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軸 対 称 噴 流 ― 直 管 系 の 自 励 振 動 現 象 *

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長野工共高等専門学校紀要 ・第18(1987) 21

軸 対 称 噴 流 ― 直 管 系 の 自 励 振 動 現 象 *

(か く乱 の周 波 数 の固定 化 と共 鳴現 象 の関 係 )

倉澤英夫 山之上寛二 小幡輝夫

Self‑Excited Oscillation in an Axi‑Symmetric Jet  w

w i t h   a   C o a x i a l   C i r c u l a r   P i p e  larPipe

(The relation between the frequency locked in of the disturbance  and accoustic resonance)

Hideo KURASAWA Kanji YAMANOUE and Teruo OBATA

Some characteriticsontheshear layerofan axisymmetricjetappearwhena r1ingispositioned downstream ofaroundfreejet.

Itbecameevidentthatselfsustainedoscillationinthejetoccurredbecauseofthe presenceofthering.

Besides,theaccousticresonanceofaplpepOSitionedinplaceoftheringappeared underspecialconditionssuchasthejetspeedandthenozzle・pipedistance.

Theresultisthatthisphenomenon comesfrom thecoupling oftheaccoustic modeofthepipewiththedistllrbanceintheshearlayer.

Thephenomenonsimi lartotheaboveisfoundwhenthereareaccousticsystem upstream・suchasmountingarecutangularplPeOnthenozzle.

1.

1940年におけるアメリカ西海岸の吊橋,Tacoma Narrow 橋がそれほど強 くない夙によ り崩壊 した事故は世界的に有名である. この例は風そのものは強 くなくても,橋の持つ振動 モー ドと流れ場 との関係によっては大 きな振動エネルギが産まれる可能性を示 してお り,舵 れ と系の連成振動の重要性を示唆 している.騒音の発生 も振動現象を伴 うものであるが,中 で も流れの中に生 じる振動が何等かの意味で関与 し,音が生 じてくる例はい くつかある.例 えば,円柱の背後に発生す るカルマン渦に基づ く曲げ振動に起因するもの,管路系における 流量,圧力の特性に基づ くサージソグ現象等が挙げ られる. このように原因が明 らかで,因 果関係が確立されている場合 もあるが,流れが音発生に どのように係わ り合っているか明 ら かでない領域 も多い.そこで,筆者等は軸対称噴流の下流側に同軸に直管を有す る系の共鳴

* 昭和627 日本横桟学会東海支部 三重地方読癖会にて一部発表

** 機械工学科 助教授

*榊 横根工学科 教 授

*** 東京大学工学部 助手 原稿受付 昭和62925

(2)

22 倉浮英夫・山之上寛二・小幡輝夫

現象について報告 し(1), 噴流出口端近傍におけるせん断層での流れの様子が 大 きく関係す る ことを示 した. しか し,'噴流出口か ら十分下流の発達 した乱流域に移 るせん断層の発達過程 の構造が不明であるため,必ず しも共鳴現象に対 してその発生横樺が明 らかにされた とは言 い難い. ここでは,環状物体を噴流 と同軸に置 き,そのときのせん断屑での流れの振舞いに ついて検討 し,その上で噴流出口端 より下流側, さらには上流側にそれぞれ直管のような音 響管を有する場合の流れ,音響特性について調べ,そ こで生 じる共鳴音の発生機構について 検討する.

d :ノズル出口端,挿入管内径 fp :速度変動の最大卓越周波数

frn :共鳴周波数のn次成分 1 :エ ッジ間距離

lo :ノズル直管部長 L :挿入管 の長 さ

p :圧力変動 Pn :SPLn番 目の極大

r :半径方向座標 R :ノズル出口端半径

R.L.:相対 レベル (最大値OdB) SPL:音圧 レベル Uo :ノズル出口端流速 Z :流れ方向座標

2. 実験装置 ・測 定方法

実験は空気を作動流体 として行ない,噴流出 口端 までの実験装置は前報(2)と同様の装置を 用 いた.送風機に より送 られた空気は絞 り比7.6で絞 り, ノズル部に導いた. ノズル部での 主要寸法は出口端前に原則 として100mmの直管部が設けてあ り,出口部での内径は28mm である. ノズル出 口端での噴流特性に関 しては前報(2)で報告 し,速度分布の一様性,低い乱 れを持っていることを示 した.測定は,速度変動に関 しては 65LLm のホ ッ トワイヤを r/R

‑ 1,1/2のせん断層中に入れ,音圧に関 しては管後端 より300mmの位置に1/2インチのマ イクロホンを置いて行った. また,可視化はスモークワイヤ法を用いた.なお,測定を通 じ て実験室内における暗騒音 の音圧 レベルは46‑48dBであった.

3. 実験結果お よび考察 3‑1環状物体によるせん断屈か く乱の周期化

3‑1‑1自由噴流におけるせん断層の特故

一様流速を持つ噴流が空気中に噴出された場合, ノズル出口端近 くでは2つの領域に大別 され る.1つは中心部の速度一様 な領域であるポテンシャルコア部で図1A部で示され る.

他方はポテソシャル コア部 と周囲の静止流体 に挟 きまれる混合税域で図1B部で示 され る.ポテンシャル コアの存在す る鏡域は軸対 称噴流では(5‑8)d程度(a)とされ,本実験系 の噴流特性(2)とも良 く一致 している. また, 混合領域はノズル出 口端か ら下流に進むにつ れ,徐々にその領域を広げ図1C部に示す よ うに十分下流では発達 した乱流域を形成す

A ポテンシャルコア領域 B 混合領域 (せん断層領域) C 完全発達統域

1 自由噴流の構造

(3)

IIJ

称肌純 l I

l

l

Ti:邦のHyi仙川JV!Mi! ら.その過FIでLtlLjAIJの ・様流速 と外側のJ'J'''p

止批体 との(;''JCBiいせん断流れ.を作 るため, 批介流域はせ ん断岡祁域 とも呼ばれ る.

収(2は ノズル硝子近 くでのEl山噴流の可 鮎化′/i‑Jl:であ る.せ ん同の統城では一様 に 批合 してい るのではな く,大 きな運動 を しな が ら軸 を形成 してい ることがわか る. この渦 は本来三次元的 に捉 えるべ きで,渦輪が形成 されてい ると見 るべ きであ る. さらに,渦輪

23

⊂‑‑≒>(Uo=10mh) 流れ方

図2 n山噴流におけるTil附 し7TLSf 紘 /ズル出 口端か らやや下流で徐 々に形成 さ

れ,成長 して行 く様子 もわか る.写真は瞬時の流れの様子を示 してい るので,リ3際にtNJ次か ら次‑ と渦輪 が形成 され下流に進む ことになる. 自由噴流におけ る渦輪 のJ=!.U上せ/JlJr

層中での速度変動 のスペ ク トルで,卓越す る と‑ クが明瞭でないことか ら(州 ,14iL性敦肋は

定でな く渦輪 がかな り不安定 であ る といえる.下 流に進む と,渦輪 は粘性 あ るい心 IL'.1輪['EJl: の相互作用等 に よ り崩壊 し,発達 した乱流域を形成す る.

3‑1‑2環状物体 によるせん断 層のか く乱の周期化

3に前項で述べた よ うな特性を持つ 自由噴流に環状物体 (以後 リソグと呼ぶ)

挿入し

た場合 の配位図を示す.挿入 した 1)ソグは内 径28mm,外径34mm,長 さ15mm で,その 先端は180のテーパになってい る.

U0‑12m/S におけ るせ ん断間中での速度 変動の スペ ク トル結果を,即 4に/J<す.1/d‑

0.857相に リソタがiEEかれた場合,ri

噴流 とは明 らかにytな り巾越 した ビー クを持

ち (以後,故人 の t=1‑ クをlr.rこL,f越用政教 と 図 3 リソ〆状物体挿入時の装任国 呼ぶ), 2次, 3次の(1:.I;.周波 も現れ る. よ り下流側 のl/d‑1.286に 1)ソグが匠かjt.たl'T抜介に は低調汲, 1.I,]蚊 が多 くな るが, 同様 に鋭 い ピークを有す る. この ことはいずれの場 合に も 速度変動が周jy]帆にな り,JP.]政 教が脚定化 され ることを意味 している.図5は ノズルー リソ

4 速度変動のスペクトルの代表例 5 卓越周波数のエッジ問距離に対する変化

(4)

24

Shearlayer

I v . r t e x

IpressurediStributJlon

倉淫英夫 ・山之上寛二 ・小幡揮夫

LeQFJing

図6 形成された渦輪と圧力分布の対応 図7 渦の衝突に伴うfeedbackloopの形成

グ間距離 (以後エ ッジ間距離 と呼ぶ)に対す る卓越周波数の変化を示す.fpは ノズル出口端 よりやや下流のao点で初めて観測され,1の増大に伴 って降下する.bo点まで降下す ると al点‑急激に跳躍 し,その後,再び 1の増加 と共に降下す る.全体 として,ao〜bo,al〜b1,

‑‑・に示すのこ歯状の変化を持ち,対応す る振動モー ドをステージ0,ステージ1,‑‑ と 表示する.回申の黒印は リソグを下流か ら上流へ移動 させた場合で, a2‑a2* のヒステ リシ ス領域の存在を表わ している.

以上の変化形態に類似 した振動モー ドは,±次元噴流の中央に くさび状物体を挿入した場

令 (6),あるいは異なる速度の合流で作 り出される二次元混合領域 に平板 を流れ方向に平行に 挿入 した場合(0(8)にも観察 されている.この両者はいずれ も渦 の発生を伴っていることが報告 されている. 自由噴流のせん断層領域での渦輪の形成を図2の可視化結果に示 したが;既に リング系の場合にもせん断層中に渦輪が形成 され,かつその発生周期 と速度変動の周期 とが 同等になっていることを報告(9)した.

1

)ソグが挿入 された時,速度変動あるいは渦の発生周期が固定化す る機構は準のように推 考で きる.洞内の圧力分布は,定量的には洞内の速度分布的に依存す るが,定性的には図6 に示す概念図で対比で きる・ したがって, リング前縁への渦の衝突は圧力変動が リソグ前線 に作用 していることと等価 となる.図7に示す ように,渦の衝突の影響は圧力波 として上流 側に伝は し,渦の形成初期段階に影響を及ぼす.その結果,特定周波数の渦の発生を促が し, 再び リングに衝突 した渦はこの作用をさらに助長す ると考えられる. このように渦の衝突に 伴 って,図7に示す ように feedback loopが形成 されてき,特定周波数を掩っスペ ク トル のみが卓越 して くると推察で きる.選択 され る周波数は出口端流速,エ ッジ間距離等に依存 す ると考 えられ る.

3‑2流れ場に音響系を有する場合の共鳴現象

3‑2‑1ノズル出口端下流に音響系を有する場合

リソグの場合それが持つ音響固有振動数は極めて高 く,本実験程度の流速 (Uo≦20.5m/

S)では せん断層で有す るか く乱の周期性に 影響を及ぼさない といえる.そこで, 2種類 の流速について, リングと比較 しかな り長い 直管を噴流 と同軸に挿入 した場l%の流れお よ び音圧特性について調べた.挿入 した直管の

配置図は図8に示す. 図8 下流側に直管を有する場合の装置

(5)

軸対称噴流一直管系の自励振動現象 最初に,U0‑12m/Sの場合で,直管長 さ

3種炉についての音圧 レベル,卓越周波数 のエ ッジ間距離に対 す る変化を 図9に示 す.なお,国中○印は リソグの場合の結果 であ り,△印は直管 の速度変動に対す る卓 越周波を示 しているが,音圧に対 しても同 じ値にな ることを実険で確認 している・L

‑250mmの場合,fpa点で観測 され初 め,かつ この値は直管の共鳴周波数の1 成分 frlに一致 している. この結果,SPL Poと極大が生 じ直管か ら大 きな共鳴音 が発生す る.直管を下流に移動 させ ると,

fp1)ソグの ステージ0ラインに 漸近 し なが ら降下 し,対応 してSPLも降下す る・

b点 まで降下 した後,fr.1にはは一致 した C点に跳躍 し共鳴音 Plが発生す る・以上, 同様 の変化形態を とる.L‑311mmの場合 には,共鳴周波数 frlは250mmに比べ小 さくなる. この影響はb点か らの跳躍先が 1)ソグのステ‑ジ1ライソに対応 したC に移 る. C点の位置ではfpfrlが異な るため音圧 レベルも小さ くなっている・C

点か らはステージ1ライソに沿 って降下す る.fr.に近いd点 まで降下す ると直管 の 共鳴周波数の影響が強 く働 き,fpfrlに 引き込まれ共鳴音 Plが生 じる・その後は L‑250mmの場合 と同様である.

このように,fpfrlが一致 した結果 共鳴音を発生す るが,frlに引き込 まれ る 様子には2つのパターソが現われ る・ これ について,図10を用いて考察す ると同一原 理で理解 しうる.パターソ1はfrlがステ ージライソに対 し比較的低い値を取 る場合 である.a点で fpが観測され初めb点ま で降下す ると,本来的な安定 ライソとみ ら れるステージ1ライソ上 のC点に跳躍す る・

その後, ステージ1ライソに沿 って降下す るが,fp frlに対 しある範囲Af内に 入 ると,共鳴周波数の影響が強 くな り,frl

00000864gPldS

図9 各位管長に対する音圧 レベルと 卓越周波数の変化

(6)

26 倉浮英夫 ・山乏上寛二 ・小幡輝夫 に引き込 まれ共鳴音が発生する.パタ

ソ2は比較的frlが高い値を取 る場 合である. この場合にはb点か らの跳 躍先を考えると,本来 リングのステー ジライソに沿って変化 しようとしてい るので,b点か らは仮想的跳躍点C 移 ると考えられ る. ところで,C̀は既 に Af内に入っているので,直接e に跳躍 し共鳴音が生 じた といえる.即

l/d Hd

10引き込み作用に対する2つのバク‑ソ ち,いずれのパターンもfpfrlに

近づいたため,frlに引き込 まれ共鳴音が生 じた と理解できる.

9‑(C)L‑353mm とさらに管長が長 くなった場合である. この場合の特徴はPo り上流側に Po′が現われ ることである.Po′における卓越周波数は直管の共鳴周波数の2 次成分に対応 し,かつステージ1ラインの延長線上に位置 している. このことか ら,引き込 みが働 く周波数は管長の1次成分のみでな く,高次成分 も含めて作用す ることがわかる.

次に・U0‑205m/S と流速を増大 (a) 音圧レベル させた場合の結果を図11に示す.国中

の○印は リソグに対する結果を示 して いる. リングの fpの変化形態はU0

‑12m/S と同様にのこ歯状に変化 し, 各ステージで表わす ことができる.た だ し,周波数の変化領域は速度の増大 によ り高 くなる. また, fp‑1150Hz 近辺でステージ1, 2にゆがみが現わ れているが,これに関 しては後述す る (322).直管 のfpは全体 として リ ングの各ステージライソ,あるいはそ の延長線上に沿 って変化 していること が認め られ る.各管長に対する共鳴音 発生位置でのfpの変化はU0‑12m/S の場合 と全 く同 じ枚構によ り説 明でき, L‑180mmでは2次成分での引 き込み

も生 じている.音圧 レベルは U0‑12 m/S に比較 し大 きくなる. この原因 はせん断層における速度勾配が速度の 増大により大き くなったため と考えら れ る.

以上述べたように,噴流中に同軸に 直管を挿入すると特定の条件下で共鳴

1.0 15 2・0 2・5 日 d

(b)卓越周波数

'0 0,5 1.0 15 20 215 1/d

11 U0‑20.5m/Sにおける音圧 レベルと 卓越周波数の変化

(7)

軸対称噴流一直管系の自励振動現象 音が生 じるが, この原理を図12を用いて2

段階に分けて考察できる.

最初に,噴流のせん断層領域で形成 され た渦は挿入直管の前縁部に衝突 し,ソク の場合 と同様に圧力変動が上流側に伝は し,

feedbackloopが形成 されて くる. その 結果,渦の発生周期の固定化が生 じる.吹 に, この周期性を持つ渦の直管への衝突は 直管入 口端に周期的な圧力変動 として働 き,

Feedbackloop

Pipe Resonace freque∝y

requenCyof excitingforce 図12共鳴現象発生の物理モデル

27

直管の共鳴周波数に対 して励振力 として作用す る. ところで,直管 の共鳴周波数は管長に よ り特定 されるが,せん断層に生 じたか く乱の周期はある程度変化 しうる自由度を有す ると見 られる.その結果,励振力の周波数が直管の共鳴周波数に近づ くと,せん断層のか く乱が持 つ周期は逆にその影響を受け,対応 した流動形態を持つ流れに変化 し大 きな共鳴音が生 じる と考えられる. さらに,直管がノズル出 口端か らかな り遠ざかると,feedbackが弱 くなる と同時に,渦が安定 して存在 しに くくな り崩壊 して くるため,共鳴音が発生 しな くなると推 考 され る.本実験では1/d≧3では とどん共鳴音は発生 していない.

3‑2‑2 ノズル出口哨上流に音響系を有する場合

下流側に音響管 としての特性を持つ直管を挿入 した場合の共鳴現象について,3‑2‑1 述べたが, この結果か ら次の疑問が生 じる.周期化 した渦輪 (か く乱)の発生 によ り,上流 側に音響管 としての特性を有する系においても共鳴音が発生す るか香かである.以下, 2 の場合についてその結果を示す.

(1) ノズル側に音響管を取 りつけた場合 装置図を図13に示す.噴流中に置かれた ソグは既に用いた ものと同一である.敬 り付けた管の位置は図に示す ようにノズル 出口端で同一平面になっている. さらに, ノズル側では半径14mmに仕上げ,ノズル 内壁で凸部が表われないように取 り付けた.

管 の寸法は厚 さ0.6mmの鉄板を用い,長 手方向の最長長さ285mm,高さ20mm,幅

6mmである.

14U0‑12m/Sで,エ ッジ間距離を 変 えた場合の音圧 レベル と卓越周波数を示 す.fpa点で frlよりやや低い値で現 われ初め,共鳴音は発生 してこない. この 原因は,下流側に直管を持つ場合 と比較す ると,上流側の場合には共鳴周波数の耽れ に与える影響が小さくなるためな どが考え られる.次にd点か らe点への 変 化 に は

図13 ノズル部に矩形管を持つ場合の装置図 a)60

て)

1 5 0

t)

.73

N

≡ 0・7

1 ー0.6

85 0・4

14ノズル部に矩形管を持つ場合の音圧 レベルと卓越周波数の変化

(8)

28 倉持英夫 t・山之上寛二 ・小幡輝夫

frlに よる fpへの引き込み作用が観測され,その位置で音圧 レベルは急増 し,共鳴音 Po

が発生す る.f点か らg,h点か らi点への跳跳時にも引き込みが現われ,Pl,P2の共鳴 音が生 じている. このように上流側に音響系を有する場合にも下流側にある場合 と全 く同一 原理で説明で き,基本的には fpfrlに近づいたため といえる.

Po,Pl,P2における音圧 レベルは下流側に直管が置かれた場合 と比較するとかな り小 さ くなるが, この理 由は次のことで説明できる.

噴流中に形成されて くるか く乱はノズル 出 口端で小さ く,ある程度下流 までは下流 に進む程増大す るB脚.したがって,速度変 動に伴 った圧力変動は図15に示す ように, 下流側に比較すると上流側はかな り小 さ ことになる.その結果,上流側に対 しても 圧力変動が励振力 として作用 しているが, その大 きさが小さいため励起 され る共鳴音 も小さくなるといえる.

Nozz一e Ring

& pgLFtude

図15上流に音響系を有する場合の 共鳴現象の物理モデル (2) ノズル部を音響管 とみな した場合

ここまで示 した実験結果のノズル形状は噴流出口端 までに100mmの直管部を設けてある。

このことは前項(1)の結果に基づ くと, ノズル部そのものが音響管 として作用す る可能性を含 んでいる.ただ,・この場合にノズル部での共鳴周波数を正確に見積 もることは,放 り部の形 状 も関係 して き容易でない.そこで, ノズル部の直管部長 さを100mm,115mmの2種掛 こ ついて実験を行ない検討 した.流速はいずれ も20.5m/Sであ り,噴流中には リングを挿入 し 下流方向に移動させた.

10‑100mmにおける音圧 レベル と卓越周波数のエ ッジ間距離に対す る変化を図 16(a)に 示す.図中の一点鎖線で示 した周波数をノズル部での共鳴周波数 と見なす と,下流側に直管

0 00 7 65

gP ld

S

000765PldS空114el.2 1・008

「 .I.. ((.

U。=20.5m/ l=115mm

(a) ノズル直管部長さ100mmの場合f. (b)ノズル直管部長さ115mmの場合 図16 ノズル部による弱い共鳴現象の発生

(9)

軸対称噴流一直管系の自励振動現象 29 を挿入 した場合 と同様の変化形態が観測できる.即ち,国中のA,B,C点ではfpに対す

frの引き込み作用が現われ,対応 してSPLも急増 し弱い共鳴現象が生 じる.なお,国 中の破線は リングを下流か ら上流側へ移動させた場合で, ヒステ リシス領域を示 している. 10‑115mmの図16‑(b)においても,A,B,C点では同様に引き込み と共に共鳴音 の発生が 認め られ る. ところで,絞 り部の形状は直管につながる直前に 10mm程度の直線 に近い状 態が設けてある. これ らか ら見積 もれる共鳴周波数は10‑115mm1280Hz程度 とな り, 一点鎖線で示 した値 と大差はない.さらに2つの直管部長さと共鳴周波数 との関係 も整合 し

てお り,一点鎖線で示 した値を共鳴周波数 と見なす ことの妥当性が認め られ る.

なお,実験系は異なるが,軸対称噴流のノズル系に起因 して生 じる共鳴現象については, Hussain伯によっても報告されている.

3‑3噴流による共鳴音先生の総合的解釈

軸対称噴流のせん断層中に同軸に環状物体 (厳密には環状のみには限定 されない8掴)が挿 入 されると,せん 断層中に 形成 された渦の衝突に 伴 って 圧力変動 が上流 ‑伝は し,feed・

backloopが形成 されて くる.その結果,速度変動の周期化が生 じ,スペ ク トルの上で卓越 した ピークを持 って くる.挿入された物体の持つ共鳴周波数が,本実験に示 したよ うに周期 化 した速度変動の周波数領域に対応 して くると両者の関係が重要になち.即ち,図17に示 し たパターソBは下流側に音響系を有す

る場合で,圧力変動が管端に励振力 と して作用 し,周波数が共鳴周波数に近 づ くとこれを助起 し大 きな共鳴音が発 生する.逆に,パターソAのように上

流例に音響系を有す る場合に も・速度 small

PatternA FbtternB

ヰ FLow.direction

変動の周期化が生 じていると,下流側 excitirq force

の場合 と同様に励振力が作用 し,系の 雷 p p雷 a

e;冒Ftingf。,ce 共鳴周波数 とのかね合いで共鳴音が発 図17 上流あるいは下流側の音響系と 生 して くる.ただ し,上流側に対 して かく乱とのカップリング

は図示 したように励振力が小 さくなるため,発生す る共鳴音 の大 きさは小 さくなると考 えら れ る.

4.

軸対称噴流の中に リソグ状物体を挿入 したとき,せん断屑に生 じるか く乱について調べ, その上で噴流出口端 より下流側に音響管 としての特性を有す る直管を挿入 した場合,道 に, 上流側のノズル部が音響系 として作用す る場合について,せん断層に生 じるか く乱の特性 と 共に,その時生 じる共鳴現象について調べ,以下の事が明らかになった.

(1)噴流出 口端近 くに リソグ状物体を挿入す ると速度変動の周期化が起 こる. この原因 と して,噴流中に形成され る渦輪が リソグ前縁に衝突 し,その影響が上流側に伝はL feedback loopが形成 された結果 と考えられ る・

(2) リソグの場合,速度変動の卓越周波数はのこ歯状に変化す る振動モー ドを持 ち,流速 の増大に伴って周波数の変化範囲は高 くなる.

(10)

30 倉持英夫 ・山之上寛二 ・小幡輝夫

(3)直管を下流に挿入 した場合に観測 され る卓越周波数は本来的には t)ソグの振動モー ド に沿 って変化 しようとす るが,直管の共鳴周波数に近づ くとその影響を受け,卓越周波数が 共鳴周波数に引 き込 まれ大 きな共鳴音が生 じる.

(4) このとき,共鳴音発生 の直接的原因は周期的な渦 の発生に伴 った圧力変動が管入 口端 に励振力 として作用す るため と考 えられ る.

(5)噴流出 口前に音響系を有す る場合に も,せん断屑のか く乱 の周期化が生 じている と, 下流側に音響系を有す る場合 と同様に共鳴音が発生 して き, その横柄は下流側に音響系 を有 す る場合 と同一の機構で説 明で きる.ただ し,上流側 の場合には励振力 となる圧力変動が下 流側に比較 し小 さくなるため,発生音は小 さ くなる.

終 りに,本研究を行な うにあた り,常 日頃御指導を頂 いた東京大学工学部,平 田賢教授, 笠木伸英助教授 に感謝致 します.

参 考 文 献

(1)倉浮英夫 ・小幡輝夫 ・平田 賢,音響学会誌41巻11(1985),p.777

(2)倉持英夫 ・山之上寛二 ・斎藤正勝,長野工業高等専門学校紀要,第17(1986),p.15 (3)例えは,機械工学便覧 A5流体工学,日本機械学会縮

小)M.A.Z.HasanandA.冗.M.F.Hussain,∫.FluidMech.,γol.115(1982),p.59 (5)倉浮英夫 ・小暗輝夫 ・平田 賢 ・笠木伸英,流れの可視化,γol.310(1983),p.121

(6)社河内敏彦 ・伊藤忠故 ・兼松良一 ・四阿佳昭,日本校枕学会論文集B,51469(1985),p.

2897

(7)S.ZiadaandD.Rockwell.∫.FluidMecb.,γol.124(1982),p.307 (8)R.KaykayogluandD.Rockwell,J.FluidMech.,vol.156(1985),p.439

(9)倉持英夫 ・小幡輝夫 ・平田 賢 ・笠木伸英,日本機枕学会論文集B,53488 (1987),p.1254 A.K.M.F.HussainandK.B.M.Q.Zaman,J.FluidMech.,vol.101(1980),p.493 的 S.C.Crow andF.H.Champagne,J.FluidMech.,vol.48(1971),p.547

的 C.J.Moore,J.FluidMech.,vol.80(1977),p.321

A.K.M.F.HussainandM.A.Z.Hasan,J.FluidMech.,vol.134(1983),p.431 (14 倉持英夫 ・小幡輝夫 ・平田 貿 ・山之上寛二,日本音響学会講演論文集,623(1987),p.489 89 A.K.M.F.HussainandK.B.M.Q.Zaman,J.FluidMech.,vol.87(1978),p.349

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