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Academic year: 2021

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深い学び、対話的な学びと批判的思考を育む教育法を提唱

―21 世紀の教室のために先生を支援する―

概要

京都大学大学院教育学研究科 エマニュエル・マナロ 教授が編者となり、楠見孝 同教授、綾部宏明 同博士 課程学生と、東京大学、ケンブリッジ大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、バークレー校などの研究者 が分担執筆した研究書 深い学び、対話的な学びと批判的思考 教室のための研究を土台とした方略』が出版 されました。

本書は、教員が身につけておく必要がある3つの能力、すなわち、児童生徒たちの深い学び、対話的学び、

批判的思考を効果的にはぐくむ方法を詳しく解説しています。本書は、[1]研究者が教授法の有効性を明らか にした内容と、[2]教員が実際に効果的に指導する方法を学ぶための知識とスキルがうまく結びつくように配 慮されています。それは、教授方略 目標達成のための方法)を共有し、関連づけて身につけることが大切だ からです。本書は、世界の教育研究者が研究してきた効果的教授法が 19 章にわたって紹介されており、それ らを結びつけて学ぶことができます。また、日本の研究者や学校によって開発された教授法 スーパーサイエ ンスハイスクールにおける探究的学習の実践など)も7章にわたって紹介され、日本で実践された教育改善手 法を国際的に発信しています。

本書は 2019 年 9 月 12 日に英国の学術出版社ラウトレッジから出版されました。

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1.本書の内容

私たちは、今だけでなく未来の社会を生きぬくために必要なスキルと能力を、学校で身につける必要がある ことを知っています。このようなスキルや能力は生活のあらゆる場面で必要です。しかし、私たちの親や祖父 母の世代が求められてきたものとは今やずいぶん異なっています。にもかかわらず、教育の内容は親や祖父母 の世代が受けてきた内容とほとんど変わっていません。あいかわらず教員が黒板の前に立ち、児童生徒たちが テストでよい点をとるために覚えることや問題の解き方を解説しています。このような光景は世界中でみられ、

21 世紀社会が求めるスキルや能力を身につけさせることに、教育は対応できていません。

現在の学校で教えられていることの多くは、テストにしか役に立たないのが現状です。私たちは卒業してし ばらくたつと学校で学んだことをほとんど忘れてしまいます。その理由は、日常生活とはあまり関連していな いからです。これからの社会で生きていくためのニーズに備えるために教育内容を変えていく必要があること を私たちは認識していますが、ほとんど変えることができていません。それは先生たちが、新しい指導法、た とえば、生徒がもっと深く学び、もっと効果的にコミュニケーションでき、もっと批判的に思考できるように 指導する方法をあまり学んでこなかったことが原因の一つです。一方で、多くの研究者はそうした教育を実現 させる方法をすでに開発しています。

一般に、教員に対して教授法の改善を要求するだけではうまくいきません。それは個人の力は限られている からです。そこで、私たちは教員の教授法改善に必要と考えられるトレーニングを段階的に提供し、その取り 組みがうまくいくように本書を構成しました。本書では、全世界の学校の先生が理解できることを念頭におい て、教授法がどのような役割を果たし、どのように使えばよいかがわかりやすい具体例が 19 の章にふんだん に盛り込まれています。ここで紹介されている教授法の有効性は、すべて科学的証拠に基づいています。先生 方が本書から方法を学んで、実際の授業で活用してくれることを願っています。

2.本書の編集の方法

本書の編集に当たって、日本だけでなく世界で活躍する先駆的で画期的な教育研究者や教育実践家に連絡を 取り、これまで検証し開発してきた教授法を書籍の形で共有することの意義を伝えて寄稿を募りました。そし て、研究者同士にしか伝わらない報告ではなく、現場の教員が理解しやすいように記してもらえるように依頼 しました。

3.波及効果

教員はテストで成功するためにたくさんの学習内容を覚えさせるだけでなく、今後社会で求められる能力を 養うための知識とスキルを生徒に獲得させることが重要です。本書にはその実現に向けて教員養成課程に組み 込まれるべき教授法が紹介されています。教育学者は 21 世紀スキルを育成するためのノウハウを学校教員に 伝えていく使命があります。そうすることによって、教員は担当するクラスのニーズに最も適した教授方略を 選んで実行できる広範な指導技術を身につけることが可能になります。

4.個人的な関心:このトピックについておもしろい点は何か。

教育は最も重要な社会基盤の 1 つであることは疑いなく、それを向上させるための本書のトピックはとても 興味深いものです。生徒が適切に教育を身につけられれば、いいかえれば、教員が求められている能力を育成 できれば、現在から未来に向けて人間の生活や経験をはるかに向上させることができるのです。

5.予期しなかったこと:この研究を進めて結果を分析したとき、驚いたことは何か。

現場の教員や教員指導者に、学術研究によって築かれた教授法を整理して貢献しようとする本プロジェクト に対し、世界の一流の研究者らが寄せてくれた大きな関心に圧倒されました。このことから、教育研究と実践

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の間にある溝を必ず埋められると確信しています。私たちは変化に抵抗するのではなく、あと少し努力するだ けでよいのです。

新学習指導要領がスタートする日本にとって、本書は絶好のタイミングで刊行されました。特に、児童生徒 の 深い学び」、 対話的な学び」、 批判的思考」を実際の指導に組み入れてどのように実践すればよいかに頭 を悩ましている教員や教員指導者にとって、この上なく貴重な知的資源となるはずです。

6.研究プロジェクトについて

本書は以下の支援を受けて行われた研究の成果です。

・日本学術振興会科学研究費補助金 科研費、研究代表者 Manalo Emmanuel、課題番号 15H01976)

<書籍情報>

タイトル Deeper Learning, Dialogic Learning, and Critical Thinking: Research-based Strategies for the Classroom 深い学び、対話的な学びと批判的思考 教室のための研究を土台とした方略)

編 者 Manalo Emmanuel 出 版 社 Routledge

出版日時 2019 年 9 月 12 日 D O I 10.4324/9780429323058

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