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銅の精製電解におけるソウ電圧に関する研究(第2報)

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(1)

銅の精製電解におけるソウ電圧に関する研究(第2報)

一 ソウ電圧への銅電解液の影響*一

夫**

(昭和45年9月30日受理)

Investigation on Cell Voltage of Copper Electrorefining (part 2)

       一 Effect of Copper Electrolyte on Cell Voltage 一

Tadao OsAFuNE

(Received September 30, 1970)

 The following results for a electrolytic refining of copper were obtained from study of the dependence of the conductivity of electrolyte containing copper and sulfuric acid upon the cell voltage.

 1) The conductivity increased with the increase of concentration of copper or sulfuric acid.

 2)The conductivity of electrolyte containing 180gノ/sulfuric acid decreased with the increase of con−

  centration of copper up to about 90g/e and reached at the constant value.

 3) The cell volt2ge was found to decrease with increase of concentration of copper at the constant con−

  centration of sulfuric acid(150g/のand to reach the minimum value of O.275 volt at the copper con−

  centration of 50g/e .

 4) Also, the decrease of O.005NO.OIO volt in cell voltage was brought by each addition of 10g/e sulfuric   acid at the constant concentration of copper (50g/e).

1 緒

 金属の電解精製において,そのソウ電圧を下げることは 電解コスト低減の上から重要であるが,前回に述べたよう に,この電圧に影響する因子として,特に,電解液による オーム損が挙げられる。その結果によると,通常の電解条 件下(陰極電流密度2A/dm2前後)では,ソウ電圧申に 占めるfi 一ム損は約50〜6e%である。

 一般に我が国の銅製錬コストが欧米のそれに比べて,か なり高いのは,電力事情の違いにもよるが,このソウ電圧 が高いからである。現在採用されている電流密度は各製錬 所により幅があるので,その結果当然ソウ電圧にもかなり の違いがあるが,欧米では平均の陰極電流密度,1・84A/

dm2に対して,平均のソウ電圧は0・221Vであり,我国で

は1・88A./dm2に対 して0・334Vである!)・2)・3)。

 この理由の一つに陽極陰極間の距離の差(欧米で平均,

51 3mm,日本57・5mm)1)・2)・3)が挙げられる。近年転炉粗 銅の精製により品質が向上し,この距離はかなりせばめら れるようになった。

 更にソウ電圧を下げる方向として,上記極間距離の短縮 の外,電解液温を上げること,電解液の遊離酸の濃度を上 げること,又銅濃度の調整を行なうことなどが考えられる。

 本研究では,この観点にたって,電解精製の主な要因で ある電解液温,遊離硫酸濃度および銅濃度が,ソウ電圧に どのように影響を及ぼすかを定量的に調べた。又これら電 解液組成の変化が導電率に及ぼす影響について調べ,一応 の傾向を得たので報告する。

2 実験装置と方法 x電気化学協会第37回大会学術講演会で発表

  於東京昭和45年5月 aCX金属工学科

S5 一

2,1 電導度測定

測定に供した溶液は,市Wt一一級試薬硫酸銅と濃硫酸を用

(2)

いた。電導度計は東亜電波工業製の数字式電導度計,CM

−1DBを用いた。目盛範囲1〜106μU/cm,検出用セルは ガラス製投入型,極は白金黒,温度補償5〜45。C手動セル コンスタント,1/cm(標準)。測定液温は40。C一定とし て,セルを被検液に入れて約10分後の値を測定とした。恒 温槽は大洋科学工業製,サーモミンダ(温度精度±0・2。C

〜±0.5。C,最高使用温度80。C)を用いた。

 2.2 電解装置

 電解ソウは300CCのビーカーを用い,陽極および陰極は 99・9% Cuの銅板(60×40xO・5mm)で,電解有効面積は 20cm2,陰極電流密度は2A/dm2,陽陰極間距離iは50mm とした。電解液は上記硫酸鋼と濃硫酸をそれぞれの割合に 配合して水溶液とした。電解液を恒温とするため上記サー モミンダの恒温水中に電解ソウを入れ,一定時間間隔で液 の循環を行なった。電源は100V交流電源から定電圧装置

(岩崎通)により電圧の変動をおさえ,シリコン整流器で 整流した。ソウ電圧測定は島津製0・5級直流電圧計によっ た。又記録計は東亜電波工業rv EPR 一 2 TC型を用いた。

 2.3 電解操作

 各条件毎に電解液を調整し,電極板も取り替えた。一回 の電解時間を60分とし,アノードスライムの影響をできる 限り避けた。製錬所での銅電解操業では電着状態を良好に するため,ニカワ等の添加剤を少量入れるが,本実験では 電解液の主成分についてのみの影響を検討するため,これ は使用していない。測定は電解の進行にともなって電圧が 当然変化するので,通電開始直後から記録計により,その 変動を調べた。尚データとしては,後述の如く通電開始 10分後,30分後,60分後の測定値を示した。

 本実験装置の導体抵抗による電圧降下を極力避けるため 測定に必要な導体は最少限とし,又導体接触による電圧降 下も極力おさえた。しかし計算値として両者を合わせて,

約O・004ボルト以下の降下は避けられなかった。

3 結果および考察

 3.1 電解液の比電導度

 電解液の比電導度測定を行なう前に,純水(0・010×104 鰐/cm)中の銅イオン濃度の変化と,比電導度との関係 を求めた。予測されるように銅濃度の増加に伴って,液中 の銅イオンが増し,比電導度は大きくなる。その結果を Fig・1に示す。

 銅濃度の増加と共に比電導度は単調に増加するが,増加 の度合は下っていく。

 これは次第にイオンの解離が減少するか,又は摩擦の増 加,イオン間引力が大となることなど4)に起因するのであ ろう。

︵§こ言F×﹀孟ξ暑=8

      80 100       Copper(g /!・)

Fig.1 Relationship between conductivity and copper    concentration in pure water.

次に純水中の硫酸濃度についても上と同様の測定を行な った。その結果をFig・2に示す。

98765432

︵§\︒膏F×︶﹀だ≧§で⊂︒o

f一/

o一一x

o  loo 120 14e 160 rmto 200      Free H2SO4(g/e>

Fig.2 Relationship between conductivity and free    H2 SO4 concentration in pure water.

 この場合も硫酸濃度の増加に伴って水素イオンが増し,

比電導度は増加する。Fig・1に示すように電導度の上昇率 が押えられはじめる銅濃度SO 9/eの液に,濃硫酸を100

9/eからはじめて,109/e増の割合で2SO 9/6まで添 加していった場合の比電導度をFig・3に示す。

      ヂド︵§蓄き門×︶﹀↑Σ§u⊆︒o

         [40 ]60 180 200 220 240 260 280

      Free H2SO4(g/e)

Fig.3 Relationship between conductivity and free    H2 SO4 concentration in CuSO4 solution.

(3)

銅の精製電解におけるソウ電圧に関する研究(第2報) 長 船

 この場合,比電導度は単調に増加して,100 9/!から 1909/e位までは,ほぼ直線的に増すが,2009/e以上 からは,その上昇度が下っていく。

 更に上の結果から硫酸の増加が導電率上昇におよぼす効 果の最大の濃度,硫tw1SO 9/eの液に硫酸銅を添加して,

銅濃度を109/eの割で増していくと,Fig・4が示すよう

7       6       5       4       ﹂

︵§\︒者r×︶﹀茎§℃⊂︒o

    x

        S H一一〇一一一

      2

       10 Lto 30 ao F,i: 60 70 sc o.o ]ci J 1[o

       Copper(g /e)

Fig,4 Relationship between conductivity and copper    concentration in H2 SO4 solution.

に比電導度は減少し,90〜IOO 9/4位からほぼ一定値を示

す。

 導電率減少の理由は5),これら強電解質溶液の場合,

Debye, HUckel,さらにOnsagerらにより完成された,

第2次電離説により説明される。即ち溶液は完全に電離し ており,イオン数は不変であるが,CuSO4濃度の増加に 伴って,電気泳動効果,緩衝効果により,イオンの移動速 度を減少させることSなるためと考えられる。

 以上4つの実験結果を総括すると,単一の溶質の場合は 濃度の増加と共に比電導度は増加するが,溶液中,硫酸銅 と遊離酸が共存すると,硫酸銅濃度が小さくて遊離硫酸濃 度が大きい程電導度は増すと云える。これを銅の精製電解 について考えた場合,ソウ電圧に大きく影響をおよぼす液 抵抗を小さくするには,銅濃度を小さくして,硫酸濃度を 高めればよいことになるが,この結果濃度分極による過電 圧の増加,更に電着状態の悪化をもたらすため,そのかね あいを充分考慮せねばならない。

 3.2ソウ電圧の液温による変化

 電解温度は電解ソウの材質の問題や,作業環境などの問 題もからみ,単にソウ電圧の低下だけの観点から取り上げ

ることはできない。

 液温を上げれば当然浴抵抗は減少するが反面,加熱電力 又は燃料の増加もあるので,単に温度とソウ電圧との関連 だけではいけない。

 この実験では浴抵抗に及ぼす浴温の影響という点にしぼ って実験を行なった。その結果をFig・5に示す。

04

03

︵﹀︶a≦︒﹀

02

=ΦO

O.1

x.XXS

    0

      40 45 50 55 60

      Temperature of e[ectrolyte(℃)

F{ff 5 Cell voltage change vs. temperature    of electrolyte.

 本実験の電解条件は,浴組成として銅濃度509/6,遊 離硫酸濃度1SO 9/6,陰極電流密度2A/dm2,陽陰極澗距 離,50mmとし,液温は40。Cから始めて60。Cまで測定 した。この結果,平均すると,1。C上昇する毎に,約O・004V ずつソウ電圧は減少した。

 温度上昇に伴うソウ電圧の低下は,主として浴抵抗の減 少に依るものと考えられるが6),同時に液の対流応益が活 発となり,銅濃度分布を均一化するために過電圧を下げる

ことも考えられる。

 実際操業に於て,60。Cを越す液温では,蒸発も激しく 環境の面でも問題がでるであろうことは,前述の通りであ

る。前項の比電導度測定は一定温度での結果であるが,更 に温度による変化も詳しく調べる必要があろう。

 3.3 ソウ電圧の銅濃度による変化

 電解条件は上記と同じく2A/dm2,陽陰極間距離50mm 液温50。Cで行ない,液組成は,遊離硫SW ISO 9/eで銅濃 度を209/4からはじめて,109/6増の割で70g/6ま で増した。測定は通電開始時,30分後,60分後について行 なった。その結果をFig・6に示す。

O. 30

α25

︵﹀︶畠g一〇﹀=ΦO

\曝

be−b start

.一. 30min.

一一一. 60 mtn.

      e. 20

        20 30 40 50 60 70          Copper concentration〈g/ e )

Fig,6 Cell voltage change vs. copper concentration    in H2 SO4 solution (150 Y/e) at 500C.

(4)

 銅濃度の増加に伴ってソウ電圧は減少するが,約SO 9/.E7 で最小値を示し,更に増すと逆にソウ電圧は増加する。精 製電解において,その液中の金属イオン濃度は電着状態に 大きく影響するので,これをある程度高めてやれば,たと え高電流密度電解でも,さほど電着状態は悪化しない。濃 度がうすいと液抵抗にも影響し,さらに濃度分布の差も大 きくなり過電圧を増すことは,前述の通りであるが,上の 実験結果によれば,銅濃度の増加に伴って,ソウ電圧が減 少しているのは,Fig・4に示したように,液抵抗を増すこ とによるソウ電圧の上昇よりも,過電圧の減少による効果 の方が大きい為と考えられる。

 しかし銅SO 9/e位からは電導度測定の結果にもみられ たごとく,液抵抗の増加による影響の方が,ソウ電圧に大 きく効いて,全体として電圧が上るのであろう。この点に ついては更に,陽極および陰極の電解時の過電圧を測定す れば,銅濃度のソウ電圧に及ぼす度合が更にはっきりとつ かめるものと考えられる。

 3.4 ソウ電圧の硫酸濃度による変化

 比電導度測定の結果と比較するために,凹田銅濃度を,

sog/6とし,硫酸濃度を140g/eからはじめて, log/e 増の割合で200g/eまで増していき,その後20g/6の割 で2SO 9/2まで増した場合のソウ電圧を測定した。電解条 件は3・2の場合と同じとし,液温は50。C一定とした。

 その結果をTable 1とFig・7に示した。

Table.1 Cell voltage change vs. H2 SO4 concentration     in CuSO4 solution.

Cell voltage (V)

e. 30

25 0

︵﹀︶の腎ご︒>=ΦO

e. 20

    Xq−se

      x

140 ]60 [80 2eO 220 240 260 280  Free卜12SOA ooncentration(g/e)

Fig,7 Cell voltage change vs. free H2 SO4    concentration in CuSO4 solution at 500C.

Free H2SO4 9 /e

140 150 160 170 180 190 200 220 240 260 280

10min

O.280 0.275 0.270 0.265 0.257 0.242 0.231 0.226 0.219 0.211 0.204

30min

O.280 0.277 0.271 0.265 0.258 0.243 0.232 0.228 0.220 0.214 0.206

Table 1信通電開始10分後,30分後の測定を・Fig・7には・

60分後の測定を示した。

 硫酸濃度が増すにつれて,ソウ電圧の減少がみられる。

これは前述の電導度測定の結果を裏付けるものであろう。

硫酸濃度は,はじめの180〜1gog/e位まではソウ電圧の

低下にかなり大きく影響するが,200 9/6を越すあたりか ら,その影響力は押えられることがわかる。

 以上,遊離硫酸および銅濃度の変化によるソウ電圧の測 定の結果,硫酸は1220〜2409/eぐらいまでは,ソウ電圧 の低下に効果的であるが,更に高濃度にすると,逆に分極 を高めビスマスなどの不純物を電着させやすくなる7)。

 一方銅濃度は609/e位が上限ではなかろうかと思われ

る。

 3.5 電圧収支8)

 ソウ電圧中に占めるオーム損の割合を求めた。電解条件 は2A/dm2,極間距離50mm,液温50。C,液中遊離硫酸 濃度をISO 9/4一定として銅濃度の変化に対する比電導度 を測定した。測定値は前掲Fig・4に示す通りである。この 測定値からオーム損を算出した。又ソウ電圧の値は,上記 電解条件による電解時の測定値である。その結果をFig・8

に示す。

O.4

3 0

2

0︐

︵﹀︶㊤器↑一︒﹀

e. 1

      う   ア       CopPer concentration(g/e)

Fig.8 Voltage balances under operations.

   electrode distance;50mm, at 50。C    free H2 SO4;1809/2 cathodic    current density;2A/dm2    a;cell voltage

   b;ohmic loss

(5)

銅の精製電解におけるソウ電圧に関する研究(第2報) 長 船

 銅濃度の上昇につれて,オーム損の占める比率が増すの は,液抵抗が増し一方,過電圧の減少の為ソウ電圧が下る ためと考えられる。過電圧と銅濃度との関係は更に測定を 行なう必要があるが,銅濃度がSO 9/eを越すあたりから は過電圧の減少があまり顕著でないためにその比率に大き な増加がないものと考えられる。

 総括して,オーム損による電圧損失が,かなり大きく液 抵抗の減少については,更に多角的に検討せねばならな

い。

4 結

5)電解液温を1。C上昇さす毎に,ソウ電圧は平均O・004V  減少した。

6)遊離硫酸lso g/6一定の電解液に銅濃度を増した場  合,ソウ電圧は比例的に減少し約SO 9/eで最小値を示  した。更に銅濃度を増すと,逆に上昇した。

7)銅濃度509/6一定の液に遊離硫酸を加えると,ソウ  電圧は順次減少した。

8) ソウ電圧中に占める71 一一ム損の比率を低下させる場  合,電解液中の銅および硫酸濃度の適正条件を検討し

 た。

 銅電解精製においてその消費電力に大きく影響するソウ 電圧に及ぼす2〜3の要因について,その関係を調べた。

 まず電解液の一般に採用されている濃度範囲について,

比電導度を測定し,次に電解液温,銅濃度および遊離硫酸 濃度等とソウ電圧との関係を検討して次の結果を得た。

1) 純水中では銅濃度の増加に伴って比電導度は単調に増  加した。

2) 純水中で硫酸濃度を増した場合,電導度は比例的に増  加した。

3) 銅濃度509/4の水溶液に遊離硫酸を順次増した場合  比電導度は増加した。

4) 硫酸濃度1SO 9/6一定の液に,銅濃度を増した場合,

 比電導度は減少していき,909/4位からほs 一定とな  つた。

︶︶︶−西9向9U︶︶︶678

電気化学協会緒電気化学便覧 新版959(1964)丸善

Butts,A.,  Copper  (1954)

日鉱協会鼓術資料ec銅製錬操業成績  ee製en討議資料  (昭和36年)

4) 田島 栄 電気化学通論改訂版189(1969)共立 5)岩瀬栄一 電気化学序説77(1966)東京電機大学出  版局

  吉沢四郎他      電気化学37,823(1969)

電気化学協会編電気化学便覧新版960(1964)丸善 吉沢四郎他,電気化学37,824(1969)

一49一

参照

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