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液状化による地盤沈下の簡易予測に関する研究

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液状化による地盤沈下の簡易予測に関する研究

鳥 井 原 誠   山 田 祐 樹

Simplified Estimation of Settlements due to Reconsolidation Following Liquefaction

Makoto Toriihara Yuuki Yamada

Abstract

This paper describes results of volume compression tests on sand containing fines, and estimated settlements due to reconsolidation following liquefaction. Two kinds of sandy soils with different grain size distributions were used, and the effects of fines in measuring volume change causing dissipation of excess pore water pressure following liquefaction was evaluated. The results were as follows. Volumetric strain following liquefaction depended on shear strain, but was independent of the amount of fines. Volumetric strain was estimated from void ratio. We can estimate the settlements of sand containing fines by the traditional method for clean sand where we evaluate volumetric strain by void ratio.

概   要 本報告は,細粒分を含んだ砂地盤の液状化による沈下量の簡易予測方法についてまとめたものである。同一 の材料を母材として細粒分含有率の異なる2種類の試料を作成し,液状化後の水圧の消散に伴う体積変化量の 測定を行うことにより,細粒分含有率が液状化時の沈下特性に与える影響について考察を行った。その結果, 液状化後の体積ひずみは,液状化時のせん断ひずみに大きく依存しているが,細粒分の有無に係わらず間隙比 により一意的に求まることが明らかとなった。また,砂の間隙比で整理すれば,従来までの細粒分含有率の少 ない砂の沈下量予測手法が,細粒分を多く含む砂についても適用可能であることがわかった。  1. はじめに 地下水位以下の緩い砂質地盤に地震動が加わると,地 盤内に過剰間隙水圧が発生し,有効応力が失われ,地盤 の液状化が発生する。地震後,Fig. 1に示すように発生 した過剰間隙水圧は消散し,それに伴い地盤は再び圧密 されて固さを取り戻すと同時に地盤沈下が生じる。この 沈下量が大きい場合,深い基礎で支えられた構造物との 間に段差を生じたり,基礎の剛性が不足する構造物では 不同沈下によって上部構造が損傷を受けることもある。 液状化による砂地盤の沈下特性に関する研究1)として は,これまでは細粒分含有率の少ない砂に限定されてき ており,細粒分が多くなることによる影響に関する研究 はほとんどなされていない。 一方,兵庫県南部地震において,これまで液状化しに くいと考えられていた細粒分を含んだ砂や礫混じり砂に ついても液状化の発生が確認されており,その後の各種 基準・指針等の見直しによってこれらの砂についても液 地震前 地震中(液状化前) 地震中(液状化発生) 地震後(圧縮,沈下) Fig. 1 液状化時の沈下メカニズム

(2)

状化の対象地盤として判定を行うよう改訂がなされた。 ところが,細粒分を多く含んだ砂や礫混じり砂につい ては,沈下特性に関する報告はほとんど無く,予測手法 も確立していないのが現状である。したがって,それら の砂について液状化に伴う沈下特性を把握することは, 液状化時の基礎の設計,あるいは重要構造物等の設計に おいて有効であると考えられる。 そのため,本研究では同一の材料を母材とした細粒分 含有率の異なる2種類の試料を作製し,三軸試験装置を用 いた繰返し非排水三軸試験を行い,載荷終了後の過剰間 隙水圧の消散に伴う体積変化量を測定することにより, 細粒分含有率が液状化時の沈下特性に与える影響につい て検討を行った。  2. 体積圧縮試験 2.1 試験概要 今回,細粒分含有率が液状化時の沈下特性に与える影 響を評価することを目的として,以下に示す3つの条件を パラメータとして体積圧縮試験を行った。 1) 細粒分含有率(2種類) 2) 間隙比(3種類) 3) 液状化試験時の繰返し応力振幅比(10種類程度) 2.2 試験方法 2.2.1 試験試料と供試体作製方法 試験に用いた試 料は,細粒分含有率が19.6%の山砂Aおよび山砂Aから 0.075mm以下を水洗いにより除去した細粒分含有率0%の 山砂Bの2種類である。試験試料の基本物性をTable 1に示 す。また,Fig. 2に各試料の粒径加積曲線を示す。ここ で,山砂Aの最小・最大密度試験結果については,試験基 準(JIS A 1224)の適用範囲外の粒径であるため,参考値 として掲載している。 今回の試験に用いた供試体寸法は直径50mm,高さ100mm であり,各試料とも3種類の異なる間隙比となるように供 試体作製方法を決定している。以下に作製方法を示す。 (1) 山砂Aの供試体作製方法 細粒分を含む山砂A については,予備試験において乾燥状態で作成した供 試体が三軸試験時の拘束圧付加によって密度が大幅に 増加することが明らかとなったため,以下に示す3種類 の方法で供試体の作製を行った。 方法1(緩詰め) :空中落下法(落下高さ0cm) 方法2(中密詰め) :空中落下法+振動締固め 空中落下法で試料投入後,振動バイブレータを用 い,3分間の加振を行う。 方法3(密詰め) :静的締固め φ5cmのモールド内に所定の間隙比になるよう試 料を投入し,全断面ピストンを介して静的圧縮装置 により締固めを行う。 (2) 山砂Bの供試体作製方法 山砂Aの細粒分を除 去した山砂Bについては,空中落下法を用いて供試体の 作製を行った。予備試験結果から乾燥密度と落下高さ の関係を把握し,以下の3種類の落下高さによって供試 体の作製を行った。 方法1(緩詰め) :空中落下法(落下高さ10cm) 方法2(中密詰め) :空中落下法(落下高さ30cm) 方法3(密詰め) :空中落下法(落下高さ50cm) 2.2.2 試験手順と繰返し載荷方法 Fig. 3に試験お よびデータ整理のフロー図を示す。供試体の作製終了後, 脱気水,炭酸ガスおよび背圧を用いて供試体を飽和させ, 有効拘束圧σ’0=98kPaで等方圧密を行っている。それぞれ の作製方法で得られた供試体の等方圧密後の平均間隙比 Table 1 基本物性 Soil Properties Fig. 2 粒径加積曲線 Grain Size Distribution Curve

Fig. 3 試験およびデータ整理のフロー図 Flow chart of Examination and data analysis

1. 1. 1. 1.供試体の作成供試体の作成供試体の作成供試体の作成 2. 2.2. 2.繰返し非排水三軸試験繰返し非排水三軸試験繰返し非排水三軸試験繰返し非排水三軸試験 繰返し回数一定 繰返し回数一定繰返し回数一定 繰返し回数一定(20(20(20波(20波波))))波 3. 3. 3. 3.排水による圧縮量測定排水による圧縮量測定排水による圧縮量測定排水による圧縮量測定 4. 4. 4. 4.データ整理データ整理データ整理データ整理 ( ((

(εεεεvvvv,γ,γ,γ,γmaxmaxmaxmax,,,,σσσσdddd/2/2/2/2σσ’σσ0000))))

5. 5. 5. 5.沈下特性の検討沈下特性の検討沈下特性の検討沈下特性の検討 ε ε ε

εvvvv~γ~γ~γ~γmaxmaxmaxmax,,,,FFFFLLLL((((σσσσdddd/2/2/2/2σσσσ’0000))))~γ~γ~γ~γmaxmaxmaxmax

F FF FLLLL~~~~ εεεεvvvv 繰返し応力振 繰返し応力振 繰返し応力振 繰返し応力振 幅比、間隙比 幅比、間隙比 幅比、間隙比 幅比、間隙比 をパラメータと をパラメータと をパラメータと をパラメータと して繰り返す して繰り返す して繰り返す して繰り返す 有効拘束圧 有効拘束圧有効拘束圧

有効拘束圧σσσσ’0 0 0 0 = 98kPa= 98kPa= 98kPa= 98kPa

体 積 圧 縮 試 験 体 積 圧 縮 試 験 体 積 圧 縮 試 験 体 積 圧 縮 試 験 0 20 40 60 80 100 0.001 0.01 0.1 1 10 粒径D(mm) 通過 質量百 分率 (% ) 山砂A 山砂B シルト分 14.10 粘土分 5.50 0.28 1.446 1.595 山砂B 2.746 0.00 山砂A 2.736 細粒分含有率(%) 最小間隙比 emin 19.60 1.106 0.892 0.722 1.134 1.304 0.24 1.413 最大密度 ρdmax(t/m 3 ) 最小密度 ρdmin(t/m 3 ) 土粒子密度(t/m3) 最大間隙比 emax 平均粒径 D50(mm)

(3)

をTable 2に示す。 Table 2に示したそれぞれの試験ケースについて,繰返 し応力振幅比を10種類程度変化させた体積圧縮試験を行 った。試験には繰返し三軸試験装置を使用した。試験方 法としては,等方圧密後,周波数0.1Hzの正弦波を用いて, 繰返し回数を一定(20回)にした繰返し非排水三軸試験を 行っている。繰返し載荷終了後,排水コックを開けて過 剰間隙水圧を消散させ,それに伴う体積変化量の測定を 行った。体積圧縮試験の概念図をFig. 4に示す。 試験結果は,それぞれの軸差応力σd,軸ひずみε1およ び過剰間隙水圧Δuの時刻歴波形を整理し,繰返し回数20 回目の値を読み取っている。また,本文中で使用してい る最大せん断ひずみγmaxおよび体積ひずみεvは,次式に よって算出している。 γmax=1.5⋅ε1DA 2 ……… (1) εv =∆V V ……… (2) ここで,ε1DA:繰返し回数20回目の両振幅軸ひずみ ΔV :過剰間隙水圧の消散に伴う体積変化量 V :試験前の供試体体積 3. 体積圧縮試験結果 3.1 波形データ Fig. 5,6にそれぞれ山砂Aおよび山砂Bの軸差応力,軸 ひずみ,過剰間隙水圧の時刻歴波形を示す。 いずれのケースも繰返し回数が20回目で両振幅軸ひず みが10%を超えた試験結果であるが,等方圧密後の間隙比 は山砂Aが0.874,山砂Bが0.900と,その値は比較的近い のにも係わらず,山砂Aでは繰返し応力振幅比が0.273, 山砂Bでは0.167と0.1以上の差が生じている。 次に,軸ひずみおよび過剰間隙水圧の時刻歴波形に着 目すると,細粒分を含む山砂Aでは,繰返し回数9回目で 70kPa付近まで水圧が上昇しており,初期の水圧上昇は早 いものの,98kPaに達するのは19回目付近と,その後の水 圧上昇は比較的遅い。また,軸ひずみにおいてもその傾 向は同様であり,繰返し回数9回目付近からひずみが顕著 に現れ,その後徐々に増加している。それに対し細粒分 を含まない山砂Bでは,過剰間隙水圧が70kPaに達するの は繰返し回数16回目付近と山砂Aに比較して遅くなって Table 2 等方圧密後の平均間隙比 Mean Void Ratio after Consolidation

Fig. 4 体積圧縮試験の概念図 Outline of Volume Compression Test

Fig. 5 時刻歴波形

(山砂A 中密詰め e=0.874 繰返し応力振幅比0.273) Time Histories of Specimen A

Fig. 6 時刻歴波形

(山砂B 緩詰め e=0.900 繰返し応力振幅比0.167) Time Histories of Specimen B

0 20 40 60 80 100 0 5 10 15 20 繰返し回数N 過剰 間隙 水圧 Δ u ( kP a) -10 -5 0 5 10 軸ひず み ε 1 ( % ) -60 -40 -20 0 20 40 60 軸差 応力 σ d ( kN / m 2) -40 -20 0 20 40 軸 差応力 σ d ( kN /m 2) -15 -10 -5 0 5 10 15 軸ひず み ε 1 ( % ) 0 20 40 60 80 100 0 5 10 15 20 繰返し回数N 過剰 間隙水 圧 Δ u ( kP a) 試料名 平均間隙比 緩詰め :空中落下法(0cm) 0.97 中密詰め :空中落下法(0cm) + 振動締固め 0.90 密詰め :静的締固め 0.73 緩詰め :空中落下法(10cm) 0.88 中密詰め :空中落下法(30cm) 0.84 密詰め :空中落下法(50cm) 0.78 山砂A 山砂B 試験ケース σ'c σ'c σ'c τc σd 体積ひずみ 排水量ΔV 過剰間隙水圧 の発生 繰返し回数 20 回

V

V

v

=

ε

(4)

いるにも係わらず,繰返し回数19回目には98kPaまで急激 に上昇し,液状化に至っている。その傾向は軸ひずみに も同様に現れており,繰返し回数18回目以降,明確にひ ずみが生じはじめると急激に増加している。これらのこ とから,細粒分含有率の違いにより,両振幅軸ひずみが 10%を超える繰返し応力振幅比や過剰間隙水圧の上昇過 程が大きく異なるといえる。 3.2 体積ひずみと最大せん断ひずみの関係 Fig. 7にそれぞれ山砂Aおよび山砂Bの体積ひずみεvと 最大せん断ひずみγmaxの関係を示す。実線が今回の試験 結果であり,破線が石原ら1)の結果である。また,図中に は20波以内の早い段階で最大せん断ひずみが15%近くま で増加してしまった試験結果に関しても(◇),(□),(△) として参考までにプロットしている。 細粒分を含む山砂Aの試験結果に着目すると,試験時に 受ける最大せん断ひずみが大きくなるに従い,過剰間隙 水圧の消散に伴う体積ひずみが増加する傾向が伺える。 このことから,過剰間隙水圧の消散に伴う体積変化量は 最大せん断ひずみに大きく依存しているのがわかる。 以上の傾向は細粒分を含まない山砂Bおよび石原らの 試験結果にも現れており,細粒分の有無に係わらず同様 な傾向を示している。しかも,いずれの試験ケースにお いても試験時に受ける最大せん断ひずみがおおよそ9%を 超えたあたりから,体積ひずみの増加量が低下し,ほぼ 一定の値を示しているのがわかる。また,その値は等方 圧密後の間隙比の大きさによって異なっている。このこ とから,液状化後の体積ひずみは液状化時のせん断ひず みに大きく依存し,その大きさおよび最大値は間隙比に よって異なるといえる。 3.3 間隙比による最大体積ひずみの推定 3.2節の結果を踏まえ,間隙比に着目し,整理を行った のがFig. 8である。Fig. 7に示した試験結果の内,最大 せん断ひずみγmaxが9%を超えるケースに関する体積ひず みεvと間隙比の関係を示している。図から明らかなよう に,山砂Aおよび山砂Bの試験結果は,細粒分の有無に係 わらず,間隙比が大きくなるに従い体積ひずみの最大値 が増加する傾向は同様であり,山砂A,Bとも若干のバラ ツキが見られるもののそれぞれ一つの曲線上に収束して いるのがわかる。また,Fig. 9はFig. 8に石原らおよび 国生ら2)の試験結果を加筆したものであるが,他の試験結 果においても同様の傾向が現れており,これらの試験結 果はほぼ同一線上に位置しているといえる。これらのこ とから,液状化後の最大の体積ひずみは,細粒分の有無 に係わらず間隙比に大きく依存していることがわかる。 したがって,細粒分を多く含む砂でも間隙比が分かれば, 液状化による沈下量もある程度予測できることが推察さ れる。ちなみに,Fig. 7,8に示す各間隙比ごとの体積ひ ずみの最大値は,Fig.9に示す各試料毎の試験結果の近似 曲線を用いて算出したものである。 Fig. 7 体積ひずみと最大せん断ひずみの関係 Relationship between Volumetric Strain and Maximum Shear Strain

Fig. 8 最大体積ひずみと間隙比の関係 Relationship between Volumetric Strain and Void Ratio

Fig. 9 他の試験結果との比較 Comparison with another Results

0 1 2 3 4 5 6 7 8 0.4 0.6 0.8 1 1.2 間隙比 e 体積ひ ず み ε v (% ) 山砂A γmax>9% 山砂B γmax>9% 石原ら 山砂A 山砂B 国生ら(成田砂) 国生ら(利根川砂) 国生ら(豊浦砂) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0.4 0.6 0.8 1 1.2 間隙比 e 体積 ひ ず み ε v (% ) 山砂A γmax>9% 山砂B γmax>9% 山砂B e=0.88 山砂B e=0.84 山砂B e=0.78 山砂A 山砂B 山砂A e=0.73 山砂A e=0.97 山砂A e=0.90 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 2 4 6 8 10 12 14 16 最大せん断ひずみ γmax(%) 体積ひ ず み ε v (%) 山砂A e=0.97 山砂A e=0.90 山砂A e=0.73 石原ら e=0.85 e=0.80 e=0.74 γmax=9% 山砂A 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 2 4 6 8 10 12 14 16 最大せん断ひずみ γmax(%) 体積ひ ず み ε v (%) 山砂B e=0.88 山砂B e=0.84 山砂B e=0.78 石原ら e=0.74 e=0.80 e=0.85 γmax=9% 山砂B

(5)

3.4 繰返し応力振幅比と最大せん断ひずみの関係 次に,繰返し非排水三軸試験における繰返し応力振幅 比σd/2σ’0と最大せん断ひずみγmaxの関係をFig. 10に示 す。いずれのケースにおいても試験時の繰返し応力振幅 比が大きくなるに従い,最大せん断ひずみも増加してお り,曲線の勾配が右上がりになる傾向が伺える。また, 両ケースとも間隙比が小さくなるに従い,繰返し応力振 幅比が大きくなる傾向を示している。 次に,各曲線毎に最大せん断ひずみγmax=3.5%(両振 幅軸ひずみε1DA≒5%)となる繰返し応力振幅比を液状化 強度Rとし,細粒分の有無によるその大きさの違いを比較 してみると,山砂Bの液状化強度に対して,山砂Aは全体 的に液状化強度が大きくなる傾向を示している。その差 を間隙比がほぼ同じ値となる山砂Aの中密詰めのケース (e=0.90)と山砂Bの緩詰めケース(e=0.88)で比較すると, 山 砂 A の 中 密 詰 め (R=0.263) の 方 が 山 砂 B の 緩 詰 め (R=0.166)より約1.6倍程度液状化強度が大きくなってい るのがわかる。このことは,間隙比により算出される液 状化後の体積ひずみの量は同程度でも,細粒分含有率の 影響によってその液状化強度は大きく異なることを現し ている。 3.5 液状化に対する抵抗率と最大せん断ひずみの関係 Fig. 10に示す各ケースの曲線における最大せん断ひ ずみγmax =3.5%の繰返し応力振幅比を液状化強度Rとし, 液状化に対する抵抗率FLの算出を次式により行った。 力振幅比 試験に用いた繰返し応 液状化強度 R = L F ………(3) 山砂Aおよび山砂Bにおける液状化に対する抵抗値FLと 最大せん断ひずみγmaxの関係をFig. 11に示す。 液状化に対する抵抗率で整理を行うと,山砂A,Bとも 最大せん断ひずみが3.5%未満では,間隙比が小さくなる 程,最大せん断ひずみが大きくなっている。また,最大 せん断ひずみが3.5%を超えると,間隙比が小さいものほ ど最大せん断ひずみが小さくなっている。この傾向は細 粒分の有無に係わらず同様である。 3.6 液状化に対する抵抗率と体積ひずみの関係 Fig. 7およびFig. 11を用いて得られた山砂Aおよび山

砂Bの液状化に対する抵抗率FLと体積ひずみεvの関係を Fig.12に示す。図中の破線は,石原らの提案曲線である。 細粒分を含む山砂Aの試験結果に着目すると,液状化に 対する抵抗率が1.1以上の場合では間隙比の差による体 積ひずみの違いはほとんど見られないが,1.0を下回るあ たりから,間隙比による差が徐々に現われ始めている。 また,間隙比が小さくなるに従い体積ひずみも小さくな っており,その傾向は石原らの試験結果と良く対応して いる。 次に,細粒分を含まない山砂Bの試験結果をみると,間 隙比が小さくなるに従って体積ひずみが小さくなる傾向 は山砂Aと同様である。また,間隙比が小さな密詰めのケ ースにおいては,石原らの試験結果と同様に,液状化に 対する抵抗率が急激に低下する傾向が現れている。 これらの試験結果を全体的に評価すると,間隙比に着 目すれば,細粒分を多く含む地盤についても従来の沈下 予測手法の考え方を適用することによって沈下量を予測 Fig. 10 繰返し応力振幅比と最大せん断ひずみの関係 Fig. 11 液状化に対する抵抗率と最大せん断ひずみの関係 Relationship between Stress Ratio Relationship between Factor of Safety and Maximum Shear Strain for liquefaction and Maximum Shear Strain

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 5 10 15 最大せん断ひずみ γmax(%) 繰返し 応 力振幅比 σ d /2 σ '0 山砂A e=0.73 山砂A e=0.90 山砂A e=0.97 γmax=3.5% 山砂A 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 5 10 15 最大せん断ひずみ γmax(%) 液状化に 対 す る抵 抗率 F L 山砂A e=0.97 山砂A e=0.90 山砂A e=0.73 γmax=3.5% 山砂A 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 5 10 15 最大せん断ひずみ γmax(%) 繰返し 応力振幅 比 σ d /2 σ '0 山砂B e=0.78 山砂B e=0.84 山砂B e=0.88 γmax=3.5% 山砂B 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 0 5 10 15 最大せん断ひずみ γmax(%) 液状 化に 対す る抵抗率 F L 山砂B e=0.88 山砂B e=0.84 山砂B e=0.78 γmax=3.5% 山砂B

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することが可能であることがいえる。 Fig. 13は兵庫県南部地震後のポートアイランドおよ び六甲アイランドにおける地盤改良域と非改良域の沈下 量の実積データの例を示している3)。この図から,地盤の 改良程度に応じて地震終了後の沈下量が異なることがわ かる。これは,地盤改良により間隙比が減少し,液状化 に対する抵抗が増加したためと考えられ,Fig. 12と良い 対応を示している。

また,Table 3はFig. 12の山砂Aの試験結果を用いて, 間隙比と液状化に対する抵抗率から沈下量を算出した例 を示している。ここで,沈下量の計算は対象層厚が20m の場合を想定している。この表に示すように,対象とな る地盤の間隙比と液状化に対する抵抗率(FL)が求まれば, 液状化の程度に応じた地盤の沈下量を算出することが可 能であることがわかる。 4. おわりに 砂地盤が液状化した際の沈下量を簡易的に予測する手 段として,従来から石原らの提案手法がよく用いられて きたが,この手法は元々,細粒分含有率の少ない砂を対 象とした試験結果から求められたものであるため,細粒 分が多い地盤の場合にはやや問題があった。 そのため,本研究では細粒分を多く含む砂を主な対象 として体積圧縮試験を行い,以下に示すことが明らかと なった。 1) 液状化後の体積ひずみは,液状化時のせん断ひずみ に大きく依存している。 2) 細粒分の有無に係わらず,間隙比により液状化後の 最大体積ひずみを評価できることがわかった。 3) 砂の間隙比で整理すれば,細粒分の有無に係わらず 細粒分含有率の少ない砂の予測と同様の手法を用い て液状化の程度に応じた沈下量の予測が可能である ことがわかった。 参考文献

1) Kenji Ishihara,Mitsutoshi Yoshimine : Evaluation of Settlements in Sand Deposits Following Liquefaction during Earthquakes , SOILS AND FOUNDATION Vol.32,pp.173-188,(1992) 2) 国生 剛治,長崎 清:密な砂地盤の液状化後の沈下特 性,第19回土質工学研究発表会,pp.563-566,(1984) 3) 阪 神 ・ 淡 路 大 震 災 調 査 報 告 書 : ( 社 ) 地 盤 工 学 会 , pp.171-228,(1996) Fig. 12 液状化に対する抵抗率と体積ひずみの関係

Relationship between Factor of Safety for liquefaction and Volumetric Strain

Fig.13 地震時沈下量と地盤改良工法3)

Comparison of Ground Subsidence in Zones Treated with Different Method

Table 3 沈下量の算出例 Calculation of Settlements 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 0 2 4 6 8 体積ひずみ εv(%) 液状化 に 対 す る 抵 抗率 F L 山砂A e=0.97 山砂A e=0.90 山砂A e=0.73 石原ら e=0.90 (Dr=30%) e=0.85 (Dr=40%) e=0.80 (Dr=50%) e=0.74 (Dr=60%) e=0.97 e=0.97e=0.97 e=0.97 e=0.90 e=0.90 e=0.90 e=0.90 e=0.73 e=0.73 e=0.73 e=0.73 山砂A 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 0 2 4 6 8 体積ひずみ εv(%) 液状 化に 対す る 抵 抗率 F L 山砂B e=0.88 山砂B e=0.84 山砂B e=0.78 石原ら e=0.74 (Dr=60%) e=0.80 (Dr=50%) e=0.85 (Dr=40%) e=0.88 e=0.88e=0.88 e=0.88 e=0.84 e=0.84 e=0.84 e=0.84 e=0.78 e=0.78 e=0.78 e=0.78 山砂B 0.7 0.8 0.9 FL=1.1 10 10 11 FL=1.0 22 33 47 FL=0.9 51 76 107 単位:cm 間隙比 e

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