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子どもにおける同一・差異関係の学習(?)

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

子どもにおける同一・差異関係の学習(?)

著者 杉村 健

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 29

号 1

ページ 175‑197

発行年 1980‑11‑25

その他のタイトル Learning of Identity‑Difference Relations in Children (I)

URL http://hdl.handle.net/10105/2431

(2)

奈良教育大学紀要 第2g巻 第1号(人文・社会)昭和55年 Bull. Nara Uniy.Educ,Vol.29, No.1 (cult. & soc.), 1980

子どもにおける同一・差異関係の学習(I)

杉  村     健 (心理学教室) (昭和55年4月28日受理)

弁別学習における関係の研究

関係の問題は心理学のさまざまな分野において研究されている。たとえば、思考の分野では関 係把握が重要な側面であるとみなされ、これまでに多くの研究が行われてきた。この種の研究に 関連して、かつては関係について2つの立場があった(矢田部, 1949)0 1つは機能主義者とみ なされているJamesやWoodworthによるもので、関係の意識は対象の知覚と同様に単純であ り、直接に与えられると主張した。もう1つは構成主義者であるTitchener によるもので、関 係の意識は複雑であり、多くの心的要素が複合して形成されるものであると主張した。

移調関係  思考における関係把捉の研究では比較的複雑な課題が用いられてきたが、学習の 分野における関係の研究には比較的単純な課題が用いられる。その代表的なものが、弁別学習に おける移調の研究である。ここで問題にされている関係は、主として、 1つの刺激次元(大さき、

明暗など)に属する2つまたは3つの刺激問における、 "より大きい"とか"まんなか"という ような関係である。たとえば、小さい四角(No.1)と大きい四角(No.2)を呈示して、 N0.2を選 択するように訓練し、その後で、 N0.2とそれよりも大きな四角(No.3)を呈示して、どちらの四 角が選択されるかをテストする。もし、 N0.3が選択されたならば、N0.1とN0.2の弁別課題にお いて、 Hより大きい"という2刺激問の関係が学習されていたと判定される。

移調の現象は今健紀初頭から注目されはじめ、 2つの対立する理論をめぐって多数の実験的研 究が行われてきた(Reese, 1968)(その1つであるゲシタルト説(Kohler, 1929)は、関係知覚 は原初的、直接的なものであり、刺激間の関係そのものに対して直接に反応がなされると主張し た。これに対して、個々の刺激に反応が結合されると仮定する連合説(Spence, 1937)は、関係 反応は刺激と反応の問に"より大きい日 というような言語的媒介過程を必要とする高次で複雑な 過程であると主張した(Kuenne, 1946)(このように、関係把握におけるJamesらの見解が弁 別学習におけるゲシタルト説に、 Titchenerの見解が連合説に受けつがれている点が興味深い0

同一・差異(同異)関係  本研究で扱う関係も弁別学習の分野に属するものであるが、上述 した移調における大きさや明暗の関係とは異なって、刺激問の同一(または類似)および差異と いう関係である。すなわち、ある刺激が他の刺激と=同じ" (または‖似ている")かH違う‖

(または"似ていない'つかという関係である。この種の閥係については、 1930年前後に動物(主 としてサルやチンパンジー)を用いた学習実験が初めて行われ、そのあと1940年、 50年代には学 習の可能性について系統発生的な研究が行われた(Harlow, 1951, 1958)c 子どもを用いた学習実 験は1960年頃から盛んになったが、その最初は、筆者の知る限りでは小学4年生を用いたLevy and Cuddy (1956)の研究であろう。

筆者はこれまでに、弁別移行学習、移調、分類学習といった、子どもの弁別学習の研究を行っ

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176 杉 村  健

てきたが、同異関係の学習に興味をもつようになったのには、いくつかの理由がある。最も素朴 な理由は、幼児が同一関係と差異関係を何歳頃から学習できるか、そして、どちらがより速く学 習できるかという疑問であった。移調や移行学習の研究では、大きさ、色、形といった視覚刺激 がもっぱら用いられているが、同異学習の研究では、子どもになじみのある具体物の絵や小模型 も用いることができるという利点がある。後に述べるような種々の学習課題が考案されているこ とも魅力的であり、さらに、移調や移行学習に比べて研究が少なく、理論的にも実験的にも、こ れから発展する可能性があると考えられる。

ところで、同異関係の理解を簡単に調べるのには、 Binet式をはじめ多くの知能検査にみられ るように、 2つの刺激を呈示して、それらが同じものか異なるものかを問えばよい。これは異同 弁別問題とよばれており、関係把握の最も原初的なものであると考えられる。この種の異同弁別 問題では、子どもが刺激間の同異関係を理解できるかどうかを問題にしており、いわば、子ども が現在所有している関係の知識を査定している。同じことが思考における関係把握の研究につい てもいえる。これに対して同異関係の学習では、刺激事態への子どもの反応に対して正誤の情報 を与えることにより、子どもが同異関係を学習できるかどうかを問題にしている。すなわち、単 なる知識ではなくて、関係についての学習の可能性を査定し、関係がどのような過程によって学 習されるかを研究する。

子どもの同異学習に関する文献展望は、筆者の知る限りでは House ら(1974)のものしかな い。これは1974年までに出版されたほとんどの研究を網羅している点で、今後の研究を進める上 で役に立つ。そして、これまでの研究を、彼女らが主張する注意モデルの枠組の中に位置づげ、

解釈しようと試みている点では高く評価されてよい。しかしその反面、他の理論やモデルが無視 されたり正当に評価されていない傾向があり、また実験条件(刺激、教示など)の相違が無視さ れたり、結果の解釈も研究者の本意から離れているように感じられるところがある。

本研究においては、まず、同異関係の学習を研究するために用いられている種々の課題につい て述べ、次に、これまでに提唱された同異学習の理論および関連する発達理論を紹介する。その あとで、筆者が関心をもついくつかの分野の実験的研究を選択し、その主な内容について紹介す る。これによって、同異学習の研究の現状とともに問題点を明らかにし、今後の研究の方向づけ を探りたい。

同異関係の学習課題

同異学習の研究においては、後に述べるようなさまざまな課題が用いられている。その典型的 なものとしてほ、 2つの同じ刺激(A、 A)とそれとは異なる刺激(B)が各試行で呈示され、被験 者はどれか1つを選択するように求められるO 同一学習の場合には各試行で同一刺激(A)を正刺 激とし、差異学習の場合には特異刺激(B)を正刺激とし、被験者の選択反応に応じて正誤の情報 (たとえば、 ‖正しい日、 =まちがい")が与えられる。被験者はこの情報を手がかりとして、

正刺激を一貫して選択するようになり、所定の基準(たとえば、連続10回正反応)に達すると学 習が完成したといわれる。

このような同異課題においては、いつも同じ特定刺激が正刺激にならない点が、普通の弁別課

題とは異なっている。すなわち、第1試行ではAAB、第2試行ではBBAというように、試行

によって同一刺激と特異刺激が変えられるので、特定刺激(AまたはB)を一貫して選択しても

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子どもにおける同一・差異関係の学習(I) 177

関係学習はできない。関係学習では3つの刺激を相互に比較して同異関係を判断し、そして同一 または特異刺激を一貫して選択しなくてはならない。そのために、特定刺激への反応を学習させ る普通の弁別学習よりも、高次の認知能力が必要であるとされている。この種の課題では、特定 刺激に反応しても、刺激が提示されている位置に反応しても報酬(正情報)が与えられるが、こ

の報酬は一貫した正反応に導くものではなく、あいまいなものである。このように、特異刺激、

特定刺激、位置という3つの手がかり(サイン)が含まれているので、 Harlow (1951)はこれ を重複サイン課題と名づけた。

水平配列課題  この課題では3刺激(AABまたはA′AB)が水平に並べて呈示され、各試 行において3刺激の中から1つの刺激を選択させる。その際、選択を許される刺激が左、中ある いは右の3つの位置に呈示される場合(3位毘課題)と、左か右の2つの位置に呈示される場合

(2位置課題)がある。前者で最も多く用いられてきたものが特異課題(oddity task)で、特 異刺激(B)を選択するように訓練される。これに対して、同一刺激(A)を選択するように訓練さ れる場合が同一課題(identity task)、類似刺激(AまたはA′)を選択するように訓練される場 合が類似課題(similarity task)である。

2位置課題では、各試行でまんなかに呈示される刺激(たとえばA)が標本の役割をしており、

被験者は左か右の刺激だけを選択するように求められる。ここでの特異課題は、まんなかの標本 刺激とは異なる刺激(B)を選択するように訓練される場合であり、標本不一致課題(nonmatching‑

to‑sample task)ともよばれる。標本刺激と同じ刺激(A)を選択するように訓練される場合は、

同一課題または標本一致課題(matching‑to‑sample task)とよばれる。これらの課題の難易度 を決定するのも重要な研究課題である。

標本比較課題  この課題では、 1つの標本刺激(たとえばA)が上部に2つの比較刺激(A BまたはA'B)が下部に、すなわち3つの刺激が三角形の頂点の位置に呈示されるO標本と同一 の刺激を選択するように訓練される場合が標本一致課題であり、異なる刺激の場合が標本不一致 課題である。普通は3つの刺激を同時に呈示するが、先に標本を呈示し、その後で比較刺激を呈 示する場合があり、これは遅延標本比較課題とよばれている。上述の2位置課題では3刺激が水 平に配列されて標本が目立ちにくいが、標本比較課題では標本が上部に置かれていて、その役割 が最初から明確である。一致課題、 2位置課題と標本比較課題の比較など、基礎的な研究が必要 である。

よく用いられている標本比較課題は、色または形の1次元刺激からなっている。たとえば、赤 色と青色を用いて赤色を標本刺激、赤色と青色を比較刺激としたときに、比較刺激の左右の位置 を変えると2つのセットができる。逆に、青色を標本刺激としたときにも2つのセットができる ので、合計4セットになる。さらに、黄色を加えて3色にし、それらを2色ずつ組み合わせると 12のセットができる。いずれの場合にも、特定刺激が標本刺激になったり比較刺激になったりし、

また、同一刺激になったり特異刺激になったりするので、水平配列課題と同様に、特定刺激に対 する反応によっては学習することができない。

課題の変形 以下に述べるように、同異課題にはさまざまな変形がある。実験結果について 吟味する場合には、実際にどのような課題が用いられたかを明確にする必要があり、課題の変形 を無視して一般的な結論を出すことは危険である。ここでは、水平配列課題を例にして述べるこ とにしよう。

(1)刺激反復‑2刺激(AとB)からなる課題においては、どちらを特異刺激にするか、およ

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178 杉 村   健

び特異刺激を左、中、右のどこに置くかによって、 AAB、 ABA、 BAA、 BBA、 BAB、

ABBという6つのセットができる。普通は、これらのセットがランダムな順で呈示され、特定 刺激が特異刺激になったり同一刺激になったりするので、 2刺激ランダム逆転課題とよばれる。

Aを特異刺激として所定の基準(または試行数)まで学習させ、次にBを特異刺激として学習さ せる場合もある。これは2刺激連続運転課題とよばれている。

次に、 3刺激(A、 B、 C)からなる課題を考えてみよう。この場合には、 AB、 AC、 BC の刺激対についてそれぞれ6セットずつ、合計18セットができる。これらのセットがランダムな 順に呈示されるのが3刺激ランダム逆転課題である。 2刺激課題と比べると、同じ刺激対の反復 と特異刺激の逆転の程度が少なくなる。 AB、 CD、 EF、 GH、一一というように、各セット がすべて異なる刺激対からなる課題も用いられている。この場合には刺激対の反復も特異刺激の 逆転もなく、非反復課題とよばれる。一般に反復課題の方が困難であり、反復の程度が減ると学 習が容易になる。

(2)刺激次元‑移調の研究と同じように、 1次元の刺激からなる課題がしばしば用いられる。

色次元における3刺激ランダム課題であれば、たとえば赤色、黄色、緑色の3つから18セットが できる。さらに、 2次元や3次元の課題を作ることができ、これは次元抽出課題(dlmension‑

abstracted task)とよばれている。 2次元課題であれば1つの次元が同異学習に関連する適切次 元であり、他の次元が不適切次元になる。 3次元課題であれば1つの次元が適切次元、他の2つ の次元が不適切次元になる.一般に次元数が増すと学習が困難になるO

不適切次元の刺激のあり方によって次の2つに分けられる。 1つは、不適切次元の刺激が各セ ット内ですべて異なる場合である.色‑形課題で形が適切次元の場合、赤色の円、黄色の円、青 色の四角というように、不適切次元である色がすべて異なっている。もう1つは、どの次元にも 同一刺激と特異刺激があり、どれを適切次元にするか不適切次元にするかは、実験者によって決 められる。色‑形課題で赤色の円、黄色の円、赤色の四角の場合、形を適切次元にすれば赤色の 四角が特異刺激になり、色を適切次元にすれば黄色の円が特異刺激になる。従来の研究では前者 の方が多く用いられている。

(3)同一刺激‑1セットが3刺激(AAB)からなる課題が最も多く用いられており、この課 題では同一刺激は2つであるが、同一刺激が3つ以上呈示される場合がある。その刺激数に応じ て4刺激課題、 5刺激課題などが作られるが、一般に同一刺激数が増すと同異学習が容易になる。

(4)条件的同異課題‑普通の課題では同一関係か差異関係の、いずれか一方しか学習できな いが、ある条件では同一刺激、他の条件では特異刺激が正刺激になるような課題を作ることがで きる。たとえば、刺激が呈示されるカード(背景)が白色の場合には同一刺激、黒色の場合には特 異刺激が正刺激とされる。このように、条件に応じて学習すべき反応が異なるので条件的同異課 題とよばれており、この学習はかなり困難であることが知られている0

(5)冗長的特異課題‑この課題では、特定刺激(たとえばA)がどの試行においても特異刺激 として呈示され、同一刺激は試行によって変えられる。 A、 B、 Cの3刺激ではABB、 BAB、

BBA、 ACC、 CAC、 CCAという6つのセットができるが、同一刺激の種類をもっと多く してもよい。この例からわかるように、正刺激(A)が特定刺激であると同時に特異刺激であると いう冗長性をもっので、冗長的特異課題(redundant oddity task)とよばれている。この課題 を学習する際に、被験者は特定刺激そのものに反応してもよいし、差異関係に基づいて反応して

もよいし、あるいはその両方によって反応してもよい。したがって、普通の特異課題よりも学習

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子どもにおける同一・差異関係の学習(I) Hm

されやすいので、前訓練として用いられている。また、この課題で学習されるものは何かを問題 にすることもできる。

同異学習の理論

不適当反応抑制説  Harlow (1958)はすべての学習が不適当反応(反応傾向)、すなわち誤 り要因の抑制によって説明できるという、単一過程抑制説の立場から、特異課題の学習について 次のように分析した。

2刺激弁別学習においては、特定刺激への反応に与えられる報酬は、刺激が呈示された特定位 置へのあいまいな報酬にもなるので、位置に対する不適当な反応傾向が生じやすい。したがって、

弁別課題の学習に際してはこの反応傾向が抑制されなくてはならない。この考えを特異課題に通 用してみると、特異刺激への反応に与えられる報酬は、特定位置および特定刺激へのあいまいな 報酬にもなるので、 2種の不適当反応が存在する。さらに条件的特異課題においては3種の不適

当反応が存在することになる。このように、あいまいな報酬によって生じる不適当反応(誤り要 因)の数によって課題の難易度が規定される.先に述べた課題の難易度の比較には、この理論が 適用できるものが多いと考えられる。

単一過程抑制説は興奮(接近)傾向と抑制(回避)傾向を仮定するSpence (1936)の2過程 説とともに、弁別学習の古典的な理論とみなされており、その後の研究や理論に多くの影響を与 えた Moon and Harlow (1955)はサルの特異学習において、対象移動、報酬対象固執、無報 酬位置固執などの誤り要因を兄い出し、これが方略分析の研究に発展した。後に述べるWhite

(1965)の学習階層説は、発達によって低次の学習が抑制されて高次の学習が可能になると仮定し ており、ここにも抑制の考えが採用されている。

特異学習と一致(同一)学習の速さについて、 Harlow(1951)は次のように述べているO前者 では特異な(同一でない)ものの選択、後者では同一な(特異でない)ものの選択が求められる ので、両課題は相補的であり、同じ速さで学習されるはずである。この点について、後に述べる Fellows (1968)は特異学習の方が容易であると主張しており、この問題はまだ解決していない。

Harlow (1958)は、特異学習が可能な最低年齢を決定する資料はないが、この学習は幼児の知 的能力を越えるものであると述べており、このことが子どもを用いた特異学習の発達的研究を刺 激した。

注意モデル  House (1964)は、弁別学習の注意説(Zeaman & House, 1963)を拡大して、

特異学習に関する連鎖注意モデルを提唱した。このモデルによれば、特異学習の過程は①特異 性を規定する適切ないし媒介(vehicle)次元への注意、 ②適切次元内の手がかり問の特異関係 への注意、 ⑨手がかり(特異刺激)への道具反応の3段階からなっている。このモデルと弁別 学習の注意説の問には、特異関係への注意が挿入され、手がかりが特定刺激ではなくて特異刺激 であるという相違がある。このモデルの第2段階に絶対手がかり(特定刺激)への注意をつけ加 えたものが、図1に示すHouse ら(1974)の連鎖注意モデルである。この図では色が特異関係 を媒介する適切次元であり、 2つの不適切次元には特異関係が存在しないと仮定されている。

被験者は最初に、刺激事態(S*)から各試行で1つの次元を選択(次元に注意)すると仮定さ

れる。第1の次元選択の段階で色に注意したならば、第2段階では特定の色か特異関係のどちら

かに注意する。特定の色に注意した場合には、次の段階で2つの特定の色(CiとCj)のどちらか1

つを選択するという道具反応が行われ、どちらを選択しても平均して50%の報酬(正情報)がラン

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180 杉 村   健

次元の選択  癖定手かかり または関係の (適切な媒介次元:色)選択

特 定 辛

也 係

巳FARE濫

J

酬      

% 戟

‑ 仙 V 5

% 0 0 1

S O%

Q‑o

図1 HouseらC1974)の導鎖注意モデル

ダムに与えられる.第2段階で特異関係に注意した場合には、次の段階で特異刺激(0)を選択す ると100^の報酬が与えられ、同一刺激(S)を選択すると報酬はまったく与えられない(または 誤情報が与えられる)。このように、特異学習が行われるためには特異関係‑の注意が必要であ り、さらにその前に適切次元えへの注意が必要であるというように、 2種類の注意の連鎖が仮定 されている。 House らはこのモデルは少し変えるだけで他の同異学習にも通用できるとし、そ の展望では、従来の研究で吟味されている実験変数の効果が、適切次元、同異関係および特定刺 激への注意に関係づけて論じられている。

ルールモデル  連鎖注意モデルでは、学習過程が適切次元への注意から同異関係への注意へ という順序で進むと仮定されているが、 Bowers (1976)はその逆を仮定するルールモデルを作 った。このモデルによれば、問題解決(学習)過程は①問題解決のルールの選択、 ⑧そのル ールを通用する適切次元‑の注意、 @適切次元内の手がかりへの道具反応からなっている。こ こでルールというのは、弁別課題ならば特定刺激を選択し、特異課題ならば特異刺激を選択する 際のルールである。このモデルと注意モデルとの主な違いは、情報が処理される順序(処理系列) にあるとされ、もしルールと次元が平行的に処理されると仮定すれば、 2つのモデルは論理的に 同じものになると考えられている Bowersはどちらのモデルが正しいかを、次の実験で吟味し た。

色と形の2次元からなる3刺激弁別課題と特異課題のそれぞれを原学習と転移に用い、ルール

(課題)が同じか変わるか、適切次元が同じか変わるかによって、表1に示すような4つの組合

せを作った。そして原学習が完成して転移課題が与えられるとき、変えなくてはならない、すな

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子どもにおける同一‑‑差異関係の学習(I) 181

わち新たに学習しなくてはならない段階の数によって転移の成績を次のように予測した。 ①同 一同条件:ルールも次元も変えなくてよいので、どちらのモデルでも転移の成績は最も良くなる。

⑧同一異条件:次元が変わるので、連鎖注意モデルでは最初に適切次元を変え、そしてその次 元内のルールを選択しなくてはならない.ルールモデルでは適切次元だけを変えればよいO ⑧ 異一同条件:ルールが変わるので、連鎖注意モデルではルールだけを変えればよいが、ルールモ デルでは最初にルールを変え、そして適切次元に注意しなくてはならないo ④異一異条件:ル ールも次元も変えなくてはならないので、どちらのモデルでも転移の成績は最も悪くなる。

表1 2つのモデノレから予言される 転移の成績(Bowers, 1976)

転移で変える段階数 ルール  次 元

注意モデル ルールモデル 同    同     o o 同    異     2     1 異    同     1     2 異    異     2      2

以上の分析から、同一異条件の成績が異一同条件よりもよくなればルールモデルが支持され、

その逆になれば連鎖注意モデルが支持されると予想した。小学4、 5年生を用いた実験の結果は ル‑ルモデルを支持し、 Bowersは同異学習におけるル‑ルの重要性を強調した。現在のところ、

この実験しかないので結論は下せないが、 2次元の同異学習の成分として次元学習とルール学習 を仮定することは正しいと考えられる。そこで2つのモデルの妥当性を検討するとともに、学習 段階に応じた2種の学習の変化を検討することが必要である。一般的にいって、従来の弁別学習 の研究においては刺激次元を扱ったものが多かったが、今後はルール学習という観点からの研究 が必要であろう。

情報処理モデル  Fellows (1968)は、弁別刺激の呈示から弁別反応までの問に、生体の内 部で生じると考えられる操作と情報の流れに基づいて、弁別学習のモデルを提唱した。これを情 報処理モデルとよぶことにする。まず、弁別過程の基本モデルとして、 ①弁別刺激の受容、

⑧感覚入力の分析、 ⑧知覚と反応の間に介在する認知的な判断、 ④観察可能な反応という 4つの独立な操作を仮定した。これに基づいて、図2に示すような標本比較課題のモデルを考案 した。この図では、もとのモデルの本質をそこなわない程度で、一部省略・修正してある。図の 中で四角の部分は操作を、矢印は前の操作からの出力で次の操作に入力される情報を示す。

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図2 標本比較課題の情報処理モデル(Fellows, 1968)

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182 杉 村   健

まず、標本刺激と比較刺激が提示される場所に定位反応がなされ、それぞれの刺激が受容され る.これはSpence (1940)の受容器一定位活動やWyckoff (1952)の観察反応に相当する。

次に、受容された刺激が刺激処理操作に入力される。これは基本モデルにおける分析の操作に対 応するもので、刺激の知覚的選択(注意)と体制化という2つの機能をもち、 Mackintosh(1965)

の選択的注意やZeaman and House (1963)の観察反応(注意)の概念に相当する。比較と反 応方略は基本モデルにおける判断に対応する。処理された2つの有効刺激について同異の比較が 行われる。その結果、 2つの刺激が同じであれば=同じ" 、異なっていれば"ちがう"という出 力が生じ、それが反応方略操作に入力される。ここでは解決に導く仮読(方略)が採用される。

一致課題ならば同じ→停留(stay)、ちがう→移動(shift)という方略が採用され、不一致 課題ならば同じ→移動、ちがう→停留という方略が採用される。最後に、停留と移動の情報 が反応選択操作に入力され、そして下部にある左右いずれかの比較刺激への道具反応が行われる。

以上がFellowsによって提唱されたモデルの概略である。一般に年少幼児は標本比較課題の 学習が困難であるとされているが、その原因として彼は2つの欠如をあげている。 1つば知覚的 欠如であって、これは主として受容と刺激処理の操作の失敗によるものである。もう1つは認知 的欠如であって、これは主として比較と反応方略の操作の失敗によるものであり、言語発達と関 係している。標本比較学習において採用される仮説(反応方略)は、低次のものから高次のものへ と①位置固執または単純な位置交替、 ⑧位置に関する得一停留、失一移動(win‑stay, lose‑

shift)、 ⑧特異反応および④一致反応という階層をなすと考えられているO このように、先 に述べたHarlow (1951)の考えに対して、 Fello¥ は一致反応の方が困難であり、認知的に複 雑であると主張した。すなわち、一致反応の場合には、比較刺激に反応して標本刺激には反応し ないというように、同一刺激に対して分化的反応をしなくてはならないが、特異反応の場合には、

刺激複合の中の特異な部分に直接反応するだけでよいと考えた。このモデルは、従来の研究や理 論を包括している点で高く評価されるが、今後の研究においては特に比較と反応方略の操作の具 体的な内容を明らかにする必要がある。

ここで、上述の3つのモデルについて比較してみよう Fellowsのモデルでは道具反応以外に 6つの操作が仮定されているが、その中で重要なものは刺激処理(刺激の変換)、比較および反 応方略であると考えられる。刺激処理は適切次元への注意と同じであり、比較と反応方略はとも に判断の操作であるので、関係への注意ないしルールの選択に相当する。したがって、情報処理 の順序については連鎖注意モデルと情報処理モデルが同じ方向を仮定し、ルールモデルだけが逆 の方向を仮定していることになる。いずれにしても、刺激処理や適切次元への注意というような 知覚的操作に加えて、比較・反応方略、関係、ルールというような認知的操作が同異学習では必 要であると考える点で、 3つのモデルは一致している。

学習の発達理論  子どもの同異学習の研究に関連して、いくつかの学習発達理論が問題にさ れている。これらは同異学習そのものについて提唱された理論ではないが、子どもの同異学習お よびその発達的変化を理解するために役立つものである。

(1)言語媒介説 ‑Kendler and Kendler (1962)が提唱した言語媒介説によれば、 3歳頃ま

での幼児の学習は単純な刺激と反応の連合によって行われ、 7歳以後の児童の学習は媒介を介在

した刺激と反応の連合によって行われる。この媒介は言語に関係するものであり、単純な連合学

習から媒介学習への移行は言語発達に依存しているというo ところで、単純な連合学習は特定刺

激に対する反応の学習であるので、言語が未発達な幼児では同異学習が不可能である。また、媒

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子どもにおける同一一一・差異関係の学習(I) 183

介学習で利用される媒介の内容は=色"とか=形日という内的言語反応であるので、これによる 同異学習もまた不可能である。後になってKendler and Kendler (1968)は、媒介の内容に事 例の上位概念名を含めたが、これを利用しても同異学習はできない。このように考えると、言語 媒介説はそのままの形では同異学習には通用できない。

次元への注意だけを仮定する注意説(Zeaman& House, 1963)も事情は同じであって、先に述 べたように、関係‑の注意という段階を導入して同異学習の連鎖注意モデル(Houseら, 1974) が作られた。言語媒介説を同様な発想で拡大すると、次のような連鎖言語煤介モデルができる。

刺激事態から①関係を規定する次元の言語ラベル("色"とか"形" )が生じ、 ⑧その次元 内の同異関係についての言語ラベル("色がちがう=とか"形が同じ=)を媒介として、 ③特 異または同一刺激への道具反応がなされる。したがって、 2つのモデルのちがいは注意を仮定す るか言語を仮定するかということになる。 2つのモデルを極端に対比させてみると、連鎖注意モ デルでは、必要な受容器がそなわっていて次元と同異関係が知覚できるならば、どんな年齢の子 どもでも同異学習が可能であることを予測し、連鎖言語媒介モデルでは、次元と同異関係にかか わる言語が発達するまでは同異学習が不可能なことを予測する。

(2)学習過程階層説 ‑White (1965)は学習、知覚、知能などの性質が5歳から7歳を過渡 期にして変化することに注目し、これを精神機能の連合水準から認知水準への変化と名づけた。

ここで"認知的=というのは次の特徴をもっている。 ①刺激そのものではなく、その言語的表 象が利用できる、 ⑧現象的に変化する刺激から不変の側面を帰納し、注意を持続することがで

きる、 ⑧過去の出来事を推論したり、未来の出来事を計画することができる0

Whiteのいう連合学習は、特定刺激や位置に対する反応を仮定しているので、少なくとも、

4、 5歳以下の幼児は同異学習ができないと予測される。一方、認知学習は上に述べたような特 徴をもっており、その中でも①と⑧は同異学習の過程と密接に関係している。このような操 作が可能な年長児は、特定刺激や位置への反応を抑制して同異関係に基づく反応を行うことがで きる。しかし、 White も述べているように過渡期の年齢は固定したものではないので、不適当 反応を抑制しやすい条件(課題、刺激、教示など)をととのえるならば、年少児であっても同異 学習が可能になるであろう。なお、 Whiteの説が学習過程階層説とよばれるのは、次のような 理由によるものである。年少児は連合学習しかできないが、年長児は連合学習も複雑な認知学習 もともに可能であり、状況(学習課題)に応じて、低次の連合水準での反応を抑制し、高次の認 知水準での反応を行うことができる。このように、年長児になると2つの学習過程の階層的体制 化が進むと考えられている。同様なことについて、 Stevenson (1970)は学習過程の柔軟性が増 すと述べている。

(3)認知様式変化説 ‑Gollin and Saravo (1971)は、 ‖人間の個体発生の過程において、

知覚・運動傾向が優勢な操作から概念・言語傾向が優勢な操作へと、認知行動における移行が存 在する"という一般的な仮説に基づいて、学習の発達的分析を行い、知覚・運動操作では同異 学習は不可能であるが、概念・言語操作では可能であると仮定した。そして、 2つの操作の過渡 期にある子ども(4‑6歳児)ならば、同異関係を知覚的に目立ちやすくしたり(Gollin ら, 1967; Gollin& Schadler, 1972)、学習のルールを教示することによって(Schadler, 1973)、特 異学習が促進されることを示した。 Gollinらは2種の操作の内容について明確に述べていないが、

次元学習やルール学習といった同異学習の過程に、 2種の操作がどのようにかかわっているのか

を分析するとともに、同異関係の認知(知識)と同異学習の関係について検討することが必要で

(11)

!サsi  闇

発達的研究

先に述べたように、同異学習の研究は1930年前後から動物を用いて行われはじめ、種々な動物 の学習可能性について研究者の関心が集まっていた。このような系統発生的研究が人間の個体発 生的研究へと発展し、何歳ぐらいから同異学習ができるかという疑問が生じるのは当然のなりゆ きであった。そして、特異学習は幼児には困難であるという Harlow (1958)の示唆が発達的研 究の出発点となった。まず、 Ellis andSloan (1959)は、 2つの形からなる3位置ランダム逆転 課題を精神年齢(MA)の異なる遅滞児に学習させた。学習者の割合はMA4.1歳児15%、 6.1歳 児58%、 7.7歳児79%、 9.7歳児88%であり、また普通児ではCA6.2歳児55%、 7.3歳児85%であ

った。この結果から、学習者が50%を越すのはMAでもCAでもほぼ6歳であるといえる。

次にLipsitt and Serunian (1963)は、 3色(赤、桃、縁)の3位置ランダム課題を学習でき た者の割合が、就学前児17%、幼稚園年少児(5 : 0‑5 : 6) 36^、年長児(5 : 6‑6 : 0) 73%、 1年生84%、 3年生1005&であることを示し、特異学習の臨界期は5、 6歳であるとしたO そ して、学習可能な最低年齢を決める研究よりも、刺激の類似性の痴呆、他の次元への拡張、前訓 練や動機づけの効果などを明らかにすべきであると主張した Gollin and Shirk (1966)は同じ 課題を用いて、就学前の年少児(4 :0‑4 :6)と年長児(4 : 6‑5: 0)がともに42%、

幼稚園の年少児(5:0‑5:6)と年長児(5:6‑6:0)がともに58%、 1年生(6:0

‑7 : 0)  であることを報告した Hark の陳述にもかかわらず、 4歳児でも42%も学習 可能であったことから、もっと年少児の資料を集めるとともに、年齢によって前訓練の影響がど のように異なるかを検討する必要があることを示唆した。

そこでPennら(1969)は、年齢(MA)がより低い重度の遅滞児にGollin and Shirk(1966) と同じ課題を学習させた。学習者はMA3歳児(平均3 : 6) 1396、 4歳児(4 : 4) 24^、 7 歳児(7 : 2)  であり、前の2群の問には有意差がなかった。全体として学習が困難であっ たことについて、多くの被験者は課題に用いた刺激の名前を言うことができ、適切次元への注意 の確率は高かったと考えられるので、特異関係への注意が困難であったと解釈した Hill(1965) は、高さ、色、形が冗長な2刺激(高い灰色のU字形と低いピンクの半円)からなる2位置ラン ダム逆転課題で、学習者は4歳児10%、 6歳児57%、 12歳児100^であることを示した。

特異学習の系統・個体発生的研究に関心をもつStrong (1966)は、種々の動物を用いた研究 (Strong & Hedges, 1966)を人間に拡張した。 2つの平面刺激か立体刺激からなる2位置ラン ダム逆転課題が学習できた者は、 3歳児17%、 4歳児39%、 5歳児48%、 6歳児64%、 12歳児 1005&、大学生100^、老人性痴呆の患者40%であった。学習者の基準達成試行数が5歳から6歳 にかけて急激に減少するところから、最初から特異刺激を選択し、解決が直ちに生じるような新 しい学習様式が、 5歳から7歳の問に発達することを示唆した。続いてStrong ら(1968)は、

より困難である次元抽出課題を用いた。色、形、高さを組み合わせて3位置の色課題、形課題、

高さ課題を作り、それぞれを組み入れて一連の課題とした。形課題の1例は低い黄色の三角、高 い赤色の三角、中位で青色の四角であった。予想されたように、この課題の学習はかなり難しく、

学習者はサル0%、 4‑6歳児15%、 12歳児60%、大学生100^、老人5%であった。

Brown and Lloyd (1971)は、 3色(赤、青、黄)、 3形(円、三角、星形)あるいは3事例

(12)

子どもにおける同一.差異関係の学習(I) 185

(重、ブーツ、傘)のそれぞれで3位置ランダム逆転課題を学習させた。 3種の課題をこみにし たときの学習者は3歳児(40‑44カ月) 0%、 4歳児(52‑56カ月) 1996、 5歳児(64‑68カ月) 56%、 6歳児(76‑80カ月) 63^、 7歳児 I‑92カ月) 75^であり、解決について正しい言語 化をした者は上の順に、 0%、 6%、 25%、 56%、 69%であった。このように、正反応を基準に すれば5歳児で、言語化を基準にすれば6歳児で過半数の者が成功し、 2つの基準で1年のずれ がみられた。なお、言語化の内容について分析してみると、 4、 5歳児でり同じ"に分類される

ものが多く、 7歳児ではりちがう"が多かった。

以上が特異学習に関する発達的研究の主なものである。被験者、課題、手続きなどの相違はあ るが、すべての研究において年齢(CA、 MA)とともに学習者が増加していることが明らかで ある。種々の条件が異なるので学習者の割合そのものについては厳密なことがいえないが、 CA とMAをこみにして重みをかけない平均を出してみると、 3歳児10%、 4歳児27%、 5歳児55%、

6歳児64%、 7歳児79%になる。したがって、ほぼ5歳前後を過渡期として特異学習が可能にな ると結論できる。もちろん、次元抽出課題(Strongら、 1968)や条件的特異課題(Hill, 1965) では学習者の年齢が上昇することはいうまでもない。いずれにしても、このような発達的変化が 認められることは、学習の発達理論(Gollin & Saravo, 1971; Kendler & Kendler, 1962;

White, 1965)を裏づけるものである。

しかしながら、発達理論を裏づけるといっても、従来の研究は単に年齢と学習可能性との関係 を調べただけであって、発達理論と関係づけて検討したものはなかった。したがって今後の発達 研究は、それぞれの理論から導き出される実験変数を組み入れた年齢×実験変数(課題、刺激、

前訓練、教示、転移など)という計画で行わなくてはならない。情報処理モデル(Fellows, 1968) における知覚的欠如と認知的欠如という考えも、発達研究を進める上で大切であろう。連鎖注意 モデル(House ら、 1974)とルールモデル(Bowers, 1976)は発達的変化について何も述べてい ないが、これらを発達的変化に通用させるためには次元学習とル‑ル学習に関するパラメーター を考慮せざるを得ないであろう。いずれにしても、単なる発達的変化を調べる研究は過去の遺物 であるといってよい。

刺激と課贋の要国

子どもの学習研究においては、用いられる刺激や課題によって結果が異なることが多い。特に 幼児においてそれが顕著である。典型的な同異課題は色や形といった1次元の視覚刺激からなっ ているが、先に述べたように、さまざまな刺激や課題が用いられており、その分析が同異学習の メカニズムの解明にも役立っている。以下では刺激の要因と課題の要因に分けて述べることにす るが、刺激あっての課題であり、この区分は便宜的なものである。

刺激の要因 (1)刺激の類似性‑ Lipsitt and LoLordo (1963)は小学4年生を用いて、

刺激価の類似性が3位置ランダム逆転課題の学習におよぼす効果を検討した.類似課題は赤、ピ

ンク、オレンジの3色からなり、非類似課題は赤、青、緑からなっていた。その結果、非類似課

題が類似課題よりも速く学習され、これは類似課題においてより大きな刺激般化が生じやすいこ

とによると解釈された。同異学習の研究を行う際には、実験者が任意に視覚刺激、事例、事物など

を選択して課題を作成しているが、この実験の結果は、単に色に限らず他の次元や事例、事物な

どについても、その類似性が学習速度に影響することを示唆する。 Lipsitt and LoLordoは刺激

(13)

186 杉 村   健

般化の概念によって解釈したが、先に述べた諸理論と関係づけて検討することも可能である。

(2)刺激反復‑Small (1970)は幼稚園児と1年生を用いて、 3位置ランダム逆転課題にお ける適切次元(色)の刺激価の数(2と4)を問題にした。刺激価が増すと特定刺激が繰り返し 呈示される回数が減ってくるので、刺激価と刺激反復は同じ問題を扱っていることになる。課題 4では赤、黄、緑、青のうちの2色ずつの組合せが12試行中2回ずつ呈示され、課題2ではいず れか1つの組合せだけが呈示された。両課題とも形(円と四角)が不適切次元であった。学習者

は課題4が23名(7229、課題2が14名(39#)であった。後者の14割ますべて36試行以内に基 準に達し、それ以後の試行を重ねても進歩しなかったのに対して、課題4の23名のうち8名は37 試行から72試行までの問に学習基準に達した。これについてSmallは仮説検証の立場から次の ように解釈した。呈示される刺激は試行ごとにみると課題2も4も同じであるので、被験者がも っている仮説の階層の中で課題解決に導く仮説が高い地位を占めているならば、学習の初期では 両課題とも同じように解決できる。これに対して、解決に導く仮説が低い地位を占めている場合

には、学習の初期では解決に導かない仮説が引き出される。たとえば、 "赤"という特定刺激に 関する仮説をもっていると、課題2では赤色が特異刺激か同一刺激として毎試行呈示されるので、

"赤目仮説が毎回引き出されやすい。そして、その仮説に基づく反応のうち半分が強化(確認) されるだけでなく、誤反応試行で正刺激に対する充分な情報が与えられない。これに対して課題 4では、赤色が連続して現れることがないのでり赤目仮説が一貫して引き出されにくい。そこで 被験者は新しい仮説を試みるようになり、学習の後期でも解決に成功する。

Scott and House(1978)は4歳児(3 :10‑4 :ll)を用いて、 3刺激ランダム逆転(反復) 課題と非反復課題の成績を比較した。前者には事物の絵が用いられ、後者にはすべての試行で異

なる事物、人物、マンガの人物が用いられた。学習者は反復課題58%、非反復課題100^、学習 基準達成までの試行数は同じ順に23.3と4.3であり、連鎖注意モデル(Houseら、 1974)の立場 から次のように説明した。 ①反復課題では特定刺激への注意が増し、それと括抗する特異刺激 への注意が減る、 ⑧非反復課題では常に異なる刺激が呈示されるので、 3つの絵をよりよく見

るようになり特異関係に気づきやすい。

先に述べた発達的研究において、年少幼児は特異学習が困難であるとされていたが、それらの 研究では2刺激または3刺激のランダム逆転課題が用いられていた。学習が困難な説明として上 述の連鎖注意モデルを通用することもできるが、それ以外の解釈も可能である。特定刺激への不 適当反応が間欠強化を受けるために(Harlow, 1958)、年少幼児は特定刺激に対する反応を抑制 できない(White, 1965)と解釈してもよいし、特定刺激に関する仮説に固執してしまう(Small, 1970)と解釈してもよい。非反復(非逆転)課題では間欠強化を受ける不適当反応がなく、また 新しい仮説を採用しやすい。いずれにしても、反復課題よりも非反復課題の方が学習が容易であ

るということは事実であり、その説明としてどのモデルや理論が正しいかが問題になる。それぞ れのモデルや理論から導き出される実験変数が2つの課題の学習に及ぼす効果を検討することが 必要である。

(3)刺激次元‑2次元以上の刺激からなる同異学習においては、少なくとも適切次元を抽出 する必要があるので、 Bernstein (1961)はこれを次元抽出課題と名づけ、不適切次元の数が増 すほど1次元課題とのちがいが大きくなることを指摘した。 Lubker and Spiker (1966)は小学 3、 4年生を用いて、不適切次元が0、 1、 2の課題の学習を比べたO実験Iでは形(円、三角、

四角)がどの課題でも適切で、大きさ(大、小)と明暗(白、黒)が不適切次元である4位置課

(14)

子どもにおける同一・差異関係の学習(I) 187

題が用いられた。課題0は試行内に不適切次元がなく、各試行は、大、小、白、黒のいずれかで 作られ、たとえば、第I試行は小さな黒い三角が3つと円が1つ、第4試行は大きな黒い円が3 つと三角が1つであった。課題1は試行内に大きさか明暗の不適切次元が1つあり、第1試行は 小さな白い三角が2つ、黒い三角が1つ、小さな黒い円が1つ、第4試行は大きな白い円が2つ、

黒い円が1つ、大きな黒い三角が1つであった。同様にして、課題2は1つの試行内に大きさと 明暗の2つの不適切次元が含まれており、第1試行は大きな白い三角と黒い三角、小さな白い三 角と黒い円であった。48試行中の正反応数は課題0から順に32.2、30.2、22.4であり、後の2つ の問に有意差が認められた。

上述の4位置課題では、同一刺激数が課題0では3、課題1では2、課題2では0というよう

に、不適切次元数と逆の関係にあった。そこで、実験Ⅱでは各試行から1つずつ刺激を除去して 3位置課題が作られ、欝1試行では、課題0は小さな黒い三角が2つと円が1つ、課題1は小さ

な黒い三角と白い三角と小さな黒い円、課題2ほ大きな黒い三角と小さな白い三角と黒い円であ ったOこの例からわかるように、同一刺激数が学習の速さに影響するならば課題0が最も速くな り、不適切次元数が影響するならば課題0、1、2の順になると予想された。正反応数は課題0 から順に30.9、28.4、24.4で、課題0と課題2の差が有意であり、同一刺激数よりも不適切次元 数が特異学習に影響すると結論した。さらにLubkerandSmall(1969)は、形、大きさ、厚さ

からなる4位置課題において、同一刺激数の影響をなくして不適切次元数の効果をみるために、

3つの課題ともすべての試行で不適切な色(左から赤、緑、黄、青)をつけ加えた。正反応数は 課題0から順に35.5、18.6、16.6であり、課題1と課題2の差はほとんどなく、不適切次元の有 無だけが重要であった。なお、不適切次元を無視して適切次元を抽出させる手続きとして、適切 次元または特異刺激に注意を向けさせる教示をあげている。

Balcerzakら(1972)は幼稚園児を用いて、三角と円の3位置ランダム逆転課題と、不適切 な色(赤一緑一赤、緑蝣0=1‑

‑m‑赤など)を各刺激の背景に付加した課題の成績に有意差がないこと

を示した。不適切次元が弁別刺激そのものにではなく背景に存在していたために、それを無視 することが容易であったといえるSchroth(1970)は1年生を用いて、標本一致課題で不適切 次元の効果を検討した。課題0は2つが同じ形で1つが異なる形をした幾何図形からなってお り、課題1は3つの図形の大きさが異なり、課題2は大きさと色が異なっていた。課題0、1、

2の順に基準達成までの試行数が多くなり相隣る課題問の差も有意で、不適切元数の明確な効果 を示した。

以上に述べてきたように、少なくとも不適切次元の有無については一貫した結果が得られたが、

その数の効果については予想通りでないものもあった。これまでの次元抽出課題では不適切次元 の刺激価が試行内ですべて異なっていたが、どの次元にも特異刺激と同一刺激がある課題を作る ことができる。この課題では、適切次元と不適切次元は実験者によって指定されるので、どの 次元の同異関係が抽出されやすいのかを調べることができ、また純粋な次元内、次元外移行も可 能である。井原(1980)は3形(円、四角、三角)と3色(赤、青、黄)を組み合わせた3位置

ランダム逆転課題を作った。たとえば、黄色の円、黄色の四角、赤色の四角の場合には、色を適 切次元にすれば赤色の四角が特異刺激になり、形を適切元にすれば黄色の円が特異刺激になる。

5、6歳児(5:2‑6:2)による18試行までの誤反応数は、2次元の色適切課題7.1、形適切

課題11.0であり、1次元の色課題1.6、形課題4.7であった。したがって、この年齢では色次元が

形次元よりも抽出されやすく、そのために特異学習が容易になるといえる。

(15)

188 杉 村   健

最後にBrown (1969)は、 7歳児(6.4‑7.9歳)を用いて2位置と3位置のランダム逆転課題 で課題0と課題1の成績を比較した。課題0は3形(円、十字、足形)か3色(赤、黄、青)の 1次元からなっており、課題1は形と色の2次元で形が適切な課題の1例は、青色の円、緑色の 四角、黄色の四角であった。被験者はあらかじめ次元偏好性を査定され、彼らの偏好次元が適切 次元である課題が与えられた。基準達成までの試行数は、課題0の2位置13.0、 3位置12.3でほ とんど差がなく、課題1では同じ順に31.4と19.7であって2位置が困難であった。第1試行にお ける特異刺激の選択率は課題0が60%、課題1が20%であったことから、 2つの同一刺激がある 課題0では特異刺激が知覚的に目立ちやすいと考えた。一般的にいって、 2位置課題は3位課題 に比べて中央の無報酬刺激への注意が向きにくいので3刺激間の関係に気づきにくく、特定刺激 に注意が向きやすい。この傾向は、適切次元への注意と不適切次元への注意が括抗する課題1に おいて生じやすいので、課題1における2位置課題の成績が悪くなると解釈した。

不適切次元の存在は同異学習の成績に影響するが、従来の研究のように、その有無や数の効果 を諏ペるだけでは、あまりに生産的ではない。この点でBrown (1969)の研究では、課題(2 位置と3位置)と次元数の間に交互作用がみられ、次元数のみを操作した実験よりも進歩したも のであるといえる。また、伝統的な次元抽出課題と井原(1980)が用いた課題の成績を比較した

り、 Lubker and Small (1969)が示唆したように、教示の効果を調べることも大切である。

(41同一刺激数 ‑Gollinら(1967)は5、 6歳児(61‑76カ月)を用いて、 3色(赤、緑、

育)の3位置ランダム逆転課題において、各試行が標準的な3刺激の場合よりも5刺激の場合 (但し、左右の端は常に同一刺激)の方が速く学習されることを示し、この手法を"知覚的増強=

(perceptual enhancement)とよんだ。 Brown (1970)は精神遅滞児(平均CAI01カ月、 MA 79カ月)を用い、 3形(円、四角、屋形)の3位置ランダム逆転課題において、 3刺激の学習者 が25%、 5刺激では88%であることを示した。このような結果についてGollinらは、第1試行 における特異刺激の選択率が3刺激よりも5刺激で多かったことから、知覚的増強によって特異 刺激の注意喚起特性が強められたと解釈した Houseら(1974)は、特異刺激の"図"としての 特性が同一刺激である=背景"によって強められるというゲシタルト的分析を示唆し、同時に、

この促進効果は関係特性‑の注意が高められたことによるのか、単に特異刺激への強い反応偏好 によるのかは明らかでないことを指摘した。

これに関連して崎田(1980)は、冗長的特異課題における同一刺激数の増加によって、特異刺 激(関係)への反応が強められるのか、特定刺激‑の反応が強められるのかを、 5、 6歳児(5

: 2‑6 : 2)を用いて検討した。特定の刺激(黄)をどの試行でも特異刺激として呈示し、 3 刺激(赤、青、緑)のどれか1つを各試行で同一刺激に用いた。したがって、黄と赤、黄と青、

黄と緑の3対がランダムにあらわれて常に黄色への反応が強化されるが、その際、被験者は"黄 色"と考えて反応してもよいし"ちがう"と考えて反応してもよい。 3刺激か6刺激で学習した あとで、黄色が特異刺激で茶色が同一刺激である試行と、黄色が同一刺激で茶色が特異刺激であ る試行からなる12回のテストが、 3激刺か6刺激の下で与えられた。テスト試行での反応系列の 分析によって、冗長課題において特異刺激に反応していたか(関係反応)、特定刺激に反応して いたか(特定反応)、あるいは一貫性がないか(非一貫反応)を同定した.

結果は3刺激よりも6刺激の場合に学習が容易で、第1試行における特異刺激の選択率が高く、

これは従来の研究と一致した。テスト試行における関係反応者は6刺激・学習‑6刺激・テスト

(6‑6)条件100^、 6‑3条件35%、 3‑6条件60%、 3‑3条件35%であり、学習、テスト

(16)

子どもにおける同一・差異関係の学習(I) 189

ともに6刺激の場合に関係反応者が多かった 6‑6条件では全員が関係反応をしたのに、 6‑

3条件ではわずか35%に減少したことについては、次のように解釈した。 6刺激の学習では単に 知覚的な目立ちやすさによって特異刺激が選択され、特異関係の明確な認識に基づくものではな かったために、知覚的な目立ちやすさが減少する3刺激のテストでは、関係反応ができなくなっ た。なお、特定反応者は6‑6条件から順に0%、45%、25%、 45%であった。従来の研究では、

標準的な特異学習を促進させるための前訓練として冗長課題を用いていたが(House, 1964;

Keeneyら, 1969)、 3‑3条件で45%も特定反応者がいたことは前訓練の意図に反するものと いえよう。

課題の要因 (1)同異課題と他の課題の比較‑Hill (1965)は次の3つの課題の成績を比較 した。 2刺激弁別課題は低い緑色の三角の立体と高い赤色の円柱からなり、特異課題は高い灰色 のU字型の立体と低いピンクの半円の立体からなる2位置ランダム逆転課題であった。条件的特 異課題は、高い灰色のU字型の立体と低い緑色の三角の立体からなる2位置ランダム逆転課題で、

青色の提示板のときには特異刺激の選択に、黄色の提示板のときには同一刺激の選択に報酬が与 えられた。学習者を年齢別にみると、 4歳児(48‑60カ月)では2刺激弁別課題93%、特異課題 10%、条件的特異課題は実験不可能、 6歳児(71‑83カ月)では同じ順に97%、 57%、 10%、 12 歳児(139‑155カ月)では3種の課題ともに100^であった。以上の結果から、課題が複雑にな

ると学習が困難になるが、課題と年齢との問に交互作用があることがわかる。

Heal and Bransky (1966)は、 I Q25‑61 (CA16‑30)の精神遅滞児を用いて、色(緑と 自)か形(三日月形と点)の1次元からなる3つの課題の成績を比較した。色次元を例にとると、

標本一致課題では標本が緑色の試行と白色の試行を作り、比較刺激は常に緑色を左、白色を右に 置いた。継時弁別課題では緑色一左ボタン、白色一右ボタンを学習させ、同時弁別課題では2色を 同時提示して緑色への反応を学習させた。結果は同時課題と継時課題の間には差がなく、一致課 題の学習が著しく遅かった。同時課題では特定刺激に反応すればよいが、一致課題では特定刺激 を無視して刺激問の牌係に反応する必要があり、しかも特定刺激に反応しても50%の間欠強化を 受けるために学習が困難になった。また、継時課題は標本との関係で左右の反応を求めることで は一致課題と同じであるが、比較刺激がないので間欠強化を受けず同時課題と同様の成績になっ た。このような間欠強化による説明はHarlow (1958)の不適当反応抑制説や、年少児は特定刺 激への反応が抑制できないという White (1965)の階層説と関係がある。

(2)一致課題と不一致(特異)課題の比較‑Scott (1964)は精神遅滞児(MA4‑6歳、 I Q 29‑75)に、円、三角、四角など7形のうち2つずつを組み合わせ、そのいずれか1つを与え た。水平配置の2位置課題で、中央刺激を先に提示して1秒後に左右の刺激を提示し、いずれか 一方を選択させた。 AAB‑BBA‑AABという連続運転課題で、それぞれ連続6回正反応で 運転させ、連続24回正反応を学習基準とした。学習者は一致課題55%、不一致課題66%で有意差 がなく、その他の測度についても両課題の差がなかったので、 Skinner(1950)やHarlow(1951) の見解に一致するものと解釈した。課題終了後に、実験者が中央刺激を指さしながら‖これと同 じのば'および"これと違うのば'とたずねたところ、前者ではほとんどの者が正しく答えられ たが、後者ではわずかの者しか答えられなかった。そこで"同じ"が‖違う''よりもよく理解で きるのに、両課題の学習には差がなかったことから、 Kendler and Kendler (1962)の言語媒介 説からの予測に一致しないと主張した。

Vaughter(1975)は、 5‑7歳児、 8‑10歳児、 ll‑13歳児について、色か形の一致課題と特

(17)

190 杉 村   健

異課題の成績を比較した Scott(1964)とは異なって、 3位置課題が用いられたので標本にあた るものがなく、一致課題では2つの同一刺激のどちらに反応してもよかった。 Fellows (1968) によれば一致反応よりも特異反応の方が低次であり、 White (1965)によれば年齢とともに低次 の反応を抑制できるようになることから、 Vaughterは特異学習はどの年齢でも一致学習より速 いが、一致学習は年齢とともに容易になり、 2つの学習速度の差が小さくなると予想した。全体

として特異学習が速く、女児のみで年齢とともに一致学習が容易になった。そこで男女別に誤反 応の分布を分析したところ、女児ではいったん正反応が生じればその後は誤反応があまり生じな いことを兄い出し、内的言語による特異反応の抑制ができると解釈した。

Levin and Maurer (1969)は6歳児を用いて、なじみの物や動物の絵と幾何図形の遅延標本 比較課題で、一致学習の方が不一致学習よりもやさしいことを示した。解決法に関する言語化を 調べてみると、一致学習者の全員が‖同じ"とか‖一致している日 と言えたのに対して、不一致 学習者のうち約半数が"ちがう日と言えただけで、残りの者は"一致していない日 と答え、さら に不一致反応の方が潜時が長かった。これらのことから、不一致学習には一致刺激を見つけてか

ら、もう一方の刺激を選ぶという2つの過程があるとし、 Fellows(1968)とは全く反対の立場を 示した。最後に、島(1980)は4、 5、 6歳児に2色か2形からなる標本比較課題を学習させた。

一致学習も不一致学習も年齢にともなって速くなり、どの年齢でも一致学習の方が容易であっ た。また、第1試行では標本と同‑の刺激を選択する者が多かったO この結果は上述のFellows とWhiteからの予測とは一致しなかったが、一致学習が容易な点でLevin and Maurerと一致 した。

以上のように、一致学習と不一致(特異)学習の比較については一貫した結果が得られていな いが、その1つの原因として課題の違いをあげることができる。水平配列課題では、特異学習が 容易であるか両学習に差がないという結果であり(Scott, 1964; Vaughter, 1975)、標本比較課 題では一致学習が容易であった(Levin & Maurer, 1969;良, 1980)< 水平配列課題では、連続 する無報酬試行において特異刺激への偏好性があり(Dickerson & Girardeau, 1970)、標本比較 課題では第1試行で同一刺激への偏好性がみられた(良, 1980)c このことによって、結果の違 いが部分的に説明できるかもしれない。しかし現在のところ、一致反応と特異反応の優劣を一般 的な認知操作の問題(Fellows, 1968 )として論じることはできない。

前訓練と教示の効果

幼児にとっては、単純な弁別学習に比べて同異学習が困難であると指摘されてきた。しかし、

普通の状態では学習不可能であっても、適当な条件を整えてやれば学習が可能になったり、ある いは促進されたりする。ここでは促進要因と考えられるもののうちで、同異学習の前に行われる 前訓練と、同異学習に際して与えられる教示について述べることにする。この種の研究は効果的 な前訓練や教示を探るだけでなく、同異課題の学習過程の分析をするのにも役立つ。

前訓練  Schroth (1968a)は、 2つの幾何図形で各試行に不適切な3色をともなう2次元ラ ンダム逆転課題を2年生に学習させる前に、次の課題で訓練を行った0 ①別の2図形からなる1 次元特異課題、 ⑧さらに別の2図形で不適切な3つの色と大きさをともなう3次元特異課題、

⑧本課題に用いる2次元課題で中央に提示した刺激をいつも正刺激とする課題、 ④上記の2次

元課題で、外的反応なしに色と図形の違いに注目させる課題、 ⑤本課題とは全く関係のない

参照

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