奈良教育大学学術リポジトリNEAR
地下水の人口涵養に関する研究(?)−気泡蓄積に よる目ヅマリ現象について−
著者 福尾 義昭, 石川 昌司
雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学
巻 29
号 2
ページ 55‑64
発行年 1980‑11‑25
その他のタイトル Studies on Artificial Recharge of
Groundwater(I)−Lowering of permeability due to air accumulation−
URL http://hdl.handle.net/10105/2414
奈良教育大学紀要 第2g巻 第2号(自照)昭和55年
Bull. Nara Univ. Educ‥ Vol. 29, No. 2(Nat.).1
地下水の人工滴養に関する研究(I)
‑気泡蓄積による目ヅマリ現象について‑
福尾義昭・石川昌司
(地学教室) (昭和55年4月30日受理)
Studies on Artificial Recharge of Groundwater ( I )
‑Lowering of permeability due to air accumulation‑
Yoshiaki FUKUO and Shoji ISHIKAWA
(Department of Geoscience, Nara University of Education, Nara) (Received April 30, 1980)
Abstract
Recently in our country, the groundwater was largely pumped up with increasing demand of fresh water owing to the concentration of population and the progress of industrialization. Its pumping has caused undesirable phenomena such as the subsidence of land surface and seawater intrusion into coastal aquifer and has become the serious problem for the preservation
of fresh water resources. Many efforts have been paid for artificial injectionof water from recharging well to solve this problem, but recharging works have not been advanced against our expectations, being impeded perhaps by the lowering of soil permeability which is not yet known clearly. The authors observed the flowrate (Darcy's velocity) of city water 別owing through sand column in glass pipe and the accumulative volume of air released from that water in the column. It was found that the permeability of sand was linearly lowered with increasing air volume and that the release rate of air was higher in greater diameter of sand particles. This result will be explained by the reduction of effective porosity due to air accumulation, and may be available to artificial recharge of groundwater for estimating theoretically injection volume of water.
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福尾義昭・石川昌司
ま え が き
地下水は貴重な淡水資源である.山地で降った雨が斜面に浸みこみ地下を流れる間に,岩石中 の化学成分を溶かし,土の浄化作用も受けて,清澄で滋味な地下水ができる.その水温も安定し 夏は冷たく冬は暖く感じる.我々の生活にとってこれ程貴重な淡水はない.しかし,地下水のも
とは斜面に浸透した降水であり量に限りのあることは言うまでもない.
現在,都市では生活用水のほとんどが水道水であるが,地方では依然として地下水が利用され ている.しかし,この水道水ももとは河川水であり,洪水時を除けば,地下水が河道へ浸出した ものである.近年,わが国の産業は大きく発展し国民の生活水準も著しく向上した.この発展向 上にともなって淡水使用量も非常に増大している.淡水使用量が生活水準のバロメーターと言わ れるゆえんである.生活水準の向上は喜ばしいことであるが,安易に淡水を得ようとして,過剰 な地下水の揚水をおこなった結果が,地盤沈下1,2)であり,地下水の塩水化3,4,5)である.この沈下 や塩水化は,わが国の主要河川のほとんどの沖積平野で発生しており6),揚水の規制で小康を保 っている地域も見られるが,今なお淡水資源確保という問題でその対策に苦慮している地域が多 い.地下水の流速はきわめて遅く,したがって拡散作用も弱い.圧縮された粘土層や塩水化され た地下滞水屑は容易に回復しない.
地下水は,ダム貯水のように潤っているだけではその価値は表われない.遅くても常に海の万
‑流れていてこそ,ミネラルを溶かし水温も安定して,その地方のすべての人達に広く利用され るようになるからである.したがって,地下水豆如ま内陸側の万がいつも海側より高くなっていな ければならない.ポンプは地下水の水頭を下げる機械である.揚水によって低下した水頭はでき るだけ早く回復し,貴重な淡水資源を保全するために,本釆あるべき地下水の姿にしなければな
らない.地下水の人工液養の目的もここにある.
地下水を人工海聾する方法として,多くのタメ池を作り,底面の透水性を改良し,流水をこれ に導いて,自然浸透を促進させるという方法があるが,この方法は海養速度が遅く大きな地表面 積を必要とするので効率が悪く,また不透水層より深くにある被圧地下滞水層へ注水することは 不可能である.小面積で能率よく人工注水する方法として,揚水井と全く同じ構造の注入用井を 掘削し,この井戸から水を圧入する,いわゆる人工前菜井を用いる方法がある.わが国の沖積平 野で問題になっている地盤沈下や塩水化の多くは被圧地下滞水屑で起こっているので,この人工 滴養井を用いる方法が各地で採用され,地下水の人工滴蓑に努力が払われているが7),困ったこ とに, tt目ヅマリ"と一般に呼ばれている現象のために,能率よく注水作業を続けることができ なくなる.
層厚Dmの被圧地下滞水屑に半径rmの井戸を掘り,ゥmVhrの割合で地下水を揚水すると, 井戸中心から半径Rmのところで地下水恵がHmに保たれているという境界条件が存在する場 合には,定常地下水流において,井戸中の地下水頭hmは
H‑h‑2^DK log一芸 (1)
で与えられる8).ここに,ガは滞水屑の透水係数(m/hr)である.この地下水揚水理論を裏が
えして,井戸中の水薗hを逆にHより高くすると, Qだけ定常的に注水できるという理論的結
果を得るが,実際に注水してみると,注入量Qが次第に減少し,一定注水量を保つためには,井
戸水頭をどんどん高くしていかなければならなくなる.この原因としては透水係数が注入につれ
地下水の人工癖秦に関する研究(I)
57 て減少するためだろうと推定され,これを指してtt目ヅマリ現象"と呼んでいるわけである.目ヅマリを起こす原因として,
1 )注入水中の懸濁物質や有機物質による砂疎間隙の閉塞
2)注入水と地下水との水質相違にもとづくある種の化学変化で生成される物質による砂硬間隙 の閉塞
3)注入水中に存在する気泡の蓄積による砂疎間隙の閉塞
などが挙げられているが,いづれの原因についても目下調査研究されている段階である9).
筆者は,地下水流動研究のため,土の透水係数を度々測定しているが,その測定値の再現性を 惑くする原因として,上述の3)の現象に以前から注意していた.透水係数を測定するのに水道 水を用いざるを得ないが,測定値のばらつきが大きい時には必らず透水砂柱に気体がたまってい
る.この気体を除去して測定すれば,砂に関する限り,再現性はきわめて良好である10)今 回,蓄積した気体の容積を測定する簡単な方法を考え, 3)の原因について実験・考察をおこな ったので,その結果を以下に述べたい.
I.実験に使用した砂
大学構内の道路わきの土を取り,それを風乾したあと,つぎの要領で各粒径の砂を作った.
1)開き目 0.149, 0.297, 0.38, 0.50, 0.71, 0.84mmのフルイを重ね,これに風乾した土を 入れ,よく節分する.
2)各開き目に残った土ごとに,その 200cc程を1リットルビ‑カーに入れ,水道水でよく洗 う.洗い始めには,砂粒に付着している粘土やシルトのために水が濁るが,この濁りがなくなる まで充分に洗う.また砂より軽い粒(黒い雲母のかけらが多いように思われる)は,洗い水を流 す時に,できるだけ流し去った.
3)よく洗った砂を,各開き日ごとにまた風乾し,再びフルイで充分節分したあと,水道水を充 たした1リットルビーカー中に沈めて,水に充分なじませておく.
以上のような要領で,実験に使用する砂を各粒径ごとに作った.滞水屑中の砂は水によく洗わ れ水にもなじんでいると思われるので,実験砂をできるだけそのような状態にしたかったこと
と,後程ふれるが,測定値の再現性を確保したかったからである.
II.実験装置の概要とその操作方法
実験装置の概要は,図11にみられるとおりである.この装置の操作方法を手境を追って述べる と,
1)内径8cm,高さ約45cmのガラスシリンダーに水道水を充たす.つぎに,内径3cm,高さ 約41cmのガラス管の下端に真鈴金網を張り,これにI・で用意した砂を長さl‑約13cm程につ めた後,このガラス管をガラスシリンダー申‑,砂粒間に存在する空気をできるだけ追い出すよ うに,徐々に沈める.ガラス管のoverflow pipeとシリンダーのoverflowpipeとの間僻hが 約10cmになったところで,ガラス管を鉛直に立てて固定する.
2)ガラス管を注意深く徐々に沈めても砂粒間に空気が残る.空気を完全に取り除くために,つ
ぎのような操作をおこなう.すなわち,ガラス管上部の細管(透水実験中にはこの細管に細いビ
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福尾義昭・石川呂司
図11実験装置の概要とその操作法
ニール管を通して水道水を注入する)にゴ ム栓をした後 overflow pipe を口にく わえて適当に吸うと,シリンダー中の水が 美鈴網を通して砂柱の中へ逆流してくるの で,この逆流に引きずられて砂柱の砂がガ ラス管中にまき上る.と同時に,砂粒間に 閉じこめられていた空気が気泡となって,
ガラス管上部の方へ逃げ去る.吸うのを止 めると砂粒は美鈴網上に沈積する.この吸 い上げ操作を4, 5回繰り返すと,砂柱か ら空気を完全に追い出すことができる.砂 粒がまき上りから金網上へ沈降する際,ち
し粘土やシルトがまじっていると,この粘 土やシルトの沈降速度は小さいので,最後 に砂柱上面に沈積して薄い層を作る.する
と,この薄層では水が通りにくいので,こ の薄層の充増産で砂柱の透水係数が左右き れてしまうような結果になる.これを防ぐ ために,1‑2)で述べたように,充分砂を 水洗いしたわけである.
3)まき上り後沈積してできた砂柱の充填度はゆるく,また砂柱長/はまき上りのたびに変化す る.砂柱の間隙率を揃えて透水係数を測定しなければ意味がない.それで,沈積後 overflow pipeを通して,今度は,吸うのではなく,要領よく呼吸の振動を砂柱に与えると,砂柱は2cm 前後収縮する.一種の water vibration による砂層の締め固めをするわけである.砂柱が締っ
た時,砂柱上面の位置をガラス管の外面に細い線で印し,以後,砂柱のまき上げ操作後,いつも この細線まで呼吸振動で締め固めれば,常に同一間隙率をもった砂柱をガラス管中に作ることが できる.この実験では, ∫‑13.3cmに定めていつも締め固めた.
4)ガラス管上部の細管に詰めたゴム栓をとりはずし,水道蛇口から導いた細いビニール管をこ の細管に通し,できるだけ蛇口をしぼって水道水をガラス管に静かに注ぐ.しばらくすると余分 の水はoverflowpipeから流れ出るので,ガラス管中の水位は一定に保たれる.と同時に,ガラ ス管中の水は砂柱を通り抜けてシリンダ‑中に流れこむので,その量だけシリンダーのoverflow pipeからあふれ出る.数分経つとあふれ出る量は一定し流れは定常状態になるので,ガラス管 中の水面とシリンダー中の水面との間隔hを10cmにすばやく正確に合せたあと, 20‑40秒間 に出てくる水量をメスシリンダーで測定してその間の流量q (cc/sec)を求め,これをガラス管 断面積c xl.52 cm2でわって砂柱のDarcy流速, u…q/S (cm/sec)を計算する.流量q の測定は実験開始後15分間僻で通水最終時までおこなった.図12は,横軸に実験開始後の時間, 縦軸には15分ごとに測ったDarcy流速uをとって,流速uの時間的変化の代表例を示したも のである.流速〟は時間とともにはぼ直線的に減少していることがわかる.
5)予定した通水時間の最終時における流速紺を測定したあと,図‑1 (右)に示したように,ガ
ラス管をシリンダー中に沈め,用意した目盛り付き試験管中に水を充たした後,これを倒立して
地下水の人工面責に関する研究(I)
ME ( cm′S)
149‑0.297 mm
2 T I M E
図‑2 各粒径砂についてのDarcy流速の 時間的変化
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ガラス管上部の細管に,空気が入らないよ うに手際よくかぶせる.その後 overflow pipeから図のように吸うと,砂粒はまき 上り,通水中に砂柱に蓄積された気体は気 泡となってガラス管中を上昇し,かぶせた 試験管中に集まる.その気体容積tf(CC)を 読みとった.
6)容積がを測定したあと,かぶせた試験 管をはずし,ガラス管を再び図‑1 (左)の ように, h‑10cmに固定し, 3)の方法 で呼吸振動を砂粒に与えてJ‑ 13.3cmの 砂柱を作り, 15分間隔で流速〝を測りな がら,通水時間を適当にかえて,気体容積
Vを求める.
以上のような手順で,各粒径の試料砂に ついて,蓄積した気体容積Vと最終時流速
〝との関係を調べた.
111.実験結果の整理
1・で述べた方法で実験した結果を整理し たのが表‑1であり, 〟と 即 との関係を見 やすくしたのが図13である.測定値はば らついているが,各粒径について,ほぼ直線状に配列しているので,その回帰直線を求めた.計 算の結果は表‑2のとおりである.
IV.実験結果の考察
図‑3に示される結果,すなわち最終流速uが気体容積Vの1次式で表わされる理由を考えて
みよう.
図‑1 (左)のような状健で水が流れている時,水の密度をp,重力加速度をgとすると,砂
柱の上面にはたらく水圧はpghi,砂柱の下面にはたらく水圧はpghsで与えらる.砂柱断面中
で水が通過できる面積はどの断面でも同じであると仮定して,それをS′で表わそう.すると砂
柱中の水を下へ押そうとする全圧力差はpg (Ai‑Aa) 5′となる,砂柱の有効間隙率をβで表わ
すと,有効間隙水の容積Va…βSLで与えられ,これに作用する重力はpgl′aである.結局, pg
(Ai‑fta) 5′+pgVa…Flが,水をガラス管からシリンダー中へ流そうとする力になる,水が砂
粒間を流れると,両者間にマサツカがはたらく.このマサツカF2が駆動力Flと釣合った時,
水は一定流速で流れるであろう.ところで,このマサツカF2は,砂柱の長さlに比例するであ
ろう.また,砂柱断面積Sが大きくなれば,水が砂柱を通り抜ける道筋の本数が多くなり,こ
の本数に比例してマサツカは大きくなるであろう.しかし,砂柱の水路は複雑で,水路の断面積
60 福尾義昭・石川昌司
表‑1各粒径砂柱の最終Darcy流速とその時の蓄積気体容積の測定結栄 フルイ目0.149‑0.297mmの砂
フルイ目0.50‑0.71mm の砂
iRg盛mmmu(cm/s)臓
M ' f l O N N H N O I N O I H N O O
i‑i T‑H N T* T* m tD <o t‑ t^ oo oo oo in oo o o n< t‑‑ o t^ ir5 oo in c*q oo T ‑ ( ‑ ' * a > N " ' * C ^ < M O t ‑ ‑ c O I O < M O O
・
蝣
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N
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o
o
a
i
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o
o
O O i
‑ I O o o o o o o o o o o o o o
平均水温
♂ (oC) o
o o o o o o o o o o o o N B I I D I D I O N I D N O O
^ N O O N
C O i ‑ H T ‑ I t H M ‑>* co o in u7 c<i a> ‑>* io o ^* o ic in in uj io iD ffl ^ io io N io s 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
フルイ目0.38‑0.50mmの砂
フルイ目 0.71‑0.84mm の砂
気体容積v (cc)
最終流速
〟 (cm/S)
通水時間
T (min)
平均水温
♂ (oC)
N CO O <D <C OO tH OO OO t‑H OO
O O H H N M
^ i n N O O O O
秦‑2 最終流速uとその時の気体容積Vとの間の回帰直線u‑a‑bvの計算結果
フルイ目の大きさ(mm) 常数項 一次係数 相関係数 有効間隙率 間隙率
a(cm/s) 6(cm/s‑cc) βo βa
0.149‑‑0.297 0.38 ‑0.50 0.50 ‑0.71 0.71 ‑0.84
0.0306 1.75×10" 0.84 0.186 0.416 0.1017 4.43 〝 0.89 0.244 0.433 0.1622 7.97 〝 0.93 0.216 0.423 0.3057 19.14 〝 0.98 0.170 0.415
やその本数を求めることは不可能に近い.これを解決するために,よく毛細管モデルが用いられ る.ここでもそのモデルを採用しよう.
このモデルでは,砂柱に,直径ォ1, #2, ‑・‑蝣蝣蝣蝣dnの毛細管がそれぞれNlf N2, ‑・・‑‑N,i
本存在し,管の長さはすべて砂柱長lであると考える.種々の粒径を含んだ砂柱では, dnやN7L
地下水の人工滴葺に関する研究(I)
︼日.rHuS′
:3
C
′t
0.7ト0.84 mme
CD 0.50‑0.7 1
0 0.38‑0.50 ′′
蝪 0.149‑0.297 ′′
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AIR ACCUMULATION IO
図‑3 通水最終時におけるDarcy流速と 蓄積気体容積との関係
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の値を定めるのに砂粒径分布を利用して推論 を進めるが,我々の場合には,フルイの開き 目の間隔をせまくして注意深く土を節分した ので,各粒径砂で作った砂柱では,単一直径 dの毛細管N本からできていると仮定して もよいであろう.すると,この毛細管中の全 体積は(サr/4) d2Nlで表わされ,この体積 が砂柱中の有効間隙容積に等しいとみなされ るので,
va ≡ βsl ‑寺d2Nl (2)
また,砂柱断面中で水が通過できる面積∫′
は次式で与えられるであろう.
S′ ‑÷d2N (3)
(2)と(3)からS′‑β (4) 毛細管中の流体速度が小さい場合には, Hag‑
en‑Poiseulleの法則11)からわかるように, 管の単位長さ当りにはたらくマサツカは,読 体の粘性率り と管内平均流速u7n とに比例 する.したがって,砂柱にはたらく全マサツ カFo は
F2 ‑fvumlN (5) で表わせるであろう.ここに, ′は砂柱に特 有な無次元の比例常数である.このマサツカ
F2を駆動力F]と等置するとpgihi ‑h2)S′ +pgVa‑frjUmlN
我々が測定したDarcy流速uは,毛細管中の全流量を砂柱断面積Sでわったものである.す なわち
uS‑u‑S′ ‑÷d2Nm
(6)に(2), (3), (4), (7)を代入して整理すると
xd* pgp享, h…hi+l‑h2
u‑4/ り
(7)
(8)
を得る.図11 (左)に示された状態での砂柱中を流れる水の水薗勾配はh/lで与えられるから, 砂柱の透水係数(hydraulic conductivity)をガで表わすと, Darcyの法則から
u‑K‑
(8)と(9)の比較から
K‑k笠, k…雰β uo)
kは面積の次元をもち tt真の透水係数12) (intrinsic permeability)"と呼ばれている量である.
62 福尾義昭・石川昌司
我々の実験で,蓄積した気体が砂柱の有効間隙を減少させると考えると,蓄積体積がVの場 令,有効間隙率βは
β‑β0‑J)‑
SI
となる.ここに,β.は透水を開始した時(サ‑Oの暗)の有効間隙率である.(10),(ll)を(9)に入 れると
u‑晋苦手(βo一昔)
この式と表‑2中の回帰直線式とを比較すると
vrd2
a‑4/
pl享βb‑雰笠hsw7]u2)
したがって,
α
β= blS
を得る.この式は有用な式と考える.というのは,有効間隙率の定義*は明確であるが,その測 定は困難だからである.今の場合, IS‑xxl.52×13.3cm3であり, a, bは表12で与えられるか ら,各粒径について上式からβ.を計算することができる.求めた値は表‑2申第5欄に示した.
砂について一般にβ。‑20^前後と考えられているので,この値は妥当な値であろう1日4).した がって,図‑3に画かれた実験結果は,水道水中の気体の蓄積によって砂柱の有効間隙率が小さく なり透水係数が低下したためと理解される.
流速〝の減少が蓄積した気体の量に比例すると考えると,流速〝が通水時間にほぼ比例して減 少することを図12でみたから,水道水から遊離する気体の体積は通水時間に比例するだろうと推 測できる.しかし,その遊離する強さ,すなわち単位時間にたまる気体容積dv/dtは,たとえ
ば,同図中の粒径0.71‑0.84mmについての2本の線(水温16.OoCと18.5oCの線)の勾配の ちがいからでもわかるように,一定していないようである.義‑1でみるかぎりでは,遊離強さは 水温とも関係がなさそうである. dv/dtがuそのものに依存するかどうかを確かめるために,粒 径0.71‑0.84mmの砂について,砂柱長lは13.3cmにそろえ,水頭差hを5cmあるいは15 cmに変化させて,それぞれの場合について,蓄積体積γと最終流速〟との関係を調べ,実測し
たuの値をA‑10cmの場合に換算するために10/5あるいは10/15をそれに乗じ,この換算流速 と蓄積体積との関係を図13上にプロットしたところ,ほぼ当粒径の回帰直線の近くに寵列した.
この結果は,気体遊離の強さが流速にも関係しないことを暗示している.他の粒径についての実 験はまだ実施していないので,この結果についての結論は後日にゆずりたいが,今のところ,気
体遊離の強さは通過する水の性質に大きく依存しているように思われる.
*有効間隙率の定義:土が張る体積Vから土粒子だけの体穣Vsを引いた残りの間隙体積Va‑V‑Vsを Vでわった比Va/Vを(幾何学的)間隙率βa と呼ぶ.水が間隙Vaを充たして流れる時に,水の‑部 は吸着力によって土粒子表面に強く付着され,また‑一部は土粒子の作る複雑な間隙構造のため毛管作用によ って拘束される.この吸着水や毛管水は自然に生じている水頭勾配によっては流動し得ないので,実際に流 動している水の体積はVaから吸着水と毛管水との合計体積Va′ を引いた体積と考えられる.有効間隙率 βの定義は, β… (Va‑Va′)/Vである.
地下水の人工癌菜に関する研究(I) 63
む す び
上述の実験結果は,すべて大学研究室内の水道水を用いておこなったものである.もし雨水や 河川水についても,水道水と同じように,図13でみられるような気体蓄積が砂層通過中に生ずる とするならば,地下水の人工海養のみならず,自然福養においても重要な問題を提起するであろ う.それで, 1979年6月29日に降った雨水を, B新棟入口前の樋の下でバケツに受け,約100′
を採取して,各粒径の砂柱に4時間程2回通したが,ほとんど気体はたまらなかった.また,同 年9月に奈良市南部の五ケ谷川支流において,河川水を約802程採取し,雨水の場合と同じ要領 で実験をおこなったが,やはりほとんど気体はたまらなかった. 4時間通水するのに約10′の水
を必要とするので,各粒径について附が関係を調べるためには,同じ条件で採取した試料水を 多量に必要とするという制約が伴う.そのために,この実験もまだ不充分な段階であるが,今の ところ,水道水という特別に処理された水であるために,砂柱に廠著に気体が蓄積されたのでは ないかと想像している.昭和49年度から3ヶ年にわたって,大阪市鶴見区の緑地公園内で建設省 近畿地方建設局が実施した被圧地下滞水屑への人工油養実験においても, 't目ヅマー) "現象のため 実験実施に苦心が払われた.地下水の水質汚染を避けるために上水道の水が使用されたが,蓄積 した気体を集めて,その化学的性質を調べたならば,水道水のみが薗著に気体を遊離する理由が つかめるかもしれない.
土粒子が作る間隙通路には,通過断面積が狭小になっている部分が多く存在し,水圧が複雑に 変化するだろうことは,ベルヌーイの法則から充分想像できる.空気は20‑Cにおいて水1ccに 対して0.019cc (1気圧下に換算した値)程溶解している15)この溶存空気が,狭小間隙通過時 の水圧低下によって遊離することが考えられ研究されているようであるが16)まだ充分定量的に なっていない.水の空気溶解竜の温度・圧力による変化にもとづく考察も今後検討していくこと が必要だと考えている.気体遊離の強さdv/dtが定量的に表現できれば,透水係数Kの時間的 変化が予測できるので, (1)を導く水理的考察に〟の時間的変化を取り入れるならば,人工注水 時における気泡にもとづく tt目ヅマリ現象"は解決できるであろう.
参 考 文 献
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64 福尾義昭・石川昌司
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