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高校生の学力向上要因の定量的分析 ( 概要 ) - ある県立高校の成績及び生活実態調査の個票データから - MJE15702 鈴木健 要旨 本研究の目的は ある埼玉県立高等学校の生徒の 入学から卒業までの 9 時点にわたり蓄積された模擬試験成績及び生活実態に関する個票データを用い 学力向上の要因を定

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【要旨】 本研究の目的は、ある埼玉県立高等学校の生徒の、入学から卒業までの 9 時点にわたり蓄積された模擬試験成績及び生 活実態に関する個票データを用い、学力向上の要因を定量的に分析し、学力向上・進学実績向上のために有効な策を探る ことにある。研究仮説として「高校 1、2 年時の学習時間が、受験期の学力に影響を与える」を立て、その下にクラスタ ー分析、重回帰分析などを行った。結果は、学習時間は 1、2 年の時も 3 年の時も同じように学力向上に効果があること、 1、2 年の学力を高めておくことが、入試時(センター試験)の学力を上げるのに効果が大きいことなど、仮説を支持す るものであった。また、国語の学力向上には読書が有効であること、部活動に充実を感じている生徒は、学力が伸びない ことなどの分析結果も得られた。これらを踏まえ、埼玉県教育委員会に対し、全県立高校において、1、2 年生時からの 学習時間確保の指導をおこなうこと、部活動と学力の関係の調査・研究を実施することの 2 つの政策提言を行った。 1. はじめに 1.1 本研究の目的 格差社会や階層化が言われる今日こそ、公立学校が果た す社会的な役割は大きくなっている。公立高校、特に進学 校においては、生徒の家庭の経済力によらず、資質・能力 に応じて、希望進路に進める学力を身につけさせることが、 保護者や生徒の期待にこたえる道である。 本研究では、ある公立高校の生徒を、個人単位で識別で きる進学、成績、生活実態の個票データ(以下、「個人レ ベルデータ」という)を用い、入学直後から大学入試セン ター試験に至るまで追跡する。そして 1 年生、2 年生の時 からの学習や生活が、どのように 3 年生の受験期の学力に 結びつくのかを、定量的に分析し明らかにする。この結果 に基づき学力・進学実績向上のための施策を提言する。 1.2 本研究における「学力」 本研究で取り上げる「学力」は、模擬試験等の偏差値で 表現されるいわゆる「従来型の学力」である。現在、文部 科学省や中央教育審議会は、これからは従来型の学力では なく、思考力・判断力・表現力が重視されるとの考え方を 示している1。しかし、今後も従来型学力の基礎としての 価値は失われることはなく、当面の生徒を希望する大学・ 学部へ進学させるために必要なのも、従来型の学力である ため、本論では従来型学力について論じる。 1.3 先行研究 学力についての研究は、これまで内外で数多く行われてき た。本論に近い観点のものとして、学力の差は、児童・生 1 文部科学省(2011)、中央教育審議会(2014) 徒個人の属性や能力の差によるところが大きく、学校間の 取り組みの差はほとんど影響しないとした川口(2008)や、 中高一貫校を対象に、生徒が獲得した学力の成果を進学先 大学の偏差値で測定した小塩ら(2009)の研究がある。 高校生の学習や生活の実態については、ベネッセコーポ レーションの行っている「学習基本調査」や「大学生の学 習・生活実態調査」が、今日のさまざまな研究や議論の基 礎資料となっている。 1.4 本研究の特色 本研究の特色は、ある埼玉県立高校(以下、A 高校と呼 ぶ)の生徒の個人レベルデータを使って、入学から卒業ま での成績と生活実態を追い、学力向上の要因を考察すると ころにある。学校単位の研究ではできなかった、生徒個人 の行動と選択が学力に及ぼす影響についての観察ができ、 新たな知見を得ることが期待できる。 1.5 研究の方法 高校生の学習時間についての全国調査によれば、高校生 の学習時間は、減少の傾向にあり、また受験期の 3 年生と、 受験を意識していない1、2 年生の間に大きな差があるこ とがわかっている2。しかし、高校 3 年間の学習内容には 系統性があるため、1、2 年で基礎を固めておくことは、3 年生で学力を伸ばすためにも重要であると考える。このこ とから、仮説「高校生 1、2 年時の学習時間は、受験期の 学力に影響を与える」を立てた。 この仮説を軸に、クラスター分析、相関分析等の予備的 な分析を行い、重回帰分析により、A 高校における学力形 2 ベネッセコーポレーション(2007)、同(2009)

高校生の学力向上要因の定量的分析(概要)

-ある県立高校の成績及び生活実態調査の個票データから- MJE15702 鈴木 健

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成の仕組みを解明する。そして、分析結果を考察して、一 般的な学力向上の要因を解明する。 2 調査データ概観 2.1 調査対象校について 調査対象の A 高校は、県立の全日制高校である。男女 共学で普通科と外国語科を有する。毎年多数の国公立大学 合格者がいる県内有数の進学校の一つであるが、「文武両 道」を掲げ、教科学習以外の部活動等を奨励することで、 生徒の心身の発達を図っている。その結果、ほとんどの生 徒が、3 年で引退するまで部活動に参加している。 2.2 使用するデータの取り扱いについて 2.2.1 使用するデータの種類、範囲について 今回の研究では、A 高校の平成 24(2012)年度と平成 25(2013)年度の卒業生 736 名のうち、1 浪以内の大学進 学者で、大学入試センター試験を受けた 713 名を今回の分 析の対象とし、入学から卒業までの模擬試験等の成績と生 徒実態調査の結果を使用する。 2.2.2 個人情報保護のための措置 データ提供を受けるにあたっては、個人情報保護のため 次の処理を行った。まず、一定のルールに基づき生徒固有 の ID 番号を作成し、上記のデータに付加した。その後、 組、番号、氏名、生年月日など個人の特定につながる情報 を除去し、個人情報を含まない研究用データを作成した。 2.2.3 データの時期区分について 生徒実態調査と模擬試験は時期により、表 1 のとおり区 分した。表中の太線は、3.4 の重回帰分析における前半と 後半の区分を示す。 表 1 生徒実態調査と模擬試験の時期区分 2.2.4 模擬試験データの取り扱いについて 模擬試験では、国語、数学、英語の各教科偏差値と、3 教科の偏差値の平均(以下、特に断らない限り 3 教科偏差 値という)を使用する。大学入試センター試験(自己採点) においては、一部に数学や国語を受験しない生徒がいるが、 その場合は 2 科目の平均をもって 3 教科偏差値とした。 模擬試験では、業者、種類や実施時期により偏差値に差 があることも考えられるが、適切な較正方法が不明なため、 特に加重はかけず、そのまま使用した。 2.2.5 学力の評価指標について 高校 3 年間の学習成果である学力の評価は、大学入試セ ンター試験の自己採点の偏差値(以下、センター試験自己 採点偏差値)によりおこなうこととした。 2.3 データ概観 2.3.1 生徒実態調査 生徒実態調査の質問項目は表2のとおりである。10 項 目のうち、「5 服装等規則順守」と「6 チャイム着席」は、 一部、回答と個人の紐づけが乱れている疑いがあったため、 除外した。「8 学習頻度」は、平成 22 年度以前と平成 23 年度以降では、質問内容が異なり、「9 平日学習時間」、「10 休日学習時間」との関係も不明なため、除外した。「7 高 校生活の充実」も解釈が困難であるため除外した。また 1 年生第 3 回(表1の時期3)については、調査結果が保存 されていなかったため、欠損値となっている。 表 2 生徒実態調査質問項目 2.3.2 模擬試験 模擬試験については、A 高校全体として、1 年最初の 1 年 7 月模試からセンター試験までの間に 3 教科偏差値が、 57.92 から 52.91 へ 5.01 下がっている(ただし、2.2.4 のと おり、これが学力低下に直結しているかは不明である)。 個人レベルでは、この間に偏差値を 10.98 上げた者や 26.18 下げた者もいる。先行研究の小塩ら(2009)は、入学した 学校の偏差値で進学先大学もほぼ決まると結論していた が、個人レベルで見れば、高校時代に学力を大きく伸ばせ る可能性があることがわかる。 略称 質問項目 回答選択肢 0=参加していない 部活動 (~22)部活動(同好会)は充実していて楽しいと思いますか。 1=充実していない 充実度 2=あまり充実していない (23~)部活動(同好会)は充実していますか。 3=充実 4=大変充実 0=やる気に欠けている 授業姿勢 1=やや受身である 2=前向きでよい 3=積極的で大変よい 月読書 0=0冊 1=1冊 2=2冊 冊数 3=3冊 4=4冊 5=5冊以上 0=していない 清掃整理 1=あまりしていない 2=だいたいしている 3=している 0=していない 服装等 1=あまりしていない 規則順守 2=だいたいしている 3=している 0=ほとんど守っていない チャイム 1=半分くらい守っていない 着席 2=だいたい守っている 3=毎時間できている 0=満足していない 1=あまり満足していない 高校生活 2=満足している 充実度 3=とても満足している 0=充実していない 1=あまり充実していない 2=充実している 3=とても充実している 学習頻度 (~22)授業の予習復習をしていますか。 0=まったくしていない 1=週1日 (23~)授業以外の学習をどれくらいしていますか。 2=週2~3日 3=週4日 4=毎日 0=1時間未満 1=1~2時間 平日学習 (~22)平日に家庭学習(授業以外)の学習をどれくらいしていますか。2=2~3時間  3=3~4時間 時間 (23~)平日に授業以外の学習をどれくらいしていますか。 4=4~5時間 5=5~6時間 6=6時間以上 0=1時間未満 1=1~2時間 休日学習 (~22)休日に家庭学習(授業以外)の学習をどれくらいしていますか。2=2~3時間  3=3~4時間 時間 4=4~5時間 5=5~6時間 (23~)休日に授業以外の学習をどれくらいしていますか。 6=6~7時間 7=7~8時間 8=8時間以上 1 2 5 あなたは、服装・頭髪規定を守ろうとしていますか。 6 あなたはチャイム着席を守っていますか。 あなたは授業に臨む自分自身の姿勢をどのように評価しますか。 3 1ヶ月に本(雑誌類は除く)を何冊くらい読みますか。 4 教室をきちんと整備(私物の整理・清掃)していますか。 9 10 7 (~22)あなたはA高校での高校生活に満足していますか (23~)あなたの高校生活は充実していますか。 8 時期 1 2 3 4 5 6 7 8 9 学年 2年 生徒 第1回 第2回 (欠落) 第1回 第2回 第3回 第1回 第2回 第3回 実態 5月 10月 3月 5月 10月 3月 5月 10月 12月 模擬 B社 B社 B社 B社 B社 B社 C社 C社 センター 試験等 7月 11月 1月 7月 11月 1月 5月 11月 1月 記述 記述 記述 記述 記述 記述 マーク マーク 1年 3年 前半 後半

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3. 分析 3.1 クラスター分析 非階層的クラスター分析(k 平均法)で、生徒実態調査 回答の類似度で、生徒を 3 グループに分類した。 「部活動」:部活動充実度が高く、3 年後半に学習時間 急増。 「読書」:読書量が多く、3 年後半にもあまり学習時間 が伸びない。 「コツコツ」:1、2 年生から学習時間が長く受験勉強の スタートも早い。 このグループ別に模擬試験の偏差値の推移を見ると、 「コツコツ」が終始上位で、センター試験自己採点でも高 い偏差値をとっている(図 1)。 図 1 クラスター分析グループ別の模試 3 教科偏差値推移 3.2 大学入試センター試験自己採点結果からの分析 センター試験自己採点成績の上位・下位約16%ずつの 生徒を取り出し、その特徴を分析した。上位層は、1 年生 の時から偏差値が高く、それを維持するが、下位層は、1 年生の時から偏差値が低く、差が拡大している(図 2)。 図 2 センター上位下位別の模試 3 教科偏差値推移 センター試験自己採点上位と下位の差を生徒実態調査 の回答で見ると、上位層は 3 年になると学習時間が伸び、 授業姿勢の積極性が増し、読書を控えるようになり、受験 に向けて高校生活の前半と後半のメリハリをつけている。 また、上位層は、下位層に比べ、一貫して部活充実度が低 いこともわかった。 3.3 卒業度間の差の分析 今回分析対象とした平成 24 年度卒と平成 25 年度卒の 2 つの学年間の模試偏差値の差の有無を見た(図 3)。 模試偏差値は、1、2 年の時は入れ替わるが、3 年になる と平成 24 年度卒が高くなり、センター試験自己採点でも 偏差値の平均が有意に高い。 図 3 卒業年度別の模試偏差値推移 生徒実態調査を見ると、平成 24 年度卒の方が、学習時 間の増加が早く、部活動充実度はほぼ同じ、授業姿勢もほ ぼ同じ、読書量は平成 24 年度卒の方が多くなっている。 卒業年度による差の原因は、今回のデータからは不明だ が、A 高校での聞き取りでは、平成 24 年度卒の学年は、 学年主任のリーダーシップの下、進路指導にも生徒指導に も担任が結束して取り組んでいた学年であったとのこと である。模擬試験偏差値の差が、学年の取り組み体制の違 いによって起きている可能性もある。 3.4 重回帰分析 3.2 で明らかになったように、A 高校でセンター試験自 己採点が上位になっている者は、高校生活の前半と後半で、 生活や学習時間等の様子が大きく異なる。生徒実態調査の 前半と後半、それぞれがセンター試験へ及ぼす影響を見た いが、多重共線性の問題は避けたい。また、ここで内生性 の検定を行ったところ、時期 6 の 2 年 1 月模擬試験の偏差 値は、センター試験自己採点の推計式において内生変数で あることがわかったため、高校生活を前後半に区切り(表 1 中の太線)、2 段階最小 2 乗法を用いることとした。 前半に達成された学力を、生徒実態調査の前半の結果を 説明変数とした式(式2)を推定し、その推定結果から得 た前半に達成された学力の予測値を、後半の推定式(式1) に代入して推定することとした。式1、式 2 とも推定の際 は、ステップワイズ法を用い、10%水準で変数選択をおこ なう。ただし生徒属性(卒業年度、性別、学科、理系)の 0.00 10.00 20.00 30.00 40.00 50.00 60.00 70.00 上位 下位 52.00 53.00 54.00 55.00 56.00 57.00 58.00 59.00 60.00 部活動 読書 コツコツ 49.00 50.00 51.00 52.00 53.00 54.00 55.00 56.00 57.00 58.00 59.00 H24 H25

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変数は、強制投入とした。また、式 1 については推定結果 に標準偏差の調整を行ったものを分析結果とした。 (式 1) センター偏差値 i=β1 後半部活動充実度 i+β2 後半授業 姿勢+β3 後半読書 i+β4 後半学習時間 i+β52 年 1 月模擬試験偏差値(予測値)i+β6 卒業年度 i+β7 女性 i+β8 学科 i+β9 理系 i +誤差項 1i (式 2) 2 年 1 月模擬試験偏差値 i=π1前半部活動充実度 i+π2前

半授業姿勢 i+π3前半読書 i+π4前半学習時間 i+π5

卒業年度+π6女性 i+π7学科 i+π81 年 7 月模擬試験 偏差値 i+誤差項 2i 重回帰分析の結果は表 3 のとおりである。 表 3 重回帰分析結果 分析結果からの考察を下記①~⑩にまとめた。 ① 前後半とも学習時間の係数が有意に正である。全期 間で学習時間を増やせば、学力は上がるといえる。 ② 月読書冊数の係数は、3 教科と国語で前半が有意に 正である。読書は学力を高めるのに有効であるといえ る。特に国語の学力への効果は大きい。 ③ 卒業年度の係数が、前半は有意に負、後半は有意に 正と逆転している。何らかのきっかけで学年単位の学 力が大きく変化する可能性がある。 ④ 過去の偏差値(前半は 1 年 7 月模擬試験、後半は 2 年 1 月模擬試験の予測値)の係数が有意に正で、係数 も大きくなっている。学力向上には、高校生活前半か ら学力を高めておくことが有効といえる。 ⑤ 授業姿勢の係数は、後半の 3 教科と英語で有意に正 である。3 年生の時の積極的な授業姿勢が学力向上に つながるといえる。 ⑥ 部活動充実度は、前半の国語を除いて、すべて係数 が有意に負である。部活動充実度が高いと成績は低下 するといえる。この点については、3.5 で述べる。 ⑦ 3 教科の「理系」の係数が負となっているが、3 教 科の国・数・英という組み合わせのためである可能性 があり、理系の学力が低いとは即断できない。 ⑧ 国語では、有意になる変数が少ないことや前半の調 整済み決定係数が低いことから、通常の学習ではなく、 読書や、今回の調査項目にはない要因で、学力が形成 されている可能性がある。 ⑨ 数学では、国語と異なり、前・後半とも学習時間の 係数が有意に正であり、学習時間を確保することが学 力向上につながる。 ⑩ 英語では、数学と同様、前・後半とも学習の係数が 有意に正であり、学習時間の確保が大切である。後半 の授業姿勢が有意に正であるのも英語の特徴である。 英語は学校で積極的に授業を受け、時間をかけて学習 すべき教科であることがうかがえる。 3.5 部活充実度と学力の関係について 3.4 で明らかになった部活動充実度と学力の関係につい て考察するため、部活動充実度の 2 年生平均を使い、回答 中央値の 2.5 で「充実」と「非充実」に 2 分し、模試 3 教 科偏差値の推移を見た(図 4)。 「充実」グループは、1 年 7 月模試では有意に「非充実」 より偏差値が高いが、センター試験では有意に「非充実」 より偏差値が低く、学力の逆転が起きている。 図 4 部活動充実度別の模試 3 教科偏差値推移 ただし、卒業年度と部活動充実度のクロス表を作成して みると、平成 24 年度卒かつ「非充実」グループのセンタ ー試験自己採点偏差値が特に高いことがわかる。今回のデ ータに現れた「充実」と「非充実」の差には、部活動充実 度だけでなく、卒業年度(学年)の違いによる部分も大き い可能性がある(表 4)。 【回帰結果(高校後半)】 被説明変数:センター試験偏差値 3教科 有意 国語 有意 数学 有意 英語 有意 部活動充実度(後) -0.522 *** -0.923 *** -0.581 * 授業姿勢(後) 0.671 ** 1.124 *** 月読書冊数(後) -0.623 *** -1.486 *** -1.238 *** 学習時間(後) 0.087 *** 0.082 * 0.153 *** 2年1月模試予測値 0.820 *** 1.084 *** 0.605 *** 0.574 *** 卒業年度 1.312 *** 0.988 2.885 *** -0.017 女性 -0.986 *** -2.142 *** -0.513 -1.954 *** 学科 0.776 -2.096 * 2.908 * 1.451 ** 理系 -1.292 *** -3.481 *** 3.538 *** -0.720 * 定数項 6.160 * -6.049 16.882 *** 18.408 *** 【1段階目(高校前半)】被説明変数:2年1月模試偏差値 3教科 有意 国語 有意 数学 有意 英語 有意 部活動充実度(前) -0.433 ** -0.747 ** -0.757 ** 授業姿勢(前) 月読書冊数(前) 0.331 ** 1.088 *** 学習時間(前) 0.093 ** 0.155 ** 0.136 ** 1年7月模試 0.605 *** 0.349 *** 0.502 *** 0.556 *** 卒業年度 -1.050 *** -0.178 -2.627 *** -0.633 女性 -0.758 ** 0.917 * -2.186 *** -0.73 学科 0.12 -1.01 -2.927 *** 3.177 *** 定数項 21.562 *** 34.877 *** 26.204 *** 27.503 *** * p<0.1(10%水準で有意), ** p<0.05(5%水準で有意), *** p<0.01(1%水準で有意) 50.00 51.00 52.00 53.00 54.00 55.00 56.00 57.00 58.00 59.00 充実 非充実

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表 4 部活動充実度と卒業年度クロス表 部活動充実度と学力の関係については、今後、「生徒が 感じている部活動充実度とは何か」を解明しなければ、明 らかにできないと考える。生徒の学力向上を図るためには、 早急に取り組むべき課題である。 3.6 結論 3.4 の重回帰分析では、学習時間と学力は、全期間にわ たり正の相関関係があり、2 年生までの積み上げが、セン ター試験の偏差値に強い相関を持つことが示された。3.1、 3.2 では、早めに学習時間を増やし始めた方がセンター試 験の偏差値が高いという結果が出た。これらから、仮説「高 校 1、2 年時の学習時間が、受験期の学力に影響を与える」 については立証されたと考える。また仮説以外に、受験期 以前の読書は学力を上げるのに有効であること、部活動に 充実を感じている生徒は、学力が伸び悩む傾向があること もわかった。 4. 政策提言 4.1 A 高校への提言 4.1.1 「1、2 年生時の学習時間を確保すること」 A 高校の学習時間は、全国調査(ベネッセコーポレーシ ョン(2007))と比較して短い。2 年生第 2 回生徒実態調 査の平日学習時間 85.8 分で、全国調査の普通科高校全体 の 70.5 分よりは長いが、「偏差値 55 以上」の 105.1 分より は、約 20 分短い。また、回答比率でも、A 高校は、2 時 間未満までの合計が 87.4%で、「偏差値 55 以上」の 47.8% よりはるかに多い。A 高校の学習時間は、進学校としては 多いとは言えない。 3.6 の結論から、A 高校の学力を向上させるためには、3 年の時だけではなく、1、2 年から学習時間を確保するよ う指導することが、有効な策であると考える。 4.1.2 「学力差拡大を防止すること」 A 高校においては、高校 3 年間の間に学力下位層がさら に学力を低下させ、差が拡大している。原因究明と防止策 が必要である。 4.2 埼玉県教育委員会への提言 4.2.1 「1、2 年生時からの学習時間確保の指導をおこな うこと」 生徒に学習を促すことは、当然のことであるためか、こ れまで施策としておこなわれることはなかった。しかし、 高校生の学習時間がきわめて少なくなっている今日では、 生徒に 1、2 年生の時からの学習時間確保を指導すること は有効な策であろう。県教育委員会に、全県立高校で学習 時間確保の指導を実施することを提言する。 4.2.2 「部活動と学力の関係の調査・研究を実施すること」 A 高校と同様に、部活動に充実感を感じている生徒の学 力が伸び悩む現象は、他の高校でも起きる可能性がある。 部活動についてはさまざまな効用が言われてきた3。しか し、学力向上とのバランスをとることも必要である。県教 育委員会が、部活動と学力の関係を調査・研究し、それぞ れの学校の実態や目標にあった部活動の在り方を定めら れるよう、指導・助言すべきである。 5. おわりに 今回の研究では、個人レベルのデータを使用することで、 学校全体と、個人やグループの学力は異なる動きをするこ とがわかった。また、学習時間の確保や継続の効果、読書 の国語への影響などが、実際に一人一人の生徒の上に起き ているのを見ることができた。 一方で、今回の研究では分析に利用できたデータが少な く、データから見いだされた現象が、一般的問題なのか、 特殊な事例なのか判断できないことがあった。より多くの 高校のデータを集め、高校生の学力形成・学力向上の要因 を探ることが、今後の課題である。これと関連して、学習・ 生活実態の調査法の研究も課題である。「何を知るべきか」 という調査項目の研究と、効率よく調査をおこなうための 調査法の研究も課題である。 【主要参考文献】 小塩隆士、佐野晋平、末冨 芳 (2009)「教育の生産関数 の推計-中高一貫校の場合」『経済分析』第 182 号内 閣府経済総合研究所、pp.48-69 苅谷剛彦(2001)『階層化日本と教育危機―不平等再生産 から意欲格差社会(インセンティブ・ディバイド)へ』 有信堂高文社 川口俊明(2008)「『効果的な学校』に社会的不平等の救済 はできるのか?-マルチレベルモデルをもちいた『学 校の効果』の分析」『日本教育社会学会第 60 回大会発 表要旨集録』pp.125-126 3 中澤(2014)、pp317-328 非充実 充実 Total H24卒 69 293 362 54.65 52.90 53.24 H25卒 62 294 356 52.87 52.51 52.57 Total 131 587 718 53.83 52.71 52.91 上段は度数、下段は3教科偏差値平均

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中央教育審議会(2014)『新しい時代にふさわしい高大接 続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学 者選抜の一体的改革について』 中澤篤史(2014)『運動部活動の戦後と現在―なぜスポー ツは学校教育に結び付けられるか』青弓社 ベネッセコーポレーション(2007)『第 4 回 学習基本調 査・国内調査報告書 高校生版』 ベネッセコーポレーション(2009)『第 1 回大学生の学習・ 生活実態調報告書』 文部科学省(2011)「現行学習指導要領の基本的な考え方」 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/index. htm、2015/12/30 最終閲覧

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