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論文の概要 1

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Academic year: 2021

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論文の概要

1 申 請 者

防衛大学校 北川 智大

2 論文題目

修理遅延時間を考慮した保全方策に関する研究

3 論文の概要(博士: 400字~2,000字程度)

どのような場合にどのような保全を行うかを決めたルールを保全方策という.システムの 複雑化・高価格化が顕著である現代では,効率的な保全方策の策定により,システムの大幅 な運用費用削減や稼働率向上が期待できる.

システムが故障後に発生する非稼働状態である期間を表すダウンタイムは,実際の保全作 業にかかる時間である実働事後保全時間,並びに故障からそのフォールトが認識されるまで の時間であるフォールト検出時間,保全資源を取得する必要から保全作業が行われない時間 である補給遅延時間及び管理的事由で保全が行われない時間である管理遅延時間から構成 される.フォールト検出時間は故障が直ちに顕在化しないシステムに発生し得る.

本論文では,実働事後保全時間とダウンタイムに含まれるそれ以外の時間(修理遅延時間 と定義する.)が,異なる性質をもつことに着目した.修理遅延時間の削減は,実働事後保 全時間の削減同様,システムの稼働率の向上を意味する.実働事後保全時間は故障の程度や 修理施設の保全能力等によってある程度決まる発生不可避な時間であり,その削減は効率的 な手法・工程の開発や現場の人的あるいは物的資源の配置改善等の工夫によって行われるこ とが多い.一方,修理遅延時間の削減は,点検や状態監視の高頻度化や,保全能力の増設等,

追加の費用が必要な場合が多く,それゆえ費用と稼働率に関するトレードオフの関係の中で 遅延時間が決定される.

これまでの先行研究では,様々なシステムの保全方策が提案され,その最適解に関する議 論が行われてきた.それらのモデルでは,しばしば単純化のためダウンタイムは全て無視で きるという仮定が用いられてきた.そのような仮定を置いたモデルであっても,実働事後保 全時間を考慮するモデルに拡張することは,その時間を既知の定時間ないし分布として与え ることにより容易にできる.一方,修理遅延時間も同様のアプローチにより考慮することは 可能であり,実際そのようなモデルは提案されている.しかし,修理遅延時間を考慮したこ れまでの研究では,その構成時間それぞれに以下で指摘するように実運用との齟齬があった.

・フォールト検出時間

一度のみ使用することのできるミサイル等のシステムをワンショットシステムと呼ぶが,

このシステムは故障が即座に発見されないためフォールト検出時間を伴う.ワンショット システムは近年複雑化が進んでおり,故障に対しては通常不具合箇所のみの交換といった

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部分的な修理により復旧されるが,先行研究ではシステム全体の取替えを仮定している.

・補給遅延時間

運用場所に十分な保全資源を保管できず,輸送も容易でない場合,故障の際に全ての保全 資源を速やかに利用できるわけではない.このような場合,一定の確率に従って補給遅延 時間が発生すると考えられるが,先行研究ではこのような場合を明示的に扱っていない.

・管理遅延時間

保全費用と稼働率のトレードオフにより管理遅延時間の期間を決定する場合があるが,先 行研究ではトレードオフの性質が考慮されていない.従って,修理方法に複数の選択肢が あり,それぞれの費用と遅延時間が異なるとき,どの方法を選択すれば良いかという問い に明確な論拠を提供できていない.

以上で指摘した問題点のため,いくつかのシステムの保全は理論的に扱う事が困難であり,

経験や勘を頼りに意思決定が行われていた.本論文では,この問題点を解消するための保全 モデルを考案し,費用及び稼働率といった目的関数を数理的に導出し,目標となる稼働率を 満たしつつ費用が最小となる方策を求めた.これにより,先行研究では理論的にカバーでき ていなかったシステムの保全方策を,論拠に基づき決定することが可能となった.

4 キーワード

「保全方策」,「小修理」,「ランダム作業時間」,「事後保全」,「ダウンタイム」

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