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関節近傍骨折治療における髄内補填をしない工夫,する工夫(教育研修講演) 利用統計を見る

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関節近傍骨折治療における髄内補填をしない工夫, する工夫

済生会山形済生病院 整形外科 清 重 佳 郎

1.超高齢者関節近傍骨折に対する髄内 セメント固定法

.何故,超高齢者に侵襲的治療を行うのか 従来,高齢者が骨折すると,low demand あるという理由で低 い レ ベ ル のADLを 目 標 に,侵襲のない,あるいは少ない治療が選択さ れてきた.しかし,例えば橈骨遠位端骨折に対 して,現在はプラスティックタイプで軽くなっ たとはいえ,ギプスを4週間行うことが本当に 侵襲が少ないと言えるであろうか? また,経

pinningを行っても外固定してしまうと,

ADLの自立は遅れてしまうのではないだろう か?という疑問が湧く.

受傷前には4肢を駆使してかろうじてADL が自立していた高齢者が,骨折によりその1肢 が不自由になってしまうと受傷前のADLを維 持することは困難になる.したがって,変形治 癒しても再手術で治療可能な若年者よりも,む しろ高齢者のほうが初期治療がより重要とな る.その意味で筆者は,許容範囲内に治癒させ るのではなく,その後のADLに影響を与えな いように解剖学的に強固に整復・固定すること が必要と考える.上肢であれば患肢で杖を使用 することを前提に,下肢であれば術直後からの 可動は当然で,筋力低下はしかたないにしても バランス能を低下させない程度のリハビリが可 能な状態にすることが,初期治療時の最低目標 である.そして,選択される治療法に望まれる 一番の条件は,術直後の傷の痛みはともかく,

早期に除痛が得られることである.超高齢者は 痛みが続くだけで,自ら患肢を使用することを 制限してしまい,拘縮やCPRSを来すことと なる.すなわち痛みなくすぐ動かすことがで き,かつ外固定のない治療法が必要なのであ る.手術という侵襲を加えても除痛と早期可動

が得られれば,ギプス固定などで長期間使いづ らくするよりも,超高齢者にとってはトータル でいえば低侵襲となるというのが筆者の考えで ある.

超高齢者の関節近傍の骨皮質は指で押せば潰 れる位薄く,ちょっとした外力でも簡単に骨折 する.しかし,長軸方向に軸圧がかかるような 日常生活の使用では骨折は生じない.それは髄 腔内には骨髄血や脂肪が充満しているためで,

蓋を外したペットボトルは簡単に潰れるが,中 身が満杯で密封されたボトルが潰れにくいのと 同じであろうと筆者は考えている.これまで骨 が脆弱である超高齢者の骨折を確実に固定する 方法はなかった.例えば橈骨遠位端骨折におい て,運良く背側転位を防ぐことができても,

CPRS予防のための手指運動程度の前腕筋力に よって簡単に短縮が生じることは日頃よく経験 する.皮質骨の脆弱性のみならず,骨折部の皮 質骨の壊死もその原因であるかもしれない.筆 者は,皮質骨に支持性を求めず,骨癒合するま で髄内から関節軟骨下骨を支えて短縮を防止す る一方,すでに脂肪髄となっている髄内の骨癒 合ではなく,可及的に骨膜を温存して骨皮質性 の骨癒合に頼るべきと考えた.骨膜・骨皮質に は出来るだけ侵襲を加えず,髄内補填でsubchon- dral supportと内固定を得る方法として19年 当時,唯一選択可能であったものは骨セメント による固定であった.以来,超高齢者の骨折治 療の第一選択として髄内セメント固定法を行っ ている.髄内セメント法が筆者の「補填をする 工夫」である.

.髄内セメント固定法の適応

適応は超高齢者で通常の内固定法では整復位 が保てないもの,すなわち骨の脆弱性のため,

後で述べるcondylar stabilizing法でもscrew tog- gleを生じる症例やsubchondral supportが不

教育研修講演(日整会認定番号02−1254−00)

北整・外傷研誌 Vol.0. − 15 −

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十分な症例である.通常は75−80歳以上の女性 であるが,既往症や来院時の様子から余命が1 年程度と考えられる例や,麻痺側例・痴呆症例 でも疼痛軽減や介助が容易となるのであれば,

相対的適応と考えている.

.髄内セメント固定法の実際

これまでの筆者の髄内セメント固定法自験症 例 は73例,75骨 折.内 訳 は 橈 骨 遠 位 端:42骨 折,上腕骨近位端:13骨折,大腿骨遠位端:1 骨折,踵骨:4骨折,その他2骨折である.上 腕骨近位端および大腿骨顆上骨折は,骨折を転 位させる力が大きいので,plate/screwaug-

mentationとして髄内セメント法を行う.その

ため,皮切が大きくなり,手術侵襲も大きくな るが,除痛と早期可動の分だけベネフィットが ある.

以下に各骨折に対する髄内セメント法の実際 を解説するが,積極的内固定を行う以上,早期 の機能回復を目的としている.橈骨遠位端,上 腕骨近位端骨折においては中年・前期高齢者の 手術例との機能回復の差異についても述べる.

a.橈骨遠位端骨折(図−1)

超高齢者の橈骨遠位端骨折のうち,関節内骨 折は9.1%であるが,AO分類でC1,C2に分類 される単純な骨折である.27%が背側骨皮質が 一部関節面を含んでsplitして背側に転位した dorsal marginal fractureで,7%が背側骨皮 質の粉砕を伴う転位した関節外骨折である.こ れら全体の2/3が保存療法では再転位し変形 治癒となる不安定型骨折と考えられ,髄内セメ ント法の適応となる.

骨折線直上約3cmの背側縦切開で骨折部を 展開する.伸筋支帯の中枢部を少し切離し,橈 側手根伸筋腱と長母指伸筋腱の間から骨折部に 至る.背側骨皮質は粉砕しているため,骨膜の 連続性を温存しながら紙のような第三骨片を持 ち上げ髄腔を観察すると,海面骨は僅かしか 残ってなく,脂肪髄化していることが多い.展 開する前に徒手整復してK-wireを用いて仮固 定しておいても良いし,髄腔から掌側骨折線を 確認,整復してK-wireで仮固定しておくと,

次のセメント挿入が容易となる.髄腔内に僅か に残った海面骨は不全骨折を起こしていること も少なくなく,セメントのアンカーとはならな いので,鋭匙などを用いて辺縁部,特に関節軟 骨下骨下に押しやる.十分な髄腔が確保された らセメント挿入に移る.使用するセメントは粘 調度の高いダフタイプである.手こねそうめん のように径5mm程のひも状にして鋭匙など で押し入れてゆくが,注意すべき点としては,

夢中になって入れていると骨折部を背屈強制し ていることがあるので,掌側に枕を入れておく と良い.また,髄腔内に残った血腫や血液を洗 浄・吸引しておく.術前に冷蔵庫でセメントを 冷やしておくと重合時間を延長することがで き,慌てないですむ.まず中枢部に挿入,次に 末梢部に挿入し,最後に助手に手を引っ張って もらって骨折部をdistractionした状態で,残っ た髄腔に詰めてゆく.開窓部下のセメントは少 なめにしておく.これはセメントが重合する際 に若干ボリュームを増すためである.セメント が硬化する前に持ち上げておいた皮質骨片を戻 し,硬化を待って最後に仮固定のK-wireを抜 去する.骨折展開部の骨膜は可及的に縫合し,

埋没縫合で創閉鎖する(図−1).手術時間は 約40分である.

術後外固定は行わず,術翌日から手関節自動 運動を開始,疼痛の軽減に応じて日常生活動作 指導を行ってゆく.髄腔をセメントでパックし ているため術後の出血は少なく,腫れも少な い.皮下埋没縫合のみとしておくと術後1週弱 で創は乾くので,渦流浴などを行うことがで き,更に成績は向上する.

別の時期の左右の橈骨遠位端骨折に対して,

後に述べるcondylar stabilizing法と髄内セメ ント法を行った患者,intra-focal pinning法と condylar stabilizing法を行った患者を1例ずつ 経験しているが,これら患者によれば,髄内セ メント法が一番疼痛が少なく,次がcondylar stabilizing法のようである.髄内セメント法,

condylar stabilizing法の経時的機能回復を図−

2に示す.

− 16 − 北整・外傷研誌 Vol.0.

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図−1

図−2 北整・外傷研誌 Vol.0. − 17 −

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b.踵骨骨(図−3)

踵骨骨折は一般に高所からの転落によって生 じるため,高齢者には稀である.しかし,骨の 粗鬆化が進行し,後距踵関節下が空洞化する と,段を踏み外す程度の外力でもstamp typeな どの骨折が生じることがある.4例のみに適用し た.sural nerveを避けた外側皮切で入り,粉砕 した外側骨皮質を骨膜の連続性を保ちながら開 窓する.距骨を鋳型として髄腔から骨折を整復 し,K-wireを用いて仮固定しておく.橈骨遠 位端骨折と同様の手技でセメントを挿入する.

骨折を展開することにより,保存療法では皮下 に 溜 ま り 腫 脹・線 維 化 の 原 因 と な る 出 血 を

drainageすることができ,髄内にセメントを

パックすることによって術後の出血は抑えられ るため,腫れは少ない.手術時間は関節面の整 復の可否を術中Xp撮影で確認する分長く,1時 間15分程度である.

筆者は,踵骨骨折の治療において重要なこと は,関節面の解剖学的整復のみならず,距骨下 関節の動き(内・外がえし)を再獲得することだ と考えている.砂利道などを歩行するのであれ ば必須である.埋没縫合を用い早期から渦流浴 を行って可動域を改善することが肝要である.

アーチサポートができ次第歩行練習を開始す る.約4週でT caneでスムーズな歩行が可能と なる.

c.上腕骨近位端骨折(図−4)

高齢になるに従い,上腕骨解剖頸部や大結節 部の骨皮質は菲薄化し,更に超高齢者では骨頭 軟骨下の海面骨も減少してくる.粉砕型の上腕 骨近位端骨折が超高齢者に多いことは神経系の 老化で説明できる.赤ちゃんが,はじめは首が 据わり,座位がとれるようになり,そして立つ ようになるのは,脊髄前角細胞の発達が近位か ら進むことによる.老化では逆の現象がみら れ,motor unitの減少や神経伝導速度の遅延(シ ナプス伝達時間の遅延)が生じてくる.その結 果,軸足が捕られても反対足を出すことができ ているうちは転倒せず骨折も生じない.しか し,下肢の反射が減退していても上肢のそれが

残っていれば,反射的に手をつき橈骨遠位端骨 折を生じる.上肢のそれも減退してしまうと手 も足もでなくなり,そのまま倒れて上腕骨近位 端骨折あるいは大腿骨頚部骨折を生じることと なる.骨粗鬆症に起因する骨折の部位的・年齢 的差異はこの理由による.超高齢者の上腕骨近 位端骨折の整復は,あたかも卵の殻を合わせる がごとくであり,整復位を保持することすら困 難である.斯かる骨折を髄内セメント法の適応 としている.

皮切はdeltopectral approachを用いる.骨 折部周囲の軟部組織はできるだけ愛護的に展開 する.骨折線に指を1本添えながら徒手整復 し,解剖学的整復位を得る.

結節間溝外側にplateを置き,まず,骨頭側を 固定する.cannulated systemを用いて,ガイ

ドのK-wireで残存する骨頭下の海綿骨の厚さ

を確認後,cancellous screw2−3本を至適位 置・深さに刺入する.この手技で十分な固定性 が得られれば,そのまま骨接合のみとし,得ら れなければ髄内セメント法に移行する.セメン ト 法 で は,骨 幹 部 側 は 遠 位2穴 の みcortical

screwで固定して解剖学的整復位を得ておく.

前方の粉砕した第三骨片あるいは骨折線を利用 して指が入る程度に開窓し,髄腔を確保.血腫 を除去し,洗浄して髄腔内を観察すると,ほと んど空洞であることが多い.かろうじて残った 海綿骨を骨折線の内張りに用い,髄腔にセメン トを挿入して行く.慣れれば,高圧注入ができ るセメントガンに細めのノズルを付け注入して も良いが,用手的に挿入したほうが安全であ る.注意点は,駆血帯は使用できないので,十 分洗浄して手早くセメントを挿入すること,予 め刺入してあるscrewにセメントをしっかり 絡めること,骨幹部側にはセメントはどこまで も入ってしまうので入れ過ぎないよう気をつけ ること,である.セメントが硬化する前に,残 りのscrew holeからcancellous screwをセメ ント内に刺入する.すなわち,セメントをscrew のアンカーにする訳である.開窓した骨片を戻 し,骨膜を可及的に縫合する.手術時間は約1

− 18 − 北整・外傷研誌 Vol.0.

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図−3

図−4 北整・外傷研誌 Vol.0. − 19 −

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時間,出血は平均9mlであった.

骨折部を広く展開する分,術後初期には創痛 があるが,固定性が強固な分,後に述べるcon- dylar stabilizing法よりも後療法が楽なようで ある.翌日からOTによる介助的自動運動を開 始する.

比較的 骨 質 が 良 好 でconventionalplate/

screw固定を行った中年女性例との術後の機能

回復の比較では,術後3ヶ月までに獲得された 最大可動域には違いがないものの,対健側比の 0%の可動域が得られた時期は,セメント例で 3週 目,conventional例 で は6週 目 と,セ メ ント例のほうが早期から良好な回復をしめして いた(図−5).拘縮が最大の問題となる高齢 者には適した治療法といえる.

d.大腿骨顆上骨折(図−6)

本骨折は,一般にはhigh velocity injury あるが,高齢者では膝屈曲位で転倒した際に生 じるとされている.自験例では全例75歳以上 で,THAや人工骨頭,CHS後や片麻痺・単麻 痺側に生じたのは14骨折中10骨折であった.す なわち,硬い人工物のため当該骨の脆弱性が進 行しているところにstressがかかるためと,

大腿骨四頭筋の筋力低下が相俟って骨折すると 考えられる.

術式はMullerangle plate法(後述)に準

じてplate固定を行い,骨折部の第三骨片を持

ち上げ,そこからセメントを挿入する.当初は

原法どおり,外側広筋と中間広筋の間を割って

plate固定していたが,既に筋力低下がある四

頭筋筋力を極力低下させないために,MIPO 法で固定するようにしている.

翌日からCPMを開始し,可能な限り早期か ら荷重した.その際,ヒンジを逆につけて膝関 節進展位としたヒンジ支柱入りサポーターを装 着させて歩行させる.疼痛が軽減し,膝折れし なくなればヒンジを元に戻して使用させる.

2例以外は膝関節屈曲10°以上を獲得でき た.

9〜20年の間に,髄内セメント固定法で 治療した患者は72例であった.そのうち12人 は,その後また転倒して他の部位の骨折をきた していた.しかし,髄内セメント固定法で治療 した部位の機能が新しい骨折の機能回復に悪影 響を及ぼすことはなかった.例えば,橈骨遠位 端骨折を髄内セメント固定法で治療した女性が 3年後に健側の片麻痺を患ったが,髄内セメン ト固定法で治療した手で杖をつきリハビリを 行った結果,ADLが自立するまでに回復した.

治療の目的が達せられた最たる例である.

.骨セメント使用上の注意

8年厚生省から骨セメント使用による死亡 例の報告があり,日整会から骨セメント使用時 の合併症予防策が提示された.それによると,

未重合の低粘稠性の骨セメントを高圧注入する ことが最も危険であり,本法で使用されるよう

表2 Intramedullary Bone-Cement Fixation の主な文献

distal radius

Charnley J : Acrylic cement in orthopaedic surgery. pp

7−71,

Kofoed H : Acta Orthop Scand

4:37−11,

Schmalholz A : Acta Orthop Scand

0:22−7,

Kiyoshige Y : Wrist Disorders. pp

3−26,

proximal humerus

Trotter DH, Dobozi W : Clin Orthop

4:12−8,

Matsuda M, Kiyoshige Y et al : Acta Orthop Scand

0:23−5,

proximal femur

Harrington KD : J Bone Joint Surg

A:7

4−50,

distal femur

Benum P : Acta Orthop Scand

8:52−6,

calcaneus

Kiyoshige Y, Takagi M et al : Acta Orthop Scand

8:48−9,

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図−5

図−6

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な,高粘稠性のセメントを用手的に時間をかけ て挿入する場合は危険性が低下することが示さ れている.

髄内セメント法の問題として,セメント操作 に起因する術中合併症や遅発性感染のリスクは 否定できないが,ADL上のベネフィットがリ スクを凌駕すると筆者は考えている.超高齢者 の早期のADL自立には,髄内セメント固定法 は信頼に足る治療法である.

2.中高年関節近傍骨折に対する骨接合

.関節近傍骨折は従来法で治療可能か 髄内セメント固定法によって,超高齢者の関 節近傍骨折治療は解決の糸口が見えたが,超高 齢者よりも骨の脆弱性が軽度とはいっても75歳 以下の高齢者でも,まだまだ皮質骨が粉砕した り,軟骨下骨下の海綿骨が減少していることが 少なくない.斯かる骨折の治療においては,骨 セメントを用いない場合,髄内からのsubchon- dral supportとしての自家骨移植の併用が有効 であることは疑いないが,自家骨移植には採骨 というdemeritが常に存在する.bone graft sub-

stituteも種類によって強度や形状,置換の程

度に差があり,術直後からの運動を可能にする ためには内固定を併用しなければならない.

青壮年男性の場合は従来法で治療可能である ことは多くの報告で明らかであるが,残された

中高年女性の関節近傍骨折に対する治療法を確 立することが当面の課題であった.

.髄内補填の効果と限界

中 高 年 女 性 の 関 節 近 傍 骨 折 に 対 す るbone graft substituteの髄内補填が,骨セメント同様 に整復位を保持可能かを明らかにするため,不 安定型橈骨遠位端骨折を例に種々の内固定法を 組み合わせて検証した.

Intra-focal pinning単独では,volar tilt(VT) radial inclination(RI)は保たれるが,ulnar variance(UV)の悪化が平均2.mm生じた.

整復後の髄腔 背 側 に 生 じ た 骨 欠 損(fracture void)にAW-GCフィラーを補填してintra-focal pinningを行うと,UVの悪化は1.mmとなっ た.掌側plate単独で固定すると,VT,RI,UV 全て悪化した.AW−GC補填を追加すると,VT, RIは保たれ,UV悪化も1.mmに止まった.

以上の結果から,intra-focal pinningよりも

plateが,単独よりもAW-GCの髄内補填のほ

うがより整復位を保つことができることがわ かった.すなわち,plateが橈骨長の保持の役 割を 担 い,AW−GCが 髄 内 か らsubchondral boneを支えて,転位防止に与っているという ことである.しかし,そ れ で も1mmの 短 縮 を防ぎきれないのは,従来のplate/screw sys- temの固定機構そのものに起因した問題が存 在するからである.

.Poor plate/screw purchaseすなわちscrew toggle

表1 内固定法別・髄内補填の有無別の loss of reduction

VT RI UV

(compared to initial anatomical reduction)

intra−focal

(n=5)

no change no change

平均 2.

mm loss

intra−focal+AW−GC

(n=6)

2例5°

loss no change

平均 1.

mm loss

volar plate

(n=4)

2例10°

loss

1例5°

loss

平均5°

loss

平均 1.

mm loss

volar plate+AW−GC

(n=5)

2例2°

loss no change

平均 1.

mm loss

− 12 − 北整・外傷研誌 Vol.0.

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AO法に代表される従来のplate / screwによ る固定では,screwが骨皮質をしっかり咬み,

plateが骨に圧迫されることによってplate 骨の間に生ずる摩擦により固定性を得ている.

platescrewに よ る 骨 の 把 持・固 定 性 を plate / screw purchaseと表現するが,plate screw holeのなかでscrew headがある程度首 振り可能であるため,screwbicorticalに咬 まなければpoor purchaseとなる.この固定性 は永久に続くものではなく,しっかりと咬んで 圧迫力が加わ る ほ どscrew周 囲 のresorption が生じ,弛みが生まれてscrewが動くように なる.これをscrew toggleと呼ぶ.脆弱化した 骨ほど早期からtoggleを生じ,poor purchase となる.また,関節近傍の皮質骨は両側とも厚 いことは少なく,canncellous screwの把持力 に依存するところが大きいため更にこの傾向は 強くなる.

中高年女性橈骨遠位端骨折に掌側plateを用 いた場合,粉砕した背側骨皮質や髄内補填され WA-GCscrewanchorにはならない.

screwが当初掌側骨皮質を咬んでいたとしても

monocorticalである限り弛んでくるのは時間

の問題で,screwscrew holeのあそびの分だ け短縮したと考えられる.

3.Condylar stabilizing 法

. Locking Compression Plate System 従来のplate / screwの問題のひとつの解決策 Locking Compression Plate system(LCP)

である.オリジナルは,internalにもexternal fixatorとしても用いることができるポーランド Zespol systemである.従来のplate / screw による強力な圧迫力が骨萎縮をもたらすほか,

primary healing後の再骨折の原因のひとつに もなるという反省の基に,platform screwをplate nutで固定することによってplateが骨に接 触していなくとも固定性が得られるよう開発さ れたsystemである.Zespol systemおよびLCP は,external fixatorと同様,骨からscrew,そ

してplateへ力が伝達されるため,骨に必要以

上の力は加わらず,理論的には従来法にみられ る骨萎縮は 生 じ な い.し か し,こ れ はscrew の骨把持力に依存し,長管骨骨幹部のしっかり した皮質骨の場合にのみ成り立ち,前項で述べ たように海綿骨の密度が固定性に影響を与える 関節近傍には必ずしも当てはまらない.また,

最も端のscrewに大きなstressがかかること になるので,LISS(Less Invasive Stabilizing System)plateのように梃子の原理からplate は長いほうが良い効果的である.

. Muller の angle plate を用いた大腿骨顆上 骨折の治療

Mullerは,大腿骨顆上骨折に対して解剖学

的 にdesignさ れ たangle(blade)plateを 用 いて,epiphyseal fixation first,reduction second に固定する手技を開発した.この方法では,骨 端部に刺入されたbladeがしっかり効いていれ ば,plate部を骨幹部に合わせていくと解剖学 的に整復される(angle stability).もしblade が効いていなければ,整復も不十分となるばか りでなく,早期運動には耐えられない.そのた め,Muller法の単独適応の善し悪しは術中に 判断可能である.

. condylar stabilizing(angle stability + sub- chondral support)法

皮質骨や海綿骨に安定したscrew purchaseを 求められない場合,関節面が高度に粉砕してい ない限りは,唯一信頼できる部分はsubchon- dral boneである.本法はepiphyseal fixation first,reduction secondである点でMullerの考 え方を踏襲しているが,subchondral boneを複 数のlocking pinscrewでを支えるsubchon- dral supportである点が異なる.関節近傍骨折 LCPを用いても,bicorticallocking screw が効くような骨折型は少なく,海綿骨も不全骨 折を生じていることもあるため,LCPの理論 に基づいて固定性を得るというよりはむしろ,

安定性(固定性でヘない)の多くをsubchondral supportに依存することとなる.すなわち,screw でなくてもlocking pincondylar stabilizing

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法が可能である理由がそれなのである.

subchondral supportによって骨端部を支え,

骨癒合が得られるまで短縮を防止できれば,皮 質骨性に骨癒合し,中空でshell状となっても 臨床上問題のないことが多い.中高年の骨折で は単に骨癒合を得るためだけの補填は行う必要 はないが,若年者の関節内骨折など,軟骨下に 良質の海綿骨が存在したほうが長い目で見ると 好ましいと思われる場合には,自家骨移植や骨 伝導能を有するbone graft substituteを補填す るべきであるというのが筆者の基本的な考えで ある.髄内からのsubchondral supportではな く,髄外からsubchondral supportを行うcon- dylar stabilizing法が,現在筆者の到達した「補 填をしない工夫」である.

. Condylar stabilizing 法の実際 狭義の condylar stabilizing

骨端部をscrewで強固に把持・固定できな

い場合,locking systemを有するplateを用い angle stabilitysubchondral support

安定させようというのが本法の基本的concept である.現在入手可能なplateを使って行うと すれば,支えるべき関節面が比較的平坦な橈骨 遠位端,脛骨遠位端,踵骨骨折が適応となる.

a.橈骨遠位端骨折(図−7)

Orbay & Fernandezの報告以来,欧米では 橈骨遠位端用の掌側locking plateが花盛りで ある.例えば,DVR-plate ; HAND INNOVA- TION, Florida, SCS / V Volar Plate ; AVANTA, California,Radius Plate ; its-implant, Aus- tria.しかしこれらはepiphyseal fixation first, reduction secondではなく,整復後にplate 定を行っているため,十分subchondral support されてるかは疑問で,Orbay & Fernandez loss of reductionの症例があったと報告してい る.

本邦ではMatyhs社のDRP(Distal Radius Plate)あるいはLCP(Locking Compression Plate)しか手に入らないので,これらの使用 法について解説する.橈骨遠位掌側の形状に合

図−7

− 14 − 北整・外傷研誌 Vol.0.

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わせてDRPは19°bendingされ,0°locking pinlockさ れ る よ うdesignさ れ,LCP bending0°,locking screwは80°lockされ る.従って,解剖学的整復位を目指せば関節面 に対しそれぞれ10°打ち上げ,あるいは平行に 刺入 す る こ と に な る.橈 骨 遠 位subchondral boneは掌側が厚く背側は薄いため,design にはDRPが勝っているが,locking pinは径1.mm の た め,筋 力 の 強 い 青 壮 年 男 性 に は3.mm screwのLCPを用いたほうが良い.subchondral supportを効かせるコ ツ は,drillを 低 回 転 で subchondral boneの下を滑らせるように刺入し ていくことである.掌側骨皮質のみdrillで穴 をあけ,あとは押しながら手回ししても良い.

そうすると,硬いsubchondral boneは勝手に

drillを避けていってくれる.もし刺入角度が

わからなければ,カテラン針や細いK-wire 関節に刺して,それに対して,0°あるいは平行 に刺入する. cm程度の日本人の橈骨関節面 の前後径は24−5mmなので,locking pinやscrew の長さは22あるいは2mmとなる.それにsin 0°あるいはtan0°をかけて,pinの半径0.

mmを加えると4−5mmとなり,subchondral boneや軟骨の厚さを考慮すると,関節面から 中枢に5−6mmの部分がDRPの場合のpin の刺入点となる.骨端部にlocking pin, screw を刺入し終えたら,plateを中枢側橈骨掌側面 に合わせて行くと梃子の原理で自動的に解剖学 的に整復される.粉砕している背側骨皮質も背 側骨膜に緊張が加わることにより自動的に整復 される.骨折部橈側を支点にしてplate中枢側 を尺側に回転したり,plateを遠位方向に押し やってdistractionするとulnar varianceが調 整できる.筆者は健側に比し0.5−1mm ulna

minusになるような位置で固定している.こ

れはTFCC(Triangular Fibrocartilage Com- plex)に適度な緊張を与えるためである.骨折 部に1‐1.mmgapが生じるが,背側骨膜 の連続性が保たれているため骨癒合遅延はな く,逆にdistraction osteogenesis効果により 骨癒合が促進されている可能性もある.後療法

は髄内セメント法と同様,翌日から積極的自動 運動を行う.術後の経時的機能回復は,髄内セ メント法のそれに比較して3週目は若干劣って いるが,6週目にはほぼプラトーとなった(図

−2)

b.脛骨遠位端骨折(図−8)

1年Destotは脛骨遠位部の粉砕骨折を薬 をつぶすときの乳棒に例え,pilon(フランス 語ですりこぎの意)骨折と呼んだ.彼等フラン ス人がよくするように,橈骨遠位部のレントゲ ン像を逆さまにすると脛骨遠位部に似てみえ る.筆者は,脛骨関節面が比較的平坦で,前面 に対し約10−12°後傾していることから,橈骨 遠位端掌側用LCP(screwplateに対し10°

lock)を転用してcondylar stabilizing法を 適用している.粉砕型のpilon骨折は軸圧骨折 の型をとる.皮質骨部の厚さから圧縮をまぬが れやすいのが後果であるため,粉砕した関節面 を後果に合わせるよう整復して行くこととな る.関 節 面 の 整 復 やscrew刺 入 に は 専 用 の drill pointではなくcannulated drill point K-wireを用いる.plateに専用のdrill guide 装着し,その中にcannulated drill pointを入 れてK-wireguideとする.骨折部からele- vator等 を 挿 入 し て 透 視 下 に 主 た る 骨 片 の alignmentを整え,少な く と も2本 のK-wire を後果手前まで刺入する.K-wirejoy-stick 様にして後果骨片にK-wireを進めたり,後果 近位にreduction screwを刺入してalignment を整えてからK-wireを刺入して,cannulated

drillを後果まで進め,このうち1本を仮固定

として刺入したままにしておき,同様にcannu- lated systemを使用して他のlocking screw 刺入・固定して行く.Tillaux fragnentがあれ locking screwで解剖学的位置関係を保持す る.軟骨下骨に3ないし4本のlocking screwが 刺入され,関節面が支えられるようになった ら,後方の骨折部を支点にしてplateを押し下 げて行くと,連続性が保たれている外側骨膜に 緊張が加わり,粉砕した外側骨片は整復され,

腓骨も同時に整復される.橈骨遠位端骨折同

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図−8

図−9

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様,distraction osteogenesis効果を狙う訳であ る.本骨折の80%には腓骨骨折が合併するが,

anti-gride plate法を用いて短縮・回旋を防ぐ.

こ の 際LCPを 用 い る と 遠 位 骨 片 のscrew monocorticalでも従来法より固定性が増す.

皮下埋没縫合として早期から渦流浴を併用し た可動域訓練を行い,術翌日から自重の1/8

〜1/6の荷重での歩行を開始する.

c.踵骨骨折(図−9)

踵骨骨折の多くは後距踵関節を含む関節内骨 折である.特にdepression typeに対してはsub- chondral supportが必須であり,condylar sta- bilizing法の良い適応である.専用plateがなく 骨片も小さいので,背側用DRP,通称π plate カットして複数のlocking pinsubchondral sup- portする.内側の載距突起を含む骨片が解剖学 的に正常位を保っていることが多く,pilon 折と同様の手技で,内側骨片に粉砕した関節面 を合わせるよう整復して行くこととなる.カッ トしたπ platelocking部分は4穴しかない ので,後距踵関節骨片に2本,前方骨片に1−

2本のlocking pinを刺入することとなる.腓 骨筋腱に沿った皮切で入り,踵腓靭帯と距踵骨 間靭帯の間から関節面を直視しながら,外側壁 骨折部からelevatorなどを挿入して髄内から 骨折を整復する.plate設置部分にかからない ような位置から,整復骨片を細目のK-wire 仮固定する(骨片同士でも距骨にでも良い) 踵腓靭帯前方を骨膜下に剥離してplateを挿入 する.次 ぎ にplate brade部 か らlocking pin を関節面に平行に刺入して行く.関節骨片と前 方骨片の間の骨折線を跨いで2本のpinを刺入 する訳であるが,刺入点はone pointしかなく,

この出来如何で全てが決まってしまうと言って 良いくらい重要な部分である.残念ながらlock- ing pinの長さは最長3mmで,載距突起には とどかない.plate shaft部から載距突起と踵 骨 隆 起 内 側 に 引 き 寄 せscrewと し てcannu- lated cancellous screwを刺入して内反を矯正 する.皮膚のトラブルを少なくするために非常 に制限された皮切で行うため,よりsubchon-

dral supportの色合いが濃くなる.

縫合は皮下のみとし,後療法は髄内セメント 法同様創治癒次第,渦流浴を行い,距踵関節可 動域を再獲得するよう努める.術後1週頃から

Graffin型免荷装具にて歩行練習を開始し,4〜

5週からアーチサポートとする.術後の機能は Creightn−Nebraska scoreで平均94.2点であっ た.

広義の condylar stabilizing

Muller法に準じて,LCPを用いても理論上

angle stabilityだけは得られる.subchondral

supportを上手く利用できないものを広義の

condylar stabilizingとして,それぞれに応じた 工夫を述べる.

d.上腕骨遠位端骨折(図−10)

上腕骨遠位端専用のplateはないため,recon LCPを曲げて使用する.上腕骨遠位部は小頭 と滑車からなる.小頭は前下方に軟骨はあるも のの球形に近く,subchondral supportは困難 であるが,滑車は最 狭 部 で 径2mm弱,ほ ぼ 全周が軟骨に被われており,径3.mmlock- ing screwが入るだけで滑車部はsubchondral sup- portとなる.このscrewの刺入方向は肘関節 の回転中心に一致するため,回旋防止のために locking screwを滑車に向かって斜めに1本刺 入する必要がある.こうして遠位骨片の安定性 が得られたら近位骨幹部を固定する.LCP 特性上,骨に密着している必要はなく,inter- nal fixatorとして筋間中隔からlocking screw を刺入する.上腕骨はその遠位に前腕が存在 し,肘屈曲位では非常に大きい回旋モーメント がかかる.従って,cannulated screw1本を内

pillarの中に通して回旋安定性を高める必

要がある.

e.上腕骨近位端骨折(図−11)

髄内セメント法の項で述べたように,上腕骨 近位端骨折に対しplate/screwによる骨接合術 を行う場合,plateが設置される大結節部は骨 折していることも多く,screw刺入部の骨皮質 は固定性に与らないことも少なくない.また,

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図−10

図−11

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骨頭内の海綿骨はほとんどないか,あっても不 全骨折を生じており,screwがしっかり咬んで 強固に固定されることはあてにできない.

上 腕 骨 近 位 端 用 のLCPLHSP(Locking Humeral Spoon Plate)と呼ばれるanatomical plateで,骨頭内に5本のlocking screwが刺入 されるようdesignされている.LHSPを用い る場合は,柔道において奥襟を取ってしっかり 引きつけないと技が決まらないように,rotator cuffをplateにしっかりと縫いつけ,骨頭をplate に引きつけることによって,locking screwによ るangle stabilityの効果が発揮されるようにす ることがpointとなる.LHSPangle stabil-

ityを担うscrewは最近位列の2本である.2

列目の2本のscrewは左右に振るようにplate lockされ(2本のなす角は45°,回旋防止 に与る.3列目の1本は下から骨頭を支えるよ うに刺入される.実際の手術では専用のdrill pointではなくcannulated drill pointを用いた ほうが安全である.すなわちplateに専用のd rill guideを装着し,その中にcannulated drill pointを入れ,drill pointの中にK-wireを通す.

image下にK-wireを刺入することにより,適 切 なscrew長 を 計 測 す る こ と が で き,ま た,

subchondral boneに先端がひっかかるようであ れば,angle stabilityが得られることを予め確 認出来る.最近位列の2本は,plate遠位を少 し浮かせながら若干長めのscrewを刺入して 外反位になるようにして,整復後の内反を防 ぐ.2列目のcrossして刺入されるscrewは2 part骨折の場合右側骨折例ではscrew holeの位 置から2本とも刺入可能であるが,左側骨折例 では前方のscrewが骨折部にかかることも少 なくない.これら2本は突っ張り棒的役割であ るので長すぎないようにする.こうして近位骨 片の安定性が得られたら,plate遠位を遠位骨 幹部に合わせるようにして整復する.更に,腱 板後方成分が再転位因子であるので,前方骨皮 質にcortical sutureを加えて安定性を増すよう にする.左側骨折例で前方のscrewが骨折部 に介在する場合は刺入し直す.遠位骨幹部の固

定はひとつおきに2本で十分である.4本全部 刺入すると,骨皮質に切取線をつくることとな り,超高齢者では回旋stressで新たな骨折を 生じる可能性があるので注意を要する.最後に 下から骨頭に向かうscrewを刺入するが,こ れはあまり効かない.回旋防止の突っ張り棒と 考えたほうがよい.

subchondral supportscrew先端でのみな されるため,condylar stabilizing法というより back outしないEnder法のような固定法で あるが,再転位を生じないよう工夫できること と,3partまでは確実に骨接合できることが 本法の特徴である.

このように骨接合しても不安定が残っている場 合には,髄内セメント固定法に移行する.

術後の機能回復は,中年女性のconventional plate/screw固定例のそれと同様の経時的変 化をしめした.対健側比50%の可動域を獲得し たのは術後6週以降であり,髄内セメント法の それが3週であったことに比べると劣ってお り,これは固定力の強力さに起因すると考えて いる(図−5)

f.大腿骨顆上骨折

大腿骨遠位部用LISS plateは未だ本邦には 導入されておらず,Lbuttress plate LCP 転用している.screw刺入と整復の仕方はMuller 法そのものである.これまで2例(AO分類,

A3:1例,C3:1例)に行っ た が,2例 と も

subchondral supportが不十分であったため,

髄内cement固定法に移行せざるを得 な か っ

た.AO分類Cに対する骨接合も考慮した顆部 後方も固定できる専用plateの開発・導入が必 要と考える.

筆者は従来の骨皮質を接触させて骨癒合を得 るという考えではなく,骨膜の連続性が一部保 たれていて,少なくとも数週間何らかの方法で subchondral supportできれば,血行豊富な関

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節近傍では骨皮質性の骨癒合が得られると考 え,今回提示した一連の骨接合法(髄内セメン ト固定法,condylar stabilizing法)を行ってき た.これらの方法は骨質の良好な青壮年の関節 近傍骨折にも適応可能であるが,従来,かろう じて骨接合はできても,術直後からの積極的後 療法するには固定性が不十分であった骨粗鬆症

を合併した骨折に最も有効である.

紙面をお借りして,講演の機会を与えて頂い た青木光広先生,荒川浩先生,また,本研究会 の諸先生に深謝するとともに,本研究会の益々 のご発展を祈念致します.

1)Claes L,et al. : Influence of size and stability of the osteotomy gap on the success of fracture healing. J Orthop Res17;15:57−5.

2)Destot E : Fracture du pilon et de la mortice. In : Traumatismes du Pied en Rayon X mal- leores, astragale, calcaneum, avantpied. Paris, Masson et Cie.,11;pp9−1.

3)Frigg R, et al. : The development of the distal femur Less Invasive Stabilization System

(LISS).Injury21;32:S-C--.

4)Hall MC et al. : The structure of the upper end of the humerus with reference to osteo- porotic changes in senescence leading fractures. Can Med Assoc13;J88:20−2. 5)清重佳郎:高齢女性橈骨遠位端骨折の骨折型.日手会誌 21;17:55−57.

6)Mize RD : Supracondylar and articular fractures of the distal femur. In Operative Ortho- paedics, Chapman, MW ed, JB Lippincott, Philadelphia,13;61−62.

7)Muller ME : Die huftnahen Femurosteotomien. Thieme, Stuttgart,11;9.

8)Orbay JL, et al. : Volar fixation for dorsally displaced fractures of the distal radius : a pre- liminary report. J Hand Surg2;27−A:25−25.

9)Ramotowski W, et al. : An original method of stable osteosynthesis. Clin Orthop1;

272:67−75.

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発言1:市立札幌病院 整形外科 佐久間 先生は骨セメントをよく使ってすぐフリーに するのかなと思っていたのですが,骨セメント は比較的限られた高齢者だけにお使いなのです か.

答:

はい,そうです.

発言2: 佐久間

ロッキングスクリューをプレートの遠位に 使って,戻してそれを整復のテクニックにして おりますけれども,普通私はハイプレートアン カー,例えばスミス骨折なんかの時にバットレ ス効果で骨幹部から止めて,その梃で整復する という,先生の場合は遠位部の面を最初にスク リューで止めてそれで骨幹部の方を止めて整復 するというテクニックですよね.その時に の前のテクニックとしてロッキングスクリュー を刺す方法とか,方向とか,本数とか,そのイ メージを使ってされると思うのですがそうとう カンでされるのですか.それともスケッチをさ れてやるのでしょうか.

答:

最初にスケッチをします.やっぱりAO ミューラーとかの第3版以前の教科書には必ず 書いてあると思うのですけれども,その術前に 作図をしてペーパーオペレーションを必ずして おかないといけないと,その健側の写真を必ず 取って患測と合わせてトレンシングペーパーで やって方向を決めて角度を大体ここしかないと いうのを決めてやっております.

発言3: 佐久間隆

創内,創外固定という概念は私おもしろいと 思って聞いていたのですが,先生は普通の創外 固定というのはあまりお使いにならないので しょうか.

答:

はい,使わないですね.というか昔は実は使

いました.これは2点あって,山形という地方 がまず一つはそういうのを非常に嫌われます.

なかなか患者さんがうんと言ってくれない.も う一つはうちの病院でMRSAが非常に蔓延し たことがありまして,その時にGastiloで創 外 固 定 を や っ た ら そ こ か ら 今 度 はMRSA なって,もともと血行が悪いのに感染を被って 結局,切断せざるをえなかった患者さんがいま して,それからそれをしなくて済む方法は何か ないかということでこういう形になっておりま す.

発言4:市立釧路総合病院 整形外科 冨田文久 テクニック上,そのプレートが緩んで取り替 えることがあるのですか.

答:

多分,動くと思います.実際今の症例は術後 2.5ヵ月で,最初から3ヵ月で抜こうと思って いるのです.というのは,2ヵ月目位に一番上 のスクリューがやはり緩んでいます.実際まだ やってないのですけれども,これを本当にやろ うと思ったのはこの症例ではなくて,長管骨の メタがあった時にその侵襲を加えるような手術 ができない様な患者さんがいた場合に,一時的 にどうやってやろうかというのを考えていてメ タで多いのはやっぱり大腿骨だと思うのですが 近位の1/4位の所に転子下にきたりする人が 結構いると思うのですが,そこに対して前方と 外側にやれば一時凌ぎになるのではないかと ずっと考えています.でもまだ幸か不幸か実際 そういう患者さんはまだいないのですけれども,

二本直行するか少し角度を変えて入れてやれば 強度的には大丈夫なのではないかなと思ってい ます.

発言5:

北海道社会事業協会帯広病院 整形外科 高畑智嗣 コールス骨折のセメントの症例で,セメント のものでは過剰牽引にトライした症例はあまり

質 疑 応 答

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