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太陽熱発電に用いるヘリオスタットの

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太陽熱発電に用いるヘリオスタットの 経年劣化による集熱損失

及び電力回収量の評価

平成25年度

三重大学大学院地域イノベーション学研究科 博士前期課程地域イノベーション学専攻

山口大貴

(2)

2

目次

第1章 序論 ... 3

第2章 各位置のヘリオスタットが反射する光の予測法、及び集熱量シミュレーション ... 4

2.1 太陽熱発電 ... 4

2.2 集熱器に当たる光のシミュレーション方法について ... 6

2.3 代表設置点のデータを用いた各点の有効面積 ... 7

2.4 シミュレーション方法を用いた代表設置点別コサイン効率 ... 9

第3章 津市の日射量より求める熱回収量の評価 ... 11

3.1 ヘリオスタット誤差による熱損失の評価 ... 11

3.1.1 集熱部 25 ㎡の場合... 12

3.1.2 結果と考察 ... 12

3.1.3 集熱部 64 ㎡の場合 ... 13

3.1.4 結果と考察 ... 13

3.2 津市の季節別日射量のデータ ... 14

3.3 津市の年間電力回収量の計算 ... 15

3.3.1 結果と考察 ... 17

第4章 ヘリオスタット経年劣化による電力回収量の評価 ... 18

4.1 25年間の角度調整間隔の想定 ... 18

4.2 最大損失別推移 ... 19

4.3 25年間の総電力回収量の評価 ... 21

4.3.1 結果と考察 ... 21

4.4 保安費と損失を加味した利益の評価 ... 21

4.4.1 結果と考察 ... 24

第5章 総括 ... 25

謝辞 ... 26

参考文献 ... 27

(3)

3

第1章 序論

現在、世界全体でエネルギー需要が急激に増加し、それに伴い化石燃料消費による環境 汚染が問題となっている。その問題を解決するための新しい発電方法に注目が集まって います。その中に太陽エネルギーを利用した太陽熱発電がある。

太陽熱発電には、現在の主流であるトラフ型、ディッシュ型、ソーラータワー型の 3 種類の発電方法がある。トラフ型は大規模な施設の建設が容易、ディッシュ型は必要土 地面積が少なくて済み単体で機能し移動が可能、ソーラータワー型はより高い温度 (1000℃程度)を得ることができ蓄熱による夜間発電が可能というメリットがある。また、

太陽光発電では品質の高いものを使ったとしても変換効率は 30%程度であるのに対し、

この 3 種類の集光型太陽熱発電は光を熱に変換する効率はほぼ 100%かつ、熱を利用し た発電機効率は 40%超であり、理想条件下において発電効率は 40%を超える。本論文で は、ソーラータワー型発電に注目する。

ソーラータワー型発電方法は、集光塔(ソーラータワー)と呼ばれる集熱器(レシーバ) の周囲から光を集め、それを熱に変え熱エネルギーで発電を行うものである。太陽光を 反射させる鏡はヘリオスタットと称し、太陽の動きに追従し常にレシーバに光が当たる ようにすることが必要であり、追尾に高度な制御が要求される。また、この発電システ ムは 20 年以上にわたって運転されるが、外的要因(風、地震等)によって集光効率が低下 するので精度が低下した時の修正が必要になる。しかし、精度の修正を行うには当然コ ストが掛かる。ヘリオスタット1枚1枚を清掃および精度修正を行うには多くの人や費 用が必要になるため常に最高精度で稼働することは難しい。そこで、ヘリオスタット経 年劣化による精度低下のシミュレーションを行い、集熱損失を一定値以下に保ち、その 場合の精度修正間隔を求めることで最適な運用方法を探し出すことができる。

本研究では仮想の太陽熱発電所を想定し、津市の日射量データを用いてヘリオスタット 経年劣化による精度低下シミュレーションを行い、太陽熱発電所を 25 年間稼働させた場 合の電力回収量、累積利益を算出し評価するものである。

(4)

4

第2章 各位置のヘリオスタットが反射する光の予測法、及び集 光量シミュレーション

2.1 太陽熱発電

太陽熱発電の現在の主流はパラボラトラフ型発電方法、ディッシュ型発電方法、そし てソーラータワー型発電方法である。

図1-a:トラフ型発電方法

図1-b:ディッシュ型発電方法

(5)

5

図1―c:ソーラータワー型太陽熱発電方法

これらすべてに共通するのは鏡を使い太陽からの光を反射させ集熱器と呼ばれる機 器に集中させることで光の熱を集め、その熱をもって発電機を動かし電気を作ることで ある。

この研究では図1-cのソーラータワー型発電方法に注目する。この方法は図にあ るように、集熱器を発電所中央にある塔の先におくことで周りに設置してある無数の鏡 から光を集める。そして、この鏡はヘリオスタットと呼ばれ、太陽の動きに合わせ動き 常に集熱器に光を反射するようにプログラムされている。

図1-d:太陽追尾装置(ヘリオスタット)

ヘリオスタットは図1-dの鏡面部分が動くことによって太陽追尾が可能である。

しかし、常に太陽を追尾するため機械的な誤差が発生し、反射光が向かう方向がずれて しまう問題がある。

(6)

6

2.2 集熱器に当たる光のシミュレーション方法について

図2の様に太陽光がヘリオスタットに入射する時、太陽の位置によって反射する光量 が変わる。

図2:時間経過による太陽の動き

ヘリオスタットは、太陽の動きに追従し常時集熱器に光を当てる必要があり、追尾に 高度な制御が要求される。また、ヘリオスタット―集熱塔間の距離によってその要求精 度は変化、そして時間帯によっても大きな差がある。

図2-a:ヘリオスタットが反射する光

(7)

7 また、図2-a より以下の式を求める。(式①)

θ:太陽光入射及び反射角[°]

Hr:レシーバ高度[m]

E,N:ヘリオスタット位置座標[m]

A:太陽光位置角度[°]

α:太陽高度[°]

光の反射は鏡の面積分すべてできるわけではない。ここでコサイン効率を求める。

コサイン効率とは、太陽光の入射と反射角の差によって出来る鏡面面積の損失を求める ものである。また、これは cosθで表されるため式①で求めた値から導くことができる。

ここでのレシーバ高度、ヘリオスタット位置は太陽熱発電プラントを模したものとな っている。(レシーバ高度 67[m])

ヘリオスタット設置点については以下の図に示すように①〜⑥の点に設置すると想定 する。(半径 100m点に①④、300m点に②⑤、500m点に③⑥)

図3-a:ヘリオスタット設置点 Hrsinα-EcosαsinA-NcosαcosA

[ Hr2 + E2 + N2 ]

cos2θ= …①

(8)

8

2.3 代表設置点のデータを用いた各点の有効面積

2.1にて求まるコサイン効率を用いて、図3における半径100m 点(①④)、半径 300m(②⑤)、半径500m(③⑥)の周囲にヘリオスタットを置いた場合のヘリオス タット鏡面積を以下に示す。

表1:有効鏡面面積

100m 300m 500m

設置面積[m 14,726 47,123 78,539 ヘリオスタット鏡面積[m 6,626 11,780 11,800

(鏡面面積割合[%]) 45 25 15

図3-b:代表点周囲の面積

(9)

9

2.4 シミュレーション方法を用いた代表設置点別コサイン効率の計算 以下に示す表2、3では、①と④は半径100m点、②、⑤は300m点、

③、⑥は500m点である。また太陽の高度、及び方位角は三重県津市におけるデータ を用いている。そして季節の代表日として春分、夏至、冬至のデータを用いコサイン効 率を求めている。(秋分においては高度及び方位角がほぼ同角度より春分のデータと同じ としている。

表2:季節、時間帯別コサイン効率(①〜③)

季節、時間帯別コサイン効率(①~③)

集光塔: 67 m

春分

9:00 10:00 12:00 14:00 15:00 100 83.6% 89.7% 97.2% 98.4% 96.5%

(2013/3/20)

300 78.0% 83.8% 91.8% 94.5% 93.7%

500 76.5% 82.1% 90.1% 93.1% 92.6%

夏至

9:00 10:00 12:00 14:00 15:00 100 79.3% 85.1% 92.1% 92.9% 90.9%

(2013/6/21) 300 69.6% 75.5% 83.4% 85.8% 84.8%

500 67.1% 72.9% 80.9% 83.7% 83.1%

冬至 9:00 10:00 12:00 14:00 15:00 100 87.3% 92.5% 98.8% 99.4% 97.5%

(2013/12/22)

300 85.8% 90.6% 97.2% 99.1% 98.2%

500 85.2% 89.8% 96.3% 98.6% 97.9%

(10)

10

表3:季節、時間帯別コサイン効率(④〜⑥)

季節、時間帯別コサイン効率(④~⑥)

集光塔: 67 m

春分

9:00 10:00 12:00 14:00 15:00 100 67.0% 76.1% 90.3% 98.3% 99.8%

(2013/3/20)

300 56.1% 66.3% 83.1% 94.4% 97.7%

500 53.6% 63.8% 81.1% 93.1% 96.8%

夏至

9:00 10:00 12:00 14:00 15:00 100 69.0% 77.1% 89.9% 97.1% 98.3%

(2013/6/21) 300 55.1% 64.7% 80.6% 91.1% 94.1%

500 51.7% 61.5% 78.0% 89.2% 92.6%

冬至 9:00 10:00 12:00 14:00 15:00 100 67.9% 76.2% 89.0% 96.1% 97.3%

(2013/12/22)

300 61.9% 70.6% 85.3% 95.2% 98.0%

500 60.6% 69.2% 84.2% 94.6% 97.7%

(11)

11

第3章 津市の日射量より求める熱回収量の評価

3.1 ヘリオスタット誤差による熱損失の評価

集熱部の大きさに対して仰角、方位角がずれた場面の損失割合を求める。

(集熱部の面積2ケース(64、25m)想定として仰角方位角は同時に同じ角度でずれる ものとし以下の範囲で 0.1[°]ごとに算出する。(仰角方位角は+0.3〜0.6(64m)、

+0.1〜0.3(25m2)の範囲を想定する。 図2にある6点での熱損失を以下に示す。

(半径100m 点①④は誤差+0.8[°]以内なら損失はないため省略する。

図4:熱損失の求め方

図4で示すように熱損失は以下の式で求められる。

熱損失[%]= …②

(12)

12 3.1.1 集熱部 25 ㎡の場合

集熱部[25m2]の場合を示す。

図5:集熱損失推移(半径 300m、集熱部(25m))

図6:集熱損失推移(半径 500m、集熱部(25m))

3.1.2 結果と考察

集熱部の大きさが小さいため、小さな誤差で大きな損失を生み出してしまう結果となっ た。全地点で+0.3[°]の誤差が出てしまうと集熱損失が 50%以上となってしまうこと が分かる。これは、300m、500m点に対して集熱部 25 ㎡が小さいため誤差が小さくても 集熱部から光が外れてしまうためである。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00

集熱損失[%]

集熱損失推移(半径300m、集熱部(25m))

+0.1 +0.2 +0.3 +0.4 +0.5 +0.6

0%

20%

40%

60%

80%

100%

9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00

集熱損失[%]

集熱損失推移(半径500m、集熱部(25m))

+0.1 +0.2 +0.3 +0.4 +0.5 +0.6

(13)

13 3.1.3 集熱部 64 ㎡の場合

集熱部[64m]を示す。

図7:集熱損失推移(半径 300m、集熱部(64m))

図8:集熱損失推移(半径 500m、集熱部(64m))

3.1.4 結果と考察

集熱部 25 ㎡とは違い 64 ㎡と大きいため、300m点では+0.6[°]、500m点では +0.3[°]までは集熱損失 40%を切る結果が出ている。また、500m点では集熱部 25 ㎡の 様に誤差による影響が大きい。これにより、タワーヘリオスタット間距離が強く影響し ており、より遠くにあるヘリオスタットは必要とする精度が高いことがわかる。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00

集熱損失[%]

集熱損失推移(半径300m、集熱部(64m))

+0.3 +0.4 +0.5 +0.6 +0.7 +0.8

0%

20%

40%

60%

80%

100%

9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00

集熱損失[%]

集熱損失推移(半径500m、集熱部(64m))

+0.3 +0.4 +0.5 +0.6 +0.7 +0.8

(14)

14 3.2 津市の季節別日射量のデータ

図3(①〜⑥)の点における直達日射量を以下の表に示す。

参考する地点のデータとして三重県津市を用いる。データは

http://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html の日射量データベース(NEDO)を参 照している。また、データ年数は20年間(1990〜2009)の多照年のデータを使用し、

使用する日射量は全天日射量であるため直達量に変換している。(全天日射量の 50%)

表4:津市直達日射量[MJ/m

春分(3/20) 夏至(6/22) 冬至(12/22) 9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00

1.18 1.65 1.49 0.67 1.56 1.56 0.64 1.55 1.34

1.15 1.57 1.44 0.62 1.44 1.48 0.64 1.52 1.34

1.14 1.55 1.43 0.61 1.41 1.45 0.63 1.52 1.33

0.87 1.51 1.49 0.58 1.51 1.63 0.47 1.35 1.30

0.81 1.42 1.44 0.52 1.37 1.55 0.46 1.305 1.30

0.79 1.38 1.42 0.51 1.34 1.525 0.45 1.295 1.29

図9:集熱量の時間帯推移 0.40

0.80 1.20 1.60 2.00

9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00 9:00 12:00 15:00

日射[MJ/m2]

集熱量の時間帯推移

(15)

15 3.3 津市の年間電力回収量の計算

3.2で求めた熱回収量のデータを用いて年間の電力回収量を求める。

想定として、太陽熱発電所の稼働時間を午前9時〜午後16時の間(7時間)を1日の 稼働時間とし算出する。また、熱を電気に変換する場合に発電機を使用するが、その発 電効率を 25%とし計算を行う。

まず、春夏冬の季節別に電力回収量をいかに示す。また、以下の図には3.1で求め た集熱損失を加味し、集熱部の大きさ別に数値を示している。(秋に関しては春と同じ値 とし省略している。

図10:春の電力回収量(位置、時間別)

図11:夏の電力回収量(位置、時間別)

(16)

16

図12:冬の電力回収量(位置,時間別)

図10~12より 365 日を4分割し季節ごとに計算を行う。そして、各地点①〜⑥の 値を4倍し、全方位から回収できる電力回収量を求める。(秋のデータは春のデータを2 倍した値とする。

図13:年間電力回収量[MWh/y]

(17)

17 3.3.1 結果と考察

春と冬と違い夏では②と⑤、③と⑥の電力回収量に差が見られなかった。これは、春 と冬に比べ夏は太陽が高い高度を移動するためコサイン効率が位置ごとの変動が小さい ためと考えられる。

年間電力回収量では集熱部の大きさによる変動が大きく、誤差+0.3[°]で半減する 25

㎡に対し、64 ㎡は+0.5[°]付近で半減することが分かる。3.1でもわかるように半径 500m点では誤差+0.1[°]による変動が大きいため、広い敷地を使い発電を行う場合は集 熱部を大きくする方が望ましいと考えられる。

また、集熱部面積 25 ㎡について、より小さな面積に光を当てるため集熱部温度を高温 にできるメリットがあるが、誤差+0.3[°]時点で年間電力回収量が約半分に低下してし まう、さらに、集光部面積の小さいと集熱温度がより高くなるが蒸気タービンの発電条 件から 450℃を超えた状態の発電効率に差はないため、以降の章では集熱部面積 64 ㎡の みを考慮する。

(18)

18

第4章 ヘリオスタット経年劣化による電力回収量の評価

ヘリオスタットは集光塔を中心に多く設置される。そして、年間を通して室外に設置 されるため外的要因によって誤差が生じる。さらに、鏡面部分は太陽を常に追尾し動い ているため経年劣化によって精度誤差が起きる。そのため、設置から数年間隔で角度調 整を行わなければならない。しかし、角度調整にはコストがかかるため電力回収量の評 価が必要となる。

4.1 25年間の角度調整間隔の想定

想定として、25年間太陽熱発電所を稼働させ、ヘリオスタットは 3 年で+0.1[°]

誤差が生じるとし算出を行う。

図14:誤差の年毎推移

図14では想定する誤差の推移を示している。

まず、はじめに、経年劣化した場合の集熱損失を求める。また、設置方向による集熱 損失には差がほとんど無いため半径 300m 点 500m 点と表記し省略している。また、この 時半径 100m点は集熱損失 0%であり、図14には表記していない。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

誤差[°]

誤差の想定

(19)

19

図15:経年劣化による集熱損失

経年劣化による集熱損失への影響は、想定した条件だと、半径 300m 点は 7 年目以降、

半径 500m 点では 1 年目以降から発生している。

4.2 最大出力損失別推移

次に、最大出力損失率を 50%と 60%とし、集熱損失を 20%とするような角度調整を 行った場合の集熱損失推移を以下に示す。

図16:最大出力損失別推移(300m 点)

0%

25%

50%

75%

100%

集熱損失[%

経年劣化による集熱損失

半径300m点 半径500m点

(20)

20

図17:最大出力損失別推移(500m)

図16.17より、25 年間集熱損失を 50、60%以下に維持するためには、半径 300m 点で 50%以下は5回、60%以下は4回、半径 500m 点で 50%以下は11回、60%以下は 7 回の角度調整が必要となる。

(21)

21 4.3 25 年間の総電力回収量の評価

4.2を元に総電力回収量を算出する。理想条件下での電力回収量及び各地点の電力回 収量を比較する。

図18:年間電力回収量比較

4.3.1 結果と考察

図18より、半径 300m 点では最大損失 50%の時、60%時より 2,000MWh 多く、また、

同様に半径 500m 点では 50%の時、60%時より 4,000MWh 多くなる事がわかる。

0 100 200 300 400 500 600 700

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25

力回収[GWh]

電力回収量

最大損失50%

最大損失60%

劣化しない場合

(22)

22 4.4 保安費と損失を加味した利益の評価

4.2より、各タイミングでの角度調整間隔を以下の表に示す。ここで半径 300m、500m は図3における②⑤、③⑥点の合算値を指す。

表5:角度調整間隔と各地点での電力回収量 出力損失 50%

(半径 300m)

出力損失 60%

(半径 300m)

出力損失 50%

(半径 500m)

出力損失 60%

(半径 500m)

角度調整間隔 3年毎 4年毎 2年毎 3年毎

25 年間電力回収量

[MWh] 38,852 36,520 36,985 33,056

太陽熱発電所を設置するに当たり必要な設備費用は以下のように想定する。

表6:設備費用

集光部 集熱部 発電部 合計

設備費用[百万円] 1,000 334 500 1,834

※集光部…鏡、フィルム、駆動・制御部、フレーム、据え付け工事費

※集熱部…集熱部、タワー据え付け工事費

※発電部…蒸気タービン、復水器(水冷)

次に、角度調整時にかかるコストを想定する。ここでは、1回の調整につき 10 百万円 とし計算を行う。また、誤差修正による調整コスト以外の毎年の保安費として 30 百万円 とする。

式②より、調整タイミングごとの角度調整コストを求める。

損失[百万円 ] +保守費[百万円 ] +角度調整[百万円] ÷角度調整間隔[]

=角度調整コスト[百万円/]

※損失:角度調整を行うことにより発生する売電収入の減少分 調整タイミング

…③

(23)

23 また、利益は③式より求められる。

年間電力回収量[MWh/年] ×(1 −集熱損失平均[%])× 25[年]

×電力買い取り[

kWh] =利益[百万円]

※ここでは、電力買い取り料金を 10[円/kwh]として計算を行う。

損失を間隔ごとに想定し、式②を用いて角度調節コストを求める。

そして、利益を③式を用いて算出する。

表7:角度調節間隔別の損失

2年毎 3年毎 4年毎

損失[百万円/年] 20 15 10

表8:角度調節コストおよび利益(東北 1/4 方向の評価) 出力損失 50%

(半径 300m)

出力損失 60%

(半径 300m)

出力損失 50%

(半径 500m)

出力損失 60%

(半径 500m)

角度調整間隔 3年毎 4年毎 2年毎 3年毎

25 年間電力回収量

[GWh] 43.4 39.2 32.2 25.5 角度調節コスト

[百万円/年] 48.3 45 52.5 48.3 利益[百万円・年] 280 230 210 150

ここの値は図3で示すように太陽熱発電所の 4 分の 1 の値となる。発電所全体での利 益を求めるにはこの値を 4 倍し半径 100m~500m の値を合算する必要がある。

次の表に合算した値を示す。また、半径 100m点は集熱損失が無い為、出力損失 50%、

60%で値に差はない。

表9:25 年間稼働した場合の累積利益(全周での評価)

半径 100m 半径 300m 半径 500m 合計[百万円]

出力損失 50% 2,844 1120 840 4804 出力損失 60% 2,844 920 600 4364

…④

調整タイミング

調整タイミング

(24)

24

図19:25 年稼働した場合の利益

4.4.1 結果と考察

表9より、出力損失 50%と 60%とでは半径 300m点で約 50 百万円、500m点で約 60 百万円の差がある。また 25 年間稼働させた場合、出力損失の上限を 50%に設定した場 合、60%に設定した場合に対して正味の収入が約 4.3 億円の差があることもわかる。

さらに、今回想定した設備の中で変電部、運転制御部、建物にかかる費用が不明なた め設備費用が多くなると思われる。そのため、出力損失はさらに低く設定する必要があ ると考えられる。

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

出力損失50%時 出力損失60%時

売電価格[百万]

角度調整間隔と総売電価格

角度調整コスト[百万円]

正味収入[百万円]

(25)

25

第5章 総括

本研究では、三重県津市のデータをもとに熱回収量の評価、年間電力回収量の評価、

ヘリオスタット経年劣化による電力回収量の評価を行った。

津市の地点に仮想の太陽熱発電所を作りシミュレーションを行うことでヘリオスタッ トの設置点別の結果を得ることができた。そして、各点におけるヘリオスタットの必要 精度を得られた。

今回は入手可能な気象情報、設備費用情報等の中で各種評価を行ったが、日本よりも さらに好条件である地域は世界の各地にある。そのため、技術の海外展開をする可能性 があるので、海外の好条件の場所の気象情報を入手し検討していく必要があると考えら れる。

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謝辞

本研究の遂行ならびに論文作成にあたり、終始有益なご指導とご意見を賜りました 三重大学 大学院 地域イノベーション学研究科 坂内正明教授に謹んで感謝いたしま す。

本研究を進めるにあたり、日ごろから有益なご意見をいただきました三重大学 大 学院 地域イノベーション学研究科 事務員 藤村愛氏に心から感謝いたします。

本研究を進めるにあたり、日ごろから有益なご意見、ご討論いただきました三重大 学 大学院 地域イノベーション学研究科 博士前期課程 鈴木雅大氏、小鹿達人氏、

方野裕介氏に心から感謝いたします。

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参考文献

[1] IRENA (2012),

Volume 1:Power Sector Concentrating Solar Power,RENEWABLE ENERGY TECHNOLOGIES:COST ANALYSIS SERIES

[2]C.A.Amadei (2013):

Simulation of GEMASOLAR-based solar tower plants for the Chinese energy market:

Influence of plant downsizing and location change

ELSEVIER Contents lists available at SciVerse ScienceDirect Renewable Energy

[3]NEDO ,日射量データベース:

http://www.nedo.go.jp/library/nissharyou.html

[4]Torresol Energy:

http://www.torresolenergy.com/TORRESOL/gemasolar-plant/en

[5]Power from the sun : chapter 8

http://www.powerfromthesun.net/Book/chapter08/chapter08.html

[6]Power from the sun : chapter 10

http://www.powerfromthesun.net/Book/chapter10/chapter10.html

参照

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