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当科における認知症入院患者の動向

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Academic year: 2021

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全文

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要 旨

室蘭市は全国の平均と比べ高齢化率が高く、市立室蘭総合病院精神科(以下、当科)でも認知症患者の診療 を数多く経験する。今回、平成 19年3月1日から平成 24年2月 29日までの5年間に当科に入院した患者のう ち認知症の診断名がついた 169例の入院目的・在院期間・入院経路および退院先について、診療録を後方視的 に調査した。入院目的は、認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia 以下、BPSD)に対する治療が5割以上と最も多く、次いで身体合併症治療が約3割を占めていた。退院先は、

他の医療機関が最も多く4割近くであった。その目的は身体管理、BPSD治療、進行した中核症状への対応な どであった。当科は一般病院の精神科として、特に身体合併症を有する急性期の認知症患者への対応が求めら れていることが示唆された。今後、認知症に対する各医療機関の機能を明確化・重点化することが重要である と考えた。

キーワード

認知症、身体合併症、急性期

緒 言

室蘭市保健福祉部によると、室蘭市の総人口に占める 65歳以上の高齢者の割合、いわゆる高齢化率は 31.0%

(平成 24年9月 30日時点)で、全国の高齢化率 24.1%

(平成 24年 10月1日時点)に比べ高い。当科でも高齢者 の受診が多く、認知症患者の診療も数多く経験する。

しかし、精神病床のみを有する精神科病院、一般病院 における精神科など各病院の機能が必ずしも明確化され ているわけではない。そのため、当科における認知症入 院患者の動向を調査し、一般病院における精神科に求め られる役割を考察した。

なお、ここでは一般病院は、精神病床のみを有する精 神科病院、および結核病床のみを有する結核療養所を除 いたものを指す。

方 法

平成 19年3月1日から平成 24年2月 29日までの5 年間に、当科に入院した患者のうち認知症の診断がつい た 169例(男性 75例、女性 94例)を対象とした。これ らの患者の入院目的、在院期間、入院経路および退院先 を調査項目に挙げ、診療録を後方視的に調査した。なお、

身体的加療のため一時的に当院他科へ転科し再び当科に 戻った症例は、同一症例として扱った。

結 果

入院目的の内訳を図1に示す。「認知症の行動・心理症 状(BPSD)治療」が 55%と半数を超え、次いで「身体 合併症治療」が 27.8%であった。他に、介護者の疲労や、

介護者が入院するなどの「介護上の問題」、認知症以外の

高 文 三 上 敦 大

市立札幌病院 精神医

当科における認知症入院患者の動向

市立室蘭総合病院 精神科

伊 東 あかね 北 川 寛 三 宅

病医誌(第 39巻 第1号 平成 26

療センター

高 田 秀 樹

室蘭 )

年 10月

1 入 理

れ る 文 ト ッ プ ペ ー ジ の み に入

32

(2)

「その他の精神疾患の精査加療」が挙げられた。「その他」

には転院調整などが含まれていた。

在院期間は3ヶ月以内が 49.1%、1年以内まで含める と 82.2%であった。平均在院日数は 208日(±69.3日)

であった(図2)。

入院経路と退院先を図3、図4に示す。入院経路して は、自宅からが 59.8%と過半数であり、当院他科がそれ に続き、退院先としては、他の医療機関が 37.3%であっ た。なお、入院中に死亡した患者は 6.5%であった。退院 先のうち、他の医療機関への転院目的として挙げられる のは、胃瘻や中心静脈栄養などの身体管理、BPSD治療、

進行した中核症状への対応がそれぞれ3〜4割であった

(図5)。

考 察

入院目的に関しては、当科ではBPSD治療が過半数を 占め、次いで身体合併症治療が約3割を占めるという結 果であった。全国の精神病床への認知症入院患者中、入

院加療を要する程度の身体疾患を合併するものは 25%

と報告されている 。しかし、身体疾患に対応できる精神 病床を持つ病院は不足している 。したがって、一般病院 の精神科という他科との連携を生かせる立場にある当科 では、身体疾患を有する認知症患者への対応が求められ ていると考える。

在院期間は3ヶ月以内が 49.1%、1年以内を含めると 82.2%であり、比較的スムーズな退院調整が行われてい ることが示唆される。一方で、平均在院日数が 208日

(±69.3日)と長期であり、入院期間が長期に及ぶ一部の 症例による影響と考えるが、我が国の長期入院患者を減 少させる方策を考慮すると、一部の長期入院患者につい てもさらなる検討、対応が必要である。

他の医療機関への転院目的として挙げられるのは、胃 瘻や中心静脈栄養などの身体管理、BPSD治療、進行し た中核症状への対応がそれぞれ 36.5%、31.7%、27.0%

であり、主に慢性期の加療を目的に転院している。

これらを踏まえると、当科は主に急性期の精神・身体

図2 在院期間 図3 入院経路

図4 退院先 図5 他の医療機関への転院理由

33

(3)

症状の加療を担っていることが示唆される。

結 語

当科における認知症入院患者の動向を調査した。

調査結果より、当科は一般病院における精神科として、

身体合併症を有する急性期の認知症患者への対応が求め られていると考え、認知症に対して医療と福祉を交えた 包括的な対応が求められている昨今、医療の中でも、認 知症に対する各医療機関の機能を明確化・重点化するこ とが重要である。

文 献

1) 精神保健医療福祉の更なる改革に向けて. 厚生労働 省 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検 討会報告書.p.7, 2009.

2) 鵜飼克行, 水野 裕, 尾崎公彦, 関谷隆宏, 富田顕 旨, 伊藤隆夫:老人性認知症治療病棟における身体 合併症診療の現状と問題点. 老年精医誌 18:305 310, 2007.

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参照

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