1-1
第1節
計画の策定方針
第1 計画の目的 この計画は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条の規定に基づき、八 代市防災会議が作成する計画であり、 ○ 市、県、防災関係機関、公共的団体及び市民が総力を集結し ○ 平常時からの災害に対する備えと ○ 災害発生時の適切な対応 の大綱を定め、 ○ 市民の生命、身体及び財産を災害から守るとともに ○ 災害による被害を軽減することをもって ○ 社会秩序の維持と公共の福祉の確保を図る ことを目的とする。 第2 計画の性格 (1) この計画は、市の地域に関わる防災に関し、市の処理すべき事務または業務を 中心として、県、防災関係機関、公共的団体及び市民が総力を結集すべき事務ま たは業務を含めた総合的かつ基本的な計画である。 (2) この計画は、各対策項目に関して市の防災に関する担当部を示し、あわせて県、 防災関係機関、公共的団体及び市民の責務を明確にするとともに、各防災関係機 関等が行うべき防災に関する事務または業務の一覧、連携・協力の基本方針を示 し、防災活動の向上を図るための計画である。 第3 防災対策の基本方針 本市は、平成17年8月に1市2町3村が合併して誕生した、熊本市に次ぐ産業・経 済を支える中心都市である。 しかしながら、急速な高齢化社会の到来は、高年齢者等いわゆる災害時要援護者と 呼ばれる人々の増加をもたらすとともに、都市化の進展は、コミュニティ意識の低下 をもたらしている。 さらに、市民の生活様式の変化は、電気、ガス、水道や電話等ライフラインへの依 存度を高め、鉄道や高速道路等の交通施設とともに災害発生時の被害は日常生活や産 業活動に深刻な影響をもたらすと考えられる。 これら本市防災環境の変化に的確に対応し、市民生活の安全を守り、市の持つ諸機 能を確保していくため、災害の各段階に応じた災害予防対策、応急対策及び復旧対策 を積極的に推進する。1-2 1.災害予防対策 (1) 市民及び災害時要援護者への災害知識の普及に努めるとともに、自主防災組織 の育成強化と定期的な防災訓練の充実に努め、多くの市民参加を募り、コミュニ ティ活動の活性化を図って防災思想の徹底を期する。 (2) 災害に強いまちづくりを進めるため、地盤災害の防止対策や高層建物の安全確 保対策及び建築物の耐震化、耐火対策の促進等を図る。また、災害時要援護者関 連施設の安全化に努める。 (3) ライフライン等の施設の耐震化を進めるとともに補完的機能の充実に努める。 (4) 危険物等の管理を厳格に行い、災害を未然に防ぐとともに災害発生時にも的確 な対応をとり、二次災害を防ぐ体制の整備に努める。 (5) 災害時における諸機能の保持のため、広域的な輸送体制や応援体制の整備を進 める。 (6) 防災拠点の整備を進めるとともに、各種資機材の備蓄と消防施設の整備を進め る。 (7) 情報連絡手段となる防災行政無線の整備を進める。 (8) 地震津波災害対策の推進を図るとともに、今後の対策に役立つ各種調査研究を 進める。 (9) 児童・生徒に対し防災教育を実施するとともに、関係職員・保護者等に対し家 族間で避難の仕方を決めておくことなど、災害時における避難等に関する心得及 び知識の普及を図る。また生涯学習活動等においても防災教育の実施とその充実 を図る。 (10) 男女共同参画の視点から防災体制の確立を図る。 2.災害応急対策 (1) 災害時に迅速な対応がとれるよう、市内の防災関係機関の応急体制を整えると ともに、防災関係機関相互の連携・強化を図る。 (2) 気象予・警報や被害情報等の災害情報の収集伝達体制を整える。 (3) 被災者や災害時要援護者を安全に避難させるとともに、水や食料等の供給、医 療や救助等、救援救護活動の充実を図る。 (4) 消防、水防、交通規制等、応急活動の充実を図る。 (5) 必要に応じ、自衛隊や周辺自治体の迅速な応援を得て応急対策を実施する。 (6) 電気、ガス、水道、電話等のライフライン施設の迅速な応急復旧を図る。 (7) 応急教育の確保と災害廃棄物の迅速な処理及び応急仮設住宅建設の体制整備 を図る。 3.災害復旧対策 (1) 一般被災者や被災事業者への救護措置の充実を進め、民生安定化を図る。
1-3 (2) ライフライン施設等の迅速な本格復旧を図る。 第4 計画の基本的な考え方 八代市の地域防災計画の考え方として、次の3本の柱を掲げ、行政等の防災関係機 関、市民、事業所が一体となって災害対策を行うことを基本的な方針としている。 (1) 自助・共助・公助による被害の軽減 市民、自主防災組織、事業所、市などがそれぞれの役割を果たし、防災対策や 災害時の対応を進めることで、被害を最小限に抑える。 (2) 広域的な応援・支援体制の構築 国や県、自衛隊、全国の自治体、協力機関、民間団体などの応援・支援体制を 構築する。 (3) 災害発生後、早期に自立した生活への回復を図るため、生活基盤の復旧、生活 再建支援などを行う。 第5 他の計画との関係 1.県地域防災計画との関係 市地域防災計画は、県の地域防災計画と矛盾・抵触することがないよう、策定さ れるものである。地域の特性をふまえた修正・追加をする一方、共通する計画部分 については、県計画を準用する。 2.消防計画との関係 消防計画は消防組織法に基づき作成されるもので、消防機関がその任務を果たす ため、消防本部及び消防署並びに消防団の施設・職員(団員)を活用して、火災・ 風水害・地震等の災害から、迅速かつ効果的に対処して市民の生命、身体及び財産 を保護し、その被害を軽減することを目的としている。 したがって、地域防災計画と消防計画とは、前者が消防計画の大綱を定め、後者 がこれを受けてさらに具体的計画を定めるという関係にあるといえる。
1-4 消防計画の性格 ○ 消防機関の独自の計画であり、市地域防災計画と重複する部分について は、密接な関連性を保つとともに、その活動内容を詳細かつ具体的にした計 画である。 ○ 住宅葛西等の比較的小規模な災害に対して、平常時の組織として、迅速に 対応するための計画である。 ○ 災害の程度、推移に応じて、市地域防災計画に円滑に移行することができ るようにするための計画である。 3.総合計画との関係 総合計画は、基本構想、基本計画、実施計画の3編からなっている。そのうち基 本構想は、地方自治法第2条第5項により議会の議決を経て定めることが義務づけ られている。一般に基本構想は、10ヶ年間に達成されるべきまちづくりの基本計画 を定め、基本計画は5ヶ年で、前期が終了すれば後期の5ヶ年計画が策定される。 これは、基本構想の考え方を実現化していくために必要な基本的な施策や事業等 を総合的、体系的に示し計画的な実施に大きな役割を果たすものである。そして実 施計画は3ヶ年(毎年ローリングして改新される)の計画となっている。 市地域防災計画と総合計画との関係 ○ 市地域防災計画は、災害対策基本法に基づき、市防災会議が作成する計画 であるのに対し、総合計画は地方自治法に基づき、市が議会の議決を経て定 める計画である。 ○ 総合計画は、防災を含む市域に関する包括的な計画であり、市地域防災計 画は防災に関する詳細かつ具体的計画である。 ○ 総合計画は、行政施策を主体とした計画であるのに対し、市地域防災計画 は、防災関係機関、公共的団体及び市民の果たすべき役割についても規定す る計画である。 第6 計画の修正 この計画は、防災に関する恒久的な基本計画であるが、災害対策基本法第42条の規 定により、毎年検討を加え、必要があると認めるときは、市防災会議において修正す る。したがって、各機関は自己の所掌する事項について検討し、計画修正案を市防災 会議(事務局:防災安全課)へ提出しなければならない。
1-5
第2節
防災関係機関の事務または業務の大綱
防災関係機関が防災に関して処理する業務は、おおむね次のとおりである。 第1 市 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 八 代 市 ○ 八代市防災会議及び八代市災害対策本部に関する事 務 ○ 防災に関する組織の整備及び防災訓練の実施 ○ 防災に関する施設及び資機材の備蓄整備、点検 ○ 警報の伝達並びに避難準備情報、避難勧告・指示の発 令 ○ 防災に関する施設の新設・改良及び復旧対策 ○ 災害に関する情報の伝達・収集及び被害調査 ○ 消防、水防、その他の応急措置 ○ 被災者に対する救助及び救護措置 ○ 災害時における保健衛生、文教及び交通等の対策 ○ 緊急輸送車両等の確保 ○ 市内における公共的団体及び自主防災組織の育成指 導 ○ その他市の所掌事務についての防災対策 ○ 隣接市町村及び防災関係機関との相互応援協力 第2 県 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 熊 本 県 ○ 熊本県防災会議に関する事務 ○ 防災に関する施設の新設・改良及び復旧対策 ○ 災害に関する情報の伝達・収集及び被害調査 ○ 水防その他の応急措置 ○ 被災者に対する救助及び救護措置 ○ 災害時における保健衛生、文教、治安及び交通等の対 策 ○ その他県の所掌事務についての防災対策 ○ 市町村の災害事務または業務の実施についての援助 及び調整1-6 第3 自衛隊 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 陸上自衛隊第八師団 (第八特科連隊) ○ 天災地変、その他の災害に際して航空機あるいは地 上からの情報収集・伝達及び人命または財産の保護 (人命の救助、消火、水防、救援物資の輸送、道路の 応急啓開、応急医療、防疫、給水、入浴支援等) 第4 指定地方行政機関 (内閣総理大臣指定) 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 九州地方整備局 (八代河川国道事務所) ○ 直轄河川の整備、維持、管理及び水防に関すること ○ 直轄港湾、航路、海岸、砂防の整備及び防災に関す ること ○ 緊急を要すると認められる場合、大規模災害時の応 援に関する協定書に基づく適切な緊急対応の実施 ○ その他防災に関し、九州地方整備局の所掌すべきこ と 九州地方整備局 (熊本港湾・空港整備事務所) ○ 港湾海岸災害対策に関すること ○ 津波災害等の予防に関する港湾海岸計画 ○ 緊急輸送航路の保全に関すること 第十管区海上保安本部 (八代海上保安署) ○ 災害時の海上における人命・財産の救助その他救済 を必要とする場合の援助並びに海上の治安及び救助 九州農政局 (八代地域センター) ○ 主要食糧の需給対策 九州経済産業局 ○ 災害時における物資の供給及び価格の安定対策 九州森林管理局 (熊本南部森林管理署) ○ 国有林野等の森林治水事業等及び防火管理 ○ 災害応急用材の需給対策 九州管区警察局 (八代警察署・氷川警察署) ○ 災害時における治安、交通、警察通信の確保及び警 察行政の調整に関すること 九州地方環境事務所 ○ 災害廃棄物等の処理対策に関すること ○ 環境監視体制の支援に関すること ○ 飼育動物の保護等に係る支援に関すること 九州防衛局 (熊本防衛支局) ○ 所管財産(周辺財産)の使用に関する連絡調整 ○ 米軍施設内通行等に関する連絡調整
1-7 第5 消防機関 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 八代広域行政事務組合 消防本部 ○ 災害時における防ぎょ活動 ○ 人命救助及び救急活動に関すること ○ 危険物等施設の実態把握と防護の指導監督に関す ること ○ 火災発生時の消火活動に関すること 第6 指定公共機関 (内閣総理大臣指定) 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 日 本 郵 便 株 式 会 社 (八代郵便局) ○ 災害時における郵便業務運営の確保 ○ 災害救助法適用時における郵便業務に係る災害特 別事務取扱い及び援護対策 (1) 被災地の被災者に対する郵便葉書等の無償交付 (2) 被災者が差し出す郵便物の料金免除 (3) 被災者あて救助用郵便物等の料金免除 (4) 被災地あて寄付金を内容とする郵便物の料金免除 ○ 災害時における郵便局窓口業務の確保 九 州 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (八代駅・新八代駅) ○ 鉄道施設の防災対策 ○ 災害時における救助物資及び人員の緊急輸送 西日本電信電話株式会社 (熊本支店) ○ 電気通信施設の防災対策 ○ 災害時における非常・緊急通話の調整及び気象予警 報の伝達 日 本 赤 十 字 社 (熊本県支部) ○ 災害時における医療、助産及び遺体処理の実施 ○ 災害援助等の奉仕者の連絡調整 ○ 義援金品の募集配分 日 本 放 送 協 会 ○ 気象予警報、災害情報等の災害広報対策 九 州 電 力 株 式 会 社 (八代営業所) ○ 電力施設の保全、保安対策 ○ 災害時における電力供給確保 西日本高速道路株式会社 (九州支社熊本高速道路 事務所) ○ 有料道路及び施設の防災対策 日 本 通 運 株 式 会 社 (八代支店) ○ 災害時における自動車による人員及び救助物資等 の輸送確保
1-8 第7 指定地方公共機関 (県知事指定) 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 肥薩おれんじ鉄道 株式会社 ○ 鉄道施設の防災対策 ○ 災害時における救助物資及び人員の緊急輸送 放送報道関係 (㈱熊本放送、㈱熊本 日日新聞社、㈱テレビ 熊本、㈱熊本県民テレ ビ、熊本朝日放送㈱、 NHK熊本放送局) ○ 気象予警報、災害情報等の災害広報対策 九州産交バス株式会社 (八代営業所) ○ 災害時における自動車による人員及び救助物資等 の輸送確保 海上輸送機関 ○ 災害時における船舶による人員及び救助物資等の 輸送確保 九州ガス株式会社 (八代支店) ○ ガス供給施設の保全、保安対策 ○ 災害時におけるガス供給確保 公益社団法人 熊本県医師会 ○ 災害時における医療、助産等の救護 公益社団法人 熊本県看護協会 ○ 災害時における医療、助産等の救護 熊本県土地改良 事業団体連合会 ○ 溜池及び水こう門等の整備と防災管理 ○ 農地及び農業用施設の被害調査及び復旧
1-9 第8 その他の公共団体及び防災上重要な施設の管理者 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 社会福祉協議会 ○ ボランティアに関すること ○ その他災害応急対策の協力に関すること 株式会社エフエムやつしろ (エフエムやつしろ) ○ 災害応急対策等の情報の周知徹底対策 ○ 災害時における広報活動及び被害状況等の速報 テレビやつしろ株式会社 (ひこいちテレビ) ○ 災害応急対策等の情報の周知徹底対策 ○ 災害時における広報活動及び被害状況等の速報 一般社団法人八代市医師会 一般社団法人八代郡医師会 ○ 災害時における医療、助産等の救護 病院等の管理者 及び経営者 ○ 避難施設の整備と避難訓練並びに災害時における収 容者保護 ○ 災害時における医療、助産等の救護 社会福祉施設管理者 ○ 避難施設の整備と避難訓練並びに災害時における収 容者保護 ○ 災害時における収容者保護 八代生活環境事務組合 ○ 災害時の飲料水の確保及び供給に関すること ○ 給水設備の保全及び応急修理に関すること ○ 災害地における送配水管の維持管理に関すること ○ 被災地域における緊急給水活動に関すること ○ し尿の処理に関すること 八代地域農業協同組合 八代森林組合 八代市漁業協同組合 鏡町漁業協同組合 二見漁業協同組合 球磨川漁業協同組合 ○ 農林水産関係の被害調査または協力 ○ 農林水産物等の災害応急対策についての指導 ○ 被災農林水産業従事者、農林水産業関連事業所に対 する融資または斡旋並びに飼料、肥料等の確保または斡 旋 八代商工会議所 八代市商工会 ○ 商工業関係の被害調査、融資希望者のとりまとめ及 び斡旋等についての協力 ○ 災害時における物価安定についての協力、徹底 ○ 救助用物資復旧資材の確保についての協力、斡旋 金融機関 ○ 被災事業者に対する資金融資及びその他の緊急措置 学校法人 ○ 避難施設の整備及び避難訓練並びに災害時における 児童・生徒の保護 ○ 災害時における教育対策 プロパンガス取扱機関 ○ 安全管理の徹底 ○ 防災施設の整備
1-10 第9 市民及び事業所等 機 関 の 名 称 事 務 ま た は 業 務 の 大 綱 市民 ○ 災害に強いまちづくり、災害に強い人づくりのため に、地域において相互に協力すること ○ 県知事及び市長等が実施する防災対策に協力する とともに積極的に防災活動に参加し、災害の未然防 止、被害の拡大防止及び災害の復旧等に寄与するとと もに、市民全員の生命、身体、財産の保護に努めるこ と 市内事業所 ○ 事業所における防災対策の充実と従業員の安全の 確保に関すること ○ 地域の防災活動に積極的に参加するなど、地域にお ける防災力の向上に関すること 自主防災組織 ボランティア団体 ○ 平常時から構成員間の連携を密にした活動体制の 整備に関すること ○ 災害時の救援救護活動の迅速な実施に関すること
1-11
第3節
市の概要と災害要因
1.位置及び面積 八代市は、東西約50㎞、南北約30㎞、約680.6km2の面積を有し、西は八代海に臨 み、北は八代郡氷川町、宇城市、上益城郡、下益城郡、東は宮崎県東臼杵郡、南は 球磨郡及び葦北郡に接している。 球磨川・氷川によって育まれた豊かな土地や、豊富で良質な水資源と扇状地式三 角州を中心として、長年にわたる干拓事業により形成された八代平野を持ち、全国 有数の農業地域、県下有数の工業都市である。 山地の東部は泉町の国見岳(1,738m)を最高峰として九州山地の脊梁地帯を形成 し、西に低く、谷は狭く深くなっており平家落人伝説が語り継がれる秘境、五家荘 地域を有するなど歴史と自然豊かな地域を有している。 緯度・経度(市庁舎位置) 東 経 北 緯 130°36’ 15” 32°30’ 12” 2.地勢及び災害要因 本市の地勢は、東部から南部にかけて九州山地から連なる急峻山地と、市の中心 部を東西に貫通する日本三急流の一つである球磨川により形成された沖積平野及 び遠浅の八代海を利用した干拓地からなっているが、日奈久以南は山地が海岸線ま で迫っている。干拓事業は300年以上にわたって続けられ、現在では市域面積の約 3割が干拓地になっている。 また、本市には、第一級の活断層である布田川-日奈久断層が南南西-北北東に 走り、このラインで南東の山岳地帯と北西の低地帯に分断されている。 平成14年5月に地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表した、布田川・日奈 久断層帯の評価では、マグニチュード7.5の地震が発生する確率が今後30年で最大 6%となっており、これは阪神・淡路大震災を引き起こした野島断層が最大8%で あったことを考えると、必ずしも低い数値とは言えない。 実際、平成24年度に熊本県が実施した地震・津波被害想定調査によれば、上記の 布田川・日奈久断層帯による地震や南海トラフを震源とした地震及び津波により、 本市は大規模な被害の発生が予測された。これによれば市域のほぼ全域で震度5弱 ~7の揺れが予測され、市域では大規模な建物被害や人的被害が予測されている。 また、上記の布田川・日奈久断層帯による地震や、南海トラフを震源とした地震 では、堤防等が大規模に損壊または沈下することで、市域の平野部の多くの地域が 当該地震に伴い発生する津波により浸水する予測結果が示されている。 また、揺れにより市域の各所で急傾斜地崩壊が予測されていることから、地形が1-12 急峻な中山間地域では、土砂災害に伴う道路途絶による孤立化も予想される。 3.災害履歴 (1) 地震の履歴 西暦(年号) 月日 規模 事項 1619(元和5年) 3.17 M6.0 肥後・八代 麦島城楼はじめ公私の家屋破 壊。 1625(寛永2年) 7.21 M5.0~ M6.0 肥後熊本大地震 熊本城の火薬庫爆発、城 内の石垣にも被害、死者約50人。 1707(宝永4年) 10.4 M8.4 宝永地震 我が国最大級の地震。被害全国 に及ぶ。 1723(享保8年) 12.19 M6.5 肥後大地震 肥後で倒家980軒。そのうち 584軒は半倒。死者2人。重軽傷者25人。 1889(明治22年) 12.28 M6.3 熊本で直下型地震 県下では明治以降最大 の被害。熊本市付近で被害大。 1931(昭和6年) 12.21 M5.5 大矢野島で群発地震 その影響で八代市で は20万斤(120トン)の岩石が崩れ石灰岩石 採掘中の人夫3人が即死、5人が重軽傷。 1946(昭和21年) 12.21 M8.0 南海地震 被害は中部地方から九州地方ま で及ぶ。この地震により、金峰山系の火山 性地震、緑川の構造性地震など局発地震が 誘発された。八代市内の被害は不明である が、県内で死者2人、負傷者1人、住家全壊6 軒、半壊6軒の被害があった。 1968(昭和43年) 4.1 M7.5 日向灘地震 港湾施設に小被害。津波が生 じ、床上浸水や水産施設に被害があった。 資料:「新編日本被害地震総覧」「日本の地震活動」「八代地方の災害史年表(改訂 増補版)」等による。 4.被害想定及びシナリオ (1) 地震・津波被害想定及びシナリオ ア.被害想定の基本方針 被害想定の条件、浸水想定規模は、「熊本県地震・津波被害想定調査結果」(以 下、県被害想定という。)に基づき、八代市で最大の被害が発生するケースの 組合せを想定する。 被害想定の区分は、以下の三区分とする。
1-13 被害想定の区分 想定区分 想定の概要 市域で発生 市域に大規模な地震・津波による被害が発生 ◎地震:布田川・日奈久断層帯(中部・南西部連動) 【ケース1】(注)による地震発生 ○ 八代市の最大想定震度:震度7 ※県被害想定が検討対象とする地震で八代市の震 度が最大となる地震 ◎津波:県被害想定で示された最大津波高、最大津波浸水域 の津波が発生(朔望平均満潮位の条件で津波が来 襲、地震により堤防が損壊する想定) ○ 八代市の最大津波高:T.P.3.0m ○ 八代市の最大浸水面積:6,500ha ※県被害想定が検討対象とする津波ごとの最大津 波高、最大津波浸水域を重ね合せたもの 近隣で発生 近隣自治体または九州エリアが被災、八代市域の被害は軽微 遠方で発生 八代市域の被害なし、または極めて軽微 (注) 県被害想定では、市域に大きな被害を及ぼす地震として布田川・日奈久断 層帯(中部・南西部連動)について、一つの断層で4つの異なる破壊開始点を 設定し、それぞれについて「ケース1~4」の地震動による被害想定を行っ ている。「ケース1」は、そのうち最も八代市において被害の大きくなる地 震である。当該断層帯上のケース1~4の破壊開始点を、次ページの参考図 に示す。 イ.被害想定条件 県被害想定によれば、八代市において、地震と津波による被害を合わせて被 害が最も大きくなるものは、布田川・日奈久断層帯(中部・南西部連動)【ケー ス1】による地震である。一方、津波被害だけに着目すると、南海トラフを震 源とする地震による津波被害が、若干の差ではあるが、最も大きくなる。 以上を踏まえ、以下に示す「布田川・日奈久断層帯(中部・南西部連動)【ケ ース1】による地震」及び「南海トラフを震源とする地震」で想定される被害 を、八代市地域防災計画が前提とする地震・津波の被害想定の条件とする。
1-14 【参考図①】布田川・日奈久断層帯(中部・南西部連動)のケース1~4の破壊開始点 (図中の矢印の点) 【参考図②】布田川・日奈久断層帯(中部・南西部連動)【ケース1】の被害想定図 ・震度分布図<図-1参照> ・液状化危険度分布図<図-2参照> ・建物全壊棟数分布図<図-3参照> ・津波到達時間<図-4参照> ※以上は、熊本県被害想定データより本市作成。 ※なお、津波浸水想定区域については、県ホームページ公表資料を参照のこと。 布田川・日奈久断層帯 ケース1 ケース2 ケース3 ケース4
1-15 図-1 八代市の震度分布図 図-2 液状化危険度分布図 <液状化発生の可能性> :かなり低い :低い :高い :きわめて高い
1-16
図-3 建物全壊棟数分布図
1-17 地震・津波の被害想定の条件(建物被害・人的被害) 項 目 区分 細目 布田川・日奈 久 断 層 帯 ( 中 部・南西部連 動)【ケース1】 南海トラフ 想定条件 建 物 被 害 揺れ 全壊(棟) 1,826 1 半壊(棟) 5,385 181 液状化 全壊(棟) 939 1,019 半壊(棟) 1,335 1,473 急傾斜地崩壊 全壊(棟) 10 2 半壊(棟) 22 5 津波 全壊(棟) 7,015 7,592 半壊(棟) 14,599 16,600 火災 全半焼(棟) 0 0 風速11/s、冬朝5 時・夕方6時とも 出火数 7 0 冬夕方6時 建物被害合計 - 31,131 26,873 - 人 的 被 害 揺れ 死者(人) 113 0 朝5時 重傷者(人) 363 0 朝5時 負傷者(人) 3,213 92 朝5時 急傾斜地崩壊 死者(人) 2 0 朝5時 重傷者(人) 1 0 朝5時 負傷者(人) 3 0 朝5時 津波 死者(人) 51 48 朝5時 重傷者(人) 644 731 朝5時 負傷者(人) 1,556 1,767 朝5時 火災 死傷者(人) 0 0 風速11/s、冬朝5 時・夕方6時とも 人的被害合計 - 5,946 2,638 - ※津波による被害(網掛け部分)だけを見ると、南海トラフを震源とする地震の被害が、 若干の差ではあるが、最も大きい。 ※火災被害は全半焼は無いが、出火は発生する(住民・消防団等による初期消火や現 有消防力で延焼なし)。 ※液状化による人的被害は被害事例が無いため、県被害想定では想定から除外してい る。
1-18 地震・津波の被害想定の条件(ライフライン・交通輸送施設・生活支障被害等) 項 目 区分 細目 布田川・日奈 久 断 層 帯 ( 中 部・南西部連 動)【ケース1】 南海トラフ 想定条件 ラ イ フ ラ イ ン 被 害 上水道 断 水 人 口 (人)[直後] 62,349 非算出 断 水 人 口 (人)[2日後] 54,017 非算出 下水道 支 障 人 口 (人) 2,121 813 浸水施設 処 理 場 ( 箇 所) 2 2 ホ ゚ ン フ ゚ 場 ( 箇 所) 3 5 交 通 輸 送 施 設 道路 浸水道路 割合(%) 23 25 橋梁 大被害 1 0 中小被害 3 0 港湾 被害バース数 3 非算出 漁港 被害バース数 11 非算出 生 活 支 障 等 避 難 者 (人) - 28,494 2,911 風速11/s、冬朝5 時・夕方6時とも 帰 宅 困 難 者(人) - 5,815 5,815 廃棄物 ガレキ(万t) 186 144 風速11/s、冬朝5 時・夕方6時とも ※非算出は、県被害想定で算出されていない項目 ※道路は、高速道路、一般道路が対象。 ※橋梁は、NEXCO、国交省、県管理の橋脚を有するものが対象。
1-19 ウ.被害想定及び災害対応シナリオ 区分ごとの被害想定 災害対応シナリオ 【 市 域 で 発 生 】 (布田川・日奈久断層帯(中部・南西部連動)【ケース 1】による地震及び県被害想定で示された最大津波 高、最大津波浸水域の津波を想定) 【地震】 ◎市域のほぼ全域で震度5弱~7の揺れが発生、広域 的な停電、通信途絶発生 ◎断層に近い市域の西部一帯では、多数の家屋の倒 壊、生き埋め等の要救助者が発生 ◎多数の家屋倒壊に伴い街路閉塞や出火が多発 ◎初期消火や消防団の駆けつけが不十分な場合は延 焼火災の可能性 ◎揺れや液状化による道路・橋梁等の被害多発 ◎沿岸埋立地域では、液状化が広範囲に発生 ◎中山間地(東陽・泉・坂本・二見等)では急傾斜地 崩壊などの土砂災害により道路が寸断され孤立地 区が発生 【津波】 ◎地震により堤防が損壊し、破堤地点付近は地震後、 数分で津波到達、内陸2kmまではおおむね30分で浸 水。最終的には2~4時間程度で八代市の平野部の 多くが浸水。ただし河川沿いでは津波遡上により 早期に浸水開始 ◎津波は八代海の内側で反射し、津波が繰り返し来 襲、長時間にわたり津波が継続 ◎津波により船舶や倒壊家屋等の大量の漂流物が発 生、さらに津波火災が発生 【地震・津波】(発災時) ◎地震直後から津波浸水想定域では津波避難を開 始、大規模な徒歩や車による避難交通が発生 ◎避難が遅れた場合、溺死者や逃げ遅れて屋上等に 取り残された被災者発生 ◎消防の対応能力を超える同時多発的な火災、救 助・救急の通報が殺到 【地震・津波】(被災後) ◎家屋被害やライフライン途絶のため大規模に長期 避難者が発生 ◎膨大な災害対応業務のため職員負担増大 ◎大規模な物資輸送や復旧車両により幹線道路を中 心に渋滞が発生 ◎被災住宅等からの大量の災害ガレキ、災害ゴミの 発生 【地震直後】 ◎大規模地震の場合、直ちに津波避難 対象地域に避難勧告・指示 ◎当該地域住民は、今後、策定予定の 津波避難計画に基づく避難開始 ◎堤防被害、津波浸水状況をあらゆる 手段で早期に把握し、堤防被害や津 波浸水があった地域では水門・樋 門・陸閘閉鎖は行わず避難 ◎市・消防本部には地震直後から救助 や救急要請が殺到するが、津波の浸 水状況を把握しつつ対応 ◎地震直後から避難所の開設と避難 者受入の開始 【被災後】 ◎浸水域内の孤立者救助、不明者捜索 ◎負傷者等の広域医療搬送 ◎住民や市域以外から多数の安否確 認依頼が殺到 ◎道路啓開、ガレキ撤去 ◎長期湛水地区でのポンプ排水 ◎浸水解消後の土地・住宅の消毒 ◎中山間地での土砂災害や孤立の把 握 ◎孤立地区に対し、ヘリによる物資輸 送や、当該地区からの集団避難 ◎津波で家屋を失った大量の沿岸住 民避難者を市域の各所で収容 ◎住民と協働による避難所運営 ◎陸海空の多様な輸送手段の確保に よる物資の輸送及び提供 ◎物資の集積や配布の拠点開設 ◎協定自治体、県等へ広域応援の要請 と受入や民間ボランティア受入 ◎住家被害認定調査・り災証明発行 ◎仮設住宅の建設にともなう対応 ◎災害ガレキ・ゴミの処理 ◎公共土木施設等の応急復旧 ◎早期に住民意見を反映した復興基 本方針の決定と復興計画の策定
1-20 区分ごとの被害想定 災害対応シナリオ 【 近 隣 で 発 生 】 (近隣自治体または九州エリアが被災し、八代市域 の被害が軽微な場合) ◎全国または九州各地からの応援部隊が国道3号、九 州縦貫自動車道、南九州自動車道の高速交通網や 八代港などを活用することにより、市域が応援中 継地となる ◎広域応援に利用できる広域的な道 路、交通機関等の調査 ◎熊本県都市災害時相互応援協定及 び熊本県市町村災害時相互応援に 関する協定等に基づく応援実施 ・応援必要分野の調査 ・庁内応援派遣体制検討 ・応援隊派遣ルート検討 ・先発隊を派遣(詳細調査) ・応援本隊出発(随時、交代) ◎被災近隣自治体へ通じる幹線道路 に応援中継拠点を設置 ◎応援中継拠点の運営 【 遠 方 で 発 生 】 (市域の被害はないか、または極めて軽微な場合) ◎広域応援を実施 ◎広域応援に利用できる広域的な道 路、交通機関等の調査 ◎被災自治体からの応援要請に基づ く応援実施 ・応援必要分野の調査 ・庁内応援派遣体制検討 ・応援隊派遣ルート検討 ・先発隊を派遣(詳細調査) ・応援本隊出発(随時、交代)