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3. 爆風消火の消火機構

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Academic year: 2021

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爆風消火の研究

1. 大規模災害で発生する火災

 阪神・淡路大震災や東日本大震災な どの国内で生じた大規模な地震災害で は,都市部において地震発生後に火災 が生じ,その延焼により被害拡大が生 じた.大規模な災害,とくに地震災害 後に発生する火災の消火には,平時の 消火活動にはない困難を伴う.第一に,

多数の火災が広い範囲にわたり同時に 発生する.そのため公設消防の対応能 力を上回ると,消火活動を行えないま ま火災の延焼を許すことになる.第二 に,地震の衝撃により道路や消防水利 などが破壊され,通常の消火法が利用 できなくなる.とくに道路の破壊によ り消防車両が火災現場に到達できな い.そのため延焼拡大の阻止は,一般 市民の消火活動の成否に依存すること になる.しかし,そのような状況の中 で一般市民が取り得る消火手段の選択 肢は少なく,たとえば消火器の使用や 防火水槽の水をバケツで運んで火にか けるなどである.それらの消火手段は 火災のスケールが大きくなると有効と は言えなくなる.

2. 緊急時の消火法の開発

 そこでわれわれは大規模災害後に発 生する火災に対応するための緊急時の 消火法として,消火剤を必要とせず高 速の流れの効果だけで火炎を瞬間的に 吹き飛ばし消火を達成する爆風消火法 に注目し,これまで実験的に検討を 行っている(1)~(4).ここで述べている爆 風とは,気体などの急速膨張によって 駆動された衝撃波(ブラスト波)とそ の背後に形成される高速気流のことを 意味している.爆風消火はもともと油 井火災の消火に用いられており,ダイ ナマイトなどの爆薬を用いて爆風を形 成し火勢の強い火炎を瞬間的に消火す ることができるパワフルな消火法であ る.ただし,これまで爆風消火の基礎 的な知見の蓄積,たとえば消火特性や 消火機構の解明などはほとんど行われ ていない.しかし爆風消火法を一般市 街地でも使用できるようになれば,こ の方法は大規模災害後の同時多発的な

火災に対する減災手段の 1 つとして利 用できると考えている.

3. 爆風消火の消火機構

 これまで行ってきた爆風消火実験 は,すべて実験室で形成できる小規模 な火炎を対象とし,爆風の形成方法に は微小爆薬(3)や高出力のレーザパルス を用いている.レーザを使用する場合,

レーザ光を固体表面上に集光すること で形成されるレーザアブレーションま たは空気中に集光することで形成でき るブレイクダウンによって駆動される 爆風を利用して消火実験を行ってい る(1)(2)(4).図 1に微小爆薬による爆風 消火の消火過程をシュリーレン法で可 視化したものを示す(3).図 1からブラ スト波が火炎の高温領域を通過するこ とで加速し,その後,火炎の安定性を 支配する火炎基部領域に局所消炎が生 じていることがわかる.この局所消炎 がどのように生じているかを理解する ために,図 2に示すように爆風消火 過程を,高速度カメラを用いて火炎の 直上から観察した.その結果,ブラス ト波が火炎と干渉することで,火炎面 が変形し,局所消炎が形成されること がわかった.この局所消炎領域が火炎 全体へと広がることで最終的に消火が 達成される.また,この火炎面の変形 と局所消炎形成には流体不安定性の一 つである Richtmyer-Meshkov 不安定 性が重要な役割を果たしていると考え られることがわかった(3).さらに爆風 消火の消火特性として,消火が可能と なる空間的な距離がブラスト波の到達 距離と相関があること,そしてその消 火範囲が爆発へ投入するエネルギー量 によって制御可能であることがわかっ ている(1)(2).また急速膨張によりブラ スト波を駆動したガスの流れも,爆風 消火の消火効果に貢献することが明ら かになってきている(4)

 このように爆風消火法の基礎特性が 徐々に明らかになってきている.爆風 消火法を大規模災害に対する減災手段 として確立するために,今後も研究を 続けていく.

(原稿受付 2014 年 10 月 1 日)

〔鳥飼宏之 弘前大学〕

●文 献

( 1 )鳥飼宏之・北島暁雄・竹内政雄,CH4-N2/ Air 対向流拡散火炎のレーザ消火,日本機械 学会論文集,72-713,B(2006),179-186.

( 2 )鳥飼宏之・北島暁雄・竹内政雄,レーザア ブレーションによる可燃性固体表面上に形 成された拡散火炎の消火,日本機械学会論 文集,73-731,B(2007),1448-1455.

( 3 )Torikai, H., Saito, S. and Ito, A., Extin- guishment of a Methane Air Diffusion Flame by Using Blast Wave,29th Int.

Symp. on Shock Wave, (2013-7).

( 4 )Soga, Y., Torikai, H. and Ito, A., Schlieren Visualization of Flame Extinguishment with Laser-Driven Blast Wave, 16th Inter- national Symposium on Flow Visualization,

(2014-6).

40mm 90μs

30μs

60μs

ブラスト波 爆薬の

燃焼ガス 爆薬

局所 消炎 火炎

900μs 120μs

図 1 微小爆薬を用いた爆風消火(爆薬に 10 mg のアジ化銀ペレットを使用)

衝撃波の通過方向

局所消炎 20 mm 1.0 ms

6.8 ms 10.8 ms 11.5 ms 15.8 ms 2.3 ms 5.5 ms

図 2 ブラスト波と火炎との干渉

─ 45 ─

日本機械学会誌 2015.1 Vol.118No.1154 45

TOPICS.indb 45 2014/12/20 0:17:39

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