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高度経済成長期以後の北海道中山間地域における施設園芸作による

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2017 年 2 月 7 日

高度経済成長期以後の北海道中山間地域における施設園芸作による 大規模主産地化の過程

―平取町トマト作を事例とした検証―

共生基盤学専攻 共生農業資源経済学講座 農業経営学 樋口 悠貴

1.課題

1990 年代以降の北海道農業は,平地地域を中心に大規模経営への農地集積が進展した結果,規 模拡大が困難な中山間地域の条件不利性を顕在化させたと想定される。加えて北海道中山間地域は,

兼業機会に恵まれないことから地域経済の基盤として農業の持つ意義が大きいという事情を踏ま えると,今日の北海道中山間地域農業は,平地地域と比較したときの農業生産の条件不利性を克服 し,地域経済の基盤としての農業の確立をいかに図るかという課題を抱えていると指摘できる。そ の中で注目すべき地域として,高度経済成長期以後の北海道中山間地域において施設園芸作による

「大規模主産地」を形成し,地域経済の基盤としての農業を確立している地域(平取町の「びらと りトマト」,夕張市の「夕張メロン」)が挙げられる。そこで本研究は,これらの地域がなぜ,高度 経済成長期以後,施設園芸作によって大規模主産地化したのかを明らかにすることを課題とした。

2.仮説と方法

まず,「北海道中山間地域」とは,地形ならびに気象の条件不利性を抱える地域であるとし,「大 規模主産地化」とは,産地としての作物の生産にとって,より好適な条件を備えており,他の地域 に先駆けて産地となる地域(=先発地区)から,その近隣に所在する,次に適する地域(=後発地 区)への産地の地理的広がりの過程であるとした。これらの概念をふまえ,仮説を以下のように定 めた。すなわち,自然条件の点で施設園芸作による産地としての潜在的可能性を有していた北海道 中山間地域は,高度経済成長期以後の社会経済条件の変化によって,施設園芸作が展開し始めた。

さらにそのような展開によって大規模主産地となったのは,産地になることの経済的優位性を後発 地区が先発地区よりも強く享受したからであると考えた。この仮説を平取町トマト作の事例を分析 することによって検証することとした。事例を分析する前にまず,仮説をもとに枠組みを構築し,

この枠組みを用いて事例分析を行った。

3.結果と考察

事例を分析した結果,施設園芸作に有利な自然条件を元来備えていた平取町では,減反政策とい う社会経済条件の変化を契機として,町内の一地区が先発地区となり,トマト作の導入が開始した ことが明らかとなった。さらに1980年代後半以降,トマト作の展開を有利にさせるような産地全 体としての対応(労働力の確保,設備投資,道外移出の拡大,栽培の組織的対応)がなされたこと で,先発地区に続いてその近隣の地区が後発地区として産地に取り込まれた実態が明らかとなった。

このような後発地区への広がりは,これらの対応によって後発地区がトマトの産地となることの経 済的優位性を先発地区以上に高めたからであると考察した。さらにこのことに加えて,後発地区が 後発であるがゆえに生じさせることのできる経済的優位性(=後発優位)も存在していると考察し た。以上の分析を踏まえて,事例地では,産地全体としての対応がもたらす優位性および後発優位 という大きく2つの優位性によって大規模主産地化したと結論づけた。

参照

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