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間葉系幹細胞との共培養が軟骨細胞に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会, 201828

間葉系幹細胞との共培養が軟骨細胞に及ぼす影響

応用生物科学専攻 食資源科学講座 副生物科学 久保耀介

1.はじめに

軟骨とは,無血管・無神経の遅栄養組織であり,一度損傷すると修復にかなりの時間がかかっ てしまうため,損傷軟骨の再生は医療における重要なテーマとなっている。再生医療技術を用 いた軟骨組織の治療には安定した細胞源の確保が必要とされているが,生体から採取・培養し た軟骨細胞は増殖性が低く,継代増殖に従って発現形質が変化し,線維芽細胞様に脱分化する という問題がある。これまでの研究で,間葉系幹細胞(MSC)との間接的共培養によって軟骨細胞 は脱分化せず,その形質を保ったまま増殖性や軟骨性タンパク質の発現レベルが向上するこ とが示唆された。そこで本研究では,MSC が軟骨細胞にどのように影響を及ぼすかに焦点を当 て,その作用機序の解明を目的とした。

2.方法

ラット新生児の膝関節から軟骨細胞を,Wistar 系 5 週齢オスラットから MSC を採取し in

vitro 培養に供した。軟骨細胞の単層単独培養をコントロール区として,MSC の馴化培地によ

る培養,MSC とのインサート共培養,MSC との単層混合培養の3種類を試験区として,増殖性と発 現形質について単独培養をコントロール区として比較した。

3.結果

増殖性に関しては,コントロール区と比較して 3 種類の試験区全てで向上するという結果 が得られた。細胞の形態に関しては,MSC 馴化培地培養区とインサート共培養区でコントロー ル区と比べてより短い培養日数で細胞の球形化・重層化が確認された。単層混合培養では, 軟骨細胞が細胞集団を形成し,その細胞集団の間を MSC が埋めるようにして存在している様 子が確認された。細胞外マトリックス(ECM)の産生に関しては,コントロール区と比較して 3 種類の試験区全てで,タンパク質レベル,遺伝子発現レベルで軟骨コラーゲンと呼ばれるⅡ,

Ⅸ,Ⅺ型コラーゲンの産生量が向上していた。一方で,Ⅰ型コラーゲンの産生量については全 ての試験区において,コントロール区と比べて両レベルで減少していた。

4.まとめ

本研究から,MSC が産生する ECM や成長因子類,構築する微小環境は,同培養系での軟骨細胞 の有無に関わらず軟骨細胞の形質を維持する影響を与えることが示唆された。また,MSC が軟 骨細胞に及ぼす影響は培養条件によって異なることが示唆されたが,その詳細な作用機序や MSC の軟骨細胞への分化に関しては不透明である。したがって,両種細胞を識別した上での単 層混合培養とその評価や,両種細胞の動向を分子レベルで追うことによって,MSC との共培養 が軟骨細胞に及ぼす影響を検討することが今後重要であるといえる。

参照

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