• 検索結果がありません。

しかし、実際の臓器提供には結びついていない

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "しかし、実際の臓器提供には結びついていない"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

18  

厚生労働科学研究費補助金(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業  移植医療分野) 

分担研究報告書   

「提供施設支援ツール開発」 

 

研究分担者  浅井  康文    札幌医科大学  名誉教授、函館新都市病院  名誉院長   

研究要旨 

提供施設において臓器提供が進まない理由として、長時間の拘束と責任の集中、他業務 への影響があげられる。問題点の解決策の一つとして、これまでに脳死下臓器提供シミュ レーションを道内の5か所(函館、旭川、北見、名寄、釧路)で実施した。シミュレーシ ョンにより搬入から臓器摘出までの各ステップでの留意点・問題点の明確化が可能となる と同時に、人員配置に対する改善策、少数の関係者に集中しがちな職務の分散に対する貴 重な知見が得られた。しかし、実際の臓器提供には結びついていない。その原因を探るた め本年度は4施設の院内コーディネーターから継続して登録されているポテンシャルドナ ーデータを解析した。登録された929例中87例がポテンシャルドナーであった(脳死 診断まで至った症例は8例)。これらが実際の提供に結びつかなかった理由として、患者 の全身状態が不安定であったこと・主治医が脳死とされうる状態の診断を行わなかったこ と、低率なオプション提示率が挙げられた。シミュレーション後も自施設のスタッフのみ で実施するには経験の不足などから未だ躊躇する部分が多く存在している結果である。と くにポテンシャルドナーとしての認識から次のステップに移行する段階に、さらなる支援 が必要であることが明らかとなった。この解決に向けて、臓器提供の各ステップ(脳死判 定・ドナー適応判断・ドナー管理)における外部からの支援チームの確立、提供施設から の要請に応えられるサポート体制の整備が必要と考えられる。 

 

A.研究目的 

提供施設において臓器提供が進まない理 由の一つとして、長時間の拘束と責任の集 中、他業務への影響があげられる。すなわ ち提供の可能性のある事例を前にその煩雑 さが障害となる。実際に臓器提供された施 設は全国でも限定され、複数回の経験があ る施設は更に限られている。しかし、法改 正後の提供事例の半数以上が家族からの申 し出を契機にしていることを考慮すると、

少なくとも申し出があった場合にその意思 を実現する施設全体のスタンダード化され たシステムが必要である。本研究では平成 23年度に作成した脳死下臓器提供シミュ レーションのひな形に従い、平成24年度 に実際のシミュレーションを4施設で実施 した。各施設の院内コーディネーターが中 心となり、ポテンシャルドナーの認識・脳 死とされうる状態の確認と法的脳死判定・

主治医による家族への病状説明・ネットワ ークコーディネーターへの連絡と家族への 説明・摘出手術までのドナー管理・摘出手 

 

術(特にミーティング場面)・摘出手術後の 対応、さらに各プロセスにおける法的書類 の作成がシュミレーションされた。しかし、

実際のネットワークへの連絡数や臓器提供 数の増加には結びついておらず、さらなる 提供施設支援ツールの準備が必要である。 

 

B.研究方法 

昨年度の研究として WEB を用いたポテン シャルドナー登録データ(北海道内4施設 の院内コーディネーターから継続的に登録 されているデータ)をもとに、実際の提供 に結びつかない要因を解析した。今年度は データベースの解析をより容易な様式に変 更し、さらにこれまで管理者のみが可能で あった解析を自施設の症例に限り当該施設 で解析できる形式に変更した。 

 

C.研究結果 

これまでに929例の登録がなされた。

これらのうち悪性腫瘍・全身感染症合併例 を除くと687例であった(年齢は不問)。

(2)

19 687例のうち脳死診断の前提条件を満た したものは118例で、重篤な脳障害の兆 候がカルテに記載されていたものは87例 であった。そのうち脳死とされうる状態の 診断がなされたものは8例であった。当該 施設を訪問し各施設データを開示するとと もに、臓器提供の可能性のあった事例につ いて個々に提供に至らなかった要件を討論 した。 

  D.考察 

脳死下臓器提供の可能性があった症例は 87例であったが、全身状態が不安定であ ったこと・主治医が脳死とされうる状態の 診断を行わなかったことで多くのチャンス を失った。実際には8例のみが脳死下臓器 提供の可能性があったことになる。シミュ レーションにより搬入から臓器摘出までの 各ステップにおける留意点の認識がなされ たが、実際の臓器提供に結びつかない最大 の理由としてポテンシャルドナーとしての 認識はあるものの全身状態不良や脳死とさ れうる状態の診断がほとんど行われていな いことが挙げられる。シミュレーション後 も自施設のスタッフのみで実施するには経 験の不足などから未だ躊躇する部分が多く 存在している結果である。とくにポテンシ ャルドナーとしての認識から次のステップ に移行する段階に、さらなる支援が必要で あることが明らかとなった。この解決に向 けて、臓器提供の各ステップ(脳死判定・

ドナー適応判断・ドナー管理)における支

援チームの確立、提供施設からの要請に応 えられるサポート体制の整備が必要と考え られる。脳死判定については、日本脳神経 外科学会脳死検討委員会への協力が一解決 策となるであろう。また、ドナーの適応判 断や管理については日本臓器移植ネットワ ークのメディカルコンサルタントシステム の活用が挙げられる 

  E.結論 

ポテンシャルドナー登録のデータ解析か ら、提供施設に何が不足しているかが判明 した。解析結果を周知するために3次医療 圏の中心的施設4施設で実際の症例を用い た検討会を実施したが、その後の取り組み については各施設に委ねられている。過去 のシミュレーションを通じて施設毎に実際 の手順が決定され職務の分担などがなされ ているが、経験を重ねる時期においては全 てを当該施設スタッフに一任することなく、

とくに初期段階におけるサポートの介入が 必要であろう。 

 

F.研究発表  1.  論文発表  なし  2.  学会発表  なし   

G.知的財産権の出願・登録取得状況(予 定を含む) 

1.特許取得  なし  2.実用新案特許  なし  3.その他  なし

 

参照

関連したドキュメント

サーバー費用は、Amazon Web Services, Inc.が提供しているAmazon Web Servicesのサーバー利用料とな

性別・子供の有無別の年代別週当たり勤務時間

気象情報(気象海象の提供業務)について他の小安協(4 協会分)と合わせて一括契約している関係から、助成

ペトロブラスは将来同造船所を FPSO の改造施設として利用し、工事契約落札事業 者に提供することを計画している。2010 年 12 月半ばに、ペトロブラスは 2011

個別の事情等もあり提出を断念したケースがある。また、提案書を提出はしたものの、ニ

危険な状況にいる子どもや家族に対して支援を提供する最も総合的なケンタッキー州最大の施設ユースピリタスのト

○池本委員 事業計画について教えていただきたいのですが、12 ページの表 4-3 を見ます と、破砕処理施設は既存施設が 1 時間当たり 60t に対して、新施設は

23)学校は国内の進路先に関する情報についての豊富な情報を収集・公開・提供している。The school is collecting and making available a wealth of information