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1.研究室の概要

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Academic year: 2021

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294 (42) 化 学 工 学

1.研究室の概要

 当研究室は,平成15年

4月に発足し

(当時は工学部応用化学 工学科),改組を経て,現在は循環環境工学科を担当し,移 動現象論,単位操作,プロセス設計に関する研究・教育を おこなっている。平成

31

年1月現在で,学生は

10

(D2:1 名,M2:4名,M1:2名,UG:4名)であり,スタッフは民間企 業から大学に戻った2名(佐伯教授と貝出助教)である。

2.研究内容

 「どろどろ・さらさらを科学する」をキャッチコピーに,

粘度特性が複雑な流体(複雑流体)を取り扱うレオロジー工 学に特化した研究をおこなっている。ほとんどのテーマは 企業との共同研究であり,その主なものは以下の通りであ る。

(1)界面活性剤水溶液による抵抗低減効果

 ある種の界面活性剤水溶液は複雑なレオロジー特性を示 し,流動時には流体摩擦係数が顕著に低減する。これは抵 抗低減効果(Drag Reduction)として知られている。本学より 神戸大学に転任された薄井洋基先生の基礎研究をベース に,当研究室ではその実用化研究に力を入れてきた。抵抗 低減剤を商品化し,水循環式の空調設備に適用すること で,流体輸送動力が

20

50%

削減できる。これまで国内 で

200

件を超える導入実績があり,この技術の開発と普及 に対し,平成21年に

GSC賞,環境大臣賞を受賞している。

(2)分散系スラリーの調製技術

 分散系スラリーは機能性流体として,また,固体粒子の ハンドリング性を向上させる目的で調製される。固体濃度 が高く,流動性が良好(粘度が低い)で,かつ,粒子の沈降な どの不安定化が起こらないスラリーを調製する技術の開 発,およびスラリーのレオロジー特性と安定性の相関につ いて検討している。現在は石炭(褐炭)−水スラリーや磁気 粘性流体(MR流体)に関する共同研究をおこなっている。

(3)シリカゾルのゲル転移とその制御

 ケイ酸ソーダと硫酸を原料とする湿式シリカの製造に及 ぼす操作条件の影響を明らかにし,これを制御すること で,シリカ製品の付加価値を上げる研究を企業と共におこ なってきた。この方法で得られたシリカ粒子を使った機能 山口大学 大学院創成科学研究科 工学系 環境化学・生化学プロセス工学(佐伯・貝出研究室)

佐伯 隆・貝出 絢

研究室紹介

性塗料の開発をおこなっている。

(4) 静的流体混合装置(スタティックミキサー)の開発と混 合性能評価

 スタティックミキサーは,配管内で流体を混合する装置 であり,エレメントを導管内やフランジに固定した構造を している。多くのスタティックミキサーが開発,市販され ているが,これらの混合特性を定量的に評価する方法の必 要性を感じ,平成

30

年に日本工業規格(JIS B 8702)を制定し た。現在はこの評価手法を使い,スタティックミキサーの 改造や操作条件に関する研究をしている。

3.研究室の特徴(つねづね思うこと)

 工業プロセスでは様々な複雑流体を扱う局面があり,レ オロジーという分野の期待は大きい。このような実学的な 側面に対し,レオロジーは理論と応用の溝が深いと感じら れる。レオロジー研究ではレオメータは不可欠であるが,

複雑流体の特性評価だけではなく,使える技術にすること を心がけている。

 現在,有機合成を得意とする二社と共同研究している。

レオロジー工学はこのような分子〜ナノレベルの研究者と ケミカルエンジニアをつなぐことができる分野であると感 じている。

 共同研究の遂行は,何を明らかにするか,何を解決すべ きか,それは本当に解決になっているか,何が望まれてい るのか,を考え,同時に学術的な結果が得られるか,を自 問自答しながらの日々である。

 企業との共同研究を通した学生の教育効果は大きい。企 業内研究者と接し,共通の問題を解決するプロセスで得ら れるものは,会社説明会や工場見学では体験できないもの であり,責任感をもって研究に取り組む姿勢もより見えて くる。ただ,実験結果を「できたか

?」,「使えるか?」とい

う視点だけで見る傾向が強くなり,「そうではない…」と方 向修正をする必要がある。

公益社団法人 化学工学会 http://www.scej.org/

著作権法により無断での転載等は禁止されています   

参照

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