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確 実性下 お よび不 確実性下 に お け る貨 幣 の 非 投 機 的 需 要

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89

確 実性下 お よび不 確実性下 に お け る貨 幣 の 非 投 機 的 需 要

漆 崎 健 治

1序

ミク ロ ・マ ク ロを 問 わず,経 済 理 論 に お い て 貨 幣需 要 理 論 の 占め る位 置 は,と くに ケ イ ンズ 以後 非 常 に 高 い こ とは改 め て い うまで もな い。 しか し, ケ イ ン ズが 貨 幣需 要 を,所 得 に依 存 す る部 分 と 利 子 率 に依 存 す る 部 分 との 二 つ に 区 別 した こ とは,か れ が数 量 説 に お い て批 判 した,取 引需 要 の単 純 な 機 械 的 取 扱 い と所 得 の 変化 に対 す る比 例 的 関連 を,再 び もち込 む こ とに な っ た。 そ の 後,ハ ン セ ソな どに よ り,こ の取 引需 要 が と くに 高 い利 子 率 水 準 の も とで は,経 験 上 利 子 率 に対 して 弾 力的 で あ る と主 張 され は じめ た 。 この よ うな批 判 を受 け て,貨 幣 へ の 取 引需 要 を,経 済 主 体 の 合理 的 な あ る種 の資産 選 択 を 反 映す る もの と して扱 う考 え 方 は,ボ ー モ ル お よび トー ビンに よって 別個 に な され た 〔文献1お よび2〕。 そ こで は 費 用 極小(あ るいは利潤極大)を 計 る経 済 主 体 の貨 幣 保 有 ビヘ イビアが 「在庫 理 論 」 を 用 い て 分析 され て い る。

取 引 貨 幣残 高 が 「在 庫 」 に 類 似 す る性 質 を もつ こ とに 注 目 し,そ れ を資 本 と して取 扱 い,機 会 費用 の観 点 か ら貨 幣 の取 引需 要 を分 析 しよ うとす るかれ ら の 試 み は,取 引貨 幣 需 要 理 論 と(貨 幣理論への)資 本 理論 的 ア プ ローチ とを統 合 す る もの と して 高 く評価 され て い る。

かれ らの貢 献 に よ って,貨 幣 需 要 は,全 体 と して所 得 と利 子 率 とに 依 存 す

る もの と して取 扱 われ は じめ て い る。 この小 論 で は,か れ らの モ デル の解釈

を 中 心 に 確 実性 下 の取 引需 要 を 考 察 し,そ れ を 土 台 に して 両 モデ ル の制 限 的

な仮 定 を 次 第 にゆ るめ,そ れ に よ って 両分 析 の結 論 が ど う変 容す るか を さ ぐ

(2)

る。 と くに不 確実 性 下 の取 引 的 ・予 備的 動 機 に 基 づ く貨幣 需 要 に つ い て,若 干 の試論 的 な展 開 を 行 な う。

こ こで 確実 性 下 の非 投 機的 需 要 とい う場 合 そ れ は,取 引 貨 幣 の需要 のみ を 意 味 す る。 それ は事 前 的 に,(そ の期のは じめに)意 図 された 取 引需 要 と して と らえ よ うと,事 後的 に そ の期 の平 均 残 高 と して と らえ よ うと,異 な る と ころ は な い。 これ に対 して不 確 実 性 下 の非 投 機的 需 要 は,取 引 貨 幣 の需 要 と予 備 的 貨 幣需 要 との双 方 を含 み,支 出 の流 れ の時 間 形 態 に つ い て の期 待値 がそ の ま ま実 現 しな いか ぎ り,事 前 的 に と らえた 場 合 と事 後 的 に と らえた 場 合 とで は異 な る値 を とる。 また不 確 実 性 下 の取 引需 要 とは,そ の期 の(期 初の)受 取 額 の うち,そ の 支 払 時 点 お よび各 時 点 の支 払額 に は不 確 実 性 が 伴 うが そ の期 の うち に 全額 支 出 され る ことが期 待 され る(事 前 的)貨 幣保 有 額 で あ り,期 中 の支 出 フ ロー(時 間形 態)の 期 待値 に対 応 す る。 この よ うな貨 幣 残 高 を上

まわ って保 有 され る貨 幣 保 有額 が 予 備 的 貨 幣 需 要 を構 成 す る。 これ は経 常 的 取 引 との関 連 に お い て,不 測 の現 金 支 出が 生 ず る場 合 に備 え るた め の もの で あ る。 いつ れ の場 合 に も,将 来 利 子 率 に つ いて の不 確 実 性 は存 在 しな い。

皿 ボ ー モ ル ・ モ デ ル

仮 定

(1)あ る経 済 主 体(個 人 お よび 企業等一 ただ し商業銀行その他の 金融機関を除 く)は,期 初 に お い てそ の期 間 の取 引額 お よび 取 引 時 点 や,将 来 の利 子 率 お よび 物 価 を完 全 に予 測す る こ とが で き る。(後 者の二つは一定であると予測する。) 一一確実性(貨 幣需要の投機的動機および予備的動機の排除)一

(2)支 出 主体 は貨 幣 の取 引需 要 につ い て合 理 的 に 行 動 し,貨 幣保 有 に伴 う 費 用(S)の 極 小 化 を 計 る もの とす る。一一 利潤極大原理一

(3)支 出 主体 の現 金 受 取 は,そ の期 の あ らゆ る支 出 に 先 行 し,そ の期 以 前

(た とえば 前 期 末)〈 ケ ース1>か,そ の期 の期 初 〈ケ ース2>に 一 度 限 り

あ るのに対 し,現 金 の 支 払 い は そ の期 間 を 通 じて 一 様 の率 で(毎 時一定額ず

つ)な され る。 一 受取 と支出の時間的不一致(受 取 の先行性)と 支出の一様性一

(3)

確実性下および不確実性下における貨幣の非投機的需要

9i

(4)受 取 額(も し くはその期 の貨 幣所 得)(Yド ル)の 保 有 形 態 は,貨 幣 と短 期 証 券 の 二 種 の 金 融 資 産 に 限 られ る。 前 者 は 交 換 手 段 と して 機 能 し,利 子 を 生 ま な い の に 対 し,後 者 は 一 切 の リス クを 含 まず,期 間 当 り(1ド ルにっ き) づ ドル の 利 子 収 入 を も た らす 。 一 唯一 の貨 幣代 替資産一

⑤ そ の 期 の 所 与 の 支 出 額 に 等 しい 受 取 額 は,期 初 に お い て す で に 全 額 証 券 に 投 資 され て い る 〈ケ ー ス1>。 あ る い は 経 済 主 体 は 期 初 受 取 額 の 一 部(1

ドル)を 期 初 に 一 度 限 り投 資 し,残 部(Mド ル)を 貨 幣 で 保 有 す る 〈ケ ー ス 2>。

(6)支 払 い の た め 手 持 ち 貨 幣 残 高 が 澗 渇 した 時 点 に お い て,経 済 主 体 は 手 持 ち 証 券 の 売 却 も し くは(そ れ を担保 とした)借 入(借 入利 子率 も期間 当 り 圷 ル であ る)を 行 い,そ の 時 点 で 貨 幣 を 獲 得 す る こ とが で き る。 一 証券の換金 およ び借 入可 能一

(7)そ の さ い の 取 引 費 用(手 数料)は 固 定 費 用 要 素 を 含 む 〔取 引費用=固 定 費 用(金 融取 引一 回につ きbド ル)+可 変(比 例的)費 用(金 融取 引額1ド ルにつ きkド

ル)〕。一 固 定費 用要素 を含 む取引 費用一

(8)各 時 点 に お け る証 券 売 却 額 は,一 定(Cド ル)で あ る 。

モ デ ル

仮 定(3),(5),(6),(8)に よ り,各 ケ ー ス に お け る現 金 残 高 の 変 動 は,第1 図 に 示 され る よ うな パ タ ー ン と な る。 い ず れ の 場 合 に も,証 券 の 売 却 は,一 定 の 時 間 間 隔 を お い て 行 な わ れ る。

C2

防 →

第1図 現 金 残 高 の 変 動 パ タ ー ン(時 間 形 態)

a.〈 ケ ー ス1>b.〈 ケPtス2>

M

一一 り'

c

?

o

一 う・1

(4)

<ケ ー ス1>

その期 の総取引回数は 菩 であ りル たが って総取引 コス トは 菩(婦 の で あ る。 また 期 中 の平 均 貨 幣 残 高 は7で c あ るの で,貨 幣 の保 有 に よ り失 わ れ る総利 子収入(繍 用)は 乎 であ る.そ こで 期中の貨幣鵬 の賄 こ 伴 う総 費 用(S)は,次 式 で表 わ され るわ け で あ るが,こ の総 費 用 関数 をC

で 微 分 し,そ こか らえ られ る導 関数 を ゼ ロ とお くこ とに よ って,Sを 極 小 に す るC・ す なわ ち期 中 の 最 適貨 幣 残 高(C*)が 求 め られ る。

5一署+乎+kY

dSbYi

π=「 ゲ+ラ

∴ ひ 一》季 ,

し た が っ て, c*は,

ひ一£㌧ 樗

と な る 。

(4s=OdC)

)

1

(

(2)

)3(

その期の取引貨幣残高需要,す なわち 平均貨幣残 高の 最適値

)

4

(

〈ケ ー ス2>

総 費 用(S)は 便 宜上 二 つ の 部分 に 分 け て 計 算す る こ とが で き る。 一 つ は, Mド ル を期 初 か らそ の洞 渇 時 点 ま で保 有 す る さい の機 会 費 用 と,期 初 に1ド ル を投 資 す る さい の取 引 費 用[y許 ㌃ ヱ+b+h・]で あ る・ も う一Det・

そ の 期 の残 余 期 間(そ の期を1と して,残 余期間は ÷ として表わ される)に お け る

証券売却費用と失われる利子収入である 降 ÷+(δ+んC温

5一 与 乙謬 ≠+b+k・+皇 ÷+(う+kC)老(5)

残 余 期 間(期 初貨幣残高が支出されつ くした時点以降の期間)の 最適 な平 均 貨 幣

(5)

確実性下および不確実性下に挙け る貨幣の非投機的需要93

残 高C*は,先 と同 様,こ の 総 費 用関 数 をCで 微 分 した もの を,ゼ ロとお くこ とに よって え られ る。

c・一》 準(6)

σ・一霧̀⑦

期 初 の 貨 幣需 要 額,す な わ ち証 券 の売 却 に よっ て現 金 を補 充 す るに至 る以 前の期 間の平均貨幣残高 の最 適値(伽 誓iン ま・Sを ンで微分 して求め

られよう。

夢 一 一y詩+h+多+書+h(8) M*一 争 筈+ZihYiY

,(dS‑・Odl)(9)

2bY し か る に

,C*2=マ

z

M・=‑c・+2學 ⑩

τ

̲̲hYI

⑪M*=c*十一7‑

このモデル か ら推 論 され る諸 点

(1)最 適 取 引 貨 幣 需 要(C*ま た はM*)は 非 ゼ ロで あ り,所 得 また は 取 引 額(y)の 増 加 に 比 例 して 増 加 しな い(〈 ヶ一ス1>で は γヤ に比 例 しjそ の 所 得弾力性(er)は1/2で あ り,〈 ケー ス2>で は,1/2<er〈1で あ る)。 一 規模 の経 済 の存在 一

② 最 適 取 引 貨 幣 需 要 は,(yの 増加 関数 であ るのみ な らず)短 期 利 子 率 ④ の 減 少 関 数 で あ る(そ の利子 弾力性eiは,〈 ケー ス1>に おいて 一1/2で あ る)。一 利 子弾力的 一

③ 〈ケ ー ス2>に お い て,可 変 費 用 ㈹ が ゼ ロ の 場 合,期 初 貨 幣 保 有 額

M*は 朔 中 の 貨 幣 補 充 額Cと 等 し くな る(す なわち くケース2>に おけ る現 金残

(6)

高 の変動 は 〈ケース1>一 第1‑a図 一一 と全 く同様 のパ ター ンー 「 鋸 の歯」状 一 を示 す)。

(4)〈 ケ ー ス1>に お い て,最 適 取 引 貨 幣 需 要C*は 比 例 的 費 用(h)の 影 響 を 全 く受 け な い が,<ケ ー ス2>に お い て は(通 期で)そ の 影 響 を 受 け,h

̲̲̲ん

の 増 加 と と も に 最 適 取 引 貨 幣 需 要(C'*)は 増 加 す る 。[C'*一 ・C*+一 一(Y‑1)]

'

皿 ト ー ビ ソ ・ モ デ ル

仮 定

(1)確 実 性(投 機的 お よび予備的需 要 の排除)。

② 正 味 利 子 収 入(π)の 極 大 化(利 潤極大原理)。

⑧ 受 取 の 期 初 先 行 性 と支 出 の 一 様 性 。 (4)唯 一 の 貨 幣 代 替 資 産 。

(5)常 に 損 失 を こ うむ る こ と な く証 券 の 換 金 が 可 能 で あ る。

(6)固 定 費 用 要 素 を 含 む 金 融 取 引 費 用 。

以 上 の 諸 仮 定 は,ボ ー モ ル の 場 合 とほ ぼ 同 様 で あ る が,極 大 化(極 小化)の 中 味 は 若 干 異 な り(2),ま た 手 持 ち 証 券 の 売 却 時 点 は 現 金 残 高 が 潤 渇 した 時 点 と は か ぎ らな い ⑤ 。 さ らに ボ ー モ ル 。モ デ ル の 仮 定(5)と(8)は,こ こ で は 外 さ れ て い る。

モ デ ル

〔第 一 段 階 〕 最 適 金 融 取 引 時 点(タ イ ミン グ)と 一 回 当 り の 最 適 取 引 額 (取 引回数%は 正 の整数で所 与 とす る。)

〈k==Oの ケー ス〉

この 場 合,取 引 費 用 は 取 引 回 数 の み に よ っ て 決 定 さ れ る わ け で あ るが,後 者 は 所 与 と され て い る の で あ る か ら,最 大 の 利 子 収 入 を も た らす 平 均 債 券 残

高(B)(し たが って平 均取 引貨幣残 高c)は,そ の タ イ ミン グ だ け に 依 存 して き

ま る。 証 券 の 売 買 時 点 と各 時 点 に お け る 売 買 額 は,図 に 無 限 に 示 す こ とが 可

能 で あ る が,単 純 な 設 定 の も と で の(た とえばn=2お よびnニ3の 場合 の)最 適

(7)

確実性下および不確実性下における貨幣の非投機的需要

95

時 点 と 最 適 取 引 額 は,図 表 に よ る 比 較 に よ っ て,直 観 的 に 明 ら か と な る(第 2図 一 一 一 一 一T(t)は 時 間tの 関 数 と して の 総 取 引 残 高 を 表 わ す)。

第2図 最 適 な 取 引 手 順

(1・ 〈n・=2.h=0の ケ ー ス>b・ 〈n=3,h=Oの ケ ー ス 〉

"1

,r

a‑tl

t‑一 →

}

B

η

3

'

T(り=Y(1一 り(0≦t≦1)

T‑,「1y(1̲彦)d彦̲ヱ

Jo2

T(t)一 一B(り+C(彦)0≦B(彦),C(の

B‑∫IB(の4ち ∂一∫c(りd彦

B十C=コ 「=y/2

1

の 萄 O O

第2図 の 影 を つ け た 面 積(利 子収入 は これに比 例す る)が,経 済 主 体 の 債 券 保 有 の 時 間 表 の 下 に 描 く こ と の で き る 最 大 の も の で あ る。 た と え ばn・ ・2の 場 合 の 金 融 取 引 の 最 適 な 手 順 は,期 初(t、=‑O)にyの 半 額 を 債 券 の 購 入 に 当

℃ 彦 ・一 ÷ の 嚇 で そ れ を 売 却 す る と し・う 難 で あ る.搬 的 に は,彦 ・一・

で債券を(ze‑;;,L)yだ騰 入 い 一÷ 歴 孟 …冷 写 嚇 点で

それ ぞれ7ず Y つ 換 金す る 手 順 が ・ 最 大 の利 子 収 入 を もた らす(そ れ以外の

時点お よび1回 当 り取引額はすべて最適でない)。 経 済 主 体 は,こ の よ うに 期 初 に

(va‑1)yの 債券 を保 有 し・ そ れ を 同一 間隔 で 同噸 鮒 売却 し・㈱ こは

そ の保 有 が ゼ ロとな るの で あ るか ら,平 均 債 券残 高 は,

(8)

と な り, は,

瓦̲%‑1Y(n≧2)⑰

2n

した が っ て 期 中 の 債 券 よ りの 利 子 収 入(Rn)お よ び 純 利 子 収 入(π 。)

馬 一㌻ …1y・

π。̲%‑1y、̲励 2n

(n≧2)

(n≧2)

と な る 。

〈k>0の ケ ース〉

こ の 場 合,貨 幣 か ら債 券 へ,そ して債 券 か ら再 び 貨 幣 へ の 転 換 に は,債 券 1ド ル 当 り2hド ル の 可 変 費 用 が か か る こ と に な る。 この よ う な 投 資 か らの 利 子 収 入 は,総 取 引 残 高 丁(t)が 債 券 の 形 で 保 有 され る時 間 に 依 存 して い る 。

した が っ て 利 子 収 入 が 舖 を 超 過 す る ほ ど の 期 間 に わ た っ て 債 券 を 保 有 す る こ と が で き さ え す れ ば,証 券 投 資 は 採 算 ベ ー ス に 一 応 の る こ と に な る 。 こ の モ デ ル で は 利 用 で き る最 長 期 間 は1で あ る の で,こ の こ とはiが2kを 上 ま わ り さ え す れ ば 可 能 とな る。 この ケ ー ス が 先 の ケ ー ス(k・ ・O)と 異 な る 唯 一 の 点 は,期 初 に 購 入 され た 債 券 が,純 収 入 を もた らす 最 初 の 時 点 は,t、‑0 で な く,← 孕 で あ り,し た が って徽 入 を もた ら撮 初 の 取 引残 高 はy で は な く・(2h1‑一 一 葱)yで あ る とい う こ と で あ る・ そ して ・ こ 蝋 以 降 の 証 券 売 却 の 最 適 手 順 は,<ケ ー ス1>に お け る の と同 じで あ る 。

n=2,n=・3の 場 合 の 最 適 な 手 順 は,第2図 と比 較 させ て 第3図 に 示 さ れ る。 こ こで は,hはiの1/4で あ る と仮 定 され て い る の で,純 収 入 を も た ら す 最 初 の 時 点 は1/2で あ り,最 初 の 取 引 残 高 はT(1/2),す な わ ちY/2で あ る(図 中のX',Xftは それぞれ可 変取 引費用 に よって利 子収入が相殺 され て しま う債券 保 有残 高,純 利子収 入を もた らす債 券保 有残 高を表わす)。 これ ら の 場 合 の 純 利 子 収

入 を も た らす 債 券 の 平 均 残 高 ・B'(の は,そ れ ぞ れ,

(9)

Y

ぎy

左γ

確実性下および不確実性下における貨幣の非投機的需要 第3図 最 適 な取 引 手 順 と貨 幣 残 高 の時 間 形態

砿 〈n‑2・h・ti・ ケ ー ス 〉 乱 〈・一 踊 一 ÷ つ の ケ ー ス 〉

0

1‑一 一 ラ

}‑2翫 葦一い

yY

==

ユ 2 ⊥ 2

工 4 2 6

ヱ 2 ヱ 2

=

,2,3

石 君

γγY

12!3!6

5一b

ρ

}

t

(n・=2)

@‑3)

ノ ー 一 一 → ・

97

一 般 的 に は

,期 初 に 債 券 を(1‑一 ・t2)yだ け 購 入 し,そ れ をt2,t3,…,tnの

瞭 それぞれ ÷ ← 一孕)yず つ売却するの力欄 である・純利子収入を もた らす最初の嚇(2htl・=ゴ)の 取引残高 箕楓 倣 より(レ 孕)y

で あ り,ち 時 点 か ら期 末 まで の平 均 債 券残 高 は,∫ 、時 点 の取 引 残 高 に

n‑1 2n

を乗 じた もので あ る。 した が って(期 間全体の)純 収 入 を もた らす 平 均 債 券 残 高Bn'は,tエ 時 点 以前 の(前 半)期 間 の純 収 入 を もた らす 平 均 債 券残 高(ゼ

・)と この後 半 期 間 の それ を,こ れ らの部 分 期 間 の長 さで 加 重 して平 均 した

もの に 等 しい。

(10)

そ こで

B・'==(2k1一

つ)払 π孟1 一 鵠y(1一 孕 ア

・(2ん1‑

z)

Rn‑一甥yく1一 孕 ア :n一 ㌃1yく1一 孕y一 わ

(%≧2),(i≧2k)

(n≧2),(i≧2h)

(n≧2),(i≧2k)

〔第 二 段 階 〕 純 利 子 収 入 を 極大 にす る取 引 回 数@*)

nの 最 適 値 は収 入 関数,⑲ 式 お よび ⑫2式 をnで 微 分 し,そ の導 関 数 を ゼ ロ とお くこ とに よって 求 め られ る。

drrnyi

伽2%2 =̲̲わ

1が一傷(垂 n) 往̲04

蓄 一誰(1一 孕 アー6

僕4騨(締 一 ・) ,

(h‑・O),(n≧2)㈱

(h・=O),(n≧2)⑳

(づ 一 ≧h>02)・(n≧2)㈱

({≧k>・)・(n≧2)㈱

n*の 決 定 は また 図 に よ っ て 示 す こ と も で き る 。 第4‑a図 お よびee4‑b図 の た て 軸 に は,そ れ ぞ れnの 関 数 と して のR(総 収 入)とnb(総 固定費用), dR(限 界収入)とb(限 界費用)が と られ て い る(第4一 α図 の 収入 関数 は 働 式 で あ る)。Rl、 はnの 増 加 関 数 で あ る が,nが 無 限 に 大 き くな る と,極 限 値

¥← 一勤 ㍉ こ漸 近 す る ・ 獅 図 のdR・eま ・ AR・ ・‑R・+i‑‑Rn==7

t(1̲n十1)y<1一 孕):(÷ ≧k>・)・(n≧2) ‑en)

(1)

と して 求め られ る。 他 方.費 用 面 で は,総 コス ト@の は%と と もに単 純 に

(1)第4図 で は ・1/12Yi(1一 孕)2≧ δ 瀬 定 さ れ て い る.こ 暢 合 にeUtn・>2と

な る(bが これ 以 外 の 値 を と る 場 合 に は,つ ね に%*≦2と な り,と くに1/8Yi

(2k1一 ゴ)2<bの と き に は ・n≦ ・ と な り,n・ は ゼ ・ と な る).

(11)

確実性下および不確実性下におけ る貨幣の非投機的需要

旨(1一 乙々ア

{'(1一 弓e)?

尺,〃1♪

o̲'ti

'一 一 一 →

α.

第4図 最 適 取 引 回 数

}L6(ユー 弓り2

b

」1ご,b

ρ9

1

!

一 一 層孕 1

1 1

1

5

」尺

1【

1

02n率

1}一 →

く  

増 加 し,限 界 コ ス ト(の は 一 定 で あ る。 純 利 子 収 入 の 極 大 化 を 計 る経 済 主 体 は,b図 に お い てdR,,とbと を 等 し く させ るn*を 選 択 す る が,ζ れ は α 図 の 収 入 関 数 と費 用 関 数 の 勾 配 を 等 し くさせ る π の 値 で あ る 。

〔第三 段 階 〕 取 引 回数 が 最 適 な場 合 に おけ る平均 貨 幣残 高(0*)

⑯ 式 お よび ⑳ 式 よ り

̲yn‑1

C==̲.̲一 一一y

22n

し か る セ こ624)式 よ り

η ・ 一》嘉 ひ一樗

(h・‑O),(n≧2)

(h・ ・O),(n≧2)

¢9

同 様 に,

δ÷ η云1(4k21‑

i2)y, が 訂 薯(2k1‑

z)

(づ̲≧h>02)・(n≧2) ⑳

(2)h>0の 場合 には,固 定費用(b)は 通常 の意味で の 限界費用で は ないが,Rn

のなか に 可 変費用 ㈹ がす でに 算入 され てい るので,こ の場合 に も便 宜的 に固

定 費用 のみを限界 費用 として処理 す るわけ であ る.

(12)

ひ 一 2綴)(4h21‑i2)+誓 ・ 乳 (■ ≧h>02)・(n≧2) ⑳

このモデルか ら推論される諸点一 ボーモル ・モデルとの比較一

(1)取 引貨 幣 ㊧需要 に お い て 規模の経済が 存 在 す る。 この規 模 の経 済(ま た は貨幣の節約)は 比 例 的 費 用 ㈹ の導 入 に よ って逓 減 す る。

e。 一=‑IY(h̲o)

2

⊥<e。<1(lt>o) 2

②C*は 利 子 率(i)の 減 少 関 数 で あ る 。

e、....,.!,(k̲o) 2

⑧ 〈h=Oの ケー ス〉 で は,期 初貨 幣 保 有 額 は期 中 の各 証 券 売 却時 点直 後 の 貨 幣 保有 額 に等 しい(「鋸の歯」状の貨幣残高の変動パター ン)の に対 し,<k>0 の ケ ース〉 で は前 者 は 後者 よ り大 き い。

(4)証 券 購 入 ば期 初 に一 括 して行 な い,そ の売 却 は手 持 ち貨 幣 残 高 が ゼ ロ に な る時 点で,一 定 間 隔 を お い て 一定 額 ず つ 行 な うのが 最 適 で あ る。 また くh=・Oの ケー ス〉 と くk>0の ケP・ 一ス〉 とで は,取 引 回 数 が 同 じ場 合 で あ っ て も,売 却 時 点 お よび一 回 当 り売却 額が 異 な る。

⑤ 最 適 金融 的 取 引 回数@*)は 利 率,お よび 所 得 も し くは 経 常 取 引額 (y)の 増 加 関数 で あ り,取 引費 用(bお よびk)の 減 少関 数 で あ る。 と く に,手 数料 に比 べ 利 子率 が 高 いほ ど,一 層 頻 雑 な間 隔 で換 金(証 券の売却)を 行 な うのが有 利 で あ る。

⑥ 通 常,取 引 の 回数 が ふ え るに つ れ,利 子収 入(R。)は た えず 増加 し, あ る極 限 値 に漸 近 す る。

(7)あ る条件[b>1/8Yi(1一 鄭 づ ≧2h]の もとでは・取引残高(T)

は全部貨幣で 保有 され る(ひ ÷ 恥 一・Σ

(13)

確実性下および不確実性下におけ る貨幣の非投機的需要

101

トー ビ ン の 分 析 結 果 は,ボ ー モ ル の そ れ と 基 本 的 に 異 な る と こ ろ は な い が,新 た に 多 くの 点 を 明 らか に す る 。 具 体 的 に い う と,上 記 の推 論 の うち, (1)〜(3)は ボ ー モ ル ・モ デ ル の 結 論 と 同 一 で あ る が,(4)〜(7)は ボ ー モ ル ・モ デ ル の 問 題 設 定 か らは 出 て こな い 新 しい 論 点 で あ る 。

ボ ー モ ル ・モ デ ル の 〈ケ ー ス2>と トー ビ ソ ・モ デ ル の くh>0の ケ ー ス 〉 と は,全 く同 じ状 況 で あ り,主 要 な 論 点 に つ い て 同 一 の 結 果 に 達 して い る。

期 中 の 貨 幣 残 高 の 変 動 も,と も に 第1‑b図 に 示 され る よ うな 時 間 形 態 を と る。 しか しな が ら この よ うな 手 持 ち 現 金 ゼ ロの 時 点 に お け る 同 一 間 隔 で の 同 一 額 ず つ の 証 券 売 却 は ,前 者 で は は じめ か ら仮 定 され て い る の に 対 し,後 者 で は,そ の よ うな 方 法 が 最 適 な こ と を モ デ ル か ら導 き 出 し,論 証 して い る の で あ る。 これ と 関 連 して,ト ー ビ ン は 最 適 取 引 回 数@*)の 概 念 を 新 た に 導 入 し,こ れ を ス ペ シ フ ァイ し,そ れ がC*の 決 定 に 対 し決 定 的 な 影 響 を 与 え る こ と を 明 らか に して い る 。

ボ ー モ ル ・モ デ ル の 〈ケ ー ス1>に お け る 問 題 設 定 は トー ビ ン 。モ デ ル の 状 況 と基 本 的 に 異 な る の で,そ こ か ら導 き 出 さ れ た 結 果 を 単 純 に 比 較 す る こ と は で き な い 。 た と え ば,後 者 で は 比 例 的 費 用 が 貨 幣 の 取 引 需 要 に 影 響 を 与 え る の に 対 し,前 者 で はh・‑Oで あ ろ う とh>0で あ ろ う と,C*は 全 く変 化 しな い 。 す な わ ち 前 者 で は そ の 期 の 所 与 の 支 出 に 等 しい 額(Y)の 証 券 購 入 が 過 去 に な さ れ て お り,ま た 現 金 潤 渇 時 点 で の 各 金 融 取 引 額(証 券売却 額)は 常 に 一 定 で あ る の で(hを 所 与 として),Cが ど の よ うな 額 に な ろ う と,比 例 的 費 用 総 額 は 変 化 せ ず,し た が っ て 為の 水 準 は,総 費 用 の 絶 対 額 を 変 え るだ け で,総 費 用 を 極 小 に す る 取 引 回 数 やCそ の も の に は 影 響 を 与 え な い 。 後 者 で はk>oで あ る か ぎ り,そ の 期 の 一 一回 当 りの 取 引 額(証 券購 入額 お よび売却額) が す べ て 同 一 で あ りえ ず,し た が っ てkは,i・b・Yと と も に ひ の 決 定 に 影 響 を 与 え る わ け で あ る 。

トー ビ ン ・モ デ ル で は,<h>0の ケ ー ス 〉 に お い て 債 券 の 保 有 期 間 が 証 券

投 資 の 採 算 に 影 響 を 及 ぼ す 点 が 重 視 さ れ,こ の 要 因 が エ ク ス プ リシ ッ トに モ

デ ル に 導 入 され て い る。 と くに 期 初 貨 幣 保 有 額 は 主 と して これ と の 関 連 で 決

(14)

定 され る と して い るの は妥 当な 取 扱 い方 で あ る。 ボ ー モ ル ・モ デル の と くに

〈ケ ース2>で は,不 可欠 と思 わ れ る この よ うな 関 連 に つ い て の 考慮 が欠 け て い る。 そ のた め,期 初 に 購 入 され,す くな くと も最 初 の 現金 澗 渇 時 点 まで 保 有 され る証 券 が 純 利子 収 入 を 生 む のか 否 か は 明 らか で な い。 単 に総 費用 (取引費用+機 会費用)の 極小 とい う観 点 か らの み 期 初 貨 幣残 高(M*)が 決 定 され る と して い るわ け で あ るが,こ の よ うな費 用 極 小 値 が プ ラ スの純 利 子 収 入 を 意味 す る とい う保 証 は な い わ け で あ る。

W分 析 結 果 の検 討 とそ の意 味 す る と ころ

両 モ デル に お け る重 要 な結 論 は,確 実 性,期 初 の一 度 限 りの 受取 と一 様 な 支 払 い パ タ ー ン,お よび収 益 を生 まな い 貨 幣 とそれ に 代 わ る唯 一 の流 動 的 証 券 の存 在 とい う前 提 の も とでは,貨 幣 に対 す る取 引需 要 は,所 得 も し くは経 常 取 引 額 と比例 して 変化 せ ず,そ の 増大 と ともに 規模 の経 済 が生 ず る とい う

こ と と,そ れ は も う一・ つ の資 産 の利 子 率 と逆方 向 に関 連 して い る とい うこ と で あ る。 この命題 は,伝 統的 な貨 幣理 論,と くに 貨 幣 の流 通 速度 は貨 幣 量 ・ 取 引額 の変 化 に影 響 され ず 一 定 も しくは安 定 的 で あ る とす る貨 幣数 量 説 や, 取 引 貨 幣需 要 と所 得 との比 例 的 変 化 を 主 張す る ケイ ン ズ の流動 性 選 好 理 論 に

(3)

対 して,重 要 な修 正 を 求 め る もの で あ る。

この よ うな 「規 模 の経 済 」 の存 在 す る経 済 で は,有 効 需 要 不 足 時 に お け る 新 貨 幣 供 給 の実 質 所 得 拡 大 効 果 は,そ れ が 価格,賃 金 お よび 利 子 率 に影 響 を 与 え な い も の と仮定 す るな らば,一 層 高 め られ る こ とに な る。 なぜ な ら,こ

の場 合,経 常 取 引額 の増 加 が 不 十 分 な た め経 常 取 引額 と貨 幣量 の平 方 根 との 比 例 的 関 係 が 保 た れ な い な らば,人 び とは そ の 余 分 の貨 幣 を 財 お よび サ ー ビ

ス の購 入 に 向け よ うとす るか らで あ る。 この よ うに 超 過 需 要 関 数 を 経 由 し

(3)(3)式 を 書 き か え る と,

‑=一Yi 一c C2b

と な り,こ れ は 貨 幣 の 流 通 速 度 は 貨 幣 量 に 比 例 し て 変 化 す る こ と を 意 味 す る.

〔Baumo1,0p.cit.p.551〕

(15)

確実性下および不確実性下におけ る貨幣の非投機的需要

103

て,財 に対 す る需 要,し た が って雇 用に 影 響 を 及 ぼ す程 度 は,貨 幣 量 と取 引 額 とが 比 例 的 に 変 化す る(規 模の経済の存在 しない)経 済 よ りも強 い。 この よ う な新 貨 幣 の供 給 が な くとも,こ の経 済 に お い て賃 金 ・価 格 が(財 ・労働用役の 超過供給に より)低 下す るな らば,こ の 「規模 の経 済 」 の存 在 は,同 様 に雇 用

拡 大 効 果 を強 め る方 向に作 用す る。 そ の意 味 で,こ れ は 「ピ グ ー効 果 」 お よ び そ の関連 効 果 を相 対 的 に 高 め るわ け で あ る。 した が って理 論 的 に は,慢 性 の 不 完 全 雇 用 へ の 落 ち込 み に対 す る ブ レー キは,よ り強 くか か る こ とに な る。 さ らに経 済 の実 質 成 長 との関 連 に お い て,こ の 「規 模 の経 済 」 は,価 格 安 定 の も とで の所 与 の実 質 成 長 の た め に必 要 な名 目貨 幣供 給 額 を 相対 的 に 減 少 させ る。 この効 果 は,貨 幣 ス トッ クや 流 動 性 の不 足す る経 済 に お い て と く に 重 要 で あ る。 この場 合,経 済 の実 質成 長 に伴 う貨 幣 の超 過需 要 は,所 望 実 質 貨 幣 ス トッ クに対 す る現 実 の ス トックの比 率 を低 下 させ る ことを通 して, 消 費 財需 要 を減 少 させ る(実 質残高効果)だ け で な く,証 券 の超 過 供 給,し た が っ て利 子 率 の上 昇 を通 して 投 資 財 需要 を も減 少 させ るわ け で あ るが,こ の よ うな デ フ レ効果 の強 さは,「 規 模 の経 済 」 に起 因す る実 質 貨 幣需 要 増 の抑 制 に よ って弱 め られ る。

この よ うに 「規 模 の経 済 」 の存 在 は重 要 な意 味 を もつ ので あ るが,こ れ は 金 融 取 引 額 の 変 化 に 依 存 しな い 固定 費用 要 素 の存 在 に 起 因す る。 したが っ て,証 券 投 資 に よ る利 子 収 入 は 証 券 取 引額 に比 例 して変 化す るの に対 し,証 券 売 買 の手数 料 は比 例 以下 の割 合 で しか変 化 しな い こ とに な り,そ こに大 量 取 引 の優 位 が 生ず るの で あ る。 この こ とは,た とえば,純 粋 の価 格 イ ン フ レ

ーシ ョンに お い て は 「規 模 の経 済 」 が 生 じな い 点 か ら 考 え て も 明 らか で あ る。 この場 合 に は,固 定 費 用(の も名 目所 得(y),し た が って金融 取 引額 と比 例 して上 昇す るの で,貨 幣 の取 引需 要 は 名 目所 得 の増 大 に 比 例 して増 加 す る。

本 来,一 個 人 また は 一企 業 が支 払 手 段 と して 一 時的 に 必 要 と しな い貨 幣 残

高 を,流 動 的 な利 子 生 み 資産 に 投 資 す る程 度 は,そ れ が(支 払いのため)必 要

と され る まで の期 間 の利 子収 入 に 対 す る コス トの 関係 に 決定 的 に依 存 す る。

(16)

す な わ ちそ れ は,こ の限 りに お い て一 種 の資 産 選 択 の問題 な の で あ る。 取 引 目的 の た めに 保 有 され る貨幣 が完 全 に所 得 弾力 的 で な いの は,基 本的 には こ の よ うな理 由に よる ので あ る。 貨 幣 が 将来 の経 常 的 取 引 に対 して 保有 され る な らば,そ れ は将 来 貨 幣 が需 要 され る とい う期 待 に よるだ け で は な く,そ れ を 投 資す る こ とか ら得 られ る収益 が 投 資 コス ト(取 引費用)を 補 償 しな い とい

うことに も基 づ い て い るの で あ る。 証 券 の売 買 や借 入が 可 能 な経 済 で は,通 常,こ の よ うな所 得 の一 部 の短 期 投 資 は純 収 入 を もた らす わけ で あ り,そ れ

が 結果 的 にそ の経 済 の取 引貨 幣 の必 要 高 を減 少 させ る ので あ る。

両 分 析 で は一 支 出主 体 の 合理 的 行動 か ら導 き出 され る この よ うな分析 結果 を,マ ク ロ の 経 済 ビヘ イ ビア の説 明に 適 用 可 能 で あ る と 示 唆 され て い る。

「規 模 の経 済」 の存 在 につ い ては ともか く,そ の利 子 弾 力 性 の 結 論 も また マ ク ロの ビヘ イ ビ アに 拡 張 で き るか ど うか に つ い て は,タ ー ヴ ェイ の批 判的 見 解 が あ る。 す なわ ち 「利 子率 の低 下 は,一 方 に お い て一 時 的 遊 休 資 金 の貸 出 か らの収 益 を 低 下 させ る こ とを通 して,そ の 取 引需 要 を 増 加 させ るが,他 方 に お い てそ れ は 将 来,受 取 額 を上 まわ る支 出 を賄 うため に 他 の経 済 主体 に よ って保 有 され る貨 幣量 を減 少 させ る。 なぜ な ら利 子 率 の低 下 に よって,将 来 の超 過 支 出の た め の 貨 幣が 相 対 的 に低 い コス トで容 易に 借 入 れ られ る よ うに な った か らで あ る。 この よ うな相 反 す る二 つ の効 果 の強 さは,実 証 的研 究 を また な けれ ば 明 らか に な らな い ので,こ の 利 子 弾 力性 の程 度 は,抽 象 の この

レベ ル で推 論 す る こ とは 困難 で あ る。」 しか しこの場 合 後 者 に つ い て 問題 と な って い る のは,取 引 貨 幣残 高 の保 有 形 態 と利 子 率 との関 係で は な く,貯 蓄 の 利 子 弾力 性 の問 題 で あ る。 ジ コン ソン も述 べ て い る よ うに,両 モデ ル に お い て 問題 とな っ て い るい か な る経 済 主 体 も,そ の一 時的 遊 休 貨 幣 を 利 子 目的 の た め に投 資 しよ う とい う同一 の選 択 を も って お り,か れ らが 少 な くと も非 合理 的 行 動 を と らな い か ぎ り,同 一 の仕 方,同 一 の 方 向 で利 子 率 の変 化 に反

くの

応 す る もの と考 え られ る。 す な わ ち,こ こで の 取 引 貨幣 残 高 と証 券 との 間 の

(4)R.Turvey,1痂 θγ65≠1〜α'θε α%♂/霊ssetPγ づ6θ5(AUen&Unwin,1960),P・33・

(5)H.Johnson,"MonetaryTheoryandMonetaryPohcy,"!1物7つ じ砺E60卿 mic1セ 毎6ω,VoL52,No.3,(June1962).

(17)

確実性下お よび不確実性下におけ る貨幣の非投機的需要 105 資 産 選 択 の 問 題 は,通 常 の 不 確 実 性 下 の ポ ー トフ ォ リオ ・セ レ ク シ 露ン ー

少 な くと もそ の期 に 支 出 され る こ との な い貯 蓄 資金 の,資 産 貨 幣 とそ の他 資 産 との間 の選 択 の ケ ー ス と異 な り,将 来 利 子 率 に つ い て の不 確 実 な期 待 が(期 待収益 と リスクより構成 される)期 待効 用 を 極大 化 しよ うとす る個 々の経 済 主 体 の資 産 行 動 を 種 々異 な る ものに す る とい う可 能 性 は,存 在 しな い ので

あ る。

両 モ デ ルか ら導 き出 され た この よ うな相 関 連す る二 つ の命 題 は,両 モ デ ル の仮定 を緩 め る こ とに よって ど う変容 す るで あ ろ うか。 これ が次 節 以 降 の論 点で あ る。 まず,支 払 手 段 と して の貨 幣(主 として要求払預金)が な ん らか の 収益 を生 む ことを認 め,次 い でそ の期 の支払 パ タ ー ンの不 規 則 性 と,取 引 の

タ イ ミング につ い て不 確 実 性 を両 モ デル に導 入す る。 ・

V貨 幣 が 収 益 を 生 む ケ ー ス

・ ス プ レ ソ クル に よ る ボ ー モ ル ・ トー ビ ン ・モ デ ル の 拡 充 一

ス プ レン クル は,貨 幣残 高 が な ん らか の(暗 黙)の 収益(γ)を 生 む とい う 仮定 を両 モ デル に 組 み 入 れ,こ れ が か れ らの結 論 を ど う変 え るか を,取 引 貨 幣需 要 の所 得弾 力 性erと 利 子 弾 力 性e,に つ い て分析 して い る[文 献3]。 こ の問題 は,収 益 が(取 引)貨 幣残 高 に つ い ては ゼ ロで,証 券 の 保有 につ い て は プラ ス のあ る値 で あ る とい うか れ らの 仮定 を,両 資 産 の 間 に は 単 に利 回 り 格差 が 存 在 す るにす ぎな い とい う仮定 と置 きか え た場 合,両 分析 の 結論 は本 質 的 修 正 を 受 け るのか とい うこ とで もあ る。

と くに企 業 の場 合,取 引貨 幣 は ほ とん ど要 求払 預 金 の形 で 保 有 され る。 ア メ リカに おけ る実 証 的 研 究 に よ る と,こ の銀 行 預 金 は,各 種 の暗 黙 の収益 を もた らす こ とが 明 らか に な って い る。 た とえば 商 業 銀 行 は,預 金 者 に対 して 各 種 の サ ー ビス を無 料 で 提供 し,貸 出 わ く ・貸 付 利 率 そ の他 の貸 出条 件 とか

(6)

補 償 残 高(一 種の拘束預金)に つ い て 有 利 な取 扱 いを 行 な う。 預 金者 に と って (6)今 日,各 国に おいて,要 求払 預金に対 して利 子を支払 うこ とは法的 に禁止 され

てい るのが常 で あ るが,こ れ は実 質的に いろいろ なか たちで用役を提 供す る こと

を妨 げ る もので は ない,

(18)

の この よ うな 利益 は,取 引 貨 幣 残 高 の管 理 に とって 無 視す る こ とので きな い 重 要 な要 因 な の で あ る。

瓦̲"‑1乳 δ̲ヱ

2n2n

債 券 の(平 均)残 高 お よび 預 金 の(平 均)残 高 は,1ド ル に つ き そ れ ぞ れ 期 間 当 りiお よびrの 収 益 を も た らす(i>r)。 そ こで,

R・ 累 万[@‑1)i+「 y コ

η 一去[(n‑1)夢+・]一 励

砦 一毒 σ+∂ 一・

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β⑤

す な わ ち,〈k=Oの ケ ー ス 〉 で は,先 の 仮 定 の 緩 和 に もか か わ らず,そ の 結 論 は 基 本 的 に 修 正 を 受 け な い 。 「規 模 の 経 済 」 の 程 度 は 不 変 で あ り,利 子 弾 力 性 は む しろ(絶 対値 におい て)高 ま る。

晦一去

角一一G≡

。)

さ らに,よ り現 実 的 に は,rはiやyに 無 関 係 で な く,そ れ らの増 加 関 数 で あ る と考 え られ る。 なぜ な ら 銀 行 は と くに 有 利 な 多額 預 金 の 獲 得 のた め,経 常取 引額 の多 額 な 企 業 や 個 人 の預 金 残 高 に は 比較 的 高 い 暗黙 の収益 を 支 払 うか らで あ り,ま た つが 高 まれ ば 銀 行 収益 が増 加 す る ので,銀 行 は γを 上 昇 させ る も の と期 待 され るか らで あ る。 した が って,

一 櫛)・(〃 〃‑dY≧oド 読 〉・)⑳

(19)

確実性下 お よび不確 実性下 におけ る貨 幣 の非投機的需 要107

γ を こ の よ うに 規 定 しな お して,erを 求 め る と,そ れ は 劇 的 に 変 化 し,

「規 模 の 経 済 」 は か な らず し も成 立 しな くな る。

… 黛(YY

2n)諏 離)㈱

4r

源 一が ゼ ロ よ り大 で あ る か ぎ り,6rは1/2よ り大 き く,場 合 に よ っ て は1よ り も大 き くす らな り う る の で あ る。 こ うな る ゆ え ん は,よ り多 額 の 取 引 残 高 (T)を 証 券 で 保 有 した 場 合 の 「規 模 の経 済 」 が,同 じTを 要 求 払 預 金 で 保

有 し鵬 合 の 「 規 模の有利性」傷 〉・)セ こよっ℃ 一部分 あ るいは全額 相 殺 され て しま うか らで あ ろ う。

つ ぎに取 引貨 幣需 要 の利子 弾 力 性 θ、は,

躍(zY 2n)÷ 駅 馴 嵩)㈲

γ 〃

とな り,そ の 値 は 享 に 対 す る 万 の 関 連,す な わ ちiに 対 す るrの 弾 力 性 β.に 依 存 す る。 そ こで,

1

0<er〈1の と き,ei〈 一一

2

1〈er<‑iの と き,一 圭 くei〈O r2

一 くerの と き ,0<et γ

こ の よ うに 取 引 需 要 の 利 子 弾 力 性 は,市 場 利 子 率 つの 変 化 に 対 す る 銀 行 の 反

応 に 依 存 し,市 場 利 子 率 の 変 化 は,貨 幣 の 取 引 需 要 に 複 雑 な 影 響 を 及 ぼ す 。

しか しな が ら,銀 行 が 市 場 利 子 率 の 上 昇 よ り も 大 き い 割 合 で 預 金 の 暗 黙 の 収

益 率 を 上 昇 させ る可 能 性 は 低 く,通 常e,<1で あ る の で,取 引 需 要 の 利 子 弾

力 は 性,ボ ー モ ル ・ トー ビ ン ・モ デ ル に お け る β 、 よ りも 絶 対 値 に お い て 大

と な ろ う。 ま た,<k>oの ケ ー ス 〉 は,基 本 的 に は,〈k・‑oケ ー ス〉 と変

(20)

わ ら な い 。

VI不 確 実 性 下 の貨 幣 の非 投 機 的 需 要

ま ず 予 備 的 な ケ ー ス と して,両 モ デ ル の 期 中 の 支 出 パ タ ー ンに 関 す る 仮 定 を 変 更 し,そ れ は も は や 一 様 で な く,そ の タ イ ミン グ と 各 支 払 額 は 確 実 で は あ る が 不 規 則 で あ る と想 定 し よ う。 そ の 期 の 支 払 はsteadyflowで は な く, そ の 期 の そ の 支 出 主 体 の 経 常 取 引 活 動 を 反 映 した ユ ニ ー ク な も の とな ろ う。

ト隅 ビ ン'モ デ ル の これ 以 外 の 諸 仮 定 を そ の ま ま 用 い る と,取 引 貨 幣 残 高 お よび 証 券 残 高 の 時 間 形 態 は,た と え ば 第5‑a図 に 示 さ れ る よ うな も の と な ろ う(た だ し,証 券 の 売 却(換 金)は 手 持 ち 現 金 の澗 渇 時 点 に お い て 常 に 一 定 額 ず つ 行 な わ れ る も の とす る)。 これ が トー ビ ン ・モ デ ル の 〈h>0の ケ ー ス 〉 (第3‑b図)と 異 な る 点 は,証 券 の 売 却 は 同 一 間 隔 を お い て な され る こ と は な く,証 券 保 有 の 損益 分岐 時点t、 は,も はや2夕 で は な く 廼 ‡」 並 と して

1z

規定 され る点 で あ る。 しか しこの 仮定 の修 正 は トー ビソの 分析 の結 論 を 変 え る もの で は な い。 なぜ な ら,証 券 利 子 率(の の上 昇 は,損 益 分 岐 時 点 を短 縮 させ る こ と(tiの 左方へのシフ ト)を とお して 期 初 貨 幣 保 有 額 を(第5‑a図 の四 角形abcdの 面積だけ)減 少 させ るか らで あ る。 また経 常 取 引額(y)の 増 加 も,保 有債 券 が純 収 益 を 生 む の に要 す る最 短 時 間 を短 縮 させ,貨 幣 需 要 の増 加割 合 を 比 例 以下 に抑 え る(ey〈1)。 この こ とを 図に そ く して い うと,yの 上 昇 は,や は り ち 時 点を 左 方 ヘ シ フ トさせ る。

次 に この よ うな支 出 の流 れ の不 規 則性 の上 に,も う一 つ の重 要 な仮 定 の修

正 を加 え る。 す な わ ち そ の期 の 支 出の タイ ミン グ と 各 時 点 の支 出額 に 関 し

て,確 実 な期 待 の代 わ りに,ゆ るい不 確 実 性 を 導 入す る。 した が って 貨 幣 の

予備 的 需 要 は排 除 され な い こ とに な る。 期 初 の受 取額 の うちそ の期 の比 較 的

近 い 将来 につ い ては,そ の 支 出 の額 のみ な らず 支 払 時 点 もほ ぼ確 定 して い る

の に対 し,そ の期 の比 較 的遠 い 将来 に お い て は,あ る 日時 に あ る額 の支 払 い

が 行 な われ る とい う可 能 性 が 存在 す るだけ であ る と考 え るのが,よ り現 実的

で あ ろ う。 現 金 支 出 の時 間 形 態 が不 確 実 で あ る とは い え,こ こで は あ る時 点

(21)

確実性下および不確実性下における貨幣の非投機的需要

109

に お け る現 金 支 出 が全 く確 率 的 な いわ ゆ る ラ ン ダム ・ウォ ー クで あ る よ うな 状 態 を想 定 して。 い るわ け で な く,各 主 体 に特 有 な支 出の タ イ ミン グ と一 回 当 りの支 出額 が あ る幅 を も って見 通 す こ とので き る状 態 を 前 提す るの で あ る。

第5図 総 取 引残 高 お よび貨 幣 残 高 の 時間 形 態

仏 支出の不規則性のケース 猷 支出の不確実性 のケース

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第 三 の仮 定 と して,手 持 ち証 券 を 緊 急 に 換 金 した り 借 入 れ よ う とす る場 合,換 金 額 や 借 入 額 に は あ る限 度 が あ り,さ らに 即座 の換 金 の際 に は,通 常

(7)

の手 数 料 以外 に特 別 の コス トや 証 券 の割 引 を要 す るの とす る。 この よ うな仮 定 の も とで は,個 々の支 出主 体 は,期 待値 を は るか に 上 まわ る現 金 流 出 に よ

る一 時 的 支 払 不 能 の リス クや,緊 急 の換 金 に伴 な う損 失 を 避 け るた め,現 金 残 高 の澗 渇 す る時 点 よ り先 に,証 券 の換 金 を 行 な って残 り少 くな った 貨 幣残 高 を補 充 しよ う とす る。 この よ うな換 金 時 点 が 現 金澗 渇 時 点 に どの程度 先 行 す るか は,支 払 不 能 ・損 失 の危 険 や 煩 わ しさに対 す る態 度(評 価),手 持 ち 証

(7)す なわち,こ こでは貨 幣に代 わ る収益 資産は もは や唯一でな く,ま たそれ らの

資 産た とえば定期 預金 の市場 はか な り不 完全で あ ると仮定す るわ けであ る.

(22)

券 換 金 可 能額 あ るいは ク レジ ッ ト・ライ ン と経 常 取 引額 との 比 率,お よびそ の期 の証券 の利 回 りに 依 存 して き まるだ ろ う。 他 の事 情 が 一定 な らば,危 険 回 避 の強 い主 体 ほ ど,こ の時 点 は現 金 澗 渇 時 点 よ り離 れ,Tの 確 率分 布 の標 準 偏差 の数 倍,極 端 な場 合 に はそ の範 囲(上 限)に 対 応 す る点 に な るだ ろ う。

この よ うな 点 まで 貨 幣 を 予 備 的 に保 有す る場 合 に は,か れ は リス クか ら完 全 に 免 か れ うる。 しか し,そ の期 待 値 か ら甚 だ し く乖 離 した極 端 な現 金 流 出 の 確 率 は 僅 少 な ので,こ の よ うな 「安 全確 保 残 高 」 の 保 有 者 は,リ ス クの完 全 回 避 の た め に,期 待 収 益 を 大 幅 に犠 牲 に す る こ とに な ろ う。 通 常 は換 金 は, 各 時 点 の将 来 支 出額 が そ の標準 偏 差 の一 定 倍 率 で あ る点 の軌 跡 上 に お いて, 換 金額 が一 定 に な る よ うな 時 点 で 行 なわ れ るだ ろ う。 そ して重 要 な 点 は,こ

の 時 点 がそ の期 の 利 子 率 水 準 に よ って影 響 を 受 け て シ フ トす る とい うこ とで あ る(不 確実性の導入により新たに保有され る予備的貨幣残高は,た とえば 第5‑b図 一 下図一 の現金残高の斜線で示 された部分に相当す る)。

この よ うな不 確 実 性 下 の取 引残 高(T)の 時 間形 態 は,あ る期 待値 と分 散 を もつ 確 率 分 布 と して,た とえば 第5‑b図 の よ うに 示 され よ う。 図 の実 線 げ は 取 引残 高 の 変 動経 路 の 期 待値 で あ り,∂9お よび あ は い わば そ の変 動 領域 を表 わす 。 単純 化 の た め,こ こで は期 中 の支 出 の 時 間形 態 は事 後 的 に は 結 局す べ て期 待 値 の とお りに な る もの と仮 定 す る。 損益 分岐 時 点 は上 記 の ケ ー ス と 同 様 ,t、‑2孕 と して 示 され,し た が っ て,債 嫉 高 の うち,Xt の 部分 は 利 子 収 入 が 手 数 料 コス ト(可 変費用のみな らず固定費用を含む)に よっ て 相殺 され て しま う 証券 残 高 で あ り,X"は 純 利 子 収 入 を もた らす 部 分 で あ る。

この よ うな状 況 下 で は 利 子 率 の上 昇 は,一 方 に お い て 損益 分 岐 時 点 を短 縮

させ る こ とに よっ て期 初 現 金 保 有額,し た が っ て事 前 の 取 引貨 幣 需 要 や そ の

事 後的 な 平 均 残 高を 減 少 させ,(図 では点(・,b,c,aで 囲まれた面積だけ減少 させ

る),他 方 に お い て,換 金時 点 の 右 方 シ フ ト(し たが って許容最低貨幣残高の縮

少)を 通 して 予備的 貨 幣 需 要 を 減 少 させ る。 この よ うに 不確 実 性 の下 で も依

然,非 投 機 的 需 要 は 利 子 弾 力 的 で あ る,r規 模 の経 済」 につ い て も修 正 を必

(23)

確実性下および不確実性下におけ る貨幣の非投機的需要

111

要 と しな い 。 経 常 取 引額 の増 加 は,た とえYの 変 化 に よ って主 体 の支 出 パ

タ ーンが 不 変 で あ る と して も,相 対 的 に 債 券 購 入額 を増 加 させ,結 局 損益 分 岐 時 点 を 左 方 に シ フ トさせ る。 した が って 取 引的 ・予 備 的 貨 幣 需 要 の 増 加 率

は,yの 増加 率 以 下 に抑 え られ る こ とに な る。

XI結 び に か え て

この小 論 で は,ま ず 純 粋 に投 資採 算 の点 だ け が問 題 とな り,一 時 的 支 払 不 能 の リス ク とか,現 金 不 足 時 に生 ず る損 失 や煩 わ しさ とか に対 す る考 慮 を 一 切 必要 と しな い確 実性 下 の取 引需 要 を 分 析 した 。 そ の よ うな単 純 な 状 況 に も か か わ らず,ボ ー モ ル ・ トー ビソ ・モ デ ルの 結論 は,貨 幣 需 要 に 関す る伝 統 的 理 論 と異 な る もの とな った 。

near‑moneyと い われ る,流 動性 や 市 場 性 の高 い利 子生 み資 産 が 広 範 囲 に 存在 し,し か も,こ れ ら証券 と貨 幣 との 間 の資産 転 換 が 低 コス トで 極 め て 容 易 に行 なわ れ る今 日の進 んだ 経 済 に お い て,こ の よ うな利 回 り計 算 に 基 づ く 取 引貨 幣 額 の節 約 は,企 業や 家 計 に よ って 広 く行 なわ れ て い る 行動 で あ ろ

う。

しか しなが ら,貨 幣 収益 が プ ラスで あ り,さ らに それ が 経 常 取 引 額 や 証券 利 子 率 の増 加 関 数 で あ る と仮 定 しな お して両 モデ ル を拡 張 した ス プ レン クル の試 み か ら,か れ らの二 つ の命題 の うち の一 つ,す なわ ち 「規 模 の経 済 」 の 存 在 は 必ず しも成 立 しな くな る ことが 明 らか に な った。

最 後 に不 確 実 性 を導 入 し,予 備 的 残 高 の需 要 も同時 に 考 察 した わ け で あ る

が,そ の結果 は 確 実性 を前 提 と した か れ らの モデ ル に おけ る推 論 を決 して否

定 す る もので な か った 。 総 じて,ボ ー モ ル ・ トー ビ ンの分析 の結 論 は,か な

り制 限 的 な仮定 を お い た単 純 な モ デ ルか ら推 論 され たに も拘 らず,と くに取

引 貨幣 需 要 の利 子 弾力 性 の命 題 は,仮 定 の 現実 化 に耐 え,現 実 経済 へ の適 用

性 は,基 本的 に 失 われ な い もの と結 論 づ け る こ とが で き よ う。 また不 確 実 性

の 下 で は,非 投 機 的 貨 幣需 要 が,投 資 採 算 以 外 に 支 出主 体 の支 払不 能 等 の危

険 に対 す る態 度 に よって も影 響 を受 け うる ことを 明 らか に した 。

(24)

参 考 文 献

[1]w.J.Baum・1,・Th・T・an・a・ti・n・D・m・ ・df・ ・c・ ・h:AnInvento「y Th。 。,eti、ApP・ ・a・h,・Qua・terly1・ 呵E・ 伽 ・mi・ ・…1・66(N・v・1952)・

pp.545‑56.

[2コJ.T・bi・,・Th…terest‑E1…i・ity・fT・an・a・ti・n・Demandfo「cash・"

R,vi,w・fE・ ・n・mi・sandS彦ati・ti・ ・…L38(A・g・1956)・PP・24レ47・

[3コC.M.Sp・enkl・,・ ・L・ ・g・E・ ・n・mi・U・it・ ・Bank・ ・andth・T「ansactions

DemandforMoney,"QuarterlyJournal(ゾEconomics,vo1.80(Aug.1966),

pp.436‑442.

(1971.8.31)

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