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(1)

第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形  

鋼管柱とはり接合部および部分骨組   の荷重一変形関係解析   

(2)

−176一 第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析  

第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形銅管柱とはり接合部および部分骨組の荷重  

一変形関係解析   

5章の実験結果によると,本接合法では接合部にダイアフラムが無く,はりからの引張   り力により局部変形が生じることが分かった。また,この局部変形に村して適正な補強   を施すことで低減することができ,柱はり接合部としてダイアフラムを有する接合部と  

同等以上の性能を示すことも明らかとなった。但し,この局部変形量を正確に把握して  

おくことは,接合部の補強や骨組の設計に際し必要である。従って,ここではワンサイ   ド高カボルトを用いた柱はり接合部に閲し,接合部局部の引張荷重と引張方向面外変形   の関係を簡易に算定できるモデルを提案する。また,この方法を用い,接合部の局部変   形によるはり剛体回転変形とはり先端部の荷重との関係も予測する。  

6.1 計算モデルと仮定   

モデル設定に際しては以下の仮定を置き,局部荷重一局部変形等に関する算定式を誘  

導した(計算の詳細は,付録7箱ラーメン法に示す)。  

a)接合部局部に作用する荷重n,Pc及び変形8t,&は、図6.1.1に示すものとし,これ    らは下式のように,はり先端部の荷重Pbと局部変形によるはり剛体回転変形句に変   

換される。なお,図は特殊スプリットティフランジの剛性が大きい場合を模式的に措    いたものである。この剛性の違いによりパネルの範囲(高さ)は多いに影響を受ける    が,本研究ではパネルは5.3.3節(2)「計測方法」で仮定したものと同じとし,局部    変形は上下はりフランジ軸芯位置に集中するものと考える。  

・‥(6・I・1)  

・‥(6.1.2)  

Pb=nXhb/8=PcXhb/8  

句=8×(&+む)/(2hb)  

圧縮側は5.3節の図5.3.10(局部荷重一局部変形関係)によると圧縮変形は生じない   ので,&=0と置くことができ(6.1.2)式は(6.1.3)式となる。   

(3)

6.1計算モデルと仮定 −177−  

∂c=0   

図6.1.1荷重と変形に関する局部と全体の関係  

図6.1.2 荷重一変形関係モデル  

‥・(6.1.3)   

句=8×8t/(2hb)  

ここで,hb:はりフランジ中心間距離   8:はりクリア長さの1/2  

b)引張荷重(Pt)一変形(加力方向8t及び加力と直交方向8h)関係は,図6.1.2に示す    3折れ線を基本とした。各所れ曲がり点の特徴及び荷重と変形は以下の通り。   

■第1折れ曲がり点:ボルトの離間と鋼管の面外降伏のいずれか早く生じた点。  

81=PlXi(6・1・4)式,(6・1・5)式で誘導される剛憮   

(4)

ー178− 第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析  

Pl=MⅣ1(=・11)式と(6・1・12)式もしくは(6・1・10)式から導かれる荷劃   

■第2折れ曲がり点:ボルトの離間と鋼管の面外降伏のいずれか遅く生じた点。  

82=81+(P2−Pl)×怖1・6)式と(6・1・7)式または(6・1・8)式と  

(6.l.9)式で誘導される剛性‡  

P2=MAX眈1・8)式と(6・1・11)式もしくは(6・1・10)式から導かれる荷  

重i   

■第3折れ曲がり点:ボルトが破断した点。  

∂3=∂2+(P3−P2)×1(6・1・6)式と(6・1・7)式または(6・1・8)式と(6・1・9)  

式中ら導かれる剛性I   P3=(6・1・14)式  

c)荷重及び変形の算定は,実験結果によると鋼管のフランジ及びウェブ両面で荷重に    抵抗していることを考慮して,図6.1.3に示す箱ラーメンを考える。ここで,鋼管の   

アール部分は直線と仮定した。また,鋼管の面外変形に比べ特殊スプリットティ及び    高カボルトの軸変形は小さいので無視した。なお,ボルト頭部における柱鋼管の局    部変形についても,著者らの5章接合部局部の引張実験で,ボルト径M24に対し鋼    管厚(補強材の厚さも含む)が16mm以上であればボルトの局部変形は小さいとの    結果を基に考慮していない。以上,8t=88tと仮定したことになる。   

このモデルによると,引張荷重nと加力方向の変形8t及び加力と直交方向の変形8hの  

関係は,それぞれ(6.1.4)式,(6.1.5)式で求まる。なお,フランジのスプリットティ部   分は剛域とし,鋼管ウェブ面のプレート及びスプリットテイ(板厚30mmプレートと仮  

定)はその断申2次モーメントを(6・1・4)式と(6・1・5)式のⅠ2に加算した。  

3h(h−b)β2_6h(h−b)β2  

卓二h二・苦jb二轄  

3bβ   

Il   

8芦   ・・・(6.1.4)  

Ⅰ2  

t  

Il  

恥(h−b)L。2.R(β−1)b2  

〈和一b)−h〉    ・・・(6.1.5)   

8h=  

8EI2 ▲一「■  8EIl  

(5)
(6)

−180一 第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析   

ここで,Pt:引張荷重  

△n:引張荷重増分  

8t:加力方向の変形  

軋:加力方向と直交方向の変形  

E:ヤング係数(=206kN/mm2)  

h:鋼管径  

b:ボルト軸芯と鋼管ウェブとの距離   Il:鋼管フランジの断面2次モーメント  

Ⅰ2:鋼管ウェブの断面2次モーメント  

(鋼管のみの場合,Il=Ⅰ2=tC3×特殊スプリットティ幅×鋼管の有効幅/12)  

tc:鋼管の厚さ  

β=k/(1+k),k=Ⅰ2/Il  

d)ボルト離間後は荷重と変形が増分の形で釣り合うと仮定すると,ボルト離間後は剛   

域を無くした(6.1.6),(6.1.7)式で,また鋼管降伏後はフランジ中央に降伏ヒンジ    を設定して,(6.1.8),(6.1.9)式で表現できる。  

6h(h−b)β   3b(h−b)β2(去・去ト   

△Rb  

24E   ・・・(6.1.6)  

△8t=  

△印亘h−b)L。2. AR(β−1)b2  

〈2恥−bトh〉  

△&=  

8EI2  「■  8EIl  

・憲((h−b)β一項−1Xh−2b)   ・・・(6.1.7)  

A8t=函害・晋一字)  

ユも=   二  

‥・(6.1.8)  

‥・(6.1.9)   

ここで,△a:加力方向の変形増分  

△&:加力方向と直交方向の変形増分  

(7)

6.1計算モデルと仮定 −181−  

e)鋼管の材軸方向の有効幅は実験結果を鑑み,鋼管は特殊スプリットティ幅の2倍,   

アングルは実長とする。なお,この有効幅に関しては海原等が鋼管に外ダイアフラ    ムが1枚溶接されたモデルを対象に,鋼管長さが局部変形剛性に与える影響として    FEM解析を用いて検討している。解析結果によると,鋼管幅(B)と鋼管の半長(L)   

の比Lβが0.5を超えると局部変形剛性は収束している1)。本実験では鋼管幅B=   

300mmであるから,2L=300mmとなるが,本実験は鋼管軸方向に2本ボルトが用い    られており,2Lにこのボルト間隔150mmを考慮すると450mmとなる。これは特殊    スプリ)トティ幅(250mm)の2倍(500mm)にほぼ等しく,有効幅として妥当な  

値と言える。  

f)荷重の計算で,離間荷重は前節5.3.4(2)「荷重一変形関係」の(5.3.1)式と同様に,   

図6.1.4に示すモデルによりてこ反力を考慮すると下式で求まる。  

‥・(6.1.10)  

8s汐=α.nTb  

ここで,α.:図6・1・4に示す距離比  

n:鋼管フランジのボルト本数の1/2   T。:ボルト標準ボルト張力(=188kN)   

g)降伏耐力は,図6.l.3のモデルによれば鋼管中央部及び端部のそれぞれの曲げモーメ   

ントは(6.1.11),(6.1.12)式であるので,この曲げモーメントを鋼板(もしくはア    ングルを累加した際の)の全塑性曲げモーメント((6.1.13)式)に等しくおけば求   

まることになる。ここでは,簡便化のため両者の平均値を使用した。  

‥・(6.1.11)  

Mc=晋〈(h−bトh〉   ・‥(6.1.12)  

M叩=攣¢,・碧Ga,    ・‥(6.1.13)   

(8)

_182_ 第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析  

ここで,b:図6.1.3に示す寸法  

Lc:鋼管の有効長さ   La:アングルの長さ  

Gy:鋼管の降伏点  

Ga,:アングルの降伏点  

t。,ta:それぞれ,鋼管の板厚,アングルの板厚   h)最大耐力は,下式のようにボルトの破断耐力を基に決める0  

・‥(6.1.14)   

軋れ=2nT。  

ここで,T。‥ボルトの被断耐力(275kN/本)  

(9)

6.2 計算結果 一183−  

6.2 計算結果と考察  

(1)引張荷重一鋼管加力方向変形関係   

表6.2.1にボルトタイプ試験体16体について,また図6.2.1〜6.2.3には代表的な試験体  

の引張荷重一加力方向変形関係の計算値と実験値を比較して示す。なお,無禰強の試験   体3体(J12−190,J16−160,J16−190)に関しては,山成が半剛接合された角形鋼管柱・H  

形鋼梁骨組のFEM解析から導いた弾性剛性,降伏耐力,第2次剛性の各重回帰式2)−4)に   よる結果も示した。但し,この回帰式は柱にはりが溶接接合された場合を村象としたも   のであり,本ボルト接合の試験体に適用に際しては,回帰式におけるはりフランジ幅を   ボルト間隔に置き換えた。   

これら図表によると,ボルト離間荷重は,計算値が実験値よりも大きな値を示した。こ   れは主に,計算では鋼管アール部を考慮しておらずてこ反力を小さく評価したためと考   えられる。一方,降伏耐力に関しては,アングル等で補強されたものは計算値の方が実   験値よりも大きく,補強材の断面性能評価に検討の余地があることを示した。なお,そ  

表6.2.1実験値と計算値の比較  

(10)

−1糾一 第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析  

の他の試験体については,計算値は大略実験値を近似した。また,最大耐力に関しては,  

ボルト頭抜けした試験体(J12−190,J12−190H)以外は全てボルト破断で最大耐力が決まっ   ており,大半の試験体で計算値と実験値はほぼ一致した。   

以上のように各特性備については違いも認められるが,全体的な引張荷重一加力方向   変形関係について見ると,計算値は実験値を大略評価していると言える。   

(11)

6.2 計算結果 −185−  

Pt(kN)   Pt(kN)  

1200    1000   

800    600    400    200  

0  0 10 20 30 40 50 60  

J9−160−A19   0 10 20 30 40 50 60   J12−190−A12  

Pt(kN)  

Pt(kN)  

1200    1000    800    600    400    200  

0  

【  

0 10 20 30 40 50 60   J12−160−A12   0 10 20 30 40 50 60  

J9−190−A12  

Pt(kN)  

1200    1000    800    600    400    200  

0  0 10 20 30 40 50 60   J9−190−A12P  

図6.2.1荷重一加力方向変形関係(実験値と計算値の比較)   

(12)

_186一 第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析  

Pt(kN)   pt(kN)  

1200    1000   

800   

600    400   

200  

0   0 10 20 30 40 50 60  

J12−190−A12P   0 10 20 30 40 50 60  

J12−190  

Pt(kN)   

Pt(kN)  

O 10 20 30 40 50 60  0 10 20 30 40 50 60  

J16−160  

J16−190−A12  

Pt(kN)  

ざt  mm)   

0 10 20 30 40 50 60   J16−190  

図6.2.2 荷重一加力方向変形関係(実験値と計算値の比較)   

(13)

6.2 計算結果 −187−  

(2)引張荷重一銅管加力直交方向変形関係   

図6.2.3,6.2.4に引張荷重一加力方向と直交方向の変形関係の計算値と実験値を比較し   て示す。前項(1)と同様に,計算値は実験値をほぼ評価していると考えられる。  

Pt(kN)   Pt(kN)  

■●‥●・   

●  ●●●●■▲      ヨ._ ●●−◆▲  妄値  】        丁●  ●一●■●●●        実験値′ ‡】      】▼● ∃  ●●●●l  】   ‖      ? 

計   鴇    H 毒       ●1  i】 印(m叩)        ‖  

1200    1000    800    600    400    200   

一40    −30  −20    −10   0   0  

J9−190−A12   一40    −30  −20    −10    0  

J9−190−A19  

円(kN)  

円(kN)  

ー40    −30  −20    −10    0  

J12−160−A12  

一40    −30  −20    −10    0  

J9−190−A12P  

図6.2.3 荷重一加力直交方向変形関係(実験値と計算値の比較)   

(14)

−188一 第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析  

Pt(kN)   Pt(kN)  

1200    1000    800    600    400    200  

0  

ー40    −30  −20    −10    0  

J12−190−A12  

円(kN)  

−40    −30  −20    −10   0  

J16−190  

Pt(kN)  

−40    −30  −20    −10    0  

J12−190−A12P   −40    −30  −20    −10    0  

J16−190−A12  

円(kN)  

ー40    −30  −20    −10    0  

J16−160  

図6.2.4 荷重一加力直交方向変形関係(実験値と計算値の比較)   

(15)

6.2 計算結果 一189−  

(3)はり先端荷重一局部変形によるはり剛体回転変形関係   

全体骨組の荷重一局部変形によるはりの剛体変形関係に閲し,実験値と比較したもの  

を図6.2.5に示す。ここで用いた解析モデルでは,圧縮例の局部変形の有無にかかわらず,  

実験値に比べ大きな値を示した。この原因としては以下の3点が挙げられる。   

a)解析では圧縮側での局部変形を零と仮定しているが,実験では図5.3.10に示すよう   に圧縮側でも引張の局部変形が発生しており,これが実験でのはりの剛体回転変形   を減少させる。   

b)図5.3.12に示す,はりからの引張り力に対する鋼管単体(解析モデル)と実際の骨   

組と甲カロカ条件(加力方向)及び支持条件の差。   

c)局部引張荷重一変形関係の実験値と計算値との差異(図6.2.1〜6.2.3)   

これらは今後の課題であるが,本法はノーダイアフラム接合部の局部変形の評価に閲   し,一つの手段を与えるものと考えられる。  

Pb(kN)   Pb(kN)   

300    250    200   150    100  

50  

0  

_20  0    20 ざj(mm)  

F16LH   

Pb(kN)  

一20    0  20 ∂j(mm)  

Pb(kN)  

300    250   200    150   100   

50  

0  

300    250   200    150   100   

50  

0  

一20  0    20  40  60 ∂j(mm)  

F12A12   ー20  0    20 ∂j(mm)  

F16T  

図6.2.5 荷重一局部変形によるはり剛体回転変形関係(実験値と解析値の比較)   

(16)

ー190−第6章 ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷重一変形関係解析  

6.3 結   

ワンサイド高カボルトを用いたノーダイアフラム型の檻・はり接合部を村象に,主に   局部変形を解析的に明らかとすることを目的に検討を加えた。その結果,ここで提案し   た箱ラーメン法は接合部の局部変形を捕らえることが可能であり,それに伴うはりの剛   体回転変形もほぼ追跡可能であることが明らかとなった。   

(17)

参考文献 −19ト  

参考文献  

1)海原広幸,山成賓,小川厚治,黒羽啓明,渡辺純仁:角形鋼管柱梁接合部の局部変   形挙動に関する実験(単純化試験体の圧縮および引張実験),日本建築学会大会学術   講演梗概集(中国),pp.1617〜1618,1990年10月  

2)山成賓,川上和之:半剛接合された角形鋼管柱・H形鋼梁骨組の実験的研究(その   4 無補剛仕口をもつ直交骨組の有限要素解析),(その5 無禰剛柱梁仕口の弾性剛    性評価),日本建築学会大会学術講演梗概集(北海道),pp.497〜500,1995年8月   3)川上和之,山成賓:半剛接合された角形鋼管柱・H形鋼梁骨組の実験的研究(その  

6 無補剛仕口の降伏耐力評価),(その7 無補剛柱梁仕口の2次剛性評価),日本   

建築学会大会学術講演梗概集(近畿),pp.563〜566,1996年9月  

4)山成賓,川上和之:無補剛角形鋼管柱・H形鋼梁仕口の復元力特性に関する研究,   

銅棒造年次論文報告集,第4巻,pp.49〜56,1996年11月   

(18)

三∠ゝ   石岡   

第7章 結  

(19)

−194− 第7章 結論  

第7章 結  論  

7.1 結  論   

本研究では,角形鋼管柱とH形はりの接合法に閲し,兵庫県南部地震での震災を教訓   として,はり端部溶接部の応力低減,ならびにボルト接合化による溶接部の低減あるい   は除去を最終的な目標とし,以下の2つのテーマにつきそれら弾塑性性状を明らかにし  

た。  

a)水平ハンチ付はりと角形鋼管柱接合部の弾塑性性状  

b)ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部の弾塑性性状  

以下に,各章の主な研究成果の概要を示す。   

第1章「序論」では,我が国の鉄骨建物における歴史を概観し,柱の断面形がH形か  

ら日の字形を経て現在では箱形断面が主体であること,またこれらは建物の規模で2通   りに大別され,低層建物では冷間成形鋼管,また中・高層建物では溶接組立の箱形断面   が多用されていることを示した。そして,いずれもH形断面のはりと溶接接合され骨組   を形作っていることも示した。次に,これら鉄骨造建物と地震被害との関連を概観し,兵  

庫県南部地震によりその安全神話が崩壊したが,それは主に本研究の主たる対象である   角形鋼管柱とはり接合部の甚大な被害によるものであることを示した。そして,この柱  

はり接合部の構造性能を向上させるために2通りの方法を提示した。一つは,柱はり溶   接接合部の応力低減のためのはり端部水平ハンチ方式であり,他は溶接を極力低減した   高カボルト接合方式である。これらは,いずれも研究に着手したばかりであり,本研究   の必然性並びに目的を述べた。   

第2章「既往の研究」では,角形鋼管柱とはり接合部の構造性能改善を主たる目的と   した既往の研究に着目した。この観点から,スカラップの問題,はり端部の補強及びボ   ルト接合方式等をレビューした。スカラップでは,その形状改良やスカラップの除去(ノ  

ンスカラップ)の改善効果と結果のバラツキを述べた。また,はり端部の補強では主に   

(20)

7.1結論 −195−  

形状的観点から,縦,横スチフナプレートやハンチ方式,またカバープレート方式等を  

示した。また,逆にはり一般部を弱めた穴明はりフランジ方式やドッグボーン方式,等   も示した。更に,ボルト接合方式では,従来からのタップネジを利用したものから最近   のワンサイド高カボルトを用いた接合方式までを示した。また,各レビュー後に本研究  

との関連を述べた。   

第3章「水平ハンチ付はりと角形鋼管柱接合部の弾塑性性状」では,先ずはりせいと  

はりスパンの比が極端に短く曲げモーメント勾配の急な柱はり接合部を対象に,主にハ   ンチの長さをパラメータとした7体の試験体を用いた実験を実施した。この結果,ハン   チは柱の種類(冷開成形柱と溶接BOX柱)にかかわらずハンチの無い試験体に生じるス   カラップ近傍の亀裂の進展を抑え,塑性変形能力を高めることが可能であること,また   このハンチにははり一般部の応力を柱にスムーズ伝達するための長さや緩やかな角度が   必要であることを示した。そして,ハンチ付はりの破断現象を基に,ハンチ端部の有効  

幅や有効長さ(角度)を得る式を提案し,ハンチ長さ比Å(はりスパンの1/2に対するハ  

ンチ長さの比)が,ス=8.5%程度必要であることを推奨した。但し,この結果は,はり   せいとはりスパンの比が大きい,すなわち長スパンのはりに適用する場合過分なハンチ   長さを与える恐れがあった。従って,引き続き同様な規模の試験体6体を対象にはりせい  

とはりスパンの比を変化させた加力実験を行った。この結果,ハンチが長くなるとはり   端部の応力集中を緩和する傾向にあるが,変形能力が増加せず,中には低減するものも   あるとの結果を示した。これは既往の加藤の研究にも示されており,はり端部の破断防   止と,変形能力の向上から見た場合,ハンチには適正な長さがあることが示唆され,次   章の最適なハンチ長さ式の提案に至った。なお,・ハンチ付のはりの初期剛性はハンチ部   の変断面の断面性能を考慮することで,また降伏耐力は原はり(はり一般部)の全断面  

の断面性能を考慮することで評価可能であることを示した。但し,最大耐力に関しては,  

本試験体のように小さな幅厚比の部材を用いると,局部座屈耐力(最大耐力)計算値は  

実験値より低くなることがあることも示した。  

第4章「有効ハンチ長さに関する検討」  

ハンチ部に被断線を仮定したハンチ端部有効幅率の解析法は,3章の実験結果と良く対   

(21)

ー196一 第7章 結論  

応することを示した。また,この破断線を基に求めた被断ライン(Fライン)と部材の幅   厚比から決まる局部座屈耐力ライン(Lαライン,Lβライン)により,破壊の種別(破断   か局部座屈)及び最適なハンチ長さ算定式(4.4.1)を提案し,実験結果と良く合うこと   を示した。なお,この算定式によらずハンチ長さを設計する目安として,はりせいの30  

〜50%を推奨した。  

n s…・bh(B・bh)  

・・・(4.4.1)   

九。。邸=h叫=  

ここで,Å肋s,A叫:最適ハンチ長さ(はりせいとの比で表現した場合)  

第5章「ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の弾  

塑性性状」では,高カボルト接合されたノーダイアフラムの柱はり接合部を対象にした   2つの実験結果を示した。まず,柱はり接合部の柱左右の片側フランジ部分のみ取り出   した部分モデル試験体17体の引張実験では,本接合法のようにノーダイアフラムであっ   ても,以下に示すように接合部分の鋼管厚の増加ヤアングル等の補強により,十分実用  

化可能な接合部が期待できること,及びその断面選定の基準を示した。   

a)鋼管の幅厚比は19以下とすること。   

b)鋼管の幅厚比が19〜25の場合は,鋼管の厚さ以上のアングルで鋼管の四隅を補強  

すること。  

なお,いずれの場合も,ボルト間隔は極力離し,鋼管ウェブ側に寄せること。   

次にその接合部を有した骨組試験体5体の実験結果から,本ノーダイアフラム接合部で   ははりからの力に村して鋼管柱に局部変形が生じるが,それは引張り倒の局部変形のみ   で圧縮側にはほとんど圧縮局部変形が生じないこと,またこの局部変形ははり降伏時で   全体変形量の5〜20%を占めるが,上記a),b)により補強されたパネルの変形量が小  

さいこと等を明らかにした。そして,結果として本ワンサイド高カボルトを用いた柱・は   り接合部を有する骨組は,ダイアフラムを省いているにも拘わらず,従来の通しダイヤ   フラム形式の接合を有する骨組に比べ,初期剛性は同等,かつ耐力,変形性能に優れた  

性状を有することを示した。   

(22)

7.1結論 −197−   

第6章「ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部および部分骨組の荷  

重一変形関係解析」では,柱はり接合部分を四角の箱型のラーメンに置換し,引張り力の   みが作用するモデルを提案し,この方法が実験で得られた接合部の局部変形(加力方向,  

加力と直交方向ともに)並びに局部変形によるはりの剛体回転をほぼ評価できることを  

述べた。  

第7章「結論」では,第1章から第6章までの内容を捻括し,更に今後の課題につい  

て述べた。   

(23)

ー198一 第7章 結論  

7.2 今後の研究課題   

最後に,本研究成果を踏まえて,今後残された研究課題について以下に示す。  

7.2.1 水平ハンチ付はりと角形鋼管柱接合部   

(1)ハンチの最適長さを定めるため,破断線を基に解析を行った。但し,考慮した   破断線は2本でしかも直線である。本数はスカラップ底の亀裂を前提としたも   のであるが,破断線の形状については,実験結果によるとある程度はり材軸と   直交方向に進展した後ハンチ開始点に至っている。この亀裂の進展の仕方は破  

断耐力そのものに強く影響を及ぼすと考えられるがここでは無視した。傾斜し  

た破断線の耐力として,引張り耐力とせん断耐力の和としている。これら実際   と仮定との差異については,実験並びに詳細な解析を基に明らかにして行く必   要がある。   

(2)ハンチの有効幅率も上記と同様な解析を行っているが,基本的にはハンチ開始   点が降伏した時点での計算結果である。共同研究者が一部FEM解析等で若干   検討しているが,ハンチ部分が弾塑性状態に入ると有効ハンチ幅率は変動する  

とのことである。但し,以後の変動は降伏時点での値に大きく左右されるとの   結果となっており,この点で本研究は概ね良しとしたが,第(1)項の終局   状態を明らかにするためにも,塑性域でのハンチ部分の応力負担分布の推移を   明らかにしておくことは必要である。   

(3)上述のことはいずれも純鉄骨はりを想定した場合である。実際の建物にはこれ  

に床スラブが付加される。この床スラブははりの上フランジの変形を拘束し,  

これは下フランジの挙動にも影響を及ぼす。はりフランジの破断を防止し,変   形能力を保証するためには,この床スラブの影響に関して検証しておくことが   望まれる。  

7.2.2 ワンサイド高カボルトを用いた角形銅管柱とはり接合部   

(4)本研究では,柱とはりの接合のためのワンサイド高カボルト本数は4本と一定   である。本接合部を使用する範囲にもよるが,5階建て以上の建物や長スパン   を有する建物では,6本ないしは8本のボルトが必要となる。ボルト本数の増   

(24)

7.2 今後の課選 一199−  

加はボルトの継手効率の低下につながる。すなわち柱ウェブやはりフランジか   ら離れるに伴いボルトの効率は低下してくるので,この低下率を種々なボルト   配置に対応して求める必要がある。  

(5)本文でも示したように,ノーダイアフラムにおけるパネルゾーンは従来のダイ   アフラムを有するものと同様として検討を進めた。骨組の実験では,ノーダイ   アフラムの局部変形を抑えるためにパネルゾーンを補強し,全体骨組に対する   パネルゾーンの影響が小さなものを対象としたため,従来の仮定で何ら不都合   は生じなかった。但し,パネルゾーンの変形や耐力をより正確に定めるために   は,明確なパネルゾーンの設定が必要となる。なお,将来より軽度な補強で済   ます場合,従来のダイアフラムに代わり,はりフランジからの力がどのように   柱に伝達するか,その機構を明確にすることも必要である。  

(6)柱はり接合部の局部変形に閲し,箱ラーメンによる解析を行ったが,その解析   精度を高めるためには,以下の検討が必要である。  

a)本試験体鋼管フランジの引張力に対する抵抗の仕方。板としての2次元   の抵抗をいかに単純な線材に置換するか。  

b)アングル等の補強材と鋼管の抵抗割合もしくは抵抗の仕方(共同か独立  

か)。  

c)上記それぞれの有効幅(管軸方向有効抵抗長さ)。  

d)ボルト離間以後の材料定数(特に剛性)の設定の仕方。  

7.2.3 共通   

(7)角形鋼管柱とはり接合部の耐震性向上を目的に,水平ハンチ方式と,高カボル   ト接合方式の2通りの検討を行ったが,これらはそのひとつの解決策にすぎな   い。改良スカラップ方式,ノンスカラップ方式,カバープレート方式,鉛直リ  

ブ方式,等様々な要素技術がある。今後とも, これら技術の組み合わせも踏ま  

え,製作,施工,コスト等の観点から合理的な接合方式を目指すことが肝要で   ある。また,地震時の挙動は,静的な加カヤ一方向だけからの入力で定められ   るものではない。将来,動的かつ2方向入力等の立体振動の観点からの検討も   必要である。   

(25)

−200− 第7章 結論  

謝  辞   

本論文をまとめるに際しては,熊本大学教授三井宜之博士から終始にわたり懇切丁寧   なご指導を賜わりました。ここに感謝の意を表します。また,本論文の審査に当たりご   指導を賜わった熊本大学教授牧野雄二博士,小川厚治博士,小田勇博士,山尾敏孝博士  

ならびに熊本大学助教授越智健之博士に厚くお礼申し上げます。   

このように研究者としての道に漸くたどり着けたのは,思い起こせば20数年前,大学  

及び大学院時代に鉄骨研究の一端に触れさせて頂くと共に現在に至る道しるべを示して  

頂いた熊本大学名誉教授(現熊本工業大学教授)黒羽啓明博士,ならびに入社後,企業   研究者としての基本的素養を厳しく育成して頂いた鹿島技術研究所長遠山幸三博士によ   るものにほかなりません。ここに心よりお礼申し上げます。更には,その後二十数年に  

わたり上司として鉄骨関連の研究に閲し御指導頂くと共に本論文の基となる研究テーマ  

を担当する機会を与えて下さった鹿島技術研究所佐伯俊夫所次長,また,本研究を遂行   するに当たり,激励ならびにご配慮を頂いた同部長坪田張二博士,同グループ長五十嵐   克哉博士,更にはそれ以前は夢のような存在であった「博士」を現実のものとして,あ   るいはトライできるものとして認識させて頂いた同上席研究員青田正邦博士,かつそれ  

を自ら達成することで具体的な方針を示すと共に日々激励して頂いた同主管研究員福元  

敏之博士,各位に深く感謝いたします。また研究進行に際し,水平ハンチに関する研究   では,鹿島建設(株)設計・エンジニアリング本部深田良雄担当部長,ワンサイド高カ   ボルトの研究では新日本製錬(株)建材開発技術部永田匡宏マネジャー,同志村保美マ  

ネジャー,  同鉄鋼研究所田中浩史研究員,鹿島建設(株)設計・エンジニアリング本部  

富田昭夫担当部長には数多くの助言を頂きました。ここに感謝を敦します。また,ワン   サイド高カボルトの実験実施では鹿島建設技術研究所種山清司主任研究員(現(株)ア   ルテス)に御尽力頂きました。感謝致します。   

最後に,水平ハンチならびにワンサイド高カボルトの両テーマに閲し,常に正確でし   かも迅速に研究をサポートして頂いた同澤本佳和研究員に深く感謝致します。  

以上   

(26)

補遺 実設計への適用   

(27)

ー202一 補遺  

補遺 実設計への適用   

本構造システムの基本的設計概念は,以下に示す通りである。  

○弱はり強柱の考えを踏襲  

●はりの塑性変形能力を活用  

●柱と柱はり接合部はこれを保証する  

□柱は,はりの降伏先行とその最大耐力が実現可能な性能を保持する  

□柱はり接合部(はり端部)は,下記を満足する  

★水平ハンチ構法→局部座屈の先行と破断の防止  

★ワンサイド高カボルト接合法  

→局部変形の低減→適正な断面選定と補強  

→はりがその最大耐力を実現するまで接合ボルトを破断  

させない  

補遺1 水平ハンチ形式の適用   

阪神大震災を受け,著者が勤務する鹿島建設は1997度「耐震設計ガイド(案)」を作成   した。   

このガイドは,「RC構造」,「S・SRC構造」,「基礎構造」,及び「ピロティ構造」の4   項目を対象しており,いずれも鹿島独自に調査,検討した結果を具体的な設計法として   纏めたもので,今後鹿島の設計,施工工事全てに適用することになっている。この内容  

については2度にわたり新開発表を行い,1998年1月14日の日本経済新聞,1998年1月   19日,1999年4月5日の建設工業新聞,また1999年4月5日の建設通信新聞と建設産業   新聞で取り扱われた。この中で「S・SRC構造」に着目すると,ここでは柱脚と柱はり接   合部が村象となり,柱脚は基本的に保有耐力接合とすることが推奨されている。一方,柱   はり接合部は,骨組の塑性化・敵性化を保証するため,補遺図1のフローに従い,はり端   溶接部が破断しない断面を採用するよう薦められている。なお,本研究の成果概要を補   遺図2(表,裏)に示す社内外PRのためのリーフレットに纏め周知を図った。   

(28)

補遺 実設計への適用−203−  

はり端部は,下式を満足しなければならない。   

ここで,Mu:はり端部の最大曲げ耐力(♂B使   用,柱が銅管の場合,フランジ   のみとする)。  

Mp:はり全断面有効とした時の全塑   性曲げ耐力(♂y使用)。  

α:鋼材の降伏比に関する公称値と   実際の値のバラツキを考慮した   係数(下表)。  

β:はりの曲げモーメント勾配にか   かわる係数(=暫定的に1.1を   使用)。  

材種  SS400  SM490  SN400  SN490B   

α    1.25  1.15    1.15  1.15   

Mu≧αβMp?   補強の必要なし  

はり端部補強   

÷水平ハンチ方式  

本研究の成果  

■カバープレート方式   別途模討予定  

補遺図1 はり端部の補強フロー   

(29)

●204一 補遺  

補遺図2 水平ハンチ方式による角形鋼管柱とH形はりの合理的接合法  

PR用リーフレット(表)  

水平ハンチ方式による ia角形鋼管柱とH形はりの合理的接合法 KaTRi  

リーフレット  

99−5  HorizontalHaunched−BeanMethodforSteelBoxColumn−tO−H−Shaped−BeamComecdon  

鉄骨柱はり接合部の破断を防止し,変形能力を大幅に向上させます。   

兵庫県南部地震で,鉄骨構造物は大   きな被害を受けました。特に市場の大   半を占める通しダイアフラム型鋼管柱   とはりの溶接凝合部の被害は甚大でし   た。その原因の一つは,はり端部で   ウェブに十分な応力が伝達されず,フ   ランジに応力が集中し,溶接部やその   近傍が早期に破壊したと考えられ,早   急な対策が熱望されています。  

従来型(Conventionalconnection)  

■水平ハンチによりはり端部フランジ    の断面棟を増し,フランジに生じる    応力を低減しています。これはスカ   

ラップ近傍の大きな引張り力の発生    を押きえ,その部分の亀裂による脆    性的な破壊を防止します。また,変    形能力も大幅に向上します。   

■右図の通しダイアフラム形式の柱は    り手合部はもちろんのこと,内ダイ    アフラム形式の凝合部にも適用で    き,中低層から高層の鉄骨建物及び    CFT構造の建物まで広範囲に使用で   

きます。   

■当社の耐震対策として,鉄骨構造並    びにCFT構造の柱はり接合部の標準    仕様となっています。  

薪接合法(Newconnection)  

KAJLMAINST,TUTE  わせ先  

鹿島技術研究所志芸蓋  

19−1・Tobhakyu2・Chomo・Chofu・Shi・TokyoJ82・CO36・JAPANTobphono:(0424)85・1n4 〒1$2・a)36東京甜桐椚k−19−17a(0424)85・llll(大代i)資料・広報課   

(30)

補遺 実設計への適用−205−  

補遺図2 水平ハンチ方式による角形鋼管柱とH形はりの合理的接合法  

PR用リーフレット(裏)  

短スパン・(8/H=3.6)   長スパン(8/H=10)  

20   ヰ0   60   80  100  

ハンチ長さ比ん(%)    ハンチ長さ比ん(%)  

変形能力とハンチ長さ比の関係(Deformabi‡ityandhaunch)ength)   

上の図は当社が実施した実験結果の一部です。左の固から,ハンチ長さが短い(横軸で0はハンチ無しを示します)  

と破断し,長くなると破断せず変形能力が増加することが分かります。しかし,右図のようにハンチ長さ比がある程度   以上大きくなると変形能力はあまり増加しません。これは,既往の研究(加藤式)でも指摘されています。これらより,  

ハンチは,はり端部の破断を防止するだけの長さがあれば十分なことが分かります。  

ハンチ長さ   ハンチ長さ比  

=軋/H  

はりせい  

∫ハンチは以下に従って設計して下さい。  

(a)ハンチ付きはりの最大耐力如max)は,局部座屈耐   

力上昇率(s)と全塑性モーメント(Mp)から(1)式で   

求めます。  

(b)ハンチ端部は,(2)式のハンチ端部曲げモーメント   

(M。nd)に対して,弾性状態にとどまる幅とします。  

(c)ハンチ端部の幅厚比は鋼構造設計規準を満たすように   

します。   

+最適なハンチ長さ   

最適なハンチ長さは,はりせいとの比でみるとうまく   表現できます。右図はハンチ長さ此に応じたはりの最大   耐力(破断耐力,局部座屈耐力)の変化を示していま   す。ハンチによるはり端部の破断を防止するためには,  

はりを局部座屈させることが必要で,ハンチは紫色の範   囲にあれば良好な変形能力が期待できます。以下に最適   なハンチ長さの範囲を示します。また,これら僅の中間   的な借として(3)式を用いることも便法です。  

Mmax=SXMp(1)   

SS400の場合  

喜=・響+0・7硯    SM490の場合  

さ=響・響・0・7730   む=島×㈲2  

‰=孟囁2   Mふ。=吐 く2)   

l璃  

H8 ︻亡 B d b  

クリアスパンの  

:ヤング係数  

:はり幅  

:ウェブクリア纂  

:はり幅の1/2   bh:ハンチ拡幅長さ  

¢〆:フランジの  

¢扉:ウェブの降伏点  

フランジ厚   ウェブす  

入叫:破断耐力が始  

なる時の長   最大耐力  

;し:局恕座屈がハン   起こりはじめる時の  

ん一<入坤<k  

晶=  (3,叫  

なお,設計の初期値として以下が推奨されます0   0  

●ハンチ長さ=はりせい×(30、50%)   

山人叫人血   ハンチ長さ比   最適ハンチ領域   timumzoneforhaunch]en  

一体製作塑とリブ溶接型があり   ≡   ます。ブラケット方式や現場溶接   方式(ロール形鋼)に応じて使い   分けて下さい。  

一体製作型(Cutouttype) リブ溶接型(Weldedplatetype)  

(9鹿島建設株式会社1朔軸月30日 禁無断艦載   

(31)

−206− 補遺  

補遺2 ワンサイド高カボルトを用いた柱はり接合法   

本接合法に関しては,2年の開発研究を終え,その成果概要を補遺図3(表,・裏)に示   す社内外PRのためのリーフレットに纏め周知を図った。また補遺図4〜6には,鋼管断   面補強法,局部変形の評価法並びに設計概要(抜粋)を示す。  

補遺図3 ワンサイド高カボルトを用いた柱はり接合法PR用リーフレット(表)  

中法  

り ̄フレット NEWCONSTRUCTIONMETHODFORLOWANDMEDIUM−RISESTEELBUILDINGS 97・3  

USINGHIGH−STRENGTH.BLⅡⅧ)BOIJS  

背景鱒ACKGROmD)   

近年の地震で、鉄骨構造物は被害   を受けました。特に市場の大半を占   める通しダイアフラム型鋼管柱の溶   接接合部の被害は甚大でした。その   原因の一つに溶接の集中と溶接熱に  

よる材の劣化が上げられ、溶接の低   減が熱望されています。   

ここでは、特殊な高カボルトによ   り、従来不可能だった鋼管巷とはり   のボルト接合を実現し、問題の解決   を図りました。  

特長押印mSANDADVANTAGES)  

成形鋼管の裁とH形はりをスプリ 角鋼管柱   ットティを介して、ワンサイド高力  

ボルトで接合します。溶接が少なく   以下の特長があります。  

■蔵合部の耐震性向上   

○溶接熱の影響が低減   

○従来仕口より優れた構造性能  

■製作コストの低減   

○柱の切断・再溶接が不要   

○複雑な落差がない   

○切削・小物加工の大幅な低減   1製作・建方工期の短縮   

○少ない溶接と加工量   

○はり塑がなく部材運搬が効率的  

○工事場ボルト凄合  

■省力化   

○少ない加工量   

○高度な溶接技術者の依存度低減   

○溶凝検査の簡略化  

H形はり   アングル(必要に応  

新接合法卵EWCONNECTION)  

お問合わせ先:  

総務部   資料・広報課   

鹿島技術研究所   

〒182 東京都調布市飛田給2−19・lTEL(0424)85−111l  

(32)

補遺 実設計への適用一207−  

補遺図3 ワンサイド高カボルトを用いた柱はり接合法PR用リーフレット(裏)  

ワンサイドボルト(ⅢGH⊥STRENGTHBLmBO叩   

従来の高カボルト軸部に、ス   リープと呼ばれるパイプ状のも   のが付加され、この一部が、ナ   ットの締付けに応じ自動的につ   ぶれ、ボルト頭部を形成しま   す。   

現段階では、強度F8T、ボル   ト径M20、24、27の3種類が製   造されています。   

メーカーは米国のハック社   で、日本では新日銭が実施権を  

持っています。   締め付け後  

構造性能(STRUCTURAL陀肝ORMANCE)  

P   構造実験により優れた構造性(kN)  

能を確認しました。   

骨組の荷重と変形の関係に閲   し、通しダイアフラムを持つ従   来型と比較しています。   

考案の接合部は、鋼管の厚さ   を増す鋼管増厚型と、銅管を厚   くする代わりにアングルで補強   するアングル補強型です。   

いずれも従来型より耐力・変   形性能が上昇し、優れた構造性   能を有してます。   

0   50   100   150 ∂(mm)  

重一変形関係(LOADANDDEFLECTIONCURVES)  

製作コスト(払BR王CAⅢONCOST)   

9階建ての事務所ビルを対象   に製作コストを比戟しました。   

考案工法は、従来型よりも数  

%〜10%程度コストダウンとな   っています。また、これらは複   雑な溶接がなく、将来新しい鉄   骨製作システム(例えばノンフ   ァブ化)等を採用することで、  

さらなる大幅なコストダウンが   期待されます。  

100%  

⑥鹿島建設株式会社1997年6月苅ヨ 崇無斬転載   

(33)

_208一 補遺  

補遺図4 鋼管断面補強法   

木工法は.構造的には通しダイヤフラムを省いた点に特徴   がある。このため.はりから伝わる力により銅管が変形しや   すくなり,建物全体としての剛性が確保できなくなる恐れが   ある。これを防ぐため,銅管の厚さを増したり柱の周囲をア   ンクルで補強したりする必要が生じてくる。   

実験では,径300mm,厚さ†2mm(幅厚比25)の銅管を中   心に,銅管厚,ボルト間隔,補強アンクル厚等を変化させた   17体の試験体を対象に加力を行い,その引張性状を把握し  

比較のため    図5に実験結果の荷重変形関係の一例を示すが,鋼管の幅   厚比を小さくすることで,初期剛性が増加できることが分か   る。   

これら荷重一変形関係と既往の実用化された同種の実験結   果を踏まえ,実用可能な銅管断面等選定の目安として,図6   に示す断面構成を得た。  

注記)*薪日銭は,鋼管径ロー500の5体の試験体を対象に同   種の実験を実施し,径が多きい場合Cコラムタイプの   補強が有効なことを明らかとした(関連資料11)。  

固4 試験体形状  

技術研究所  

補遺図5 局部変形評価法   

ここでは.柱はり接合部の局部変形を定暮的に評価することを   目的に以下のような解析を行った。  

1)銅管を線材置換し,箱型のラーメンにモデル化する。  

2)局部変形を.引張倒,圧縮側に分け,それぞれ3ないし2折    れ線を仮定する(園10)。  

3)この局部変形は,図1†のように,はりが剛体回転するとして    はり先端部の変形に置換する。  

計算結果を実験結果と比較して図12,13に示す。図より,両者   は必ずしも一致していないが,本解析法により局部変形を安全側   に評価することができると言える。  

図11はり接合部変形モデル  

P(kN)  

1020304050 0102030∂(mm)  

J12−190−A12   J16−190   国12 引張荷重一引張方向変形関係  

 ̄40   ̄40 

銅管品型(㌶芸)ァン㌶レ桐蓑F,忍研)  

図13 荷重一局部変形関係   WC(圧縮側)  

図10 局部荷重一変形モデル  

董術研究所   

(34)

神道 実設計への適用一209一  

補遺図6 設計法  

園   

ワンサイド高カボルトを用いた角形鋼管柱とはり接合部の開   発を目的に,柱はり接合部の認分モデル引張実験,及び十字形   部分骨組実験を実施した。また、これと並行して骨組製作コス  

トに関する若干の積討も行った。これらの検討結果を以下に示   す。   

1)考案の接合部は,銅管幅厚比を小さくすることやアングル    で補強することで、従来の通しダイアフラム型と同等以上の    性能を発揮できる。  

本接合部を有する骨組設計のガイドラインは右の通り。   

2〉板厚の増加や補強部材の追加は,鋼材★の増加にはなる    が,製作・加工tや溶接十等の大幅な低減により,本接合法    は従来型と同等以上のコスト競争力を有する。  

技術研究所   

(35)

記号・付録・発表論文・論文要旨等   

(36)

ー212一 記号・付録・発表論文・論文要旨等  

記  号  

記号は,主記号に以下に示す規則にしたがって添字を加えるものとする。  

(1)主な記号  

A   :断面積   B(b)   :幅   D(d)   :径,せい   E   :ヤング係数   G   :せん断弾性係数  

H(h)   :高さ  

Ⅰ   :断面2次モーメント  

K   :剛性  

L(8):長さ,スパン長さ,材長  

M   :モーメント  

N   :軸力  

P   :荷重  

q   :せん断力  

R   :部材角  

T   :引張り力  

t   :板厚  

Y   :降伏此  

γ   :せん断変形角,せん断ひずみ度  

∂   :変形  

∈   :ひずみ度  

β   :角度  

♂   :垂直応力度  

丁   :せん断応力度  

(2)前添字は,実験,計算の区別をする。  

e   :実験値  

c   :計算値  

(3)後添字は,部材,部分,性質を表わすものとする。  

b   :はり  

bol    :高カボルト   

(37)

記号 −213−  

c   :柱,圧縮型  

d   :ダイアフラム  

e   :はり端部  

f   :フランジ   h   :ハンチ部分  

p   :仕口パネル,仝塑性  

r   :添え板  

s   :鋼,スプリットティ  

t   :引張型   w   :ウェブ  

y   :降伏  

(4)個別記号  

Ab   Abw   Aw   As   Abr   Ar  

:はりの断面積  

:はりウェブの断面積  

:同上  

:同上  

:はり片側フランジの断面積  

:同上  

:柱の断面積  

:柱ウェブの断面積  

:柱フランジの断面積  

:パネルウェブの断面積  

:パネルフランジの断面積  

:高カボルトの軸断面積  

:スプリットティウェブの断面積  

:溶着金属部ののど厚  

:原はりのフランジ幅  

:ボルト軸芯と鋼管ウェブ芯との距離  

:原はりのフランジ半幅  

:ハンチ端部の原幅を除く部分で,はりからの応力を負担する部分の半幅  

:ハンチ端部の原幅を除く部分の半幅  

:ウェブの曲げモーメント負担長さを求める時の係数  

:鋼管せい  

:ウェブクリア高さ  

:ヤング係数(=206kN/mm2)  

:ひずみ硬化係数   

W  hW  んACAf毎A a B b b be  

bh  

Cl,C2,C3  

D  

d    E   

Est  

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