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金属ドーピング硫化物光触媒による可視光照射下での水素生成 平成 27 年度三重大学大学院工学研究科博士前期課程分子素材工学専攻生物機能工学講座 414M315 研究領域 F: 先進物質 先進材料分析環境化学研究室荻野勇紀 三重大学大学院工学研究科

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

金属ドーピング硫化物光触媒による

可視光照射下での水素生成

平成

27 年度

三重大学大学院 工学研究科

博士前期課程 分子素材工学専攻

生物機能工学講座

414M315

研究領域

F: 先進物質・先進材料

分析環境化学研究室

荻野 勇紀

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

目次

1 章 序論 ... 1 1-1 地球環境と水素エネルギー ... 1 1-2 水素生成法 ... 3 1-3 燃料電池 ... 7 1-4 半導体光触媒 ... 11 1-5 本研究の目的 ... 14 2 章 実験 ... 15 2-1 使用機器 ... 15 2-2 試薬 ... 16 2-3 実験手順 ... 17 2-3-1 触媒の調製方法 ... 17 2-3-2 水素生成方法 ... 19 2-3-3 実験装置 ... 21 第3 章 修飾型酸化亜鉛光触媒による水素生成 ... 22 3-1 修飾型酸化亜鉛光触媒による水素生成 ... 22 3-2 水素生成の最適条件の検討 ... 23 3-2-1 酸化銅担持量の検討 ... 23 3-2-2 Na2S/Na2SO3水溶液濃度の検討 ... 25 3-2-3 焼成条件の検討 ... 29 3-2-4 硫化金属担持の検討 ... 33 3-2-5 金属や非金属担持の検討 ... 34 3-2-6 安定性の評価 ... 37 3-3 光触媒の評価 ... 39 3-3-1 実験前後の触媒の色 ... 39 3-3-2 XRD 測定 ... 40 3-3-3 SEM, TEM 測定 ... 42 3-3-4 DRS 測定 ... 45 3-3-5 PL 測定 ... 48

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 3-3-6 XPS 測定 ... 50 3-4 考察 ... 52 第4 章 Ru/(CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2固溶体光触媒による水素生成 ... 54 4-1 (CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2固溶体光触媒の合成条件の検討 ... 55 4-1-1 水熱処理溶媒量の検討 ... 55 4-1-2 水熱処理時間の検討 ... 57 4-2 Ru/(CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2固溶体光触媒による水素生成 ... 59 4-2-1 金属硫化物担持の影響 ... 59 4-2-2 Ru/(CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2固溶体光触媒による水素生成 ... 61 4-2-3 Ru/(CuyAg(1-y))0.1In0.2Zn1.6S2固溶体光触媒による水素生成 ... 63 4-3 可視光(λ≧600 nm)を利用した水素生成 ... 65 4-4 界面活性剤添加による水素生成活性の向上 ... 68 4-5 安定性の評価 ... 71 4-6 光触媒の評価 ... 73 4-6-1 実験前後の触媒の色 ... 73 4-6-2 XRD 測定 ... 75 4-6-3 SEM, TEM 測定 ... 78 4-6-4 DRS 測定 ... 81 4-6-5 PL 測定 ... 87 4-6-6 XPS 測定 ... 91 4-6-7 BET 測定 ... 93 4-6-8 FT-IR 測定、原子吸光測定 ... 97 4-7 考察 ... 99 第5 章 結論 ... 102 参考文献 ... 104 本研究に関連した論文 ... 107 謝辞 ... 108

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

1 章 序論

1-1 地球環境と水素エネルギー

近年になって、先進国の高度な経済活動に伴い石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の使 用量が増大し、これによる都市の大気汚染、NOX、SOXによる酸性雨、酸性霧及び二酸化炭 素(CO2)による地球の温暖化などの問題が大きく取り上げられている。特に、地球の温暖化 問題については、大気中のCO2濃度の上昇が最大の原因と考えられており、化石燃料に起因 するエネルギーの消費と密接な関係がある。年間に使用する石油、石炭、天然ガスなどの化 石燃料中の炭素量は数10 億トンと言われており、それに伴い CO2が生成され大気中に放出 され、現在のその濃度は350 ppm である。これが地球の温暖化に繋がっている。現在、CO2 放出量は地球のもつ処理能力をもはるかに超え、CO2の濃度は上昇している。今世紀後半に は大量かつ長期的に放出されるCO2の濃度は現在の濃度の2 倍となり、地球の年平均気温が 2~3℃上昇するものと予測されている。このような地球の温暖化に伴い、極氷や氷河の融解 によって、海面が1~2 m 上昇し、日本海岸では 26%の砂浜が失われるなどかなり大きな気 象変動が予想される。この問題は、化石燃料を使用する限り解決できず、長期的な地球規模 での対策が必要とされている。 2009 年 12 月に第 15 回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)がデンマーク・コペンハーゲ ンで開催され、世界各国は CO2削減に対して国際的な枠組みと積極的な CO2の削減目標を 掲げたコペンハーゲン合意が承認された。この会議で各国は、2020 年までの温室効果ガス の削減目標値を掲げた。主な国別削減目標の内訳(1990 年比)は欧州連合(EU)20~30%、米国 3%、日本 25%、ロシア 20~25%、オーストラリア 24%である。日本における 2007 年度の二 酸化炭素など温室効果ガスの排出量は、CO2換算で約 13 億 7400 万トンである。この値は、 前年度に比べて 2.4%増え、京都議定書の削減目標の基準である 1990 年の総排出量を 9.0% 上回っており、2020 年の CO2排出量を1990 年比で 25%削減するという国際的な目標を果た すのは、困難な状況となっている。 2015 年 11 月に第 21 回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)がフランスパリで開催された。 京都議定書以来となる気候変動に関わる国際的な協定が締結され、全ての国が排出量削減目 標を作り、その達成のための国内対策を取っていくことが義務付けされた。 CO2の排出量を削減し、地球温暖化を防ぐためには、当面CO2排出の少ないエネルギー源 への転換をはかるとともに、産業分野はもとより、各家庭においても個人一人一人が生活の 中でのエネルギーの無駄を省き、省エネルギーに努める工夫に取り組む必要がある。また一 方で、環境に優しい新しいエネルギーを早急に導入していく必要がある。新たに求められる クリーンなエネルギーとして、再生可能な太陽光、風力、地熱、海洋、水力などの自然エネ ルギーと、近年注目されてきた水素エネルギーが挙げられる。 水素は、地球上で無限に存在する水や水素を含む有機化合物を原料とし、様々な産業発展の ために広く利用され、太陽光、風力、地熱、海洋、水力などの自然エネルギーから得られた

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 電力を用いて水の電気分解により得ることができる。 また、水素は、いかなる過程の燃焼においても容易にもとの水に戻り、自然環境の循環作 用になんら妨げにならないクリーンなエネルギーである。将来的には、水素はエネルギー媒 体としてクリーンエネルギーの開発と環境問題の解決に重要な役割を担うものとして期待 されており、水素エネルギー社会が到来すると考えられている。 近年、水素エネルギー社会の実現に向けて、特に関心が高まり、研究開発されている分野 の中に燃料電池がある。燃料電池は、電気化学エネルギーを熱エネルギーに変換することな く、直接、電気エネルギーとして取り出せるため、発電効率が高い。燃料電池の種類にもよ るが、すでに40~50%の発電効率は達成されている。これは大規模火力発電と同程度であり、 現在、さらなる効率向上を目指した研究開発が進められている。燃料電池の場合には、規模 や出力によらず高いエネルギー効率が実現できる特徴がある。特に、省エネルギー効果が大 きいのは運輸部門におけるエネルギー消費である。従来のガソリン車の場合、エネルギー効 率は15%程度である。さらに、原油の堀削、精製、輸送などもプロセスにおけるエネルギー 消費も考慮したトータルエネルギー効率はこれよりも若干低くなる。一方、燃料電池自動車 のトータルエネルギー効率は、燃料の種類や製造方法に依存するが、ガソリン車の2 倍から 3 倍程度向上すると見られている。また、家庭用や業務用の分散電源として定置式燃料電池 システムを用いる場合には、電気とともに熱を供給するコージェネレーションシステムが想 定されており、電気と熱を合計するとエネルギー効率は80%程度にも達し、民生部門におけ る省エネルギー効果が期待されている。 このような優れた要素をもつ水素を、水と太陽光による自然サイクルのように、どのよう にして地球環境に優しいエネルギーサイクル及びシステムとして組み立てるか、また、どの ように貯蔵・輸送・供給をするのかが、今後の課題とされている。現在、国内外では、水素 エネルギー利用システムに関する要素技術について積極的に研究開発が進められている。燃 料電池自動車など水素利用技術の進展とともに確実に水素の需要が増加の傾向を辿る水素 エネルギー時代に向けて、今後、これら個々の要素技術を連携させた、地球規模での水素エ ネルギーシステムが構築されることが期待されている。

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1-2 水素生成法

水素エネルギーは燃料電池との組み合わせにより、地球温暖化を防止する最も有望な次世 代燃料として期待されている。今後、水素エネルギーシステムが普及していくと、当然、水 素の需要も増加する。この需要を満たす量の水素をどのように製造していくかが、水素エネ ルギーシステムの普及にとって大きな課題であり、またその方式は水素エネルギーシステム 導入の効用を大きく左右すると考えられている。 水素の製造方式は多様であり、原料、プロセス、場所などさまざまな観点からの分類が可 能である。現在、実用化されているのは、化石資源の改質と水の電気分解である。また、化 石資源を用いない方法は、二酸化炭素排出や化石資源消費が実質的にゼロとなる反面、技術 開発やコスト面で課題があり、実用化に向けた研究開発が進められている。以下に、Ⅰ. 化 石資源改質として水蒸気改質、部分酸化、自己熱改質、Ⅱ. 化石資源を用いない方法として 水の電気分解、水の熱分解、バイオマス転換、水の光分解、Ⅲ. オンサイト水素製造と副生 水素利用としてオンサイトでの水素製造、副生水素の利用の順に各水素製造法について説明 する。 Ⅰ. 化石資源からの水素製造 水蒸気改質法 天然ガス、ナフサなどの炭素資源を高温・触媒存在下で水蒸気と反応させ水素と一酸化炭 素の合成ガス(改質ガス)を得る方法である。炭化水素と水蒸気の主反応は以下のガス化反 応で表すことができる。 CnHm + nH2O → nCO + (n + m/2)H2 (吸熱) 水蒸気改質法は、改質ガス中の水素存在比が高く、メタンやナフサなど軽質の炭化水素を 原料とする水素製造に適しているが、一方で、ガス化反応は吸熱反応であるため、多量の投 入エネルギーを必要とし、触媒劣化や炭素析出などの問題から、炭化水素原料への適用は困 難であると考えられている。 部分酸化法 触媒を必要としないため、原料中の不純物による制約がほとんどなく、軽質の炭化水素の みならず、石炭や重質油なども原料とし用いることができる方法である。欠点としては、合 成ガス中のH2/CO 比が水蒸気改質法に比べ低いこと、反応温度が非常に高く、反応炉材料が 高価になることが考えられている。

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 自己熱改質法 水蒸気改質反応を発熱反応である部分酸化反応とともに一つの反応器内部で進行させ、熱 的に自立させる方法である。 Ⅱ.化石資源を用いない水素製造 ■ 水の電気分解 水に電流を流して水素を発生する方法で、主な工業的水電解法には、アルカリ水電解法、 固体高分子電解質水電解法、高温水蒸気電解法がある。 ・アルカリ水電解法 電解質として25%程度の KOH 水溶液を用いる方法で、生成される水素の純度が高いので 外販用として用いられている。装置の構造はシンプルであるが、エネルギー効率が低く、電 力料金が水素製造コストに影響する問題がある。 ・固体高分子電解法 イオン交換膜を隔膜および電解質として用い、その両側に電極を接合し、純水を電解する 方法である。この方法は、電流密度やエネルギー効率が高く、装置のコンパクト化が可能で あり、商業化に向けた研究開発が進められている。また、一方で、イオン交換膜や白金族触 媒の価格が高いことが課題となっている。 ・高温水蒸気電解法 酸化物固体電解質を用い、900~1100℃で水蒸気の電気分解を行う方法である。水電解に 必要な電気エネルギーの一部を熱エネルギーで補い、電力のコストを下げることを目的とし ている。 ■ 水の熱分解 新しい水素製造方法の一つで、熱エネルギーを用いて水を分解し水素と酸素を製造する方 法である。水を直接に熱分解するためには 2500℃以上の高温を必要とするため、プラント の構築は非現実的である。しかし、いくつかの熱化学反応を組み合わせることにより、1000℃ 以下の温度領域で水を分解し、水素を取り出すことが可能な熱化学サイクルが多数提案され ている。

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 バイオマスからの水素製造 バイオマスを大別すると、植物などを栽培する生産系バイオマスと農林水産業の廃棄物あ るいは都市廃棄物などの未利用資源系バイオマスがあり、これらに由来するバイオエネルギ ーを利用し、水素を製造する方法である。 ■ 水の光分解 半導体光触媒を用いて、太陽光エネルギーにより、水を分解し水素を生成する方法である。 現在、光合成によって水から水素を生成する光合成微生物を介して水素を生成する光生物的 水素生産の可能性についても検討されており、光合成微生物の開発には遺伝子工学的手法も 適用されている。しかし、生産に関わる投入エネルギーが高く現実性に乏しく、実用化には 微生物の水素生成能を大幅に向上させることが不可欠である。 現在われわれが利用しているエネルギー源は、石油、石炭天然ガスである。これらの化石 燃料以外には、巨大な一次エネルギー源として、原子力、水力、太陽エネルギーがあるが、 原子力についてはU235の資源が少なすぎることと、安全性が確立していないことから将来的 な展望には乏しい。また水力は限られた国においてしか得られない。残るは太陽エネルギー だけであり、安全性などの点でも非常に優れている。太陽の放射しているエネルギーは3.8 x 1026 Js-1であるが、地球にはその22 億分の 1 が到達しているにすぎない。しかしそれでも 1 年間に5.5 x 1024 J の太陽エネルギーを受け取り、これは現在人類が 1 年間に消費している全 エネルギーの1 万倍に相当する。 将来的に太陽光のエネルギーが利用可能な半導体光触媒を用いた水素生成法は、エネルギ ー的な観点から見ると、最も有望な水素生成技術であるといえる。 Ⅲ.オンサイト水素製造と副生水素利用 ■ オンサイトでの水素製造 定置式燃料電池システムや燃料電池自動車に改質器を設置して、水素を製造する方法であ る。オンサイトでの改質の燃料としては、自動車の場合にはメタノールやガソリン、定置式 燃料電池の場合には都市ガスや灯油が主として考えられている。しかし、規模が小さいこと やメインテナンスの必要性、水素の輸送・貯蔵・供給に関する技術の問題がある。

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 ■ 副生水素の利用 製鉄業でのコークス製造プロセス、塩素や苛性ソーダの生産のための食塩電解プロセス、 石油化学プロセスなどでは水素が副生している。これらの水素を有効利用し、短中期的な水 素需要の相当部分を満たす試みの方法。 このように、水素製造に関しては、何から、どのように、どこで製造するのかがポイント となる。水素は、水、化石資源および化石資源起源の液体燃料、バイオマス、廃棄物などさ まざまな原料から作ることができ、実用段階から基礎研究段階のものまで、多様な製造プロ セスが開発されている。水素製造は、水素の製造から貯蔵・輸送を経て利用に至る連鎖の起 点に位置しており、今後の貯蔵・輸送・利用技術も含めた技術開発、燃料電池システムの普 及などに応じて決定されていくと考えられる。

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1-3 燃料電池

燃料電池は、乾電池などの一次電池や鉛蓄電池などの二次電池とは異なり、水素などの燃 料と酸素などの酸化剤を供給し続けることで継続的に電力を取り出すことができる。また、 熱機関を用いる通常の発電システムと異なり、化学エネルギーから電気エネルギーへの変換 途上で熱エネルギーや運動エネルギーという形態を経ないため、熱機関特有のカルノー効率 に依存しないので発電効率が高くシステム規模の大小にあまり影響されず、騒音や振動も少 ない。そのため、ノートパソコン、携帯電話などの携帯機器から、自動車、民生用・産業用 コジェネレーション、発電所まで多様な用途・規模をカバーするエネルギー源として期待さ れている。 燃料電池には様々な燃料が用いられるが、主として水の電気分解の逆反応である2H2 + O2 → 2H2O によって電力を取り出す場合が多い。用いられる電気化学反応、電解質の種類など によって燃料電池はいくつかのタイプに分けられる。以下に、アルカリ型燃料電池、固体高 分子型燃料電池、直接メタノール型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、 固体酸化物型燃料電池、バイオ燃料電池の説明をする。 ■ アルカリ型燃料電池(AFC) 水酸化物イオンをイオン伝導体とし、アルカリ電解液を電極間のセパレートにしみこま せてセルを構成する燃料電池である。最近では、固体高分子型燃料電池と同様、高分子膜を 用いるタイプも報告されている。最も構造が簡単であり、アルカリ雰囲気での使用であるこ とから、ニッケル酸化物などの安価な電極触媒を使用することができること、常温で液体電 解質を用いることからセル構成も単純にできるため、信頼性が高く、現在宇宙用途などに実 用化されている燃料電池である。一方、空気を酸化剤として用いると電解液が二酸化炭素を 吸収して劣化するため、純度の高い酸素を酸化剤として用いる必要がある。原燃料として純 度の高い水素が用いられる。電池反応は以下のようである。 ・燃料極反応 H2 + 2OH- → 2H2O + 2e ・空気極反応 1/2O2 + H2O + 2e- → 2OH ・全電池反応 H2 + 1/2O2 → H2O

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 ■ 固体高分子型燃料電池(PEFC) イオン伝導性を有する高分子膜を電解質として用いる燃料電池のことである。固体高分 子膜は、燃料極で生成したプロトンを空気極へと移動する働きを持つ。現在では、プロトン 伝導性の高さと安定性から、主にナフィオンなどのスルホン酸基を持ったフッ素系ポリマー が用いられることが多い。燃料に水分を含ませる必要があるため、0℃以下、または 100℃ 以上での使用が困難であるというのが欠点である。そのため、無加湿・中高温条件において 使用可能な高分子膜の開発が急務である。燃料極はカーボンブラック担体上に白金触媒、あ るいはルテニウム-白金合金を担持したものが用いられる。空気極はカーボンブラック担体 上に白金を担持したものが用いられる。 源燃料として水素、天然ガス、ガソリン、石炭、メタノールなどが使用できるが、水素以 外は燃料を改質して水素を生成させる必要がある。また、電極触媒として用いられている白 金は一酸化炭素で容易に被毒され、すぐに活性を失ってしまうため、燃料中の一酸化炭素が 10 ppm 以下であるという条件がつく。電池反応はアルカリ型燃料電池と同じ反応である。 ■ 直接メタノール型燃料電池(DMFC) 固体高分子型燃料電池の一種で、燃料として水素の代わりにメタノール水溶液を供給し、 空気極では酸化還元反応が起こる。 ・燃料極反応 CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ + 6e ・空気極反応 3/2O2 + 6H+ + 6e- → 3H2O ・全電池反応 CH3OH + 3/2O2 → CO2 + 2H2O 固体高分子型燃料電池と比較して水素を製造する改質器や変成器のような補機や大きく 重い水素タンクを必要としないので小型・軽量化が可能である。このため、携帯電話やノー トパソコンといったモバイル機器用の電源として期待される。しかし、メタノールが水と一 緒に燃料極側から電解質膜を通過して空気極側に浸透してしまう「クロスオーバー」と呼ば れる現象が起き、空気極の電位低下を引き起こす。このためメタノール透過性が低くかつプ ロトン伝導率が高い電解質膜の開発が強く望まれている。

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 ■ リン酸型燃料電池(PAFC) 電解質としてリン酸を用いる。動作温度は200℃程度で、発電効率は、約 40%LHV であ る。源燃料としては水素、天然ガス、ガソリン、メタノールなどが使用できるが、固体高分 子型燃料電池と同様に白金を触媒としているため、燃料中に一酸化炭素が存在すると触媒の 白金が劣化する。電池反応はアルカリ型燃料電池と同様である。 ■ 溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC) プロトンの代わりに炭酸イオン(CO32-)を用い、溶融した炭酸塩を電解質として用いる。 そのため、水素に限らず天然ガスや石炭ガスを源燃料とすることが可能である。動作温度は 600℃~700℃程度。発電効率は約 45%LHV である。白金触媒を用いないため固体高分子型燃 料電池やリン酸型燃料電池と異なり一酸化炭素による被毒の心配がなく、排熱の利用にも有 利である。溶融炭酸塩型燃料電池は炭酸イオンが電池反応に介在し、空気極側の二酸化炭素 と酸素が選択的に燃料極側に移動・蓄積するため燃料極側排ガスの二酸化炭素濃度は80%程 度に達する。この性質を利用し、溶融炭酸塩型燃料電池で二酸化炭素の回収を行うことが試 みられている。電池反応は以下のようである。 ・燃料極反応 H2 + CO32- → H2O + CO2 + 2e ・空気極反応 1/2O2 + CO2 + 2e- → CO3 ・全電池反応 H2 + 1/2O2 → H2O

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 ■ 固体酸化物型燃料電池(SOFC) 動作温度は 700~1000℃程度で溶融炭酸塩型燃料電池よりも高く、排熱の利用は更に有 利であるが、高耐熱の材料が必要となる。また、起動停止時間も長くなりがちである。電解 質として酸化物イオンの透過性が高い安定化ジルコニアやランタン・ガリウムのぺロブスカ イト酸化物などのイオン伝導性セラミックスを用いており、空気極で生成した酸化物イオン が電解質を透過し、燃料極で反応することによりエネルギーを発生させている。 ・燃料極反応 H2 + O2- → H2O + 2e ・空気極反応 1/2O2 + 2e- → O ・全電池反応 H2 + 1/2O2 → H2O そのため、水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども源燃料として用いることが可能で ある。発電効率は37.5%LHV である。内部改質方式であり、改質器は不要とされる。触媒も 特に必要ない。電極材としては導電性セラミックスを用いる。 ■ バイオ燃料電池 食物からエネルギーを取り出す生体システムを応用した燃料電池のことである。生体触 媒の働きにより糖分を分解し、電気エネルギーを取り出す。環境の変化に対しても安定して 働く強力な酵素が不可欠であり、研究開発では、酵素の寿命を延ばすことが課題となってい る。実用化では、血液中の糖分を利用する体内埋め込み型ペースメーカーの開発、ノートパ ソコンや携帯機器の電源などへの応用が期待される。その他、光合成による植物の生体シス テムを応用した「太陽光バイオ燃料電池」の研究開発が行われている。 以上のように多くの燃料電池において、水素が必要であることが分かる。将来的にこれらの燃 料電池の開発が進み、実用化されるようになると、燃料電池の燃料になる水素の需要は劇的に増 大すると考えられる。

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1-4 半導体光触媒

(Ⅰ) 光触媒について 光触媒は、光エネルギーを化学的エネルギーに変える光化学変換や、光を用いた合成化学、 環境汚染物質の除去処理などの分野で重要度を高めつつある。その代表例は、生命エネルギ ーの源である自然界の光合成反応のほか、学問・応用の分野では、半導体を用いた光化学、 増感剤など、注目されている領域が広い。 触媒の条件は、(1)反応速度を高めたり、通常は起こりにくい反応を起こるようにしたりす る、(2)自身は分解せずに繰り返し作用する、である。光触媒は、熱力学的に可能な反応系と なることはもちろん、熱力学的には不可能な反応も光の助けを借りて可能にすることが特徴 であり、通常の触媒の定義だけでは納まらない。つまり、光触媒は、反応の活性化エネルギ ーを低くする場合だけでなく、光励起により反応性の高い電子(または正孔)を生ずること、 または、光励起により不安定な状態をつくり出すことにより、暗時で熱力学的に起こらない ような反応を可能にする。 (Ⅱ) 光触媒反応のメカニズム 光触媒は、光励起した光触媒が反応基質に作用して反応が起こる。バンドギャップエネル ギーよりも大きなエネルギーの光を照射すると価電子帯の電子が伝導帯に光励起されて、伝 導帯には自由電子が価電子帯には正孔が生成し、これがそれぞれ還元反応と酸化反応を起こ すことができれば光触媒反応が進行する。このとき電子と正孔が再結合してしまうと反応は 起こらないが、これらを分離するメカニズムが半導体表面に存在する。 (Ⅲ) TiO2半導体について 光触媒としてさまざまな半導体が検討されているが、その中でも TiO2 は優れた光触媒と 考えられている。TiO2は、常温常圧の通常の使用条件で酸、アルカリ、水、有機溶剤に溶解 せず、フッ化水素、塩素、硫化水素など反応性の強いガスとも反応しない、きわめて安定な 物質であり、光触媒として耐久性に優れ、経済性、安定性、実用性などで多くの利点を持っ ている。また、TiO2はn 型半導体で、正方晶系であるルチル型、アナターゼ型、斜方晶系で あるブルッカイト型の3 種類の結晶構造を持っており、このうち、一般的なものはルチル型 とアナターゼ型であり、水の光分解に対する活性は、アナターゼの方が一般に高く、その差 は等倍に及ぶ。ルチルのバンド幅は3.0 eV であるのに対し、アナターゼのバンド幅は 3.2 eV であり、その分だけアナターゼの伝導帯位置が負になって水素生成に有利になると考えられ る。TiO2電極上での光触媒的水解離の最初の報告は本田と藤嶋により 1972 年に報告され、 太陽光照射下での光触媒として半導体を用いる水解離による水素生成は、太陽エネルギーの 化学エネルギーへの効率的な変換のための理想的な過程を実証した。しかし、TiO2半導体は 幅広いバンドギャップのため可視光に応答しない。太陽光は、紫外光よりも可視光のほうが 多くを占めるため、近年では多くの研究が、より効率的に太陽光源の利点を得るために可視

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三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 光応答性光触媒の開発に焦点を当てている。 (Ⅳ)ZnO について バンド幅はアナターゼ型TiO2と同程度の約3.2 eV の幅を持ち、高い初期活性の割合と太 陽光吸収効率のおかげで商業酸化チタンより優れた光触媒であると報告されている。しかし、 光腐食や溶解に関連する問題により酸化亜鉛による水素生成はほとんど報告されていない。 本実験ではCuO/ZnO 光触媒に B ドーピングがされるよう調製した光触媒を硫化物水溶液で 硫化し、水素生成を行った。 (Ⅴ)ZnS について ZnS の光キャリア生成の理論的効率は TiO2よりも高く、光触媒活性において非常に有利で ある。しかし、ZnS の光触媒効率は、光励起電荷キャリアの速い再結合によって制限されて いる。また、硫化亜鉛は広いバンドギャップ(~3.6 eV)を持ち、太陽光エネルギー利用を制限 している。 (Ⅵ)ドーピングについて 可視光応答化のための手段として金属や非金属のドーピングが挙げられる。例えば、B、 C、N および F のようなドーパントによる O の置換は酸化物半導体の電子構造を修正するた めに広く使われている。ドーピングによる可視光応答化は半導体の禁制帯中に不純物準位を 形成し、新たな電荷移動遷移が可能になるためと言われている。近年このようなC、及び N ドープTiO2などの可視光応答型光触媒が調製されている。 (Ⅶ)固溶体について 固溶体とは、物質の結晶格子の格子点の位置の原子が、他の物質の原子と置換している物 質である。金属硫化物の固溶体形成が、可視光応答型光触媒の開発に有効であることが分か り、CdxZn1-xS や(CuIn)xZn2(1−x)S2、ZnS-CuInS2-AgInS2などの固溶体光触媒が報告された。本

実験ではその中でも最も広く可視光を吸収する可能性がある、ZnS-CuInS2-AgInS2 固溶体の

(CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2 光触媒を調製した。ZnS は比較的広いバンドギャップを持つ一方で、

CuInS2、AgInS2は比較的狭いバンドギャップを持つ。(CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2固溶体光触媒のバ

ンドギャップ幅とバンド位置は、ZnS と CuInS2やAgInS2のモル比を変化させることにより、

ZnS と CuInS2や AgInS 間に調整することができ、可視光下での光触媒的水素生成において

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Fig.1-4 Strategies of Doping and Solid solution for visible light driven photocatalyst. (Ⅷ)硫化物水溶液について ZnS などの金属硫化物光触媒は、犠牲試薬として硫化物イオンや亜硫酸イオンなどの還元 剤を含む水溶液からの水素生成反応に高い活性を示す。廃硫黄化合物は石油精製工業や鉱業 などにおいて大量に副生されるため、水素製造の還元剤としての応用は有効利用に繋がる。 そのため、硫化物水溶液を犠牲試薬として利用した系は、再生可能エネルギーである太陽光 を利用し、廃硫黄化合物の処理と水の還元による水素の回収を同時に行う画期的な水素製造 プロセスとなる可能性がある。

(17)

三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

1-5 本研究の目的

前述から、石油、石炭、天然ガスなどの化石資源から水素を製造する技術はほぼ確立され ていることが分かった。しかし、温暖化などの地球環境破壊の問題を考えると、水素エネル ギー利用時の生成物である水、再生可能な原料であるバイオマスなどから水素を生成する技 術が期待されている。水からは電気分解により水素を製造することができるが、既存の電気 エネルギーを使用するのではエネルギーを生み出すことにならず、むしろマイナスと考えら れ、太陽光など新しいクリーンなエネルギーを用いた系での水素生成法の構築が望まれてい る。 そこで本研究では、将来的に太陽光エネルギーの利用が可能な、半導体光触媒を用いた安 価で簡便な水素生成法を検討した。 半導体光触媒には、B/CuO/ZnO 光触媒を硫化物水溶液で表面硫化を行い使用した。 また、より高波長側の光を利用できる(CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2固溶体光触媒の調製も検討した。 また、半導体光触媒組成のモル比を変化させたり、Na2S/Na2SO3水溶液へ界面活性剤を添 加することで、水素生成効率の向上の検討を行った。 また、(CuAg)xIn2xZn2(1-2x)S2固溶体光触媒において、照射する波長の異なる光の影響を調査 した。

(18)

15

2

章 実 験

2

1

使用機器

LED ランフ(λ

450nm) LED455/L-STND オプトコード(槻

LED ランプ(λミ400nm) LDA13N-G TOSHIBA

バンドパスフィルター(λ

600 nm) MZ0600 朝日分光開 カットフィルター(λ孟600nm) SQ570NM edmund optics マグネティックスターラー RSH-IDN アズワン(樹 分析天秤 AUT220 SHIMADZU マイクロシリンジ MS-GAN025 ITO Co. 真空乾燥機 AV0-200NB アズワン(械 メノウ乳鉢 アズワン(槻 ガスクロマトグラム(Thermal ジーエルサイエンス GC320 Conductivity Detector, TCD) 械( 分析対象 H2 カラム充填剤 Molecular Sieve 5 A 恥1esh60-80 TCDブリッジ電流 80mA カラム温度 S0°C インジェクト温度 S0°C キャリアーガス Ar(99.9%) 分析時間 8min 分析サンプル量 250 μL 遠心分離機 卓上小型遠心機 KUBOTA 超音波洗浄機 SUP-10 SHIBATA X線解析装置 Ultima IV RIGAKU 紫外可視分光光度計 UV 2450 SHIMADZU 走査型電子顕微鏡 S-4000 HITACHI 透過型電子顕微鏡 H-7000 HITACHI X線光電子分光分析装置 PHI Quantera SXM アルバックファイ側 分光蛍光光度計 RF-5300PC SHIMADZU フーリエ変換赤外分光計 Spectrum 100 Perkin Elmer 三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

(19)

フレーム発光分光光度計 SOLAARS4 2・2 試薬 酸化亜鉛 ZnO 酸化銅 CuO 酢酸

E

鉛二水和物 Zn(CH3C00)2・2H20 酢酸銅一水和物 Cu(CH3COO)・ H20 シュウ酸 (COOH)2 ホウ酸 H3B03 硫化ナトリウム九水和物 Na2S・9H20 亜硫酸ナトリウム Na2S03 硝 酸

E

鉛六水和物 Zn(N03)2・6H20 塩化銅( I) Cu Cl 硝酸銀 AgN03 硝酸インジウムニ水和物 ln(N03)3・3H20 ヘキサデ、シルトリメチルアンモ ニウムブロミド(CTAB) [CH3(CH2)1sN(CH3)3]Br チオアセトアミド(TAA) CH3CSNH2 塩化銅(II) Cu Ch 塩化ニッケル Ni Ch・6H20 塩化パラジウム(II) Pd Ch 塩化ルテニウム(皿)水和物 RuCb・nH20(n=l∼3) 硝酸銀 AgN03 硝酸インジウム In/HN03 ドデ、シル硫酸ナトリウム(SDS) CH3(CH2)10CH20S03Na ポリオキシエチレン(10)オクチ (C2H40)10C14H220 ルフェニルエーテノレ(Triton-X) 三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 サーモフィッシャー サイエンティフイツ ク(樹 Aldrich Aldrich 半井化学薬品(械 ナカライテスク(槻 ナカライテスク(槻 ナカライテスク附 和光純薬工業(槻 和光純薬工業(槻 和光純薬工業(欄 ナカライテスク(槻 和光純薬工業(械 和光純薬工業(樹 和光純薬工業開 和光純薬工業(樹 和光純薬工業側 和光純薬工業(槻 ナカライテスク(欄 和光純薬工業(欄 和光純薬工業(槻 和光純薬工業(欄 関東化学(樹 和光純薬工業(槻 16

(20)

17

2

3

実験手順

2ふ 1 触媒の調製方法

2-3・1-1 B/CuO/ZnO光触媒の調製法

簡便な機械化学的手法によって B/CuO/ZnO光触媒を調製した。また比較対象として

ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO 光触媒を同様の手法で調製した。

ZnO光触媒の調製 1. 酢酸

E

鉛二水和物、シュウ酸をメノウ鉢で 10分間混練した。 2. 電気炉を用いて500℃で3時間焼成した。 B/ZnO光触媒の調製 3. 1にホウ酸を加え、 10分間混練したD 4. 電気炉を用いて500℃で3時間焼成した。 CuO/ZnO光触媒の調製 5. 酢酸亜鉛二水和物、酢酸銅ー水和物、シュウ酸をメノウ鉢で 10分間混練した。 6. 電気炉を用いて 500℃で3時間焼成した。 B/CuO/ZnO光触媒の調製 7. 5にホウ酸を加えて 10分間混練した。 8. 電気炉を用いて300-700℃、ト6時間焼成した。 三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

(21)

18 以下に、 B/CuO/ZnO光触媒の調製方法のフローチャートを示す。

Z

n

(

Ac

)

2

• 2H20, Cu(

Ac

)

2

H20,C2H204

H3B03

B/CuO/ZnO

2-3-1-2 { CuAg)xln2xZil2(1・2x)S2光触媒の調製法 超音波処理を伴う水熱合成法で、(CuAg)xln2xZll2(1・2x)S2固溶体光触媒を調製した。 1. AgN03、ln(N03)3

3H20、Zn(N03)2

6H20を蒸留水 10∼SOmLに加え、よく撹 持し溶解させた。 溶存酸素を取り除くために、混合溶液をNiガスで 10分間パージした。 2. 撹枠下の混合溶液に CuClとCTABを加えた。 3. 撹持下の混合溶液に、陽イオンに対し2倍量の TAAを加え、超音波処理を l時 間行った。 4. 超音波処理後、混合溶液を 100mLテフロン容器に移し、 160℃で 16時間加熱 処理をした0 5. 遠心分離を行い、エタノールと水で洗浄した後、オープンで 70℃、 24時間乾 燥し、(CuAg)xln2xZll2(1・2x)S2光触媒を得た。 三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

(22)

19 以下に(CuAg)xlll2xZll2(1-2x)S2光触媒の調製方法のフローチャートを示す。

I

Zn(Nni)2, In(N01)1, AgN01 mixtture solution ( 10・50mL)]

ourl!Joo削 CuCl, CTAB 畠担邸

1

TAA

S

註盟

g Autoclave h u

今 ’ h

n E 1

Q L ・ − 且 薗 噌 J ・ 2 0

伽 寸

l

i

v

ω

1

1

1

4

・ ・ ・ 且 圃 ’ a . ‘ , r

i A 6 t − ﹁ ﹄ n 一 直 −

e

n

C 一 . 担

D

I

(

CuAg)xln2

九 州

2-3・2 水素生成方法 実験は以下の手順に従い行なった。 1. 反応器に硫化ナトリウム亜硫酸ナトリウム混合水溶液 40mLと光触媒 SOmgを 加えて、温度を 50℃にした。 2. 反応器をシリコンセプタムで密栓した。 3. 超音波洗浄器を用いて 3分間拡散を促した。 4. 温度を保ったまま、マグネティックスターラーで撹枠しながら、真横から波長 がLEDランプを照射した。 5. 反応後、発生した気体を反応器上部からマイクロシリンジで抜き取り、ガスク ロマトグラフィーを用いて測定した。 光析出法により助触媒の担持を行う時は、手順 1において硫化ナトリウム亜硫酸ナト リウム混合水溶液が 40mLになるよう担持イオンを含む水溶液を加えた。 反応後の光触媒は、以下の手順で取り出し、評価した。 遠心分離機を用いて光触媒を沈殿させた。 蒸留水で数回洗浄,した後、沈殿物を分離し、沈殿物を乾燥させて光触媒粉末を得た。 三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

(23)

量子収率を以下の式を用いて計算した。

QE(%] number of reacted electrons x 100 number of incident photons

number of evolved E王moleculesX 2

2 x 100

number of incident photons

(2.3

a) なお、照射面積: 0.00107m2、光子数: 230.94μmol I sec1m2として計算した。 次式を用いて光触媒のバンドギャップを計算した。

α

h

v

=

A(hv -

Eo:)112 !) (2.3

b) ここで、 αは吸収係数、 hvは光子エネルギー、 Egは直接ノ〈ンドギャップ Aは定数である。 伝導帯の電位を以下の式を用いて計算した。

EcB

=

X -

Ee -

1

I

2

E

g

20 (2.3.2.c) Ecs は伝導帯下端の電位。 X ;半導体の電気陰性度であり、構成原子の絶対電気陰性度の幾何平均として現さ れる。※単一原子の絶対電気陰性度は、原子内電子親和力と、第一イオン化エネル ギーの算術平均として定義する口 EC;水素スケール上での自由電子エネルギーで、あり、∼4.5eVである。 Eg;バンドギャップである。 三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

(24)

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2-3-3 実験装置

Fig. 2-3-3-a に 450 nm LED ランプを用いた水素生成実験の装置図を示す。

Fig. 2-3-3-a H2 production under 450 nm light irradiation.

Fig.2-3-3-b にカットフィルターを用いて 600 nm 以上の波長の光を利用した水素生成実験 の装置図を示す。

(25)

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3 章 修飾型酸化亜鉛光触媒による水素生成

3-1 修飾型酸化亜鉛光触媒による水素生成

調製した修飾型酸化亜鉛光触媒を用いて水素生成実験を行った。比較対象として酸化亜鉛 (Aldrich)、酸化亜鉛(Aldrich)と酸化銅(Aldrich)の物理混合物を用いた。作成した修飾型酸化亜

鉛光触媒の焼成条件は、すべて500℃、3 h で焼成した。実験条件を Table 3-1-a、結果を Table

3-1-b に示す。

Table 3-1-a Experimental conditions.

Photocatalyst ZnO B/ZnO CuO/ZnO B/CuO/ZnO (50 mg) ZnO (Aldrich), ZnO +CuO (Aldrich) (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt% Zn : Cu = 95 : 5

Medium 0.4 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 solution (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-1-b Photocatalytic hydrogen production with modified zinc oxide. Photocatalyst H2 production (µmol g-1)

ZnO (Aldrich) 10 Prepared ZnO 16 B/ZnO 14 ZnO+CuO (Aldrich) 19 CuO/ZnO 206 B/CuO/ZnO 490 調製時に酸化銅を混合した触媒は高い水素生成量を示した。またホウ素と酸化銅を同時に 担持することにより更に高い水素生成量を示した。

(26)

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3-2 水素生成の最適条件の検討

B/CuO/ZnO 光触媒が 450 nm の可視光でも高い活性を示したので最適条件の検討を行った。

3-2-1 酸化銅担持量の検討

B/CuO/ZnO 光触媒の酸化銅担持量の検討を行った。実験条件を Table 3-2-1-a、結果を Table 3-2-1-b、Fig.3-2-1 に示す。

Table 3-2-1-a Experimental conditions.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt%

Medium 0.4 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 solution (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-1-b Effect of CuO amount on the photocatalytic hydrogen production. Cu/(Cu+Zn) (%) H2 production (µmol g-1)

0 14 1 103 3 320 5 490 8 489 10 335 20 204 亜鉛と銅の比が95 : 5 の時、最も高い水素生成量になった。そのため、以後の実験では亜 鉛と銅の比が95 : 5 の触媒を用いることとする。

(27)

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Fig.3-2-1 Effect of CuO amount on the photocatalytic hydrogen production with B/CuO/ZnO.

0 100 200 300 400 500 600 0 5 10 15 20

H

2

p

ro

du

cti

on

m

ol

g

-1

)

Cu/(Cu+Zn) (wt%)

(28)

三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科

3-2-2 Na2S/Na2SO3

水溶液濃度の検討

水素生成時の溶媒である硫化物水溶液の濃度について検討を行った。硫化ナトリウムを 0~0.8 M、亜硫酸ナトリウムを 0~0.6 M の間で検討した。硫化ナトリウム濃度の影響を検討 した実験条件をTable 3-2-2-a、結果を Table 3-2-2-b、Fig.3-2-2-a に示す。また、亜硫酸ナトリ ウム濃度の影響を検討した実験条件をTable 3-2-2-c、結果を Table 3-2-2-d、Fig.3-2-2-b に示す。

Table 3-2-2-a Experimental conditions.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt% Zn : Cu =95 : 5

Medium 0~0.8 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-2-b Effect of Na2S concentration on the photocatalytic hydrogen production.

Na2S concentration (M) H2 production (µmol g-1)

0 0 0.2 313 0.3 493 0.4 490 0.45 566 0.5 619 0.55 549 0.6 545 0.8 539 硫化ナトリウム濃度が0.5 M の時,最も高い水素生成量になった。そのため、以後の実験は 硫化ナトリウム濃度0.5 M で行った。また、硫化ナトリウムを加えないと水素が生成されな かった。このことから触媒表面の硫化が可視光応答に影響していると考えられる。

(29)

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Fig.3-2-2-a Effect of Na2S concentration on the photocatalytic

hydrogen production with B/CuO/ZnO. 0 100 200 300 400 500 600 700 0 0.2 0.4 0.6 0.8

H

2

p

ro

du

cti

on

m

ol

g

-1

)

[Na

2

S] (M)

(30)

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続いて、硫化ナトリウム濃度を0.5 M で一定にして実験を行った。

Table 3-2-2-c Experimental conditions.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt% Zn : Cu =95 : 5

Medium 0.5 M Na2S + 0~0.6 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-2-d Effect of Na2SO3 concentration on the photocatalytic hydrogen production.

Na2SO3 concentration (M) H2 production (µmol g-1)

0 373 0.1 337 0.3 402 0.35 536 0.4 619 0.45 521 0.5 495 0.6 505 亜硫酸ナトリウム濃度が0.4 M の時、最も高い水素生成量となった。そのため硫化物水溶 液の最適濃度条件は0.5M 硫化ナトリウム、0.4M 亜硫酸ナトリウムとなり、以後の実験に用 いるとする。

(31)

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Fig.3-2-2-b Effect of Na2SO3 concentration on the photocatalytic

hydrogen production with B/CuO/ZnO. 0 100 200 300 400 500 600 700 0 0.2 0.4 0.6

H

2

p

ro

du

cti

on

m

ol

-1

)

[Na

2

SO

3

] (M)

(32)

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3-2-3 焼成条件の検討

B/CuO/ZnO 光触媒の焼成温度の検討を行った。実験条件を Table 3-2-3-a、結果を Table 3-2-3-b、Fig.3-2-3-a に示す。

焼成時間を3 時間にし、300~700℃の間で影響を検討した。

Table 3-2-3-a Experimental conditions.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt% Zn : Cu =95 : 5

Medium 0.5 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-3-b Effect of calcination temperature on the photocatalytic hydrogen production.

Temperature (℃) H2 production (µmol g-1)

300 211 400 147 450 504 500 619 550 522 600 460 700 45 焼成温度が 500℃の時、最も高い水素生成量になった。そのため 500℃を焼成温度の最適 条件とし、以後の実験で用いる。

(33)

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Fig.3-2-3-a Effect of calcination Temperature on the photocatalytic hydrogen production with B/CuO/ZnO.

0 100 200 300 400 500 600 700 300 350 400 450 500 550 600 650 700

H

2

p

ro

du

cti

on

m

ol

g

-1

)

Calcination Temperature (℃)

(34)

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続いて、B/CuO/ZnO 光触媒の焼成時間の検討をした。実験条件を Table 3-2-3-c、結果を Table

3-2-3-d、Fig.3-2-3-b に示す。

Table 3-2-3-c Experimental conditons.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt% Zn : Cu =95 : 5

Medium 0.5 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

焼成温度を500℃にし、焼成時間を1~6 時間の間で影響を検討した。

Table 3-2-3-d Effect of calcination Time on the photocatalytic hydrogen production.

Time (h) H2 production (µmol g-1)

1 493 2 528 3 619 4 539 6 518 焼成時間は 3 時間の時、最も高い水素生成量になった。そのため焼成時間の最適条件は 3h とし、以後の実験で用いる。

(35)

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Fig.3-2-3-b Effect of calcination Time on the photocatalytic hydrogen production with B/CuO/ZnO.

0 100 200 300 400 500 600 700 1 2 3 4 5 6

H

2

P

ro

duc

ti

on

m

ol

g

-1

)

Calcination Time (h)

(36)

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3-2-4 硫化金属の影響の検討

助触媒として、溶液に金属イオンを滴下し、B/CuO/ZnO 光触媒の硫化金属の影響を検討し

た。実験条件をTable 3-2-4-a、結果を Table 3-2-4-b に示す。

硫化金属を加えた理由は、過去の研究においてZnO 光触媒に対し Cu イオンが大きな効果

を示したからである。Cu イオン以外にも各金属イオンを用いて硫化金属の影響を調査した。

触媒の2 wt%に相当する金属元素の重量の硫化物が生成するように各金属イオン滴下した。

Table 3-2-4-a Experimental conditions.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt% Zn : Cu =95 : 5

Medium 0.5 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-4-b Effect of metal sulfides on the photocatalytic hydrogen production. Metal sulfide (2.0 wt%) H2 production (µmol g-1)

Without 619 CuS 348 Ag2S 90 Ru2S3 50 PdS 16 NiS 18 In2S3 178 実験の結果、水素生成量は向上せず減少した。

(37)

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3-2-5 金属や非金属の担持の検討

B/CuO/ZnO 光触媒に新たな金属や非金属の担持の検討を行った。実験条件を Table 3-2-5-a、

結果をTable 3-2-5-b に示す。また B/CuO/ZnO 光触媒のホウ素担持量の検討も行った。実験

条件をTable 3-2-5-c、結果を Table 3-2-5-d、Fig.3-2-5 に示す。

新たに金属を担持する調製方法は酢酸ニッケルまたは酢酸アルミニウムを最初の混練時 に加えた。新たに非金属を担持する調製方法は酢酸アンモニウム、尿素、チオ尿素をホウ酸 と同時に加えて混練した。

Table 3-2-5-a Experimental conditions.

Photocatalyst M/B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 2.0 wt% Zn : Cu =95 : 5

Medium 0.5 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-5-b Effect of metal oxide or non-metal on the photocatalytic hydrogen production.

Metal oxide or non-metal H2 production (µmol g-1)

Without 619 0.2wt% NiO 218 0.3 wt% Al2O3 464 0.5 wt% N(CH3COONH4) 466 0.5 wt% N(NH2CONH2) 393 0.5 wt% S(NH2CSNH2) 449 実験の結果、水素生成量は向上せず減少した。

(38)

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新たな金属の担持に効果が見られなかったためホウ素の担持量の検討を行った。 Table 3-2-5-c Experimental conditions.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg)

Doping amount B : 0~10 wt% Zn : Cu =95 : 5 Medium 0.5 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 3h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-5-d Effect of B doping amount on the photocatalytic hydrogen production. B doping (wt%) H2 production (µmol g-1)

0 280 0.5 579 1 671 2 619 3 570 5 292 10 391 担持量が1 wt%までは水素生成量が増加したがそれ以降は減少した。過去の研究では ZnO に対する最適担持量2 wt%と異なる結果になった。ホウ素担持量の最適条件を 1 wt%とし、 以後の実験で用いる。

(39)

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Fig.3-2-5 Effect of B doping amount on the photocatalytic hydrogen production with B/CuO/ZnO.

0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 2 4 6 8 10

H

2

p

ro

du

cti

on

m

ol

g

-1

)

B doping / wt%

(40)

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3-2-6 安定性の評価

LED ランプの照射時間を延ばし触媒の安定性について検討した。実験条件を Table 3-2-7-a、 結果をTable 3-2-6-b、Fig.3-2-6 に示す。

Table 3-2-6-a Experimental conditions.

Photocatalyst B/CuO/ZnO (50 mg) Doping amount B : 1 wt% Zn : Cu =95 : 5

Medium 0.5 M Na2S + 0.4 M Na2SO3 (40 mL)

Reactor Pyrex glass vessel (Volume:125 mL)

Temperature 50 ℃

Irradiation time 0~51 h

Light source LED lamp (450 nm, ~5.1 mW/cm2)

Analysis Gas chromatography (TCD)

Table 3-2-6-b Effect of irradiation time on the photocatalytic hydrogen production. Time (h) H2 production (µmol g-1)

0 0 3 652 6 1466 9 2121 12 2537 15 3135 18 3666 21 3897 27 4764 30 5095 48 6889 51 7041 18 時間程度までは時間に比例して水素が生成された。それ以降は若干の水素生成量の現 象が見られた。

(41)

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Fig.3-2-6 Effect of irradiation time on the photocatalytic hydrogen production with B/CuO/ZnO.

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 0 10 20 30 40 50 60

H

2

pr

oduc

ti

on (µm

ol g

-1

)

Time (h)

(42)

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3-3 光触媒の評価

評価時の各触媒の酸化銅担持量は Zn : Cu = 95 : 5、ホウ素担持量は(2 wt%)B/ZnO、 (1wt%)B/CuO/ZnO の触媒を用いた。 3-3-1 実験前後の各触媒の色 各触媒の写真を Fig.3-3-1 に示す。酸化銅を含む触媒は灰色をしており、反応後の触媒は 黄色くなっていた。

(43)

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3-3-2 XRD 測定

調製した各修飾型酸化亜鉛光触媒の実験前のXRD 測定を Fig.3-3-2-a、実験後の XRD 測定 をFig.3-3-2-b、シェラーの式より導出した結晶子サイズを Table 3-3-2 に示す。 実験前の触媒のXRD パターンは全ての触媒に六方晶酸化亜鉛のピークが見られた。また 酸化銅を担持した触媒は38.7°に酸化銅(1 1 1)面の弱いピークが見られた。しかしホウ素の担 持による結晶構造の変化が見られなかった。これは担持濃度が低すぎたことや、分散性が良 かったため構造変化を測定できなかったことが考えられる。 実験後の触媒のXRD パターンは全ての触媒に六方晶硫化亜鉛のピークが見られた。また ホウ素を担持した触媒は硫化亜鉛のピークのみであったが、ホウ素を担持しなかった触媒は 六方晶酸化亜鉛のピークも見られた。これはホウ素を担持することによって粒子サイズが小 さくなり、表面の硫化が促進されたためと考えられる。

Fig.3-3-2-a XRD patterns of ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO, and B/CuO/ZnO.

20

30

40

50

60

70

80

2θ (degree)

Int

ens

it

y (a

.u.)

● (100) ● (002) ● (101) ● (102) (110) (103) ● (200) ●(112) ● (201) ● (004) ● (002) ▼ (111) ▼ (111)

ZnO ▼CuO

(44)

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Fig.3-3-2-b XRD patterns of ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO, and B/CuO/ZnO after the illumination.

Table 3-3-2 Crystal size of ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO, B/CuO/ZnO before and after illumination.

Catalyst 2θ (deg) Crystal size (nm)

ZnO 36.321 28.3 B/ZnO 36.149 12.6 CuO/ZnO 36.248 26.4 B/CuO/ZnO 36.26 9.77 ZnO after 36.208 31.7 BZnO after 28.53 6.80 CuO/ZnO after 36.246 21.4 B/CuO/ZnO after 28.92 3.42

20

30

40

50

60

70

80

● (100) ● (002) ● (101) ● (103) ● (112) ◆ (002) ◆ (110) ◆ (112)

ZnO ◆ZnS

Int

ens

it

y (a

.u.)

2θ (degree)

(45)

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3-3-3 SEM、TEM 測定

調製した各修飾型酸化亜鉛光触媒の実験前後のSEM 画像を Fig.3-3-3-a、B/CuO/ZnO 光触 媒の実験前後のTEM 画像を Fig.3-3-3-b に示す。 各触媒ナノ粒子が集まって直方体を形成していた。SEM 画像を見ると ZnO、CuO/ZnO は 粒形が大きく個々の粒子を確認しやすいが、B/ZnO、B/CuO/ZnO は確認が難しかった。 B/CuO/ZnO がナノ粒子で構成されていることは TEM 画像から確認ができた。また ZnO、 CuO/ZnO はなめらかな表面状態であるのに対し、B/ZnO、B/CuO/ZnO はあらい表面状態を有 していた。実験後の触媒はいずれの触媒も表面状態が滑らかになっていた。TEM 画像から

(46)

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Fig.3-3-3-a SEM images of (A) ZnO, (B) B/ZnO, (C) CuO/ZnO, (D) B/CuO/ZnO and (E) ZnO, (F) B/ZnO, (G) CuO/ZnO, (H) B/CuO/ZnO after illumination.

(47)

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Fig.3-3-3-b TEM images of B/CuO/ZnO (A),(B) and B/CuO/ZnO after illumination (C), (D). Magnification ; (A) ×100,000 , (B) ×300,000 , (C) ×100,000 , (D) ×300,000.

(48)

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3-3-4 DRS 測定

調製した各修飾型酸化亜鉛光触媒のDRS 測定結果を Fig.3-3-4-a、実験後の触媒の DRS 測 定結果をFig.3-3-4-b に示す。 結果はホウ素単独では吸収端のレッドシフトが見られなかった。一方、酸化銅を担持する ことによって可視光にあたる400 nm 以降の吸収が見られ、ホウ素と酸化銅を同時に担持す ることによってその吸収量の増加が見られた。また実験後の酸化銅担持触媒はさらに吸収量 が増加し、最も吸収量の増加が大きかったB/CuO/ZnO 光触媒については 450 nm 付近まで吸 収量が大きくなった。

Fig.3-3-4-a Diffuse reflectance of ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO, and B/CuO/ZnO. 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 300 400 500 600 700 800

A

bs

or

ba

nc

e

Wavelength (nm)

ZnO

B/ZnO

CuO/ZnO

B/CuO/ZnO

(49)

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Fig.3-3-4-b Diffuse reflectance spectra of ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO, and B/CuO/ZnO after illumination.

Fig.3-3-4-c に、横軸に hν、縦軸に(αhν)2をとったTauc plot を示す。

式(2.3.3.b)を用いて各サンプルのバンドギャップを計算した。 各触媒3.3 eV 前後のバンドギャップであったが実験後の B/CuO/ZnO 光触媒はバンドギャ ップが2.9 eV であった。 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 300 400 500 600 700 800

A

bs

or

ba

nc

e

Wavelength (nm)

ZnO after

B/ZnO after

CuO/ZnO after

B/CuO/ZnO after

(50)

三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 Fig.3-3-4-c Tauc plots of the samples.

(51)

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3-3-5 PL 測定

調製した各修飾型酸化亜鉛光触媒の励起光350 nm のフォトルミネッセンススペクトルの 測定結果をFig.3-3-5-a、実験後の触媒の励起光 350 nm のフォトルミネッセンススペクトル の測定結果をFig.3-3-5-b に示す。 酸化亜鉛のフォトルミネッセンスにおいて紫外と可視光に典型的な発光体がある。一般的 に近380 nm 付近の発光は伝導帯準位から価電子帯への励起子遷移や再結合に関連し、可視 光域での発光は主に酸化亜鉛中での欠陥に関連すると考えられている。 350 nm の結果について考察する。それぞれの触媒で 389 nm と 469 nm 付近にピークが現れ た。両方のピークはホウ素担持でやや下がり酸化銅担持でさらに下がった。また反応後の触 媒ではホウ素単独を担持することによる 389 nm のピークの減少は見られなかったが、 B/CuO/ZnO においてピークは減少した。また 469 nm のピークが CuO を担持した触媒で大き く減少した。これは469 nm のピークは酸素空孔中の電子と価電子帯に光生成されたホール の再結合に起因すると考えられ、実験後触媒の表面はZnO と CuO の硫化物で覆われている ためと思われる。 様々な励起光でフォトルミネッセンススペクトルを測定した結果、469 nm のピークは B/CuO/ZnO が最も低くなり、389 nm のピークは実験後の B/CuO/ZnO が最も低い結果であっ た。これは上で述べた硫化物の影響である。いずれにしてもホウ素と酸化銅の担持によって ホール電子対の再結合率が減少し電荷分離が高まったといえる。

(52)

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Fig.3-3-5-a Photoluminescence spectra for ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO, B/CuO/ZnO. Excitation ; 350 nm.

Fig.3-3-5-b Photoluminescence spectra for ZnO, B/ZnO, CuO/ZnO, B/CuO/ZnO after illumination. Excitation ; 350 nm.

360 410 460 510 560 610

In

tens

ity

(a

.u

.)

Wavelength (nm)

ZnO

B/ZnO

CuO/ZnO

B/CuO/ZnO

360 410 460 510 560

In

te

n

si

ty

(a

.u

.)

Wavelength (nm)

ZnO after

B/ZnO after

CuO/ZnO after

B/CuO/ZnO after

(53)

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3-3-6 XPS 測定

Table 3-3-6 に B/ZnO、CuO/ZnO、B/CuO/ZnO、反応後の CuO/ZnO、B/CuO/ZnO の元素含

有率を示す。またFig.3-3-6-a に実験前の B/CuO/ZnO 光触媒の XPS スペクトル、Fig.3-3-6-b

に実験後のB/CuO/ZnO 光触媒の XPS スペクトルを示す。

ホウ素担持触媒においてホウ素が確認され、酸化銅担持触媒において銅が確認された。ま た反応後の触媒では硫化物が確認された。

Table3-3-6 XPS results of photocatalysts.

catalyst XPS results (at.%)

Zn2p3 O1s Cu2p3 B1s S2p B/ZnO 40.0 53.1 6.9 CuO/ZnO 51.3 47.4 1.3 CuO/ZnO after 42.7 19.3 4.6 33.4 B/CuO/ZnO 43.8 49.6 2.6 4 B/CuO/ZnO after 46.1 10.3 3.4 2.2 38

(54)

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Fig.3-3-6-a XPS spectra survey of B/CuO/ZnO photocatalyst.

(55)

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3-4 考察

本実験で考えられる反応メカニズムをFig.3-4 に示す。

B/CuO/ZnO 光触媒を硫化物水溶液に加えると表面が硫化し、ZnS や CuS が生じる。本実 験で用いた450 nm 光は ZnO(3.3 eV)や ZnS(3.6 eV)ではバンドギャップが広く励起できないが、 CuS の伝導帯と ZnO の価電子帯のエネルギーギャップ(2.2 eV)であれば励起可能である。そ

のため450 nm 光照射により ZnO の価電子帯の電子は励起され、CuS の伝導帯に励起し、光 励起電子とホールを生じる。発生したホールは一部がZnS の価電子帯に移動しながら硫化物 イオンや亜硫酸イオンを効率的に酸化しプロトンを生成する。また光励起された電子は次の 2 つの経路に従って水素を生成する。(1)CuS に励起した電子の一部は式(A)により消費され Cu2S を生じる。Cu2S は式(B)により H+を還元し、H2を生成する。(2)450 nm 光によって Cu2S の価電子帯の電子が伝導帯に励起し、光励起電子とホールを生じる。伝導帯の光励起電子が H+を還元しH 2を生じる。価電子帯のホールはCuS の伝導帯の光励起電子と再結合し消費さ れる。本実験で担持したホウ素については結晶成長を阻害し、結晶サイズを小さくしたこと や、ZnO 価電子帯上部に不純物準位を作り、電荷分離を高めたことが考えられる。

Fig.3-4 H2 production mechanism.

また硫化物水溶液の反応式を(C)~(D)に示す。

(C)半導体光触媒に光を照射すると、価電子帯の電子が伝導帯に励起し、ホール電子対を

2CuS + 2e

-

→ CuS +S

2-

(A)

Cu

2

S + 2H

+

+ S

2-

→ 2CuS + H

(56)

三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 形成する。(E)SO32-と(F)S2-はホールを消費し、還元反応である(D)水素生成反応を促進する。 S2-が酸化し生じる S 22-は光学フィルターの役割を果たし、光の吸収を妨げる性質がある。 (G)SO32-はS22-と反応しS2O32-を生じ、それは光の吸収と競合しないためSO32-とS2-の共存は 重要である。 これまでの結果として、最適化前後における ZnO と B/CuO/ZnO の水素生成量と量子収率 をTable 3-4 にまとめる。

Table 3-4. Comparison of photocatalytic H2 production with different conditions.

Photocatalyst Medium H2 production QE

µmol g-1 µmol g-1 h-1 %

ZnO Na2S 0.4 M + Na2SO3 0.4 M 16 5 0.03

B/CuO/ZnO Na2S 0.4 M + Na2SO3 0.4 M 373 124 0.7

B/CuO/ZnO Na2S 0.5 M + Na2SO3 0.4 M 671 224 1.3

水素生成量においてB/CuO/ZnO 光触媒は 0.4 MNa2S 溶液の時、ZnO の 23 倍となった。ま

た最適条件下におけるB/CuO/ZnO は、ZnO の 42 倍になった。

Photocatalyst +

h

ν → e

-CB

+ h

+VB

(C)

2H

2

O + 2e

-CB

→ H

2

+ 2OH

-

(D)

SO

32-

+ H

2

O + 2h

VB+

→ SO

42-

+2H

+

(E)

2S

2-

+ 2h

VB

+ → S

22-

(F)

S

22-

+SO

32-

→ S

2

O

32-

+S

2-

(G)

SO

32-

+S

2-

+2h

VB+

→ S

2

O

32-

(H)

2H

+

+ 2e

-CB

→ H

2

(I)

Table 3-2-1-b Effect of CuO amount on the photocatalytic hydrogen production.
Table 3-2-2-b Effect of Na 2 S concentration on the photocatalytic hydrogen production.
Table 3-2-2-d Effect of Na 2 SO 3  concentration on the photocatalytic hydrogen production.
Table 3-2-3-b Effect of calcination temperature on the photocatalytic hydrogen production
+7

参照

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