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成長均衡と所得分配児  玉  元  平

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(1)

成長均衡と所得分配 147

成長均衡と所得分配

児  玉  元  平

 巨視的分配理論は,ロビンソン的表現を使用すれば,いろいろな命題を提起する諸理論 聞の放浪的現状を示している。一般的にいって,今日の巨視的分配理論には三つの潮流が        (1)

存在しているbその一は新古典派的な分配の限界生産力説,その二は分配の独占度理論,

その三はケインズ的な乗数分析を利用する有効需要のwidow s cruse理論がこれである。

もっともこのほかに最近限界原理から派生した生産要素代替原理と乗数原理とを併用して 綜合的な巨視的分配理論を目指すフィンドレ=フアーグソン流の新しい展開が見られる。

       (2)

ピックスの「賃銀の理論」は第一の潮流に属する最も代表的なものと考えられるが,およ        (3)

そ分配の問題はいろいろな角度から考察されうるし,特定の問題にはそれぞれ適切な分析 方法が存在する。経済成長過程における所得分配の問題を貯蓄率という観点から考察しよ うとする最近の傾向はそれ自体として十分の存在価値を持つものである。しかし,貯蓄率 が唯一の観点ではない。 ピックスはその近著「資本と成長」において成長均衡過程におけ       (4)

る所得分配の問題について一つの新しい分析方法を与えている。ピックスは「賃銀の理論」

では代替の弾力性という概念を使用して分配理論を展開しているが,成長均衡の分析では この概念は表面的には登場しない。しかし,ピックスはいう「私は現在分配の理論は生産 函数や代替の弾力性のタームで展開される理論だと主張するつもりはない。しかし私はそ の理論を完全に放棄しないであろう。」放棄レないとはどういう意味であろうかd以下にお        (5)

いて成長均衡とこれに関連する所得分配率の問題に対するピックスの分析について紹介的 吟味を行いたい。

 ピックスの成長均衡一不変的な成長率で発展する経済の均衡一のモデノヒは,三つの 方程式から構成せられている。即ち,価格方程式,数量方程式,貯蓄三三球がこれである。

すべての消費財は不変の割合で生産され消費されると仮定する。即ち消費財を単一財(同 じ仮定でロビンソンは含成商品composite comlnoditiesとよんでいる。)として取扱うこ とができる。.ヒックスは穀類で表示している。資本財も単一の資本財と仮定し,・消費財産 業部門にも資本財産業部門にも使用される。(ピックスではトラクタ{で表示し, トラク

ターは穀類にもまたトラクター自身の生産にも使用される。)減価償却を無視して資本財の 耐用期間は永久的と仮定する9成長均衡が成立するためには,資本のス.トックは増大しな

(2)

ければならぬ。そして労働の供給もまたそれと同歩調で増大しなければならぬ。労働力は 自然増加,或いは継続的な移住によって成長する。労働供給は現行賃銀率で完全に弾力的

と仮定しよう。

 消費財め価格方程式ば,

      Pc=rPKα+wβ       (1)

ここでPGは消費財価格, PKは資本財価格, rは利潤率(利子率と同じ),wは賃銀率,

αは消費財における資本投入係数,βは労働投入係i数を示し,これらの係i数は固定的と仮 定するこb,資本財の価格方程式は,,

      PKゴrP踏a・一ドwh       (2)・

aは資本財におけ忍資本の投入係数,・bは労働の投久係数を示し,共に固定附と仮定する。

rどwは両部門で同一と仮定される。

 (2:)攻.り

      一撃一三a       (3)

ざらンにC1りを(3)に代入して,,

      黒一β+1望

このて4>:式ば実質賃銀率と利潤率どの函数関係を示し,、

(4)

ヒックスは賃銀方程式どよび,,ザ ム並ルソンは要素価格方程式とよんでいるも(3、)FでPk/w>0・である、ために橡ra<1:であ       (6)

らねばな:らぬびそこで(4):はつぎのよう に示しケるb

     」莚._β+rαb       W・

/1+m+伽)・+,・}

(5)

r二が上昇する・とw/Pcが低下するび所与の技術のもとで,、実質賃銀率と利潤率どの関係を 二つの曲線で示すことがでぎる。(第L図)・

r

1/a

σ1

A

B

      1/B  Pb        第一図1・

るど,1賃銀曲線は原点に対享して凹形とな.り,.

春う。以上の式より相対価格は貯蓄率に関係なぐ確定する。

   類賃銀率が零である場合の極木和潤率1ま     r=1/aである。反対にrが零であ胤三三     の極大実質賃銀率はw/Pc=1/βである。

    この賃銀曲線は右下りであるがどのような     形状を:とるカ:yば両産業部門聞の資本労働比     率の相違に依存するσ消費財部門の資本労     働比率(α/βンが資本財部門の資本労働比     率(a/b)1よ、り犬であるど,賃銀曲線ば原

W    点に対語て凸形どなるσα/β昌a/hである     と賃銀曲線は直線どなり},、αゾβ<a/b凄であ    いつれの曲線もr=翌a,w=1/β1の裁片を       換言すれば」,利潤率が外生的

(3)

成長均衡と所得分配 .禰

にあたえられるならば,価格方程式よ紅w〆iP鵡とW潤k拘§確定甥る。又実質賃銀率が外 生的にあたえられるならば,利潤率と相対価格は確定する。        一,硫・∵、

 ハロツド的成長分析では,貯蓄性向が高いほど成長率は海焼ρ ζの命三熱隙回し露うや ここワ一式が導入される・資本の量をK・労働嘩をL耐と・.これらは両部戸q

で雇用きれているから,

      KゴK・+K・一αC+・1     に,:.・11⑩・一

      L=・:L1+L2ゴβC+bl       .    (7)

ここでCは消費財,1は資本財の産出量を示す。

いま所与の:Kとしの完全雇用が成立するためには,投入係数の固定性を仮定すれば,消費 財と資本財の産出量は,

      C一αb皇。βK一αb皇。βL... (8)

      1一αb皇。βレαb皇。βK   ⑨・・

この解は第二図で示される。横軸にK,縦軸にLを測る。P点が現存のしとKを示してい る。これら生産要素が完全雇用であるためには,,消費財の産出量はベクトルOP1資本財

L

t

L3 Ll

:P2,・

IlPl

i}

1

・い証

G

1戸・

1

1

1

C

 O    K2K,    K      K

        第二図

ればならぬ。いま:Lは一定とするとP点は水平的に右に移行する。

に減少し,極限では,すべての労働と資本は消費財の生産に利用されることになる。その 場合のL/K・は。

      lL    β

      :K = .α      噛   GO)

の産出量はベクトルOP2であらねばな ち掬◎ベクトル・OP2滋《Kであるか ら,潔期で鼠点はゐKだけ右に移行す

るρ 労働増加は外生的.とすゑ9、△】ξ/K:

がンンスタン㌔ト惹ある㊧、めには為/Kあ コンス・タン,トであらねばなら,玲。、即ち,

△:L/:L醤△Kl/Klであらねばならぬ9資 本成長率が上昇する沈めに,は:L/Kは上

昇しなけ細朔碑・1幽幽襯長率

が低下するなめには工/Kも低下しなけ         資本財の産出量も次第

となる。反対に労働力の成長が資本成長より大であると,

減し,極限では

       :L    、b       K     a

一人当りの消費財の産禺量は低

・(11)

(4)

となる。第二図では消費財部門の資本労働比率が資本財部門のそれよりも大であると仮定 されている。

 いま,経済の成長率を9で示そう。

        1      ・

       K −9・1−gK・        (!2)

(6)式に代入して,

      K=αC+agK  「      (13)

      .   K       α

      ・・Cコ ↑一。g        (14)

資本財生産と消費財生産の比は,

       き一山g      (15)

(8)より,

      L一βC+b、1弩gC・ .  (16)

      ∴き一βや1≦暑9㌦1  (17)

C>0であるためにはg<  1 であらねばならぬ。以上が数量方程式である。9があた        a

えられるならばこの式より数量比率が求められる。この数量方程式と価格方程式との間に は完全な対照性が存在する。これらに貯蓄方程式が付加されるとモデルは完結する。経済 の均衡は所与の実質賃銀率で完全に決定される。

 貯蓄方程式にはいろいろな形式があたえられる。いま貯蓄率は国民所得に対する比率と

じて,

      SF=sY雷s(pcC十pKI)      . (18)

貯蓄は投資にひとしいとおいて,

      pKI 躍s(pcC+ pKI)       (19)

      ∴1皇,一謡.、    (2・)

そこで実質賃銀率があたえられると,rがきまる。 rがきまると相対価格PK/Pcがきま る。そζで貯蓄率が大であるほど,1/Cも大である。そこで(15)より1/Cの比が大であ るほど成長率9も大である。ここに,貯蓄性向が大であるほど均衡成長率も大であるとい う命題が成立する6

 ところで,貯蓄率が一定でPKI/PcCの比が一定に維持すべきであるならば, PK/Pcの 比が反対の方向に変化した場合にのみ,『1/Cの変化によって9が変化しうる。価格比の式

(5)

成長均衡と所得分配 15↑

       幾一器鵠      (21)

で示される。ここでq諏rPKである。(21)を変形して,

       睾奢{聾ll   ・(22)

      W

Pc/wの変化とq/wの変化とは平行するから,実質賃銀率の変化によって相対価格が変 化する場合を吟味するためには,q/wについて(22)を微分・して,

d(PKPc)一。β一αb d(旦W) (÷・α+β)葺

(23)

(23!の正負は分子の正負によってきまる。aβ=αb即ち両部門での資本労働比率が同一で あれば実質賃銀率が変化しても相対価格は変化しない。両部門の資本労働比率に差異があ る場合にのみ・相対価格は変化するrαb/aβ=mとおいて、m=1の場合にはSを二定と して9を高める方法はない。資本労働比率に差異があるにしても,相対価格の変化によっ て9を高φるにもある制限がある。

 実質賃銀率変化の限界を考えよう。r富0であると,極大実質賃銀率は1/βであった。

q謡0であるから,(21)より

PK b Pc β

となる。この場合の成長率を9、で示すと,(20)に(24)と(15)を代入して        s     b   α91

       1−S7一β1−ag1

この式より,

        β  幽αb    sαb

      S βa  詔 一三「91一   βa  91 +sg1 αb/aβ謡mとおいて,

      ・一1−m齢・mg、+・g、

(24)

(25)

(26)

(27)

      ∴翫一晩(m−1)11一、)+1   (28)

つぎにw=0,r=1/aの場合を考えよう。 q=PK/aである。そこで相対価格は        PK     a

       Pc一=α        (29)

(6)

この強含の成長率をg2で示すと,

S a α91

1−s α 1−a鍔1 〈30)

       

   ζ一.・・9・=a     l    (31)

貯蓄率s<1であるとg、<1/a,g2<1/aである。またs>0であるからg、>0, g2>0 である。 ま北。飢誤1であると,9ユ只92となる。ζのごつの制限の申でのみ相対価格の 変化が成長率を変化せしめうるのである。この制限のどちらが太であるかは. @一D の符号に依存する。m>1であると,9・く9・である。そこで, wを低下せしめてrを上 昇せしめると9は大きくなる。反対にm<1.即ち資本労働比率が資本財部門での方が大 であるとg1>g2,そこでrの水準が低いほど9は大きくなる。

 所得分配の二部門モデルを構築する場合,生産要素集約度の相違が一一つの意味を持って くる。フィンドレーの分配モデルでは資本財部門の資本労働比率の方が消費財部門のそれ よりも大であると仮定されている。この仮定は伝統的な仮定即ちm>1の仮定と反対であ う・ヒックスのモデー吟1留それぞ醐合が考察されている・カルドアではブ

インドレー流の仮定は必要としない。カルドアは述べている。「私は資本財産業と消費財 産業との相対的資本集約度に関する特殊な仮定に依拠するようなフィンドレー氏の新古典 派理論とケインズ的分配理論との融合方法は説得的であるとは考えない。」カルドア自身は        (8)

三つの生産函数の相違を想定することなくして,ケインズ的なマクロモデルで分配命題を 誘導するζとができると考えている。 「ケインズ的モデルでは,より高い資本支出水準は 必然的に総供給函数に比して総需要函数を上昇せしめ,そのことによって完全雇用の状態 では,生産函数の等生産物曲線や生産物変換曲線上の移行とは関係なく,費用にたい・して 欄国警礁を上昇せしめる・炉部P三間におけ讃本日鰍率嵯異が所得分配の問題 にどのような決定的な意味を持つかは後で吟味するとして,まず貯蓄の仮定について考察

しよう。

 いま募での貯蓄の仮定はハロッド的な仮定であった。これに対レて貯蓄を労働者階級と レンテイヤー階級(rentier)一この概念はロビンソンにおいて,資本家を富の所有者と しての面(企業家としての面に対立するものとして)においてあらわすために使凧されて いる。レンテイヤーの所得は利子報酬,配当を含み,また企業家自身の家計に手渡す金額

も含んでいる。レンテイヤーは企業家の生産面に対立して,所得の支出面を代表する階級 をあらわ、している。一の貯蓄に区分するカルドア=ロビンソン的な貯蓄仮定がある。

         (1①

      S一・slrPKK+s2wL      (32)

最も単純な仮定は労働者階級は.貯蓄しないどいう仮定である。即ち,

      S=・slrPKK       (33)

この仮定をまずとってみる。貯蓄と投資とはひとしいとおいて,

(7)

成長均衡と所得分配

      PKI =slrPKK       PKgK = slrPKKl       .. 9=S1∫

s1=1であれば, g寓rである。いま消費財を価値の基準としてPG等1

       二一β+蔑

t5$

   (34)

   (35)

   〈a6)

とおこう。(4)は

(37)

(36)では数量比が含まれていないから,貯蓄方程式と賃銀方程式との二つで足りる。実質 賃銀率があたえられると,(37)より利潤率がきまる。(36)より所与のs1のもとで9がき まる。もし,成長率が所与であれば(36)より利潤率がきまり(37)で実質賃銀率がきまる。

実質賃銀率が高ければ利潤率は低く,それ故に成長率は低い。逆にいえば,所与あ成長率 が低ければ利潤率は低く実質賃銀率は高くなる。s1≦(1であるからg三(rである。

 以上の分析は既述のごとく単一の資本財モデルを仮定している。ピックスはさらに進ん で多数の資本財が使用されるモデルを碍定しその場含における価格方程式と数量方程式を 求めて:いる。例えばn個の資本財を仮定し,」番目の資本財一単位の生産に必要されるi 番:目1の資本財Q量を、ail之,減価償却率を,dijとすると,

      菊翠i3]Riナ4il授乳jPi=・王㌧(r十d1.1) aij       (38)

がi番目の資本財使用に関する費用である。そこでn個の資本財の価格方程式に,

      Pl=ΣP呈(ra弐1+eil)+wbl      (i=1……n) 〈39)

この式でeil=dilailである。次に消費財(ここでは更に単一財と仮定して)の価格方程 式は

      Pc=ΣPi(rαi+εi)+wβ      (4P)

ここでεiは産出物一単位当りの消耗量diαiを示している。消費財を価値の基準とすれ ば,賃銀方程式は,

       ↓一ΣC馬一)(・α・+ε・)+β    (41)

これは単二資本財モデルの場合と同じく右下りの賃銀曲線で示される。ただ単一資本財の 場合には,両産業部門での資本労働比率の差異が曲線の形状を決定する上に重要であった。

多数資本財モデルではそのことは妥当しない。正常的にはこの曲線は二次以上の高次の曲 線である。

 つぎにi数量方程式である。各資本財の期首存在量をK:iで示し,粗産出量を11iで示そ う。成長均衡においては資本ストックは9,の率で増大するから.εKiが純投資量を示すこ とになる。そこで,

      9:Ki = Ii 一 ΣeijIj一 εiC      (42)

が各資本財の蓄積方程式である。資本と労働は凡ての財の生産に利用されているからρ

(8)

      :Ki=Σaijlj+αiC       ■一 Σ1)jlj+βC

以上の式より数量比を求めることができる。(43)を(42)に代入して,

      9(Σaijlj十αiC)==Ii一ΣeilIj一εiC       Ii=Σ(gaij十e童」)lj十(9αi+εi)C

(43)

(44)

(45)

(46)

数量比Ii/Cを(43)(44)に代入して:Ki/C,:L/Cの比を求めることができる。凡てこれら の比は9に依存する。9が大であればこれらの比もまた大である。単一資本財モデノレにお ける命題はそのまま多数資本財モデルの場合にも妥当する。貯蓄方程式を労働者は貯蓄し ないという形で展開すれば9=S、rをうる。これと賃銀方程式とで単一資本財モデルの場 合と同じ結果が求められる。

 以上においてわれわれは成長均衡分析一比較動学一におけるヒックスめフレームワ ークを要約的に示した。この構造の上で所得分配の分析がどのように展開されているか。

まず技術を一定とした単一資本財モデルにおいて見られる成長均衡を想定し,この成長均 衡における要素所得の分配率を考察しよう。そして最後に多数資本財を導入した場合,既 にえた結論はどのように修正されるべきかを吟味しよう。

賃銀所得と利潤所得との比は,

      轟一(})(叢)(長)   (47)

(3)より

w   1−ra

PK    b (48)

(14)と(17)より

KC LK

レ(1−ag α)(β+b1讐亀9)

β一aβ9+αbg

(49)

α

(50)

そこで(47)は,

      轟一(D(1毛ag)(β一aβ農+αbg) (51)

例によってαb/aβ一mとおき,利潤分配率をfの記号で示そう。(51)式はつぎのように書 きなおされる。

(9)

成長均衡と所得分配 155

(「PKKD一「PKK l+(D(1一「a)(β話β9+αbg)(52)

1 f

1一(1イa ra)(1+(r註1)ag) (53)

ここで,

      1+(mm一)。g−M       (54).

 とおくと,

       1−1一藁(1−ra ra)     (55)

消費財の産出量が正であるためにはag<1であらねばならぬから, M>0である。ここ で三つの場合が考えられる。m>1であると, M>1, m〈1,であるとM〈1, m=1で あるとM=1である。技術水準一定,所与の9ではMはコンスタントである。

 いま極大利潤率の場合を考えよう。w=0, r−1/a,そこでf−1となる。極大賃銀率

w一﨟iP・一1)であるとf一・である・そこでfと・との関係を示す曲線はMの値に関 係なく原点を通過し,A点に達する。(第三図)三つの曲線が示される。 m>1の場合,

f 1

0

A

♂ノ㌧

φ∠》

≦∠二_⊥_。r

第三図

1/も

即ち消費財部門の資本労働比率が資本財部門の それよりも大である場含は最上位の曲線のごと く上に凸型となる。m−1の場合,即ち両産業 部門の資本労働比率が同一の場合(55)よりf=

raとなりOAをつなぐ直線となる。さらに m<1の場合,資本財部門の方が資本労働比率 が大であると最下位の曲線のごとく上に凹型と なる。所得分配率がきまるためには貯蓄方程式 が導入されねばならぬ。

労働者階級は貯蓄しないという最も単純な場含を考えよう。

      S==s1(「PKK)        (56)

これから貯蓄投資がひとしいとおいて,

      ・一ξ.        (57)

とうる。いま,仮りにm=1の場合をとろう。第四図で9とs、とが所与とすれば,(57)は S曲線で示される。r≦(1/aであるかちS直線はA点より左側に位置するはつである。 9 を所与としてs1の上昇はS直線を左にシフトせしめるから,このことは利潤分配率を低 下せしめる。さらに9の上昇はS曲線を右にシフトせしめOA直線が変化しないかぎり利 潤分配率を上昇せしめる。この点でカルドア的なwidow s crusの分配命題と一致する。

(10)

f

1

0

S

噛第四図 も資本集約的である。

ところでこのように技術選択の余地がある場合,

のは最高可能な利潤率をあたえる技術である。そこで実質賃銀水準がOwにいたるまでは AB技術が採用される。実質賃銀率がOwを

       「資本家は彼等が支出するものを獲得する。」労働者階        価

       級が貯蓄し ない限り階級として所得分配率の決定にか        かわらない。カルドアでは利潤は投資性向と資本家のA

      消費性向に支醜されるから,賃銀は残余である。

      (1助         以上までは単一の技術を仮定してきた。複数技術が        ⑱

       存在し,技術選択が可能であるとしよう。第五図では     r  mコ1と仮定して三つの技術がある℃AB技術, A

1海       B 技術,A B 技術である。 A B 技術はAB技術よ        りも資本集約的であり,A B 技術はA B 技術より  生産技術についていえ:ぽ1/a>1/a 〉、/a ,即ちa<a <aである。

       一定の実質賃銀率にたいユノて選択さ.れる

こえてOw にいたるまではA :8 技術が採 用され.,Ow,をこえればA B 技術が採用さ れるであろう。三つの技術曲線(賃銀曲線)

の包絡線を賃銀フロンティヤとよぶ。

一サムエルソンは要素価格フロンテイヤー とよんだ。一技術選択可能な場合における       凹

実質賃銀率と利潤率との関係はこのフロンテ ィーについて見られる。実質賃銀率上昇につ れて利潤率低落の程度は単一技術の場合より

もかんまんである。

める。

r

Aノ

A

A

      O w鴨 B・B〃W

       第五図

         実質賃銀率の上昇,利潤率の低落はより資本集約的な技術を選択なし    この傾向は既にベェーム・バヴエルやウイクセルにおいて述べられているところの 利子率の低落は平均生産期間を延長化せしめるという命題と同じである。aは資本財部門

における資本投入係数を示すから利潤率の低落,1/aの低落は,資本財部門がより資本集 約的となることを意味し,他方1/β<1/βノく1/β となることは消費財部門の労働集約度 が低下することを意味する。いわば,高い実質賃銀率にたいしては労働に対する資本の代 替が生ずる。資本労働比率の高い技術が使用される。 この代替は,代替がなかった場合に 生じたであろう利潤率の低下を軽減し,それ故にまた成長率の低下を軽減する。

 第四図に1か日える。厩述のごとく利潤率の上昇はaを低下せしめる傾向があるかち, rが 上昇するにつれてA点は右にシフトする。・いま連続的な技術代替が可能と仮定すると,各

工の水準はそれ自身の技術と技術曲線をもつけれども,各技術曲線上の一点のみが有効点 にすぎない。ぞこで一定の技術水準の下で,可変的な生産技術に対する価格数量曲線は,

これちの有効点の軌跡どして求められる。第四図のOA曲線の代りに第六図のひどき曲線

(11)

成長均衡と所得分配

が示されるbこの曲線はr・が最初上昇する につれて右上りであるが或るrの水準を越 える・と右下りとなり1,高いrの水準では f一αどなっているb このような曲線のえ がかれる理由をヒックズは:つぎのように説 明する。選択可能な複数技術の場合,これ ら技術の間で窺の最小値と最大値が存在す るbいまrがきわめて低い水準まで低下し たとして1/aの最:小値がえらばれたとす

るb

f

1

0

熔r

  これ以上rが下落するとfは零に低下しなければならぬ。

より出発する。反対にrがきわめて高い水準まで上昇して1/aの最大値がえらばれたとす る。 これ以上のrの上昇は利潤分配率をさらに上昇せしめてfコ/にいたらしめる、ことは 可能である。 ところでaの最小値が零となってはならない理由ば原理的には存在しない6

きわめて高い利潤率,したがって高い利子率では資本自体の使用が全然申止さ・れる。 この ような場合,rは高水準だがfは零であるbこの可能性を考慮に入れると価格数量曲線に は右下の領域が存在する。このような場合rとfとは必ずしも平行的に動かない。 ここに

ピックスは代替の弾力性という概念を復活せしめる。即ちrの上昇がfを上昇せしめるか いなかは価格変化に対する技術の感応度に依存する。

 さて,労働者階級の貯蓄を導入しよう。,

第六図

そこで価格数量曲線は原点

      S=slrPKK:十s2wL

貯蓄と投資とはひとしいとして,

      gPKK=slrPKK十s2wL

       §四脚,踪縞+咲1−1).

.  1

@ f

1−li.(9     −1Slr)

(58ン

(59ン

(60)

(61)

r躍一〇であるど,.fl誕0;.そこで(47>の曲線は原点ま・り・出発する。,w盟0}, f』Tであると,路一 gプs、となる。この値は労働者階級の貯蓄性向と無関係に定ま、るσs皇/s、}患(55)のMに類似 しているから賜/・・そ↑にしたがって(61>の騰の形状が異なる・(1』〈・・,暢 合,これはカルドアのモデルに対応する。カ・ルドアモデルでは

      銑〉弩1>恥・       (62>

が制限条件でありP,S2<S、が安定条件とよ ばれている。「S、<S2であるならば,物価の 下落は需要の低落を生ぜしめ,さらにまた物価の下落を誘発せしめる。同様に物価上昇も 累積的となる。」s2<s1であると第七図で示されるごとくS曲線は1上に凹型・をとる。 m>1       ㈱

(12)

f

1

0

S A

「P. @」  「 .「   Ti  1」 層

,1

!… @・;

3

r 第七図

9/S 1海

性向の上昇はともに利潤分配率を低下せしめる。

率は外生的にきまり,二つの貯蓄率が変化しても不変であると仮定されており,彼の分配 命題はこの仮定に依存するものであることを明示している。ところでいま,シュナイダー       (1⑤

の分配モデルを吟味してみよう。国民所得を企業者所得(R)と非企業者所得(W)とに       q7}

区分して,つぎのような分配基本方程式がおかれている。

  1護磯(長一の    (63)

所得分配率は両階級の貯蓄性向と投資利潤比率1/Rとに依存する。1/Rが小であるほど 莉潤分配率は大,両階級の貯蓄性向が大であるほど利潤分配率は大となる。この結論はカ ルドアどまさしく逆である。その理由はカルドアでは投資所得比率が外生的変数と仮定さ れており,シュナイダーでは投資利潤比率が外生的変数と考えられていることにある。ク レレはガルドア的仮定の方がより現実的であるといっている。いつれにしても分配命題を        (1鋤

比較吟味するためにぽ,投資や所得の決定要因をその構造的パラメーターにまでさかのぼ って追求することが必要である。

ピックスの分配モデルにかえる…と・・と嗣比率だけ塀したとしても・一 は減少するから利潤分配率は低下する。興味ある問題は(現実的にはあまり意義はないが)

s2〈sコでm<1一の場合である。二つの曲線は共に上に凹の形を・とる。 Mが1より僅かだ け小でありS曲線がさらに低いと交点が生じ結論は前に同じである。しかし,Mが1より 小で且つS2/S1よりも小であると二つの曲線が交わらない可能性が生じる。さらにS2=S、

でm=1の場合,S曲線OA曲線ともに直線となる。 s2=s、の仮定はカルドアモデルで は成立しない。この場合,カルドアの分配基本方程式は完全に意味を失う。ピックスの場 合でも両直線が同一の包配をもったとしても利潤分配率は一義的に確定しない。単一技術 で・1n=1, s2−s、,であれば,ただ利潤率を調節するだけでは成長均衡は確定しえない。・

 複数技術が存在し,S2<S、の場合貯蓄曲線の右シフトは利潤率を低下せしめる。しかし ζれが同時に利潤分配率をも低下せい)るかは,既述のζとく価格数量曲線が折り返って として価格数量曲線がえがかれている。二つ の曲線の交点でfが決定する。9を一定とし てs1.の上昇はS点を左に移行せしめるから

fを低下せしめる。資本家階級の貯蓄性向の 上昇は利潤分配率を低下せしめる。完全に widow s cruse命題に一致する。またs1を 一定としてs2の上昇はS曲線のふくらみを 縮小せしめるから,利潤分配率を低下せしめ る。これもカルドアの分配モデルの命題と一 致する。要するにカルドアでは両階級の貯蓄   カルドアの分配モデルでは,投資所得比

(13)

成長均衡と所得分配 159

いるかどうかに依存する。そこで労働者の貯蓄を導入しても価格変化に対応する技術の感 応度が利潤分配率を左右するという以前の結論は変らない。以上の考察から明らかである ごとく,貯蓄性向の所得分配に及ぼす効果は単一技術の場含はかなり明確である。しかし 複数技術の場合,ピックスの指摘するごとく貯蓄の増加は利潤率を低下せしめるにしても,

それが所得分配率にあたえる効果は不確実である。ヒックスが分配分析において生産函数 や代替の弾力性め概念を放棄しえない理由がここにある。

       ⑲

 今迄は技術をコンスタントと仮定した。しかし,経済の成長過程は通常技術進歩をとも なう。ところで技術進歩の所得分配にあたえる効果は,中立的技術進歩,資本使用的技術 進歩,資本節約的技術進歩という三つの類型から吟味される。成長均衡では技術進歩は所 得分配率をコンスタントならしめるという意味で中立的である。この中立性の基準はいろ いろの観点から吟味されている。ハロツドーロビンソンの定義では,コンスタントな利潤       〔2①

率で所得分配率を不変ならしめるような技術進歩は中立的である。即ち,この場合,利潤 率が以前の水準と同一になる点まで資本ストックが適労した場合の技術の状態を示すもの である。そしてこの中立的技術進歩ではロビンソン的な実質資本比率はコンスタントであ

るが資本労働比率は上昇している。

 労働者は貯蓄しない場合,g=slrである。これは技術と関係がない。そこでs1があた えられるならば,9がコンスタントということと,rがコンスタントということとは同じ である。ところで。労働者は貯蓄するとすると,(6Dより9は利潤率と利潤分配率に依存 する。そこで技術進歩の効果を吟味する場合,貯蓄方程式は不変であるから,ハロッドの

ごとくrを一定としてfを不変ならしめ乙技術進歩は中立的であると定義することはきわ めてもっともな仕方である。しかしここで明確にしておかねばならぬことがある。資本労 働比率についてである。既述のごとく,ロビンソンは実質資本比率という用語を使用して いる。これは資本を労働単位で測定している。しかし資本は消費財で測定することもでき

  21)

る。前者の意味で資本労働比率はPKK:/wL,後者の意味の資本労働比率はPK:K/PcLで 示すことができる。そこで利潤分配率はrPKK:/wしであるから, PKKI/w:しがコンスタン トでrがコンスタントであれば利潤分配率も不変である。ところで二つの意味の資本労働 比率の比はw/Pcである。そして,一定の技術では賃銀方程式より知られるごとくrが一 定であればw/PGは一定である。技術変化はこの賃銀曲線のシフトで示される。この場合

にrが一定であればw/pcは上昇する。もし, pKK/wしが一定であればpK:K/pcLが上 昇していなけれぼならぬ。そこでハロッド=ロビンソン的な意味での中立的技術進歩では,

PKK/PcLは上昇していなければならぬ。ここでピックスはいう。「静的な意味ではそ れは中立的な発明ではないであろう。それではそれは資本節約的なのか,労働節約的なの か。われわれがすでに要素分配率の価格数量曲線の考えられる後退的転回について知りえ たことがらからすれば,その問題に直戴的な解答をあたえうるとは考えない。旧い静学理 論もそれ自体直裁的な解答をあたえない。それは一切は代替の弾力性によってきまると言

(14)

うであろう。」ビックス自身ば「賃銀の理論」では物量的な資本労働一定と仮定して発明のF      ⑳

所得分配にあたえる効果を吟味しているb:K/Lを一定として,・即ち,労働と資本の平身 生産力が同一率で上昇したと仮定して①資本の限界生産力の上昇が労働の限界生産力の上

昇より大である場合,技術進歩は労働節約である。 ②資本と労働の限界生産力の比が技術 進歩にかかわらずゴンズダントであれば,一技術進歩ぽ中立的である。③労働の限界生産ガ

の上昇が資本の限界生産力の上昇より大である場含 技術進歩ぱ資本節約的であるbてれ がヒヅグズ定義であるb・分配分にそぐしていえば労働節約的な技術進歩は労働所得の分配 率を減少ぜしめ,資本節約的な技術進歩ば利潤分配率を減少せしめ,一中立的な技術進歩ぽ

所得分配率を不変なちしめる。ヒヅグズの基準は,二つの生産函数上の点の比較どいう形 であたえられており,K/:L一定という仮定の根拠ば,ヒヅクスの定義は全体としての経 済に関連しており,マクロ経済の水準では, ミクロ経済の水準と異なり,生産要素価格は 所与ではない。生産要素価格の変化ば,一生産要素聞の代替を生ぜしめる,この生産要素代 置による:K/しの変化は技術変化によるものではない。そこで技術進歩の定義では:K/L 楚一定と仮定しなければなら禰。一既述のごとく:K/L塗)比ぽ物量的に解釈されている。こ れは静学的なアプローチでは妥当な方法であるとヒックスはいう。彼は述べているげ「も       (23)圏

し,われわれが,静学的比較を行おうとするのであれば,われわれは資本の物的概念一 それの適用にさいして起る実際的(且,たしかに理論的な)諸困難が何であっても,一 を使用すべきであると考える。そう歩れば,発明の分類に関してぽ,なんら特別の困難は 存在しない。」問題が成長均衡の比較というてとであれば物量的な意味でのK/L一定とい

   (2の

う仮定は意味がない。一の成長均衡経路における資本財の明細=書と他の成長均衡経路にお          (25)

ける資本財の明細書とは決して同一でないかちであるdこの場合既述のごとくPKK/wし とPK・K/PGLの二つの資本労働比率がある。明確に区別さるべきである・。

 最:終に多数資本財を導入しよう♂分配方程式は

       1毛f−f響一+・謡(鳥)蕗ご (64>

授術を一定どすればfが上昇すればPi/w も上昇する。そしで謬が上昇ずれば又Ki/Cと

:L/Cの比も増大ず観ぞごでr藤木変とすれば,(64)ばK:/膨の加重総霜1どなる。・分子分 母どもに9め上昇どともに増大ずる6そこでrrが治シズダンド・♂識械窪利潤分配率はコン ズダントであるどいうケースが見られる。 (M=1・の場合に対応している。〉単一資本財モ デルで血』↑め場合価格数量曲線は直線であった。ところでこの多数資本財の場合には,

価格数量曲線が直線となり・えたとしでも,その直線め条件ど9tどば独立的であるという条 件どば異なるものである。いつれの場合にもfが上昇すればPl加ば上昇するdそこで9 がコンスタントであればでが上昇すれば利潤分配率は上昇ずる。そこで一般に価格数量曲 線ぱ右上りの曲線となる。問麺は貯蓄曲線との交点である。複数的な交点が存在するかも レ池ない9糎数拉術め場禽・既に述べたごとく価格数量曲線は折り返るがも・しれないσζ

(15)

成長均衡と所得分配 !61,

の場合単一資本財につ.いて述べられたと同じよ・うに分配命題については不確定性が残る。

註  (1) Joan Robinson, collected Economic Papeτs,1960, P.145。

  (2)R…ld Fi・d1琴γ・ E・G・・mi・Gξ・wth・nd th・Di・t・ib・ti・・Sh・・e・・ R・view of    Economic Studies, Vo1.李(XVII,1960, p.167

   C・E・F・・g・・n・ Th…i…fDi吊t・ib・ti・n・nd R・1・ti・・Sh・・e・・ J・h・b廿ρ塁・・恥・

   Nationa16kollomie und Statistik,1964, PP.23〜37.

    拙稿「所得分配理論の一考察一乗数原理と代替原理の綜合化を肝心として一」経営と経済

・第四+四年第二聯丁○○鯵照     、..

  (3)J・R・Hicks・The Theory of wages・1932, second edilioρ・1963.

  (4).」・R・Hicヒ1・.Capltal and G「owth・1965・

  (5) J・R・Hicks, ibid・, P.172.

  (6)Paul A. Samuelson, Parable aDd Realism in Capital Theory:The Surrogate    Produρtion, Review of E『onomic Studies,1962, PPj93〜206..

    なおピエP・スラッフアにも同じような分析方法が使用されている。Piero Sraffa, Pro    dllction of Commodities by Mleans of Commodities,1960.P.22.

  (7)Rollald F玉ndlay・ b d・・pr・167〜178・ブインドレFの輝モデルでは資岬糊の    資本労働比率が相対的に高いという仮定は重要な意味をもつ。

  (8)N.:Kaldor, A. Rejoinder to Mr. Findlay, Review of Economic Studies,1960,

   P.179.

  (9) N.Kaldor ibid., P.181.

  (1① レンテイや階級の支出が資本蓄積1墨程に対してもつ聖断については,.拙稿「Wi ow s    Cruse効果に関する一一研究一Pビンソン蓄積論におけるレンテイヤーの地位一」経営    と経済第四十二年第二四天九十二号参照。

  {11) N:Kaldor, Essays on Va111e and Distribution,1960, P.230.

  (12) N.Kaldor, ibid., P.230.

  個 単一技術の成長モデルはPビンソンの出発点である。 「第二篇第一部「技術が唯一つの    場合の蓄積」は……最も重要な諸命題を含んでおり,本書の残余の部分はこの申心核の周    囲にある諸々の複雑且つ条件付きの諸問題を取扱うものと考えられてよいであろう。」Ioan    Robinson, The Accumulation of Capital,1956,P・ix.

  〔14)Paul A・Samuelson, ibid., P.195.

  ㈲ N・K:aldor, ibid., P,230.カルドアの分配基本方程式では1/(SrS2)が所得分配の感    応係数とよばれ,投資所得比率の変化に対応する分配率の変化はこの係数に依存する。S1=

   S2ではこの係数は無限大となり,モデルは不安定的となる。ところで, S1>S2という条件    はまた利潤分配率が正であらねばならぬこと,賃銀分配率が正であらねばならぬという条件    からでも導出される。賃銀低落の下限を最低生存水準,利潤低下の下限は危険プレミアムや    独占度によってきまる最低利潤とする,カルドアの安定条件は上のようなことを合意してい    る9

(16)

(1③N・Kaldor,』ibid・, P.229.「この仮定は或る制限内においてのみ真実であり,この制限外  では理論は妥当しなくなる。」

(1のE.Schneider, lncome and Income Dis重ribution in Macro・Economic Theory,

 International Economic PaPρrs, No・,8,1958.拙稿「所得分配のWidows, Cruse効  果と独占度」経営と経済第四十六年第二冊第一〇六号参照。

⑬Wilhelm K:relle, Verteilungstheorie,1962. S・81.

U勃J.R. Hicks, Capital and Growth,1965, P.173. and The Theory of Wages,19  63,PP.335 一350.

⑫①拙稿「経済成長モデルにおける技術進歩の性格判定基準について」長崎大学東南アジア研  究所年報第夫集参照。

⑳ J,Robinson, The Accumulation of Capital,1956. Pピンソンではこの概念は経常  雇用労働に対する労働時間表示の資本比率を意味する。このreal caPital ratioと一人当  りの産出量との関係から生産力函数 (Productivity curve)カ£導出される。かかる手法  はウイクセル的である。この比率の大きさはまた生産における機械化の程度を示す。

(22 J.R. Hicks, Capital and Growth, P.182.

(23) 」.R. Hicks, ibid., P.181.

⑳J.R. Hicks, The Theory of Wages,1963,邦訳  311〜312頁.

  「われわれが成長均衡を問題としていないならば同じ物的資本ストックは常に同一量の資  本を示す資本尺度を使用しなければならぬと主張することは時には有益である。しかしかか  る基準はここでは(成長均衡では)適用できない。」CaPital and Growth, P・181・

⑳ J,R, H:icks, Capital and Growth, P,181.

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