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心理コンサルテーションの実践研究(3)児童養護施 設職員に対する心理コンサルテーションの質的分析

著者 福永 真理奈, 若本 純子

雑誌名 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要

号 9

ページ 3‑12

発行年 2014‑03‑31

URL http://id.nii.ac.jp/1116/00000334/

(2)

〔論 文 〕

心理コンサルテーションの実践研究③

児童養護施 設職員 に対 す る心理 コ ンサル テー シ ョンの質 的分析

鹿児 島純心女子大学大学院 ・ 鹿児 島純心女子大学大学院

問  

近年 の児童虐待 の増加 に伴い ,児 童養護施設 で は被虐待児の入所数 が増加 の一途 を辿 っている。

さらに ,児 童養護施設 に入所 した被虐待児の被虐 待体験 が ,子 どもの行動や情緒問題 に大 きな影響 を及 ぼ してい ることが認 め られてお り (石 ,2006;

中 山 ,2011;下 ,2004;坪 ,2005,2007), 施設 内での心理的な支援 の必要性 が高まってい る。

1999年 度 に厚 生 労働省 は ,児 童養護 施設 に心理 担 当職員 を導入 を開始 した ものの ,心 理担 当職員 をめ ぐっては さま ざまな課題 があ る。若本・福永 (2013)は ,先 行研 究 の概観 と 自 らの児童養護 施 設 にお けるコンサルテー シ ョンや研修 の経験 を踏 まえ ,処 遇 との兼務であ り専任 ではない ,被 虐待

児 といった深刻 なケースに対応 で きるのに十分 な 専門性 を有 してい る とはい えず ,心 理担 当職員 に とつて も負担 になつてい る ,他 職 員か らの理解 が 得 られ に くく ,心 理担 当職員が孤立 した り正 当な 評価 を得 られ に くい等 の課題 を挙 げ ,心 理担 当職 1)修 士課程 2年

永   真理奈 本   純   子

員 の専 門性 の更 なる向上や ,心 理担 当職員が働 く 環境 を整備 し ,そ の専門性 を十分 に発揮できる場 を作 つてい くことが求め られていることを指摘 し てい る。そ して ,児 童養護施設 にお ける心理業務 の現状 に対す る有用な支援形態のひ とつ として心 理 コンサル テー シ ョンを挙げている。

コ ンサル テ ー シ ョン とは ,  コ ンサ ル タ ン ト (consultant)と コ ンサル テ ィ (consultee)に よっ て構成 され る異なる領域の専門家間の支援形態 を 指す。 コンサルテー シ ョンでは ,コ ンサルテ ィが 直近 で抱 えてい る問題 の解決 に向けた取 り組み の み な らず, コンサルテ ィが 自らの専門性 を最大限 に生 か しなが ら問題 に対処す る力 をつ け ,そ の結

果 が コ ミュニテ ィ全体 の対処能力 の向上 と問題発 生予防につなが ることを最終的な 目標 としてい る

(箕 口・ 上手 ,2007)。 コ ミュニテ ィにお ける支 援 では中核 的な介入方法であ り ,多 様 な学問領域

とフィール ドにおいて用い られてい る。

コンサルテーションの中でも ,心 理 コンサルテー

福 若

和文要 旨

本研究では ,児 童養護施設 の心理担 当職員 に対す る14回 の心理 コンサルテー シ ョンを ,BrOwn, Pryzwansky,&Schulte(2001)の コンサルテーシ ョンプ ロセスモデル に依拠 し ,佐 藤 (2008)の 質 的デー タ分析法 を用いて質的分析 を行 つた。 その結果 ,155の 焦点的 コー ドか らなる32の 概念的カ テ ゴ リが抽 出 され た。 主訴 ,ア セ スメ ン トに分類 され たカテ ゴ リとコー ドには ,児 童養護施設 の 入所児童 が抱 える多様 な問題 とかかわ りの現状 が示 され た。 問題 の定義づ け ,か かわ り方 の選定

で見出 されたカテ ゴ リとコー ドは BrOwn et al.(2001)の 示唆 に概 ね合致 したが ,そ の根拠 ととも

に助言 が行 われ る とい う特徴 があった。本研 究で新 たに見 出 され た コンサル テ ィ ,コ ンサル タン

トの発話 にお けるカテ ゴ リとコー ドか らは ,コ ンサル テー シ ョンが専門的助言 に コンサルテ ィ と コンサル タン トの発話が加 わる相互的な援助過程であることが示唆 された。

キーワー ド :児 童養護施設   心理 コンサルテー シ ョン   質的分析

(3)

鹿 児島純心女子大学大学院  

1削

F学

│ナ

F究 科紀要   第 9号

シ ョン と言及す る際には ,「 ′ 心理 的課題 を抱 えた クライエ ン トを支援す る責任 のあるコンサルテ ィ が ,ク ライエ ン トヘの よ りよい支援 を提供す るた めに ,心 理学の専門家であるコンサル タン トに 自 発 的 。主体的 に相談す るプ ロセ スであ り,  コンサ ルテ ィが コンサル タン トの持つ専門的知識 と技法 を共有 しなが ら ,問 題解決 の方法 を探 つてい く相 互作用の過程 (力 日 藤 ,2006,p.71)Jと 定義 され る。

む ろん ,心 理 コンサル テー シ ョンの場合 において も ,  コンサル テー シ ョンで重視 され る 1)ク ライ エ ン トの心理的な問題 の援助 はクライエ ン トが属 す るコ ミュニテ ィの人 々 と専門家 との連携 と協働 に よつて行 うとい う考 え方 ,2)コ ンサル タ ン ト

とコンサル テ ィの対等 な関係性 ,3)問 題 解 決 の

た めの課題 中心的 な関係性 ,4)ケ ー ス に関す る 責任 の所在 は コンサルテ ィ倶 1に あ リコンサル テ ィ 自身 が 自らの専門性 を活 か して問題解決 を行 える よ う援 助す る とい つた特徴 (山 本 ,1986)は 保 持 され る。

一方 で ,坪 井・ 李 (2007)が 指摘 す る よ うに

,

コンサルテー シ ョン (心 理 コンサル テー シ ョンを 含 む )を 行 う場合 には ,対 象 とす る場や集 団の風 土 ,ク ライ エ ン トの特性 な どを考慮 し ,対 象や場

に即 したコンサルテーシヨンを行 うことが肝 要であ る。   しか し ,児 童 養護 施設 のコンサルテーシ ョン 研 究 は きわ めて少 な く ,  わず かな事例研 究や報 告 (樋 口 ,2009;曽 ,2002;築 ,2004;渡

,

1998),実 証研 究ではあ るが分析方 法や枠組 み の 点で工夫の余地が残 るもの (箕 口 ,1987)に とどまっ て い る :加 藤 (2006)も ,  これ まで の 心 理 コ ン サルテー シ ョンに関す る研 究が学校領域 での事例 研 究 に限定 され ,実 証的アプ ローチの研 究 に乏 し い こ と ,加 えて ,効 果や実践上の工夫 については 論 じられ てい るが ,機 能や 目的 :方 法や プ ロセ ス

にういての議論 は十分ではない ことを指摘 してい る。        

児童養護施設 ,な らび に心理担 当職員 に とつて 有用 な心理 コンサルテー シ ョンの構築 を研 究す る にあたつては ,コ ンサルテーシ ョンとしての要件

,

児童養護施設 そ して心理担 当職員 に対す るコンサ

ルテー シ ョンに特化 された重要な要素 を特定す る ために

,‐

ョンサルテ ,シ ヨンの内容 を詳細かつ実 証的 に 1/1え ることか ら始 める必要があるだろ う。

そ こで ,本 研 究では ,児 童養護施設 の心理担 当 職 員に対 して一定期 間心理 コンサルテー シ ョンを 定期的・継続 的に実施 し ,そ の支援過程 における コンサル タン トとコンサルテ ィのや りとりを質的 に検討 し ,児 童養護施設 の心理担 当職員 に対す る 心理 コンサルテー シ ョンの構成要素 とその特徴 を 明 らかにす ることを 目的 とす る。

コンサルテー シ ョンは ,コ ンサルテ ィ,  コンサ ル タン トが異なる領域 の専門家であ り ,対 等性や 課題 中′ い性等の特徴 をもつ支援形態であることを 先述 した。 しか し ,心 理 コンサルテー シ ョンにお いては,  コンサルテーシ ョンをコンサルテーシ ョン として実施す るこ とが難 しい ,よ り端 的 に言 うな らばカ ウンセ リングな ど他 の心理臨床 の介入方法 との線 引きが難 しい局面が生 じやすい。 これ は

,

支援 を提供す る側 の コンサル タン ト側 が混 同す る 場合 も考 え られ る し , コンサルテ ィ狽」 が相手が ,さ 理 の専門家 とい うことでカ ウンセ リング的なかか わ りを求 め る といつた場合 も考 え うる。 この よ う な境界の曖昧 さや割 り切れな さをは らみなが ら行 われ る心理 コンサルテー シ ョンの有効性 にうな が る構成要素 を明 らかに しよ うとす る研 究では ,事

象 を的確 に抽 出 し把握す るための明確 な理論 的枠 組み ,  さらにその枠組みを活か しつつデー タ分析 法 に用い ることが不可欠である。   1

コンサルテーシ ョシ研究が進んでいる欧米では

,

問題解決 を図 るために重要 な要素の検討や 工夫 の ため ,コ ンサルテーシ ョンをプ ロセス と .し て捉 え る研 究が盛 んに行 われ てい る :本 研 究では ,そ れ らの中でも比較的妥当性が高い と言われ る (箕 口・

■ 手

,‐

2007)Brow五 , Pryzwansky, & Schulte (2001)が 示 した ,1)出 会 い ,2)契 約 ,3)ア セ ス

メ ン ト ,4)問 題 の定義 づ け と 目標 設 定 ,5)か

わ り方 の選 定 ,6)介 入 ,7)評 価 ,8)終 結 か らな

るプ ロセ スモデル に依拠 し ,コ ンサルテーシ ョン

の中核的プ ロセスであるアセスメン ト ,問 題 の定

義づ け と目標設定 ,か かわ り方 の選定 に該 当す る

(4)

コンサルタン トとコンサルティのや りとりを抽出・

集約 し ,各 プ ロセスにお ける構成要素 とその特徴 を明 らかにす る。

一方 ,分 析 法 につ い て は ,佐 藤 (2008)の 質 的 デー タ分析法を採用す る。 この質的データ分析 は

,

先行研究 の知 見や ,既 存 の理論的枠組 み等 の有効 な前提知識 を踏 まえ ,仮 説検証 的な発想 に基づい て コー ド化を進 めることができる点に特徴があ り

,

コンサルテーシ ョンの実際を理論的枠組みに沿つ て捉 え ,デ ー タを集約す ることで ,そ の構成要素 や特徴 を明 らかに しよ うとす る本研 究 の 目的 に最 適 の分析法である。

方   法

本研究は ,研 究の一環 としてコンサルテーシ ョン に協力 して くれ る児童養護 施設 の心理担 当職 員 を募 り ,実 施 された。 また ,単 発 の コンサルテー

シ ヨンではそれが本 当に有効であったかはわか ら ない こ と ,最 終的 には コンサルテ ィの成長 を 目標

とす るコンサルテー シ ョンは一定期 間継続的に行 われ る必要があることか ら ,半 年間のコンサルテー シ ョンを行 う研究 として協力者 を募 り ,希 望 が あ

る場合 には契約 を更新 し, コンサルテーシ ョンの 期 間 を延長す るこ ととした。

期 間・ 場 所  2012年 11月 2013年 6月 。 研 究 者 が所属す る心理 臨床相談セ ンター の相談室 にお いて ,14回 の コンサルテー シ ョンが実施 された c

研究協 力者   コンサルテ ィは ,児 童養護施設 に 勤務 して8年 目のキャ リアを持つ女性職員 である。

保育士資格 と認 定心理士資格 を所有 してお り ,保

育士 と して働 き始 め4年 目か ら心理 業務 を兼務 し 始めた。途 中出産のため休職 したが ,現 在 はフ リー の処遇担 当兼心理担 当職員 として働 いてい る。一 方 ,  コンサル タン ト (第 2著 者 )は ,児 ,生 徒

,

学生 に対す るカ ウンセ リング ,教 ,保 育者等 に

対す る コンサル テ ー シ ョンを実施 して きた経 験 14年 の女性 臨床 心理 士 であ る。 コンサル タン ト は当該児童養護施設 において研修 を実施 した こと はあるが ,コ ンサルティとはほぼ初対面であつた。

また ,コ ンサルテ ィはこれ以前 に ,心 理業務 に関

児童養護 施設職 員に対す る心理 コンサルテー シ ョンの質的分析   福永真理奈 他

す るコンサルテーシ ョンを受 けた ことはなかった。

コンサルテーションの概 容   コンサルテーション

は隔週で行われ ,毎 回の所要時間は 1〜 1.5時 間程

度で あった。最初の契約 において ,こ の コンサル

テー シ ョンは, コンサルテ ィが′ 心理業務 を円滑に 行 うことがで きるよ うにな るためのサポー トす る ための場 であることが説 明 され ,コ ンサルテ ィの ニーズを中心に コンサルテー シ ョンを進 めてい く ことが合意 された。毎回のセ ッシ ョンは ,コ ンサ ルティが対応 に困つた り ,迷 った りしているケース について説 明 し ,質 疑 を交 えなが らコンサル タン トが助言 してい くとい うのが基本的なパ ター ンで あった。 1セ ッシ ョンにつ きほぼ 3〜 4ケ ー ス につ いての コンサルテーシ ョンが行 われた。

調査の手順   研 究の 目的や個 人情報保護 につい て ,研 究協力者 と所属施設 の両方 に紙面や 口頭 で 説 明 し同意 を得 た上 で調査 を行 つた。研 究者 (第

1著 者 )が コンサルテーシ ョン内容 を記録 し ,そ

を研 究デー タ と して用いた。 コンサルテーシ ョン に入所児童 の実名 が登場す ることも多 く ,万 が一

の情報漏洩の排 除のため録音 は行 わなかった。

結果 と考察 質的分析の プロセス

佐 藤 (2008)の 質 的 デ ー タ分 析 法 に基 づ き

,

BrOwn et al.(2001)の コンサル テー シ ョンプ ロ セスの枠組みに基づいてデータを整理 してい く トッ プダ ウンの集約過程 と ,デ ー タを集約 して抽 出概 念の抽象度 を上 げてい くボ トムア ップの集約過程 とを ,研 究者 2名 が協議 しなが ら統合 的 に実施 し た。 なお ,研 究者 の うち第 1著 者 は 自身 が コンサ ル タン トであった こ とか ら ,デ ー タ集約過程 は第 1著 者 が主導 して進 めた。 また ,第 2著 者 は コン サル タン トとしての理解や印象等 も協議 の場 に提 出 し ,デ ー タ集約 のための資料 とした。

集約 の手続 き として ,ま ず ,陪 席記録 を意 味内 容 単位 でセ グメン ト化 したも次に ,  トップダ ウン のデ ー タ集 約 と して ,Brown et al.(2001)の す8段 階の コンサルテー シ ョンプ ロセ スの うち

,

支援 の中核 となる 「アセ スメン ト」「問題 の定義

(5)

鹿児 島純心女子大学大学院   人 間科学研 究科紀要   9号

づ け」「か か わ り方 の選 定 」 の 3つ の段 階 にセ グ メ ン トを振 り分 けた。 こ こで い う 「問題 の定義 づ け Jは ,BrOwn et al.(2001)の 分 類 に お い て

「問題 の定義づ け と目標設 定」 とされ てい る もの である。だが本研 究 では ,毎 回の コンサル テー シ ョ ンで 日標設 定 を行 う方法 が とられ ていなか つたた め ,「 目標 設 定」 の 内容 を除外 し ,「 問題 の定義 づ け J  と した。

一方 ,セ グメ ン トの中には ,Brown et al.(2001) の 8段 階 の コ ンサル テ ー シ ョンプ ロセ ス の どの プ

ロセ ス枠 に も登場 し ,連 続 す る援 助過程 の一部 と して は分類 す る こ とが 困難 な コンサル テ ィ ,コ

サル タン トの発 話 が多 数 存 在 した。 そ こで,「 コン サ ル テ ィ の 発 話 」「コ ン サ ル タ ン トの発 話 J  と い う新 た な分類枠 を加 え ,そ こに分類 した。 さら に,「 アセ ス メ ン ト Jの 中 に は ,ア セ ス メ ン トを

行 うの に必 要 な諸 情報 と並 ん で ,児 童養護 施 設 な

らで はの 困難 や 心理 担 当職 員 の仕 事 上 の悩 みや 困 りご とが一群 を形 成 してい た。 この 内容 は ,本

究 の 目的 で あ る児童養護 施 設 の心理 コンサル テ ー シ ョンの特 徴 を反 映す る と考 え られ た た め,「 主 訴 Jと い う新 たな分類枠 を立て ,ア セ ス メ ン トか

ら分 離 した。 そ して ,合 6つ の分類枠 に対 して 全 セ グ メ ン トを振 り分 けてい つた。

続 く コー ド化 にお い て は ,ま ず 6つ の分 類 別 に セ グ メ ン ト全 体 と BrOwn et al.(2001)を 照 合 し て仮 の概 念 的 カテ ゴ リを付 す トップ ダ ウンの分析 を行 い ,セ グメ ン トに対 して定性 的 コー ドをつ け るボ トムア ップ の分析 を行 つた。 そ の際 は全 体 の 4分 の 1の セ グ メ ン トに対 す る コー ド化 を試 験 的 に行 い ,そ の結果 を研 究者 間で精査 し ,調 整 を加

え る とい う手順 を繰 り返 しコー ドを決 定 した。 そ して ,定 性 的 コー ドと概 念 的 カテ ゴ リを照合 しつ つ ,焦 点的 コー ドを決定 した。 さらに ,定 性 的 コー

ドと焦 点 的 コー ドを踏 ま え ,概 念 的 カテ ゴ リを最 終決 定 した。 分析 中に生成 され た コー ドは ,元

記録 と照合 。確認 す る作 業 を繰 り返 し ,デ ー タ解

釈 の厳 密 性 お よび妥 当性 が損 なわれ ない よ う配 慮 した。

以 上 の分析 を経 て 674の セ グメ ン トが得 られ

,

32の 概念 的カテ ゴ リが抽 出 され た。 また ,概 念 的 カテ ゴ リは ,155の 焦点的 コー ドと503の 定性 的 コー ドか ら構成 されていた。以下では ,概 念的 カテ ゴリを 【   】 ,焦 点的 コー ドを『』 とし ,6

つの分類別にコー ドの構成 を示す。

主訴

主訴 は ,BrOwn et al.(2001)の コンサル テー シ ョンプ ロセ スにおいて第3段 階アセ ス メン トに 対応す ると思われ るものの中で ,特 にコンサルテ ィ の主訴 に該 当す るセ グメン トに よつて構成 した。

【 児童の問題 (行 動 )】 【 心理業務】 【 職員に対す る懸念】 【 事件への対応 】の 4つ の概念的カテ ゴ

リが抽出された。

【 児童の問題 (行 動 )】 は ,『 児童の問題 (行 動

)

の実態』『児童へのかかわ り方』『問題 (行 動 )に つ ながる恐れがある児童の行動』 『児童の問題 (行

)

に対す る確認』『 児童 の行動 に対す る懸念』 の 5 つの焦′ 像的コー ドで構成 されていた。【 心理業務】

は ,『 プ レイセラピーでの言動の意味』 『 プ レイセ ラビーでのかかわ り方』『 プ レイセ ラピーの適応 範囲』 『介入の方法』 『 心理業務の整備』 『 職員ヘ の面接』『職員研修 に関す る質問』 の7つ の焦点 的コー ドで構成 されていた。【 職員に対する懸念】

は ,『 職員の不適切なかかわ り』 『職員の言動に対 する懸念』 『職員の児童に対するかかわ りの悩み』

『児童の問題 (行 動 )に 対す る職員 との見方のずれ』

の4つ の焦点的 コー ドで構成 されていた。 【事件 への対応】は ,『 児童の職員に対す る暴力事件ヘ の対応』『児童の性暴力事件への対応』 の2つ の 焦点的コー ドで構成 されていた。

考察   本研究は ,児 童養護施設職員に対する心 理 コンサルテーシ ョンの特徴を明らかにする目的 を持つ ことか ら ,Brown et al.(2001)の アセス メン トのプロセスにおいて特に主訴を独立させた。

主訴の概念カテ ゴリや焦点的コー ドの内容は ,児

童が抱えている虐待由来の情緒的・行動的問題ヘ の対応 ,知 的障害 。発達障害の判断に対する迷い

,

職員間の児童の問題に対す る認識のずれ ,そ して

心理業務の遂行に関す るもの ,  さらに心理担当職

員の業務が他の職員に十分に認識 されていないこ

(6)

とによるとま どい等 ,児 童養護施設 と ,そ こで働 く心理担当職員が抱えている問題が色濃 く表れて いるものであった。他方 ,定 性的コー ド単位で主 訴の内容を見ると ,児 童の問題 (行 動 )お よび心理 業務についての内容が圧倒的に多かった。 これは

,

コンサルティが心理コンサルテーションの場を

,

児童のことや心理業務のことを相談する場だ と捉 えていたのだ と考えられ る。換言すれば ,保 育士 として入職 し ,迷 いなが ら自分な りに心理業務 を やつてきたコンサルティにとって ,専 門的助言を 得 られる場 としてコンサルテーシ ョンが活用 され

ていた とも言えるだろ う。

アセスメン ト

アセスメン トは ,Brown et al.(2001)の コン サルテーシ ョンプ ロセスに順ず るもので ,【 児童 の基礎情報】 【児童の様子】 【児童の人間関係】

【 心理業務】 【 児童の問題 (行 動 )】 【 職員の基礎 情報】 【 職員の問題】 【これまでのかかわ り】の 8つ の概念的カテ ゴリが見出された。

【 児童の基礎情報 】は ,『 属性』 『疾患 。不調』

『生育歴・家族情報』 『入所歴』 ,『 学校歴』 『入所 棟 。担当職員』の6つ の焦点的コー ドで構成 され ていた。 【児童の様子】は ,『 施設での様子』『学 校 ,保 育園での様子』 『施設での人間関係』 『家族 関係』の 4つ の焦点的コー ドか ら構成 されていた。

【 児童の人間関係】は ,『 施設での人間関係』 『家 族関係』 の2つ の焦点的 コー ドか ら構成 されてい た。 I心 理業務】は ,『 プ レイセラピー等の頻度』

『 プ レイセ ラピーの内容』 『書類作成』の3つ の焦 点的コー ドか ら構成 されていた。【児童の問題 (行

動 )】 は ,『 身体症状・行動化』 『情緒的問題』 『 知 的側面』 『対人行動』 『非行』 『性的な問題』 『発達 障害的要素』の 7つ の焦点的 コー ドか ら構成 され ていた。 I職 員の基礎情報】は ,『 勤務歴』 『基礎 情報』 『職員 との関係』 『児童 との関係』の4つ の 焦点的コー ドから構成 されていた。【 職員の問題】

は ,『 事件後の職員の様子』の焦点的 コー ドか ら 構成 されていた。【これ までのかかわ り】は ,『 職 員の児童へのかかわ り』『 コンサルティによるプ レイセラピー』 『 コンサルティが行つたかかわ り』

児童養護施設職員 に対す る心理 コンサルテー シ ョンの質 的分析   福永真理奈 他

『他機関 と連携 しての施設の対応』 『児童へ対す る 専門家の見立て』の5つ の焦点的 コー ドか ら構成

されていた。

考察   アセスメン トの概念カテゴリおよび焦点 的コー ドは ,大 別すると ,児 童の基本情報 ,問

(行 動 )に 関す る情報に加 え ,職 員の情報 ,こ れま でにコンサルティや職員が行 ってきた児童に対す るかかわ り等の情報か ら成 り立っていた。本稿 中 にはページの都合上割愛 したが ,定 性 コー ド単位 では今回抽出 した 6つ の分類の中で最多数であ り

,

児童養護施設な らびに入所児童が抱える問題の背 景や成因の多様 さ ,そ れ らに対 して施設 と職員が さまざまな角度か らかかわっていることを浮き彫 りにする内容であった。

問題の定義づけ

問題 の定義 づ けは ,Brown et al.(2001)の コンサルテーションプロセスに順ずる分類であり

,

【 問題の明確化】 【問題の定義づけ】 【 定義づけ の根拠】の 3つ の概念的カテ ゴリが見出された。

【 問題の明確化】は ,『 問題 (行 動 )の 確認』 『現 行のかかわ りの確認』『現行の取 り組みの確認』

『プレイセラピーでの言動の確認』 『プレイセラピー の契約の確認』『 プ レイセラピーの必要性の確認』

『介入の 目的の確認』 『 ニーズの確認』の 8つ の焦 点的コー ドで構成 されていた。【問題の定義づけ】

は ,『 児童の問題 (行 動 )の 同定』 『児童の問題 (行

動 )の 意味』 『児童の問題 (行 動 )の 深亥 J度 』 『児童 の問題 (行 動 )の 心理的背景』 『周囲への影響』 『 プ レイセ ラピーの適応』『 プ レイセラピーでの言動 の意味』 『児童に対す る心理学的見立て』 『思春期 の予測』 『 事件の心理的背景』 『事件の心理的影響』

『職員 と児童の状態の関連の見立て』 『職員に対す る見立て』 『職員の不適切なかかわ り』 『職員 との 甑齢の再定義』 『施設への見立て』の16の 焦点的 コー ドか ら構成 されていた。【定義づけの根拠】

は ,『 専門知識』 『児童に対す る心理学的見立て』

『 問題 に対す る見立て』 の3つ の焦点的 コー ドか ら構成 されていた。

考察  BrOwn et al.(2001)に よる と ,問 題 の

定義づけの段階は ,コ ンサルタン トとコンサルティ

(7)

鹿 児島純心女 子大学大学院   人間科学研 究科紀 要   第 9号

の専門性 の違いや ,当 事者 と第二者 とい う立場 の 違 いに よる問題 に対す る見 え方 の違 いに関 して話 し合い ,す り合わせ を行 うプ ロセ スである。 よつ て ,コ ンサルテー シ ョンを方 向づ ける上で極 めて 重要なプ ロセス とい える。その ことを踏 まえると

,

I問 題 の定義づ けの根拠 】 とい う概念的カテ ゴ リ が見出 され た ことは興味深い。 問題 の定義づ けの 根拠 に関す る多角的な情報提供 を コンサルテ ィヘ 行 うこ とで, コンサルテ ィが コンサル タン トの専 門性 を取 り入れ ,新 たな視点か ら問題 を理解す る ことを助 けていると考え られ るためである cま

,

根拠 の説 明 を行 うことに よって コンサルテ ィの心 理的な視点 を養 うことができ ,  コンサルテ ィの成 長お よび支援 スキルの向上 を助 けるかかわ りで も あ る。本研究にお けるコンサルテー シ ョンではそ れ が意図的かつ強力 に推 し進 め られていた と考 え ることができ,  コンサルタン トのコンサルテーション の方向づ けが反映 された結果 と言 えよ う。

かかわ り方の選定

か かわ り方 の選 定 は ,BrOwn et al.(2001)の コンサルテー シ ョンプ ロセ スに順 じてお り ,【 か かわ り方の代替案 (→ 児童 )】 【かかわ り方 の代替 案 (プ レイセラピー )】 【 かかわり方の代替案 (コ ン サルティ→職員・施設 )】 【 かかわ り方の代替案

(施 設→職員 )】 【 かかわ り方の代替案 (施 設→関 連機関 )】 【 かかわ り方の代替案 (支 援の構造 )】

【 かかわ り方の代替案 (コ ンサルタン トの直接介 入 )】 【かかわ りの 目的】 【 代替案の根拠】の 9 つの概念的カテゴリが抽出された。

【 かかわ り方の代替案 (→ 児童 )】 は ,『 問題に 即 したかかわ り方』 『具体的なかかわり方』 『 問題

(行 動 )の 予防』 ,『 周囲の児童への働きかけ』の 4 つの焦点的コー ドから構成 された。【かかわ り方 の代替案 (プ レイセラピー )】 は ,『 問題に即 した かかわ り方』 『具体的なかかわり方』 『ブレイセラ ピーの構造化』 『プレイセラピーの制限』 『プレイ セラピーの受容的かかわり方』の 5つ の焦点的コー ドから構成されていた。【 かかわり方の代替案 (コ ン サルティ→職員・施設 )】 は ,『 問題に即 したかか わ り方』 『心理教育』 『具体的なかかわ り方』 『情

報収集』 『職員 との連携』 『職員への介入』の 6つ の焦点的 コー ドか ら構成 されていた。 【かかわ り 方の代替案 (施 設→職員 )】 は ,『 カウンセ リング の勧奨』『情報の共有』『職員に対す る指導』 『 職 員への働 きかけ』 『職員の育成』 の5つ の焦点的 コー ドか ら構成 されていた。 1か かわ り方の代替 案 (施 設→関連機関 )】 は ,『 学校 との連携』 『 児相 との連携』 『 関連機関との連携』 『医療機関の受診』

の4つ の焦点的 コー ドか ら構成 されていた。 【か かわ り方の代替案 (支 援の構造 )】 は『情報収集』

『 心理的ケアの実施』 『 優先順位の再考』 『 環境調 整』 『 支援者の選定』 『職員 とのカウンセ リングの 再構造化』 『危機対応 として再構造化』 『 施設の支 援体制の再構造化』の8つ の焦点的コー ドか ら構 成 されていた。 【かかわ り方の代替案 (コ ンサル タン トの直接介入 )】 は ,焦 点的 コー ド『 心理業 務に関す る書類の作成 と活用』から構成 されてい た。 【かかわ りの 目的 Iは ,『 対象の内在化』 『児 童のセル フコン トロールの向上』 『 望ま しい行動 の維持』 『 自己理解 と他者理解』 『職員の自己理解』

『職員のカウンセ リングの目的』の 6つ の焦点的コー ドか ら構成 されていた。 【 代替案の根拠】は ,『 専 門知識』 『児童に対する心理学的見立て』 『職員に 対す る見立て』 『 コンサルテ ィと職員の認識のず れの見立て』『職員 との情報共有』 の5つ の焦点 的コー ドか ら構成 されていた。

考察   かかわ り方の選定の概念カテゴリお よび 焦点的コー ドを大別すると, コンサルティや職員

,

施設か ら児童や職員に対 して心理的観 ,点 か ら提出 されたかかわ りの代替案 ,心 理業務 を円滑に進め るためのワークや書類の提案 ,そ してそれ らの活 か し方 ,そ れ らを実施す る目的 ,か かわ りの根拠 等から構成 されていた。この分類では ,焦 点的コー ドの数が 44と 最多であ り ,様 々な角度か ら多様 な助言が行われていることが示 された。

また ,Iか かわりの根拠】は,Brown et al.(2001)

には明確に示 されていない。本研究におけるコン

サルテーシ ョンでは ,コ ンサルティになぜそのか

かわ りを行 うのかを十分に理解 してもらい ,納 得

した上でそのかかわ りを行 つてもらうために行わ

(8)

れた と考 え られ る。 これ は ,先 にも触れた よ うに

,

異なる専 P5性 を持つ者が協働 してい くコンサルテー シ ョンゆえの発話であるの と同時に ,コ ンサルティ の成長 を促すかかわ りを意図す るかかわ りだ と言 えるだ ろ う。

コンサルテ イの発話

コンサルテ ィの発話 は ,随 所 に出現 した コンサ ルテ ィ自身の見解や思い等の コンサルテ ィの発話 に対 して ,新 たに分類枠 を与 え, コー ド化 と概念 カテ ゴ リを付与 した ものであ る。 【見立て】 【 確 認 】 【 報告 】 【自己開示 】の4つ の概念 的カテ ゴ

リが抽 出 された。

【 見立て】は ,『 児童 に対す る見立て』 『 職員 に 対す る見立て』 『 施設全体の問題 に対す る見立て』

の3つ の焦点的 コー ドで構成 されていた cI確 認 】 は ,焦 ,点 的 コー ド『 かかわ りの確認』か ら構成 さ れ ていた。 【 報告 】は ,『 児童 の経過報告』『 職員 の経過報告』『 助 言 され た介入 の実施』 の3つ の 焦点 的 コー ドか ら構成 され ていた。 【自己開示 】 は ,『 児童 に対す る心配』『 児童 へ の思い』 『 気づ き』『 落胆』『 納得 のいかな さ』『 心理業務 に対す る見直 し』 『 心理 に対す る施設職員 の理解 のな さ』

『 心理 業務 の展 望』『 自分 の状 態 に対 す る懸念 』

『 職員 へ の とま どい』『職員 に対す る懸念』『 業務 向上へ の期待』『職員 との甑齢』『 自責』『反省』

『 同意』 『 安堵感』 『 希望 。展望』 『 介入 の意思表示』

の 19の 焦 ,点 的 コー ドか ら構成 され ていた。

考 察   ここにはBrown et al.(2001)の 枠組 み に当てはま らない内容 の うち ,コ ンサルテ ィによ る見立て ,確 認 ,報 ,  自己開示 な どが分類 され た。 ここに含 まれ る問題や児童 に対す るコンサル テ ィの見立て ,児 童や職員 に対す るコンサルテ ィ の様 々な思いには ,コ ンサルテ ィに とつてのコン サルテニ シ ョンの意 味や位 置づ け ,コ ンサル タン トとの関係性 な どが反映 され る と考 え られ るため

,

コンサルテニ シ ョンプ ロセスを とらえる際の重要 な視点 とな り得 る。本研 究にお けるコンサルテ ィ は ,  自身 の見解 を積極的に述べ ,仕 事 をめ ぐる 自 分 の思 い を 自然 な表 現 で話 して い た こ とか ら

,

コンサル タン トとコンサルテ ィの間に良好な関係

児童養護施設職 員に対す る心理 コンサルテー シ ョンの質 的分析   福永真理奈 他

性 が築 かれ て い るの に加 え ,コ ンサル テ ィの内省 力や 表 現 力 が示 唆 され て い る とい えるだ ろ う。

コ ンサ ル タ ン トの発話

コンサル タン トの発話 は ,前 項 の コンサル テ ィ の発話 と同様 に ,  コンサル テー シ ョンプ ロセ スの 枠組 み を超 えて行 われ た コンサル タン トに よる印 象 や 要 望 ,お よび コンサル テ ィを支持 す る よ うな 発 話 に対 して ,新 た に分析 枠 を与 え ,  コー ド化 と 概念カテ ゴ リの設定を行 った ものである。 【 心理 教育】 【 エンパ ワメン ト】 【自己開示】 【報告】

の4つ の概念的カテゴリが見出された。

【 心理教育】は ,『 心理的ケアの特徴』 『児童の 問題 (行 動 )の 理解』『 予後 。予沢 1』 の3つ の焦点 的コー ドか ら構成 されていた。【 エンパ ワメン ト】

は ,『 コンサルティのかかわりに対する助言』『 コン サルティのかかわ りに対する支持』 『 コンサルティ の力量に対す る評価』の3つ の焦点的 コー ドか ら 構成 されていた。【自己開示】は ,『 クライエン ト

(職 員 )に 対す る印象』 『施設に対す る印象 ,『 コン サルティに対す る要望』 『職員に対す る要望』 『経 験か らの判断』の 5つ の焦点的コー ドか ら構成 さ れていた。 【 報告】は ,焦 点的 コー ド『 直接介入 の報告』か ら構成 されていた。

考察   ここにはコンサルティの発話 と同様に

,

Brown et al.(2001)の 枠組みで厳密 には分類で

きないコンサル タン トの発話が分類 された。その 内容は ,心 理教育 ,コ ンサルティに対す るエンパ ワメン ト, コンサルタン トの 自己開示, コンサル テ ィ自身が行つた直接介入の報告であった。

心理教育は ,問 題の定義づけやかかわ りの代替 案を提案する際の根拠 を超えてコンサルティヘ心 理学の専門知識を伝えていたセグメン トか らなる。

心理教育では, コンサルティの主訴に対 し直接的 な助言を行 うだけでなく ,よ リー般化 された知識

を授 ける傾向が見 られた。心理学的知識は ,コ

サルティが ,い 理担当職員 として成長 してい くため には必須のものであ り ,経 過・予後の予測を伝 え ることで ,コ ンサルテイが今後に備 え ,問 題 を事 前に防 ぐためのかかわ りだ と考えられ る。

それに加 えて ,エ ンパ ワメン トにおいて ,コ

(9)

鹿児 島純′ い女子大学大学院   人間科学研 究科紀要   第 9号

サルテ ィのかかわ りを支持 し ,肯 定的な評価 を行 うな ど ,コ ンサル タン トのサポーテ ィブなかかわ りが示 されていた。 ここで見出 されたプ ロセスは

,

支持的でカ ウンセ リング的 とも言 えるよ うなもの であった。

総合考察

本研 究 では ,児 童養護施設職員 に対 して実施 し た 14回 の 心 理 コ ンサル テ ー シ ョンに 関 して

,

Brown et al.(2001)の コンサルテー シ ョンプ ロ セ スの枠組 み ,佐 藤 (2008)の 質 的 デー タ分析 法 を用 い て分析 を行 つた。 BrOwn et al.(2001)で 挙 げ られてい るコンサル テー シ ョンプ ロセ スであ

るアセ スメン ト ,問 題 の定義づ け ,か かわ り方の 選 定 に加 え ,新 たに主訴, コンサルテ ィの発話

,

コンサル タン トの発話 の3分 類 が加 わ り ,計 6つ の分類が見出 された。 この結果 は ,本 研 究におい

て実施 された コンサルテー シ ョンが コンサルテー シ ョン としての枠組みに沿 つた ものであった こと を傍証す るの と同時に ,独 自の側 面 も併せ持 って いたことを示唆 している と言 えるだろ う。

主訴 な らびにアセ スメン トの概念的カテ ゴ リお よび焦点的 。定性的 コー ドには ,児 童養護施設 の 現状 が如 実 に反 映 され てお り ,こ れ ら2分 類 の内 容 に よつて ,児 童養護施設 な らびに入所児童が抱 える多様 な問題 ,そ れ に対す る施設 と職員のかか わ りの現状が明 らかに された。

続 く ,問 題 の定義づけ ,か かわ り方の選定は

,

コンサルテー シ ョンの中核 と言 える部分であ り

,

コンサルテー シ ョンとい う形態の支援が もつ最 も 特徴的な部分である。 ここで見出 された概念的カ テ ゴ リお よび 焦 点 的・ 定性 的 コー ドの 凡 そ は Brown et al.(2001)の 示唆に合致す るものであっ たが ,今 回 ,問 題 の定義づ け ,か かわ り方の選定

に共通 して見出 された 【問題 の定義づけの根拠 】 Iか かわ り方の選定の根拠 】は注 目すべ き概念的 カテ ゴ リであつた。そ もそ も問題 を定義づけ し

,

かかわ りの代替案 を提 出す るこの2プ ロセ スは

,

異な る専門性 をもつ コンサルテ ィ とコンサル タン トが相互の見方の摺 り合 わせ によつて ,問 題 を打 開す るための新 たな局面 を切 り開 くプ ロセスで あ る。本研究であれば ,コ ンサルテ ィがかかわ りに 苦慮す る児童 の心理的な問題 を ,コ ンサル タン ト

が′ い理 的観 ′ 点か ら再構成 し助言 を行 い ,コ ンサル

テ ィが 自分が所属す る児童養護施設 のその児童 に 対 して最 も適 した形へ と調整 を加 え ,  コンサルタン トに再度提 出 し ,双 方 の合意 に基づ き介入 に至 る とい うプ ロセ ス とい える。 BrOwn et al.(2001) では ,問 題 の定義づ けに して も ,か かわ り方の選

定に して も ,特 にその根拠 を説 明す ることについ ては言及 されていない。 だが ,問 題 の定義づ けの 根拠 を説 明す ることで, コンサルテ ィが コンサル タン トの専門性 を取 り入れ ,新 たな視′ 点か ら問題

を理解す ることを助 けてい くであろ うし ,か かわ

り方 の選 定の根拠は ,コ ンサルテ ィがなぜそのか かわ りを行 うのかを十分 に理解 し ,納 得 して支援 を実施 してい くことにつなが るだろ う。 さらに言 えば ,コ ンサルテ ィが もつ専門性 とは異なる心理 学的根拠 の十分な説 明は, コンサルテ ィの満足 と コンサルテー シ ョンの成否 に直結す る重要な要素 と考 え られ るのではないだろ うか。

一方 ,BrOwn et al.(2001)の コンサルテーション プロセスの枠組みに合致 しないコンサルティ ,  コン サル タン トの発話 における概念的カテ ゴ リお よび 焦点的 。定性 的 コー ドでは ,問 題や対象 に対す る コンサルテ ィの見立てや ,児 童や職員 さらに児童 養護施設での仕事に対す るコンサルテ ィの思いが

,

かたや コンサル タン トの発話 においては心理教育 やエ ンパ ワメン トとい うかかわ りが見 出 された。

これ らの知見か ら示唆 され るのは ,本 研 究で行 わ

れた コンサルテー シ ョンが ,異 な る専門性 をもつ

専門家 同士の ビジネ スライ クな意見助言 の交換 の

場ではな く ,相 互 の専門性 に基づ く対等 な支援 プ

ロセ スであるの と同時に ,時 には互 いに本音 を 口

に し ,迷 い悩む コンサルテ ィに共感 し ,支 える場

で もあつた とい うことである。心理 臨床 プ ロセ ス

(10)

は人 間 関係 を基盤 に進 展 し ,援 助者 と被 援助 者 は 双 方 が互 い に影 響 を及 ぼ し合 い ,プ ロセ ス を構 成 す る と言 わ れ て い る (岩 壁 ,2008)。 本 研 究 の結 果 は ,コ ンサル テ ー シ ョン もそ の例 に漏 れ ない こ

とを示唆 して い る と言 え るだ ろ う。

さ らに ,今 回 は児 童養 護 施 設職 員 へ対す る心理 コンサル テー シ ョンにつ いて ,そ の プ ロセ ス をす べ て コー ド化 し ,可 視 化 して示 した。 そ こで実 際 に行 われ て い る コンサル テ ー シ ョンプ ロセ ス は

,

Brown at al.(2001)に よ つ て 定 義 づ け され て い る コンサル テー シ ョンプ ロセ ス に ,  コンサル テ ィ とコンサル タ ン トの発 話 が加 わ る相 互 的 な援助 過 程 で あ る こ とが示 唆 され た。

また ,BrOwn at al.(2001)の コンサルテーション プロセスに該 当す るもの ,  しないものも含 め ,コ ンサ

ル テ ィの発 話 に基づ くコー ドや カテ ゴ リは ,児 童 養護 施 設 な らび にそ こで働 く心理 担 当職 員 が抱 え てい る問題 ,そ こでの所感 ,業 務 改善 のためのニー ズ ,そ して コンサル テー シ ョンに対す る評価 な ど

,

コンサル テ ィの コンサル テー シ ョンヘ のニー ズで あ り ,コ ンサル テ ー シ ョンの動機 づ けを反 映す る もの で あ った。 これ らの情報 を的確 に整 理 して い くこ とで ,  コンサル テ ィす なわ ち児童養護施設職 員 の心理 コンサル テ ー シ ョンに求 め る もの を よ り 明確 にす るこ とは ,今 後行 われ る心理 コンサル テー シ ョンを さ らに施設 ,職 員 に とって有 用 な もの と す るの に必須 で あ る。

か たや コンサル タ ン ト側 の発 話 につ い て も ,よ

り精 査す る必要 が あ る。 特 に ,コ ンサル タ ン トの

発 話 単独 で の検 証 で は な く ,前 後 の コンサル テ ィ の発話 と組 み合 わせ ユ ニ ッ トと して取 り扱 うこ と で ,そ の機 能や意義 につ いて ,よ り妥 当な形 で検 討 してい くこ とが 可能 にな る と思 われ る。

一 方 で ,本 研 究 で は陪席 記録 をデ ー タ源 と して お り ,研 究者 の主観 に よ り情報 が取 捨選 択 してい た り ,  コ ンサル テ ィお よび コンサル タン トが本 来 意 図 してい た こ と と異 な る意 味 で情報 を提 えて し ま ってい る こ とが考 え られ ,厳 密 には客観性 が保

児童養護施設職 員 に対す る心理 コンサルテー シ ョンの質 的分析   福永真理奈 他

たれ てい ない。 また ,一 人 を対象 と したデ ー タの た め ,得 た知 見 を一般 化す る こ とはで きない。 本 研 究 を端 緒 と し ,さ らに研 究 を推 し進 めてい く必 要 が あ る。

付記

本研 究は ,第 1著者 が 2014年 1月 に鹿児 島純心女子大学大学院 に提 出 した修 士論 文の一部 に対 して新 た に考察 を加 え ,加 筆・

修 正 を行 った ものです。 お忙 しい 中 コンサルテ ィ と して研 究 に 協力 して くだ さつた児童養護施設職員 の Aさ んな らび に所属施設 の皆様 に厚 くお礼 を申 し上 げます。

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The qualitative analysis of psychological consultation in childrent home

FUKUNAGA Marina,WAKAVIOTO Junk0

The present study exalllined psychological consultations in children's home with qualitative analysis.14 psychological consultations were conducted for a psychological staff through 8months.The theoretical framework was a consultation process model(Brown,Pryzwansky,&

Schulte, 2001), and the qualitative analysis method was based on Sato(2008).It was found that 32 conceptual categories consisted of 155 focal cOdes. The consultation process as ̀̀Inain complaints'' and  assessments'' included various problems of  ё hildren and difficulty in childrent hOme.Though categories and codes in  problem definition'' and ̀̀strateg selection"

were generally coincident to Brown et al.(2001) framework, additional foundations on suggestions were characteristic. Speech of consultee and consultant,  、 vhich  、 vere original process frames, implicated that consultation processes were not only professional and equal helping processes but also coordinated and mutual.

KeyWords : childrent home, psychological cOnsultation, qualitative analysis

参照

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雑誌名 金沢大学日本史学研究室紀要: Bulletin of the Department of Japanese History Faculty of Letters Kanazawa University.