九州地域における民生業務用建築物のエネルギー消費量データベース構築に関する研究 [ PDF
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(2) により異常値を除いたデータ数である。また、用途分. エネルギー消費原単位、統計分析結果が記載されてい. 類については、延床面積に占める、用途比率が 90%以. る。年間一次エネルギー消費原単位とは、単位延床面. 上の用途を主用途とし、その後、エネルギー消費傾向. 積当たりの年間一次エネルギー消費量のことである。. の違いがみられる用途においては、ヒアリング調査等. 項目のその他用途別のサービス量では、事務所ビルの. をもとに細用途に分類を行った。ここでは、回答の得. 入居率や宿泊施設の客室数等エネルギー消費量に関係. られた建物を 32 の用途に細分割を行い DB 化した。官. していると思われる項目について記載されている。. 公庁_特殊とは建物使用時間が 24 時間の警察署や消. 3-3. エネルギー消費量. 防署等の建物を示す。全体の有効回答件数は 3,128 件. 図 2 に用途別の年間一次エネルギー消費原単位を示. である。年度別でみると、平成 21 年度の有効回答数が. す。どの用途においても年間一次エネルギー消費原単. 2,102 件と最も多い。このうち 1,219 件を占める「コン. 位で大きなばらつきはない。用途別でみると、 「コンビ. ビニエンスストア」は、九州地域での回収数が非常に. ニエンスストア」の年間一次エネルギー消費原単位の. 少ないが、しかし、 「コンビニエンスストア」は地域に. 平均値が 16,187MJ/㎡・年と最大であり、次いで「飲食. よる差がないと考え、関東・関西のデータを代用した. 店」、「スーパー」と商業施設において他用途よりも年間. ものが含まれる。また、平成 21 年度では、市との連携. 一次エネルギー消費原単位は高くなっている。対照的. により、幼稚園・保育園や小学校・中学校の一括回収. に、教育施設においてはどの用途も年間一次エネルギ. が可能であったため、有効回答数がその他年度と比較. ー消費原単位が 1,000MJ/㎡・年以下と小さい。. し多くなっている。県別回収件数でみると、ストック. 4.. 1). 件数 での福岡県の割合が 40%程度なのに対して、DB. データベース活用案 本報では、DB の活用案として、3 つの活用方法につ. では福岡県の割合が 55%と高くなっている。これは、. いて提案する。ここでは、「事務所(自社ビル)」を例. 特定の市と連携した一括回収や、全国展開企業への一. に挙げ、DB の活用方法の説明、および数件の建物を. 括回収で回答が得られたのがほぼ福岡県の建物であっ. 抽出した事例分析を行う。. たためである。複数年度で連続して回答があった建物. 4-1.. では、各年度で個々の建物データとして扱っている。 3-2.. 図 3 に事務所の年間一次エネルギー消費量と延床面. データベース項目. 積の散布図を示す。年間一次エネルギー消費量と延床. 表 3 に DB 項目を示す。DB には、主な建物概要と. 面積との相関が高い。回帰直線から外れている建物で は、24 時間空調を使用している特殊室の存在や、食堂. 表 3 DB 項目. を有する建物、営業時間の長い建物で、回帰直線より. 項目. 詳細 所在地(市まで),延床面積,建物階数, 建物概要 週営業時間,冷暖房期間,契約電力量, その他各用途サービス量 年間一次エネルギー消費量, エネルギー消費量 年間一次エネルギー消費原単位, エネルギー種別エネルギー消費量 統計分析 重回帰分析結果,主成分分析結果. 上方に外れる傾向がみられた。規模が小さく、年間一 次エネルギー消費量の小さい建物が多くみられるが、 これは営業所が多く機器や人員数が一般事務所より少 ないことが影響していると考えられる。 図 4 に規模. 10000 年間一次エネルギー消費原単位 [MJ/㎡・年]. 9000 8000 7000 6000 5000 4000. 30000. 25000 20000 15000 10000 5000 0 コンビニエンスストア. 3000. 2000 1000 0. 事務所(自社ビル) 事務所(貸しビル) 官公庁 官公庁_特殊 スーパー デパート 家電量販店 ホームセンター 飲食店 コンビニエンスストア 病院 総合病院 診療所 福祉施設 ビジネスホテル シティホテル 旅館 幼稚園 保育園 小学校 中学校 特別支援学校 公立高校 私立高校 中高一貫校 4年制大学 専門学校 大学(医学部) スポーツ施設 ドーム 図書館 美術館 博物館. 年間一次エ ネルギー消費原単位[MJ/㎡・年]. ベンチマークデータ. 図 2 用途別の年間一次エネルギー消費原単位. 41-2.
(3) 120. 年間一次エ ネルギー消費量[GJ/年]. 別の年間一次エネルギー消費原単位を示す。「事務所 (自社ビル)」では、延床面積が 1,000 ㎡~30,000 ㎡ま で、延床面積が増加するほど年間一次エネルギー消費 原単位は増加傾向にあった。1,000 ㎡未満、30,000 ㎡ 以上の建物においては、有効回答件数が 5 件未満と少 なく、現状では実態把握できているとは言い難い。 これらのデータを用いることによって自社の建物概要. 対象建物. 100 80 y = 20.643x R² = 0.8424. 60 40 20. での平均のエネルギー消費量がどの程度に位置するか. 0. 確認を行うことができる。. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 延床面積[万㎡]. 延床面積 10,000 ㎡程度の建物を一件選び、事例分析. 図 3 年間一次エネルギー消費量と延床面積の散布図. を行った。図 3 に示すとおり、対象建物は回帰直線か. 120. 多消費型の建物である。また、図 4 では、同規模の年 間一次エネルギー消費原単位の平均値が、2,176MJ/ ㎡・年であるのに対し、対象建物の年間一次エネルギ ー消費原単位は 3,076MJ/㎡・年と同規模の建物と比較 しても、年間一次エネルギー消費原単位の大きな上位. 年間一次エ ネルギー消費量[GJ/年]. 年間一次エ ネルギー消費原単位[MJ/㎡・年]. 4,000. ら上方に外れており、一般事務所と比較しエネルギー. 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000. 500. 25%の建物に含まれる。 4-2.. 事務所( 自社ビル). 対象建物建物. 100 50 45. 4080 35. y = 17.785x R² = 0.8279. 3060 25 2040 15 10. 20. 5. 0 00 1000㎡未満. 0. 重回帰分析. 事務所(事務所( 自社ビル) 自社ビル). 0.5 1 1.5 2 2.5 01000㎡~ 1 2000㎡~ 2 3000㎡~3 6000㎡~ 4 10000㎡~ 5 30000㎡以上 6 2000㎡未満 3000㎡未満 6000㎡未満 10000㎡未満 30000㎡未満. 延床面積[万㎡]. 重回帰式による年間一次エネルギー消費量の推計式. 図 4 規模別・年間一次エネルギー消費原単位. の作成を行った。表 4 に各説明変数と年間一次エネル 表 4 各説明変数と年間一次エネルギー消費量の相. ギー消費量の相関係数を示す。「事務所(自社ビル)」 では、年間一次エネルギー消費量と延床面積との相関. 関係数年間一次エネルギー消費量. 単位. との相関係数. 年. 事務所(自社ビル) -0.091. ㎡. 0.868. 階 時間 日 日 人 kW. 0.522 0.035. 説明変数候補. 係数が 0.868 と高く、延床面積との関係が強い。また、 築年数. 総階数についても相関係数が 0.522 と若干の相関を示. 延床面積 総階数 週営業時間. していた。被説明変数を年間一次エネルギー消費量と し、これらの説明変数を用い、重回帰分析を行った。. 冷房日数 暖房日数 人員数. 表 5 に重回帰式の算出に使用した説明変数の一覧と自 由度調整済み決定係数 R2 値、回帰係数を示す。分析方. 契約電力. 0.183 -0.067 0.126 0.175. 法はステップワイズ法を用いた。また、説明変数間ど 表 5 重回帰式の算出に使用した説明変数の一覧と 2 自由度調整済み決定係数 R 値および回帰係数. の多重共線性のチェックも行った結果、総階数と延床 面積に多重共線性がみられたので、総階数を説明変数 から除外した。「事務所(自社ビル)」では、説明変数. 2. 自由度調整済み決定係数R 値 単位 延床面積 万㎡ 週営業時間 時間. に延床面積と週営業時間が選択され、自由度調整済み 決定係数 R2 値は 0.883 と高い。また、「事務所(自社. 重回帰式で使用している説明変数 事務所(自社ビル) 0.883 偏回帰係数 標準偏回帰係数 16.51 0.974 0.027 0.155. ビル)」では延床面積の標準偏回帰係数が高く、年間一 社ビル)」おける年間一次エネルギー消費量の推定式を 式 1 に示す。 YSB=16.51XSB1+0.027XSB2-1.560. ・・・ (式 1). YSB:事務所(自社ビル)の. 年間一次エネルギー消費量[TJ/年] XSB1:延床面積[万㎡]. XSB2:週営業時間[時間]. 年間一次エ ネルギー消費量[TJ/年]. 60. 次エネルギー消費量に関する影響が強い。 「事務所(自. 51.3. 50. 50.1. 45.1. 40 30. 実測値. 24.0. 推計値. 20 10 0. 重回帰分析をすることによって、用途別のエネルギ. 建物A. 建物B. 図 5 実態値と推計値の比較. ー消費にかかわる要因を知ることができ、また、自社. 各説明変数と年間一次エネル. 41-3. ギー消費量の相関係数. 7.
(4) の建物概要を重回帰式に代入することによって、自社. 表 5 各変数の成分ベクトル(P). 築年数 延床面積 人員数 週営業時間 冷房日数 暖房日数 契約電力. 1 -0.043 0.924 0.931 0.397 0.533 -0.454 0.317. 成分 2 0.836 0.210 0.102 -0.388 -0.264 0.084 0.758. 3 -0.285 0.080 0.154 -0.720 0.458 0.671 0.030. エネルギー消費量. 0.956. 0.039. 0.157. のエネルギー消費量の推計値を知ることができる。 この式を用いて、対象建物の年間一次エネルギー消 費量の推計を行った。図 5 に「事務所(自社ビル)」の 年間一次エネルギー消費量の実測値と推計値の比較図 を示す。ここでは、規模が 15,000 ㎡程度の同規模の建 物を 2 件選び事例分析を行った。対象建物 A では、年 間一次エネルギー消費量の実測値と比較し推計値は. 表 6 建物別因子分析結果. 47%少なくなっていた。これは、建物 A が、エネルギ ー多消費型の建物であることが分かる。建物 B におい ては、年間一次エネルギー消費量に実態と推計にほぼ. 築年数 延床面積 週営業時間 冷房日数 暖房日数 契約電力. 差がなく、同じ規模や営業時間の建物と比較し、同程 度のエネルギー消費量であることが分かる。 4-3.. 主成分分析. 各説明変数と年間一次エネルギー消費量の関係性. 長いことが特徴であるといえる。また、契約電力では. 出を行った。式 2~式 4 に因子抽出法の式を示す。式. 実態値のほうが 30%程度小さく推計されており、これ. 2 で各説明変数の体系が異なるため、変数の標準化を. は、建物として契約電力を抑制するような個別の対策. 行った。式 2 の標準化データを用い、式 3 にて各変数. 等をとっている可能性があり、ピーク値を抑制するこ. の固有値をもとめ、固有値のうち、統計的有意の成分. とにより、エネルギー消費量の抑制につながり、年間. を抜き出し、成分ベクトル P を算出した。この成分ベ クトルを用い式 4 にて、各変数の推計値を算出した。 (実測値―平均値). 建物B結果 実測値 推計値 64 59 16,088 25,388 95 77 183 199 150 156 1,010 1,733. 週営業時間は推計値のほうが小さく、建物使用時間が. を示し、各変数の推計のため主成分分析による因子抽. X=. 建物A結果 実測値 推計値 21 21 14,817 19,956 40 72 176 205 126 148 1,500 1,642. ・・・ (式 2). 標準偏差. 一次エネルギー消費量では、図 5 に示す通り、実態に 近い値になっているのではないかと推測できる。 5.. おわりに 本研究ではアンケート調査により九州地域の民生業. 務用建築物のエネルギー消費関連データベースの作成、 XTX. =UAUT n-1 X:標準化した各変数のサンプル値. ・・・ (式 3). x1:推計値. x:実測値. データベースを用い、各用途別のベンチマークデータ、 重回帰分析によるエネルギー消費推計式、主成分分析. U:各変数の固有値 x1=x・P・PT. 用途別のエネルギー消費特性の分析を行った。また、. ・・・ (式 4) P:成分ベクトル. による要因抽出法のための成分ベクトルの作成も行い、 それぞれのデータの使用法についても、実際の事務所 建築を例に挙げ示した。 今後は、データベースの精度向上や、有意的な分析、. 重回帰分析に用いた建物を比較検証対象とし、主成. 年度間のエネルギー消費推移の把握等を行うためにも. 分分析による、因子抽出を行った結果を示す。表 5 に. 継続的な調査が必要であるとともに、各用途における. 「事務所(自社ビル)」の成分ベクトル P を、表 6 に建. エネルギー消費要因と考えられる調査項目の追加等の. 物別に上記の因子抽出法によって求められた各変数の. 調査項目の再検討、より詳細な分析のため時刻別デー. 推計値と実測値を示す。建物 A では、実測値と比較し. タによる、用途別の時刻間でのエネルギー消費推移の. 推計値では延床面積、週営業時間、冷暖房日数が大き. 把握等も必要であると考えられる。. くなっている。これは、一般事務所と比較すると、特 殊な建物運用をされている可能性があり、就業時間は 週 40 時間でも、たとえば、特殊な空調室を持つなど、 建物運用時間や冷暖房日数は多い可能性があり、図 5 に示したようにエネルギー多消費型の建物になってい ることが考えられる。建物 B では、延床面積は、実態 値と比較し推計値のほうが大きくなっている。しかし 41-4. 【謝辞】 本調査は国土交通省の支援のもとに一般社団法人日本サステ ナブル建築協会(JSBC)に設置された「非住宅建築物の環境関連 データベース検討委員会」 (委員長:村上周三独立法人建築研究 所理事長)の活動の一環として実施したものである。また、解 析は科研費(22246075)の助成を受け実施した。ここに謝意を 表します。 【参考文献】 1) 建築物ストック統計研究会:.建築物ストック推計報告書, 2002 年 11 月.
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