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無変態昆虫

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Academic year: 2021

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(1)

2 章 昆虫類の成長・変態とホルモン

12 ■ ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ

無変態昆虫

前幼虫 幼虫 成虫

幼虫 蛹 成虫

ナミアゲハ(チョウ目)

アオクサカメムシ(カメムシ目)

トノサマバッタ(バッタ目)

セスジシミ(シミ目)

ノコギリクワガタ(コウチュウ目)

不完全変態昆虫 完全変態昆虫

2.2 昆虫の変態様式

無変態昆虫であるセスジシミ(Ctenolepisma lineata)は生涯を通じて姿形をほとんど変 えない.不完全変態昆虫であるトノサマバッタ(Locusta migratoria)とアオクサカメム シ(Nezara antennata)も幼虫と成虫はよく似た姿をしているが,幼虫の翅は短く,成 虫になる際に大きく広がる.一方,完全変態昆虫であるナミアゲハ(Papilio xuthus)と ノコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus)では,蛹の時期を経ることにより幼虫と 成虫がまったく違う姿をとることができる.不完全変態昆虫の中には,孵化直後に前幼 虫という通常の幼虫とは違った容姿のステージを経るものがいる(バッタ類など).前 幼虫仮説では,前幼虫が完全変態昆虫の幼虫に相当し,不完全変態昆虫の幼虫が完全変 態昆虫の蛹に相当すると考えている.

(2)

4 章 境界動物の内分泌系と変態にみる脊椎動物への進化の足跡

48 ■ ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ

 4.1.4 頭索動物

 頭索動物,いわゆるナメクジウオ,には

3

属およそ

30

種がある (図 4.3) . 幼生は脊索をもったまま成体になるが,脊索はパラミオシンと脊索固有の アクチンからなる筋肉細胞の連なりで,コラーゲンの厚い鞘

さや

で覆われてい

4-11)

.体長

4

5 cm

の細長い半透明の体で,眼・耳・鼻といった感覚器

官はない.神経索の先端部は脳胞と呼ばれ,ここより後方の中・後半部とは 神経細胞の種類が異なる.餌のプランクトンは口から水と一緒に吸いこまれ,

いん

とう

を通って胴体後部の腸に入る.ゲノムサイズはおよそ

550 Mb

で遺伝子 モデル数はおよそ

21,600

である

4-12)

.その中にはヒトと相同性のある遺伝子 も少なくない.

4.3 ナメクジウオの 7 日齢幼生(上),若齢個体(中),繁殖期の成体(下)の外観 と体制雌雄異体で,繁殖期には卵巣は黄色,精巣は白色となり見分けることができる.

0.1 mm

1 mm

1 mm

内柱 神経索 脊索

口前器官 口 鰓孔

消化管 肛門

脳胞 神経索 脊索

髭 内柱 鰓 肝盲嚢 消化管 総排出孔 肛門

生殖腺 肛門

(3)

 4.4 ナメクジウオにおける内分泌系と下垂体相同部位の発生

第Ⅱ巻 発生・変態・リズム -時-■ 53

な組織に分布するホルモンで下垂体特異的ではない.一方,受容体として は,インスリン受容体,

TSH

受容体(サイロスティムリンに対する受容体),

TRH

受容体,GnRH 受容体,エストロゲン受容体(ER)とステロイド受容 体(SR)などが知られている(図 4.6) .脊椎動物に特有とされる性ステロ イドホルモンの代謝酵素もナメクジウオには存在する.性ステロイドホルモ ンは脊椎動物以外ではサンゴなどごく一部の無脊椎動物にも存在するが,ナ メクジウオが脊椎動物とほぼ同じ代謝系をもつことの進化的意義は大きい

(図 4.7)

4-28)

 ナメクジウオの下垂体相同器官は,発生過程

4-29)

や数種類の分泌顆粒の観

4-30)

からハチェック小窩であろうと

130

年以上前から考えられてきた.ハ

チェック小窩は神経索に向かって陥入しており,ラトケ嚢に似ている.しか

20μm

神経索

脊索

ハチェック小窩 鰓

内柱

A B

C

20μm

A

B

4.5 ナメクジウオの ハチェック小窩付近

(A:左上)および内 柱(B:右上)の横断 面組織切片像 ヘマトキシン・エオシ ン染色.ナメクジウオ 頭部写真(C:下)の 黒い縦棒で,それぞれ の切片のおおよその位 置を示した.

(4)

 5.4 魚類の変態とホルモンによる調節機構

第Ⅱ巻 発生・変態・リズム -時-■ 69

ンについても,変態に関与している可能性が強く示唆されている.

 変態期には外部形態だけではなく,各種の内部形態の変化も知られている

(図 5.4) .たとえば,筋肉の空胞状構造の消失や,胃腺の形成,大型の仔魚 型赤血球から小型の成魚型赤血球への移行などが変態期に起こるが,これら についても,甲状腺ホルモンの作用が確認されている.また,甲状腺ホルモ ンとコルチゾルについては,変態期には体内濃度が一時的に急上昇する.さ らに

α

型と

β

型の甲状腺ホルモンの受容体も変態期には左右対称に発現し ていることも知られている.すなわち,両生類で明らかになっている内分泌

5.4 ヒラメにおける変態調節ホルモン

両生類と同様に甲状腺ホルモンが中心的な役割を果たし,副腎皮 質ホルモン(コルチゾル)が促進的,プロラクチンと性ステロイ ドホルモンが抑制的に働く.甲状腺ホルモンは各種器官や細胞に 作用し,稚魚への変化を起こさせる.vivo:体全体での投与実験 で示された効果,vitro:器官の培養実験で示された効果.

甲状腺ホルモン 筋肉 vivo

vivo 甲状腺ホルモン 胃腺

vivo&vitro 甲状腺ホルモン 伸長鰭条

vivo 甲状腺ホルモン 赤血球

副腎皮質ホルモン

プロラクチン・性ステロイドホルモン

甲状腺ホルモン

(5)

8 章 概日リズム・時計遺伝子とホルモン

136 ■ ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ

8.5 サケ目魚類とキュウリウオ目魚類の培養松果体からのメラトニン分泌リズム

すべての魚種において,明暗条件におけるメラトニン分泌量は暗期に高く,明期に低い日周 リズムを示した.しかしながら,恒暗条件下においては,サケ目魚類の松果体からのメラト ニン分泌は常に亢進して高い値を示し,概日リズムは見られなかった.一方,キュウリウオ 目魚類においては,恒暗条件下では顕著な概日リズムが見られた.

縦軸は1時間あたりのメラトニン分泌量,横軸の黒バーは暗期を,白バーは明期を表す.そ れぞれの種,3個体分のデータを示す.(引用文献8-9より生データをプロットして作成)

時間(h)

メラトニン分泌量(ng/h)

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0

5 10 15

20 シナノユキマス

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0

4 2 6 8

10 グレイリング

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0

5 10 15

20 イトウ

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0

10 5 15 20

25 ブラウントラウト

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0

140 120 100 80 60 40 20

カワマス

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0.0

0.4 0.2 0.6 0.8

1.0 サケ

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0

80 60 40 20

100 アユ

0 12 24 36 48 60 72 84 96 108 120132 144 0

2 1 3 4

5 ワカサギ

(6)

12 章 哺乳類の生殖リズムとホルモン

198 ■ ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ

発現しており,キスペプチンは直接

GnRH

ニューロンを刺激することによっ て,下垂体からの

GTH

分泌を刺激する.GnRH/LH パルスの発生機構や,

性ステロイドホルモンによる

GTH

への負と正のフィードバックメカニズム の詳細は長く謎であったが,その謎がキスペプチンニューロンの発見によっ て明らかになりつつある.

 哺乳類の雌の脳内において,キスペプチンニューロンの細胞体は,視床下 部の前方および後方の

2

つの神経核に分かれて分布している

12-5)

.視床下部 の前方のキスペプチンニューロンの細胞体は,ラットやマウスでは前

ぜん

ふく

そく

しつ

しゅう

かく

(AVPV) に (図 12.5) ,サルやヤギでは 視

さく

ぜん

(POA) に局在し ている.AVPV と

POA

は,ともに古くから排卵と深く関わる中枢と考えら れてきた神経核である.キスペプチンニューロンの細胞体が認められるもう

1

つの神経核は,視床下部内側基底部にある 弓状核(ARC) である.現在ま

エストロゲン

促進 抑制

視床下部 キスペプチン ニューロン

AVPV ARC

200μm 200μm

GnRH ニューロン

12.5 キスペプチンニューロンの脳内分布(ラットの例)

キスペプチンニューロンの細胞体は,視床下部前方にある前腹側室周囲核

(AVPV)および視床下部基底部にある弓きゅうじょうかく(ARC)の2つに分布してい る.AVPVにおけるキスペプチンの発現はエストロゲンにより促進され,一 方ARCでは抑制される.さまざまな状況証拠により,前者はGnRH/LHサー ジを制御する排卵中枢,後者はGnRH/LHパルスを制御する卵胞発育中枢 であるとの説が有力である.

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