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非援助動機の構造とそれに基づく非援助行動の特徴 づけ

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(1)

非援助動機の構造とそれに基づく非援助行動の特徴 づけ

その他のタイトル The structure of motives for non‑helping

著者 高木 修

雑誌名 関西大学社会学部紀要

19

1

ページ 27‑49

発行年 1987‑11‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00022688

(2)

関西大学「社会学部紀要」第19巻第1 1987, pp. 2749  ISSN 02876817 

非援助動機の構造とそれに基づく非援助行動の特徴づけ

The structure of motives for non‑helping 

Osamu Takagi 

Abstract 

The  object  of  the  present  research  is  to  focus  on  the  conditions  which  restrain people from  helping,  the structure of motives  for  non‑helping,  and  the  characteristics  of  non‑helping  according  to  those  motives. 

Subjects  were  asked  to  rate  the  extent  to  which  each  of  26  main  non‑

helping motives  is  thought  to  restrain the occurrence of  12  typical  helping  behaviors.  Factor  analysis  of  the  rating  data  showed  5 fundamental  non‑

helping  motives: the denial of responsibility  through the  rational judgement  of  situations,  unpleasant  experiences  of  helping  or  being  helped,  undesirable  characteristics  of  potential  helper  or  helpee,  the  possibility  of  diffusion  of  responsibility,  and the  inability of  helping. 

It  was  determined  which non~helping motives  control(s)  the  different  helping  behaviors.  By means・of  cluster  analysis,  various  patterns  of  non‑

helping were  found. 

Key words: motive for nonhelping, prosocial behavior, helping behavior,  taxonomy, behavioral pattern 

抄 録

この研究の目的は,援助行動を抑制する要因に焦点を絞り.人が援助しない動機の構造を解明 し,次に,その非援助動機に基づいて,種々の行動の非生起の特徴を明らかにすることである。

12種類の代表的な援助行動について,大学生より収集して整理された26種の非援助動機の各々 がその非生起の理由になりうる程度を被験者に評定させ,その結果を因子分析することによっ , 5種類の基本的な非援助動機型を得た。すなわち,合理的状況判断に基づく責任の拒否,援 助もしくは被援助の好ましくない経験,援助者もしくは被援助者の好ましくない人格特徴,責任 の分散可能性,援助能力の欠如,である。

次に.これらの5種類の非援助動機型によって, 7種類の順社会的行動群の非生起の特徴を明 らかにした。更に,非援助動機型の組合せによる非援助の型が,クラスター分析によって明らか にされた。

キーワード:非援助動機,順社会的行動,援助行動,分類(学),行動型

‑ 27  ‑

(3)

関西大学「社会学部紀要」第19巻第1

非援助動機の構造とそれに基づく非援助行動の特徴づけ

問 題

援助,救助,寄付,分与等の行動に代表される順社会的行動(prosocialbehavior)の研究は,

この種の行動の生起に影響する人的及び状況的要因をかなり明らかにしてきた。例えば,前者の 人的要因としては, ①年齢 (Green & Schneider,  1974),  ③社会階層 (DePalma, 1974), 

⑧性別と人種 (Wispe& Freshley, 1971),  ④都会か田舎か (Weiner, 1976),  ⑥個人的規範 (Schwartz, 1977), ⑥共感 (Aronfreed,1970), ⑦自己像 (Trimakas& Nicolay, 1974), ⑧  価値観 (Staub,1974),  ⑨公正に関する信念(Lerner,1975),  ⑩自己関心 (Liebhart,1972), 

⑪イデオロギー的親和性 (Ehlert, et al.,  1973),  ⑫政治的指向性 (Gaertner,1973),  ⑬自己 標識 (Kraut,1973), ⑭自尊心 (Rudestam et  al.,  1971), ⑮統制位置 (Lerner & Reavy,  1975), などがあり,他方,後者の状況的要因としては,①他者存在 (Latane& Darley, 1968,  1970), ②状況の曖昧性 (Clark& Word, 1974),  ⑧有能感覚 (Bickman,1971),  ④援助出費 (Piliavin& Piliavin, 1972),  ⑥犠牲者の苦悩の程度 (Shotland& Huston, 1979),  ⑥犠 牲者の依存の程度 (Harris& Meyer,  1973),  ⑦援助要請のスクイル (Langer& Abelson,  1972), ⑧状況に含まれる恐怖の程度 (Harris& Meyer, 1973), ⑨犠牲者の身体的魅力(Mims, et  al.,  1975), ⑩被援助者の人種 (Gaertner & Bickman,  1971),  ⑪被援助者の言語と服装 (Harris & Baudin, 1973), ⑫状況内の騒音(Mathews& Canon, 1975), ⑬居住密度(Bick man et al.,  1973),  ⑭環境内の刺激過負荷の程度 (Sherrod & Downs,  1974),  ⑮環境の心 地良さ (Amato, 1981a,  1981b), ⑯被援助者の親しみやすさ (Pearce, 1980),  ⑰周囲の気温 (Schneider, et al.,  1980), ⑱潜在的援助者の一時的感情状態 (Isen& Levin, 1972),  などが ある。

順社会的行動の研究者は,彼らの研究関心や理論的に重要だとの判断を基に,恣意的にいくつ かの要因を研究のために特に選び,それらを組み合わせて研究場面を設定し,その行動の生起の メカニズムを解明しようとしてきた。しかしながら,残念なことに,行動生起に当たってのそれ らの要因の間の関連構造が十分に明らかにされていないために,そのような研究の知見は個々バ ラバラとなり,それらを比較し,より包括的な理論を構築することは,極めて困難である。

順社会的行動の生起を規定する要因,特に行動動機それ自身に焦点を当ててなされた研究は数 少ない。それらの研究においては,概して2つの接近法が採られている。ひとつは,研究者が理 念的に仮説した動機およびその構造を基にして,具体的な順社会的行動を理解しようとする演繹 的接近法である。例えば, EisenbergBerg& Neal (1979) 4歳児に自分達の順社会的行 動の生起理由を推定させ,得られた理由を整理して以下のような11種類の動機カテゴリーを決定

している。

‑ 28  ‑

(4)

非援助動機の構造とそれに基づく非援助行動の特徴づけ(高木)

①  権威・罰:権威者の要請に応じるため,あるいは,彼らの罰を避けるため 快楽主義:自分の利得のため

③  相互利得:自分と相手の双方の利得のため

④  感情的つながり:自分と相手との関係の形成・維持のため

⑥  承認・相互作用:社会的承認を得るため,あるいは,相互作用を促進するため

⑥  紋切り型の善悪観念:善悪についてのお決まりの考えから

⑦  大多数の人々の行動,あるいは,当然の行動:誰もがそうするから,あるいは,当然の行 動だと思うから

⑧  他者の要求:他者の生理的,心理的要求があるため

⑨  実用主義:実際的,道徳に関係のない理由のため

⑩  願望:自分自身の希望のため

⑪  その他

EisenbergBergらは,これらのカテゴリーを基に子供達の順社会的行動を研究し,例えば,

子供達が自分達の頃社会的行動の生起理由を, 「他者の要求」や「実用主義」によって最もしば しば説明することを発見している。

もう一つの接近法は,順社会的行動の動機に関する資料を客観的に分析し,経験的に析出され た動機およびその間の関連構造を基にして,具体的な順社会的行動を理解しようとする帰納的接 近法である。例えば,高木 (1983)は,高木 (1982)が明らかにした7種 類 の 順 社 会 的 行 動 群

(クラスター)から12種類の典型的な行動を選定し,それらの行動の生起理由を大学生達に想起 させ,想起された理由を整理して,表1の動機欄に示された25種類の代表的な動機にまとめてい る。高木は,次に,これらの25種類の動機が12種類の典型的な順社会的行動のそれぞれにおい て,どの程度その生起理由になると思うかを, 「非常になる」 (5点)から「全くならない」 (1 点)までの5段階で評定することを,別の大学生達に求めた。高木は,更に,その評定値を基に 動機間の25X25の相関行列を得て,それに因子分析法(主成分分析・バリマックス回転)を適用

し,以下のような名称と特徴を持つ6種類の基本的な援助動機型を析出している(表1)

①  合理的な状況判断に基づく責任の受容:援助は明らかに必要であり,それを行うだけの能 力や資格が自分にはあると思う。また,人はお互いに助け合わねばならず, しかるに,援助 の責任が自分にあると思う。このような理由から,人は援助するのである。

②  責任の分散不可能性:気の毒な人がいるのに,誰一人としてその人を助けようとしない。

あるいは,自分以外に誰もそこにはいない。しかも,自分はその人の近くにいる。このよう な理由から,人は援助するのである。

③  好ましい,援助または被援助経験:今までに援助されたことがあり,自分も何かよいこと がしたかった。あるいは,今までに援助したことがあり,それでよい気分になったことがあ る。そのような理由から,人は援助するのである。

‑ 29 ‑

(5)

1順社会的行動の援助動機型(回転後因子負荷行列)

30 援機番助号型動援機号助の動援助動機型

I  I  I  I  I  I 

II Ill VI  援助の能力や資格が自分にあると思ったから. 733 185 136 140 029 003 611  互いに助け合わねばならない思ったから. 728 306 158 . 018 ‑.168 . 013 677  23 援助の義務が自分にあると思ったから. 703 . 217 220 ‑.118 111 ‑. 033 . 617  12 援助が必要だと思ったので. 625 . 408 096 078 ‑. 072 . 080 . 584  18 誰一人として援助しようとしなかったから173 . 746 114 057 058 065 . 610  20 Yの近くにいたので. 085 690 045 112 . 041 . 085 506  自分以外に誰もそこにいなかったので187 654 022 001 . 041 272 . 539  19 Yが気の毒に思えたので310 629 217 111 ‑. 074 030 . 558  24 今まで援助されたことがあったので.186 058 . 776 ‑. 041 024 225 . 693  22 援助に成功して良い気持になったことがあったので.102 .166 . 766 237 .187 . 025 . 717  25 何か良いことをしてみたかったから085 085 . 606 . 465 030 ‑. 056 601  今までに援助したことがあったから. 403 093 . 540 239 . 042 056 . 524  そのとき気分が良かったので‑. 046 . 076 137 .746 . 083 . 029 . 591  15 Xが思いやりのある愛他的な人だから222 097 .110 .683 ‑. 008 157 . 562  13 Yが好ましい特徴を持っていたから‑.120 074 .011 . 637 102 . 431 . 622  援助出費が小さかったから. 087 ‑.054 .171 . 505 .363 058 . 430  17 援助しないためにこうむる出費が大きかったので. 055 .056 ‑.044 . 059 .827 .132 . 712  21 報酬や返礼が期待できたから‑.110 ‑.015 .294 . 028 . 701 .105 .603  16 他者の目が気になったので‑.102 . 259 .133 . 241 . 611 .039 . 528  14 援助要請の原因が自分にあり,援助の責任を感じたから.424 ‑.042 ‑.246 .074 .502 . 276 . 576  Yが自分の知っている人だったから.011 .040 .161 .113 .114 . 817 .712  11 Yが自分の好きな人だったから‑.074 . 037 .110 . 278 .154 . 779 .727  直接援助を要請されたので.120 . 325 ‑.025 . 005 . 062 .507 .381 

, 

他の人が援助していたので.193 . 273 . 308 . 026 .190 . 260 . 311  10 無意識に.230 .382 . 020 ‑.041 .176 ‑.096 . 241  EIGENVALUE 5.782 2.920 1. 804 1. 491 1. 144 1.102 14.241  PCT OF VAR 23.1 11.1 7.2 6.0 4.6 4.4 57.0  翌囲汁将『芹鼎柿蛍裕淵」渡19~ffi

(6)

非援助動機の構造とそれに基づく非援助行動の特徴づけ(高木)

④  援助者もしくは被援助者の好ましい人格特徴および援助者の良き感情状態:援助を必要と している人が好ましい人格特徴を持っている。あるいは,潜在的援助者が,愛他的な人であ ったり,よい気分の状態にある。そのような理由から.人は援助するのである。

⑥  非援助出費や援助報酬の予想:援助を求めるようになったそもそもの原因が自分にある。

そして,他者が自分の援助に注目しており,援助しないと何らかの出費が予想される。ある いは,自分が援助すれば,何らかの報酬や返礼が期待できる。そのような理由から,人は援 助するのである。

⑥  援助者と被援助者の間の近い関係:援助要請とその応諾によって援助者と被援助者の間に 関係が出来上がる。あるいは,両者が既に友人や知人の関係にある。そのような理由から,

人は援助するのである。

高木は,これらの援助動機を基に,行動生起のメカニズムの解明と,動機の側面からの順社会 的行動の類型化を行っている。

ところで,従来の動機研究の焦点は,以上の諸研究ように,専ら,援助行動を促進し,援助行 動が起こり易くなる条件を明らかにすることに向けられていたが,行動の起こらない原因や行動 しない動機を研究したものは非常に少ない。援助の必要性を認識し,援助の責任性を自覚しなが ら,なかなか援助できないでいる人の多いことを考えれば,援助動機と同様に,援助しない動機 や原因を究明することも,同程度に必要であろう。

中村 (1984)は,以前の援助行動研究が目を向けた抑制条件を整理して,以下のものを挙げて いる。

①  援助行動がもたらす具象的損失:例えば,身体的危険,金銭,時間,労力,社会的迷惑な

②  援助的行為の不必要性や不当性:生起している事件が援助を必要としないとの判断や,援 助を求めている相手が援助に値しないとの判断

⑧  他者共存による社会的衝撃の分散:援動行動を担当する責任の分散や,非援助に対する社 会からの批判の分散

④  刺激入力過多への対応:大都会生活者は,刺激入力過多への対応策として,極力不用な入 力を無視する。

⑥  パーソナリティ,特に自己機能のもたらす抑制効果:援助能力についての自己像,非援助 的自己の一貫性,自覚状態の高揚,没個性化など

以上の諸条件が援助行動の生起を抑制していることは,種々の研究によって実証されているが,

それらの大部分の研究においても,援助の促進条件の研究と同様に, 1,  2の条件が組み合わさ れて検討されているだけである。抑制条件間の関連構造を明らかにしようとした研究は,非常に 少ない (Moore,1979)

Moore (1979)は,援助行動の動機研究の場合と同様に,帰納的接近法によって,非援助行動

‑ 31  ‑

(7)

関西大学『社会学部紀要」第19巻第1

の動機の構造を解明している。 Mooreは,非援助状況に焦点を当て, 自由記述法によって非援 助動機を収集し,それらの整理の後,選定された代表的な非援助動機の間の距離(非類似度)を 被験者に選定させ,その評定値を基にクラスター分析を行い,以下のような特徴を持つ7種類の 非援助動機群(クラスクー)を得ている。

①  無関心:自分は「怠惰な性格であり」,色々面倒な援助などには「関わりになりたくない」。

そのような理由から,人は援助しない。

同情の欠如や利己主義:自分は「利己的な人間であり」,「他者のことが心配でない」。そ のような理由から,人は援助しない。

⑧  相手に対する否定的感情:自分は「犠牲者が嫌いであり」, 「犠牲者に腹を立てている」。

そのような理由から,人は援助しない。

④  非認知:自分には「犠牲者が見えない」。この理由から,人は援助しない。

⑥  状況の軽視:自分は「犠牲者が援助を必要としていると思わない」。 この理由から, 人は 援助しない。

⑥  抑制的な人格特徴や対人関係:自分は「内気である」。あるいは「犠牲者を知らない」。そ のような理由から,人は援助しない。

⑦  時間的切迫:自分は「時間に遅れており」,「急いでいる」。そのような理由から, 人は援 助しない。

本研究は,非援助の原因解明が重要であるとの認識から,高木 (1983)の援助動機の研究と対 応させながら, Moore(1979)と同様に,非援助行動に焦点を当て,帰納的接近法によって,基 本的な非援助動機型を解明することを第1の目的にする。第2の目的は,高木 (1983)と同じ く,非援助動機によって,種々の非援助行動の特徴を明らかにすることである。そして,第3 目的は,非援助動機型から,非援助行動の起こる型を究明することである。

方 法

k私立大学の男女学部生を対象者にして,以下の調査とその分析を行った。

1.  非援助動機の収集とその整理

高木 (1982)が明らかにした7種類の順社会的行動群(クラスター)を代表する12種類の行動

2)を選定し,それらをランダムに配列して,それぞれについて,その非生起の原因となり うるものを出来るだけ多数想起することを, 36名の男女学部生に求めた。例えば,老人の大きな 荷物を持ってあげる場合,

「Xは,老人 (Y) が重そうな荷物を持っているのを見ても,その荷物を持ってあげようと しませんでした。なぜ Xは,荷物を持ってあげて,老人 (Y) を助けようとしなかったので しょうか。その理由を,思いつくだけ自由に記して下さい。』

と求めた。このようにして12種類の行動の非生起の理由を収集し,それらを内容分析して,一般

‑ 32 ‑

(8)

非援助動機の構造とそれに基づく非援助行動の特徴づけ (j¥Jj

2 研究で用いた順社会的行動と想起されたその非生起理由(非援助動機)の数 順 社 会 的 行 動 群 研究で用いた順社会的行動

)数

I

非 生 起 状 況

寄付・奉仕行動 献血要請に応じない 66 

12  募金要請に応じない 100  分与行動 困っている人にお金を貸さない 64  緊急事態における救助行動 火事現場で消防活動に協力しない 60  10  怪我人のために救急車を呼ばない 72 

努力を必要とする援助行動 引越しの手伝いをしない 95 

動 ・遺失者に対する援 落し物を警察に届けない 80  老人の重い荷物を持たない 99  動会的弱者に対する援助行

, 

赤ちゃんを抱いた人に席を譲らない 79  11  荷物を拾うのを手助けしない 72  小さな親切行動 小銭のない人に両替をしない 87 

道順を教えない 87 

的な,適度の数の非生起理由(非援助動機)を選定した。

2.  非援助動機型の析出

選定された代表的な非援助動機が, 12種類の典型的な順社会的行動のそれぞれにおいて,どの 程度その非生起理由になると思うかを, 「非常になる」 (5点)から「全くならない」 (1点)ま での5段階で評定することを, 105名の男女学部生に求めた。

この研究では, 12種類の行動に共通する非援助動機型を析出することにした。そのために,以 上の評定値を基に, 12種 類 の 行 動 を 通 じ て 算 出 さ れ た 非 援 助 動 機 の 間 の 相 関 の 行 列 に 対 し て ,

overallの因子分析法(主成分分析・バリマックス回転)を適用した。

3.  非援助動機型に基づく順社会的行動群の特徴づけ

高木 (1982)が確定した 7種類の順社会的行動群(クラスター)のそれぞれの特徴を,非援助 動機型の側面から明らかにすることにした。そのために,行動群別に,非援助動機型(因子)得 点を算出し,それらを行動群間で比較・検定した。

4.  動機特性に基づく順社会的行動の非生起型の究明

順社会的行動の非生起がどのような非援助動機型の組合せによって起こりうるのかを明らかに するために,非援助動機型(因子)得点を基に,クラスター分析(ワード法)を順社会的行動群

(クラスター)毎に行った。

‑ 33 ‑

(9)

関西大学「社会学部紀要」第19巻第1

結果と考察

1.  非援助動機の収集とその整理

12種類の典型的な順社会的行動の各々に関して,表2のように,多数の非生起理由(非援助動 機)が想起された。それらは,延べ139種類, 961個であった。次に,それらの非援助動機を繰り 返し内容分析し,似ているものをまとめて,最終的に,以下の 26種類の代表的な非援助動機が,

以後の分析のために選定された。

①  その時の気分が悪かったので

③  目立つのが恥しかったので

③  今までに援助を求めて拒否されたことがあったので

④  Yから遠く離れていたので

⑥  誰一人として援助しようとしなかったので

⑥  自業自得であり,自分には関係ないと思ったので

⑦  他者がどのように思うか気にならなかったので

⑧  援助しないために被る出費が小さかったので

⑨  Yが自分の知らない人だから

⑩  援助が必要だと思わなかったので

⑪  自分以外にも何人かそこにいたので

⑫  自分の難儀は自分で切り抜けるべきだと思ったので

⑬  報酬や返礼が期待できなかったので

⑭  Xが思いやりのない,利己的な人だから

⑮  関わりたくなかったので

⑮  援助する能力や資格が自分にはないと思ったので

⑰  今までに援助に失敗して嫌な気持ちになったことがあったので

⑱  面倒だったので

⑲  今までに援助したことがなかったので

⑳  Yが好ましくない特徴を持っているので

@ 直接援助を要請されなかったので

⑫  Yが嫌いな人だから

⑬  他の人が援助していたので

⑭  援助に必要な出費が大きかったので

⑮  援助する義務が自分にはないと思ったので

⑮  おせっかいと思われたくなかったので

‑ 34  ‑

表 3 非援助動機が順社会的行動の非生起理由になると思われる程度(平均評定値)
表 5 順社会的行動群の第 1 非援助動機型得点(平均・標準偏差)とその群間の差の検定結果
表 8 順社会的行動群の第 4 非援助動機型得点(平均•標準偏差)とその群間の差の検定結果 順社会的行動群 平均 I SD  I  1  I  2  I  3  I  4  I  5  6  7 
表 1 0 非援助動機型からみた「寄付・奉仕行動」の非生起型

参照

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