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40km 伝送を実現する5G 無線アクセスネットワーク用波長多重伝送方式

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Academic year: 2021

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2020 年 7 月・S E I テクニカルレビュー・第 197 号 43

情報通信

1. 緒  言

5G 無線アクセスネットワーク※1では、スモールセル※2 化に伴うセル数の増加や、Massive MIMO※3等の無線送 受信技術の活用により、無線基地局を接続する光ファイバ の増加が見込まれる。将来的には、既設の未使用ファイバ (ダークファイバ)の不足が懸念されており、効率的に光 ファイバを利用する手段として、波長多重集線技術※4が期 待されている。 また、大容量・高速化に対応するため、無線アクセス ネットワークに10Gイーサネットや25Gイーサネットなど の高速光通信を利用する通信仕様のeCPRI※5が規定されて おり、5Gでは25Gイーサネットの利用が見込まれている。 無線アクセスネットワークには最大20~40kmの伝送が必 要だが、光ファイバの波長分散※6による光信号波形の劣化 が課題になる。例えば、高密度波長多重(DWDM: Dense Wavelength Division Multiplexing)で利用される C 帯 (1530~1565nm)では光ファイバの波長分散が大きく、 25Gイーサネットで20km伝送した場合に5dBを超える分 散ペナルティが報告されており(1)、安定した通信が困難で ある。一方、波長分散が小さい O 帯(1260~1360nm) では、波長間での干渉が問題になる等、利用できる波長が 限られ、高集線が望めない。そのため、C 帯で DWDM を 利用し、25Gイーサネット信号の40km伝送が可能な波長 多重伝送方式が求められる。 本稿では、25Gイーサネット信号を2チャネルのハーフ レート信号に分割して伝送することで波長分散の影響を抑 え、C帯による40km波長多重伝送を実現した「ハーフレー ト伝送方式」とその伝送特性を紹介する。

2. ハーフレート伝送方式

2-1 波長多重集線システム 図1にハーフレート伝送方式を利用した波長多重集線シス テムの構成例を示す。無線基地局を構成する無線部(RU: Radio Unit、RRH: Remote Radio Head)と無線信号処 理部/データ処理部(DU/CU: Distributed Unit/Central Unit、BBU: Base Band Unit)間に波長多重集線装置を 対向で設置し、5G 無線用に eCPRI(25G イーサネット : 25.8Gbit/s)Nチャネルと、4G無線用にCPRI※7(1.2Gbit/ s~9.8Gbit/s)Mチャネルを集線しており、無線部と無線 信号処理部/データ処理部からの光信号を波長変換して1 本の光ファイバで波長多重伝送している。 このとき、5G無線用のeCPRI信号を2チャネルのハーフ レート信号(12.9Gbit/s)に変換して伝送し、伝送後に元 のeCPRI信号に復元する。一般的に波長分散による伝送ペ ナルティは距離に比例し、伝送レートの二乗に比例する。 伝送レートを1/2に落すことで、分散ペナルティを1/4に 抑えることができ、波長分散が大きいC帯による波長多重 伝送が可能となる。 図1の構成例では、5G無線用のNチャネルのeCPRI信号 をハーフレート伝送で、4G無線用のMチャネルのCPRI信 号を元の伝送レートで波長多重伝送しており、上り/下り 当社では第5世代移動通信システム(5G)の展開に伴って増加する無線基地局を少ない光ファイバで効率的に接続するための波長多 重集線装置を開発している。5G無線アクセスネットワークでは、安価に25Gイーサネット信号を波長多重で40km伝送できる技術が 望まれる。本稿では実現技術として、伝送レートが25.8Gbit/sの25Gイーサネット信号を2チャネルの12.9Gbit/sハーフレート信号 に分割して伝送するハーフレート伝送方式を紹介する。

We have developed a wavelength division multiplexing transmission method to efficiently connect radio base stations and antennas with a small number of optical fibers. In fifth generation (5G) radio access networks, there is demand for a technology that can economically transmit 25G Ethernet signals over up to 40 km by wavelength division multiplexing (WDM). This paper introduces the half-rate transmission method that enables 40 km WDM transmission by dividing 25.8 Gbit/s signals into two channels of 12.9 Gbit/s signals and transmitting them.

キーワード:5G無線アクセスネットワーク、25Gイーサネット、波長多重伝送、ハーフレート伝送

40km 伝送を実現する5G 無線アクセス

ネットワーク用波長多重伝送方式

Wavelength Division Multiplexing Transmission Method for 5G Radio Access

Networks to Achieve 40 km Transmission

滝澤 康裕

田口 貴昭

梅田 大助

(2)

44 40km伝送を実現する5G無線アクセスネットワーク用波長多重伝送方式 方向それぞれ(2N+M)波長で多重伝送している。 ハーフレート信号の波長多重伝送には10Gイーサネット 用のDWDM光トランシーバを利用している。ハーフレー ト信号の伝送レート12.9Gbit/sは10Gイーサネットの伝送 レート10.3Gbit/sより1.25倍高速で、約1.6倍の分散ペナ ルティが見込まれるが、10Gイーサネットでは最大80km 伝送をサポートする10GBASE-ZR 仕様が規格化されてお り、同光伝送技術を利用することで50km程度まで分散ペ ナルティを実用レベルに抑えられる。 2-2 ハーフレート変換/復元処理 つぎに図2と図3を用いて、ハーフレート信号への変換処 理と復元処理を説明する。処理は上り/下り方向で同じで ある。図2は25Gイーサネット信号とハーフレート信号の データ構成、図3は集線装置のハーフレート伝送部におけ る変換処理部と復元処理部の構成を示している。 ハーフレート伝送では、25Gイーサネット信号を2チャ ネルに分割して伝送するため、ハーフレート信号のチャネ ル間での伝搬遅延差を受信側の復元処理で補償する必要が あり、本稿では25Gイーサネットのデータ構成を利用して 伝搬遅延差を検出している。25Gイーサネットでは誤り訂 正※8(FEC: Forward Error Correction)にリード・ソロ モン符号※9 RS(528, 514)が利用され、図2(a)に示す ように5280ビット長のFECブロックの集合として伝送さ れる。このとき、1024ブロック毎に、つまり約210us の 周期でFECブロック(1-1、2-1、…)の先頭に257ビット 長のコードワードマーカ(CWM)と呼ばれる特殊コード が伝送されている(2) 図3の変換処理部では、25Gイーサネット信号のCWM を検出し、CWMの位置を基準として、例えば、25Gイー サネット信号をFECブロック単位で2チャネルのハーフレー ト信号AとBに分割する。このとき、CWMが両チャネル に配置されるように割り振る。 図2の例では、25Gイーサネット信号をFECブロック(1 ~1024)に分割し、第1周期では奇数番のブロック(1-1、 1-3、…、1-1023)をチャネルA、偶数番のブロック(1-2、 1-4、…、1-1024)をチャネル B に割り振り、第2周期で は奇数番のブロック(2-1、2-3、…、2-1023)をチャネ ルB、偶数番のブロック(2-2、2-4、…、2-1024)をチャ ネル A に割り振っている。周期毎に奇数番と偶数番のブ ロックのチャネルAとBへの割り振りを入れ替えることで、 図2(b)(c)のようにCWMが両チャネルに配置される。 図3に戻り、復元処理部ではハーフレート信号の CWM を検出し、CWMの位置を基準としてFECブロックの境界 を判断することで、チャネル間の伝搬遅延差を補正し、元 の25Gイーサネット信号を復元することができる。 なお、集線装置では誤り訂正処理は行わず、無線基地局 の無線部と無線信号処理部/データ処理部で処理される。

3. 伝送特性

今回、FPGA※10を利用して、図3のハーフレート伝送部 を原理試作し、25Gイーサネットのハーフレート伝送特性 を評価した。ハーフレート信号(12.9Gbit/s)の光伝送 には、10Gイーサネット80km伝送用のDWDM光トラン シーバ(10GBASE-ZR仕様、送信波長1558.17nm、送信 パワー+2.15dBm)を利用した。10G イーサネットより 伝送レートが高速になる分、復元処理部の受信部にイコラ イザ※11を実装して光トランシーバの帯域不足を補った。 波 長 合 分 波 器 波 長 合 分 波 器 ハーフレート 伝送部 5G eCPRI (25.8Gbit/s) RU RU RRH RRH フルレート 伝送部 4G CPRI (~9.8Gbit/s) ハーフレート 伝送部 5G eCPRI (25.8Gbit/s) フルレート 伝送部 4G CPRI (~9.8Gbit/s) DU/CU DU/CU BBU BBU ~40km ×N ×M 5G用 4G用 波長多重集線装置 波長多重集線装置 12.9Gbit/s×2N 12.9Gbit/s×2N ×N ×M 5G用 4G用

RU: Radio Unit, DU: Distributed Unit, CU: Central Unit RRH: Remote Radio Head, BBU: Base Band Unit

図1 ハーフレート波長多重集線システムの構成例

FEC Block

2-1 FEC Block1-1024 FEC Block1-1023 FEC Block1-2 FEC Block1-1

FEC Block 1-1 FEC Block 1-2 FEC Block 2-1 FEC Block 2-2 FEC Block1-1023 FEC Block 1-1024 CWM1 CWM2 第1周期  5280×1024 bits (=210us) FEC Block 2-2 第2周期 (a) 25Gイーサネット信号 (25.78125 Gbit/s) (b) ハーフレート信号 - チャネルA (12.890625 Gbit/s) (c) ハーフレート信号 - チャネルB (12.890625 Gbit/s) CWM1 CWM2 CWM 検出 FEC Block 分割 ハーフレート 信号送信 A ハーフレート 信号送信 B ハーフレート 信号受信 A ハーフレート 信号受信 B CWM 検出 CWM 検出 FEC Block 結合 25GE 信号 受信 25GE 信号 送信 ハーフレート伝送部(RU側) ハーフレート伝送部(DU/CU側)

25.78125 Gbit/s 12.890625 Gbit/s ×2 25.78125 Gbit/s FEC: Forward Error Correction CWM: Codeword Marker 復元処理部(下り方向) 変換処理部(下り方向) 変換処理部(上り方向) 復元処理部(上り方向)

図2 25Gイーサネット信号とハーフレート信号のデータ構成

(3)

2020 年 7 月・S E I テクニカルレビュー・第 197 号 45 図4と図5に0km、40km、50kmのハーフレート伝送に おける受信ビットエラー特性を示す。図4は光トランシー バの受信部に一般的なリミティング受信※12タイプ、図5は リニア受信※13タイプを使用しており、イコライズ処理と 相性の良いリニア受信タイプが約0.7dB良好な受信感度と なった。それぞれ、ハーフレート伝送の一方のチャネルに 挿入した光アッテネータで受信パワーを下げながら伝送エ ラーを発生させ、25Gイーサネット信号のフレームエラー として測定した後に、ビットエラー率に換算している。測 定では、25Gイーサネットの誤り訂正処理を無効にしてい るが、有効時にエラーフリーとなるビットエラー率5×10-5 を基準として評価した。 表1は波長合分波器を除くハーフレート伝送区間のパワー バジェット※14として整理した結果である。40km伝送時の バジェットがリミティング受信タイプで28.8dB、リニア受 信タイプで29.5dBと、ともに40kmの波長多重伝送で想定 される27dBのバジェットを満足する結果が得られた。ここ で、27dBには波長合分波器(アレイ導波路回折格子※15 の損失11dBと、光ファイバの損失16dB(0.4dB/km)を 見込んだ値である。

4. 結  言

本稿では5G無線アクセスネットワークで利用される25G イーサネット信号を波長多重で40km 伝送可能なハーフ レート伝送方式と波長多重集線システムへの適用例を紹介 した。10G DWDM光トランシーバ技術を利用でき、安価 に5G 無線アクセスネットワークにおける光ファイバの利 用効率を向上できる。 用 語 集 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※1 無線アクセスネットワーク 移動体通信システムにおいて、コアネットワークと移動端 末を接続する無線基地局やアンテナなどで構成されるネッ トワーク。 ※2 スモールセル 小さい通信可能エリア。無線アンテナを高密度に配置して 大容量の通信を実現する。 ※3 Massive MIMO Multiple Input and Multiple Output:複数のアンテナを 使ってデータの送受信を行う無線通信技術。 ※4 波長多重集線技術 異なる波長を利用して、複数の光信号を1本の光ファイバ に多重集線する技術。 ※5 eCPRI Evolved CPRI:無線基地局とアンテナ部の通信に使用され るイーサネットをベースとした通信規格。 10-3 10-12 10-4 5x10-5 10-5 10-6 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 BER=5x10-5 10-3 10-12 10-4 5x10-5 10-5 10-6 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 BER=5x10-5 10-3 10-12 10-4 5x10-5 10-5 10-6 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 BER=5x10-5 10-3 10-12 10-4 5x10-5 10-5 10-6 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 BER=5x10-5 10-3 10-12 10-4 5x10-5 10-5 10-6 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 BER=5x10-5 10-3 10-12 10-4 5x10-5 10-5 10-6 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 BER=5x10-5 図4 受信ビットエラー特性(リミティング受信) 図5 受信ビットエラー特性(リニア受信) 表1 パワーバジェット測定結果 送信パワー (dBm) A 受信タイプ 距離 (km) 受信感度 BER=5×10-5 (dBm) B パワー バジェット (dB) A-B +2.15 リミティング 0 -28.64 30.8 40 -26.63 28.8 50 -26.90 29.1 リニア 0 -29.29 31.4 40 -27.31 29.5 50 -27.66 29.8

(4)

46 40km伝送を実現する5G無線アクセスネットワーク用波長多重伝送方式 ※6 波長分散 波長によって光ファイバ伝搬時間に遅延差が生じる現象。 ※7 CPRI Common Public Radio Interface:無線基地局とアンテナ 部の通信に使用される通信規格でアナログ信号のデジタル サンプリングを基本とする規格。 ※8 誤り訂正 データの符号誤りを検出して訂正する技術。 ※9 リード・ソロモン符号 高い訂正能力を持つ誤り訂正符号の1つ。 ※10 FPGA Field Programmable Gate Array:書き換え可能な集積 回路デバイス。 ※11 イコライザ 信号の劣化を補償する回路。ここでは光トランシーバの送 受信処理の帯域不足を補償。 ※12 リミティング受信 受信信号を高利得で飽和増幅(リミティング)する受信。 ※13 リニア受信 受信信号の形状を保った状態で線形増幅(リニア)する受 信。受信信号のイコライズ処理に適している。 ※14 パワーバジェット 送信器の送信パワーと受信器の受信感度の差。 ※15 アレイ導波路回折格子 アレイ導波路による光回折を利用した波長合分波器。小型 化、多チャンネル化に適し、高密度波長多重(DWDM) で利用される。 ・ イーサネットは富士ゼロックス㈱の登録商標です。 参 考 文 献 (1) D.Umeda, “25G NRZ Transmission,” IEEE P802.3ca Task Force, May 2016 contribution (2) “RS-FEC sublayer for 25GBASE-R PHYs,” IEEE Standard for Ethernet 2018, Chapter 107 (3) 滝澤康裕、梅田大助、「5G モバイル xホール用波長多重ハーフレート 伝送」、2020年総合大会 B-8-5、(社)電子情報通信学会 執 筆 者 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 滝 澤   康 裕* :情報ネットワーク研究開発センター 主査 田 口   貴 昭 :情報ネットワーク研究開発センター 主査 梅 田   大 助 :情報ネットワーク研究開発センター グループ長 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー *主執筆者

参照

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