博 士 学 位 論 文
都 市 郊 外 居住 高 齢 者 に お ける 外 出 能 力 と健 康 寿命 の
因 果 構 造 に 関する 研 究
指 導 教 授 星 旦 二
平 成 2 5 年 4 月
首 都 大 学 東 京 都 市 環 境 科 学 研 究 科
井 上 直 子
学 位 論 文 要 旨
論文
都 市 郊 外 居 住 高 齢 者 に お け る 外 出 能 力 と 健 康 寿 命 の 因 果 構 造 に 関 す る 研 究
The causal structural relationship between the ability of going out-side and the healthy life for the suburban elderly dwellers
いのうえ なをこ
学位申請者 井 上 直 子
( 学位論文要旨 )
日本の高齢化は、世界に類を見ない速さで進んでいる。特に、都市部における高齢化が 著しく、要介護状態にならずに健康寿命を延伸させることは、本人や家族だけではなく、
社会保障の視点からみても意義が大きい。高齢者の生命予後を規定する要因に関する先行 研究では、生活機能、日常生活、社会活動、精神的活動との関連が明らかにされている。
しかしながら、生命予後を大きく規定する閉じこもりにおいては、外出頻度の状況と個人 因子、環境要因との関係性を明らかにした横断研究がほとんどであり、外出状況を、健康 三要素(身体・精神・社会)、社会経済的要因、それに支援環境を含めて総合的に検討し、
その最終効果である健康寿命への因果構造を明確にした縦断研究は、ほとんど報告されて いない。したがって、急速な高齢化が進む都市部において、高齢者の健康長寿と関連する 外出頻度の経年変化と共に、健康三要素との因果構造が明確になれば、高齢者の健康寿命 の延伸を目指す効果的な施策立案ための科学的なエビデンスとしての意義が大きい。
本研究の目的は、都市郊外居住高齢者における生存維持と要介護状態、つまり健康寿命を規 定する外出能力と健康三要素について、その関連性と因果構造を明らかにするとともに、介護 保険制度における要介護認定度の維持と改善を規定する要因を明らかにすることである。
本論文は、全 5 章で構成される。第Ⅰ章では、日本における高齢化と高齢者の外出や閉
じこもりに関する既往研究をレビューし、高齢者の外出に関する研究課題を明らかにした。
さらに、外出を総合的に測る指標としての外出能力モデルを創出し、本研究で明らかにす る関連要因の因果構造に関する研究目的と研究意義を明確にした。
第Ⅱ章では、都市郊外居住高齢者の外出頻度の 3 年後の経年変化と生存との関係を明ら かにし、3 年後の外出頻度を従属変数とした場合に、統計学的にみて有意に関連する事前要 因を明確にすることを目的とした。 2001 年に 65 歳以上の都市郊外居住高齢者で自記式質問 紙調査に回答した 13,195 人(回収率 80.2%)を追跡対象とし、3 年後に同様調査に回答し た 8,285 人を分析対象者とした。その結果、都市郊外居住高齢者の外出頻度は、3 年後には 男女とも後期高齢者においてやや低下していた。また、生存を維持するためには、外出頻 度を維持することが重要であり、外出頻度の維持は、身体的健康度よりも主観的健康感や 趣味活動によって規定されることを明らかにした。
第Ⅲ章では、地域高齢者の中でも、特に外出頻度が低下する後期高齢者における身体・
社会・精神的健康の健康三要素と閉じこもりや外出頻度を反映する外出能力モデルを提示 し、関連要因との因果構造を明らかにすることを目的とした。2004 年に要介護認定を受け ていない都市郊外に居住する 75 歳~79 歳の後期高齢者 2,941 人の内、 自記式質問紙調査に 回答した 2,430 人 (回収率 82.6%)を 3 年間追跡し、3 年後に同様調査に回答した 1,758 人 を分析対象とした。探索的因子分析の結果より、歩行筋力、転倒リスク、閉じこもり度、
そして外出頻度と関連する潜在変数を『外出能力』(『』は潜在変数を示す)と命名した。
共分散構造分析の結果、『外出能力』は、『精神的健康度』から直接的に規定されると共 に、『社会的健康度』と『身体的健康度』を経由して間接的に規定される因果構造が明ら かになった。
第Ⅳ章では、都市郊外居住高齢者における 3 年間の要介護認定度の経年変化と介護予防
に関連する要因とともに、累積生存への予測妥当性を明確にすることを目的とした。対象
は、2001 年に 65 歳以上の都市郊外居住高齢者 16,462 人を対象とし、自記式質問紙調査に
回答した者、13,195 人(回収率 80.2%)の内、データ不備のあった者を除いた 13,066 人
とし、3 年後の要介護認定度を調査した。3 年間の要介護認定度の変化とともに、要介護状 態を予防する要因を多重ロジスティックモデルによって分析した。その結果、都市郊外居 住高齢者の約 90%は要介護状態ではなく、要介護認定者の 23.2%は 3 年後もその要介護認定 度を維持し、22.2%は要介護認定度が低下していた。3 年後の要介護認定の予防に寄与する 要因は、男女ともに主観的健康感と、BADL と IADL(基礎的、手段的生活動作能力)が優れ、
趣味活動をしていることであった。一方、男性のみで外出頻度が、女性のみで年間所得額 とかかりつけ歯科医師の有無において、統計学的に有意差がみられた。さらに、 要介護状 態の高齢者は、3 年後に累積生存率が低下しやすく、要介護認定度 5 の高齢者は 3 年間で約 半数が死亡し、特に要支援群の累積生存率が相対的に低下しやすいことが示された。要介 護認定度は、生存予測妥当性が高い指標であることが明らかになった。
最終章では、各章で得た結論と今後の提案を考察した。都市郊外居住高齢者の外出頻度の 維持改善のためには、主観的健康感を高め、知的能動性を維持する働きかけや仕組みづく りの必要性が示唆された。後期高齢者の『外出能力』を規定する要因は、男女ともに『精 神的健康度』が基盤となることが示された。また、3年後の『外出能力』を最も大きく規 定する要因は、男女ともに『精神的要因』であるものの、女性では、『身体的要因』がや や大きいことが示された。更に、要介護認定の予防に寄与する要因は、主観的健康感や生 活活動能力が優れていることであり、要支援群の生存が相対的にみて低下しやすく、要介 護認定度は生存予測妥当性の高い指標であることが示された。よって、都市郊外居住高齢 者の健康寿命を延伸させる効果的な健康支援活動では、主観的健康感といった精神的健康 度を基盤とし、身体的健康と社会的健康を高めていくことを手段として位置づけると共に、
介護サービスだけに依存せず、本人の役割と日常の外出機能を維持させる必要性が示唆さ
れた。今後の研究課題として、効果的な健康教育による介入追跡研究により、健康寿命を
延伸させる成果を示す必要性が示唆された。
目 次 第 Ⅰ 章 序 論
第 1 節 研 究 背 景
··· ··· ·· 1
1 - 1 高 齢 化 社 会 の 背 景 と そ の 対 策
··· ··· 1
1 - 1 - 1 日 本 の 超 高 齢 社 会
··· ··· 2
1 - 1 - 2 急 速 に 高 齢 化 が 進 む 都 市 部
··· · 3
1 - 1 - 3 後 期 高 齢 者 の 増 加 と 医 療 ・ 介 護
··· 5
1 - 1 - 4 世 界 の 高 齢 化 の 実 態 と 将 来 推 計
··· 6
1 - 2 高 齢 者 の 健 康 づ く り
··· ··· 8
1 - 2 - 1 健 康 日 本
21
( 第2
次 )··· ··· 8
1 - 2 - 2 主 観 的 健 康 感 ・ 受 療 実 態 に お け る 世 界 と の 比 較
··· 10
1 - 3 介 護 保 険 制 度 に お け る 介 護 予 防
··· ··· 11
1 - 3 - 1 介 護 保 険 制 度 と 要 介 護 者 の 推 移
··· 11
1 - 3 - 2 予 防 重 視 型 シ ス テ ム へ の 転 換
··· 13
1 - 3 - 3 事 例 か ら 見 た 介 護 予 防 対 策
··· ··· 15
1 - 4 健 や か な 長 寿 を 過 ご す た め の 要 因
··· 19
1 - 4 - 1 生 活 機 能 ― 国 際 生 活 機 能 分 類 (
ICF
)··· 19
1 - 4 - 2 健 康 三 要 素
··· ··· 20
1 - 4 - 3 健 康 寿 命
··· ··· 21
第 2 節 高 齢 者 の 外 出 ・ 閉 じ こ も り に 関 す る 先 行 研 究
··· 23
2 - 1 文 献 検 討 方 法
··· ··· 23
2 - 2 閉 じ こ も り の 定 義 と 測 定 尺 度
··· ··· 23
2 - 3 外 出 頻 度 の 年 齢 、 性 、 外 出 に 関 す る 認 識 の 差 異
··· 25
2 - 4 外 出 頻 度 ・ 閉 じ こ も り の 関 連 要 因
··· 26
2 - 4 - 1 身 体 的 要 因 と の 関 連
··· ··· 26
2 - 4 - 2 精 神 的 要 因 と の 関 連
··· ··· 27
2 - 4 - 3 社 会 的 要 因 及 び 「 夢 や 希 望 」 と の 関 連
··· 27
2 - 4 - 4 身 体 的 ・ 精 神 的 ・ 社 会 的 要 因 と の 関 連
··· 28
2 - 5 外 出 頻 度 ・ 閉 じ こ も り に 関 す る 縦 断 研 究 と 要 介 護 認 定 度 の 経 年 変 化 ・ 構 造 分 析
··· ··· 29
2 - 6 高 齢 者 の 外 出 ・ 閉 じ こ も り に 関 す る 研 究 の 課 題
··· 30
第 3 節 研 究 と 研 究 方 法
··· ··· 32
3 - 1 研 究 目 的
··· ··· 32
3 - 2 研 究 方 法
··· ··· 33
3 - 2 - 1 調 査 対 象
··· ··· 33
3 - 2 - 2 研 究 概 念 モ デ ル
··· ··· 35
3 - 2 - 3 用 語 の 操 作 的 定 義
··· ··· 36
3 - 2 - 4 研 究 の 方 法
··· ··· 37
3 - 2 - 5 社 会 疫 学 の 活 用 理 由
··· ··· 38
第 4 節 研 究 意 義
··· ··· · 40
第 5 節 本 論 文 の 構 成
··· ··· 41
参 考 文 献
··· ··· ··· 43
第 Ⅱ 章 都 市 郊 外 居 住 高 齢 者 の 外 出 頻 度 の 経 年 変 化 と 累 積 生 存 率 と の 関 連 第 1 節 本 章 の 研 究 目 的
··· ··· 48
第
2
節 研 究 方 法··· ··· · 51
2 - 1 調 査 方 法 と 分 析 対 象
··· ··· 51
2 - 2 調 査 項 目
··· ··· 51
2 - 2 - 1 外 出 頻 度 調 査 項 目
··· ··· 51
2 - 2 - 2 説 明 変 数 の 調 査 項 目
··· ··· 51
2 - 3 倫 理 的 配 慮
··· ··· 52
第
3
節 研 究 結 果··· ··· · 53
3 - 1 分 析 対 象 者
··· ··· 53
3 - 2 各 調 査 項 目 の 基 礎 集 計
··· ··· 54
3 - 3 外 出 頻 度 の
3
年 後 の 経 年 変 化··· ··· 57
3 - 4 3 年 後 の 外 出 頻 度 の 改 善 度
··· ··· 58
3 - 5 3 年 後 の 外 出 頻 度 と 外 出 頻 度 の 維 持 改 善 を 規 定 す る 要 因
···· 59
3 - 6 外 出 頻 度 と そ の 後 の 累 積 生 存 率
··· ··· 63
第
4
節 考 察··· ··· ··· 67
4 - 1 都 市 郊 外 居 住 高 齢 者 の 外 出 頻 度 の 経 年 変 化
··· 67
4 - 2 都 市 部 高 齢 者 の 3 年 後 の 外 出 頻 度 と 外 出 頻 度 を 維 持 さ せ る 要 因
··· ··· 67
4 - 3 都 市 郊 外 居 住 高 齢 者 の 外 出 頻 度 の 累 積 生 存 率
··· 69
4 - 4 研 究 課 題
··· ··· 69
第 5 節 結 論
··· ··· ··· 71
参 考 文 献
··· ··· ··· 72
第 Ⅲ 章 後 期 高 齢 者 に お け る 外 出 能 力 を 規 定 す る 身 体 的 ・ 社 会 的 ・ 精 神 的 健 康 要 因 の 因 果 構 造 分 析 第
1
節 本 章 の 研 究 目 的··· ··· 75
第
2
節 研 究 方 法··· ··· · 77
2 - 1 調 査 方 法 と 分 析 対 象
··· ··· 77
2 - 2 調 査 項 目 と 分 析 方 法
··· ··· 78
2 - 3
倫 理 的 配 慮
··· ··· 79
第
3
節 研 究 結 果··· ··· · 80
3 - 1 対 象 者 の 基 本 属 性
··· ··· 80
3 - 2
外 出 能 力 に 関 す る 項 目 の 経 年 変 化
··· 81
3 - 3 探 索 的 因 子 分 析
··· ··· 83
3 - 4 共 分 散 構 造 分 析 の 解 析 結 果
··· ··· 85
3 - 4 - 1 ) 外 出 能 力 を 規 定 す る 健 康 三 要 素
··· 85
3 - 4 - 2 ) 性 別 に み た 因 果 関 係
··· ··· 88
第 4 節 考 察
··· ··· ··· 90
4 - 1 外 出 能 力 の 経 年 変 化
··· ··· 90
4 - 2 外 出 能 力 と 健 康 三 要 素 の 因 果 関 係
··· 91
第 5 節 研 究 課 題
··· ··· · 92
第 6 節 結 論
··· ··· ··· 92
参 考 文 献
··· ··· ··· 93
第 Ⅳ 章 都 市 郊 外 居 住 高 齢 者 に お け る3
年 後 の 要 介 護 度 経 年 変 化 と 関 連 要 因 及 び 累 積 生 存 率第
1
節 本 章 の 研 究 目 的··· ··· 96
第
2
節 研 究 方 法··· ··· · 98
2 - 1 調 査 方 法 と 分 析 対 象
··· ··· 98
2 - 2 調 査 項 目
··· ··· 99
2 - 3 分 析 方 法
··· ··· 101
第 3 節 調 査 結 果
··· ··· 102
3 - 1 性 別 に み た 各 観 測 変 数 の 実 態
··· ·· 102
3 - 2 要 介 護 認 定 度 の
3
年 後 の 死 亡 状 況 を 含 む 経 年 変 化··· 108
3 - 3
3
年 後 の 生 活 自 立 の 予 知 因 子··· ···· 110
3 - 4 要 介 護 認 定 度 別 に み た 累 積 生 存 率
··· 112
第 4 節 考 察
··· ··· ··· 115
4 - 1 要 介 護 認 定 度 の 実 態 と 経 年 変 化
··· ·· 115
4 - 2 生 活 自 立 を 維 持 す る 予 知 因 子
··· ··· 116
4 - 3 要 介 護 認 定 度 と 累 積 生 存 率
··· ··· 118
4 - 4 研 究 課 題
··· ··· 118
第 5 節 結 論
··· ··· ··· 120
参 考 文 献
··· ··· ··· 121
第 Ⅵ 章 結 論 第 1 節 各 章 の 概 要
··· ··· 124
第
2
節 本 研 究 の 結 論 と 考 察··· ··· 129
第
3
節 本 研 究 に 基 づ く 提 案··· ··· 123
第
4
節 今 後 の 研 究 課 題··· ··· 134 Abstract
資 料 謝 辞
図 目 次
図 Ⅰ ―
1
日 本 の 人 口 の 推 移··· ··· 2
図 Ⅰ ―
2
東 京 圏 の 高 齢 化 の 推 移··· ··· 4
図 Ⅰ ―
3
三 大 都 市 圏 の 高 齢 者 人 口 の 推 移··· ···· 4
図 Ⅰ ―
4
主 要 国 に お け る 人 口 高 齢 化 率 の 長 期 推 移 ・ 将 来 推 計··· 7
図 Ⅰ ―
5
健 康 日 本21
( 第2
次 ) に お け る 高 齢 者 の 目 標 像··· 9
図 Ⅰ ―
6
高 齢 者 の 健 康 状 態 と 医 療 の 国 際 比 較··· 10
図 Ⅰ ―
7
認 知 症 高 齢 者 の 将 来 推 計··· ··· 12
図 Ⅰ ―
8
日 本 の 世 帯 数 の 将 来 推 計··· ··· 12
図 Ⅰ ―
9
介 護 予 防 シ ス テ ム 概 念 図··· ··· 13
図 Ⅰ ―
10
介 護 予 防 事 業 参 加 前··· ··· 16
図 Ⅰ ―
11
介 護 予 防 事 業 参 加6
カ 月 後··· ··· 16
図 Ⅰ ―
12 100
歳 高 齢 者 の 外 出 風 景··· ··· 18
図 Ⅰ ―
13 100
歳 高 齢 者 の 上 肢 の 運 動··· ··· 18
図 Ⅰ ―
14 100
歳 高 齢 者 の 下 肢 の 運 動··· ··· 18
図 Ⅰ ―
15
I C F モ デ ル··· ··· 19
図 Ⅰ ―
16
A 市 景 観··· ··· 33
図 Ⅰ ―
17
B 市 景 観··· ··· 34
図 Ⅰ ―
18
閉 じ こ も り 概 念 モ デ ル··· ··· 35
図 Ⅰ ―
19
高 齢 者 の 外 出 に 関 す る 健 康 寿 命 延 伸 モ デ ルVol.1 ··· 38
図 Ⅰ ―
20
本 論 文 の 全 体 構 成 図··· ··· 42
図 Ⅱ ― 1 外 出 頻 度 別 に 見 た 3 年 間 の 累 積 生 存 率
(
全 数) ··· 64
図 Ⅱ ― 1 外 出 頻 度 別 に 見 た 3 年 間 の 累 積 生 存 率 ( 男 性 )
··· 65
図 Ⅱ ―
2
外 出 頻 度 別 に 見 た 3 年 間 の 累 積 生 存 率 ( 女 性 )··· 66
図 Ⅲ ―
1
3 年 後 の 「 外 出 能 力 」 を 規 定 す る モ デ ル ( 男 性 )··· 86
図 Ⅲ ―
2
3 年 後 の 「 外 出 能 力 」 を 規 定 す る モ デ ル ( 女 性 )··· 87
図 Ⅲ ―
3
3 年 後 の 「 外 出 能 力 」 を 規 定 す る モ デ ル 直 接 効 果 の 性 別 比 較 ( 男 性 )··· ··· 89
図 Ⅲ ―4
3 年 後 の 「 外 出 能 力 」 を 規 定 す る モ デ ル 直 接 効 果 の 性 別 比 較( 女 性 )
··· ··· 89
図 Ⅳ ― 1 介 護 度 別 の 6 年 間 生 存 率 ( 全 数 )
··· 113
図 Ⅳ ―
2
介 護 度 別 の 6 年 間 生 存 率 ( 男 性 )··· 114
図 Ⅳ ―
3
介 護 度 別 の 6 年 間 生 存 率 ( 女 性 )··· 114
図 Ⅴ ―
1 3
年 後 の 「 外 出 能 力 」 を 規 定 す る モ デ ル(
男 性) ··· 126
図 Ⅴ ―
2 3
年 後 の 「 外 出 能 力 」 を 規 定 す る モ デ ル(
女 性) ··· 127
図 Ⅴ ―
3
外 出 能 力 概 念 結 果 モ デ ル ( 男 性 )··· 132
図 Ⅴ ―
4
外 出 能 力 概 念 結 果 モ デ ル ( 女 性 )··· 132
表 目 次
表 Ⅱ ―
1 性 別 、 年 齢 階 級 別 に み た 分 析 対 象 者 ··· 53
表 Ⅱ ―
2 性 別 に み た 基 礎 集 計 ··· ··· 54
表 Ⅱ ―
3 3 年 後 の 外 出 頻 度 と 各 項 目 ( 男 性 ) ··· 55
表 Ⅱ ―
4 3 年 後 の 外 出 頻 度 と 各 項 目 ( 女 性 ) ··· 56
表 Ⅱ ―
5 性 別 に み た 外 出 頻 度 の 3
年 後 の 経 年 変 化··· 57
表 Ⅱ ―
6 3 年 後 の 外 出 頻 度 の 改 善 度 ··· ··· 58
表 Ⅱ ―
7 3 年 後 の 外 出 頻 度 を 規 定 す る 要 因 ··· 61
表 Ⅱ ―
8
3 年 後 の 外 出 頻 度 を 維 持 改 善 す る 要 因··· 62
表 Ⅱ ―
9 性 別 に み た 6 年 後 の 生 存 数 ··· ··· 63
表 Ⅲ ―
1 性 別 に み た 世 帯 構 成 の 経 年 変 化 ··· · 80
表 Ⅲ ―
2 性 別 に み た 外 出 頻 度 の 経 年 変 化 ··· · 81
表 Ⅲ ―
3 外 出 能 力 に 関 す る ス コ ア の 経 年 変 化 ··· 82
表 Ⅲ ―
4 探 索 的 因 子 分 析 ··· ··· 84
表 Ⅲ ―
5
『 精 神 的 健 康 度 』 か ら 『 外 出 能 力 』 へ の 標 準 化 総 合 効 果···· 88
表 Ⅳ ―
1
性 別 年 齢 階 級 別 に 見 た 調 査 対 象 数 ・2001
年 時 点··· 98
表 Ⅳ ―
2
健 康3
要 因 、 社 会 経 済 的 要 因 、 性 別 度 数 分 布··· 103
表 Ⅳ ―
3
年 齢 別 要 介 護 認 定 度 ・2001
年··· · 105
表 Ⅳ ―
4
要 介 護 認 定 度 別 に み た 各 調 査 項 目(
男 性) ··· 106
表 Ⅳ ―
5
要 介 護 認 定 度 別 に み た 各 調 査 項 目(
女 性) ··· 107
表 Ⅳ ―
6 2001
年 度 と2004
年 度 の 介 護 度 の 変 化··· 109
表 Ⅳ ―
7 3
年 後 の 生 活 自 立 の 予 知 因 子··· ···· 111
第Ⅰ章
序 論
1
第 Ⅰ 章 序 論 第 1 節 研 究 背 景
1 - 1 高 齢 化 社 会 の 現 状 と そ の 背 景
1 - 1 - 1 日 本 の 超 高 齢 社 会
日 本 の 人 口 は 20 12( 平 成 2 4 )年 6 月 時 点 で 、1 2, 75 3 万 人 で あ り 、 そ の 内 6 5 歳 以 上 人 口 は 、 2, 92 2 万 2 千 人 ( 男 性 1, 29 8 万 人 、 女 性 1,7 41 万 人 ) で あ り 、 総 人 口 に 対 す る 6 5 歳 以 上 の 高 齢 者 の 占 め る 割 合 で あ る 高 齢 化 率 は 2 3 . 8 % で あ り 、 超 高 齢 社 会 ( 高 齢 化 率 2 1%
以 上 ) で あ る 。 特 に 、 7 5 歳 以 上 の 人 口 は 、 1 ,50 5 万 人 ( 男 性 57 4 万 人 、 女 性 93 2 万 人 ) と な り 、 6 5 歳 以 上 の 人 口 の 4 9. 5 % を 占 め て い る 1 ) 。
ま た 、 日 本 に お け る 将 来 推 計 人 口 は 、 5 0 年 後 の 2 06 2 ( 平 成 72 ) 年 に は 現 在 よ り 減 少 し 、 8 ,67 4 万 人 と な り 、 高 齢 化 率 は 約 4 0 % と な る こ と を 国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 は 推 計 し て い る 。 さ ら に 、 高 齢 化 率 の 推 移 を み る と 、 1 990( 平 成 2 ) 年 に は 1 2.1 % 高 齢 者 1 人 を 6 人 で 支 え る 「 胴 上 げ 型 」 で あ っ た が 、 少 子 高 齢 化 の 急 速 な 進 行 に よ り 、2 010( 平 成 22 )年 に は 2 3. 0 % 1 人 を 3 人 で 支 え る 「 騎 馬 戦 型 」 と な り 、 2 060 ( 平 成 72 ) 年 に は 39. 9 % 1 人 が 1 人 を 支 え る 「 肩 車 型 」 に な る こ と が 予 測 さ れ て い る 。 つ ま り 、 高 齢 化 率 は 、 将 来 に 渡 り 上 昇 し 続 け る こ と が 予 測 さ れ て い る 1 ) 。 今 か ら 約 10 年 前 の 2 00 1 ( 平 成 1 3) 年 12 月 2 8 日 に 、 「 高 齢 社 会 対 策 大 綱 」 が 閣 議 決 定 を さ れ 、 そ の 中 で 大 綱 策 定 の 目 的 を 以 下 の よ う に 述 べ て い る 。
「 我 が 国 の 人 口 構 造 の 高 齢 化 は 急 速 に 進 ん で お り 、 経 済 社 会 の
重 層 的 な 転 換 と あ い ま っ て 国 民 生 活 に 広 範 な 影 響 を 及 ぼ し て い る 。
今 後 、 戦 後 生 ま れ の 人 口 規 模 の 大 き な 世 代 が 高 齢 期 を 迎 え 、 我 が
国 は 本 格 的 な 高 齢 社 会 に 移 行 す る 。 こ う し た 中 で 、 国 民 一 人 ひ と
り が 長 生 き し て 良 か っ た と 誇 り を 持 っ て 実 感 で き る 、 心 の 通 い 合
2
う 連 帯 の 精 神 に 満 ち た 豊 か で 活 力 の あ る 社 会 を 確 立 し て い く た め に は 、 経 済 社 会 の シ ス テ ム が こ れ か ら の 高 齢 社 会 に ふ さ わ し い も の と な る よ う 不 断 に 見 直 し 、 個 人 の 自 立 や 家 庭 の 役 割 を 支 援 し 、 国 民 の 活 力 を 維 持 ・ 増 進 す る と と も に 、 自 助 、 共 助 及 び 公 助 の 適 切 な 組 合 せ に よ り 安 心 で き る く ら し を 確 保 す る な ど 、 経 済 社 会 の 健 全 な 発 展 と 国 民 生 活 の 安 定 向 上 を 図 る 必 要 が あ る 」
こ れ ま で の 我 が 国 の 高 齢 者 を 支 え る シ ス テ ム の 考 え 方 と し て の
「 高 齢 者 = 支 え ら れ る 世 代 」 と い う 認 識 か ら 、 高 齢 者 自 身 が 高 齢 期 に な っ て も 、 活 き 活 き と 社 会 に お い て 活 力 あ る 生 活 を 送 れ る よ う な 社 会 の シ ス テ ム の 構 築 と と も に 、 高 齢 期 に い か に し て 活 力 あ る 生 活 を 送 る こ と が で き る か を 、 高 齢 者 自 身 が 自 覚 し 、 よ り 豊 か に 生 き て い く た め に 重 要 と な る 科 学 的 エ ビ デ ン ス づ く り が 求 め ら れ て い る 。
図 Ⅰ - 1 日 本 の 人 口 の 推 移
出 典
htt p: // www 8. ca o. go. jp /k our ei /w hi tep ap er /w - 20 12 /z enb un /p df/
1s1 s_ 1. pdf 20 12. 12 .6 ア ク セ ス
3
1-1-2 急 速 に 高 齢 化 が 進 む 都 市 部
今 後 、 急 速 に 高 齢 化 が 進 む の は 、 首 都 圏 を は じ め と す る 「 都 市 部 」 で あ る 。 都 市 部 に お い て は 、 高 齢 者 が 大 幅 に 増 加 し 、 高 齢 者 一 人 暮 ら し 世 帯 が 増 大 す る こ と が 予 測 さ れ て い る 。
三 大 都 市 圏 の 高 齢 者 人 口 の 伸 び は 、1 995( 平 成 7 )年 を 基 準 と す る と 、 2 000 年 以 降 は す べ て の 三 大 都 市 圏 で 全 国 平 均 を 上 回 る と 見 込 ま れ て い る 。 こ れ ま で は 三 大 都 市 圏 の 高 齢 化 率 は 全 国 平 均 よ り も 低 か っ た が 、 今 後 は 逆 に 三 大 都 市 圏 で 高 齢 者 人 口 が 急 速 な 勢 い で 増 加 し て い く こ と を 意 味 す る 。 特 に 東 京 圏 は 20 20 年 に は 19 95 年 の 2 . 2 倍 を 超 え 、同 じ 年 の 名 古 屋 圏 、関 西 圏 の 指 数 が 1.8 ~ 2 倍 の 間 に あ る こ と と 比 べ る と 、 い か に 東 京 圏 で 高 齢 者 人 口 の 増 加 が 大 き い か が 分 か る 。 こ れ に 対 し 、 三 大 都 市 圏 以 外 の 地 域 に お け る 高 齢 者 人 口 を 見 る と 、 三 大 都 市 圏 お よ び 全 国 の 伸 び を 下 回 る と 見 込 ま れ て お り 、 今 後 は 高 齢 者 の 数 と い う 点 で は 、 大 都 市 圏 に お け る 増 加 が 著 し い こ と が 一 層 明 確 で あ る ( 図 Ⅰ - 2 ) 。
こ の よ う に 、三 大 都 市 圏 で は 高 齢 化 の 進 展 が 急 速 で あ り 、特 に 、
東 京 圏 ( 東 京 都 、 埼 玉 県 、 千 葉 県 、 神 奈 川 県 ) で は 、 従 来 、 高 齢
化 率 は 全 国 平 均 よ り 低 か っ た が 、 今 後 は 全 国 平 均 と の 格 差 が 縮 小
し て い く こ と が 予 想 さ れ て い る 。 例 え ば 、 東 京 都 の 高 齢 化 率 を 見
る と 、 1 995 年 に は 1 3.0 % と 全 国 の 高 齢 化 率 を 1. 5 % 下 回 っ て い る
が 、20 10( 平 成 2 2 )年 に は 22 .8 % と な り 、全 国 の 高 齢 化 率 を 0 .8 %
上 回 り 、 20 25 年 に は 1 .7 % 上 回 る 。 東 京 圏 の 東 京 都 以 外 の 県 で は
全 国 平 均 を 上 回 る こ と は な い が 、 高 齢 化 率 の 全 国 平 均 と の 差 は 縮
小 す る 傾 向 が 見 ら れ る ( 図 Ⅰ - 3 ) 。
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図 Ⅰ - 2 東 京 圏 の 高 齢 化 の 推 移
htt p: // www ha ku sy o.m hl w. go. jp /w pd ocs /h pa z20 00 01 /b 000 4. ht ml 201 2. 12 .6 ア ク セ ス
図 Ⅰ - 3 三 大 都 市 圏 の 高 齢 者 人 口 の 推 移
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201 2. 12 .6 ア ク セ ス
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1 - 1 - 3 後 期 高 齢 者 の 増 加 と 医 療 ・ 介 護
今 後 の 人 口 の 高 齢 化 と 、 都 市 部 の 高 齢 化 率 を 考 え て 行 く う え で 、 更 に 課 題 と な っ て い る の が 、 7 5 歳 以 上 の 後 期 高 齢 者 で あ る 。 1 947
~ 1 94 9 年 に 生 ま れ た 団 塊 の 世 代 が 、 2 024( 平 成 3 6 ) 年 に は 後 期 高 齢 者 の 仲 間 入 り を す る た め 、2 00 5 年 11 6 万 人 だ っ た 後 期 高 齢 者 は 、、
203 0 年 に 2 2 7 万 人 に ほ ぼ 倍 増 す る 。
老 年 医 学 で は 、6 5 歳 以 上 を 高 齢 者 と 定 義 し 、そ の 中 で 75 歳 以 上 を 後 期 高 齢 者 、8 5 歳 以 上 又 は 9 0 歳 以 上 か ら 超 高 齢 者 と す る 、と い う の が 現 在 の 考 え 方 で あ り 、ま た 、世 界 的 な コ ン セ ン サ ス で あ る 。
後 期 高 齢 者 に つ い て は 、 前 期 高 齢 者 と 異 な り 、 次 の よ う な 特 徴 が あ る 。 後 期 高 齢 者 は 、 多 病 で あ り 、 ま た 、 後 期 高 齢 者 に 特 徴 的 に 著 増 す る 症 候 が 見 ら れ る 。 こ の た め 、 単 に 一 つ の 疾 病 だ け を 診 て 治 療 す る と い う の で は な く 、 そ の 機 能 を 総 合 的 に 評 価 し 、 そ れ が 衰 え な い よ う に す る と い う 視 点 に 立 つ 必 要 が あ る 。 こ う し た 総 合 的 機 能 評 価 に よ っ て 、 症 候 を 全 人 的 に 捉 え て 対 処 す る こ と が 、 高 齢 化 が 進 み 、 特 に 後 期 高 齢 者 が 増 加 す る 我 が 国 に お い て は 、 後 期 高 齢 者 の Q u ali t y O f L i fe ( Q OL ) を 維 持 し 、 高 め て い く 上 で 極 め て 重 要 で あ る こ と は 間 違 い な い 。
ま た 、 2 008 ( 平 成 20 ) 年 度 か ら 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 が 創 設 さ れ る こ と に 伴 い 、 そ の 前 年 で あ る 20 07( 平 成 19 ) 年 に 、 国 の 社 会 保 障 審 議 会 に お い て 、 「 後 期 高 齢 者 医 療 の 在 り 方 に 関 す る 基 本 的 考 え 方 」 ( 平 成 1 9 年 4 月 11 日 ) と し て 、 以 下 の 4 点 が 述 べ ら れ て い る 。 ① 複 数 の 疾 患 を 併 有 し て お り 、 併 せ て 心 の ケ ア も 必 要 と な っ て い る 。 ② 慢 性 的 な 疾 患 の た め に 、 そ の 人 の 生 活 に 合 わ せ た 療 養 を 考 え る 必 要 が あ る 。 ③ 複 数 医 療 機 関 を 頻 回 受 診 す る 傾 向 が あ り 、 検 査 や 投 薬 が 多 数 ・ 重 複 と な る 傾 向 が あ る 。 ④ 地 域 に お け る 療 養 を 行 え る よ う 、 弱 体 化 し て い る 家 族 及 び 地 域 の 介 護 力 を サ ポ ー ト し て い く 必 要 が あ る
さ ら に 、 国 土 交 通 省 の 首 都 圏 整 備 に 関 す る 年 次 報 告 書 ( 平 成 24
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年 6 月 ) は 、「 首 都 圏 の 8 5 歳 以 上 単 身 世 帯 数 は 市 町 村 単 位 で 平 成 4 2 年 ま で 推 計 し て み る と 、 神 奈 川 県 東 部 、 千 葉 県 西 部 、 埼 玉 県 南 部 の 市 町 村 に お い て 急 増 し 、そ の 一 部 で は 、平 成 1 7 年 の 6 倍 以 上 に な る と い う 結 果 と な る 。 」 と 述 べ て い る 。 高 度 経 済 成 長 期 に ニ ュ ー タ ウ ン 等 に 一 定 の 年 齢 層 が 大 量 に 転 入 し た 地 域 に お い て 、 一 斉 に 高 齢 化 し 、 今 後 特 に 8 5 歳 以 上 単 独 世 帯 数 が 急 増 す る こ と は 、 生 活 支 援 と し て の 保 健 医 療 福 祉 サ ー ビ ス の 整 備 が 追 い つ か な い こ と や 、 空 き 家 ・ 空 き 宅 地 化 等 の 住 宅 問 題 の 発 生 も 予 測 さ れ 、 家 族 や 若 い 世 代 が 高 齢 者 を 支 え る と い う 従 来 の 仕 組 み は 機 能 せ ず 、 高 齢 者 の 暮 ら し を い か に 支 え て い く か が 課 題 と な る 。
こ の よ う に 、 日 本 に お け る 後 期 高 齢 者 に 対 す る 支 援 は 、 歴 史 的 に 体 験 し た こ と の な い 社 会 情 勢 を 踏 ま え 、 新 た な 高 齢 者 支 援 の 方 策 が 求 め ら れ る 状 況 に あ る 。
1 - 1 - 4 世 界 の 高 齢 化 の 実 態 と 将 来 推 計
世 界 の 先 進 諸 外 国 に お け る 高 齢 化 と 日 本 を 比 較 す る と 、 日 本 は 急 速 に 世 界 に 類 を み な い 高 齢 化 社 会 と な っ て い る 。 高 齢 化 率 7 % を 超 え る 「 高 齢 化 社 会 」 か ら 、 そ の 倍 の 1 4 % 「 高 齢 社 会 」 と な る ま で に 有 し た 期 間 を み る と 、フ ラ ン ス 11 5 年 、ス ウ ェ ー デ ン 8 5 年 で あ り 、 比 較 的 短 い ド イ ツ が 4 0 年 、 イ ギ リ ス が 4 7 年 で あ る 。 こ れ に 対 し て 、 日 本 は 、 1 97 0 ( 昭 和 4 5 ) 年 に 7 % に 達 し 、 1 4 % に 達 し た の が 2 4 年 後 の 199 4( 平 成 6 )年 で あ り 世 界 で も ま れ に み る 急 速 な 高 齢 化 と な っ て い る 。 20 10 ( 平 成 2 2 ) 年 に は 23 % と と な り 、 高 齢 化 率 21 % 以 上 の 「 超 高 齢 社 会 」 を 迎 え た 。 国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 は 、2 050 年 に は 高 齢 化 率 3 5 % に な る と 推 計 し て い る 。
ア ジ ア に お い て は 、 韓 国 が 20 05 年 高 齢 化 率 9. 3 % で あ っ た が 、
1 5 年 後 の 2 020 年 に は 15 % と 日 本 を 上 回 る 勢 い で 急 速 な 高 齢 化 が
進 行 し 、 2 06 0 年 に は 33. 6 % に な る と 見 込 ま れ て い る 。 さ ら に 、 中
国 に お い て も 、2 00 0 年 に 高 齢 化 社 会 に 突 入 し 、日 本 と 同 様 に 約 3 0
7
年 を か け て 20 30 年 に は 高 齢 社 会 に な る と 推 測 さ れ て い る( 図 Ⅰ -4)。
す な わ ち 、 こ の よ う に 日 本 に お け る 高 齢 社 会 の 問 題 は 、 世 界 の ど の 国 も 体 験 し た こ と の な い 社 会 問 題 と な っ て お り 、 明 白 な 課 題 で あ る 。
図 Ⅰ - 4 主 要 国 に お け る 人 口 高 齢 化 率 の 長 期 推 移 ・ 将 来 推 計 htt p: // www 2. tt cn .ne .j p/ hon ka wa /1 157 .h tm l
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1 - 2 高 齢 者 の 健 康 づ く り
1 - 2 - 1 健 康 日 本 2 1 ( 第 2 次 )
201 2 ( 平 成 24 ) 年 7 月 に 厚 生 労 働 省 よ り 発 表 さ れ た 「 二 十 一 世 紀 に お け る 第 二 次 国 民 健 康 づ く り 運 動( 健 康 日 本 21( 第 2 次 ))」
で は 、 ① 国 民 の 健 康 増 進 の 推 進 に 関 す る 基 本 的 な 方 向 、 ② 健 康 増 進 の 目 標 に 関 す る 事 項 、 ③ 都 道 府 県 市 町 村 の 健 康 増 進 計 画 策 定 に 関 す る 基 本 的 事 項 等 が 提 示 さ れ た 。
理 念 型 目 標 を 「 す べ て の 国 民 が 共 に 支 え 合 い 、 健 康 で 幸 せ に 暮 ら せ る 社 会 」 を 1 0 年 後 に 目 指 す 姿 と し て 掲 げ て い る 。 そ の 中 で 、 高 齢 者 に つ い て は 「 高 齢 者 が 生 き が い を も て る 社 会 ・ 疾 患 や 介 護 を 有 す る 方 も 、 そ れ ぞ れ に 満 足 で き る 人 生 を 送 る こ と の で き る 社 会 」 と 示 さ れ て い る
ま た 、 基 本 的 な 方 向 と し て 、 ① 健 康 寿 命 の 延 伸 と 健 康 格 差 の 縮
小 、 ② 主 要 な 生 活 習 慣 病 の 発 症 予 防 と 重 症 化 予 防 、 ③ 社 会 生 活 を
営 む た め に 必 要 な 機 能 の 維 持 及 び 向 上 、 ④ 健 康 を 支 え 、 守 る た め
の 社 会 環 境 の 整 備 、 ⑤ 栄 養 ・ 食 生 活 、 身 体 活 動 ・ 運 動 、 休 養 、 飲
酒 、 喫 煙 及 び 歯 ・ 口 腔 の 健 康 に 関 す る 生 活 習 慣 及 び 社 会 環 境 の 改
善 の 5 つ を 示 し 、 そ の 対 策 の 最 終 目 標 と し て 「 健 康 寿 命 の 延 伸 」
を 実 現 す る も の で あ る 。 高 齢 者 に つ い て は 、 健 康 寿 命 の 更 な る 延
伸 、 生 活 の 質 の 向 上 、 健 康 格 差 の 縮 小 、 さ ら に 社 会 参 加 や 社 会 貢
献 が 重 要 な 課 題 と な っ て い る ( 図 Ⅰ ― 5 ) 。
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図 Ⅰ - 5 健 康 日 本 2 1 ( 第 2 次 ) に お け る 高 齢 者 の 目 標 像
出 典:厚 生 科 学 審 議 会 地 域 保 健 健 康 増 進 栄 養 部 会 次 期 国 民 健 康 づ く り 運 動 プ ラ ン 策 定 専 門 委 員 会 . 健 康 日 本 2 1 ( 第 2 次 ) の 推 進 に 関 す る 参 考 資 料 平 成 2 4 年 7 月 . P 7 5
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1 - 2 - 2 主 観 的 健 康 感 ・ 受 療 実 態 に お け る 世 界 と の 比 較
健 康 に つ い て の 日 本 の 高 齢 者 の 意 識 と 医 療 を 受 け て い る 状 況 を 韓 国 、ア メ リ カ 、ド イ ツ 及 び ス ウ ェ ー デ ン の 4 カ 国 と 比 較 し た 2 01 0 年 実 施 の 内 閣 府 「 高 齢 者 の 生 活 と 意 識 に 関 す る 国 際 比 較 調 査 」 に よ る と 、 6 0 歳 以 上 で 「 健 康 で あ る 」 と 感 じ て い る 人 の 割 合 は 、 日 本 は 6 5. 4 % で 、ス ウ ェ ー デ ン 6 8.5 % に 次 い で 高 い 結 果 を 示 し て い る ( 図 Ⅰ - 6 ) 。 し か し 、 月 に 1 回 以 上 医 療 サ ー ビ ス を 受 け て い る 人 の 割 合 が 、 61 .6 % と 、 韓 国 5 9.2 % と ほ ぼ 同 様 で あ っ た 。
世 界 と 比 較 し た 日 本 の 高 齢 者 の 特 徴 と し て 、 主 観 的 健 康 感 は 高 い も の の 、 医 療 の 受 療 状 況 も 高 い こ と が 示 さ れ て い た 。
さ ら に 、我 が 国 の 201 1( 平 成 2 2 年 )年 度 に お け る 、医 療 費 の 総 額 も 3 8 兆 円 を 超 え て い る こ と か ら 2 ) 、健 康 寿 命 の 延 伸 の た め に は 、 自 立 し た 高 齢 期 を 過 ご す こ と は 、要 介 護 状 態 を 防 ぐ こ と と と も に 、 重 要 な 政 策 課 題 と な っ て い る 。
図 Ⅰ - 6 高 齢 者 の 健 康 状 態 と 医 療 の 国 際 比 較
htt p: // www 2. tt cn .ne .j p/ hon ka wa /1 840 .h tm l 20 12 .1 2. 6 ア ク セ ス
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1 - 3 介 護 保 険 制 度 に お け る 介 護 予 防
1 - 3 - 1 介 護 保 険 制 度 と 要 介 護 者 の 推 移
日 本 は , 高 齢 者 の 介 護 を 社 会 全 体 で 支 え る 仕 組 み と し て 、 2 000 年 に 介 護 保 険 制 度 を 創 設 し 、 介 護 サ ー ビ ス は 全 国 各 地 で 定 着 し 10 年 以 上 が 経 過 し た 。 介 護 サ ー ビ ス 利 用 者 は 、 ス タ ー ト 時 の 2 倍 を 超 え 、 高 齢 期 の 暮 ら し を 支 え る 社 会 保 障 制 度 の 中 核 と し て 確 実 に 機 能 し て い る 1 ) 。
厚 生 労 働 省 介 護 保 険 事 業 状 況 報 告 3 ) に よ る と 、 高 齢 者 の 要 介 護 認 定 者 総 数 は 、 20 00 ( 平 成 1 2 ) 年 度 末 に は 2, 47 0, 982 人 で あ り , 全 高 齢 者 に 対 し て 11. 2% で あ っ た も の の ,11 年 後 の 2 01 1( 平 成 2 3 ) 年 6 月 末 で は 4, 9 70, 632 人 に な り 、 要 介 護 認 定 者 の 割 合 は 17 .0 % に ま で 増 加 し て い る 。
ま た 、 国 全 体 で み た 介 護 保 険 総 費 用 は 、 2 000 年 度 は 3 .6 兆 円 で あ っ た が 、年 々 増 加 し 2 00 8 年 度 は 6 .7 兆 円 、20 11 年 度 は 8. 3 兆 円 を 超 え 、 6 5 歳 以 上 が 支 払 う 全 国 平 均 標 準 介 護 保 険 料 も 、20 0 0 年 度 2,9 11 円 だ が 、 20 0 9 年 度 は 4, 160 円 と 増 加 し て い る 。 さ ら に 、 要 介 護 度 別 認 定 者 数 の 20 0 0 年 度 か ら 2 00 9 年 度 ま で の 1 0 年 間 の 推 移 を み る と 要 介 護 5 が 7 8% 増 、 要 介 護 4 が 74 % 増 、 要 介 護 3 が 13 3%
増 、要 介 護 2 が 10 9 % 増 で あ り 、要 介 護 1 お よ び 要 支 援 が 140 % 増 で あ る 。
加 え て 、 認 知 症 高 齢 者 は 、 20 02 ( 平 成 1 4) 年 約 1 50 万 人 で あ っ た が 、 2 01 2( 平 成 2 4 ) 年 推 計 3 0 5 万 人 、 202 0 年 に は 4 1 0 万 人 と 推 測 さ れ て お り 、 認 知 症 自 立 度 Ⅲ 日 常 生 活 に 支 障 を 来 す よ う な 症 状 ・ 行 動 や 意 思 疎 通 の 困 難 さ が 時 々 み ら れ 介 護 を 必 要 と す る 割 合 も 203 5 年 に は 2 0 0 万 人 を 超 す と 厚 生 労 働 省 は 予 測 し て い る 。
ま た 、 高 齢 者 世 帯 の 将 来 推 計 ( 図 Ⅰ - 8 ) で は 、 世 帯 主 が 6 5 歳
以 上 で あ る 高 齢 者 の 世 帯 数 が 20 10 年 は 1, 54 1 万 世 帯 で あ る が 、
202 5 年 に は 約 1 84 0 万 世 帯 に 増 加 す る こ と が 推 測 さ れ て い る 。さ ら
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に 、 高 齢 者 世 帯 の 約 7 割 を 一 人 暮 ら し ・ 高 齢 夫 婦 の み 世 帯 が 占 め る と さ れ 、 特 に 、 高 齢 一 人 暮 ら し 世 帯 は 約 6 80 万 世 帯 37 % に 達 す る と 見 込 ま れ て い る 。
つ ま り 、 介 護 保 険 給 付 費 の 予 想 外 の 増 加 や 、 認 知 症 高 齢 者 の 増 加 、 一 人 暮 ら し 高 齢 者 の 増 加 ( 図 Ⅰ ‐ 7 , 8 ) と い っ た 課 題 に 対 応 す べ く 、2 006( 平 成 1 8 )年 よ り 介 護 保 険 制 度 の 見 直 し が 図 ら れ 、 200 8 年 に 介 護 保 険 制 度 を 改 正 し 、 第 4 期 の 介 護 保 険 制 度 に 「 予 防 重 視 型 シ ス テ ム 」 が 導 入 さ れ た 。 こ れ が 、 予 防 重 視 型 シ ス テ ム へ の 転 換 と な っ た 。
認 知 症 自 立 度 Ⅱ : ( 単 位 : 万 人 ) 日 常 生 活 に 支 障 を 来 す よ う な 症 状 ・ 行 動 や 意 思 疎 通 の 困 難 さ が 多 少 み ら れ て も 、 誰 か が 注 意 し て い れ ば 自 立 で き る 。