西ドイツ連邦大統領
著者
名雪 健二
著者別名
K. Nayuki
雑誌名
東洋法学
巻
23
号
2
ページ
91-116
発行年
1980-04
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006045/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja西ドイ
ツ連邦
大統領
名
雪
健
二
一、はじめに 二、地位および性格 三、選挙および任期 四、権限 五、おわりに ︸、はじめに ボン基本法︵U霧窪嘗R♀欝凝の器欝︶は、その第五章、第五四条から第六一条までとくに一章を設けて、連邦大 統領︵国§留ω嘆琶留露︶について規定している。もっとも、連邦大統領に関する規定は第五章においてだけではなく 基本法全体にわたってみられるが、本稿においては、それらの規定全般にわたらず、とくに第五四条から第六一条の 規定を中心に、連邦大統領の地位および性格、選挙および任期、さらにその権限について若干の検討を加えてみた 東洋法学 九一い o 西ドイツ連邦大統領 もっとも、本稿は、今後連邦大統領を研究していく上での序ともいうべきものである。 九二 二.地位およぴ牲格 ボン基本法は、その第五章に連邦大統領について規定している。しかし、この規定は、ヴァイマール憲法︵⇔冨 ≦⑲欝嬉裡嚢く灘鑓毒 ・警薦︶におけるライヒ大統領︵簿繊。ぼ噂羅鶏 ・鑓欝轡︶についての規定と比較してみると、連邦大統領の 地位お・・憾び権限は著しく異なひている。このことは、連邦大統領、︷ついての規定が連邦政府に関す添規定以上に変更 されていることからも知ることができよう。ヴ一.イマール共和国においては、行政権の担い手としてはライヒ大統領 とライヒ首相︵鱒甑&欝ζ欝欝︶を擁するライヒ政府︵潟勲魯な 。轡薦幽灘欝織︶であったが、実霞しは政府の弱体化が舅立 ち.その反動的結果として強力な大統領が出現し、大統領が独裁的にその権力を行使したのである。その例として. 第二代大統領ヒンデンブルク︵評糺く霧題賎露欝茜M総餐⋮︸器轟︶は、独裁的に首相を任命しかつ罷免したのであ る。誰・の根底には.大統領が政党の協働なくして.大統領の意思によって恣意的にライヒ政府を建設しようとする大 ︵!︶ 統領内閣︵男鐵。 。箆芭訂ぼ器5の理論がまかり通っていた。この大統領の独裁が、のちにナチスの拾頭を惹起せしめ たのである。これについて、基本法制定会議︵O霧評詩鱒窪鑓蔚讐Φ沁簿︶において、ナチスの独裁は大統領園家 ︵2︶ ︵ギ艶島器欝暮︶から発達したとしており、これが結局ヴァイマール共和国における議会制民主主義を変質せしめる要 素となったのである。 ヴプイマ⋮ル憲法の下において、ライヒ大統領は、国民によって直接に選挙され、その任期は七年の長期であっ
た。しかも、大統領には独自にライヒ議会を解散できる権限が与えられており︵鮒海劉タ引卿︶、また、緊急命令を発布 することができる非常措置権が与蒼れて健︵關錘.さらに、国防軍に対する統羅も有して健︵轡鰻︶.しか しながら、ライヒ大統領にはこれらの権限に限られることなく、かなり広汎な権限が与えられており、他のライヒ機 関と比して非常に強力な地位にあった。 ラィヒ大統領が、強力な地位に基づき行政権を掌握すると、いきおい独裁的になるのは当然の結果といえよう。一 ︵3︶ 方の行政権の行使者である政府は、先にもふれたように、非常に弱く不安定な地位に置かれていた。この結果、ヴァ イマール憲法においては、 ﹁強い大統領と弱い政府﹂とが対置しているという現象にあった。 こうした大統領の独裁というヴァイマール憲法の経験を繰り返えさないように、基本法制定会議においては大統領 制をなくすことで解決しようとはせず、むしろあらたな憲法の中で大統領の権限を制御することによって、大統領制 ︵婆︶ への性向を除去しようとした。 基本法における連邦大統領の規定に関して、その準備工作としてのヘレンキームゼー︵頃巽お蓉獣Φ白ω8︶草案の段 階においても、多数の専門家の意見は、連邦大統領を制度として是認しようとした。もっとも、連邦大統領の地位は ヴァイマール憲法とくらべると著しく削減きれたが、その存在は異なる連邦機関の間で調整機能を行使しうる制度と ︵5︶ して是認された。そして、連邦大統領は、国民によって選挙きれるのではなく、連邦議会︵劇謹留韓品︶と比例代表 の原則にしたがって各ラント議会が選挙する同数の議員から構成される連邦会議︵ω猛8零角鋸窪留ζあ︶で選挙され ることになり、組閣︵幻①αq殉費§αQ。 ・竃α毒σR︶に対する決定的影響力を有していない。また、連邦大統領は、特殊な場合
東洋法学
九三西ドイッ連邦大統領 九四
においてのみ連邦議会解散権︵鉱器力o畠轡讐鷹貯亀富§α薩留訟騨露α霧欝αqの︶を持つにすぎない。連邦大統領は、緊急 命令権を有すべきではないとし、さらに、連邦行政︵¢ o騒儀霧霧警&S︶にも協力すべきではないとした。 ボン基本法制定会議においても、連邦大統領の規定に関してヘレンキームゼー草案と同じ路線で審議がなされたの ︵6︶ であり、結局.連邦大統領は制度として是認されたのである。しかし.連邦大統領を一制度として存置するためには、 ヴァイマール・ラぜヒ大統領と比して薯しくその地位および権限が縮少きれねばならなかった。欝、のために.ヴァイ マール窯≧下における大統領独裁∼煮起せしぴ .匙.因とな参うる可能性胤除去せしめようとして. ﹁執行部の権限剥 奪﹂ ︵轡欝難講ぼ欝鵬蜘灘轡認ざ織毒︶が考えられた、つまり、連邦大統領の地位は、ヴグイマール憲法下にゆけ畔⇔ラ ィ鷺大統領に帰属していたような権限は与瓜られてはならず、大統領に代って連邦首相の地位藤輪ヴノィマール・ラィ ヒ首相のそれより強化することにあった.しかし、 ﹁執行部の権限剥奪﹂といっても、基本法は、 ︵蜘冨 噂鷺鐵鯵鶴鑓甑蓉ぎ麟警噂韓鷲欝εによって選挙された大統領になお厳格に制限された権限を与えながらも.連邦大統 領の最高国家指導への独立したかつ決定的参加を拒否している。これによって、ヴァイマ⋮ル・ライヒ憲法に対して 議会に責任を負わない執行部の領域が限定されるなら.これは﹁執行部の権限鋼奪﹂ではなくて、連邦政府、とくに連 ︵7︶ 邦首相への執行権の置き換えを意味するのである、たしかに、基本法において連邦政府に対する連邦大統領の権限 は、ヴプイマール時代におけるライヒ政府に対して.ライヒ大統領が有していた権限とくらべると著しく狭められて いる。このことは、結局﹁弱い大統領﹂ ︵Φぎ萄 な島壌似畠霧鍵汐似。 。箆⑫濤︶に﹁強い首相﹂︵臨鵠萄 段葺詩R霧図餌器一巽︶が ︵8︶ 対置するというヴプィマール共和国とは全く逆の現象である。このように、基本法における連邦大統領にはライヒ大統領が有していたような強大な権限︵嚇礪儲鞭擁奪軍︶はなく、 その地位は、連邦首相および連邦政府との関係において、ヴァイマ!ル時代の経験に基づいて意識的に弱められたの ︵9︶ である。 こうした連邦大統領は、政府あるいは連邦もしくはラントの立法機関への所属並びに他の有給職、営業およびその 他の職業並びに企業の理事会︵い魯猛αq︶あるいは監査役会︵︾勢8ぼω難︶における協働は大統領の職務と相容れな い︵雌躰雑第︶とし、連邦大統領の中立性を保とうとしている。 ︿註V ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ 清水望、﹁西ドイッの政治機構﹂、昭和四四年、二七五頁。 同、前掲書、二七六頁。 一九一九年から一九三三年までの一四年間些二もの内閣が解体されたのであり、このような現象からみてもいかに政 府の地位が不安定であったかが推察できる。これについては、薫聾巽ω3島⋮U角ω§傷霧榎鐘8馨q注籔の閃琶α$ 話αq制憲誌..︸9Φ黙o馨一一畠Φ<Φ毫聾きαq︸一逡P鎖興置ふ9鉾ω蕊輿 清水、前掲書、二七六頁。 ω霞磐炉鋤聾。○‘ψ⑳醤9 基本法制定会議における連邦大統領の規定に関して、多数意見は大統領を制度として残すことを主張したが、ドィッ社 会民主党︵ω鼠巴留讐o鐸鋤静畠①噂帥旨臥Uo9ωo乞き島藝ω男U︶の代表者は、委員会において連邦大統領に代つてその機能 を連邦議会の議長に移すべしと主張した。また、連邦議会および連邦参議院の議長並びに連邦首相の三人から構成される 連邦首脳部︵野巳8短鐘αぼ導︶を形成すべしとする意見もあ︵た。ω緯窪炉鉾勲ρ幹⑩お・∼鎮弩αqo冠マ箆oぎ・U霧 切s器吋○讐昌凝①。 。o葺曽>綴炉¢ づ傷戸お。9ω。一8一● 東 洋法学 九五
︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ 西ドイツ連邦大統領 九六 鋭8峯伽螢①器99碁留凝Φ号ω<①鈎霧霊薦。 Qお。窪。 9瓢醇切慧匿ω欝雲駕鰐ご①繋ω。三き︵どチΦ轟鑓醤冨︾猟r︸零合幹謡伊 ↓ぎ&震竃働毒斜ご①緯G 9息お后 9ω欝纂翰o魯“お●︾気一こ お隷︸o っ●ω。ド 雲獣a頃⑦導鷺ユo詳9憲凝霧象撃諏9凝同蓉緊鶉び︸一墜αq魯く○訪ぎαqO<○雛竃欝の詳鮮酬鉾一零9も a転,①お珊 三.選挙および任期 基本法にいう連邦大統領は、ドイツ連邦共和国の最高機関︵曝 祭纂器馨薦欝︶であり.国.の通常の意昧における長・ ︵茎︶ のる、つまり.慮、邦大統領は、ど邦共和国を対外的には国際法上述邦受代表し.その名において外礪、隔.乗約 の締結等をなす.また、対内的には連邦大統領は、連邦裁判官や連邦官吏の任免権、恩離梶難を有している、 ︵2︶ こうした国家元首としての連邦大統領は、基本法の下でいかにして選挙されるのか。また、その任期について述べ てゆくことにする。 連邦大統領の選挙であるが、これは通常大統領制国家においてみられるような国民による直接選挙ではない。ヴァ イマール共和国においてライヒ大統領は.国家元首の権威を高めるための手段として直接国民によって選挙された国 家元首であった。これに対して、基本法における連邦大統領は、国民の代表たる議会によって選挙される国家元首で ︵3︶ ある。大統領の議会による選挙の出現は、ヴァイマール時代に国民によって直接に選挙されたライヒ大統領と議院内 閣制との混合形態がヴァイマール共和国を崩壊せしめるにたる動機であった、ということを理由としていた。 このように、基本法の下では国民による大統領の直接選挙を廃し、連邦大統領は.連邦議会と比例代表の原則にし
︵4︶ たがって各ラント議会が選挙する同数の議員から構成される連邦会議によって選挙されることになった。連邦大統領 の選挙について基本法第五四条は、次のように規定している。 第五四条 ︹連邦会議による選挙︺ ω 連邦大統領は、連邦会議により、討議によらないで、選挙される。連邦議会︹議員︺の選挙権を有し、か つ、四〇歳に達したドイツ人は、すべて被選挙権を有する。 ω 連邦大統領の任期は、五年である。ひきつづいての再選は、一回にかぎり、許される。 ⑥ 連邦会議は、連邦議会議員と、ラントの議会が比例代表の原則にしたがって選挙するこれと同数の議員とに よって構成される。 ㈲ 連邦会議は、おそくとも、連邦大統領の任期満了の三〇日以前に、また、任期前の︹職務︺終了の場合に は、おそくとも、この時から三〇日以内に、集会する。連邦会議は、連邦議会議長によって招集される。 ⑥ ︹連邦議会の︺被選期間経過後は、第四項第一段の期間は、連邦議会の第一回の集会とともに進行する。 ⑥ 連邦会議議員の過半数の投票をえた者が、 ︹連邦大統領︺に選挙される。候補者のいずれもが、二回の選挙 手続において、このような過半数をえないときは、さらに行われる選挙手続において最多数の投票をえた者が、選 挙きれる。 ︵4︶ の 詳細は、連邦法律で、これを定める。 以上、ここに掲げた規定からみても明らかなように、基本法は連邦大統領の選挙機関を連邦会議としたのである。
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西ドイツ連邦大統領 九八 連邦会議による大統領選挙制度は、大統領制を採用している国にみられるような制度とは異なる。つまり、基本法で は.全国民によって大統領を選挙するのでもなく、国民の選挙した選挙人︵6犀茜霧窪臣巧静疹餌霧鶏︶によって大 統領を選挙するのでもない。また、大統領の選挙を連邦議会にまかせているのでもなく.連邦議会と連邦参議院の合 ︵6︶ 同による大統領の選挙をもまかせてはいないのである。基本法がヴプイマール時代の経験から.全国民に、よる直接の 大統領選挙を騰し、さらに、アメリカ流の大統領選挙制度をも採用せず.連邦会議による大統領選挙というむしろ先 ハマ︶ のフランス流の大航霞制べ,・採用したのであ鎧。濠た、基本法が連邦﹃嬰ヂ員と遠邦酢童院廃員の禽同に鵠蜘磯連邦大統 領の選挙を否認しているのは.結局数において少数の連邦参議院の意見が選挙におよぼす影響を取るにたらないもの ︵暮﹀ じするであろうとの..欝えに蒸づいていると思える、ここに、基本法が連邦議会と全ラント議会との結禽によ蔭、大統領 の選挙を考えたことは、これによって遠邦制の立場を再認識し、かつラント議会の参加によリラント側の影響力茄、強 ︵9︶ 力なものにさせ、民意を反影せしめようとしたのであろう。かようにして、連邦大統領は、その選挙機関としての連 邦会議によって選挙される・ここにおいて、連邦会議議員の過半数の投票をえた者が・大統領に選ばれ︵欄斑鞠燦騰︶. この過半数が二回の選挙手続においてえられないときは.さらに行なわれる選挙手続で最多数の投票をえた者が選ば れゑ禦段︶、 また.遮邦大統領の被選挙資格︵≦鋒笹簿陣魯︶であるが、これについては第五四条第一項の制限規定がある。つ まり、侯補者︵8械εお霧3一茜Φ器麟毬伽箆暮︶は、次に掲げる三つの要件を満たさなければならないのである。 ω 大統領候補者は. ﹁すべてのドイツ人は被選挙権がある﹂ ︵≦跨笹鶏翼㎞&葭U窪欝。匿︶ということから、
﹁ドイツ人﹂であることを要する。しかも、この﹁ドイツ人﹂とは、ドイツに国籍を有する者︵ご①暮る 。畠段ω欝象鐙㌣ ︵鉛︶ αq 魯鼠αqΦじ、あるいは第二六条による﹁ドイツ人﹂であらねばならない。また、基本法は、 ﹁すべてのドイツ入﹂ ︵H︶ ︵捻︶ ︵密αRU①暮ω魯①︶と男性の表現を用いているが、第三条第二項の原則に基づき、女性にも被選挙権があるのは論を またない。 ︵13︶ ㈲ 大統領侯補者は、第三八条第二項にいう選挙権︵伽器算馨①≦警富畠酔︶を有していなければならない。 ⑥ 大統領候補者は、少なくとも四〇歳に達した﹁ドイツ入﹂であることが要求されている。 以上、三つの要件をあげたが、大統領候補者たるためにはこの三つの要件を具備していなければならず、このうち の一つでも欠けた場合には被選挙資格を喪失する。侯補者たるための要件は、この三つに限られ、それ以上は要求さ れていない。 次に、連邦大統領の任期︵︾欝富鼠器吋︶であるが、ヴァイマ⋮ル時代においては、国家元首としての大統領の権 威を高めるためにその選挙を国民による直接選挙とし、その任期も七年という長期であった。これに対して、基本法 は、ヘレンキームゼー憲法草案にしたがい、第五四条第二項第一段のところで大統領の任期を五年とした。大統領の 任期にづいての議論において、当時二つの見解があった。一つには、連邦大統領の任期が、ヴァイマール・ライヒ憲 法第四三条第一段第一段により、七年であったライヒ大統領の任期よりも短縮すべきであるとする見解である。二つ には、大統領の職務を占めることにより生ずる周期が、連邦議会と連邦首相の任期とできるだけ一致すべきではない とする見解である。このような見解を考慮して基本法は、大統領の任期を五年とし、連邦議会の選挙、それと同時に 東洋 法 学 九九
西ドイツ連邦大統領 一〇〇 連邦首相の選挙とも一致すべきではないとした。大統領の任期を連邦議会のそれよりも一年長くしたことは、これに よって連邦大統領の選挙と連邦首相の時期をずらすことができるからである。このことは、連邦大統領の候補者の選 ︵錘︶ 択が同時に行なわれる政党の合同討議︵図8浮ε霧話誉き躍猛αq韓︶によって決定きれる可能性があることから、任期 ︵葛︶ をず”らしたのである。 また、第晶項銘二段は.大統領の再選について規定している、そこでは.烹続の再選は一回に限り認められてい ザ心.ヴ畔、イ哩、⋮ル時代には大統領の任期は七年、その上再選に制限がない紛酌罫麹鰍瞬麗護、弘いう制度であった。鳳 のことが、結果的にはあの大読煩独裁を惹き起こした原因とい磁よう。 なお.連邦大統領の職務故障あるいは任期満了、溺に賎務が終了したときは、連邦擬議院の譲長によってその職務が 行なわれる︵鵜碑融条︶。これに対して.ヴプイマール憲法においてライヒ大統領は、ライヒ裁判所︵響綜訂α糞鵜甑象酔︶の 長官によって代表された︵劇脚鋤卸司熱︶。また.基本法は.連邦大統領が基本法あるいは他の連邦法律に故意に違反 したとき、連邦憲法裁判所︵切騒α霧お哩鑓器欝αqむ ・αq韓鼠もへの訴追によって任期満了前にその職務を終了せしめるこ
毒も認めている︵難謹。
︿註V ︵1︶ ≦巴け角ω鍵雲炉辞聾○“G o﹄“O o。 ︵2︶ ドイッ連邦共和国において. ﹁連邦大統領﹂を国家元首と明言している規定はないが、ヴァィマール・ライヒ共和国に おける﹁ライヒ大統領﹂を国家元首としていることから一致させ、また、国家元首としての名称は、普通共和国で﹁大統 領﹂という称号を与えている霞終的用語例とも一致させている。<咳鷺霧αqO鉱学匿ゆ劃鋤勢Pψ一8冒︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ もっとも、基本法第五九条第一項には、 ﹁連邦大統領は国際法上連邦を代表する﹂という文言からみて、連邦大統領は 国家元首であるとしていることに議論の余地はない。 マウンツ︵ζ磐震︶にいわせると、連邦大統領は﹁公選の国家元首﹂︵ぎ涛照①≦路詩。 q碧器諺o訂浮窪讐︶ではなくて、 ﹁議会で選挙される国家元首﹂ ︵短器欝窪爵駐畠αq①署似び譲ω望欝ぎ幕浮袋冥︶といっている。しかし、議会制的大統 領といっても、大統領はその任期中議会の多数派にも属さないし、その職務についても多数派から指示を受けることもし ない。このことは、マウンツ︵霞窪醤︶的にいえば議会制的大統領といえるが、議会から独立した︵ぎぎΦ︵冨ユ帥欝窪V 鼠匡。 ・畠Φ︾年ぎαq轄8一瞥︶大統領なのである。ζ雲震−ご辞一αq・O籍巳αq①ωo黄逸○簿導象欝びω傷督一霧9︾誌・興ψ卜o・ また、マンゴルトークライン ︵置弩αqo峯−霞Φぎ︶によれば、連邦大統領は単に議会制的大統領ではないとしている。 つまり、このことは、連邦共和国における議会のうち第一院としての連邦議会は第五四条第三項にしたがって、連邦会議 の議席の半数を占める。そして、連邦共和国における第二院としての連邦参議院は、連邦会議に意見を述べることは全く ない。さらに、連邦議会も連邦参議院も連邦大統領を退職せしめる権限を有しておらず、国民への訴えといったようなも のによってもなすことはできない。しかし、連邦会議における議席の他の半数は第五四条第三項にしたがってラント議会 により占められるから、連邦大統領は部分的には﹁直接的議会制的国家元首﹂ ︵のぎ慕鉱欝浮麩霧冨詩ヨ臼欝ユ。 。畠霧 ω鼠讐8訂渉磐讐︶、部分的には﹁間接的議会制的国家元首﹂ ︵Φぎ巨欝ヲ鍵霧窟詩導①馨銭。 。畠霧ω賦讐ω○び①島弩讐︶とみ なすことができるとしている。したがって、連邦大統領は、﹁公選大統領﹂でもなく、単に﹁議会制的大統領﹂でもな く、連邦会議という特別の創造機関の性質からみて﹁混合的直接的連邦制度﹂︵鉱奮αqo疑零窪藝巨欝一げ銭︷&R讐一奉 勝汐ユ畠婁βαq︶であるといっている。ダ鼠§αqo疑竿図ぴぎ︸勲勲P︸ψε8・ この連邦会議は、連邦の特別憲法機関ではあるが、常設の制度ではなく、単なる選挙機関である。そして、連邦会議 は、連邦大統領の選挙が唯一の任務であり、その目的のためにのみ召集される憲法機関なのである。[9鞍a頃o騨醤法oダ 勲鉾○こψ総ρ ボン基本法の条文の邦訳については、山田晟 ﹁ドイッ連邦共和国基本法﹂、宮沢俊義編、世界憲法集、第二版、昭和 五三年によった。
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︵8︶ ︵9︶ ︵欝︶ ︵難︶ ︵捻︶ ︵欝︶ ︵M︶ ︵欝︶ 西ドイツ連邦大統領 一〇二 竃馨鴇−O欝茜勲欝ρ”幹繕 現在.フランスの大統領選挙は、直接選挙によって行なわれ.任期は七年である。すなわち.フランスの大統領は、選 挙において過半凱をえた者が選ばれる。しかし、過半数をえた者がいないときは.上位二名の候補者について第二回投票 が行なわれ.多数ζ胤た者が選ばれる。 窯婁鶴−瀞騨ぎ騨艶○二G 毒ゆ響 ︾騨O轟娠 絵藤弼 第二六条講一項は. ﹁この塾本法の意瞭鵡おけるドイッ人とは.法律に別段の規定ある場合をのぞき・ドイッの国講 を有する者.まねはドイツ民族じ属する引許魯もしくは難民.窟たはその翫纏者もしく評灘属として.一九三七年ご一月 三一縫現在のドぜツ灘領域に受け入れられた者をいう﹂と規定し. 第二項ではコ蒸一一三年一月三〇購と一九瞬五年五繕八業とのあいだにおいて.政治的・人種的または.宗教的理欝に よって國籍を劉奪された蔭ドイツ覇籍所有者およびその卑馬は.串講によってふたたび帰化させられなければならない、 これらの者は.一九聾五年五月九鷺以後その住所をドイツに有し.かつ、反離の意思を表明しなかったかぎり.蟹籍を喪 失しなかったものとみなされる﹂と規定している。 第三条第二項は. ﹁勇子および女子は.同権である﹂と規定している。 ダ霞馨磐鑓掌箆⑲ぎ︶懸聾級O蓬難 ○﹂○譲ゆ 第三八条第二項は.﹁一八歳に達した者は.選挙権を有し.成年に達した者は.被選挙権を有する﹂と規定している。 尋置欝αRo鑓?魏ζp勲鋳Oこも っ舞震歴 これに関して.マン.識ルトークライン︵鷺きαQo鉱?践Φ欝︶によれば,﹁政党の合同討議における二つの職︵連邦大統 領および連邦首相︶に対する候補者指名の結含は、連邦大統領がその個入的独立性によってその権威を騒復させること ができないときは連邦大統領の権威を損うことになろう﹂とし.また、 ﹁連邦首相が基本法に定められた新選挙にしたが って選挙されねばならないとき、ないしは連邦首相が連邦議会の任期満了にょりその職を失なったとき.連邦大統領がわ ずかな時期でも存在しているということが定められた規定によってえられるべきである﹂と述べている。 悸駕器αq乱辛麟一①ぎ”鋤聾φ○こ幹一〇〇 〇財 四、権 限 これまで、連邦大統領の地位および性格、選挙および任期について概観してきたが、次に基本法に規定している連 邦大統領の権限についてみてゆきたい。 連邦大統領の権限であるが、ヴァイマール共和国におけるラィヒ大統領の権限と比較すると大いに異なる。ラィヒ 大統領には非常措置権、国防軍に対する統帥権、恩赦権並びにラィヒ議会解散権等々の強大な権限が帰属していたこ とは先にも述べたところである。しかし、一方において、ラィヒ大統領がだす命令や処分が有効であるためには、ラ イヒ首相および管轄ライヒ大臣︵勾鉱o訂鉱鉱馨震︶の副署が必要であった。こうしてみると、ライヒ議会に責任を負う ライヒ政府の意思に大統領はしたがわねばならなかったのである。このことは、議院内閣制度︵母の短疑箏①纂蝕。 ・畠o 男①σq一霞蓉αqω。 。誘富欝︶を採用していたに他ならない。しかし、先にも述べたように、大統領みずからが政府を樹立しよ うとする大統領内閣の理論によって、本来の意味における議会主義︵評匿筥窪欝膏蒙色は後退を余儀なくされた。 これに対して、ボン基本法においては、ヴァィマール時代のようなことが再び起こらないように、連邦大統領の権限 が著しく縮減されたことは何度も述べたところである。さらに、連邦大統領の選挙および任期についても変更がなさ れた。このようなことから連邦大統領には、もちろんヴァィマール憲法における非常措置権、軍隊に対する統帥権は ︵1︶ 否定され、連邦議会の解散については﹁特別の場合﹂においてのみその権限を行使しうるにすぎなくなったゆとはい
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西ドイツ連邦大統領 一〇四 レ え、本質的に国家元首に固有なものとしての権限については、先に掲げた権限ほど改革されはしなかった。以下、 本法に規定されている連邦大統領の権限についてみてゆくことにする。 基本法によれば、連邦大統領には次のような権限が帰属する。すなわち、 (i3)α2)(切⑬(9〉(8)(7)(6)⑥ω(3/(2)(! 連邦議会の召集を要求する︵諜厩鍬躁繍︶ 連邦を顧際法上代表し、外国レ島条約を締結しおよび外交使節を信任し接受する︵鱗冠職条︶ 防衛事態確定の公布および防衛事態存在に関し畔国際法上宣讐一隅をする盆卜七 連邦裁判官、連邦官吏.士官および下士官を任免する︵鱗紘卿条︶ 連邦のために恩赦権を行使する︵調麟謬 前述の@と㈲の権能を他の官庁に委託できる︵調麟第﹀ 連邦首相の選挙提議をなす︵聯納駈条︶ 連邦議会によって選挙された連邦首相を任免する︵綱鎌礫匙顎題鞭禰拡郷聯噸囎鞭籔︶ 特別な場合において連邦議会を解散する︵懸ハ叢繰礫細顯痛鷹︶ 連邦首相の提議に基づき連邦大臣を任免する︵聯ひ囎条︶ 連邦政府の職務規程を認可する︵鱗蹴灘条︶ 遠邦首相および連邦大臣の後継者を任命するまで職務続行の要請をなす︵鱗獣駄条︶ 立法緊急事態を宣言する︵鱗略膨条︶ 基
α心 連邦法律を認証し公布する︵傭鄭知燦鵬︶ ⑯ 連邦憲法裁判所へ告訴する︵噸麟聴購繊開砺鋸聯漱籠藤訟無凱藻獄既燦衆︶ 以上、連邦大統領に属する権限を列挙してみたが、連邦大統領に関する規定は結局第五章だけではなく、基本法全 般にわたって定められている。本稿においてはここに掲げた連邦大統領の権限のうち、第五章に規定されている権限 について検討してゆくことにする。 第一に連邦大統領は、連邦を国際法上代表し、外国と条約を締結しかつ外交使節を信任し接受する︵聯︷励条︶。連邦 大統領は、ヴァイマール憲法におけるライヒ大統領が﹁ライヒを国際法上﹂代表したと同様、 ﹁連邦を国際法上﹂代 表する。このことは、連邦大統領が﹁総体としての連邦共和国﹂︵ω毒8段①陰ぴ穿巴ω09 。醤窃︶を﹁外に向って﹂ ︵3︶ ︵鑓魯効島窪︶代表するのである。きらに、連邦大統領は、﹁申央国家としての連邦﹂︵α巽ω琶α号αR 浮導邑⋮ の欝象︶を国際法上外に向って代表するだけではなく、連邦国内的にも﹁内に向って﹂ ︵霊畠ぎ需p﹀代表するので ︵4︶ ︵5︶ ある。この規定からみて連邦大統領は、国際法上連邦共和国の代表者であり、 ﹁対外的に国家権力の具現者﹂といえ ︵6︶ る。このように連邦を国際法上代表する地位にある連邦大統領は、その地位において﹁外国と条約を締結する﹂ ︵⋮ ︵7︶ .:ω3濱孕蝕①く震嘗凝Φ菖け窪鴇跨辟お窪ω欝簿窪︶。この地位は、国際法が伝統的に承認する範囲と一致している けれども、連邦大統領が外交権を行使する場合、独立してかつ独断的になすことはできないのである。そこには基本 ︵8︶ 法第五八条による留保が存在する。つまり、連邦大統領のかかる行為に対して、連邦首相および管轄連邦大臣の副署 ○Φαq。農。一〇巨毯σq︶が必要ときれる。連邦大統領が条約に署名した場合、連邦共和国は外国に対して法的義務を負う
東洋法学 一〇五
西ドイツ連邦大統領 一〇六 ことになる。連邦共和国の官吏は、遵邦大統領の署名した信任状︵ωoαq一窪び諮信轟器○ぼΦぎ窪︶を有していることによ って、外国において連邦共和国の公式の代表者とされる。 ︵9︶ ︵憩︶ ︵皿︶ そして.連邦大統領は、条約締結国の元首がなすと同じように、 ﹁使節を信任しかつ接受︵め簿篤弩薦︶﹂ する。し かしながら、この権能が妥当性を蕎するためには、連邦首相および管轄連邦大臣の副署を必要とすることはいうまで もない。 第二に.連邦大統領は、防衛事態確定の公布および防衛事態の存在に関して国際法上の亘言をなす魚勘鴛.防辮 事謙に瞬しては一九六八年六月二購藤まで第五九瀧条に規定されていた、この規定は.一九五六年に﹁再軍備猟麟謎学 翫醜譲舞識蒙護︶または﹁連邦防衛﹂ 8鷺階撃諾㌶︶にともなう基本法の改正によ参設けられた、第五九践条第一項の 規定によれば.防衛事態の確定は原則として連邦議会が行なった。つまり、全国民および全国家生活にとって非常に 重大である防衛事態の確定は、議会︵︵謬囎薫艶欝ぐ亀︽ω話講羅轡蓉畿︶にまかされていた。連邦議会は、ヴ囎・イマール .恕法のように形式的法律によってではなく、議決︵熔 麟霧魯︸5︶によってこの確定を行なうことになっていた。その結果 として、防衛事態の確定をするにあたって.連邦参議院の同意権︵N翫臨墜誤騒αQ。 ・繕。ぼ︶あるいは拒否権︵ぐ簿鍵8訂︶ は必要とされなかった。しかも、連邦議会による防衛事態の議決は、その法効果を生ぜしめるために連邦官報に公布 ︵鴛︶ する必要もなかった。しかし、第五九&条規定は、一九六八年六月二四臼に削除され、防衛事態に関して新たな規定 が設けられた。その規定によれば、連邦領土が﹁武力で﹂︵欝需≦織櫓窪σq①議聾︶政撃されるか、あるいはこのような 攻撃が直接に迫っているときは、連邦蔵会は連邦参議院の同意をもって防衛事態の確定を行なうことになった。防衛
事態の確定は、連邦政府の動議に基づいて行なわれ、かつ連邦議会において投票の三分の二の多数を、少なくとも連 邦議会議員の過半数を必要とし、加えて、連邦大統領による防衛事態確定の公布が必要となった︵囎細ン旺動蜂麟一︶。し ︵13︶ ︵M︶ かし、連邦議会が防衛事態確定の議決をなすことができないとき、これは﹁合同委員会﹂︵○の旨。ぎ鋸き霞>誘。 。畠島︶ の管轄となる。合同委員会は、投票の三分の二の多数で、少なくとも構成員の過半数をもってこの確定を行なう︵調 麟第︶。合同委員会により防衛事態が確定されたあとに、この確定は第八二条に基づき連邦大統領により連邦官報に公 布される︵願験礫肥︶。、合同委員会が行動を起こすことができないとき、つまり、第コ五、条第一項第一段にいう確定 をなすことができないときには、防衛事態の確定は行なわれたものとみなされ、攻撃がはじまった時点で公布されたも のとみなされる︵瀾鱗蒲脚︶。連邦大統領は、事情が許す限りこの時点を公示する︵期頭段︶。なお軍隊に関する命令権お よび指揮権は防衛大臣に帰属する︵嚇鮎五︶が、連邦大統領による防衛事態の公布後、軍隊に関する命令権および指揮
権鑑邦首相縁行する奮㌻
きらに、連邦大統領は、連邦議会の同意をもって防衛事態の存在に関して国際法上の宣一一一鼓をすることができる爺縣 蒲髄︶。そして、第二項の前提の下では、合同委員会は連邦議会に代わる︵調纐第︶ことになった。 ︵15︶ なお、防衛事態の間連邦大統領は、基本法第一一五h条第一項によって、その任務は自動的に延長される。 第三に、連邦大統領は、連邦裁判官、連邦官史、士官および下士官を任免する︵聯紘卿条︶。この官吏の任免は、国家 元首の伝統的権能であり、立憲君主制の名残りといえる。この任免には、いうまでもなく連邦首相または管轄連邦大 臣の副署が必要とされる。連邦大統領の官吏任命について問題となるのは、大統領が政治的に支持することができな 東洋法学 一〇七西ドイツ連邦大統領 一〇八 い︵を野欝畠仁簿門おぎ穫︶と考える大臣の任命を拒否しうる﹁審査権﹂︵汐無欝αQ鵯9欝︶が大統領の裁量行為として その権限に属するか。これについてマウンツ︵竃麟量較︶は、連邦大統領の任命権は形式的執行につきるのではなく、 ︵絡︶ ﹁実質的審査権および拒否権﹂︵器。窪畠霧噂愚ぴ轟甲蓉蜘︾ビ霧巽おG 。箒9骨︶をも含むとしている。もちろん任命 は、管轄機関の提議に基づいて合目的に行なわれる。連邦大統領は、官吏の任免におよぶ政府の政策に拘束されつつ ︵茸︶ ・.足邦大統領の幾胃麟墨領域がこの範囲にあるとして、愁法的に保護きれるとしている。 これに対してシ慌爵イン︵も 発蹴離︶は.連邦大統領解ず吏任命審査権を与えるべきではないとしている、彼はその理 由として.達邦大統領に政府の﹁人事政策﹂ ︵㌘雛⇔鑓圃鷺ぼ陣︶に対する影響力が与えられるならば.政府の議会に 対する責任は弱められてしまうとしている.また.議会民主政において、議会および議会に責任を負っている政府に 関する国民の政治的意思の動向は、 ﹁全官庁機構﹂︵甑韓σ喚霧無馨融難 饗ぐ夢ざ鉱Φ鑓膿短鐸轡︶に作用するであろうとし、この 影響についてのもっとも重要な要素は﹁人事政策﹂であるとしている。そして、大統領訴追は別として責任を引き出 きれることのない国家元首の影響は、 ﹁入事政策﹂と一致しない。大統領が個々人の資格に関する政治的方針の闘争 に掛り合うような場合には、大統領の威信および大統領により擁護されるべき国家の統一が損なわれるとしている。 ︵給︶ したがって、連邦大統領は、政府の提議が現行法を侵害しない限り、政府のそれにしたがわねばならないとしている。 思うに.連邦官吏の﹁入事政策﹂は、連邦政府の任務であり、そこにおいては政府を擁護するため権力分立の見地 から外部からの影響力は排除されるべきである。しかも、政治責任のない国家元首としての連邦大統領に、官吏任命 に関して実質的審査権や拒否権を与えると、責任の所在が薄弱になり、結局は、政府の議会に対する責任が弱められ
てしまう恐れが生じる。連邦大統領は、いわゆる申立的地位、権威ある地位として存在していればその機能をはたす ことができ、 ﹁人事政策﹂としての富吏任命につき実質的審査権を認めることは大統領の性質からみて、必ずしも妥 当であるとはいえない。 なお、連邦大統領は、官吏の任免権を﹁一般規定﹂ ︵σqΦ器邑竃く・誘oぼ簿︶あるいは﹁個別規定﹂︵霞菖鉱話7 惣αq§σq︶により、他の官庁に委託することができる︵期強項︶。 この委託は、連邦大統領の裁量行為である。 第四に、連邦大統領は、個々の場合において恩赦権を行使する︵墾繭条︶。個々の場合における恩赦権は、刑事判決 ︵19︶ 後その効力を全部あるいは一部を免除することをいう。そして、 ﹁連邦のために﹂︵露周伽窪ω騒α︶この恩赦権は行 使されるのであり、しかも、連邦裁判所の第一審︵血霞①屡o即9ぽ。 。駿αq<9ω琶象諮a6ぼ窪︶で判決される﹁犯罪 行為﹂︵ω欝剛鐙艸︶にのみ限られる。刑罰がラント裁判所の第一審で宣告されるとき、連邦大統領は、その訴訟が連邦 裁判所に上告きれようとも恩赦権を行使することはできないのである。この場合、もはや連邦大統領の権限外にあ り、ラント政府の権限となる。また、連邦大統領は、連邦官吏に対する懲戒上の問題においても恩赦権を行使するこ 、︵20︶︵飯︶ とができる。 そして、連邦大統領は、第三項に基づき恩赦権を他の宮庁に委託することができる。この場合、連邦大統領は、連 ︵22V 邦大臣や上級連邦官庁の長に委託するのが普通である。 次に、第五章に規定されてはいないが、その性質からみて伝統的権限として大統頒に帰属している法律の認証と公 布︵聯略魔条︶について検討してみたい。 東洋法学 一〇九
西ドイツ連邦大統領 二〇 第八二条第一項にいう﹁認証﹂︵︾霧ゆ識αQ琶αq︶とは、公布のために定められた法律の条文が合憲的に成立したと ︵器︶ いう﹁証明﹂︵瞬警餐α毯αQ︶を意昧する。この法律の認証を行なわねばならない連邦大統領は、その前提行為として公 布すべき法律が合憲的に成立したかを審査する権限を有する。この点について、一方の見解によれば.審査権は﹁形 式的合憲性﹂︵紐⑲ま讐冨翫ぐ韓欝器琶αQも 穫総騒蒔滞εにのみ関係する。つまり、法律の成立が基本法の手続規定に一 致しているかどうかに関係する.他方の見解によれば.審査権は﹁実質的合急性﹂ ︵伽臓 鱒縫灘延蹴 /♂緊讐蔭騰− 識蕪譲讐熟︶ にも.つ葱む.法律が蕪本法と内容的に一寂するかどうかにまでおよぶとする、連邦大繍.葭の決律的審 査権について、それが形式的審査権のみであるか.また.実質的審査権にもおよぶかについては論争のあるところで ある.一体法律が内響的に、つまり.実質的に基本法に違反する場合に連邦大統領憾.秘の法律の遡証を拒否しうるの 愈︶︵器︶ であろうか。これについて、マウンツ︵鍵驚藝箇︶は.連邦大統領に法律の実質的審査権まで認めるべきであるとする。 これに対して.シ嵩タイン︵も 鱗仲臨躊︶は、第八二条第一項の文言は法律成立の合憲性に対する審査権の制限についての ︵器︶ ものであり.内容の合憲性に対するそれではないとしている。 このような連邦大統領の認証行為は、もとは君主の専属権であり.ヴァイマール体制においてはライヒ大統領に広 汎な権限が認められていたことから、法律の実質的審査権を行使しえたことは容易に正当化しえる。しかし、ボン基 本法下において、連邦大統領にはもはやヴァイマール体制におけるような権限はなく.その地位が大幅に弱められて いることを考慮すれば、法律の実質的審査権まで認めようとする根拠づけはむづかしいものといえよう。しかも、法 律の合憲性の審査については.連邦憲法裁判所の権限としていることから.その根拠づけはより一層園難といえるで
あろう。 連邦大統領の法律の認証に関しては意見の対立するところであるが、この問題は清水教授がいわれるように﹁基本 ︵27︶ 法の性格をどのように評価するか﹂によるといえる。 なお、法律が連邦大統領によって認証されたあと、連邦官報︵ω量留。 。αq霧Φ欝¢聾︶に公布きれるを要する。 最後に、基本法に直接規定きれてはいないが、ドイツ国法に基づき、本質的に国家元首の任務といえる行為として ︵28︶ 勲章および名誉章︵○凌窪琶αbぼ豊鼠魯窪︶の授与をあげることができる。これについては、﹁一九五七年七月二 六日の称号、勲章および名誉章に関する法律﹂ ︵○①ω①ぎ窪R§邑矯○髭窪蔭ρα国ぼΦ震巴魯窪ぎ響まタお㎝“︶が あり、これら勲章等の授与についても副署が必要とされる。 ︿註V ︵1︶ ︵2︶ 連邦大統領は、第六三条第四項第三段および第六八条第一項の特別に規定されている場合にのみ連邦議会を解散するこ とができる。すなわち、第六三条第四項第三段では、﹁選挙された者が過半数をえなかったときは、連邦大統領は、七日 以内に、この者を任命するか、または、連邦議会を解散するかしなければならない﹂。 第六八条一項は、﹁自己に信任を表明すべき旨の連邦総理大臣の動議が、連邦議会議員の過半数の同意をえないとき は、連邦大統領は、連邦総理大臣の提議により、二一日以内に連邦議会を解散することができる。連邦議会が、その議員 の過半数をもつて、他の連邦総理大臣を選挙するやいなや、解散権は消滅する﹂と規定している。 基本法がヴァイマール憲法同様、国家元首の権利として残したものは、国際法上代表する地位︵燦紅︶、連邦裁判嘗およ び連邦宮吏、士官および下士官の任免︵鞭噛脚条︶、恩赦権の行使︵欄課項︶および法律の認証および公布︵藻鰍鑑畷號︶である。
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一二︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ (($γ )) ︵9︶ ( io ) (
n
) 西ドイッ連邦大統領 一一二 ここにいう﹁外に商って﹂とは、他の国際法の主体.つまり、﹁他圏家﹂︵磐号審o o鼠魯窪︶、﹁国家連合﹂︵ω欝讐①マ σq ①讐蝕霧畠饗窪︶、﹁鰯際的機構および麟際的結合﹂︵一旨Φ導鋤蔦・霊冨○茜き一舞鶏簿窪§傷く角繊鼠αq¢薦§︶.そして、﹁承 認交戦腿体﹂ ︵餌器捧象纂Φ溶覧轟塗ぼ窪号︶ に対して、連邦大統領は連邦を代表する。鼠袋轟−O驚蒔︸︾罫誘︾鯵野 窯蒙嚢−ご驚置騨勲9vψド 清水、前掲書.三〇一頁。 ここにいう﹁外顛﹂︵勤霧説鼠蕪纐巽毒 Q鐙襲︶とは.連邦共和国でもなく.連邦共和國の支邦︵禽富翻欝霧︶でもないすべて の瞬家をいう、さらに.あらゆる他の瞬際法の主体難窟た﹁外爆﹂とい︸概念の範灘にあるといえる. 罵繋瓢糖潔甑響 勲難“Φ意艶鯵 篶議醤−雛欝凝繍欝轡9協も 喚気幽 第五八筆は. ﹁デ邦大統領の命令計よび処分が腐効であるためには.連邦総理大臣または.管轄連邦大駆の副、隔必要 とする・このことは.連邦総理大賑の任免.嬉六三条による連邦議会の解激および第六九・彊第三項による委嘱には.適用 されない﹂と規定している。 ここにいう﹁使節﹂とは.外纏あるいは諸機関の正規の外交代表であり、連邦大統領霞らに信任状をもって派是される ものをいう。この範懸にあるものは.﹁大使﹂︵霧笹器。 摩監建譲o猛ぼ籔おも 。︶.﹁特命大使﹂︵鋤露び器も 。麹窪駿⑫篶慈鍵無塁陣器G ・︶、 ﹁領事﹂︵蓉ぎ鯨触霧︶をいい、 ﹁連邦首相官房﹂ ︵ご 雛馨蜘鉱鶏慧ζ簿疑︶あるいは﹁外務省﹂︵簿窃壕鋒轡劇塁艶繋︶に信任 状をもって派這される﹁代理大使﹂︵。ぎ薦舘瓢.熱魯総︶. ﹁領事官吏﹂︵溶o霧巳器濱麟欝富︶あるいは﹁通商委員会委 員﹂ ︵鍵圃薦濠餌駿ぎ欝瓢霧留び留一轟牲霧霧︶はここにいう﹁使節﹂ではない。寓霊箋−O簿蒔・欝勲○こ鯵9 ここにいう﹁揺任﹂とは.一定の入が他の国際法の主体をドイツで代表するという形式的宣書をいう。 ﹁信任しは.国 際法的かつ畷内法的効力を有する。 ﹁信任﹂の前提行為としては.理由をあげないで拒否されることがあるアグレマン ︵α器︾αq敏糞⑦旨︶をえなければならない。この行為は.政治的行為ゆえに国内法的には連邦首相により、対外的には連 邦大統領によって行なわれるのである。霞き震−ご蔚西飴襲ρ︶ψ9 ここにいう﹁接受﹂とは.連邦大統領により外交上の代表者の﹁信任状﹂を個人的に受け入れることをいう。それと同︵12︶ ︵爲︶ ︵拠︶ ︵焉︶ ︵16︶ ︵17︶ 時に、これは、連邦大統領のところに信任状をもって派遣された代表者と外交上の交際をするということでもある。もち ろん、この交際は外務省によって処理される。連邦大統領は、この交際に関して一般的指示をあらゆる連邦機関およびラ ントから要請することができる。ζ弩籍−O騨茜騨斜ρ︸ψ。● 窯き憲−U萄蒔鋳勲9︾貯幹㎝浮v堕㎝ゆ 基本法は、連邦議会が防衛事態の確定をなしえない場合として、 ﹁連邦議会の適時の集会に克服しがたい障害がある﹂ 場含と、 ﹁連邦議会が議決不能﹂な場合とをあげている。 合同委員会については一九六八年六月二四日の法律で第五三&条として追補された。その第五三a条第一項では﹁合同 委員会は、その三分の二は連邦議会議員、三分の一は連邦参議員議員によって構成される。連邦議会議員は各政党の議員 数の割合に応じて定められる、議員は連邦政府に所属してはならない。各ラントは、その任命した一名の連邦参議員議員 にょって任命される、これらの議員は、指図に拘束されない。合同委員会の内部組織とその手続は、連邦議会が決定し、 連邦議会の同意をえた委員会規則によって規律される﹂とし、 第二項では、讐連邦政府は戦争・非常状態にたいするその謙画を合同委員会に報告しなければならない。連邦議会およ び第四三条第一項の委員会の権利は影響をうけない﹂と規定している。 第二五条簸条第一項は、﹁戦争・非常状態の間に満了した連邦議会、またはラントの議会の被選期問は、戦争・非常 状態の終了後六ヵ月をもって終了する。戦争・非常状態中に満了した連邦大統領の任期、ならびにその任期満了前に欠員 となった場合における連邦参議院議長によるその権限の代行は、戦争・非常状態の終了後九ヵ月をもって終了する。戦争 ・非常状態中に満了した連邦憲法裁判所の構成員の任期は、戦争・非常状態の終了後、六ヵ月をもって終了する﹂と規定 しているQ ζ雲震−O響藪鋳騨ρ︾>罫實ω賛 また、ヘッセ︵国o紹①︶も連邦大統領には官吏任免について実質的審査権があ るとしているQ溶○簿毬寓の器ρ鉾勲ρ︾韓謡翰 ζ碧目−U畦蒔︸鉾勲ρψ幹鱒。 東 洋 法 学
二三
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︵鷺︶ ︵%︶ ︵怨︶ ︵器︶ 西ドイッ連邦大統領 二四 め 騨訂ξ博ω8陣Pω欝鱒欝参o一昌o 。●︾焦一こ一零糾し o聖霞あ9 護鍵嚢−O縛蒔”鉾騨ρ︸ωる“ ︾騨O還G O昏餌 遠邦大統領の懸赦権の内容に関しては. コ九五二年一〇月一二鑓の連邦の烈淑権行使に関すろ連邦大統領令﹂ ︵>マ 欝蜘嚢鱒鍛瓢霧鴨鉱欝蜘塗鷺鍵賦窪欝欝韓び爾態⑪︾銀譲ぎ謬α発瓢窃篶 ご膿還伽齪離灘αQ。 雛葛畠欝伽塁惚 O蕪孟欝ぎ欝ε﹂曽葛総︶が明ら かにしている、連邦大統領の恩赦権行使の内容について詳しいことは.窯鈴蕪爾辱聯驚蒔㎎欝麟縣Qw難 っ・配鯵 また・茎謬嘗卸 鷲す添懲戒上○葺垂しおけ⇔慧邦“.笈.蔭⇔纏、. 鑓し丸は.コ九︸讐扇﹄一﹂.へ終の連邦 懲戒規則﹂ ︵響注霧伽鰐慧轄溝欝蜘蒙轟毒韓纏露F箒総︶および﹁述邦窟吏法﹂ ︵野雛階魯鼎簿欝戯翫鋤欝︶がある。 連邦大統領がいかなるときに購、智権虜愛謡するかに隠して、い. π大統.稗滋の檬.、.する ところによる。 例えば.遮邦大統領は.税閥題においてじの恩赦権を大蔵大臣に委託し.懲戒腹戸﹃﹂岳よ弼ー、、同鋒轍おいて!毒忌 赦権を管轄大臣に委託ξるがごとくである。 叢窪震−雛欝藪勲欝O﹂貯磐○ 。紳も 離騎汐 マウンツ︵寓p身螺蕊︶は.その理慮として基本法に内容的に一致しない法律はそれが就,本法を変更する縫るにのみ.形式 的に合法的に成立しうるからであるとし.実質的審査のない単なる形式的合憲性はそれゆえ全く不可能であるとしている。 属裟蕊−ご離甑σq璽墜騨04毒 Q愚ワ さらにマウンツ︵竃欝慧︶は.溢邦大統領の形式的かつ実質的憲査権を連邦憲法裁判所のそれらとは完全に独立して並 存するものであるとし、一方の存在が他方の存在を侵害しなければ.その範懸をも侵害しないとしている。 ︾襲Q︶ も○&ひ ヘッセ︵麟Φω。 ・像︶もまた.法律の認証行為の前に連邦大統領は法律が形式的かつ実質的に合憲であるかを審査しうると している。鑓霧な q費讐勲ρρ毒 Q●誤㌣盤曽︵26︶ ︵27︶ ︵28︶ ω富ぎ”鋳鉾○こω.3。 溝水、前掲書、三〇九頁。 <智竃きαqO匡竿匹蝕P勲勲○こω●一〇禽よ○爲● 五、おわりに 以上、基本法第五章、第五四条から第六一条までに規定されている連邦大統領について、その地位、性格、選挙お よび任期ならびに権限を考察してみた。連邦大統領の権限については基本法全体から引き出し検討すべきではある が、あえて第五四条から第六一条までに規定されている権限に終ったのは、今後の研究で他の国家機関︵連邦政府、 連邦議会および連邦参議院︶との関係において、連邦大統領の憲法的地位を明らかにしたかったためである。また、 本稿において法律の認証および公布︵嘩郭雑第︶、そして、勲章および名誉章の授与をとくにあげたのは、本質的に国家 元首に固有な権限であるということでここに若千の考察を加えておいた。 このようにして、ボン基本法における連邦大統領は、ヴァイマール憲法下におけるライヒ大統領と比較してみて、 その地位および権限ともに大いに狭められた。ボン基本法がヴァィマール共和国と同じ誤ちを犯きないように、連邦 大統領の選挙を国民による直接選挙から連邦会議という特別機関による選挙にかえ、大統領の任期も短縮され、権限 については大幅に削減された。その反面、権威主義を重んずるドイツでは、結局大統領を廃止することなく存置さ せ、存置することによってヴァィマール憲法下における大統領制を否定した。これによって、ボン基本法における連 東洋法 学 二五
西ドイツ連邦大統領
邦大統領は、権威ある地位、
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