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軟磁性体の B - H 曲線測定

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Academic year: 2021

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Technical Sheet

軟磁性体の B - H 曲線測定

No.16011

キーワード:軟磁性体、B – H曲線、2次巻線方式

はじめに

磁性材料は応用範囲が非常に広く、現代 生活を支える重要な材料の一つとなってい ます。磁性材料を大別すると、永久磁石と して利用される硬磁性材料と、わずかの磁 場で大きな磁化を生じる軟磁性材料の2つ があり、それぞれに要求される特性は全く 異なります。硬磁性材料においては、高保 磁力、高残留磁束密度が要求され、モータ ー固定子、スピーカー、ヘッドフォンなど に利用されています。一方で、軟磁性材料 では高い透磁率、飽和磁束密度が大きいこ とが要求され、変圧器、モーターの磁心、

磁気記録装置のヘッド、磁気シールドなど に利用されています。ここでは、これまで 当研究所に既存の試料振動型磁力計(VSM) では精密な測定が困難であった軟磁性体の 特性評価について、2次巻き線方式による 測定を可能にしましたので紹介します。

B - H曲線と反磁場の影響

磁性材料の評価は、材料内部の磁場の強 さHと磁束密度Bの関係を表す B - H曲線 が基準となります。図1に、B - H曲線と磁 性に関する物理量の定義を示します1)B - H曲線を測定する際には、反磁場の影響に 留意しなくてはなりません。磁性体が磁化 するとき、磁化方向の端面に磁極が生じ、

内部に磁化方向と逆向きにつくる磁場を反 磁場といい、その影響を補正する必要があ ります。反磁場の影響は試料の形状、磁場 の方向に依存するため、精密な補正は容易 ではなく、特に軟磁性体における透磁率、

保磁力の測定では大きな誤差が生じやすく なります。そこで、軟磁性体においては試 料をリング状にしてコイルを巻く測定が行

図1 B - H曲線と物理量の定義

図2 2次巻線方式による測定回路

われます。そうすることで磁束が内部で還 流して磁極が生じないため、反磁場の影響 を受けずに測定することができるからです。

測定回路と測定原理

図2に、2次巻線方式によるリング状試 料の測定回路を示します。試料にN1回巻か れた1次巻線に電流iを連続的に変化させ ながら流します。このとき Hは試料の磁路 長をℓ としてH = N1 i /ℓ で与えられます。

また、ファラデーの電磁誘導の法則によっ て、N2回巻かれた2次巻線の誘起電圧を時 間で積分することでBを求めることができ ます。ここでは、ゼロドリフトオペアンプ

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(アナログ・デバイセズ社 ADA4528)を利 用したCR積分回路を用いました。このと き、試料の断面積をA、オペアンプの出力 電圧をVoutとすればB = (CR / N2 A) Voutで 与えられます。したがって、Hに比例した 励磁電流測定用抵抗の電圧降下と、Bに比 例した積分器出力電圧を記録しておくこと でB - H曲線を描くことができます。

測定例

測定例として、電子磁気工業株式会社製 の標準リング試料について行った測定を紹 介します。この試料は BH アナライザの校 正用に使用されるものです。試料の寸法等 の仕様を表1に示します。

表 1 標準リング試料の仕様 内径: d1 = 33.000 mm 外径: d2 = 45.000 mm 高さ: h = 6.000 mm 磁路長: ℓ =  (d1 + d2) / 2

= 122.522 mm

断面積: A = h (d2 - d1) / 2 = 36.000 mm2 1次巻数: N1 = 200 2次巻数: N2 = 50

図1中の初透磁率i、最大等磁率max を 求めるためには、あらかじめ試料を消磁し て過去の履歴を消去しておく必要がありま す。ここでは交流の励磁電流振幅を徐々に 0 とする交流消磁法によって消磁しました。

パーマロイなどの高透磁率材料はこの方法 では消磁が困難ですが、電磁石を利用した 消磁を行うことも可能です。

測定は、標準リング試料の基準となる測 定条件である、測定サイクルを10秒、印加 磁場の最大値をHmax ~2400 A/m とするた め、図2中の FG(ファンクションジェネレ ータ)の設定を周波数 0.1 Hz 、振幅 1.5V の三角波として、パワーアンプ(高砂製作所 製 BPS120 - 5)の増幅度をCCモード 1 A/ Vとしました。このパワーアンプは最大~

図3 標準リング試料のB - H曲線

5Aまで出力することが可能ですので、表1 の磁路長、1次巻数の場合においては、~

8000 A/mまで印加することができます。

消磁後の初磁化曲線とヒステリシス曲線 を得るため、1次巻線に三角波を2周期分 印加したときの B - H曲線を図3に示しま す。これから、図1の定義に従って、初透 磁率i、最大透磁率max、保磁力 Hc、残留 磁束密度 Brなどを求めることができます。

これらについて、標準リング試料の試験成 績書に記載の値と比較してほぼ正確に測定 できていることが確認できました。

おわりに

このように、2次巻線方式で軟磁性体の初 透磁率、保磁力等の磁気特性を正確に測定 することが可能になりました。軟磁性材料 を用いた商品開発や軟磁性材料の品質管理 など、お気軽にご相談ください。皆様のご 利用をお待ちしております。

参考文献

1) 志賀正幸:磁性入門,(2007) 内田老 鶴圃.

作成者 制御・電子材料科 山田 義春 Phone:0725-51-2682 発行日 2017年3月24日

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