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中古住宅市場の分析

2008年1月

総合政策学部

3 年

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中古住宅市場の現状分析と今後の展望

1、背景と目的 日本における中古住宅の取引は、新築住宅に比べて低調だといわれている。しかしなが ら、新築住宅の着工戸数から住宅ストックは充実していると考えられるだろう。繰り返さ れるスクラップ・アンド・ビルドをやめて、中古住宅を活用するということは、国民経済 性や環境問題に対してメリットがあり重要だ。また既存住宅市場が活発である欧米諸国な ど、国際的な流れを考慮しても、それらを有効活用することには意義があると思う。さら に、少子高齢化社会において、ライフスタイルに合わせた住み替えは重要な意味を持ち、 中古住宅市場の役割も期待されると考え、現状を分析し今後の展望について考察したいと 考えた。 2、方法 主に以下に示す手法で分析と推察を行う。 ・住宅市場および中古住宅市場に関する統計からデータ収集(総務省、国土交通省など) ・表・グラフの作成 ・政府の住宅政策に関する資料調査(国土交通省発表、その他) ・ 中古住宅市場に関する文献調査 3、住宅市場の分析 3.1.日本の住宅政策の変遷 日本の住宅政策は、終戦直後の420万戸という絶対的な住宅不足から、量的不足を補 うことを目的に開始された。昭和25 年「住宅金融公庫」が設立され、昭和 26 年には「公 営住宅法」の制定、昭和30 年「日本住宅公団」設立、昭和 41 年「受託建設計画法」制定 という一連の流れから、この時期の住宅政策としては、国や地方公共団体、民間、国民そ れぞれが協力し合って、住宅建設の強力な推進を目指すという姿勢が読み取れる。 昭和 48 年に、初めて全国レベルで住宅数が世帯数を上回ると、それまでの量に重点を 置いた政策は見直され、質の向上に重点を置いた政策がとられるようになった。昭和 51 年度から、昭和60 年に向けた長期展望において、「最低居住水準」や「平均居住水準」を 定め、昭和56 年度には「住環境水準」を定めた。また、昭和 61 年度には「平均居住水準」

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に替わる「誘導居住水準」を定めた。こうして、平成 12 年度を目標年次に、さらにゆと りある住生活の実現を目指すことになったのである。 近年では市場重視・ストック重視の政策がとられている。平成8 年、公営住宅整備に民 間住宅の借上げ・買取り方式が導入されると、平成 12 年には住宅の性能表示のルールが 設定され、翌 13 年には「住宅性能水準」が位置づけられている。また、同年に「住宅市 場整備行動計画」が策定され、市場が適切に機能するための条件整備を推進する姿勢をと っているということがわかる。 3.2.住宅市場の現状 日本の中古住宅市場は、欧米諸国に比べて低調だといわれている。そこで、中古住宅取 引戸数の国際比較を見てみることにした。以下の表より、全住宅取引量に占める中古住宅 取引戸数の割合は、米・英・仏がいずれも70%以上であるのに対し、日本では約 12%と極 めて割合が低いということがわかる。 平成17 年度 国土交通白書「中古住宅取引戸数の国際比較」 日本 アメリカ 英国 フランス 中古住宅取引戸数(万戸) 16 557 159 73 全住宅取引量に占める 中古住宅取引戸数の割合 11.8% 76.6% 89.0% 70.7% (注) ・新築住宅着工戸数 日本→2003 年度、アメリカ・英国→2002 年、フランス→2003 年 ・中古住宅取引戸数 日本→1997 年、アメリカ・英国→2002 年、フランス→1999 年 資料 国土交通省「平成15 年度住宅着工統計」、総務省「平成 10 年住宅・土地統計調査」、

「Statistical Abstract of the U.S.2003」、「Housing Statistics 2003」、 公共事業・交通・住宅・海事局ホームページ

日本の中古住宅市場が活性化しないのは、なぜだろうか。背景には、欧米諸国に比べて そもそも住宅の寿命が短いということがある。住宅滅失期間の国際比較で、日本は英国の 75 年に比べて半分以下の 31 年であり、米国の 44 年に比べても短い。消費者ニーズが新 築に偏っているということは指摘できるが、日本の住宅建設では、スクラップ・アンド・

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ビルドを繰り返されてきた点にも問題があり、市場に出回る良質な中古住宅がそれだけ少 ないとされているのである。 住宅滅失期間の国際比較 出典:中央三井トラストグループ 調査レポート 2005/冬 国際比較の観点から見ると、日本の住宅は滅失期間が短いために、中古住宅市場が活 性化せず取引量も少ないということがいえる。また、全住宅取引量に占める中古住宅取引 量の割合も低く、新築に偏った取引が行われているということがわかった。 3.3.住宅ストック 中古住宅市場の活性化に欠かせない条件の一つに、住宅ストックの充実が挙げられるだ ろう。住宅ストックが不足しているのであれば、中古住宅が市場に出回ることもない。環 境問題に配慮した資源の有効活用をメリットとして考えているのであれば、住宅ストック の現状について調べるべきだと考えた。 新築住宅の着工件数は、最近では法改正などの要素があって減少傾向にあるものの、昭 和57 年からの推移を見ると、100 万件を超える水準で推移していることがわかる。また、 昭和から平成の変わり目や平成8 年については、150 万件を超えているのが読み取れる。 31 44 75 0 10 20 30 40 50 60 70 80 日本 米国 英国 国 年数 期間

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新築住宅着工件数の推移 出典:国土交通省 建築着工統計調査報告 新築住宅着工件数(最近の推移) 出典:住友不動産コラム 2007 年 12 月 6 日 第二次大戦(∼1945 年)後 20 年以上にわたって、世帯数に対して住宅数が不足した状態 であったため、政府は1966 年に「住宅建設基本法」を制定し、それに沿った形である「住 宅建設5 ヵ年計画」を示し、住宅数増加に重点を置いた。そして 1968 年の「住宅統計調 査」で住宅ストックが世帯数を上回ってから、新築着工件数は既に述べたとおり高い水準 で推移しており、住宅ストックは充足している状態だと考えられる。 0 50 100 150 200 (昭和 )57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 万 年度 総数

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住宅ストック数と世帯数の推移 出典:住友不動産コラム 2005 年 12 月 平成15 年度の「住宅・土地統計調査」によると、住宅総数 5,387 万戸に対して、総世 帯数は4,722 万戸であり、空家率は 12.2%である。住宅ストックが充実しているというこ とと、一定数の空家があるということがわかったので、それらを有効活用することが出来 れば、中古住宅市場の活性化につながるのではないかと考えた。 3.4.中古住宅市場の現状 既に住宅取引が新築に偏っているということを述べたが、実際はどうなのか中古住宅の 流通量を調べてみることにした。 以下に示すデータから推察すると、全住宅数に占める中古住宅の割合は、およそ1 割程 度だと考えられる。また、持ち家の中で新築を建設または購入した世帯は、合わせて50% 以上になり、一方で中古住宅を購入した世帯は12%となっている。

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建築時期別全住宅数 出典:国土交通省 平成15 年住宅・土地統計調査 中古住宅の建築時期別戸数 出典:国土交通省 平成15 年住宅・土地統計調査 持ち家の種類別割合 出典:国土交通省 平成15 年住宅・土地統計調査 18% 12% 33% 24% 9% 4% 新築購入 中古購入 新築 建て替え 相続 ・ 贈与 その他 0 500 1000 1500 (昭和) 25以前26∼3536∼4546∼5 5 56∼2 3∼12 13∼15( .9) 万 年数 戸数 総数 0 20 40 60 80 100 120 昭和 35以前 36∼ 45 46∼ 55 56∼2 3∼ 7 万 年 戸数 総数

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また、中古住宅の入居時期別戸数を調べてみたところ、平成 11 年∼14 年まで 15 万戸 を超える水準で推移しており、平成15 年は 9 月までのデータで 10 万戸以上となっている。 建築時期別戸数と入居時期別戸数のデータから、中古住宅と言っても比較的新しいものだ ということがわかる。これは日本の住宅滅失期間が短いということにも関係しているだろ う。 中古住宅の入居時期別戸数 出典:国土交通省 平成15 年住宅・土地統計調査 全住宅に占める中古住宅の割合が、低い水準で推移しているということは間違いない。 また、日本の中古住宅は比較的新しい年代のものが多く、歴史が浅いということもいえる。 しかし近年、多少とはいえ中古住宅の割合が増加傾向にあることがわかった。今後、増え ていく可能性は十分にあると思う。 これまで、住宅市場全体と中古住宅市場の現状について分析してきた。次に、中古住宅 市場の展望について考えていきたい。 4、中古住宅市場の活性化 日本の住宅の問題点として、まず寿命が短いため、築後20~30 年で価値がなくなってし まうということが挙げられる。その原因は耐震など元々の基本性能が低いことにある。そ のため、伝統的にスクラップ・アンド・ビルドが繰り返され、新築に偏りがちになってし まうのだ。また、空家率が高いということも挙げられる。 これらの問題は、中古住宅市場の活性化にアプローチすることによって、同時に解決さ れるだろう。そこで、中古住宅市場の活性化に有効な対策を考えてみた。まず取引件数増 0 5 10 15 20 平成11 12 13 14 15.1∼.9 万 年 戸数 総数

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加のため、政府が流通の整備や税制度の整備を行うことが必要だと思う。また、日本の住 宅は築後20~30 年で価値がなくなるといわれており、中古住宅が市場に出回るようにする には、評価手法の確立が必要だろう。そして、住宅の基本性能を高めて適切なメンテナン スを行ったり、リノベーションを行ったりすることにより、いわゆる「使い捨てモデル」 から「循環型モデル」へ変化させることが最も重要である。 冒頭でも述べたように最近では、市場重視・ストック重視の政策が行われているという こともあるので、政府の取り組みや民間の取り組み事例を踏まえ、今後の展望を考えてい きたいと思う。 4.1.住生活基本法 平成18 年 6 月 8 日「住生活基本法」が公布・施行された。その基本理念は、「現在及び 将来の国民の住生活の基盤である良質な住宅の供給」などである。さらに、住生活の安定 の確保及び向上の促進に関する施策として、3 つ掲げている。「安全・安心で良質な住宅ス トック・居住環境の形成」「住宅の取引の適正化、流通の円滑化のための住宅市場の環境整 備」「住宅困窮者に対する住宅セーフティネットの構築」である。 この住生活基本法に沿った形の「住生活基本計画(全国計画)」は、平成18 年 9 月 19 日に閣議決定された。これは、平成18 年度から 27 年度までの 10 年間、住生活基本法に 基づき住生活安定向上政策を、総合的かつ計画的に推進するためのものだ。特徴としては、 10 年先を見越して目標値を定めるということや、5 年ごとに見直すアウトカム目標が設定 されるということなどがある。この計画には、既存住宅流通シェア拡大といった内容が含 まれている。 4.2.政府の 200 年住宅ビジョン 平成19 年 5 月、自民党・住宅土地調査会は、12 の政策提言からなる「200 年住宅ビジ ョン」を公表した。これは上記の「住生活基本法」の理念にのっとったものであり、循環 利用できる質の高い住宅ストックの形成や、個人の財産として住宅の価値を維持すること を通じて、社会全体の資産として継承することを目指している。

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「200 年住宅ビジョン」全体像 出典:住友不動産コラム 2008 年 1 月 10 日 「200 年住宅ビジョン」12 の政策 出典:住友不動産コラム 2008 年 1 月 10 日 200 年住宅ビジョンの一環として、税制度の改正も行われた。平成 20 年度税制改正大 綱「住宅の長寿命化(200 年住宅)促進税制」が創設されたのである。これは一定の基準 に適合する認定を受けた長期耐用住宅について、特例措置が講じられるというものだ。登 録免許税は、軽減税率を適用されている一般住宅特例より引き下げられ、不動産取得税は、 一般住宅特例より控除額が100 万円拡大される。また、固定資産税も新築住宅に係る減額 特例の適用期間が一般住宅より長期化されるという。 200 年住宅ビジョンは、まだ始まったばかりであることから、今後の効果に期待すると ころである。税制度については、控除するだけでなく消費税についてなど、抜本的な改革 を伴う税制度そのものの見直しが必要なのではないかと考えた。

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4.3.評価手法 平成14 年 8 月、既存住宅を対象とした「住宅性能表示制度」が制定され、同年 12 月に スタートした。第三者機関の評価員が性能をチェックしてくれる仕組みで、専門機関によ る住宅トラブルの対応を受けることが出来る。また定期的、継続的な評価によって、適切 な住宅の維持管理ができると期待されている。そして、この評価制度を利用することで、 売買当事者間の情報共有に役立てることが出来るのだ。問題は、普及状況が思わしくない というところにある。過去5 年間の水準は極めて低く、20%を切るほどだ。 住宅性能表示制度の普及状況 出典:国土交通省 住宅局 住宅の品質確保の促進等に関する法律 しかし、その推移を見てみると年々上昇傾向にあるということがわかる。今後、積極的 な啓蒙活動により、確立された中古住宅の評価手法として定着させることが重要だと考え た。 4.4.リノベーション 一口にリノベーションといっても、いくつか種類が考えられる。米国型の循環モデルは、 住宅所有者が居住している間に、メンテナンスを怠らず付加価値をつけることで流動性を 高めるというものである。その他に考えられる手法として、日本で試みが行われているも のは、購入者によるリノベーションと業者によるリノベーションの 2 種類があるといえ るだろう。前者は、既存物件を割安で購入した購入者が、つくり変えて住むというもので、 また後者は、既存住宅を不動産会社が買取り、リノベーションして流通市場に乗せるとい うものである。 米国型循環モデルは既に成功期にあり、リノベーションの代名詞ともいえる存在である 0 5 10 15 20 25 30 (平 成)13 14 15 16 17 18 万 年度 戸数 0 5 10 15 20 25% 設計住宅 性能評価 交付戸数 評価認定 割合

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ため、イメージしやすい。ここでは、馴染みの薄い2つの手法について見てみることにし た。 購入者によるリノベーションの特徴としては、購入者の好みが強く反映された仕様に変 更されることが多いということが挙げられる。そのため、汎用性の高いものにならず、流 通市場で価値を持つかについて疑問が残るのだ。しかし、基礎がしっかりしていれば、再 びリノベーションできる可能性もある。そうであれば、購入者が変わる度にリノベーショ ンされて住まわれるという、新しい流通モデルに発展することも考えられる。 業者によるリノベーションでは、日本でも不動産会社の新ビジネスの事例がある。そこ で、代表的なものを取り上げて、調べてみた。 ① 住友不動産「新築そっくりさん」 1996 年に開始されたビジネスモデルで、居住中の戸建て住宅を丸ごとリノベーション することで、新築同様にするというものである。耐震補強など基本性能を向上させること が可能だという利点があった。また、新築に比べ費用は半分程度で済む。既存住宅を購入 した層向けにもサービスを拡大できる可能性がある。 ② 東急不動産「ア・ラ・イエ」 2005 年に開始されたビジネスモデルであり、東急田園都市線の多摩田園都市エリアで、 過去に分譲した住宅のうち一定の条件を満たしたもの買い取り、リノベーション後に販売 するというものである。2004 年に行われたモデル事業で、築 22~23 年の物件が、新築物 件より500∼1000 万円安くなったという。このビジネスモデルは、新しい世代に循環さ せるだけでなく、街の活力、ブランド力を維持するという画期的な取り組みである。しか し、事業として大きな利益が出る数を手がけるまでには至っていない。 ③ 旭化成ホームズ「ストックへーベルハウス」 1999 年に開始されたビジネスモデルであり、自社ブランドの「へーベルハウス」の既 存住宅の仲介をインターネット上で行うというものである。売却希望の既存住宅の情報を インターネット上で公開し、購入者を募るという方式で、価格の他にメンテナンス等過去 の履歴情報も公開された。自社の住宅の耐久性やメンテナンスに自信があれば、履歴情報 を公開した上で仲介できるということを示した。ただし、基本性能がしっかりしていて、 メンテナンスにも問題がない住宅となると、大手住宅メーカーのもの限られるのではない かという見方が大半である。 このように、政府や民間企業も中古住宅市場活性化に、それぞれアプローチしていると

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いうことはわかった。しかし、日本の中古住宅市場が注目されたのは最近のことであり、 その取り組みも始まったばかりで成熟期に至ってはいない。政府の取り組みでは、「200 年住宅ビジョン」などの具体的な効果が今後期待されるが、日本が米国のように循環型モ デルを確立するのには、まだ時間がかかるだろう。また、民間の不動産会社の取り組みも 注目すべきものではあるが、取り組んでいる企業が少ないということと、単独ビジネスと しては成立していないという現状がある。官民が連携し合って、試行錯誤を繰り返し発展 させていく必要があるだろう。 5、中古マンション 5.1.首都圏中古マンションの流通 首都圏の中古物件の成約状況を調べてみると、戸建てに比べてマンションの市場規模が、 相対的に大きいということがわかる。2006 年度の中古成約件数は 29,719 件で、前年度 比5.2%増である。2 年連続で過去最高を更新しており、取引拡大傾向は首都圏全域に広 がっている。 中古マンション成約件数の推移 出典:財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向 0 5 10 15 20 25 30 35 1996 1998 2000 2002 2004 2006 千 年度 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 制約件数 前年比

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成約件数の比較 出典:財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向 5.2.マンション市場の循環モデル リノベーションの節では戸建てについてみてきたが、マンション市場の循環モデルとし ては、パイオニアであるインテリックスの事例を取り上げることにした。これは、築 20 年前後の物件を買い取り、構造躯体だけを残して配管や配線、間取り、内装を含めて再設 計し、全て一心した後に販売するというビジネスモデルである。利益率は新築マンション のデベロッパーより低いものの、仕入れから販売までの事業期間が短いということが強み だ。こうしたマンションを再生して販売するビジネスは、既に事業として成功を収めてい る。 中古マンションは、既に流通面で循環モデルが成功しており、戸建てに比べて市場が活 性化していることもあり、注目すべきだと考えた。高齢者の独り暮らしの増加など、ライ フスタイルの変化を考慮すると、中古マンションの需用は今後さらに高まる可能性がある だろう。また、中古マンション市場の発展が戸建ての市場を引っ張り、全体として活性化 する余地もあるのではないかと思った。 6、日本型循環モデル 米国では既に循環モデルが確立している。しかし、米国型循環モデルをそのまま日本に 取り入れても、おそらく成功しないだろう。日本の住宅は、耐震などの基本性能が低いた め、米国のように所有者が居住している間にメンテナンスをして、付加価値をつけるとい うことが容易ではない。新たに市場に出回る住宅については、基本性能が高いものになっ 0 5 10 15 20 25 30 35 1996 1998 2000 2002 2004 2006 千 年度 件数 中古マンション 制約件数 戸建住宅制約

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ていると考えられるが、循環型モデルを確立するに至るには相当の時間がかかると考えら れ、現実的ではないといえる。そこで重要になってくるのが、日本独自の循環型モデルの 確立である。 4,5 節で述べた内容であるが、中古マンションの循環モデルと、不動産会社の新ビジネ スモデルを参考にして、新たなシステムが考えられないだろうか。たとえば、中古住宅の リノベーション販売を専門に取り扱う企業が、それなりの利益を出せるような環境にする ということである。新築住宅を販売している企業と契約を結び、東急電鉄や旭化成ホーム ズが自社で行ってきたことを、専門会社が一括で引き受けることにより、仕入れコスト削 減に努めると同時に、大量販売による利益アップを狙う。また、基本性能が低い住宅は住 友不動産の例を取り入れ、丸ごとリノベーションして販売する。この全てを一心して販売 する住宅や経過年数の浅い住宅については、車でいう新古車のような位置づけで販売する と良いだろう。 このように流通面を整えることは大切だが、需用と供給の関係が成り立っていなければ、 中古住宅の流通量が増えても意味がないだろう。日本では伝統的にスクラップ・アンド・ ビルドが繰り返されてきたということもあり、持ち家を建てたり購入したりするときには、 新築にこだわりを持つ人が多い。そもそもの流通量も少ない上に、納得のいく住宅が中古 では見つかりにくいという理由があるかもしれない。しかし、最近では若い人の間で中古 住宅に対する抵抗感がなくなってきているので、今後は中古住宅が注目される可能性があ ると考えられる。そうした土壌が出来てきたところに、中古住宅のメリットを宣伝するよ うにすれば、需要面でも一定数が見込めるのではないだろうか。 理想的なのは、魅力的な中古住宅の市場への流通量を増やすと同時に、消費者側の中古 住宅に対するニーズを高めるということだと思う。

参照

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