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*附 属教育実践総合セ ンター (助教授 )

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(1)

究(3) : S県A地区における調査をもとに

著者 藤原 文雄

雑誌名 静岡大学教育実践総合センター紀要

巻 10

ページ 117‑135

発行年 2004‑03‑31

出版者 静岡大学教育学部附属教育実践総合センター

URL http://doi.org/10.14945/00006849

(2)

静岡大学教育学部附属教育実践総合セシター紀要

M10p.117〜

135(2004)

小・中学校事務職員の力量形成 と専門性に関する研究 (3)

一S ttA地 区における調査をもとに一

A Research on Shaping Professional Competence and Professionability among School Clerical StafFs

藤原文雄*

Fumlo Fliwara

*附 属教育実践総合セ ンター

(助

教授 )

1.本

調査のねらい と調査方法

われわれは、平成

13年

度か ら 2か 年にわたって科研費調査研究『 ライ フコースアプローチに 基づ く学校事務職員の職務 と専門的力量に関す る実態調査研究』

(研

究代表者 :山 崎準二静岡 大学教授 )に 取 り組んできた。この研究で、探求 してきた主題は、①学校事務職員

(1)は

どの ように職務を遂行 してお り、 どのような職務態度を有 しているのだろうか、②学校事務職員は どのような専門的力量を有 しているのだろうか、 というものである。

この研究主題を探求するため、われわれは次のステップを踏んできた。すなわち、〔 1〕 数人 の学校事務職員に対するインタビューの実施→ 〔 2〕 自由記述式の質問項目が多いパイロット 調査①

(2)の

実施→ 〔 3〕 自由記述式の質問項目が多いパイロット調査②の実施 (「 本調査」 と いう

)→

4〕 自由記述式の質問項目が多いパイロット調査③

(3)の

実施→ 〔 5〕 県内の全ての 学校事務職員を対象 とした調査

(4)(「

最終調査」 という

)の

実施 というステップである。尚、

ここに掲げたインタビューや調査は義務教育諸学校に勤務する学校事務職員を対象 としたもの に限定 している。高等学校等に勤務する学校事務職員に対 しては別途調査を行ってきた (5)。

以上のステップを見れば理解できるように、今回のわれわれの研究はステップ 〔 5〕 の 「最 終調査」を行 う前に十分な複数のインタビューやパイロット調査を実施することができた (6)。

われわれは既に最終の目標であるステップ 〔 5〕 の 「最終調査」も 2003年 2月 〜 3月 に完了し、

現在報告書を刊行中である。

今回 「本調査」は、ステップ 〔 5〕 の「最終調査」のためのパイロット調査 という位置付け を持つものであった。 しか し、「本調査」はそれ自体 として学校事務職員の職務や職務態度、

専門的力量の内実 と形成過程を探求する上での貴重なデータであり、 ここに報告することとし た。また、そのデータの解釈に際してはこの 「本調査」を基に行われた 「最終調査」のデータ も活用 して行うこととしたい。

「本調査」は、S ttA地 区の学校事務職員の協力を得て、

2002年

H月 に行われた。調査対象 者は

71名

であり、

39名

の回答を得ることができた。 この調査時点の

A地

区の学校事務職員の総 数は

94人

であり、今回の調査対象の

71人

はその内の 75%に 当たる。今回の調査のねらいである 学校事務職員の職務や力量・専門性等について自分の経験を振 り返 り、まとめることができ得

るだけの経験が必要であろうとの観点か ら調査対象者を副主任

(7)以

上の学校事務職員に限定

した。アンケー ト用紙 と返信用封筒

(郵

券添付済み

)の

配布は地域の学校事務職員のリーダー

(3)

的立場に位置する事務主幹に依頼 し、調査対象者に回答結果 は直接大学に郵送 してもらった。

2.学

校事務職員の職務実態・職務態度

(1)学

校事務 の在 り方 に影響力を持つ要因

学校事務職員の具体的な役割や職務

(学

校事務の具体的な在 り方

)は

地域 によって、学校 に よって、 さらに学校事務職員のキャリア等により相当に異なる、つ まり、あいまいであると言 われてきた (3)。 確かに学校事務職員 はそれぞれの市町村立学校 に勤務す る職 員であ り、職務 内容が異なるという場合 にはそれが合理的である場合 もある。 しか し、そうした当然の異質性 以外の合理性 を欠 く異質性 も多い。 また、職務内容 とい うよ りも、そもそも学校事務 とは何か ということについてす ら合意が形成 されているとは言えない状態 にあ り、一度学校事務 につい て議論 し始めると相互の土台の確認 まで必要 とされ る場合があるとい う点で厄介である。

われわれが行 つた調査で も、学校事務職員の具体的な役割や職務があいまいであることが確 認された。「最終調査」 においては、「学校事務 とい う仕事に実際に就いた直後か ら 5年 間 く ゛

ら いの間に予想外であつた こと、予想以上であった ことの内で最 も印象的であつた もの」を選択 肢の中か ら二つ選んで もらつた。いわゆるリアリティー・ シ ョックについての質問である。そ の結果、「役割や職務があいまい」 とい う選択肢を選んだ人 は 27。

6%で

あ り、選択肢の中で 4 番 目に多 く選択 された。 また、 この 「役割や職務があいまい」 とい う選択肢 を選択 した比率

(男

性=38.7%、 女性

=24.8%)は

男性 の方が高かった (9)。

こうした職務内容の曖味さは学校経営 と教育行政にとって二つの好ましくない結果をもたら してきたと考えられる。つまり、①学校事務職員のモティベーションの低下や満足度の低下、

離職の危機 と②経営資源の一つである学校事務職員の能力が活用 されないという非効率である。

まず、①学校事務職員のモティベーシ ョンの低下や満足度の低下、離職の危機について述べる。

われわれは 「最終調査」で学校事務職員の職務満足について調査 したが、不満足の程度が高 い順番 に

10個

の選択肢

(全

部で 26項 目 )を 並べれ ば、「仕 事 の余裕・ ゆ と りとい う観点

(51.7%)」

→ 「給与水準 という観点 (34。

7%)」

→ 『教育・訓練、能力開発支援 という観点

(33.7%)」

→ 「困つた際のアドバイス という観点 (30。

4%)」

→ 「給与の配分・昇進 という観 点 (29。

4%)」

→ 「権限が与えられているという観点

(28.1%)」

→ 「標準的職務の通知の現実 化 という観点 (25。

7%)」

→ 「校長の監督の在 り方 という観点

(24.3%)」

→ 「自分の役割の明 確さという観点

(24.1%)」

→ 「学校経営に参画 しているか という観点

(23.5%)」

という結果 となった● 0。 今 日の学校事務職員の多忙化を反映して、

 

職務内容の曖味さに関する項目は最 上位には位置 していないが、それでも学校事務職員が職務内容の曖味さに不満足を感じている

ことは確かである。

また職務内容の曖味さが学校事務職員のモティベーシ ヨンの低下や満足度の低下、離職の危 機の一つの原因 にな り得 ることは既 に行 つた 「自由記述式の質問項 目が多いパ イロッ ト調査

①」でも明らかにされている。この調査では、学校事務職員が仕事を辞めようとした時期とそ

の理由を尋ねている。その離職の理由の一つとして自分の学校事務観・学校事務職員観と周り

か ら、殊に管理職か ら期待 される学校事務観・学校事務職員観 との ミスマッチ ングによる悩み

が抽出された。 さらにそ うした ミスヤ ッチングをや りくりす るために多様な対処戦略を採つて

いることが明 らかになった。ある一人の学校事務職員は次のように回答 している。 これ も学校

事務の具体的な在 り方があまりにも広すぎることの一つの帰結である。

(4)

小・ 中学校事務職員の力量形成 と専門性に関する研究 (3)

「やめようまではいかないが、やりがいがほとんど感じられな くなったのはH年目か ら現在です。学校で望まれてい る事務職員の姿 と私が研修 している事務職員のあるべき姿にあまりにもギャップがありすぎて非常にむなしくなること力゛

あります。 しかし、異動などで環境が変わればまた違うかもしれないと思うことでやめないでいます。やめたところで次 の仕事が見つかるわけではありません」

(11)

こうした職務内容の曖味 さは学校事務職員のモティベーションの低下や満足度の低下、離職 の危機 をもた らす とい う問題 に留まらず、学校事務職員の持つ能力が活用 されないという経営 上のロスを発生 させて しまう。学校事務職員の職務内容の在 り方に大 きな影響力を持つ とされ る校長職の考 え方によ り、高い水準の能力を有する学校事務職員の能力が活用 されないとい う 事態 も発生する。

経営

(あ

るいは行政 )と は限 られた経営資源を有効 に引き出 し・活用 し、つなぎ合わせ るこ とにより高い効果を生み出す営みのことをいう。学校事務職員の能力 という経営資源が活用 さ れないようでは経営 とい う機能が働いているとは言えない。

さて、 この職務内容の曖味さを克服するため、学校事務職員は古 くか ら職務内容の明確化 に 取 り組んで きた ことは良 く知 られているところである。筆者 は既 に別稿で職務内容の明確化や その一つの到達点である標準的職務の通知等について論 じて きた

0。

筆者 も職務内容の明確 化 に賛成の立場 にある。 そうした立場に立った上で、 ここでは学校事務の在 り方に影響を及ぼ す要因について調査す ることとした。学校事務の在 り方に影響力を持つ要因の発見 とその影響 力の強 さを確かめてい くことは学校事務の改善に とって重要であると考えたか らである。

そこで、以下では学校事務の在 り方が地域や学校毎 に違 うとい うことを前提 として、その違 いに影響力を持つ要因について考察することとする。われわれが行 つた質問は、以下の通 りで ある。① 「 『学校事務の在 り方は地域 によって異なる』 としばしば言われます。具体的に どの ような点が異なるのか以下の空欄にご記入 ください。」 という質問 と② 「 『学校事務の在 り方 は 学校 によって異なる』 としば しば言われます。具体的にどのような点が異なるのか以下の空欄 にご記入 くだ さい。」 とい うものである。 この質問に対する回答を整理 した結果は以下の通 り である。

尚、やや脇道 に逸れ ることを承知で、以下の回答の中に含 まれている 「検討会」 という組織 について触れてお くこととする。静岡県の学校事務の一つの特色 と言えるからである。この検 討会 とは県教育委員会

(教

育事務所

)が

主催する会議であ り、その名称 は各地により異なるが、

「市町村立小中養護学校事務職員の職務等の特殊性に鑑み、学校事務等の適正な事務処理並び に事務職員相互の協力・連携及び資質向上をめざす」 ということ等をね らいとしている。 この 検討会 は筆者の学校事務職員に対する聞き取 り調査では

30数

年前 には既に存続 していた とい う。

この検討会では、一回半 日を原則 として月 2回 以内で、各学校事務職員が学校 を離れて一つの

場所 に集 ま り作業などを行 うものである。具体的には、給与関係の書類の相互検討を行い、地

域の連絡調整 を行 った り、地区別の研修 な どを行 う。 この検討会 は 「班

(ブ

ロック )」 と呼ば

れ る単位で実施 されている。静岡県内全部が○○ 「班」に区分 され、事務主幹又は事務主査が

その 「班

Jの

代表者

(地

区代表者 という )と して県教委か ら委嘱され リーダー として とりま

とめる。 これは、

1998年

に中教審『今後の地方教育行政の在 り方について』が提言 した共同実

施の一つの在 り方 といって よいだろう。

(5)

 

地域 により違 う場合の要因

(校

長会の理解 と協力

)観

点 としては、校長会組織 における学校事務への理解 と協力 により 違 うと思います。

(市

町村教育委員会の学校事務への理解 と協力

)特

に教育委員会においては、学校現場 にお ける行政部分 を単なる処理屋 としか とらえていない所か ら、教育委員会の仕事であつて も、

学校事務職員 と相談 しなが ら

(ま

たは事務職員か らの申出を受けて

)制

度化や、事務処理 に あたってい くことがある。

(市

町村毎の条例 0規 則等の違い

)市

町村

(設

置者

)に

違 いがあ り、当然その市町村条例 に 違いがある。「会計 システム」、「物品管理」等をはじめ、当然のことと思 う。

(市

町村毎の財政状況の違 い

)市

町村の財政状態により違 うと思います。

(事

務室の有無

)事

務室があるか どうかにより違います。

(市

町村費職員の配置

)市

町村費事務職員・用務員の配置、服務の取 り扱い。

(慣

習や事務職員 に対する見方

)慣

習によるところが多 く

(根

拠によるよりも

)あ

り、説明 はできないが、その地域性がある。

(市

町村の規模・ 学校数

)校

数が少ない教育委員会の方が協力的だ と思います。

(公

費予算な ど )

(環

境整備の状態

)エ

アコン、パ ソコン関係など環境整備面 の違い。

(事

務研・ 検討会の在 り方

)検

討会 の方法、例 えば、班 の組 み合わせ、役割分担、検討す る 内容

(PTAの

活動や地域 との関わ り

)PTAの

仕事が、保護者が中心になってやって くれてい るか、学校が主になっているかで事務量がかわる。僻地、山間部 と市街地 とでは地域の関わ りの度合いが違 うと思います。

(地

区の事務職員の数や構成

)配

置 された事務職員の数や年齢構成により研修 のテーマや内 容が異なると思います。

 

学校 により違 う場合の要因

(校

長の考え方

)校

長の考 え方

(事

務職員に対する

)に

よ り、 どれほ どの裁量が与 え られ る のかによって違 うのではないか。た とえば、処務規程 に 「校印取扱者が事務主任 とす ること ができる」規定があって も、校長がそれを命 じなければ、文書の流れ等多 くの点で在 り方が かわって しまう。校内人事・分掌の決定権が校長にあるんですから。事務職員が人事的なも の・教育課程等に口を出すべ きでない と言 う人 もいます。職員配置は行政面か らも大切なの ですが。

       

(教

頭の考え

)教

頭先生が事務職員に対 し、 どのような意識 を持つているか。

(学

校事務職員の考え

)管

理職、事務職員の資質の違い。教員 も同じであるが、やは り、根 本 は資質の問題だ と思 う。

(校

務分掌のデザイン

)担

当す る分掌が違 う。予算要求、各種調査、就学援助の認定事務 を 教頭が している所 と事務が している所がある。備品は市費職員が担当している所 もある。担 当する会計が違 う。

(学

校種

)特

に小中で差 を感 じます。組織 で動 く中学校 の流れが小学校 には欠けてい る。学

校の動 きをしっか り分かつていない としつか りとした対応 ができない。そのための校 内の連

絡体制 をもっ としっか りしたい。

(6)

小・ 中学校事務職員の力量形成 と専門性に関する研究 (3)

(学

校の規模

)大

中小規模校での違い。同 じ仕事内容であって も、職員・子 どもの人数 によ り事務量 にかな りの差が生じる。例

)給

与、旅費の仕事が中規模校で 1時 間かか るとした ら、

大規模で 2時 間、小規模で

30分 (お

おざっぱですが

)か

か る。

(他

方では、小規模や山間部 の学校 に行 くほど、事務的な仕事以外の仕事、雑用が多 くなるという指摘 もあ り )

(事

務室の有無 と場所

)事

務室の位置

(玄

関か らのアプローチ、校長室・ 職員室 との並 び )

事務室の有無。

(PTAの

活動や地域 との関わ り

)地

域の違 い。 まちといなか、若者 と高齢者、な ど地域性 が学校 に影響すると思 う。

PTA組

織の違 いによる関係諸事務

(会

計等の取扱者・会計数・

その他取扱庶務 )

(慣

)う

ま く表現で きませんが慣習が違い ます。

(学

校の施設・ 設備

)施

設・設備の在 り方 と老朽化度

(修

理の必要度 )

(教

育上の必要

)養

護学級等の配置の有無、学校 の特色事業 に伴 う諸事務、部活の数、部活 の強弱、荒れている学校か落ち着いている学校かなどにより違います。

(給

食の在 り方

)自

校給食かセンター給食か。配膳室の位置。給食エレベーターの位置。

(職

員構成や関係の在 り方

)職

員構成

(初

任者研修・

10年

研修・退職者・結婚・ 出産 )、 育児 体業・新築等住居変更・事故・公務災害等、職員の男女の比、年齢層、職員の対立、職員の 意識

(単

数配置か複数配置か

)学

校事務職員の単数・複数配置で違います。

(2)現

在の仕事の実感

既 に述べたように学校経営 とは限 られた経営資源を活用 して、それらをつなげてい くことに よ り組織のさまざまな目的を達成 してい く営みの ことである。 こうした経営の立場か らすれば、

学校事務職員の能力が十分に発揮できないような状態は許容できる状態ではない。

ところが、ある地区の学校事務職員を対象 とした調査は経営 という観点か らは許容できない 状態にあることを示 している。大阪府教職員組合が行つた調査 によれば、「今の仕事は、あな たに とって どの くらいの ものですか ?次 の中か ら一つを選んで○をつけて ください。」

(リ

ト常 に物足 らない」〜 「非常に能力を超えている」 という 7段 階の尺度で回答 )と い う質問に対 し て、 41。 9%が 「物足 りない」、36.9%が 「ちょうどよい」、 21。 3%力ゞ「能力 を超 えている」 と回 答 している。「物足 らない」 という数値は他の職種 に比すれば圧倒的に高いのである

0。

「最終調査」では、全ての学校事務職員に この質問を行ったが、 13.4%が 「物足 りない」 ―

35。

0%が

「ちょうどいい」

‑50。4%が

「能力を超 えている」 とい う結果 となった。大阪府教職 員組合が行 った調査 とかな り異な り、「能力 を超 えている」 とい う人が半数 を占める結果 と なった 。 り。「最終調査」では、それぞれの判断の根拠については尋ねていないが、「本調査」

では大阪府教職員組合が行った調査 と全 く同 じ質問項目に加えて、そう判断する理由について の意見 を求めた。

以下で は判断の根拠 について分類するが、「最終調査」のデータと合わせたわれわれの結論 は、権限や責任がな く、評価 されない等 とい う理由により「物足 りない」 と答える人が少数存 在する反面、相次 ぐ法規改正や

IT化

の進展 な どにより「能力を超えている」 という人が 5割 を超えている、 とい うものである。

尚、「最終調査」では 「あなたはパ ソコン等

ITは

得意な方ですか」 とい う質問 に対 して、

(7)

「非常に得意

(1.7%)」

― 「まあまあ得意 (37。

8%)」

一 『あま り得意ではない (49。

0%)」

「得意ではない

(8.7%)」

とい う結果 となった。 また 「あなたは法規の条文を理解す るのが得 意 な方ですか」 とい う質問に対 して、 リト常 に得意 (1。

0%)」

― 「まあまあ得意

(20.6%)」

「あまり得意ではない

(63.6%)」

一 「得意ではない

(H.7%)」

とい う結果 となった。 こうし た状態での教育改革の進行が学校事務職員の

5割

が 「能力を超 えている」 と答 える結果を導い ている。 こうした事態に関 しては、個人的努力に委ね るのみな らず、組織的・経営的対応が必 要である。

○ 「物足 りない」理由

(評

価 されていない

)自

分の力が正 当 に評価 されてい る と思わないか ら。

(待

遇、給与面等 で )

(権

限や責任がない

)い

つ まで も部下 はいない。基本 的に仕 事の中身に変化がない。責任が あるようでない。組織的な仕事になつていない。市町村の処務規程で規定 されている専決事 項は具体性がないので実効性に欠ける。

(持

てる力を発揮できない

)イ

中学校の事務職員 は経験 を積み上げ、仕事の処理能力、理解 力、判断力等々身につけても実力を発揮する機会が与 えられない場合が多い。高等学校へ 3 年勤務 した経験があるが、県立学校の場合は事務長が管理職でスタッフも多 く各係担当で能 力を発揮できる。事務職員 として全職員 に伝 えたい ことがた くさんあるが、十分な時間がな いため、組織全体 に徹底することができない。校内の情報の流れが時々詰 まつた り、方向が 変わつた り、バイパスができた りす るため、職務内容 に関わることも知 らないで進んでい る ことがある。先 に手を打つ ことがで きたのに¨・と思 うことがあ り、十分 に力が出せない部 分がある。電話番、留守番 と言われ ることがある。そんな意識 なのか¨・。

(『 標準的職務の通知」の形骸化

)管

理職 の学校事務 に対す る理解不足。県教委の「標準的職 務」について理解 されていない。学校事務職員の仕事 は教員の下請 け・ 教員の雑務処理 と 思っている。

○ 「ちようどよい」理由

(仕

事量が適量

)仕

事は時期 によ り多量で大変な時 もあ りますが全体的には適量だ と思い ま す。現在、市職 の事務職員 と 2名 で学校事務 を行 つていますが、分掌の量 も内容 も経験 に相 応するもの と思われます。互いに補佐 し合い円滑な運営がなされていると感 じます。

(lT化

による効率化

)本

来の 「事務」 は効率

(電

)化

が進んでいるので、仕事 自体 は以 前 より、はや く処理できていると思 う。

○ 「能力を超 えている」

(仕

事の範囲が広 く、仕事量が多い

)大

規模であ り、伝統校であるが、市町村職員 との仕事 の分掌の差が大 き く、雑務か ら本来の県費の仕事 まで幅広 く対応せぎるを得ない。そのため 日中は雑務 に振 り回され県費関係 は提出期限間近なものだけを急いで作成するとい う、おざ な りなやっつ け仕事にならぎるを得ない。一つの仕事 にじっ くり取 り組めない。文書分類・

保存・保管等 はほ とんど全 く手付かず状態である。毎 日ほ とん ど休憩な しで

19時

頃 までサー ビス残業、年度末・年度始めの 2〜 5月 及び学期末 は、

21時

を超えることがほ とん どである。

まともな勤務状態ではない。管理職の理解 も得 られず、改善するための方策に取 り組む余裕

すらない。事務室内に何代 もの事務職員が整理 しきれなかつた ものが多 く存在 し、

20年

以上

前の書類が時折あちらこちらか ら姿を現す。 しか しそれを処理 している余裕がない。 /と に

(8)

小・中学校事務職員の力量形成 と専門性に関する研究 (3)

か く仕事の幅が広 い。ひ とりで従事 してい る。同 じ職場 に事務の仕事が分か る

(処

理で き る

)人

がいない等の不安。職員の家庭 内事情 まで知 らない といけない人間関係。近年

OA化

が進み、少しで も トラブル と分か らな くなって しまう。学校経営への参画 と言われるが、自 分 にその力量があるか、会計等経理の勉強を してきているわけでもないので、本当に正 しい か どうか。事例がない とや らずに通 って しまう事があ り、経験年数はあっても他校に聞いて 処理 している

(退

職手当は

13年

ぶ り、非常勤講師は未経験です )

(lT化

への適応

)私

は50才代です。経験 も、

30年

近 くな ります。 日々かわ りゆ く、事務処 理

(コ

ンピュータ化 )に ついてい くのがゃゃ、重荷になってお り、やや能力を超えているよ

うに思います。教育事務所 よ りの短時間事務処理が多 くなってきている。

(相

次 ぐ法規改正

)時

代の変化 とともに通知等の改正が多 く大変です。

(学

校経営の参画

)県

よ り示 された標準的職務 より総括、そして今、開かれた学校等、事務 職員 に求められていることに答えるには、相当なものが要求され、現在の私の力量では、か な り研修が必要である。それだけでな く、実務 にも求め られている。

(事

務研 の仕事 を入れ る と負担 )日 々、学校の中での仕事については、限られた時間の中でや りくりをしているわ けですが、さらに、事務研究会での役 をこなすには、やや能力を超えていると思います。

(3)学

校事務改善 プラン

再度繰 り返すが、経営 とは経営資源をいかにつな く ゛

ことができるかが重要なポイン トとなる。

組織 の内外にどのような要素があるか、 また現在の要素の結合が どのような問題 を持つている か とい うことを的確 に分析 してそれを組み直 し、つな く ゛

仕組みを創造す ることが重要なのであ る (15)。

この要素 と問題の把握、組み替えの提唱は国によっても提唱されてきた。例えば、

1986年

に 文部省

(当

時 )に 設置 された 「教育委員会の活性化に関する調査研究協力者会議」は教育委員 会 の事務局体制の改善、充実 と事務処理の効率化 を図ることの重要性を指摘 した。そして、そ の具体策 として「予算及び人員の効果的な配分を考える必要があり、このような観点から、例 えば、現在、学校をはじめとする個々の教育機関において個別に処理 している事務のうち集中 的処理が可能なものについて、できる限 り教育委員会で一括 して処理することや、学校事務職 員が行っている給与支払事務について給与の回座振替制度を導入することなど、事務処理の効 率化がさらに進められる必要がある。また

OA機

器の導入による事務処理については、すでに 多 くの教育委員会において実施 されているが、今後なお一層の推進に努める必要がある」と述 べている。 0。

また、

1998年

に出 された中教審答申『今後 の地方教育行政の在 り方について』では学校事 務・業務の効率化 について言及 した。そ こでは、各学校の事務 0業務に係 る負担軽減のため教 育委員会 と学校 との役割を見直す こと、従来のように一つの学校で事務・業務を完結 させ る発 想か ら脱却 し、複数の学校が連携・協力 して事務・業務 を進めることが提言されている。学校 事務 の共同実施 とい う言葉は公 にはこの答申で初 めて登場 したものである 。つ。 これ らは仕事 という要素をどういったグループに組み直すか という経営にとって根本の問題を指摘 している のである。根本 というより、 こうした組織変革は経営にとり常識であり、それが提言されると いうところに逆に問題すら感じるべきかもしれない。

「本調査」では、こうした要素 と問題点の把握、組み直しが経営にとって根幹に位置すると

(9)

い う考 え方に立 って、以下の質問を行 つた。つ ま り、「学校事務

(学

校全体の学校事務 と学校 事務職員の行 う仕事全てを指 します

)の

質 を高めた り、効率化 した りするための具体的な提案 をお教え下 さい。その際には

(現

在の問題点

)→ (改

善のための方策

)→ (そ

のためにかかる コス ト )と い う順番で書いて ください。その際には、教育委員会が行 う事務 と学校で行 う事務 との再配分、校長・教頭等の権限の事務職員への移行、共同実施の導入なども含めて検討 して ください」 とい うものである。結果 として、

(校

長権限の委任・再配分 )、

(短

時間雇用職員の 採用 )、

(学

校事務 の標準化、分業化、共同化 )、

(ITシ

ステムの改善 )、

(教

育委員会 との事務 再配分・ システム改善 )、

(教

職員の学校事務への理解の確保 )、

(構

内電話

)等

の改善策が提言 された。 これ らの改善方策に示 されているとお り、学校事務の改善は一つの学校の内部のみで は果た し得ないものが多いことが改めて確認 された。

(校

長権限の委任・ 再配分 )

(問

題点

)通

勤・ 住居・扶養手当の認定権 は校長 にあ ります。が、校長先生が実際、決裁す るとい うより、事務職員力鴻 9%や っているような気が します。手当の認定 もなかなか大変で す。返納 になった りすると、 とて も責任を感 じます。→

(改

善のための方策

)長

く経験 を積 み、地域の指導者である事務主幹に認定権 を移す。→

(コ

ス ト

)職

員の ことや、状況把握の ため、連絡費がかか る。

(短

時間雇用職員の採用 )

0(問 題点

)慣

習 によると思 うが、テス トの丸つ け、データ入力、 プリン ト印刷、児童各種管 理、一般会計等、教員が持つている事務が多 くある。分掌により重い、軽いがあ り、負担に かたよりがあると思 う。→

(改

善のための方策

)教

(指

)以

外は、教員以外のスタッフ が担当す る。そのためパ ンチ

(パ

ソコン入力

)専

門非常勤 とか、採点等教員補助非常勤 と いった、パー トを使い、学校のスタッフをよ り細分化 し、専門性 を高めた組織 とす る。

(そ

の場合、事務職員が、教育以外の事務部門の長 として管理組織 にいる

)→ (コ

ス ト

)専

門的 業務 とな るため、効率的に行 うことができる。その業務 を民間に委託することも可能である。

(契

約 によって )コ ス トはや り方かなあ。

(学

校事務の標準化、分業化、共同化 )

(問

題点

)今

までは個々の事務職員がそれぞれ に仕事 を進 めていたが、 これか らはみんなの 知識 を合わせてい く情報の共有化が必要だ と思 う。いろいろな分野でお互いに情報交換 をし

(検

討会等で

)様

々な案等が出る中で効率化が図れてい く。今後は市町村合併 もあ り、更に 広 い範囲での効率化できることも検討 していかな くては と思 う。

(問

題 点

)現

在の学校事務 は、給与や旅費、施設管理、教職員の人事服務、共済組合、互助

組合の福利厚生事務、市町村費や学校徴収金の経理事務、文書管理等の庶務事務等大変広い

分野の内容を各学校 1〜 2名 の事務職員が処理 しています。 このため、事務 に対す る知識が

広 く浅 くなつて しまい、それぞれの学校で、同 じ時期 に同 じ内容の事務処理を少 しだけ処理

しているので効率的ではあ りません。→

(改

善のための方策 )10〜

15校

を とりまとめる学校

事務セ ンターに 7〜 8人 の事務職員が勤務 し、それぞれ旅費 とか給与 0人 事服務 0福 利厚生

を専門に担当す る。各学校には、学校徴収金や文書事務 を担当する半 日程度の勤務 のパー ト

事務職員を配置す る。全体的な人件費等の コス トは現在 と同じか少 し節約できる。学校で教

員が行 う事務の中は、児童生徒の秘密に関す るものが多いので、学校事務センターでの処理

(10)

小・ 中学校事務職員の力量形成 と専門性 に関する研究 (3)

は難 しい。教育委員会が行 う事務 と学校で行 う事務 との再配分は、現在学校で行っている教 科書事務や、就学援助費等の事務 は市町村教育委員会でできるよう内容を簡素化する。

(lTシ

ステムの改善 )

(問

題点

)事

務室でメールの受信、送信がで きない

(各

校間の連絡 をもっ と密 にす る必要が ある

)→ (改

善のための方策

)環

境整備→

(コ

ス ト

)予

(お

金がかかる )

(教

育委員会との事務再配分・ システム改善 )

(問

題点

)地

教委事務局職員が 日常の学校

(真

の問題点 )を 理解 していないため、一時に複 数の提出期限が集中した り、複数→単数配置の学校 も同一内容の提出文書・提出日が設定さ れ る。 また、年間予定が未提示の教委がある→

(改

善のための方策

)学

校の現状 を正確に把 握で きるよう地教委事務局職員が定期的に決まった 日時に学校訪間・事務執行をし、改善事 項 について協議する。→

(コ

ス ト

)地

教委事務局職員の事務局事務 と各学校分掌事務 を行 う 人員の確保

0(問 題点

)学

校 における市町村会計処理

(補

助金 を含 め

)が

十分 に理解 されていない。校 長・教頭 を含め、市町村費の効率的執行が求められ る。学校内の予算執行の有効化→

(改

善 のための方策

)市

町村の財務当局の説明・研修・学校予算のあ り方の再検討→

(コ

ス ト

)研

修や説明のための費用、校長権限の拡大 もコス ト

(制

度化の規則作 りに必要か )、 校内予算 について、要望型 とす る

(予

算委員会の設置運営 コス ト )、 教委での単価契約物品のコス ト 削減

(教

委の入札事務のコス ト )(ま たは市町村内学校共同で )

(教

職員の学校事務への理解の確保

)

(問

題点

)校

内教職員の学校事務 に対す る責任感欠如

(甘

え 0直 接指導優先

)→ (改

善のた めの方策

)教

育財源である市町村費・校 内会計に対する責任感の向上、事務職員 より依頼の 申告・報告等書類を期間厳守で全員提出すること→

(コ

ス ト

)事

務部の分掌を行 う人員の確 保、確実な学校事務執行方法の説明を行 う時間の設定

(構

内電話 )

0(問 題点

)効

率化、電話の とりつ ぎ、来客の とりつぎ等→

(改

善のための方策

)職

員ひ とり ひ とりに PHSを 持たせ る。いつで も事務室か ら連絡 を とれる状態にする。

(4)日

記風の一日

学校事務職員は一日をどのように過 ごしているのだろうか、またそれを外部の観察者である 筆者 はどのような方法で把握することがで きるだろうか。筆者は一 日中学校事務職員 と行動を 共 に した こともあるが、一 日だけの参与観察ではなかなか 日常の学校事務職員を観察すること が難 しい。そこで日誌法

(自

由記述

)を

「本調査」では採用 した 。 0。 われわれが行 つた質問 は「今日の出勤から退庁までの一日がわかるょうに日記風に記述してください」 というもので ある。この日誌に語られていると筆者が主題をラベ リングし、整理することにより学校事務職 員の一日の仕事を明らかにしようとした。全部で

32事

例収集することができた。以下では、収 集 したケースのうち二つを掲載 してお く。

今回収集 した日誌に語 られていた主題のうち多かったものは「朝のあわただしさ」、「他の非

教授職員 との関わり J、 「体みな く続けて仕事が続 く」、「電話、来客、子ども、教師に対する対

応による仕事の中断」、「子 ども、教職員 との語 らいの楽 しさ」、「あっという間に時間が経つて

い く」、「気配 り、世話」、「今日も一日疲れた」、「締め切 りや先を考えた段取 り」、「子どもの迎

(11)

え と夕食 の準備」、「お茶 を入れ る、飲 む」 とい った もので あった。

<ケ

ース①

>

学校ではなかなか仕事 に専念できない。市事務職員が事務室 にいるが、4月に採用 されたばか りのパー ト雇のため、自 分 の仕事 をおいて相手の仕事の面倒 も見な くてはいけない。 ま して今 日は、用務員が休みをとつた。今 日学校で仕事 はで きない と思い昨夜家で頑張つてかな りやつてきた。今週 は週番なので、いつ もよ り30分早 く家 を出た。学校 に着 いて非常 通報 スイ ッチを切 り替 え、非常 口をあけて校舎内をまわつた後、生徒たちが待つ児童昇降口をあけた。いつ もなが ら元気 のいい子 どもたちを迎え入れ ると私 も元気になる。学校 に勤めて良かつた と思 うのは生徒の元気な姿 といつ しよに過 ごせ るか らである。朝の清掃 とお茶出 しで事務室の仕事 もスター トした。今 日は3年生の保護者の授業支援ボランテ ィア とそ の後、お年 よりの授業参加ボランテイアがある。来客 に名札 と授業の資料を渡 さな くてはいけないので準備 をす る。又、

お年 よ りは予定 より早 くみえるし、学校へはどの入 り日か らみえるかわか らないので気 をつか う。来校予定時刻 の30分 か らあち こちをキ ョロキ ヨロす る。やつぱ り玄関でな く昇降 口にみえた。人数 も多いので来客には気をつか う。

す く時間は過ぎて しまう。お昼の準備 を しな くてはいけない。私 は給食 の準備。級外職員10人分を1人で配膳 した。給 食 を食べ ることができやれやれ と思った ら、昼休みの時間 には教室 と職員室か ら戻 つてきたお昼のお茶のやかんの片付け 23個分、やれやれ用務員がいないか ら仕方がないか。昼休 みが終わ り清掃時間 になれば教室か らのゴミの世話。午後 の授 業が始 まった と思つた ら

PTA役

員 さん2人が来校。 こないだ実施 した

PTAバ

ザーの会計報告の打合せ にみえた。

PT A会

計担当者 としてまずお礼、そ してア ドバイスをす る。2人は作業をしてか ら帰 られたが、副会長のNさんが帰 リカゞ 6年生の長男の話 をされた。昨年度 に比べ遅刻 と欠席 はかな り減 つた。私か らも今 日のN君との会話の内容 について話 しを した。 このまま皆 と卒業で きるのを待つ楽 しみは母親 も、職員の一人である私 も変わ りない。

夕方4時半 になつたので週番 として校舎内・外の戸締 りにまわ る。12月は夕方が早 く、暗 く寒い。完了

.勤

務 時間 は終 わったが生徒が帰 つた これか らが仕事がで きる。昼間は、急な仕事 に対応 している と時間はどん どん過ぎていつて しまう。

1人で事務室で仕事を してい るとA先生が 「そろそろ帰 るよ」 と声 をか けにきて くれた。管理職 はすでに帰 つていない。

居残 った職員数人 と施錠 をす る。仕方がない今 日も仕事 を持 ち帰 ることにした。先程、夫に今 日も遅 くなるか ら夕食の買 い物 を頼む と電話をしてあるか ら少 し安心だが。

<ケ

ース②

>

頭 の中で仕事の順序 を考 えなが ら出動。玄関を入 るともう電話が鳴つている。駆 け込んで電話を取 る。次か ら次へ と欠 席 や遅 刻 の電話。風邪 が はや りは じめたか な。それ とも月曜病 か。中学 は全 て電話連絡だか ら、 この時期 は大 変。

「ち ょっ と、君、○○君本人で しょ、何故本人が電話 をかけて くるの?風?声はいつ も通 りだ しちつとも具合悪 くなさ そ うだね。担任か学年主任 に代わるか ら待 つてて」

出勤簿 をチェック。 また、押印 していない人がいる。本 当にだ らしのない人だ。何度言 つて も聞かないんだか ら。 日報 を見 なが ら日課 を確認。「B日課 しか も変則、出張者 も多い。」今 日は電話の応対 に気 をつけない と

"0。

プ リンター とパ ソコンのスイ ッチを入れ る。 さて、会計を少 しやつておかねば¨・。

用務員 さんか ら「○○ (市町村職)さん、調子が悪 いので休 みますつて」 との連絡。「えつ、今 日は私1人 ?仕事 どこ ろじやないなあ。 ところで、何かあつたの?三役が朝礼の後、校長室にこもっているけれ ど」、「タベ、侵入者が あつたみ たい。 あちこち吸い殻が落ちていたか ら

.」

またですか。 それ ぐらいの ことで はちっ とも驚かな くなうた自分が怖 い。

「子 どもの忘れ物です。事務室におかせて ください」「はい、 クラス と名前 は書いてあ りますか ?自 分で事務室 に取 り に来 ますね。預か ります。J月曜 日は忘れ物 も多いなあ。

また、電話。 まだ9時半前だつて言 うのにもう20本超 えてい る。12月は高校か らの進路関係が多い。生徒の進路 に関わ るだ けに気 を使 う。

3年主任か ら声がかか る 「今 日の1時半か ら5時までの間 に約30分 お きに6組のお客 さんがあ りますので よろ しく」

「対応 は

?」

「校長室で、僕 と校長 さん」「重な りそうな ところはあるの

?」

1件、間が15分くらいの ところが あ るのだ けれ ど、 もし重なつた ら会議室で進路主任 に応対 させて」「はい、わか りました。」

電話応対中なのに、 もう 1台 がなっている。給食 のエ レベーター対応で職員室 も誰 もいない.誰かでて ‖

 

保僣室でで て くれたみたい、ホツ

まだ給食の後かたづ けがすんでいないのに、 もう来客?なんだか、飛び込 み客みたいだけど3年の方対応 して くれ るの かな。

時間通 りに くる学校か ら早 めに来 る学校、運れて平然 とくる学校

.約

束 もな く突然 くる学校 と様々。そのたびに案 内す る部屋 の調整 に忙 しい。 あち らは、 まだ使 つているし、 こつちは飛び入 りだ し。「今度は何人分

?」

お茶 を出 しなが ら、

もう一方でお湯を沸かす。 あつ、 さつきのお客様の湯飲 み引いてあつたか しら?えっ、 また、お客 ?こ の人ち ょつ と早す ぎる。仕方ない事務室の空いている席 に座 つていただ く。

「印刷機 のマスター交換が うま くいかないんだけど¨・』 う一ん、 この忙 しい ときに・0!「もう一度は じめか らゆつ くりや つてみて !ダ メだった ら行 くか ら。」

電話 と来客 に追われて、仕事 はちっ ともはか どらなかつた。 さあ、年末調整の金額の確認だけで もしな くつち や.そ

(12)

小・ 中学校事務職員の力量形成 と専門性に関する研究 (3)

いえば、事務連絡があったっけ。育体の人の社会保険料?・・・ うちには関係ないかな、あっ無給体職者は大いに関係す るではないか。 この金額あわないけれど、いったいどうしてこういう金額がでて くるわけ?結局先年度分の給与明細を ひつくり返 してみてようや く金額がぴった り合ったけれど、たったこれだけのために2時間もかかった。むなしい。

そういえばファックスが来ていたけれど¨・。S銀行の未納者が今月はこんなに 。・ ボーナスシーズンなのに、やはり 不況が相当影響 しているなあ。あした打ち合わせがあるから今 日のうちに督促状を作らなければいけない。まいるなあ。

それにしてもい くら作つてもちっとも入金 して くれないんだものむなしい仕事だよね。あ〜あ、 もう7時 。文書も受け付 けなくっちゃ。学期末はやたらと多いからつらい。朝予定していた会計はほとんど手つかず状態のまま、パソコンを片づ ける。目も疲れたし、今日のところは帰ろう。また、銀行に行けなかった。買い物もできない。

3.学

校事務職員の力量・専門性

(1)学

校経営に参画する具体的効果

静岡県教育委員会は

1993年

3月

29日

付 けで、『市町村立小中学校事務職員 の標準的職務 につ いて

(通

知 )』

(以

下では標準的職務 の通知 )を 出 した。 この静岡県教育委員会 の通知以前にも 学校事務職員の職務内容に関する標準は幾つかの地域で既に示 されていた。早 くは

1950年

代の 終わ りに東京都教育委員会は職務内容 に関する標準を出 している。

1970年

代 には伊藤和衛の学 校経営の近代化論の影響 もあって、各地で標準職務表 さらに、全国公立小中学校事務職員研究 会

(全

事研

)や

日教組事務職員部等の団体 も標準的な職務内容の確定に向けた提案を行ってき た とされ る (19)。

こうした歴史を踏まえれば、

1993年

に出された静岡県教育委員会の『標準的職務の通知』は その誕生 した時期 と言 う点ではそれほど注 目すべ きものではない。むしろ他都道府県に遅れて 出された とい う評価 もできる。 しか し、静岡県教育委員会の『標準的職務の通知』は、その内 容 とい う点で全国的な注 目を集めた。端的に言えば、 これまでの各自治体の標準職務表に 「学 校経営」 とい う欄を特設 し、学校経営に参画することが職務 として位置付 け られたのである。

清原正義は旧来のように庶務、人事・給与、財務・管財、学事、福利厚生 といった分野に区分 して明示す るスタイルを 「分類整理型」 と呼び、 それを踏まえた上で経営・管理への参画を職 務 として表現 しようとした静岡県のスタイルを 「経営参画型」 と命名 してい るが、静岡県教育 委員会のそれは後者の先駆 けなのである 120J。

「最終調査 Jに おける「学校事務職員は学校経営に参画 しなければならない と思う」 という 質問に対 して は、「まさにそうであ る

(32.7%)」

、「だいたいそうである

(44.9%)」

、「どち ら ともいえない

(15.3%)」

、「あま りそ うでない

(5.4%)」

、「まった くそうでない (1。

2%)」

とい う結果 となった。また、「標準的職務の通知が現実化 されているか どうか とい う観点」か らの 職務満足度 を聞いた質問では、「満足

(25.6%)」

― 「どち らとも言えない (42。

3%)」

― 「不 満足

(30.5%)」

という結果 となった。 さらに、「学校経営に参画 しているか という観点」か ら の職務 満足 度 を聞いた質 問で は、「満足

(23.5%)」

― 「どち らとも言 えない

(39.1%)」

「不満足 (35。

7%)」

という結果 となった。

では、なぜ学校事務職員は経営に参画すべきなのだろうか。学校事務職員が経営参画するこ とによ りどの ような効果が期待 され るのであろうか。筆者が管見する限 り、 これまで研究の上 では次の二つの理由が示 されてきた。一つ目の理 由は学校事務職員が一定の権限 と責任を持つ ミドル

0リ

ーダーであるという理由である。例 えば渡辺孝三は、「職員会議・企画委員会等は、

学校の重要事項を審議する機関であるがゆえに、学校の事務管理者 は、 これ に参加するのが職 務」 0)と 主張す る。つ ま り、学校事務職員はい くつか存在す る部門の責任者 の一人であ り、

責任者が持つ情報を経営的判断に活かすため、経営的判断の審議や結果を踏 まえた部局管理が

(13)

可能だか らとい う理由である。小島弘道 も経営は確かな情報 に基づいて行われ るべ きであ り、

事務部門の トップが経営に参画することは必要であるという α )。

二つ 目の理由は学校事務職員が他の教職員が持っていない専門的な知識等を有 しているか ら とし

iう

理由である。例 えば、浜田博文は、学校事務職員の学校経営参画 について論 じた論文の 中で、「学校裁量予算枠の拡大が見込 まれ る今後の学校経営 において、 コス ト・ パ フォーマン スの観点か らの意見 は『特色 ある学校づ くり』を左右する意味さえもってい る」

f23)と

指摘 す る。費用対効果が問われ る今 日、浜田の指摘 はもっともである。

この ように、学校事務職員が ミドル・ リーダー として位置付けられていること、あるいは位 置付 けることが適切であること、 また、学校事務職員が持つ専門的な知識等が経営的判断 に有 益で あるとい う二つの理由か ら、学校事務職員の学校経営への参画は必要であると指摘 されて いる。筆者 も、学校事務職員が学校に配置 され るという前提であれば、学校事務職員は学校経 営に参画すべ きであると考 えている。理由は今 まで述べ られてきた通 りである。

さて、 このような二つの理由により学校事務職員に学校経営に参画す ることが求められてい るのだが、実際 にはどのような効果が うまれているのであろうか。「標準的職務の通知」が出 されてか ら

10年

経ちそろそろ検証 も必要 とされている。

われわれは、次 の質問を行 つた。つ ま り、「いわゆる『標準的職務 の通知』では学校事務職 員の職務 として 「学校経営」 とい う区分 が設 けられています。あなたは、今 の学校で、 この

「学校経営」の区分に盛 られた内容の仕事 を実際にしていますか ?(「 してい る」― 「一部 し ている」 ― 「あま りしていない J― 「していない」の四段階 )」 とい うものである (241。 その上 で、「している」「一部 している」 と答 えた人 に次の質問を行つた。すなわち 「学校事務職員が

『学校経営」の区分に盛 られた仕事を行 うことにより、学校・子 どものためになった とい う具 体的効果についてお教え下 さい。 」 とい うものである。

(規

程・ ルールづ くりによる効率化

)校

内諸規程を作成す ることによ り、 よ リスムーズに校 内の運営が進む ようにな り、先生方が子 どもとふれあう時間を多少で も増やす ことがで きる

ようになった。

(適

正かつ適切な予算の執行の確保

)本

校では、職員会議前の企画委員会の他 にも各週 1時 間同じメンバーによる運営委員会を開催 し、校内の問題調整 を行 つている。 そこで教員だけ で は硬直 しがちな議題 においての予算上のア ドバイスや、教委 との連絡調整・関連情報 を発 言 し、話 しが進 む ように心がけている。

(予

算執行状況の情報や、施設の安全対策、予算要 求状況 においての委員同士の相談・調整等

)保

護者か ら集 める学校徴収金の執行が適正化 さ れているか どうか。

(文

書管理 システムの確立

)校

内の書類等 の運行を 「下か ら上へ」 を徹底 させた。提出書類 の内容 に間違 えがほぼ無 くなってきてい ると思 う。

(方

針・ 情勢を理解 した適切な対応が可能

)運

営委員会や企画会

(校

長・教頭・教務

)の

員 になっていることによ り、管理職・職員か らの要望や学校で起 こつている事、 これか ら実 施す る事等が理解で き、事務職員 として、物品の購入、修理、修繕、地域 との連絡、保護者 の対応等、注意 を払つて対処、対応で きる。

(教

員 とは違 う教育活動に対する視点の導入

)学

校行事について職員の立場、地域 の人の立

場の両方か らみて どうかを第二者の意見 として発言することにより、円滑に行事が進 め られ

(14)

小・ 中学校事務職員の力量形成 と専門性 に関する研究 (3)

た と思 う。

/学

校の考え

(主

)の

みで事業が行われ ようとする時、地域・保護者側 に立っ た意見を出す。学校の考えに客観的見方を取 り入れることになると思 う。

(2)教

員にはない固有の視点 とその貢献

既 に述べたように学校経営に参画する理由 として、学校事務職員が持つ行政職員である学校 事務職員の特性及び専門性の活用 という理由があった。つ ま り、教師にはない知識や技術があ るとい うことを前提に学校経営の参画は議論 されているのである。学校事務職員は教育職か行 政職か という議論は少な くとも静岡県ではもはや終わっている。つまり、行政職員 としてのア イデンティティーにほぼ一本化 されている。 しか し、行政職員である学校事務職員の特性及び 専門性 とは一体何なのか とい うことについては判然 としない。

敢 えて言えば特性や専門性 とい うほどの知識や技術を有 しているのか ということも間われる 余地が十分にある。 このことは筆者のこれまでの学校事務 の研究の中で学校事務職員自身か ら 間われてきた。専門性 とい う程 の知識は持っておらず、 この言葉を使用することにより現実が 過度 に美 しく語 られて しまうとい う指摘がなされてきた。

とい うのは学校事務職員の場合、採用時に求め られ る知識や技術 は曖味であ り、十分な教 育・訓練 もな く一人で学校 に配属 され、入職後 も体系的な訓練システムがない というのが実状 である。 こうしたシステム不全 の中で学校事務職員は学校事務研究会の支援を受け、いわば、

一人で育つてきた。 しか し、新 し く急速な変化には 「一人育ちのシステム」では対応できない。

既に述べたように 「最終調査」では、学校事務職員がパ ソコンな ど

IT関

連や教育法規 につい ての自信が低いことが明 らかにされている。他方ではそうした現状を克服 しようとする考え方 を多 くの人が思っていることも確かである。

「最終調査」では「学校事務職員は、行政職 として法規・財務のプロとして専門性を高める べ きだ と思 う」 とい う質問に対 して 「まさにそ うであ る

(47.6%)」

、「だいた いそ うで ある

(41.7%)」

、「どちらともいえない (8。

0%)」

、「あま りそ うでない

(1.7%)」

、「まった くそ うで ない (0。

7%)」

という結果 となった。

現在の学校事務職員の力量形成 のシステムを前提 とすれば、学校事務職員が特性や専門性 と いうほ どの知識や技術を有 しているのかということを問われれば、筆者 も少な くとも体系的な 知識は持っていない と考えるようになった。 もっと教育法規や財務、カ リキュラム、学校経営、

企画立案、文書作成の手法についての専門的な教育を受 けるべきだ と考 えている。

しか し、他方では、他の どんな職業にも共通するが経験 をつむ中で 日常の仕事を行 うに際 し て有益な幅広い知識を持ってい ることは確かである。教師が多数を占める学校 という組織の中 で少ない行政職 として働 く中で得 た知識や技術は少な くとも今 日の学校 においては有益な専門 性や特性であると考えている の。 また、次節で述べ るが、学校事務職員の仕事 は単に法規を 適用するという機械的なものではない。少な くとも現在 は、対人関係の中で進められるもので あ り、そうした対人的スキルの熟練が必要 とされてお り、 その点での個人差 は大 きい と考えら れ る。

既 にわれわれは、別の調査で学校事務職員の専門性についての調査 を行った。その調査は学 校事務職員に専門性 とは何か とい うことを直接問いかける形式であった 126)。 今回われわれは、

次のような質問を行い、学校事務職員の持つ 「特性や専門性」を明 らかにしようと試みた。つ

ま り、「教員にはない学校事務職員の知識や発想 により、学校や子 どものためになった とい う

参照

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