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(1)

この講義について

作成日

: April 14, 2011 Version : 1.1

担当教官: 川平 友規(かわひら ともき)

担当 TA : 若狭 尊裕(わかさ たかひろ,博士課程 1 年,理 1-252 号室)

講義ウェブサイト:

http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~kawahira/courses/11S-kansuron.html

配布されたプリントが pdf 形式でダウンロードできます.また,毎週の進捗状況について コメントしていきます.

本授業の目的およびねらい(全学シラバスより) : 複素数を変数とする複素関数は,自然 科学のさまざまな場面に現れ,基本的役割を果たしているとともに幅広い応用を持ってい る.特に,複素関数の微積分は,実関数の微積分とは全く異なった美しい統一的な世界を 形作っており,一方で,自然科学への応用上重要なベクトル解析とも深い関係にある.本 科目では,ベクトル解析の基礎を学びながら,複素関数の微積分の基礎,特に正則関数の 基本的性質について理解することを目的とする.

授業内容(全学シラバスより.一部訂正あり. ) :

(1) 複素数平面.複素数の幾何学的表示を理解し,その基本的な演算に習熟する.

(キーワード)複素数平面,絶対値,偏角と主値,オイラーの公式,1の n 乗根

(2) 複素関数の微分.複素関数としての微分について学び,正則関数,コーシー・リーマ ンの定理を理解する.また,指数関数などの基本的な正則関数の例に習熟する.

(キーワード)正則関数,コーシー・リーマンの定理,初等関数

(3) 平面上のベクトル解析. 平面上の関数に対する線積分を学び,グリーンの定理,ガウ スの発散定理などの積分公式を理解する.

(キーワード)線積分,勾配・発散・回転,グリーンの定理,ガウスの発散定理

(4) 複素関数の積分とコーシーの定理. 複素関数の積分について学び,グリーンの定理を 通してコーシーの定理を理解する.

(キーワード)複素積分,コーシーの定理

参考書: 教科書は指定しないが,複素関数論の本はたくさんあるので,各自の好みでど れかひとつを参考書として持っておくことが望ましい. (薄くてコンパクトなものが良い. ) 以下はその一例である.

● 樋口禎一ほか『現代複素関数通論』培風館(バランスがよく,微積も復習できる)

● 今吉洋一『複素関数概説』サイエンス社(昨年度のテキスト)

● 神保道夫『複素関数入門』岩波書店(昨年度の参考書)

● 高橋礼司『複素解析』東京大学出版会(饒舌だが読み物として)

● L.V. アールフォルス『複素解析』現代数学社(古典.読み物として)

演習問題について: ときどき演習問題プリントを配布します.

(2)

中間試験および期末試験をそれぞれ 50 点満点で評価し,合計点 100 点満点中 60 点 以上を合格とする.

成績は 59 点以下を不可,60 − 69 点を可,70 − 79 点を良,80 点以上を優とする.

演習問題を解いてレポートとして提出することにより,成績に加点する.とくに出 席状況や中間試験の成績が芳しくない受講者には,レポートの提出を義務付ける場 合がある.

出席: 授業の前半に出席を取ります.

小テスト: 皆さんの理解度を確認するため,ときどき小テストを実施します.出題内容 は,演習問題をベースにした基本的な問題です.

レポートの様式: 必ず A4 ルーズリーフもしくは A4 レ ポート用紙を使用し,右図のような表紙をつけてくださ い.また,必ず左上をホチキス等でとめてください.

 毎回の授業開始前に教壇前の机に提出しておいてくだ さい.学期中ならばいつ,どの問題を提出してもかまい ません.受講者同士で協力し合い,グループで解答して もかまいません.

数理 太郎

問題 1‑1      1‑2                 1‑3 提出日:4/30

・名前は上の方に大きく書く.

・左上をホチキスで留める.

・解いた問題の番号,提出日を書く.

・裏面はなるだけ使わない.

複素関数論レポート

オフィスアワー: 授業中・授業前後の質問は大歓迎です.それ以外の時間に質問したい場 合は,ぜひオフィスアワー(教員ごとの質問受付時間)を活用してください.私のオフィ スアワーは,Cafe David(カフェ・ダヴィド)という合同のオフィスアワー内に設定して います.Cafe David は月曜から金曜の 12:00-13:30 にオープンし,コーヒー・紅茶を無料 で提供しています.私の担当は金曜日です.その他のスタッフ(名札をつけています)も 待機しているので,自由に質問していただいてかまいません.数理学科の学部生・院生も たくさんいるので,勉強のこと,進路のことなど,情報収集の場としても活用してくだ さい.

よく使う記号など:数の集合

(1) C : 複素数全体 (2) R : 実数全体 (3) Q : 有理数全体 (4) Z : 整数全体 (5) N : 自然数全体 (6) x R : x は実数 ギリシャ文字

(1) α: アルファ (2) β: ベータ (3) γ, Γ: ガンマ (4) δ, ∆: デルタ (5) ϵ: イプシロン (6) ζ: ゼータ (7) η: エータ (8) θ, Θ: シータ (9) ι: イオタ (10) κ: カッパ (11) λ, Λ: ラムダ (12) µ: ミュー (13) ν: ニュー (14) ξ, Ξ: クシー (15) o: オミクロン (16) π, Π: パイ (17) ρ: ロー (18) σ, Σ: シグマ (19) τ : タウ (20) υ, Υ: ウプシロン (21) ϕ, Φ: ファイ (22) χ: カイ (23) ψ, Ψ: プサイ (24) ω, Ω: オメガ

URL: http://www.math.nagoya-u.ac.jp/˜kawahira/

名古屋大学・理学部・数理学科

(3)

複素数と複素平面

作成日: April 21, 2011 Version : 1.1

複素数の「正当化」

方程式 x

2

= 2 の解は ±

2 と表されるが,そもそも

2 というのは「 2 乗したら 2 になる数」

を表す記号であって,有理数の世界から見ればその存在すら未知である. (もちろん値も不明であ る. )にもかかわらず,文字式の要領で

(1 +

2)(3

2) = 3 2 + 3

2 ( 2)

2

これは2で置き換え

= 1 + 2 2

といった計算は可能である.この計算は有理数に無理数を加えた「実数」という概念を導入する ことで正当化できるのであった.

1

同様に,方程式 x

2

= −1 の解(のひとつ)として,記号

−1 を導入してみよう.すなわち,

1 は「 2 乗したら 1 になる数」であり,実数ではない.すると,文字式の要領で

(1 +

1)(3

1) = 3

1 + 3

1 (

1)

2

これは1で置き換え

= 4 + 2

1 といった計算ができる.この計算を正当化するために,数の体系を拡張しよう.

一旦この未知なる数

1 の存在は仮定して話を進める.また慣例にしたがって,

1 は文字 i で表すことにする.一般に ab を実数とするとき, a + bi の形の数(文字式)を複素数 (complex

number) と呼ぶ.また,複素数全体の集合を記号

C

で表す.すなわち,

C

:= { a + bi : a, b

R}

.

b = 0 の場合,複素数 a + 0i を単に a と表し,これを実数 a だと思うことにすれば,集合

C

は 実数全体の集合

R

を含む集合だと考えられる.

さて先ほどの計算を正当化するために,次のようにして

C

の計算規則(四則)を定義する:

2

複素数の四則. z = a + bi, w = c + di

C

とするとき,

(C0) a + bi = 0 : ⇐⇒ a = b = 0 ( ⇐⇒ a

2

+ b

2

= 0) (C1) z ± w := (a ± c) + (b ± d)i

(C2) zw := (ac bd) + (ad + bc)i (C3) w ̸ = 0 のとき, z

w := ac + bd

c

2

+ d

2

+ ad + bc c

2

+ d

2

i

注意

.

(C0) と (C1) より, a + bi = c + di ⇐⇒ (a c) + (b d)i = 0 ⇐⇒ a = c かつ b = d を 得る.すなわち,与えられた複素数 z にたいして, z = a + bi という表現は一通りに定まる.

実部,虚部,共役複素数

.

複素数 z = a + bi にたいし,実数 az の実部 (real part) 実数 bz の虚部 (imaginary part) とよび,

a = Re z, b = Im z

1裏を返すと,厳密な定義が与えられる以前(19世紀まで)の無理数とは「存在すると仮定すると万事説明がつくも

(4)

と表す.また,実部が a ,虚部が −b となる複素数を z の共役複素数 (complex conjugate of z) と よび, z = a bi と表す.以下の公式は簡単にわかる:

公式

1-1

z = a + bi, w を複素数とするとき,以下が成り立つ:

(1) (z) = z (2) z + w = z + w (3) zw = z w (4)

(

z

w

)

= z w (5) Re z = z + z

2 (6) Im z = z z

2i (7) zz = a

2

+ b

2

( 0)

複素平面と極形式

いわゆる xy 平面を

R2

で表そう.すなわち,

R2

:= { (x, y) : x, y

R}

. これは集合

C

の定義

C

:= { x + yi : x, y

R}

. とよく似ている.いや,同じと考えてしまおう:

複素数 x + yi はベクトル (x, y) の,集合

C

R2

の別名として改めて定義しなおす.

この時点で,未知の数 i

C

(0, 1)

R2

の別名だということになり,その存在が正当化され る.四則に関して言えば, (C1) は

R2

内でのベクトルの和と差の定義

(a, b) ± (c, d) := (a ± c, b ± d)

を,名前(記号)を変えて言い換えただけである.また (C2) は,ベクトルに「新しい積」

(a, b) · (c, d) := (ac bd, ad + bc)

を導入した,ということになる.以上で,集合

C

とその計算規則がきちんと定義された.

3

複素平面. さて集合

R2

xy 平面と呼ばれるように,集合

C

は複素平面 (complex plane) と呼 ばれる. xy 平面の種々の要素につけられた名前を消して(忘れて),改めて命名し直したのが複 素平面だ,と考えればよい.すなわち, x 軸は実軸 (real axis) と改名され, y 軸は虚軸 (imaginary axis) と改名される.原点 O= (0, 0) は複素数 z = 0 となるが,これも便宜上原点 (origin) と呼ぶ ことが多い.

絶対値と偏角

.

さて複素数 z = x + yi と 0 の複素平面上での距離(すなわち xy 平面上の距離)

z の絶対値 (absolute value) もしくは長さ (modulus) とよび, | z | で表す.公式 1-1 より,

| z | =

x

2

+ y

2

= zz.

また, z ̸ = 0 と 0 を結ぶ線分と実軸の正の方向のなす角を z の偏角 (argument) とよび,仰々し いが arg z と表す.

4

偏角は普通ラジアン (radian) で測り,必要に応じて 2π の整数倍を加減する.

たとえば, arg i = π/2 とするのが普通だが, arg i = 5π/2 や arg i = −3π/2 も認める.もちろん

3ちなみに,実数a∈RC(a,0)R2 の別名だ,ということになる.

4arg 0は考えない.

(5)

0 arg z < 2π となるように値を固定することもできるが,そのような自由度を残しておくほう があとで都合がよいのである.

極表示. 複素数 z = x+ yi ̸ = 0 において, r = | z | > 0 , arg z = θ とすれば, x = r cos θ, y = r sin θ が成り立つ.複素数 zz = r(cos θ + i sin θ) と表したものを, z の極表示 (polar representation) と呼ぶ. ( 11/04/14( 木 ) はここまで. )

5

たとえば,

1 = cos 0 + i sin 0 i = cos π

2 + i sin π 2

−1 = cos π + i sin π −i = cos 3π

2 + i sin 3π 2 1 + i =

2(cos π

4 + i sin π

4 )

3 + i = 2(cos 5π

6 + i sin 5π 6 ) あとで見るように,この極表示はものすごく便利である.

和・積の幾何学的意味

さて

C

における四則を平面上に図示してみよう.和と差は本質的にベクトルのそれであるから,

平行四辺形の頂点として作図できる.

積の作図が一番面白い.試みに, z = x + yi にたいして, iz = i(x + yi) = y + xi を図示してみ よう.ちょうど,原点中心の π/2 回転になっていることがわかる.同様に i(iz) = z = x yii( z) = y xi を作図すると,結果として z, iz, i

2

z, i

3

z がひとつの正方形の頂点をなすことがわ かる.とくに,

複素数に i を掛けると

C

内で π/2 回転, 1 = i

2

を掛けると

C

内で π 回転.

というのは面白い.これはベクトルにはない不思議である.一般化してみよう.回転というキー ワードに着目して,複素数 zw をそれぞれ極表示する:

z = r(cos θ + i sin θ), w = r

(cos θ

+ i sin θ

).

これらの積は三角関数の加法定理により

zw = rr

(cos θ + i sin θ)(cos θ

+ i sin θ

)

= rr

{

(cos θ cos θ

sin θ sin θ

) + i(sin θ cos θ

+ cos θ sin θ

)

}

= rr

{

cos(θ + θ

) + i sin(θ + θ

)

}

を得る.試しに w = i とすれば, r

= 1, θ

= π/2 より iz = r { cos(θ + π/2) + i sin(θ + π/2) } なり, 「 π/2 回転」という性質を完璧に記述している.すばらしい.一般に,次が成り立つ:

公式

1-2.

複素数 z, w ̸ = 0 にたいし,次が成り立つ:

(1) | zw | = | z | | w | かつ arg zw = arg z + arg w (2) z

w

= | z |

| w | かつ arg z

w = arg z arg w

(6)

標語的にいうと: 「複素数の積」 ⇐⇒ 「絶対値の積」と「偏角の和」

「複素数の商」 ⇐⇒ 「絶対値の商」と「偏角の差」

この性質は,べき乗の計算でもっとも威力を発揮する.たとえば,数学的帰納法を用いれば,次 の公式が証明される:

公式

1-3 (de Moivre

の公式

)

z = r(cos θ + i sin θ) とするとき,任意の整数 n にたいし z

n

= r

n

(cos + i sin nθ) が成り立つ.

.

A = (1 +

3 i)

10

を計算してみよう. (まじめに計算すると悲劇である. ) 1 +

3 i = 2(cos π 3 + i sin π

3 ) であるから, de Moivre の公式より A = 2

10

(cos 10π

3 + i sin 10π

3 ) = 1024(cos 4π

3 + i sin 4π

3 ) = 512 512 3i.

演習問題(「練習

x-x

」は試験範囲に含まれます!)

練習

1-1.

z = 2 i, w = 3 + 2i のとき,以下を計算し複素平面上に図示せよ.

(1) z + w (2) z w (3) zw (4) z/w

練習

1-2.

次の複素数の絶対値を求めよ:

(1) (1 + i)

5

(2) 2i(2 + i)(2 + 4i)(1 + i) (3) (3 + 4i)(1 i) 2 i 練習

1-3.

公式 1-1 をすべて証明せよ.

練習

1-4.

a, b, c, d をすべて実数とする.もし方程式 az

3

+ bz

2

+ cz + d = 0 が z = α を解に持 てば,その共役複素数 α も解となることを示せ.

練習

1-5.

z = 1 +

3 i とするとき, z, z

2

, z

3

, z

4

をそれぞれ極座標表示せよ.

練習

1-6.

z = r(cos θ + i sin θ) ̸ = 0 とするとき,以下を示せ:

(1) z = r { cos( θ) + i sin( θ) } (2) 1 z = 1

r { cos( θ) + i sin( θ) } さらに (2) を用いて,公式 1-2(2) を示せ.

レポート問題

1-1.

複素数 z, w にたいし,次を証明せよ:

zw = 0 ⇐⇒ z = 0 もしくは w = 0

レポート問題

1-2.

数学的帰納法を用いて, de Moivre の公式(公式 1-3 )を証明せよ.ただし,

公式 1-2 は直接用いてはならない. ( Hint: n 0 のときと, n < 0 のときで場合分けせよ. ) レポート問題

1-3.

複素数 z| z | > 1 を満たすとき,その逆数 1/z は以下の方法で作図できる:

z から単位円へ 2 本接線を引く.それらの接点を結んだ線分と z と原点を結ぶ線分が交わる点を

w とすると, w = 1/z となる.これを証明せよ.また, 0 < | z | < 1 の場合, | z | = 1 の場合はど

うか?

(7)

複素数列・級数の収束

作成日: April 28, 2011 Version : 1.1

前回

(4/21)

のまとめと補足

• ∀ .「すべての x にたいし」を ∀x , 「ある y が存在して」を y と略記する.

円の式. α 中心半径 ϵ の円をあらわす方程式は

|z α| = r である.実際 z = x + yi, α = a + bi とおくと, | z α | =

(x a)

2

+ (y b)

2

= r と なる.同様に, α 中心半径 r の(開)円板 は不 等式 | z α | < r で表される.

三角不等式

(triangle inequality)

.任意の複素数 z, w

C

について,

| z | − | w | ≤ | z + w | ≤ | z | + | w | が成り立つ. (もちろん, zw が実数でも成り立つ. )

定義(複素数列の収束).ある数列 {z

n

}

n=1

C

が複素数 α に収束する (converges to α) とは,次が成り立つときをいう:

( ϵ > 0)( N

N

)( n N ) | z

n

α | < ϵ.

すなわち『任意の ϵ > 0 に対し,ある自然数 N が存在して, n > N ならば | z

n

α | < ϵ が成り立つ』.このとき lim

n→∞

z

n

= α もしくは z

n

α (n → ∞ ) と表す.また, α を数列 { z

n

}

n=1

の極限 (limit) と呼ぶ.

注意

1

.「任意の ϵ > 0 」という言葉は「 任意に小さい ϵ > 0 」と心の中で読みかえるべし.

注意

2

.「 |z

n

α| < ϵ とは α 中心半径 ϵ の円板内に z

n

がある」 という意味.

命題

2-1

(収束条件の「実数化」).数列 { z

n

= x

n

+ y

n

i }

n≥0

と定数 α = a + bi にたいし,

次は互いに同値(必要十分条件) :

(1) z

n

α (n → ∞ ) (複素数の収束)

(2) x

n

a かつ y

n

b (n → ∞ ) (実部と虚部の収束)

証明.(1)

を仮定する.すなわち

(∀ϵ >0)(∃N N)(∀n≥N) |zn−α|< ϵ.

|xn−a| ≤

(xn−a)2+ (yn−b)2≤ |zn−α|

であるから,このとき同時に

|xn−a|< ϵ

も成り立つ.よっ て

lim

n→∞xn=a

を得る.

lim

n→∞yn=b

も同様に成り立つので,(2) が示された.

逆に,(2) を仮定すると,

(∀ϵ >0)(∃N N)(∀n≥N) |x −a|< ϵ/2

かつ

|y −b|< ϵ/2.

(8)

公式

2-2

(極限の四則). 二つの数列 { z

n

}

n=1

, { w

n

}

n=1

について, lim

n→∞

z

n

= α, lim

n→∞

w

n

= β と仮定する.このとき,

(1) lim

n→∞

(z

n

+ w

n

) = α + β (2) lim

n→∞

z

n

w

n

= αβ (3) β ̸ = 0 のとき, lim

n→∞

z

n

w

n

= α

β (4) C が定数のとき, lim

n→∞

(Cz

n

) =

証明.これらの公式が実数の世界で正しいことは既知としよう.複素数の場合も,実部と虚部に分けて

考えれば,命題

2-1

より実数列の場合に帰着される.

定義(級数とその収束・発散).数列 { z

n

}

n=0

C

にたいし, w

n

= z

0

+ z

1

+ · · · + z

n

で定 まる数列 { w

n

}

n=0

の極限 lim

n→∞

w

n

n=0

z

n

もしくは

n0

z

n

もしくは z

0

+ z

1

+ z

2

+ · · ·

と表し,これを数列

n=0

z

n

の定める級数 (series) と呼ぶ.極限が存在するとき,級数

n=0

z

n

は収束するといい,存在しないとき発散する (diverge) という.

注意

.

n=0

z

n

は形式的な記号であって,一般に有限和の極限が存在するとは限らない.

例(オイラーの公式)

.

もし z

n

= (iθ)

n

n!

R

) とした場合,級数

n=0

z

n

は収束するだろうか?

各項を計算してみると,

{ z

n

}

n=0

=

{

1, + θi, θ

2

2! , θ

3

3! i, + θ

4

4! , θ

5

5! i, . . .

}

となる.これより有限和 z

0

+ z

1

+ · · · + z

2m+1

の実部と虚部およびその m → ∞ における極限は 1 θ

2

2! + θ

4

4! − · · · + ( 1)

m

θ

2m

(2m)! cos θ θ θ

3

3! + θ

5

5! − · · · + ( 1)

m

θ

2m+1

(2m + 1)! sin θ となる.

1

したがって命題 2-1 より,級数

n=1

(iθ)

n

n! は極限 cos θ + i sin θ をもつ.実数の指数関数 のアナロジーとして e

z

:=

n=1

z

n

n! と記号を定めれば,次の公式を得る:

オイラーの公式 (Euler’s formula) : e

= cos θ + i sin θ

R

)

1(実関数としての)三角関数のテイラー展開は既知とする.

(9)

演習問題(「練習

x-x

」は試験範囲に含まれます!)

練習

2-1

(三角不等式)

.

z = x + yiw = u + vi として三角不等式 | z + w | ≤ | z | + | w | を証明せ よ.また,等号が成り立つのはいつか?また, |z| − |w| ≤ |z + w| も証明せよ. (Hint. Apply the triangle inequality for z = z

and w = z

+ w

.)

練習

2-2

ϵ-N 論法の練習)

.

公式 2-2 の (1) と (2) を ϵ-N 論法により証明せよ.ただし実数の場 合に帰着させるのではなく,三角不等式だけを用いること,

練習

2-3

(正三角形)

.

複素数 0, α, β が

C

上である正三角形の3頂点となるための必要十分条 件は, α

2

αβ + β

2

= 0 であることを証明せよ. (Hint. Make use of the conditions | α | = | β | and arg α arg β = ± π/3: then you’ll find the polar representation of α/β.)

練習

2-4

(アポロニウスの円)

.

複素平面上で | z + 1 | : | z 2 | = 3 : 1 となる z の軌跡は円とな ることを証明せよ. (Hint. |z a|

2

= (z a)(z a) = (z a)(z a) を用いて展開する. ) レポート問題

2-1

(収束条件の「極表示化」)

.

極表示された複素数列 {z

n

= r

n

(cos θ

n

+i sin θ

n

)}

n=1

を考える. (ただし, 0 θ

n

< 2π とし, z

n

= 0 のときは r

n

= 0, θ

n

= 0 とせよ. )このとき,数 列 { r

n

}

n=1

, { θ

n

}

n=1

は実数列である.以下の問いに答えよ:

(1) 任意の θ, θ

に対し,

| (cos θ + i sin θ) (cos θ

+ i sin θ

) | ≤ | θ θ

|

であることを幾何学的に説明せよ. (Hint. 東京からサンフランシスコ,船で行くのと,トンネ ルを掘って地中をまっすぐ進むのとどっちが近いか?)

(2) lim

n→∞

r

n

= r, lim

n→∞

θ

n

= θ ならば lim

n→∞

z

n

= r(cos θ + i sin θ) となることを ϵ-N 論法により示 せ. (Hint.

zn−r(cosθ+isinθ) =zn−r(cosθn+isinθn) +r(cosθn+isinθn)−r(cosθ+isinθ).)

(3) { z

n

}

n=1

がある複素数に収束すれば, { r

n

}

n=1

はある実数に必ず収束するが, { θ

n

}

n=1

は収

束するとは限らない.なぜか?そのような例をひとつ挙げよ.

レポート問題

2-2.

z

n

= i

n

n (n 1) で定まる級数

n=0

z

n

は収束することを証明せよ. ( Hint. 実 部と虚部で分ける. )

練習問題

(4/21

配布分

)

の略解

練習

1-1.

(1) 1 + i (2) 5 3i (3) 4 + 7i (4) 8 i 13 練習

1-2.

(1) | (1 + i)

5

| = | 1 + i |

5

= (

2)

5

= 4 2.

(2) | − 2i(2 + i)(2 + 4i)(1 + i)| = 2 · 5 · 2

5 ·

2 = 20 2.

(3)

(3 + 4i)(1 i) 2 i

= | 3 + 4i || 1 i |

| 2 i | = 5

2 5 =

10.

(10)

(2) 略 .

(3) z · w = (ac bd) + (ad + bc)i = (ac bd) (ad + bc)i = (a bi)(c di) = z · w.

(4) 略 .

(5) ( 右辺 ) = (a + bi) + (a bi)

2 = a = Re z.

(6)(7) 略 .

練習

1-4.

z = α を解に持つので,

3

+

2

+ + d = 0. 両辺の共役を取ると , a, b, c, d が実 数なので ,

3

+

2

+ + d = 0 ⇐⇒

3

+

2

+ + d = 0.

よって α も方程式の解となる . 練習

1-5.

z = 2

(

cos π

3 + i sin π 3

)

, z

2

= 4

(

cos 2π

3 + i sin 2π 3

)

, z

3

= 8 (cos π + i sin π), z

4

= 16

(

cos 4π

3 + i sin 4π 3

)

. 練習

1-6.

(1) cos( θ) = cos θ, sin( θ) = sin θ より z = r(cos θ i sin θ) = r { cos( θ) + i sin( θ) } . (2) 1

z = 1

r(cos θ + i sin θ) の分子と分母に cos θ i sin θ を掛ければ,

1

z = cos θ i sin θ r(cos

2

θ + sin

2

θ) = 1

r (cos θ i sin θ) = 1

r { cos( θ) + i sin( θ) } .

(11)

指数関数とオイラーの公式

作成日: May 12, 2011 Version : 1.1

前回

(4/28)

のまとめと補足

定理

3-1

(+指数関数の定義).任意の z

C

にたいし,級数

n=0

z

n

n! は収束する.その値を e

z

もしくは exp(z) と書き, 指数関数 (exponential function) とよぶ.とくに z =

R

) とするとき,次のオイラーの公式がなりたつ:

e

= cos θ + i sin θ

定義(コーシー列).数列 { z

n

}

n0

がコーシー列 (Cauchy sequence) であるとは,次が成 り立つときをいう:

( ϵ > 0)( N

N

)( m, n N ) | z

n

z

m

| < ϵ.

命題

3-2

(コーシー列=収束列).数列 {z

n

}

n0

C

がコーシー列であることと,収束列で あることは同値である.

注意1.

数列が収束列の定義を満たすかどうかは極限を知らないと確認できない.一方,コーシー列は極 限を知らなくても確認できるのが嬉しい.

注意2.

実数列の場合,命題

3-2

は「実数の完備性」といわれる.実数を「コーシー列の同値類」と定義 する流儀においては,これは実数の定義とほとんど同義である.

証明のスケッチ(命題3-2).

実数列の場合は上の注意に述べたとおりの事情で,コーシー列と収束列は一 致する.複素数列の場合も実部と虚部に分割すれば,実数列の場合に帰着される. (その際,三角不等式が

必要. )

定義(絶対収束).級数

n=0

z

n

が絶対収束 (absolute convergence) するとは,級数

n=0

| z

n

| が収束することをいう.

注3.

数列

{|z0|+· · ·+|zn|}n0

は単調増加列であるから,絶対収束性はこの数列の有界性と同値である.

定理

3-3

(絶対収束⇒収束).級数

n=0

z

n

が絶対収束すれば,級数

n=0

z

n

は収束する.

注4.

数列

{|z0|+· · ·+|zn|}n0

は「折れ線のトータルの 長さ」を表す.したがって,これが有限であれば,もとの折 れ線も発散のしようがない.

証明のスケッチ(定理3-3). sn = z1+· · ·+zn

,S

n =

|z1|+· · ·+|zn|

とすると,n

≥m

のとき

|sn−sm|=|zm+1+· · ·+zn|

≤ | | · · · | |

(12)

{Sn}n0

は増加列なので右端の辺は

|Sn−Sm|

と等しい.また,絶対収束性より

Sn

は収束列,すなわ ちコーシー列である(命題

3-2).上の不等式から,sn

もコーシー列,すなわち収束列である(再び命題

3-2).

命題

3-4

(実初等関数の級数展開).任意の実数 x にたいし,指数関数と三角関数は次の級 数展開をもつ. (すなわち,右辺の級数は収束して左辺に一致. )

e

x

= 1 + x + x

2

2! + x

3

3! + · · · cos x = 1 x

2

2! + x

4

4! − · · · sin x = x x

3

3! + x

5

5! − · · ·

注5.

ここでも,実微分積分の結果は既知とする,というスタンス.もちろん,定理

3-3

から直接証明す ることもできる(→レポート問題)

証明(定理

3-1

.

命題 3-4 で x = |z| を代入すれば, e

|z|

=

n=0

| z |

n

n! =

n=0

z

n

n!

. よって

n=0

z

n

n!

は絶対収束する.定理 3-3 より,級数

n=0

z

n

は収束する.オイラーの公式は,先週と同様に実部

と虚部に分割することで正当化される.

定理

3-5

(指数法則).任意の z, w

C

にたいし,

e

z+w

= e

z

e

w

. とくに z = x + yi (x, y

R

) のとき,

e

x+yi

= e

x

e

iy

= e

x

(cos y + i sin y).

注6. ex̸= 0,eiy ̸= 0

であるから,e

z̸= 0.すなわち,指数関数が0

になることはない.

証明(定理3-5).

一般に任意の

N N

にたいし

∑

nN

zn n!

∑

nN

wn n!

 = ∑

nN

(z+w)n

n! +EN(z, w)

ただし 

|EN(z, w)| → 0 (N → ∞)

が成り立つ(レポート問題).よって両辺で

N → ∞

とした極限をとれば,主張を得る.

応用1(べき乗と逆数)

.

(e

z

)

n

= e

z

· · · e

z

= e

z+···+z

= e

nz

. また, e

z

e

z

= e

z+(z)

= e

0

= 1 よ り, e

z

= 1/e

z

. したがって,一般に次がなりたつ:

公式

3-6

: 任意の整数 m

Z

にたいし, (e

z

)

m

= e

mz

応用2(極形式とド・モアブル)

.

z = r(cos θ + i sin θ) とすると,オイラーの公式より z = re

. これも極形式と呼ぶ.

1

さらに, m 乗( m

Z

)して

z

m

= (re

)

m

= r

m

e

imθ

= r

m

(cos + i sin mθ) . (ド・モアブルの公式)

1さらにz=elogr+iθ と変形できる.これは,複素数の対数関数を定義する上で重要なアイディアとなる.

(13)

演習問題(「練習

x-x

」は試験範囲に含まれます!)

練習

3-1

(収束列はコーシー列)

.

数列 { z

n

}

n=1

がある複素数 α に収束するとき,コーシー列 であることを ϵ-N 論法により示せ. (Hint. |z

m

z

n

| ≤ |z

m

α| + |z

n

α|.)

練習

3-2

(絶対収束の応用)

.

p > 1 のとき

n=1

1

n

p

が収束するという事実を用いて,以下の級数 が収束することを示せ. (Hint: it is enough to show that the given series converge absolutely.)

(1)

n=1

1

(2n + 1)

3

(Hint:

1

(2n+ 1)3 < 1 (2n)3 = 1

8 · 1

n3

) (2)

n=1

n + 1 n

2

(3)

n=1

i

n

n

2

(4)

n=1

(2n 1) + (2n + 1)i n

4

練習

3-3.

次の値を求めよ.

(1) e

2+π4i

(2) e

3+πi

(3) e

log 32 i

練習

3-4

(指数関数の性質)

.

指数法則(定理 3-5 )を用いて,以下の公式を示せ:

(1) 任意の複素数 zw にたいし, e

zw

= e

z

e

w

(2) 任意の複素数 z にたいし, (e

z

) = e

z

.

レポート問題

3-1.

任意の N

N

にたいし

∑

nN

z

n

n!

∑

nN

w

n

n!

=

nN

(z + w)

n

n! + E

N

(z, w) ただし  |E

N

(z, w)| → 0 (N → ∞)

が成り立つことを示せ. (Hint: 二項定理を使う. E

N

(z, w) は N + 1 次以上の項に対応する. ) レポート問題

3-2

(定理

3-1

の別証明)

.

任意の複素数 z を固定したとき,命題 3-4 を用いずに,

n=0

z

n

n! が絶対収束すること(したがって収束すること)を示すことができる.明らかに, z ̸ = 0 のときを証明すれば十分である. n = 0, 1, 2, . . . にたいし, e

n

:= z

n

n! と定めよう.

(1) n 2 | z | ならば | e

n+1

| < | e

n

|

2 とできることを示せ.

(2) N 2 | z | となる自然数を固定するとき,

nN

| e

n

| は有界であることを示せ.

よって

n0

z

n

n!

=

0≤n<N

|e

n

| +

n≥N

|e

n

| は有界であるから,

n=0

z

n

n! は絶対収束する.

(14)

練習問題

(4/28

配布分

)

の略解

練習

2-1

:解答例

1.

同値変形を用いる.

| z + w | ≤ | z | + | w | ⇐⇒ | z + w |

2

≤ | z |

2

+ 2 | z || w | + | w |

2

←両辺を 2 乗

⇐⇒ (x + u)

2

+ (y + v)

2

x

2

+ y

2

+ 2|z||w| + u

2

+ v

2

←実部・虚部を代入

⇐⇒ 2xu + 2yv 2 | z || w |

⇐⇒ (xu + yv)

2

(x

2

+ y

2

)(u

2

+ v

2

) ← 2 で割って 2 乗

⇐⇒ 0 (xu yv)

2

←式を整理 .

最後の式は明らか.等号成立は xu = yv のとき.これはある実数 k が存在して, z = kw もしく は w = kz となることと同値である.

次に z = z

, w = z

+ w

を上の三角不等式に代入すると, | − z

+ (z

+ w

) | ≤ | z

| + | z

+ w

| すなわち |w

| − |z

| ≤ |w

+ z

|. z

, w

は任意なので,一般に |z| − |w| ≤ |z + w|.

解答例

2.

一般に Re z ≤ | z | (等号成立は z が負でない実数のとき)であるから,

|z + w|

2

= (z + w)(z + w) = zz + zw + wz + ww = zz + 2Re (zw) + ww

zz + 2 | zw | + ww

= | z |

2

+ 2 | z || w | + | w |

2

= ( | z | + | w | )

2

.

等号成立は Re (zw) = | zw | のとき,すなわち zw が負でない実数のとき. (解答例 1 の等号成立条

件と同値であることを確かめてみるとよい. )

練習

2-2.

(1) 仮定より (

ϵ > 0)(

N

N

)(

n N ) | z

n

α | <

ϵ2

かつ | w

n

β | <

2ϵ

. このとき,三角不 等式より | (z

n

+ w

n

) (α + β) | ≤ | z

n

α | + | w

n

β | より | (z

n

+ w

n

) (α + β) | < ϵ. よって

n

lim

→∞

(z

n

+ w

n

) = α + β .

(2) 仮定より (

ϵ > 0)(

N

N)(

n N ) |z

n

α| < ϵ かつ |w

n

β| < ϵ. いま ϵ 1 と仮定し ても一般性を失わないから, |w

n

| < |β| + ϵ ≤ |β| + 1 が成り立つ.

2

このとき,三角不等式より

| z

n

w

n

αβ | = | (z

n

α)w

n

+α(w

n

β) | ≤ | (z

n

α) || w

n

| + | α || w

n

β | < ϵ | w

n

| + | α | ϵ = ϵ( | w

n

| + | α | ).

よって | z

n

w

n

αβ | < ϵ( | α | + | β | + 1). いま α, β は定数なので,任意の小さい ϵ

> 0 にたいして

(必要なら N を取り直すことで) ϵ( | α | + | β | + 1) < ϵ

とできる.したがって | z

n

w

n

αβ | < ϵ

. ゆ えに lim

n→∞

z

n

w

n

= αβ.

練習

2-3

α, β ̸ = 0 を仮定した上で同値変形を用いる : 0, α, β が正三角形の頂点 ⇐⇒ 0 ̸ = | α | = | β | かつ arg α arg β = ±

π3

⇐⇒ |

αβ

| = 1 かつ arg

αβ

= ±

π3

⇐⇒

αβ

= cos( ±

π3

) + i sin( ±

π3

) =

1±23i

. 一方, α

2

αβ + β

2

= 0 ⇐⇒ (

αβ

)

2

(

αβ

) + 1 = 0 ⇐⇒

αβ

=

1±23i

. 練習

2-4.

| z + 1 | : | z 2 | = 3 : 1 より 3 | z 2 | = | z + 1 | . 両辺を 2 乗して 9(z 2)(z 2) = (z + 1)(z + 1) すなわち 8zz 19z 19z + 35 = 0. よって

(

z

198 ) (

z

198)

=

(9

8

)2

⇐⇒ |z

198

| =

98

. したがっ て z の軌跡は中心

198

, 半径

98

の円となる .

2いまwnβ中心半径ϵの円板内にある.wnと原点との距離を考えると,|wn|<|β|+ϵはあきらか.

(15)

指数関数の周期性と三角関数

作成日: May 19, 2011 Version : 1.1

※中間試験を

6

9

日に実施します.試験範囲は来週( 5/26 )までの授業内容です.配布した 練習問題も含みます.

前回

(5/12)

のまとめと補足 指数関数の性質(まとめ).

定義: z

C

, e

z

= exp z := 1 + x + z

2

2! + z

3

3! + · · · .

指数法則: ∀z, w

C,

e

z+w

= e

z

e

w

. とくに z = x + yi (x, y

R)

のとき,

e

x+yi

= e

x

e

iy

= e

x

(cos y + i sin y).

整数べき乗: ∀z

C,

∀m

Z,

(e

z

)

m

= e

mz

.

a

aあとで確認するように,一般のw∈Cについては(ez)w=ezwが成立しない.

とくに指数法則において, w = 2πi とすると, e

2πi

= 1 より

周期性: e

z+2πi

= e

z

(周期は 2πi )

を得る.すなわち,指数関数は周期関数 (periodic function) である.

1

N 乗根. N

N

とするとき,方程式 z

N

= 1 の解は z = exp

(

2mπi N

)

(m = 0, 1, . . . , N 1)

N 個であり,これは 1 を頂点にもち単位円に内接する正 N 角形の頂点である.

証明.

話を具体的にするために,N

= 5

の場合を考える.z

= re (r 0, 0 ≤θ < 2π)

とすると,

z5 =r5e5θi

.一方,1 =

e2mπi (m Z)

であるから,(←ここに指数関数の周期性が効いている) 絶対値 と偏角を比較して

r5 = 1

かつ

5θ = 2mπ (m Z). r 0, 0 θ <

という条件から,r

= 1

かつ

θ=2mπ5 (m= 0,1,2,3,4).

をえる.

指数関数による像. 指数関数を w = f(z) = e

z

とあらわし,これが z- 平面をどのように w-

面に写すのか考察してみよう.以下, z = x + yi (x, y

R

) とする.

参照

関連したドキュメント

ただし全く講義に関係のないテーマ (たぶん別の科目のレポートを流用し たと思われるもの)

86 2.1.2 文字の編集

2

修正され、当時の政府もこれに同意をし、両院を通過成立したものである。その理由は、まさに、政府

板株は売買されるものであり、板木とともに書肆間を移動する。=求版 き ゆう は

ln はラテン語の logarithmus naturalis (英語に直すと natural

T に対して T ̸⊢ Con(T ) が成り立つ. 第一不完全性定理の証明に用いられる対角化補題を用いると次の L¨

時松( 1997 )は、 deVilliers の証明の5つの 機能とギリシア数学史において証明が必要と