超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社
会学研究 : 東日本大震災を契機に (藤村啓教授退
職記念号)
著者
相川 修
雑誌名
白山法学 : Toyo law review
号
11
ページ
71-144
発行年
2015-03-20
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006985/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に−
超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する
法 社 会 学 研 究 一 東 日 本 大 震 災 を 契 機 に −
相 川 修
目 次 一 は じ め に 1.問題の所在 2.本稿の位置づけと対象 二 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 誕 生 の 背 景 に つ い て 三 従 来 の 超 短 波 放 送 ( F M 放 送 ) と 新 し い 超 短 波 放 送 ( コ ミ ュ ニ テ ィ FM放送)の相違点について 1.従来のFM放送(NHK-FM及び民間放送FM)について (1)NHK-FMについて (2)民間FM放送について 2 . コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 に つ い て 四 超 短 波 放 送 に 関 す る 法 律 に つ い て 五 コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 局 の 免 許 申 請 手 続 き に つ い て 六 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 の 現 状 に つ い て 七 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 の 経 営 主 体 と 運 用 実 態 に つ い て 八 む す び に 代 え て − は じ め に 1.問題の所在 超短波放送、コミュニティ放送という言葉から、瞬時にその実態が分か る方は多くはないと思う。阪神・淡路大震災、東日本大震災の時に、「臨 (1) 時災害FM放送」とともに小回りの効く災害報道をしていた放送として 7 1-白山法学第ll号2015 記憶されている方は多いかもしれない。しかし、2014年12月31日現在、日 本全国に300局以上のコミュニテイFM放送があることは知られていない で あ ろ う 。 本 稿 は 、 こ の コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 に つ い て 、 法 社 会 学 的 視 点から、以下のような検討を行いたいと考える。 第 一 に 、 そ も そ も こ の コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 と は 、 ど の よ う な F M 放 送なのであるか。放送法や電波法に基づき、地域社会にとって、どのよう な役割を果たすことを予定された放送なのか、その事業主体や事業目的等 は い か な る も の か 。 本 稿 で は 、 こ う し た 視 点 か ら 、 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送を検討する。 第 二 に 、 第 一 点 に 関 連 す る こ と だ が 、 コ ミ ュ ニ テ イ F M 放 送 の 根 拠 法 に つ い て も 詳 細 な 検 討 を 加 え た い 。 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 を 管 轄 す る 総 務省(旧郵政省)は、この放送事業をいかなる方針で誕生させたのか、そ の沿革についても検討したい。その検討により、県域を放送エリアとする 従 来 の 民 間 F M 放 送 と コ ミ ュ ニ テ イ F M 放 送 と の 相 違 点 が 明 ら か に な る だろうと思うからである。未知の読者も多いかと思われるコミュニティ FM放送については、社会学、経済経営学からの研究はいくつか数えられ るが、法律学的見地からの検討はほとんどない。したがって、法が社会の のなかでどのような営みをみせているのか、その営みの一部にでも光をあ てることができれば、と考えるのである。 最後に、こうした検討を通じ、21世紀に向け誕生した、新たな放送メ ディアである、このコミュニテイ放送には、どのような将来的な展望が見 込めるのか、この点について、何らかの方向性を示すことができれば、と 考えるものである。 圧 (1)臨時災害FM放送、正式呼称は、臨時災害放送局である。臨時災害FM放送は、 放送法第8条に規定する「臨時かつ一時の目的(総務省令で定めるものに限る。)の ための放送」(臨時目的放送)のうち、放送法施行規則第7条第2項第2号に規定す る「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生した場合に、そ − 7 2 −
超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− の 被 害 を 軽 減 す る た め に 役 立 つ こ と 」 を 目 的 と す る 放 送 を 行 う 放 送 局 の こ と で あ る 。 なお、「臨時災害放送局」の呼称は電波法関係審査基準による。この放送は、本稿で 紹 介 す る 、 N H K , 民 間 放 送 局 、 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 の よ う な 、 開 設 に 関 す る 申 請、審査等をすることなく、口頭(東日本大震災時には、自治体の長が電話で申請し た。)による申請により、即座に免許の付与と周波数の割当てが行われるのである。 た だ し 、 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 局 が 開 局 し て い る 市 町 村 に つ い て は 、 基 本 的 に は 、 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 の 設 備 を 使 っ て 臨 時 災 害 放 送 が 実 施 さ れ 、 必 要 に 応 じ 、 臨 時 中継局の開局や空中線電力の臨時増力を申請することになるのである。東日本大震災 時にも、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に開局していたコミュニティFM放送が 一定期間「臨時災害放送局」をつとめたのである(下表を参照)。これまでの開局例 としては、地震、火山の噴火、豪雨、豪雪によって甚大な被害が発生した場合に開設 され、被災した地域に各種情報(自治体からの災害関連情報、避難場所、救援物資、 仮設住宅、ライフライン復旧状況など)を提供している。なお、電波法関係審査基準 に よ り 、 臨 時 災 害 放 送 局 に は 超 短 波 放 送 と 超 短 波 文 字 多 重 放 送 だ け が 認 め ら れ て い る。海外のマスメディアも注目しており、2012年3月31日、宮古コミュニティ放送研 究会(岩手県宮古市)が運営する「宮古災害FM」がドイツのラジオ局「ラジオ・ レーゲンボーケン」の名誉賞を受賞したことも記憶に新しい。同賞は、ドイツの国内 外を問わず顕著な功績のある人や会社に贈られる賞で、過去にゴルバチョフ初代ソ連 大統領やコール前独首相などが受賞・今回で4例目となる。受賞の理由として、レー ゲンポーケンの担当者は「すさまじい大震災の中で、ラジオの力と人間の開拓精神を 鼓舞する一つの例」と評価する。 東日本大震災に際し開設された臨時災害放送局の状況(平成26年4月1日現在) 東日本大震災によって甚大な被害に遭われた市町村では、災害情報、被災者支援情 報、生活関連情報等を提供する臨時災害放送局が開設されています。東北管内にお ける臨時災害放送局の開設状況は次表のとおりです。これまで24の地方公共団体で開 設され、現在11の市町で運用しています。総務省の資料から引用。 県 市 町 村 釜 石 市 陸前高 田市
’
’
周 波 数 (MHz) 86.0 80.1 80.5’
呼 出 名 称 開局日 か ま い し さ い が い エ フ エ ム 平成23年4月7日 り く ぜ ん た か た さ い が い エ フ エ ム 平成23年12月10日 お お つ ち さ い が い エ フ エ ム’
4 年 3 月 2 8 − 7 3 −’
白山法学第ll号2015 − 7 4 − 花 巻 市 78.7 は な ま き さ い が い エ フ エ ム 平成23年3月11日(平成 23年4月3日廃止) 奥州市 77.8 おうしゅうさいがいエフエム 平成23年3月12H(平成 23年3月29H廃止) 宮 古 市 77.4 み や こ さ い が い エ フ エ ム み や こ た ろ う さ い が い エ フ エ ム 平成23年3月19日(平成 25年8月26日廃止)(田老 局平成26年3月31日廃止) 大 船 渡 市 78.5 80.5 お お ふ な と さ い が い エ フ エ ム 平成23年4月7日(平成 25年3月31日廃止) (平成23年12月9日廃止) 宮城県 石 巻 市 山 元 町 気仙沼 市 亘 理 町 名取市 女 川 町 大 崎 市 登 米 市 塩竈市 岩沼市 南 三 陸 町 76.4 80.7 77.5 76.8 79.2 80.1 79.3 79.4 76.7 78.1 77.9 80.7 い し の ま き さ い が い エ フ エ ム や ま も と さ い が い エ フ エ ム け せ ん い ま さ い が い エ フ エ ム け せ ん い ま も と よ し さ い が い ユ ニ フ エ ム わ た り さ い が い エ フ エ ム な と り さ い が い エ フ エ ム お な が わ さ い が い エ フ エ ム お お さ き さ い が い エ フ エ ム と め さ い が い エ フ エ ム し お が ま さ い が い エ フ エ ム い わ ぬ ま さ い が い エ フ エ ム み な み さ ん り く さ い が い エ フ エ ム 平成23年3月16日 平成23年3月21日
日日
2222
月月
34
年年
3322
成成
平平
平成23年3月24日 平成23年4月7日 平成23年4月21R 平成23年3月15日(平成 23年5月14日廃止) 平成23年3月16日(平成 25年3月15日廃止) 平成23年3月18日(平成 25年9月26日廃止) 平成23年3月20H(平成 26年3月31日廃止) 平成23年5月17日(平成 25年3月31日廃止) 福島県 富 岡 町 南相馬 市 福島市 いわき 市 相 馬 市 須賀川 市 76.9 87.0 76.2 77.5 76.6 80.7 と み お か さ い が い エ フ エ ム み な み そ う ま さ い が い エ フ エ ム ふ く し ま さ い が い エ フ エ ム い わ き さ い が い エ フ エ ム そ う ま さ い が い エ フ エ ム す か が わ さ い が い エ フ エ ム 平成24年3月9日 平成23年4月15日 平成23年3月16日(平成 24年月2月29日廃止) 平成23年3月28日(平成 23年5月27H廃止) 平成23年3月29日(平成 26年3月31R廃止) 平成23年4月7日(平成 23年8月7日廃止)超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− 2.本稿の位置づけと対象 (2) 本稿においては、1992年(平成4年)1月に放送法施行規則の一部改正 によって、放送法の規制が緩和され、この規制緩和によって誕生した、新 しい超短波放送(コミュニティFM)を法社会学な検討の対象とする。な お、その検討の前提として、既存の超短波放送(FM放送)、すなわち NHK-FM放送及び県域を放送エリアとする民間FM放送について、そ の制度の概要についても触れることにする。なお、NHK-FM放送につ いては、全国放送を旨とする公共放送の‘│生質から複雑なネットワーク事情 があるため、その基本となる各地方管区とその基幹局・構成各放送局につ いても簡単に触れる。 圧 (2)平成4年郵政省令第2号による放送法施行規則改正である。 二 コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 誕 生 の 背 景 に つ い て 西ヨーロッパでは、1970年代に、放送事業の規制緩和が行われ、コミュ ニテイラジオ放送局の誕生が相次いだ。日本でも、1980年代から、「地方 の時代」等のキャッチコピーが表れ始めた。しかしラジオ放送においての 変化が実際に表れ始めたのは、1980年代に入ってからである。この時期、 ラジオエ作の延長で微弱無線局である「ミニFM放送」が流行し、大型 商業施設やイベント会場で、このミニ放送が行われることもあった。1988 年(昭和63年)には、郵政省(現総務省)が技術的な審査を伴う「イベン ト放送局」制度を法制化するに至ったため、実用に耐えるレベルの放送が (3) 可能になった。 1980年代後半のバブル景気時には、郵政省告示「放送普及基本計画 (現・総務省告示基幹放送普及計画)」に基づき、テレビ放送の分野では、 民放テレビ全国四波化の多チャンネル化が進んだ。他方、ラジオ放送で − 7 5 −
白山法学第11号2015 は 、 日 本 各 地 に 県 域 を 放 送 エ リ ア と す る 民 間 F M 放 送 局 の 開 局 が 進 み 、 (4) 日本各地に、ローカル放送局が次々と出現したのである。この放送メデイ アの多様化の流れと軌を一にしたのが、1983年(昭和58年)、総務省(当 時の郵政省)が提唱した「テレトピア構想」であり、これを受けて、1985 年(昭和60年)、「ニューメデイア時代における放送に関する懇談会」、 1988年(昭和63年)からの「放送の公共性に関する調査研究会」の検討が 行われ、この検討のなかで、コミュニティFM放送についての言及が初 (5) めてなされたのである。こうした流れに沿って、1991年(平成3年)7 月、臨時行政改革推進審議会(第三次行革審)では多様で個性的な地域づ (6) くりが提唱され、1992年(平成4年)1月、放送法施行規則の一部改正に よりコミュニティ放送が法制化されたのである。同年12月24日開局の 「FMいるか」(北海道函館市)がその第1号である。 圧 (3)浅田繁夫「日本におけるコミュニティFMの構造と市民化モデル」創造都市 研究(大阪市立大学大学院創造都市研究科紀要)第3巻第1号2頁以下(2008年)、 日本コミュニティ放送協会(JCBA)「十年史」(2002年)等参照。 (4)その詳細は、本稿でも「第三章の(2)民間放送FMについて」おいて、県 域対象の民間FM放送として言及する。田村紀雄・染谷薫「多様化するコミュニ ティFM放送」東京経済大学人文自然科学論集第119号43頁以下参照(2005年)。 (5)前掲注(4)。 (6)平成4年郵政省令第2号による放送法施行規則改正である。
三従来の超短波放送(FM放送)と新しい超短波放送(コミュニ
ティFM放送)の相違点について 1.従来のFM放送(NHK-FM及び民間放送FM)について (1)NHK-FMについて 本節では、従来のFM放送とコミュニティFM放送との相違点につい − 7 6 −超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− て整理しておこう。従来の超短波放送(以下、「FM放送」とする。)に は 、 公 共 放 送 で あ る N H K が 運 用 す る F M 放 送 と 民 間 企 業 が 運 営 す る F M 放送とがあるのは承知の通りである。 NHKの場合、各都道府県の都道府県庁所在都市に地方放送局(県域単 (7) 位での親局)があり、原則として、県域単位を放送エリアに、各地方放送 局は、ラジオの中波周波数帯のNHK−第1放送、NHK−第2放送、超短 波 放 送 の F M 放 送 用 の 周 波 数 帯 で の F M 放 送 、 超 短 波 放 送 周 波 数 帯 の 上 の周波数帯を使用する、アナログ及びデジタル信号形式による総合テレビ (8) 放送、教育テレビ放送の5系統の放送を行っている。 また、北海道、東北、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州のそ れぞれの地方には、地方管区という区分があり、特定の放送局が担当局 (9) (親局)と位置づけられた放送網が存在する。親局である基幹局が5系統 の番組を制作・送出するが、難視聴対策、視聴者サービスの観点から、地 方管区に属する各放送局もラジオ第1放送及びFM放送を制作・送出す るようになっている。 この例外が、関東地方、中部地方、近畿地方などにある。たとえば、関 東地方の場合、横浜放送局(神奈川県)、千葉放送局(千葉県)、さいたま 放送局(埼玉県)、水戸放送局(茨城県)、宇都宮放送局(栃木県)及び前 橋放送局(群馬県)は独自の地方放送局でありながら、例外として、県域 単位を放送エリアとするFM放送のみの運用を行い、その他のNHKラジ オ第1放送、第2放送、総合テレビ及び教育テレビの放送の4系統は実施 していないのである。その理由は、これらの放送については、関東地方の 基幹局であるNHK東京放送局がすべての放送を運用し、この地方を放送 エ リ ア と し て カ バ ー し て い る か ら で あ る 。 そ し て 、 こ う し た 放 送 エ リ ア を 可能とするために、基幹局のNHK−東京放送局は、第1放送、第2放 送、総合テレビ及び教育テレビの送信出力を大きなものとしているのであ る。また、NHK−東京放送局からの電波が届きにくい地域、電波の強度 が弱い地域については、小出力の無人中継局を多数設置し、NHK−東京 − 7 7 −
白山法学第ll号2015 (10) の番組の受信・視聴を可能にしているのである。 しかし、地理的な条件によって、NHK東京のような設置形態は貫けな いのも事実である。たとえば、その一例は基幹局のNHK−大阪放送局と 神戸放送局(兵庫県)、京都放送局(京都府)、和歌山放送局(和歌山県)、 奈良放送局(奈良県)及び大津放送局(滋賀県)との関係のなかに見い出 される。ただし、関東地方との相違点は、京都放送局及び大津放送局・彦 根 放 送 局 ( 滋 賀 県 ) の 放 送 業 務 内 容 で あ る 。 す な わ ち 、 基 幹 局 で あ る NHK−大阪放送局の存在にも関わらず、京都放送局は独自の送信施設か ら 第 1 放 送 及 び F M 放 送 を 送 出 し 、 こ れ 以 外 の 第 2 放 送 、 総 合 テ レ ビ 及 び教育テレビの3系統の放送については、その基幹局であるNHK−大阪 放送局が送出を実施しているのである。滋賀県の場合には、彦根放送局が 独 自 の 送 信 施 設 か ら ラ ジ オ 第 1 放 送 を 送 出 し 、 大 津 放 送 局 が F M 放 送 を 送出しているのである。これは、ラジオ放送(中波)やFM放送に使用 (11) される電波に特有の性質と地形などによるものである。 また、NHK−名古屋放送局と岐阜放送局(岐阜県)及び津放送局(三 重県)との間にも、同じことが言える。基幹局であるNHK−名古屋放送 局 が 5 系 統 の 番 組 の 制 作 ・ 送 出 を し て い る が 、 岐 阜 放 送 局 及 び 津 放 送 局 (12) は 、 独 自 制 作 の F M 放 送 を 行 っ て い る の で あ る 。 こ れ は 、 四 国 地 方 の 基 幹局であるNHK松山放送局と徳島放送局、高知放送局及び高松放送局で (13) も実施されていることである。 さらに、九州の基幹局であるNHK福岡放送局と長崎放送局、佐賀放送 局との間でも複雑な設置形態が見い出せる。また長崎放送局と佐賀放送局 の関係は複雑である。佐賀放送局は、第1放送およびFM放送の2系統 の放送を、県域単位を放送エリアとして運用を行っているが、これ以外の 第2放送、総合テレビおよび教育テレビの3系統については、その基幹局 (14) であるNHK−長崎放送局が実施しているのである。 このように、ラジオ第2放送、総合テレビ及び教育テレビについてのい くつかの例外は存在しているが、NHK-FM放送について言えば、原則、 − 7 8 −
超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− 各都道府県庁所在地に親局の放送局が配置され、東京放送局からの番組中 継のほか、県域単位のローカル番組を制作、放送しているのである。 ところで、このようなNHK-FM放送は、各都道府県庁所在地の放送 局を親局として、都道府県各地におびただしい数の中継局を配置すること (15) で 、 そ の 放 送 エ リ ア を 隈 な く カ バ ー し て い る と 言 う 。 そ の 出 力 は 、 親 局 で、最大50KW(50,000ワット)から最少lKWであり、中継局について は、最大lKW(1,000ワット)からlWであるが、出力の大小は、その 放送エリアの面積や地理的条件など(山間部か平地か、アジア大陸からの 距離の遠近、海辺か否かなど)によって決められている。なお、NHK-FM放送の現状については、注(8)∼(15)を参照されたい。 圧 (7)親局(おやきよく)とは、放送法施行規則第103条において、「放送対象地域ご との放送系のうち最も中心的な機能を果たす基幹放送局であって、基幹放送用周波 数使用計画(昭和六十三年郵政省告示第六百六十一号)の表に掲げる親局」と定義 される。基幹放送用周波数使用計画(以下、「計画」と略す)第11(2)にお いても施行規則と同様の定義規定が置かれているが、施行規則に「表に掲げる親 局」と規定されているように、実質的には計画第2以下の表に「親局」として示さ れているものを指すと解される。 (8)NHKの基本的な放送系統は、次の図の通りである。 (9)NHKの各地方ごとの基幹局とそれに属する放送局は、次の通りである。反転 文字の放送局は、かつては放送局扱いであったが、組織の統廃合等の変更により支 局・通信所等の扱いになったもの等である。九州管区は、かつては熊本放送局が基 幹局であったが、現在は福岡放送局が基幹局である。 − 7 9 −
白山法学第ll号2015 北海道管区(担当局:札幌放送局) 管轄放送局 ■ 唾 ” 哩 室蘭放送局 東北管区(担当局:仙台放送局) 管 轄 放 送 局 秋 田 放 送 局 … 直轄管区(担当局:東京放送局) 首都圏センター 管 轄 放 送 局 長 野 放 送 局 さいたま放送局 中部管区(担当局:名古屋放送局) 管轄放送局 脇 … 閣、Ⅷ翻砺1 8 0
-超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− 近畿管区(担当局:大阪放送局) 管 轄 放 胡 中国管区(担当局:広島放送局) 管 轄 放 送 局 四国管区(担当局:松山放送局) 管 轄 放 送 局 高 知 放 送 局
[
徳
高松放送局島
放
送
㈲
九州管区(担当局:熊本放送局→福岡放送局) 管 轄 放 送 局 福 岡 放 送 局 5 m 届 熊本放送局 長 崎 放 送 局 砺 肥 函 鹿児島放送局 宮 崎 放 送 局 大 分 放 送 局 佐 賀 放 送 局 沖 縄 放 送 局 (10)東京放送局が5系統の番組を制作送出しているが、たとえば土曜日の午後のよ うなFM放送のいわゆるローカル番組枠で、NHK横浜放送局などの各放送局制作 の番組を送出している。 8 1-白山法学第ll号2015 (11)NHK東京と同じように、大阪放送局が5系統の番組を制作送出しているが、 土曜日の午後のようなFM放送のローカル番組枠で、NHK神戸放送局などの各放 送局制作の番組を送出している。NHK京都放送局は、FM放送の他に、ラジオ第 1放送も送出している。これは、地形的な特徴による大阪放送局からの電波の難聴 取を改善するためである。なお、NHK京都放送局は、放送会館の移転により、平 成27年2月2Hを以って、ラジオ第1放送を終了した。
… 顎
…
(12)名古屋放送局も、NHK大阪放送局と同様の系統になっている。山間部の難聴 取、あるいは沿岸地域における海外放送局との混信対策として、第1放送局が岐阜 放送局、静岡放送局等々にも設置されているのである。匪墨
…
(13)松山放送局も、NHK大阪放送局と同じように、5系統の番組の制作・送出を しているが、徳島放送局は、京都放送局のように、第1放送とFM放送を行って いる。第1放送に関しては、山間部の難聴取、あるいは沿岸地域における海外放送 局との混信対策として、第1放送局が徳島放送局、高知放送局等々にも設置されて いるのである。 − 8 2 −超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に−
…
(14)長崎放送局と佐賀放送局の番組制作・送出の関係図を以下に示しておこう。蒔
(15)NHKは、視聴者からの受信料収入に経営基盤を置き、また公共放送としての 使 命 を 担 っ て い る こ と か ら 、 日 本 全 国 隈 な く 5 系 統 の 番 組 ( 最 近 で は 衛 星 放 送 BS2系統もあるが、本稿では地上波に限定する。)の番組の視聴が可能な受信環境 を整備している。 (2)民間放送FMについて さて、民間企業が運営するFM周波数帯の放送(いわゆる日本民間放 送連盟加盟のFM放送局)は、都道府県域を放送エリアとするFM周波 数帯の放送である。 FM放送の歴史は、中波周波数帯の放送に比べて、その歴史は比較的新 しいものである。その萌芽は、1958年(昭和33年)12月31日の東海大学超 短波放送実用化実験局(FM東海・JS2AO)による実験放送である。や がて、この東海大学超短波放送実用化実験局は、1960年(昭和35年)4月1日に、郵政省電波管理局より、実用化試験局の免許(JS2H、
84.5MHz)を受け、同年5月2日から放送を開始した。この実験結果か ら、わが国でのFM放送の導入がはかられ、1969年(昭和44年)12月24 日、日本初の商業FM放送局として、FM愛知が開局したのである。この − 8 3 −白山法学第1l号2015 FM愛知に次いで、1970年(昭和45年)4月1日に、FM大阪が、同年4 月26日には、FM東京が、同年7月15日には、FM福岡が開局するのであ る。なお、FM東海は、FM東京の誕生に伴い、その前日の4月25日に閉 局している。 そして、旧郵政省の都道府県単位の民間FM放送局置局の方針を受け、 1982年(昭和57年)2月1日開局のFM愛媛、同年9月15日のFM北海 道、同年10月1日のFM長崎、同年12月5日のFM広島を皮切りに全国 に 民 間 F M 放 送 局 が 開 局 す る に 及 ぶ の で あ る 。 こ の 一 連 の 流 れ の 中 で 最 も遅く開局したのが、1999年(平成11年)開局のFM岡山である。なお、 奈良県、和歌山県については、総務省総合管理局(旧郵政省電気通信管理 (16) 局)より周波数の割当て(チャンネル・プラン)がなされているが、開局 の免許申請が多くの法人からなされたため、事業主体の一本化の調整など に手間取り、開局が実現していない。また、茨城県は、その前段階の周波 数割当ての当否の検討段階で作業が中断している。こうした施策のなか、 前述の岡山県のFM岡山が1999年4月1日に開局したのに続き、周波数 の割当てがなされていた│岐阜県も1999年になり、事業主体の一本化のため の調整が県知事を中心に行われ、2001年(平成13年)4月に開局した。し かし、その他の県については、県知事による免許申請の一本化工作も功を 奏しておらず、総務省(郵政省)の周波数の割当て以来30年以上も、開局 (17) は宙に浮いたままである。 また、総務省(旧郵政省)は、放送エリアの人口動態、経済的基盤など を考盧し、民間FMの経営基盤の確立が認められる、北海道、東京、名 古 屋 、 大 阪 及 び 福 岡 に つ い て は 、 2 局 目 の 民 間 F M 放 送 局 の 置 局 を 認 め (18) ることにした。この方針を受けて、北海道、東京、名古屋、大阪、福岡に は 、 2 局 目 の 民 間 放 送 F M が 誕 生 し て い る 。 加 え て 、 総 務 省 の 前 身 で あ る 郵 政 省 電 気 通 信 管 理 局 は 、 な ぜ か 新 潟 県 に 、 2 局 目 の 民 間 放 送 F M の チャンネル・プランを割当てをし、2局目のFM放送局が開局している。 さらには、国際化社会という社会の動向を受け、郵政省電気通信管理局 − 8 4 −
超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− は 、 東 京 、 名 古 屋 、 大 阪 及 び 福 岡 に つ い て は 、 そ の 地 域 に お け る 在 日 外 国 (19) 人 の た め の 外 国 語 に よ る F M 放 送 局 の 置 局 を 認 め る 、 と い う 方 針 を 決 定 し た 。 こ の 方 針 に よ っ て 、 東 京 、 大 阪 及 び 福 岡 に は 、 外 国 語 F M 放 送 が すぐ、に開局した。また、名古屋地区においても、2000年(平成12年)4月 に開局に至ったが、経営不振から親会社の意向により、放送免許の返上、 (20) 廃局という異常事態に至った。その後、同一法人が複数の放送免許を所有 できるという放送免許に関する規制緩和を受け、外国語FM放送の基幹 局でもあるInter-FMが、名古屋地区の外国語FM放送の免許を取得し、 2014年(平成26年)4月1日、InterFMNAGOYAを正式名称として前 (21) 身の愛知国際放送と同じ周波数で開局した。以上が県域を放送エリアとす るFM放送局の概要である。これ以降、2012年(平成24年)10月31日を 以て失効する、地上基幹放送局(コミュニティFM放送を除く。)の免許 (22) の有効期間満了に伴う再免許申請及び新たな免許申請の受付結果をみて も、総務省による周波数割当て、新たな免許申請の受付に基づく県域FM 放送局開局の動きはない。 圧 (16)ところで、民間放送FMについての郵政省の頃からの総務省の方針は以下の 通りである。まず、原則として、各都道府県に民間FM放送局を1局ずつ置局す る。親局(おやきよく)とは、放送法施行規則第103条において、「放送対象地域ご との放送系のうち最も中心的な機能を果たす基幹放送局であって、基幹放送用周波 数使用計画(昭和六十三年郵政省告示第六百六十一号)の表に掲げる親局」と定義 される。基幹放送用周波数使用計画(以下、「計画」と略す)第11(2)において も施行規則と同様の定義規定が置かれているが、施行規則に「表に掲げる親局」と 規定されているように、実質的には計画第2以下の表に「親局」として示されてい る も の を 指 す と 解 さ れ る 。 な お 、 「 親 局 」 が こ れ 以 外 の 語 義 で 用 い ら れ た 例 が あ り、以下にその用例を示しておく。 総務省の公式文書において、放送法施行規則第103条の規定以外の語義で「親 局」の語が用いられた例がある。中継局に対する上位局の主旨での使用例である。 「平成25年総務省告示第58号によりアナログテレビジョン放送に関する規定が削ら − 8 5 −
白山法学第11号2015 れる前の基幹放送用周波数使用計画においては、「「南大東」に置局する基幹放送局 については、本表にかかわらず、衛星基幹放送局を親局とすることができる』との 規 定 が 置 か れ て い た 。 こ の 規 定 に お け る 「 親 局 」 は 、 具 体 的 に は ア ナ ロ グ 時 代 の NHK-BSを指していたが、計画の表には「親局」として示されてはいなかった。 また、ローカル番組挿入可能な中継局の意味での使用例である。情報通信審議会 情報通信技術分科会放送システム委員会においては、放送法施行規則第103条に規 定する親局を「親局A:所謂「親局」」としたほか、親局Aとは別の演奏所を有す る「親局B:所謂「中継局」のうち、ローカル番組の挿入が可能なもの」が定義さ れた。この定義に従えば、NHK総合テレビジョン(総合テレビ)の親局と同一箇 所に置局されたNHK教育テレビジョン(Eテレ)の中継局の多くや札l幌を除く北 海道内のNHK放送局(函館、旭川、帯広、釧路、北見、室蘭)、NHK北九州放送 局が親局Bに該当することとなっている。このような使用例がある。 (17)表は、局名、コールサイン、周波数、出力、開局日(年月日)の順の記載に な っ て い る 。 な お 、 エ フ エ ム ○ ● と 標 記 す べ き で あ る が 、 紙 数 の 関 係 で F M と 標 記する。 (局名) (コール・サイン) (周波数) (出力) (開局日) FM東京 JOAU-FM 80.0MHz 10KW 1970.4.26 FM大阪 JOBU-FM 85.1MHz 10KW 1970.4.1 FM愛知 JOCU-FM 80.7MHz 10KW 1969.12.24 FM福岡 JODU-FM 80.7MHz 3 K W 1970.7.15 FM愛媛 JOEU-FM 79.7MHz 1 K W 1982.2.1 FM北海道 JOFU-FM 80.4MHz 5 K W 1982.9.15 FM広島 JOGU-FM 78.2MHz 1 K W 1982.12.5 FM長崎 JOHU-FM 79.5MHz 1 K W 1982.10.1 FM沖縄 JOIU-FM 87.3MHz 1 K W 1984.9.1 FM仙台 JOJU-FM 77.1MHz 5 K W 1982.12.1 FM静岡 JOKU-FM 79.2MHz 1 K W 1983.4.1 FM福井 JOLU-FM 76.1MHz 1 K W 1984.12.18 FM宮崎 JOMU-FM 83.2MHz 1 K W 1984.12.1 F M 三 重 JONU-FM 78.9MHz 3 K W 1985.6.1 FM富山 JOOU-FM 82.7MHz 1 K W 1985.4.1 FM秋田 JOPU-FM 82.8MHz 3 K W 1985.4.1 FM岩手 JOQU-FM 76.1MHz 1 K W 1985.10.1 − 8 6 −
超短波放送局(コミユニテイFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− FM群馬 JORU-FM 86.3MHz 1 K W 1985.10.1 FM中九 JOSU-FM 77.4MHz 1 K W 1985.11.1 FM横浜 JOTU-FM 84.7MHz 5 K W 1985.12.20 F M 山 口 JOUU-FM 79.2MHz 1 K W 1985.12.1 F M 山 陰 JOVU-FM 77.4MHz 0.5KW 1986.10.1 FM青森 JOWU-FM 80.0MHz 1 K W 1987.4.1 FM新潟 JOXU-FM 77.5MHz 1 K W 1987.12.1 FM香川 JOYU-FM 78.6MHz 1 K W 1988.4.1 F M 長 野 JOZU-FM 79.7MHz 1 K W 1988.10.1 F M ジ ャ パ ン JOAV-FM 81.3MHz 1OKW 1988.10.1 FM富十 JOCV-FM 83.0MHz l K W 1988.8.8 FM埼玉 JODV-FM 79.5MHz 5 K W 1988.10.31 F M 山 形 JOEV-FM 80.4MHz 1 K W 1989.4.1 FM802 JOFV-FM 80.2MHz 1OKW 1989.6.1 FMサウンド千葉 JOGV-FM 78.0MHz 5 K W 1989.10.1 F M 石 川 JOHV-FM 80.5MHz 1 K W 1990.4.1 FM兵庫 JOIV-FM 89.9MHz 0.5KW 1990.10.1 FM大分 JOJV-FM 88.0MHz 1 K W 1990.10.1 FM京都 JOKV-FM 89.4MHz l K W 1991.7.1 FM高知 JOLV-FM 81.6MHz 0.5KW 1992.4.1 FM徳島 JOMV-FM 80.7MHz 1 K W 1992.4.1 FM佐賀 JONV-FM 77.9MHz 0.5KW 1992.4.1 FM鹿児島 JOOV-FM 79.8MHz l K W 1992.10.1 F M ノ ー ス ウ ェ ー ブ JOPV-FM 82.5MHz 5 K W 1993.8.1 FM名古屋 JOQV-FM 77.8MHz 10KW 1993.10.1 F M 九 JORV-FM 78.7MHz 3 K W 1993.9.1 FM栃木 JOSV-FM 76.4MHz 1 K W 1994.4.1 FM福島 JOTV-FM 81.8MHz l K W 1995.10.1 FM滋賀 JOUV-FM 77.0MHz 1 K W 1996.12.1 FM岡山 JOVV-FM 76.8MHz 1 K W 1999.4.1 新 潟 県 民 F M JOWV-FM 79.0MHz 1 K W 2000.12.20 FM岐阜 JOXV-FM 80.0MHz 1 K W 2001.4.1 関 西 イ ン タ ー メ デ ィ ア JOAW-FM 76.5MHz 10KW 1995.10.16 F M イ ン タ ー ウ ェ ー ブ JODW-FM 76.1MHz 10KW 1996.4.1 九 州 国 際 F M JOFW-FM 76.1MHz 1 K W 1997.4.1
白山法学第11号2015
「悪n国厭暹−「面W雨一「 而而EZm両 「凧一r口
その他周波数割当て済・開局未定 奈 良 県 ( 割 当 て 済 ) 8 5 . 8 M H z 0 . 5 K W 和 歌 山 県 ( 割 当 て 済 ) 7 7 . 2 M H z 0 . 5 K W 茨城県(割当てなし) (18)東京の2局目は、1988年(昭和63年)10月開局のFMジャパンである。 (19)初めての外国語FM放送は、1995年(平成7年)10月に、大阪で開局した関 西 イ ン タ ー メ デ ィ ア ウ ェ ー ブ で あ る 。 (20)親会社は、名古屋に本店を置き、製薬や光学機器などを扱う商社である興和で あ っ た 。 愛 知 国 際 放 送 と し て 開 局 し た 名 古 屋 地 区 の 外 国 語 F M 放 送 は 、 そ の 興 和 グループの一員であり、放送機器も興和製の機器を使用していた。サービスエリア はMIDLAND(ミッドランド)、パーソナリティはiJ(アイジェイ)と呼ばれてい た。MegaNet系列に加盟した外国語放送局の一つで、日本語や英語だけでなく、 中国語、タガログ語、スペイン語、韓国語、ポルトガル語等の番組も放送してい た。開局当初よりキャッチコピーは「Feelthewaves,Sootheyourmind.」(波を 感じ、心を癒せ)。なお、ミッドランドスクエアシネマでイメージCMを映画上映 前に流しており、そこでのキャッチコピーは「ラジオのある生活、RADIO-i」だっ た。開局時より赤字が続いたことから2010年(平成22年)9月30日24時の放送終了 をもって閉局し、同年10月7R、放送免許が総務省に返上された。残念なことであ る が 、 C B C 中 部 H 本 放 送 と い う 民 間 ラ ジ オ 放 送 発 祥 の 地 で あ り 、 初 め て の 民 間 FM放送であるFM愛知を生んだ民間ラジオ放送発祥の地名古屋でもあるが、外国 語 F M 放 送 で は 立 ち 後 れ 、 愛 知 国 際 放 送 の 撤 退 を 経 て 再 興 と い う 状 況 で あ る 。 放 送文化先進県と言われて久しかったにもかかわらず、民間テレビ放送の多チャンネ ル化の問題(中京テレビ、テレビ愛知のネット系統の問題)、また、本稿の対象で あるコミュニティFM放送に関する消極的な取り組みなど、その後の放送文化後 進県ぶりは残念である。 (21)愛知国際放送による外国語FM放送が終了して2年後の2012年(平成24年) 10月、関東地区で展開するMegaNetの基幹局となるInterFM(当時の正式名称は エフエムインターウェーブ)は、中京圏での外国語FM放送の再開を目指した新 局開局構想を発表するに至った。2013年(平成25年)8月6日にInterFM(親会 社は木下工務店)から東海総合管理局に放送免許申請が提出され、同年ll月1日付 を以てエフエムインターウェーブなどやとして予備免許が下りた。2014年(平成26 − 8 8 −超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− 年)3月の試験放送・サービス放送を経て、同年4月1日午前7時にInterFM NAGOYAを正式名称として開局した。なお、名古屋本局の周波数と出力は、前身 の愛知国際放送(RADIO-i)から事実上引き継ぐ形となったが、放送局名・コール サインと実効放射電力・送信所・演奏所・サービスエリアなどは、愛知国際放送と は異なっている。 さらに、2001年(平成13年)4月1日開局のFM岐阜も経営不振、累積赤字の 解消ができず、放送事業主体が変わる動きを見せた。1980年代後半まで郵政省 (当時。現在の総務省)が県域AM局経営安定の観点から県域FM局の周波数割当 てを渋っていたことなどがあったが、1992年(平成4年)12月18日に周波数割当て が決まった。その後、羽島市と大垣市が本社候補地となり選定が難航し、また当初 38件の申請があり、それを2社に絞り込むまで8年を要し、FM岐阜の開局が遅れ た。2000年(平成12年)7月14日に予備免許交付、2001年(平成13年)4月1日開 局。FM岐阜は、2003年以降「純欠損」という債務超過の状態が続き、通常は5年 とされている放送局免許の有効期間が短くなっており、ほぼ毎年電波法の規定によ る再免許の申請をしなければならなかった。一例として、2011年4月28日付官報本 編にて、2011年の免許更新について所管大臣・片山善博名義で手続開始が公示され ていた。同局は、2009年以降単年度黒字化を達成していたが、債務超過が長かった こともあり、2013年3月期においても3億円を超える累積赤字を抱えていた。放送 の継続のため、岐阜FM放送株式会社を解散し、その受けⅡとして、2013年(平 成25年)8月1日にFM愛知とその完全子会社アセント、及びFM東京とその子 会社ジャパンエフエムネットワークの4社によって株式会社エフエム岐阜が設立さ れた。岐阜エフエム放送は、事実上、FM愛知(放送エリアが重複する)とJFN キー局のFM東京の2社によって再建されたのである。同年1月26日に新会社へ の放送免許の承継を総務省に申請し、2月24日に新旧分離が認可。2014年(平成26 年)2月28日付で岐阜FM放送株式会社としての放送事業は終了。翌3月1日よ り株式会社FM岐阜によってその放送事業は承継されたのである。なお、こうし た放送局の新旧分離を巡っては、福岡市のCROSSFM、神戸市の兵庫エフエム放 送に次ぎ3例目である。 (22)総務省平成25年8月6日「地上基幹放送局の免許の有効期間満了に伴う再免許 申請及び新たな免許申請の受付結果」参照。これによると、 l 経 緯 地上基幹放送局(コミュニティ放送を行う地上基幹放送局を除く。)の現免許の − 8 9 − |
白山法学第ll号2015 有効期間は平成25年10月31日をもって満了します。そのため、総務省は平成25年5 月1日から平成25年7月31日までの問、電波法(昭和25年法律第131号)第6条第 7項の規定に基づき、地上基幹放送局(電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会 規則第l4号)第6条の4各号に掲げるものを除く。)について、申請受付を公示 し、再免許申請及び新たな免許申請を受け付けました。 2 申 請 受 付 の 結 果 申請受付の結果、195社※から申請がありました(名古屋地区を中心とする外国 語放送を行う超短波放送の新たな免許申請を除き、全て再免許申請でした。また、 再免許申請事業者と競合する新たな免許申請はありませんでした。)。申請受付結果 は別紙のとおりです。※195社の内訳は次のとおり。(放送局名は略) ・中波放送の単営15社(特定地上基幹放送局以外の地上基幹放送局l社及び当該基 幹放送局を用いて基幹放送の業務を行おうとする者l社を含む) ・短波放送1社 ・超短波放送52社 ・テレビジヨン放送の単営94社 ・中波放送及びテレビジョン放送の兼営33社 3 今 後 の 予 定 今後、法令に基づき審査の上、適合している場合は、10月下旬頃に再免許及び新 たな申請に対する予備免許を交付する予定です。 2 . コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 に つ い て (1).コミュニテイ放送局とは (23) 総務省総合通信局が公布する「コミュニティ放送局開局の手引き」によ ると、コミュニテイFM放送局について、以下の5点を中心に簡略に説 明がなされている。 (1)市町村の一部の区域において、地域に密着した情報を提供するため に、平成4年1月に制度化されたFM放送局です。 (2)地域の特色を活かした番組や防災・災害情報等を提供することによ り、地域情報の発信拠点として、豊かで安全な街づくりに貢献できる放 送局です。 (3)76.1MHzから89.9MHzのFM放送の周波数帯の電波を利用するた 9 0
-超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− め、一般に市販されているFMラジオやカーラジオで聴くことができ ます。 (4)コミュニテイ放送局ならではの小回りの利いた取材で、地域のイベ ントや身近な話題を取り上げるなど、地域の特性を活かした番組作りを 行っています。 (5)平成7年1月の阪神.淡路大震災において災害情報等がリアルタイ ムにきめ細かく提供されたことなどをきっかけに、コミュニティ放送に 対する期待が高まっています。 コミュニティ放送とは、放送法に規定された基幹放送の一種であり、超 短波周波数帯(FM周波数帯)の周波数を使用し、限られた地域をその放 送対象エリアとすることから、コミュニティFMとも呼ばれている。敷 桁すると、電波法施行規則や放送法が定義する超短波放送、いわゆるFM 放送の周波数を用いた放送であり、市販のFMラジオ等で聴取できる放 送と言える。すでに述べたように、地上基幹放送の一種であるが、放送対
象地域が従来の広域放送や県域放送より狭く、「地域密着」、「市民参加」、
「防災および災害時の放送」がコミュニテイ放送の特徴であると言われて (24) いる。地方自治体がこれまで導入してきた「防災行政無線」と比べ、その コストが十分の一から百分の一と低廉なため、自治体が公社や第三セク ター会社を設立して参入する例が多く見られるのも特徴である。この点に 関しては、東日本大震災を契機に設立された臨時災害放送を含めて次章に (25) おいて紹介する。なお、地域社会を対象とする放送メディアとしては、 ケーブルテレビ(CATV)と比較されることが多いが、近年、CATV企 業がコミュニティ放送に参入するケースも増えている。この点について も、次章において検討する。 詳細は次章で検討するが、コミュニティ放送と言えど、放送法や電波法 に基づく免許を取得した、歴とした放送局である。したがって、放送事業者は、電波法に基づき地上基幹放送局の免許が必要で、第二級陸上無線技
術士以上の無線従事者の管理も免許の要件のひとつになっている。しか 9 1-白山法学第11号2015 し、規制緩和によって創設された制度であるため、電波法第7条第6項に (26) 規定する資料提出は不要である。この点が既存の放送局とコミュニティ放 送局との唯一の違いである。このコミュニティ放送が使用する超短波周波 数帯として、総務省は、当初、以下のように公示した。すなわち基幹放送 用 周 波 数 使 用 計 画 第 1 総 則 l 2 に よ り 、 周 波 数 は 、 原 則 と し て 、 76.1MHz、76.2MHz、76.3MHz、76.4MHz、76.5MHzのいずれか、空 (27) 中線電力は1ワット(現行は、原則20W以下)であること、である。ま た、実効輻射電力(アンテナの利得によって強められ放射される実際の電 (28) 力。ERP)は上限がなく、免許の有効期間は5年である。ただし、当初の 免許の有効期限は5年以内の一定の10月31日までとなる。呼出符号(コー
ルサイン)は「JOZZ」で始まり、その後にl数字(0∼9の地域番号)
と2英字、最後に「−FM」がつく。このコミュニティ放送の全国組織としては、日本コミュニティ放送協会(JCBA)とNPOコミュニティ放送
全国協議会がある。前者の日本コミュニテイ放送協会には、2014年(平成 26年)12月12日現在、全国の運用中のコミュニティFM局(免許返上し、 (29) 廃止手続きした局を除く。)285局のうち218局が加盟している。 圧 (23)文言としては、総務省令放送法施行規則別表第5号の第8放送対象地域による 基幹放送の区分(4)にある。定義は、同表の(注)12に「一の市町村(特別区を 含み、地方自治法第252条の19に規定する指定都市にあっては区とする。以下同 じ。)の一部の区域(当該区域が他の市町村の一部の区域に隣接する場合は、その 区域を併せた区域とし、当該区域が他の市町村の一部の区域に隣接し、かつ、当該 隣接する区域が他の市町村の一部の区域に隣接し、住民のコミュニティとしての一 体性が認められる場合には、その区域を併せた区域とする。)における需要に応え るための放送」とある。総務省基幹放送普及計画第1基幹放送の計画的な普及及 び健全な発達を図るための基本的事項1(1)ア(ウ)超短波放送参照。 (24)浅田繁夫「日本におけるコミュニティFMの構造と市民化モデル」創造都市 研究(大阪市立大学大学院創造都市研究科紀要)第3巻第1号2頁以下(2008年)。 (25)田村紀雄・染谷薫「多様化するコミュニティFM放送」東京経済大学人文自 − 9 2 −超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− 然科学論集第119号43頁以下参照(2005年)。 (26)電波法第7条6項:「総務大臣は申請の審査に際し、必要と認められるときは 申請者の出頭又は資料の提出を求めることができる」とある。 (27)1992年(平成4年)1月10日には、l.既存民放・外国籍・個人の参入不可、 2.市町村(特別区または政令指定都市の行政区)ごとに1局、3.第三セクター 型では自治体の出資比率30%以下を基準とし、空中線電力をlW以下、おおよそ の可聰域を半径2∼3kmとし、コミュニティ放送の制度を導入した。しかし、出 力の低さに伴う可聴域の狭さについての苦情が寄せられ、1995年(平成17年)3月 9Hには、基準を既存民放・外国籍・個人の参入不可と修正し、空中線電力も10W 以下、可聴域も半径5∼lOkmに改めた。さらに、1999年(平成ll年)3月30日に は、空中線電力を20W以下にまでに増力を認め、可聴域も半径15∼20kmに改正さ れた。また、北海道や島しょ諸島での例外的措置として、空中線電力の特例とし て、FM久米島は80W、FMわっかないは50Wが認められている。この他にも、臨 時 災 害 放 送 局 と し て 運 営 し て い る 一 部 の コ ミ ュ ニ テ ィ ー F M で は 、 臨 時 に 上 記 の 20Wを超える空中線電力で放送することが認められている。なお、次注にも関連 するが、実効輻射電力については制約がない。空中線はなるべく高くならないよう にとの指示はあるが、江戸川区にあるFM江戸川のアンテナは、地上高約100メー トルにあり、実効輻射電力が100W以上で、半径約40キロメートルで受信できてい る。 (28)平成23年総務省告示第275号電波法施行規則第8条第1項の規定に基づくコ ミュニティ放送を行う地上基幹放送局について同時に有効期限が満了するよう総務 大臣が別に告示で定める日(総務省電波利用ホームページ総務省電波関係法令集) に「平成27年ll月1日及びその後5年ごとのll月lHとする。」とあることによる。 (29)日本コミュニティ放送協会のコミュニティ放送開局状況を参照。2013年1月23 日現在、延べ免許数289局、開局せず頓挫2局、免許後準備中3局、開局数285局、 廃局数19局、現在放送中265局となっている。放送事業主体は、株式会社等が259 局、NPO法人によるものが27局。日本コミュニティ放送協会に非加盟なのは68局 (株式会社等45局、NPO法人23局)である。なお、次々章での各地方ごとの検討の 際に触れるが、廃局後同じ地域で別局が開局した例が4局ある。 − 9 3 −
白山法学第11号2015 四 超 短 波 放 送 に 関 す る 法 律 に つ い て 1.地上放送関係法令(抄) い ず れ も 超 短 波 放 送 局 で あ る 従 来 の F M 放 送 と コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 の 相 違 点 に つ い て 検 討 す る 前 に 、 両 F M 放 送 を 規 律 す る 関 連 法 規 、 そ の 概 要 に つ い て 、 総 務 省 の 資 料 を そ の ま ま 引 用 す る こ と で 触 れ る こ と に す る。まず、放送法である。 (1)放送法(昭和25年法律第132号) ア 目 的 ( 第 1 条 ) 昭和25年6月に施行された法律で、次に掲げる原則に従って、放送 を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを 目的とします。 一 放 送 が 国 民 に 最 大 限 に 普 及 さ れ て 、 そ の 効 用 を も た ら す こ と を 保障すること。 二放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送 による表現の自由を確保すること。 三 放 送 に 携 わ る 者 の 職 責 を 明 ら か に す る こ と に よ っ て 、 放 送 が 健 全な民主主義の発達に資するようにすること。 イ放送番組編集の自由(第3条) 放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも 干渉され、又は規律されることがありません。 ウ国内放送の放送番組の編集等(第4条) 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たっては、次に定め るところによらなければなりません。 一公安及び善良な風俗を害しないこと。 二政治的に公平であること◎ 三報道は事実をまげないですること。 四 意 見 が 対 立 し て い る 問 題 に つ い て は 、 で き る だ け 多 く の 角 度 か − 9 4 −
超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− ら論点を明らかにすること◎ 放送事業者は、国内放送の教育番組の編集及び放送に当たっては、 その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、 組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送の計画及び内 容 を あ ら か じ め 公 衆 が 知 る こ と が で き る よ う に し な け れ ば な り ま せ ん。この場合において、当該番組が学校向けのものであるときは、そ の内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するよ うにしなければなりません。 エ 番 組 基 準 ( 第 5 条 ) 放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放 送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなけれ ばなりません。 放送事業者は、国内放送について番組基準を定めた場合には、これ を公表しなければなりません(変更した場合も同様とします。)。公表 の方法は、当該事業者が行う放送、事務所への書面の備置き及び日刊 新聞紙等(インターネットのホームページ含む。)への掲載等により 行うものとします。 オ訂正放送等(第9条) 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によって、そ の放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送 のあった日から三箇月以内に請求があったときは、放送事業者は、遅 滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真 実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放 送をした放送設備と│司等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は 取消しの放送をしなければなりません。 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、 同様とします。(なお、当該規定は、民法の規定による損害賠償の請 (30) 求を妨げるものではありません。) − 9 5 −
白山法学第ll号2015 こ の よ う に 、 従 来 の F M 放 送 も コ ミ ュ ニ テ ィ F M 放 送 も 、 放 送 法 に基づく超短波放送局であることは共通するのである。次いで、電波 法のとの関係について一言触れておこう。 (2)電波法(昭和25年法律第131号) 昭和25年6月に施行された法律で、電波の公平かつ能率的な利用を確保 することによって、公共の福祉を増進することを目的とし、無線局(放送 局も含まれる。)の免許、無線設備、無線従事者、無線局の運用等につい (31} て規定されています。 この記述及び脚注に掲載の諸規定より分かるように、電波法上も、従来 のFM放送もコミュニティFM放送も免許の有効期限は5年であるし、 申請、審査に関する手続きも同じであると言えよう。 圧 (30)総務省総合管理局の「地上放送関係法令等の概要」を参照。総務省の抄本資料 からそのまま引用した。文意が変わってしまうのを回避すべ<、筆者において、あ えて文体を統一していない。その点ご容赦いただきたい。 (31)前注(30)参照。なお、フランスでは、コミュニティFM放送を財政的に支 援する基金制度がある。既存の民間放送局が基金に拠出し、この基金からの支援を 受けることになっている。既存の民間放送は広告収入の一定割合を拠出し、規制緩 和によって誕生したこの制度を支えている。 2 . 地 上 放 送 の 種 類 放送法において、「地上放送は中波放送、超短波(FM)放送(コミュ ニティ放送及び外国語放送を含む。)、テレビジョン放送、多重放送等に区 (32) 分されています。」と定義づけられている。この総務省資料の記述からも 分かるように、放送法において、地上放送とは、中波放送、超短波(FM) 放送、テレビジョン放送、多重放送等を包含する概念であると言える。し たがって、放送法においては、本稿の対象である超短波放送のコミュニ ティFM放送も、従来のFM放送も同一範晴の放送であるとその法的性 − 9 6 −
超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− (33) 質を評価することができよう。しかも、電波法により、放送免許の申請、 仮免許の交付、試験放送、本免許の交付、開局と、放送事業者がたどる開 局までの手続きは、すでに述べたひとつの項目を除くとすべて同一なので ある。 圧 (32)総務省ホームページ「コミュニティ放送」参照。 (33)運営主体に関する諸審査には、人的な事項、物理的な事項に関するものがあ る。詳細は、総務省総合管理局の「コミュニティ放送開局の手引き」を参照された い 。 そ の 審 査 の 中 で 、 コ ミ ュ ニ テ ィ F M を 開 局 さ せ よ う と す る 仮 称 「 開 局 準 備 委 員会」にとって難問なのは、開局までの資金面の裏付け、開局後の運営見込み、第 1級陸上無線技術士または第2級陸上無線技術士の常勤勤務の確保である。総務省 のHPによれば、第2級陸上無線技士とは、その操作対象となる無線設備の概要が 小・中規模放送局、航空用無線航行局などの無線設備である資格である。具体的に は、次に掲げる無線設備の技術操作(アマチュア無線局の操作を除く。)が該当す る。l.空中線電力2kW以下の無線設備(テレビジヨン放送局の無線設備を除 く。)、2.テレビジヨン放送局の空中線電力500W以下の無線設備、3.レーダーで 1.に掲げるもの以外のもの、4.l.及び3.以外の無線航行局の無線設備で960MHz 以上の周波数の電波を使用するもの、第四級アマチユア無線技士の操作の範囲に属 する操作。この資格は、無線通信に用いる設備の技術操作を行うための資格であ り、特に放送局においては必置資格である。その試験科目は、l.無線工学の基礎 (a.電気物理、b.電気回路、c,半導体及び電子管、d.電子回路、e,電気磁気測定)、 2.法規(a.電波法及びこれに基づく命令の概要)、3.無線工学A(a.無線設備の 理論、構造及び機能、b.無線設備のための測定機器の理論、構造及び機能、c,無線 設備及び無線設備のための測定機器の保守及び運用)、4.無線工学B(a.空中線系 等の理論、構造及び機能、b.空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能、 c、空中線系及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用)であり、試験の水準 は、大学の電気工学関係学科卒業程度と言われているが、2013年(平成25年)の実 績では、出願者数1866人、受験者数1639人、合格者数352人、合格率21.5%であ る。2013年(平成25年)現在の累積の取得者数は、32333人である。総務省総合通 信基盤局電波部電波政策課の統計資料による。要約すれば、陸上無線技術士は、無 線従事者の一種で電波法第40条第4号のイからロに規定するものである。総務省所 − 9 7 −
白山法学第11号2015 管。平成元年(1989年)に制定された。英語表記は"TechnicalRadioOperator fOrOn-The-GroundServices"。第一級(一陸技)、第二級(二陸技)の2種に分か れる。(括弧)内は略称である。なお、平成元年の法改正によI)、従前の第一級無 線技術士(略称は一枝)は一陸技、第二級無線技術士(二技)は二陸技とみなされ る。 五 コ ミ ュ ニ テ ィ 放 送 局 の 免 許 申 請 手 続 き に つ い て コミュニティFM放送局を開局するためには、各管区の総合通信局に、 免許申請をし、所定の手続きを経て、免許の交付を受ける必要がある。こ (34) の点に関して、総務省のホームページから引用しておこう。 コミュニティFM放送の開局するためには、総務大臣の免許を受けな ければなりません。放送局の免許申請にあたっては、次の書類を提出する 必要があります。 1.無線局免許申請書(様式1) 申請者の住所、法人名、代表者氏名、無線局の種別等を記載する。 (免許申請手数料を収入印紙により納付) 2.無線局事項書(様式2−1) 無線局の開設を必要とする理由、電波の型式、希望する周波数の範 囲、空中線電力、放送区域内の世帯数等を記載する。 (1)無線局事項書の「添付書類」について ア放送区域図(無線局事項害31欄関係) 5万分の1以上の精密度を有する地図に放送区域を表示し、放送区 域となる地域に指定された電界強度又は電力束密度による等電界強度 線又は等電力束密度及び送信空中線の位置を表示する。 (2)「別紙」とする事項について ア無線設備の工事費(無線局事項害21欄関係)(様式2-2) 送信所及び演奏所の機械設備、土地、建物等の工事費等について記 載する。 イ 基 幹 放 送 の 業 務 に 用 い ら れ る 電 気 通 信 設 備 の 概 要 ( 無 線 局 事 項 害 − 9 8 −
超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− エ 23欄関係)(様式2−3関係) ウ 基 幹 放 送 の 業 務 を 維 持 す る に 足 り る 技 術 的 能 力 ( 無 線 局 事 項 書 2 5 欄関係)(様式2−4関係) 工事業計画等(無線局事項害26欄関係) ①経営形態及び資本又は出資の額(様式2−5) 株式会社、設立中の株式会社等別に株式数等について記載する。 ②事業開始までに要する用途別資金及びその調達の方法(様式2− 6) 工事費、創業費等の用途別資金の額並びにその調達の方法の別 (資本金、出資金、借入金等)及び額を記載する。 ③主たる出資者及びその議決権の数(様式2−7) 総議決権に対する比率がlOO分の1以上の出資者について、住 所、職業、総議決権に対する比率等を記載する。 ④10分の1を超える議決権を有する者に関する事項(様式2-8) 10分の1を超える議決権を有する者について、氏名又は名称、 総議決権に対する比率、委託放送事業者又は衛星役務利用放送事業 者の3分の1以上の議決権を有する場合の当該事業者の名称等を記 載する。 ⑤10分の1を超える議決権を有する他の一般放送事業者又は3分 の1以上の議決権を有する電気通信役務利用放送事業者に関する事 項(様式2−9) 自らが10分の1を超える議決権を有する他の一般放送事業者又 は3分の1以上の議決権を有する電気通信役務利用放送事業者につ いて、氏名又は名称、他の一般放送事業者及び電気通信役務利用放 送事業者の総議決権に対する比率等を記載する。 ⑥役員に関する事項(様式2-10) 役員(監査役を含む。)について、氏名、住所、役名、担当部門 等を記載する。なお、役員の選出において、国や地方公共団体の職 − 9 9 −
白山法学第ll号2015 員等がコミュニティ放送事業の役員を兼職することは、国や地方自 治体の当該職員が放送事業に直接関与することになるため、言論報 道機関としての自主性・中立性を損なうおそれのないよう特に工夫 が な さ れ て い る こ と を 証 明 す る た め の 追 加 資 料 の 提 出 が 必 要 で あ る。(詳細については、各地域の総合通信局等に相談のこと。) ⑦放送番組の編集の基準(様式2-11) 放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じた放送番組の編集 の基準を記載する。 ⑧ 放 送 番 組 の 編 集 に 関 す る 基 本 計 画 ( 様 式 2 - 1 2 ) 具体的に放送番組を編集するための基本的な計画を記載する。 ⑨週間放送番組の編集に関する事項(様式2-13) 1週間の放送番組の代表例を記載する。 ⑩放送番組の審議機関に関する事項(様式2-14) 番組審議委員について、氏名、住所、性別、生年月日、職業等を 記載する。 ⑪放送番組の編集の機構及び考査に関する事項(様式2-15) 放送番組を編集する組織機構及び考査する組織機構について、職 務内容を系統的かつ具体的に記載する。この場合において、編集の 責任者については、その権限等について併せて記載し、考査につい ては、その方法を記載するとともに基準等があるときはそれらを記 載又は添付する。 ⑫災害放送に関する事項(様式2-16) 災害放送の実施体制(責任者、連絡系統、要員等)について記載 する。 ⑬ 事 業 収 支 見 積 り ( 様 式 2 - 1 7 ) 向こう5年の事業収支見積りについて記載する。 ⑭放送番組の主たる利用見込者(様式2-18) 主たるスポンサーについて、氏名又は名称、住所、一年間の利用 1 0 0
-超短波放送局(コミュニティFM放送局)に関する法社会学研究一東日本大震災を契機に− 見込金額等を記載する。 3.工事設計書(様式3) 送信の方式、送信機、空中線系、電源設備等について記載する。 (1)工事設計書の「添付書類」について ア空中線系構成図(工事設計書12欄関係) 構成が複雑なため、工事設計書12欄の記載が困難な時は、次によ り空中線の構成を示す図面を添付すること。 ・送信機の出力端子から送信空中線まで及び受信空中線から受信機 の入力端子までの系統を記載する。 ・空中線柱等における空中線の取付けの状況(平面図及び側面図に より明示すること。)を記載する。 ・送信空中線については輻射体の形状及び大きさ並びに当該空中線 が複数の輻射体により構成されている場合は、各輻射体に給電さ れる電力の比率を記載する。 ・送信機の出力端子から送信空中線までの間に給電線以外の装置が 挿入されている場合は、挿入箇所を記載する。 イ送受信機系統図(工事設計書l6欄関係) 当該図面に係る装置を有する場合に添付すること。 ・送信機に係るものは、真空管、半導体又は集積回路の名称及び用 途、各段の周波数、発振周波数から発射電波の周波数を合成する 方法並びに電源の電圧を、受信機に係るものは、真空管、半導体 又は集積回路の名称及び用途並びに各段の周波数(受信周波数と 第1局部発信周波数部の周波数との高低の関係を含む。)を記載 する。 ウ電源系統図(工事設計書16欄関係) 当該図面に係る装置を有する場合に添付すること。 ・機器の種類、電圧、容量及び相数を記載する。 エ調整装置系統図(工事設計書16欄関係) 1 0 1
-白山法学第ll号2015 当該図面に係る装置を有する場合に添付すること。 ・DS(データサーバ)、APS(番組組立部)、字幕・データ放送等 制作システム、EWS(緊急譽報信号発生装置)、ENC(符号化装 置)、MUX(多重化装置)、放送スクランブル装置等の接続を記 載する。 【申請手続等の電子化について】 近 年 の 情 報 化 の 進 展 に 伴 い 、 政 府 と し て 申 請 ・ 届 出 等 の 手 続 き の 電 子 化・ペーパーレス化に取り組んでおり、総務省においても無線局の免許申 請 等 さ れ る 方 々 の 申 請 手 続 等 の 電 子 化 を 推 進 し て い ま す 。 詳 細 に つ い て は、各地域の総合通信局にお問い合わせください◎ l.FD申請 免許申請等の手続きに際して申請者に提出を求めている書類につい て、フロッピーディスク等での提出が可能です。 2.電子申請 インターネットを利用して、申請・届出などの行政手続を、いつで も、どこからでも行うことができます。 第 5 章 審 査 免許申請に対し、電波法の規定により、以下のとおり審査を行います◎ l.欠格事由(電波法第5条) 次のいずれかに該当する者には、無線局の免許が与えられません。 一 日 本 の 国 籍 を 有 し な い 人 二 外 国 政 府 又 は そ の 代 表 者 三 外 国 の 法 人 又 は 団 体 四 法 人 又 は 団 体 で あ っ て 、 上 記 一 か ら 三 ま で に 掲 げ る 者 が 業 務 を 執行する役員であるもの又はこれらの者がその議決権の五分の一 以上を占めるもの また、電波法又は放送法に規定する罪を犯し罰せられた者や免 許の取消処分を受けた者、上記一から三までに掲げる者がその代 1 0 2