回収までの期間の問題
一方で、回収量を確保するため、一定の期間を設けて回収
を行うことが考えられる。ただ、各家庭でその期間、廃食用
油を置いておく負担を避け、固めるなどして可燃ごみとして
廃棄してしまう可能性がある。このため、さらに回収量が確
保されにくくなる。
● 廃食用油回収の留意点
また、廃食用油の回収には、以下の留意が必要となってくる。
2. 家庭系廃食用油の回収の現状と問題点
3.1 回収の仕組みづくり
回収がもっと効率的に、すなわち、各家庭では、出したいと
きに何時でも出せ、回収業者は、回収に行く前に回収量が把握
できるような仕組みが出来上がれば、廃食用油の回収が円滑
にかつ効率的になり、全国で回収が推進されていくのではない
かと考えられる。
このようなことから、図に示すような回収の仕組みを構築し
た。(図1参照)
油量センサーを内蔵した回収ポストを常設のストックポイント
に設置する。油量センサーは、回収ポスト内の廃食用油の量を
毎日定時に、PHS回線で自動的に運 用センターまで送 信す
る。実験では、1日3回送信することにした。また、回収ポスト
内の油量が一定水準を超えた場合には、緊急に通知する機能
を付けた。
運用センターは送られてきた油量情報を受信し、決められた
回収業者の事務所へ自動的に転送する。今回の実験では回収
3. ITを活用した新しい回収システム
と実験の概要
ここでは ITを活用した廃食用油の回収システムが支えた実
験地域での回収の仕組みづくりについて、考察してみたい。
既述したとおり、従来家庭系廃食用油リサイクルは、その回
収に大きな不効率性があり、なかなか進まないものとなって
4. 実験地区にみる回収の仕組みづくり
地域における家庭系廃食用油回収の仕組みづくりから、資源
リサイクルの仕組みとして成長していった例を紹介したい。
1976年ごろ、琵琶湖の水質悪化が深刻化する中で、滋賀県
湖東地域において当初は家庭から出る生活雑排水の問題を重
視した消費者が中心となり、合成洗剤に変えて、「せっけんを使
おう」という運動がおこり、これは家庭から出る廃食用油も大
きな汚染要因であるとの認識から、廃食用油の回収とせっけん
へのリサイクル運動が始まった。
滋賀県湖東地域の消費者団体、住民が主体的に回収・リサイ
クルの仕組みづくりを行うとともに、地域の行政機関等の協力
も得て進められていった。
この仕組みづくりの一環として、廃食用油から自動車燃料を
精製する地域独自のBDF装置の整備も行われていった。廃食
用油回収の仕組みづくりから、そのリサイクルの仕組みへの大
きな成長である。
さらにドイツで行われていたナタネ油の燃料化計画を導入
し、転作田に菜の花を植え、搾油してナタネ油を製造し、それ
を家庭や学校給食で使っていく。搾油時に出た油かすは肥料
や飼料として使用し、廃食油は回収し、せっけんや軽油代替燃
料(BDF)にリサイクルする。[4]
このようにして、家庭系廃食用油の回収の仕組みづくりから
始まった取り組みは、地域の主体的な取り組みにより、湖東地
域独自の「地域自立の資源循環サイクル」の仕組みへと成長し
ていった。これらの取り組みは「菜の花プロジェクト」として、
現在では全国各地に展開され、それらの地域を結ぶ情報交流
のネットワークも整備されている。
「スマーター・ソーシャル・ストラクチャー」を考えるとき、非
常に分かりやすい事例であると考えられるが、現在ではさらに
IT基盤の定着・浸透により、地域内外の意欲的な人材を結び付
け、協働できる環境が整備されてきている。
地域活性化には、地域課題を解決するための地域住民の主
体的な取り組みとそれを支援・協力していく多くのサポーター
が必要になってくるが、それを円滑・かつ効率よく実現していく
IT基盤とが相まって、地域の自律的成長を促す地域独自の「ス
マーター・ソーシャル・ストラクチャー」が、今後、多く出現して
くるものと思われる。
5. 今後の展開に向けて
参考文献[1]平成15年度 家庭用廃食用油効率的リサイクルシステム等構築
事業報告書 平成16年3月 財団法人 食品産業センター
[2]平成16年度 家庭用廃食用油効率的リサイクルシステム等構築
事業報告書 平成17年3月 財団法人 食品産業センター
[3]平成17年度 家庭系廃食用油地区別回収支援事業報告書
平成18年3月 財団法人 食品産業センター
[4]菜の花エコ革命 藤井絢子 創森社 2004年
[5]エコデザイン持続可能な生産と消費のための将来性あるアプローチ
永田勝也訳監修 ミクニヤ環境システム研究所 2001年
[6]京都市循環型社会推進基本計画 京都市 平成15年
より、これまで困難性が高かった家庭系廃食用油回収の仕組み
が円滑に構築・運営された。家庭系廃食用油回収の「スマー
ター・ソーシャル・ストラクチャー」づくりととらえても良いと考
える。
家庭系廃食用油回収の仕組みづくりは、各地域によって様々
なタイプが考えられる。図5は、地域の仕組みづくりにおけるス
テークホルダーとその役割によるパターンを示したものであ
る。今回の実験においても、それぞれのタイプによるものが出
てきている。
回収作業には、大きく①回収そのもの(回収作業)と②回収
のための準備(付随作業)の2つがある。これらの作業の担い手
をどうするかが、それぞれの地域における仕組み運営の性格を
決めていくものとなる。
家庭系廃食用油の回収においては、大きく3つのパターンが
これまでの実験地域から見いだされた。
一つは、回収作業、付随作業とも行政又は、その関連団体に
より主導的に進められていくものであり、行政主導型ともいえ
るものである。これは、公共サービスの一環として、回収・リサ
[2]、[3]
家庭系廃食用油は、資源として再利用することを念頭に回
収が行われる。そのため、灯油、ガソリン、エンジンオイル等化
石系の油と混合すると再利用できなくなってしまう。従って、回
収する場合は、「植物性油脂やてんぷら油のみ受付けます」等
の明示が極めて重要となってくる。
さらに、廃食用油は、防火面に対する配慮も必要になってく
る。廃食用油は、一般に200℃程度にならないと発火しないも
のの、常設的にストックポイントを設置した場合は、そこに大
量の廃食用油が存在するため、防犯上、防火上の気配りは極め
て重要となってくる。
このように、家庭系廃食用油の回収には、一定の回収量をい
かに確保するか、そのため、一定の期間や期日を決めて各家庭
から持ち寄るとして、どのような場所(ストックポイント)にど
のようなやり方をして集めるかといった回収の仕組みづくりが
重要な課題となってくる。
現在、多くの地域でとられているやり方をみると、以下のよ
うなものがある。
自治体が主体となり、一般ごみと同じように各家庭から、特定
の日を決めて廃食用油を回収している京都市や仙台市のよう
なところもある。これは、家庭系廃食用油の回収を公共事業・
市民サービスとして位置づけているものである。[6]
また、住民と回収業者が協議し、住民がある一定期間毎に、
特定の場所(ストックポイント)に持ち寄り、そこに回収業者が
回収に訪れるものである。一定期間としては、廃食用油が一定
量貯まると見込まれる3∼4か月程度が多くなっている。ストック
3.2 回収ポストの開発
各家庭から発生する廃食用油の発生量について推計し、今
回の実験に用いる回収ポストの大きさを検討した。また前述し
た廃食用油回収の留意点に合わせて、容器の材質等を決めて
いった。
各家庭からの廃食用油発生量については、平成15年の実験
地域において、アンケート調査を行い推計した。その結果を示
すと、表1のとおりであった。
これでみると各家庭からの廃食用油発生量は、世帯当たり
162g/月、年間でみると1,947g/年程度と推計される。
3.3 実験の概要
実証実験は平成15年度∼17年度までの3か年にわたり行っ
た。実験地域は東京(4地区)、関西(3地区)、北九州(7地
区)の合計14地区であった。
本稿では、このうち実験期間の長かった東京の3地区での
回収状況を示す(図4参照)。
東京の実験地域では、ほぼ安定した回収量となった。例え
ば、なぎさニュータウンではほぼ1か月で、60∼70リットル、
新田住宅では、1.5か月、宇喜田ホームズでは、3か月程度でほ
ぼ同程度の回収量となっている。[2] なぎさニュータウンや
新田住宅では、当初の想定より大きな発生量であった。また
各実験地域での世帯数や世帯構成により、当然発生量は異な
るが、地域毎に一定の周期が見いだされたのは興味深いもの
である。
また回収業者にとっても、回収ポストの貯蓄量が常時把握
できるとともに、各ポストに、一定の回収量が一定の周期で確
保できることも分かり、効率的な回収計画を立てることが可
能になることも分かった。
ちなみに各地域の世帯当たりの発生量を実験期間における
平均値でみると、なぎさニュータウンで、192.3g/月、新田住
宅、137.8g/月、宇喜多ホームズ、67.9g/月となった。
実験の当初で見込んだ発生量は、150g/月程度であったが、
宇喜多ホームズは、民間のマンションで比較的年齢層の高い
世帯構成となっていることが、他の地域に比べて、発生量が少
ない要因となっているものと思われる。
ポイントとしては、ごみ集積所、公民館、スーパーマーケットの
駐車場等となっている。家庭では、ペットボトル等に入れて、この
期間貯めておくものとなっている。[1]、[2]
ただ、上記のような問題のため、家庭用廃食用油の回収をし
ようとする地域も、回収業者との話し合いがまとまらず、回収
ができないという状況にもなっている。
図1 ITを活用した回収の仕組み
図2 油量と通信関係
業者への伝達は、一般の通信回線を使用しFAXで送信した。
回収業者への伝達は1日1回、定められた時間に自動的に行っ
た。ただし、先に述べた緊急通信の場合は時間に関係なく、回
収ポストからの緊急通知を受けた時点で、すぐに転送を行うも
のである。
回収業者はこの情報を用いて、各回収ポストからの回収を
最も効率的に行えるようにする。また、運用センターでは、各
回収ポストの油量情報の推移を一元管理した。
油量と送信関係は、図2のとおりである。[2]
一方、農水省による食料品消費者モニター調査(平成11年
12月)から推計すると、各家庭からの廃食用油発生量は世帯当
たり149g/月、年間では1,794g/年となった。
実験地域のアンケート調査の結果と農水省の調査結果の両
者から、家庭からの発生量はほぼ150g/月前後であろうと見
込んだ。[2]
今回の実験では、300∼200世帯を対象に回収ポストを設
置することとし、2か月毎の回収で、60∼70リットルの回収量
が確保されることを目標とした。このため回収ポストは、100
リットル程度の大きさとした。また回収の効率性を上げるた
め、上部からバキューム管が入れられるようにした。ポストの
仕様は図3のとおりである。前章で指摘した留意事項について
も回収ポストの近くに張り紙で大きく張り出すとともに、注意
や清掃等について自治会等住民の方々の協力を得た。
図3 回収ポストの仕様
表1 家庭からの廃食用油の発生量の推計
図4 実験地区の回収状況
NPOが主体的に進めていくものであり、住民主導型ともいえ
るものである。これは、地域での回収の仕組みを地域住民が主
体的に構築していくものであり、仕組みの改善改良自体も地域
が主体的に行っていくものとなる。行政機関は通常、これらの
構築・運用活動に対して各種の支援をしていく立場になる。
最後に、回収作業、付随作業とも回収事業者が主体的に行う
ものであり、回収事業者主導型ともいうべきものである。この
場合の回収事業はあくまでも企業活動であり、営利事業の性
格を持つと思われる。地域は、そのサービスを利用する立場と
なる。[2]、[3]
「スマーター・ソーシャル・ストラクチャー」の形成からみる
と、地域が主体的に取り組んでいくことが、その仕組みを地域
独自のものとし、かつ将来的にも改変や改革を行い成長させ
ていく重要な要件となると思われる。すなわち住民及び住民
組織、NPOが仕組みづくりの推進主体となっていくことが必
要である。そのような中において、行政機関、特に地域に立地
している行政施設(公民館等)や回収業者が支援・協力をして
いくことが重要なものとなってくる。
また家庭系廃食用油の回収には、事業としての経済性を検
討する必要性のある局面と経済性よりは、地域づくりの観点
から検討したほうが実際的な仕組みがつくれる局面の2つの側
面がある。ITの活用は、相反する課題に対して有効なソリュー
ションを提供することができるとともに、多くの関係者による
協働関係の形成に有効なものとなる。
今後の家庭系廃食用油の仕組みづくりを円滑に進めるための
課題を整理すると以下のようになるが、これらについても ITを
活用したソリューションの創出が有効なものとなる。[2]、[3]
(1)回収に関する課題
①回収のプラニング機能
地域住民、回収事業者等回収に係る関係者をまとめ、回
収のやり方等を決めていく音頭をとる役割が必要である。
地域の行政機関にその役割が期待される。
②回収の内容と役割分担
廃食用油だけ回収するのか、家庭からの持ち込み容器
も含めて回収するのかを決める必要がある。また回収ポ
ストを常設にするのか、非常設の場合は回収期間をどうす
るか、回収ポストの整備主体は誰か等、回収の内容と役割
分担を明確にする必要がある。これらは、地域の関係者で
の主体的な検討が期待される。
③回収促進方策
回収量を確保するため、住民意識を高めるなど、協力・参
加を促す方策を検討する必要がある。インセンティブにつ
いても、検討することも必要がある。
実験モデル地域
回収事業者
1.油量通知(自動)
●1日3回通知
●緊急通知
2.油量通知(自動)
●1日1回日次通知
●緊急通知
2.PHS回線による廃食用油
貯蔵量の自動通知、自動収集
PHS基地局
ISDN回線
事務局
回収システム
1.センサーによる廃食用油
貯蔵量の自動検出
公衆回線網
4.回収事業者への廃食用油
貯蔵量通知
3.回収ポスト毎の廃食用油の
量等、情報の一元管理
公衆回線網 運用センター
(インテック)
FAX
居住者 回収ポスト
3.回収
投入可能量は
90リットル
貯蔵限界量を80
パーセントに設定
貯蔵量は
約18リットル
通知される廃食用油の計測値
20(パーセント)
通知される廃食用油の計測値
60(パーセント)
通知される廃食用油の計測値
80(パーセント)
貯蔵量は
約54∼60
リットル
貯蔵量は
約70リットル
以上
回収計画を立て、近日中に併せ
回収を実施
センサーを痛めたり、廃食用油が溢れる
可能性があるため、回収は急いで行う。
※この場合、80パーセントを超えた時点で
「緊急通知」が、回収業者に通知される。
廃食用油発生量の推計
使用区分 回答世帯
数
くらい1割
くらい2割
くらい3割
くらい4割
くらい5割
くらい6割
くらい7割
くらい8割
くらい9割 計
廃食
用油
発生
量/
月・
世帯
(g)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
∼100g
∼200g
∼300g
∼400g
∼500g
∼600g
∼800g
∼1kg
∼1.5kg
∼2kg
∼3kg
∼3kg超
全く使わない
無回答
合計
15
34
31
19
33
22
28
22
21
8
0
0
0
0
233
35
195
200
245
315
165
140
90
375
0
0
0
0
0
1,760
10
210
150
140
360
770
560
540
250
0
0
0
0
0
2,990
15
315
375
315
1215
330
1260
2160
3000
525
0
0
0
0
9,510
20
0
100
280
180
660
840
1440
0
700
0
0
0
0
4,220
25
75
500
0
1350
825
1400
900
1250
1750
0
0
0
0
8,075
0
90
150
0
0
0
0
540
750
1050
0
0
0
0
2,580
0
105
0
0
630
770
490
0
875
1225
0
0
0
0
4,095
0
0
200
0
360
0
0
0
1000
0
0
0
0
0
1,560
0
135
0
0
810
495
0
0
0
1575
0
0
0
0
3,015
105
1125
1675
980
5220
4015
4690
5670
7500
6825
0
0
0
0
37,805
7
33
54
52
158
183
168
258
357
853
162
製品仕様 製品写真 加工ポイント
製品図面
1.容量:100リットル
2.サイズ:470×480×685(mm)
3.材質:ポリエチレン
4.重量:12kg
5.その他:液面計あり(10L単位)
①金網(ゴミ、落下防止)
②跳ね返り防止用のプラ板
③排出用バルブ(蛇口栓取り外し式)
④超音波センサー
⑤通信装置等機器ボックス取付
⑥バキューム用差込口
(mm)
A
470
B
480
C
650
D
685
E(フタ径)
145
100V電源へ
東京3地域 平成15年10月∼平成17年3月の回収ポストの油量の変化
油量(リットル)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
平成15年 平成16年 平成17年
なぎさニュータウン6号棟 新田住宅1号棟 宇喜田ホームズ
役割
担い手
担
い
手
の
可
能
性
回 収 作 業 付 随 的 作 業
家庭から
近隣SP
近隣SPから
拠点SS
SP(SS)から
再処理工場
SP(SS)の
整備
SP(SS)の
管理 啓蒙活動
仕組みの
パターン
住民(家庭)
自治会、
管理組合
行政
回収業者
住民主導型
行政主導型
回収事業者
主導型
(2)廃食用油におけるその他の課題
①採算性を確保する回収の可能性
回収事業の採算性を確保するためには、事業系廃食用油
との併せ回収の可能性や無駄のない回収方法をとること
ができる方策を検討する必要がある。
②家庭系廃食用油の位置づけの明確化
家庭系廃食用油は廃棄物としての認識が強いものである
が、これからは貴重な資源である、それも環境にやさしい
資源であるとの考えを定着していく必要がある。従って、
古紙や古着等と合わせた回収方法の検討も必要である。
③地域の仕組みづくりのガイドラインの作成
廃食用油の回収はこれまでみてきたように、地域が主体的
に実施していくことが重要であり、このためのガイドライン
的なものを整備しておくことも必要となる。
家庭系廃食用油回収の「スマーター・ソーシャル・ストラク
チャー」は、さらに地域における廃食用油リサイクルの「ソー
一方、なぎさニュータウンはURの集合住宅であり、比較的
若い年齢層の世帯構成となっていることが、大きな発生量の
要因であると思われる。
また、今回の廃食用油回収の仕組みは、実験を行った地区の
住民から高評価を得た。
これまで可燃ごみとして廃棄することにやや違和感を持って
いたとともに、環境に対する配慮と再資源化の両方に寄与して
いるという意識が、回収ポストを常時設置させることによって
推進されたものと思われる。
回収事業者からは、回収ポストの容量拡大や個数の増加が
出された。
シャル・ストラクチャー」として成長していく可能性がある。例
えば、福岡県久留米市では、市内各地区に回収の仕組みがある
が、集められた廃食用油は精製され、市のパッカー車の燃料と
して使われている。最初は単一目的の「ソーシャル・ストラク
チャー」が、より地域の活性化や魅力化が図れるものへと発
展・成長していく力を持つことが、「スマーター・ソーシャル・ス
トラクチャー」の本質である。環境や時代の変化等により、仕
組み自体が変化していく力を持つことが重要であり、情報の正
確性や迅速性を実現するIT基盤とそれを活用して仕組みを構
築・運営している人材やサポーターの協働力が仕組みのエンジン
となっていることが必要になる。
最後の章では、「スマーター・ソーシャル・ストラクチャー」の
代表的な例として、地域の廃食用油回収から始まった仕組み
が、循環型地域を構成する仕組みへと成長発展していった滋賀
県湖東地域における菜の花プロジェクトの例を掲げる。
出典:[1]p.28 図3-1を引用
出典:[2]p.12 図2-4を引用
出典:[2]p.16 表3-3を引用
出典:[1]p.29 図3-2を引用
出典:[2]p.55 図4-28を引用
スマーター・ソーシャル・ストラクチャーへの取り組み