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斜面住宅地における高齢者の買物環境に関する研究-北九州市枝光一区におけるケーススダディ- [ PDF

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(1)斜面住宅地における高齢者の買物環境に関する研究 - 北九州市枝光一区におけるケーススタディ 山下 浩祐. 1. 研究の背景と目的. であるが、昭和 40 年代の製鉄所の再編・合理化によっ. 少子高齢社会の進展が著しい我が国では、高齢者. て労働人口が流出し、その後もモータリゼーションの. の単身世帯及び夫婦のみ世帯の増加に伴い、高齢者の. 進展や郊外住宅地の拡大に伴い居住世帯の減少や高齢. 自立生活を支援する中でも、買物環境の整備が社会的. 化が急激に進行している。. な課題となっている。. また、北九州市は、線状の市街地により形成されて. 特に斜面住宅地は、外出時に運動量の大きい上りの. いるため、小倉と黒崎を結ぶ市街地軸に商業系の用途. 移動を伴うため、体力が低下した高齢者の買物時の負. が連続しており、当地区周辺の幹線道路沿いには、多. 担は大きく、斜面住宅地独自の対策が求められる。. 数の商業集積が見られる。加えて、近年の再開発事業. また、人口流出や高齢化を背景に、購買力の低下に. により大規模商業施設が地区周辺に進出している。. よる個人商店の減少と近年の大型店の進出によって買. 2-2. 買物環境. 物環境は変化し、高齢者の買物行動に影響を与えてい. 本研究における買物環境とは、「買物をする主体を. る。このため、今後高齢者の買物支援は、買物環境と. 取り巻く環境であり、商業集積、交通機関、享受可能. 高齢者の買物行動、相互の関係から検討することが重. なサービスや支援などの外的条件と、住宅立地や自家. 要である。 . 用車有無など主体側の条件を総合したもの。」を指す。. 以上より本研究では、人口減少と高齢化が進行する. 2-3. 調査の概要. 斜面住宅地を対象とし、買物環境と高齢者の買物行動. 本研究ではまず、買物環境の実態を把握するために. の実態を把握し、考察することで高齢者の買物環境の. 表 1. 各買物先の概況と店舗数変化. あり方に関する知見を得ることを目的とする。. 買物先. 2. 研究の方法 2-1. 調査対象地区の概要 本研究は、北九州市八幡東区枝光一区 (H22 年人口 3,016 人、高齢化率 39.0% ) を研究対象地区とする。 地区のグロス面積は約 44.4ha で、標高 5 〜 110m に かけて戸建住宅を中心に約 1,200 棟の住宅が立地し ている。当地区は、明治 34 年の八幡製鉄所の操業以降、 工場労働者の住宅需要を受けて形成された斜面住宅地. 大型店 個人商店・コンビニ H18 H24 新規 H18 H24 新規. 山王・上本町. 0. 0. 0. 6. 6. 0. 東田. 0. 1. 1. 0. 0. 0. 枝光本町. 1. 1. 0. 33. 29. 0. 大蔵. 2. 1. 1. 26. 20. 1. 中央町. 1. 0. 0. 19. 21. 3. 荒生田・高見. 1. 1. 0. 28. 25. 0. 春の町. 2. 2. 0. 36. 30. 0. 西本町・尾倉. 2. 2. 0. 51. 49. 0. 概況 対象地区内の買物先。個人商店が数店舗立地。地区 内にコンビニエンスストアが立地。. H18 年 11 月に複合商業施設が新規出店した地区。 食品スーパーと商店街を有する買物先。ジャンボタ クシーの発着地。 市場がある買物先であり、地区内にドラックストア コンビニエンスストアが立地。 行政関連施設に近接した買物先。商店街とコンビニ エンスストアが立地。 幹線道路沿いに位置し、食品スーパーに近接して商 店街が立地する買物先。 総合病院に近接して商業施設が立地する買物先。食 品スーパーを中心としたエリアに個人商店が集積。 対象地区から最も遠方にある買物先。総合病院が立 地し、その近辺に食品スーパーがある。. ※食料品の小売業店舗を集計。個人商店とコンビニエンスストアは合わせて集計。. 凡例. 枝光本町. 買物先想定範囲 東田. 店舗業態 (H.24 年現在). 中腹 A. 個人商店・市場. 中腹 B. コンビニエンスストア 春の町. 食品スーパーマーケット ショッピングセンター. 山手. 平地. 交通機関 (H.24 年現在)到津 中腹 C. 電車 幹線バス. 山王・上本町. ジャンボタクシー. 中央町. 荒生田・高見. 西本町・尾倉 0. 大蔵. 図 1. 調査対象地区と買物環境の概況 42-1. 500m. N.

(2) 買物先と想定される範囲内にある食料品の小売業店舗. 表2. 調査概要 調査対象. 配布数. 回収数. 回収率. 有効数. 有効回収率. 対象地区に居住し、自治区 会に加入する全世帯. 1,453. 1,135. 78.1%. 916. 63.0%. 1,315. 943. 71.7%. 940. 71.5%. 調査時期. について、H18 年、H24 年ゼンリン住宅地図による. H18 年 8 月. 資料調査と現地調査を行った。次に、高齢者の買物行. H24 年 9 月. 動の実態を把握するため、調査対象地区の自治区会に. 0. 加入している全世帯を対象にアンケート調査を行っ. 20 15.6. H18. た。なお、調査は留置方式で行い、調査票の配布・回. H24. 収は、町内会を通じて行った。アンケート調査の詳細 を表2、回答者の世帯型の変化を図2に示す。また、 分析では主に H24 年調査結果を扱い、地区住民の買. 40. 60. 17.9. 18.5. 27.1. 18.9. 100(%). 39.4. 20.7. 高齢夫婦 のみ世帯. 高齢単身世帯. 80. 36.2. 高齢者を含む 普通世帯. 5.6. 高齢者の いない世帯. 不明. 図2. 回答者の世帯型変化. 単位 : 世帯数. 物先の変化を捉える際に H18 年調査結果を用いる。. 世帯型 主な買物先. 3. 買物環境の変化 まず、買物環境の概況を捉え、H18 年末の大規模. (n 値). 商業施設出店による対象地区の買物環境の変化を、出 店前後の H18 年と H24 年の二点間の比較から捉える。. 高齢単身世帯. 調査対象地区周辺の買物先の分布と公共交通網を図. 130. 189. 267. 145. 161. 174. 317. 山王・上本町. 6.3. 3.8. 0.7. 「中央町」「荒生田・高見」があり、それぞれ店舗の規. 中央町 荒生田・高見. 模や構成等に特徴が見られる。 「東田」は製鉄所跡地で、 商業立地はなかったが、H18 年 11 月に大型商業施設. 1.2. 央町」「荒生田・高見」は、製鉄所周辺の市街化に伴っ. その他. て形成された商店街や市場を元とする。このうち、 「枝. 1.7. 34.6. 38.3. 33.5. 35.2 12.5 2.8. 34.3. 19.6 7.1. 1.5. 15.4. 16.7. 0.3. 20.6. 24.8. 1.4. 20.3. 21.3. 16.1. 16.3. 11.7 0.9. 5.5. 0.8 1.2. 10.2 3.4. 1.6. 5.4 4.3. ※世帯型が不明な世帯を除く。. 0.4. 3.0. 1.7. 1.9. 10.6. 2.0 19.9. 2.3. H18 年. 29.2. 9.5. 0.9. 2.3. 24.6. 17.2. 41.7. 30.7. 15.3. 1.9. 13.3. 52 52.7. 1.1. 18.5. 2.1. 38.5 36.5 9.0. 1.9. 19.5. 1.5. 37.9. 12.3. 797 4.5. 1.9. 31.1. 33.1. 714. 2.6. 春の町 西本町・尾倉. が新規出店した。これに対し、 「枝光本町」「大蔵」「中. 6.3. 合計. い世帯. 128. 大蔵. 区周辺の商業集積地として、 「東田」 「枝光本町」 「大蔵」. 高齢者のいな. 普通世帯. H24. 枝光本町. 1、各買物先の概況と店舗数の推移を表1に示す。地. 高齢者を含む. 世帯. H18. 東田. 3-1. 買物環境の概況. 高齢夫婦のみ. 13.0. 10.1 H24 年. 6.0. 0. 30. 60%. 光本町」は枝光地域一帯を運行するジャンボタクシー. 図3. 主な買物先の変化(H18-H24). を事業者・地域・行政が運営しており、さらに個人商. 減少し、「中央町」「大蔵」の割合が高くなり、比較的. 店による配送サービスなど、独自の取組みが見られる。. 近い買物先を選択する傾向にある。 . また、「荒生田・高見」は製鉄所社宅跡地の再開発. H24 年を見ると、地区全体では「東田」の割合が. で食品スーパーと既存商店街が再編整備されている。. 最も高く、次いで「枝光本町」「荒生田・高見」である。. 3-2. 各買物先の店舗数推移. 世帯型別に見ると、高齢者のいない世帯では、「東田」. 次に、各買物先の店舗数の推移をみると、商店街や. が約半数を占め、他の世帯型と比べて「枝光本町」「荒. 市場を有する 4 地区のなかで、「大蔵」「中央町」で. 生田・高見」の割合が低い。対して、高齢単身世帯、. は大型店が減少している。どちらも食品スーパーの撤. 高齢夫婦のみ世帯では、「枝光本町」が最も多く、「東. 退であり、「中央町」は空店舗、大蔵は空地とドラッ. 田」は3割に止まる。. クストアとなっている。また、個人商店の店舗数は、 「大. 3-4. 主な買物先選択の変化. 蔵」は7店舗減少し、「中央町」は 3 店舗が新規出店. さらに、主な買物先について H18 年と H24 年の二. しているが、2店舗が空店舗または空地となっている。. 点間を比較すると、「東田」を除く買物先は全体とし. 対して、「枝光本町」「荒生田・高見」は、個人商店. て減少しており、特に、「大蔵」「中央町」の減少が顕. の店舗数は減少しているが、食品スーパーの店舗数は. 著である。世帯型別に比較すると、高齢者のいない世. 減少していない。. 帯では、買物先が「東田」に集中しており、他地区は. 3-3. 世帯型別の主な買物先. 大幅に減少している。一方、高齢単身世帯、高齢夫婦. 続 い て、 地 区 住 民 の 主 な 買 物 先 を 見 る( 図 3)。. 世帯、高齢者を含む世帯は「枝光本町」「荒生田・高. H18 年は、地区全体として「枝光本町」 「荒生田・高見」. 見」を利用する世帯の変化は少ない。これより、高齢 者の買物環境を支える上で「枝光本町」 「荒生田・高見」. 「中央町」を主な買物先とする世帯が多い。高齢単身. の2地区が果たす役割が大きいと言える。. 世帯は、他の世帯型に比べ「荒生田・高見」の割合が 42-2.

(3) 4. 主な買物先別の買物行動. 単位 : 世帯数. 続いて、利用者の特に多い買物先である「東田」「枝. 交通手段. 光本町」 「荒生田・高見」を取り上げ、それぞれについて、. (n 値). 交通手段、行きつけ店舗の有無、店先の会話の有無別. 買物先合計 東田. 枝光本町. 荒生田・高見. 行き. 826. 344. 241. 137. 帰り. 822. 341. 240. 40.3. 徒歩. に買物行動の比較分析を行う。. 34.9. 4-1. 交通手段 に示す。まず、全世帯について見ると、「徒歩」の割. 自転車. 合が最も高いが、斜面住宅地の上りの負担を軽減する. バイク. ため、帰りは行きに比べて割合は下がり、公共交通機. 3.3. 3.6. 2.9. 3.3. 3.6. 10.8. 18.5. 10.9. 10.4. 7.4. 4.1. 10.4. 9.7. 12.3. 44.5 39.9. 10.2. 12.9. 18.8. 15.8 22.1. 2.0 3.8. 8.9. 23.9. 2.9. ※複数回答. 「自分の車」が減り、 「徒歩」が多くなる。また、 「ジャ. 23.4. 29.0. 3.3. 8.7. 6.1. ジャンボ タクシー. の割合が高い。高齢者の利用が多い「枝光本町」では. 1.2 18.6. 22.4. 3.3. 1.2. 2.4. タクシー. 各買物先別に見ると、 「東田」は「徒歩」「自分の車」. 5.6. 4.0 2.4. 29.9. 22.5. 5.8. 4.1. バス. 関を利用する世帯が増加する。. 24.0. 23.2. 8.7. 21.2. 20.4. 23.8. 22.9. 家族の車. 主な買物先と行き帰りの交通手段の関係性を図 4. 38.7. 31.1. 13.1. 47.1. 38.7. 31.7. 自分の車. 138 56.0. 47.4 43.1. 2.2 3.6. 行き. ※交通手段の電車、送迎サービス、その他を除いて集計。. 帰り. 0. 30. 図 4. 主な買物先の交通手段 表 3. 主な買物先の行きつけ店舗・会話の有無. ンボタクシー」も増加し、特に行きに比べ帰りの割合 が大きくなる。. 行きつけの店舗. 買物先. 一方、「荒生田・高見」は、「徒歩」の割合が 15%. あり 99. 東田. 以下と大きく低下し、自家用車や公共交通機関の割合. 28.8% 143. 枝光本町. が高くなり、「バス」の利用者の割合が 4 割以上を占. 58.4%. 71. 荒生田・高見. めることがわかる。 4-2. 行きつけ店舗・店先の会話の有無. 51.4%. 385. 全体. 買物先別に行きつけ店舗と店先の会話の有無を見る. 41.0%. 223. 64.8%. 世間話. 22. 344. 14. 245. 7. 138. 80. 940. 6.4% 100.0%. 88. 5.7% 100.0%. 35.9% 60. 5.1% 100.0%. 43.5%. 475. 8.5% 100.0%. 50.5%. 単位 : 世帯数. 店先の会話. 合計. 無回答. なし. 生活上 の相談. しない. 75. 95. 47. 34.1% 269. 28.6%. 70.6% 6. 世帯型. 行きつけ店舗が「あり」と答えた世帯が約2倍見られ、. 超高齢世帯. 3. 5.6%. 店先で「世間話をする」と答えた世帯も多い。. 単身世帯. 商店街を有する2地区では、買物先の「なじみ」の. 夫婦世帯. 店舗を利用する世帯が多く、特に「枝光本町」でその. 後期高齢世帯. 3. 11.1%. 5. 高齢者の買物環境に関する考察. 夫婦世帯. 最後に、斜面地での買物負担が大きいと考えられる. 2. 80. 1.4%. 買物環境のあり方について考察する。分析にあたり、. 4. 14.8%. 10. 11.4% 15. 38. 23.6% 22. 25.0% 16. 22.0%. 4. 14.8% 7. 29.2%. 69. 42.9% 33. 37.5% 36. 13. 558. 1.4%. 59.4%. 940. 単位 : 世帯数. 23. 44.9% 13. 48.1% 10. 41.7% 23. 14.3% 18. 20.5% 5. 合計. 無回答 5. 9.7%. 3. 11.1%. 2. 8.3%. 6. 3.7% 5. 5.7% 1. 51. 100.0% 27. 100.0% 24. 100.0% 161. 100.0% 88. 100.0% 73. 1.4%. 100.0%. 31 22.1%. 34 24.3%. 61 43.6%. 10 7.1%. 4 2.9%. 140 100.0%. 単身世帯. 15 25.4%. 10 16.9%. 26 44.1%. 6 10.2%. 2 3.4%. 59 100.0%. 夫婦世帯. 16 19.8%. 24 29.6%. 35 43.2%. 4 4.9%. 2 2.5%. 81 100.0%. 表 5. 超高齢世帯のエリア別車輌アクセス 車輌アクセス 車輌進入可. 山手. 中腹 A 1. 単身世帯. 齢化に伴って頻度は低下し、後期高齢単身世帯では約. 夫婦世帯 車輌進入不可. 1. 8.3%. 5-1. 超高齢世帯の買物行動. 夫婦世帯 合計. 1. 5.3% 1. 8.3%. 中腹 C 3. 15.8% 3. 25.0%. 1. 7.7% 1. 6. 20.7% 1. 7.7% 5. 10. 34.5% 7. 53.8% 3. 合計. 平地 3. 15.8% 2. 16.7% 1. 2. 単身世帯. 中腹 B. 14.3% 6.9%. 以下と回答している。. 単位 : 世帯数. 居住エリア. 5.3%. では、買物頻度の比較的高い世帯が多いが、世帯の高. 買物頻度の低い世帯が多い超高齢世帯について買物. 100. 10.6% 100.0%. 6.8%. 齢世帯)、75 〜 84 歳(後期高齢世帯)、85 歳(超高. 20%、超高齢世帯では約 45%の世帯が買物を週 1 日. 138. 49.3%. ※高齢単身世帯、高齢夫婦のみ世帯について集計。. 世帯型別の買物頻度を表 4 に示す。前期高齢世帯. 9. 21.9%. 対象世帯を世帯主年齢で細分し、74 歳以下(前期高 齢世帯)の 3 段階に分類する。. 245. 6.5% 100.0%. 58.0%. 週 2-3 日 週 1 日以下 11. 25. 20.5%. 前期高齢世帯. 高齢単身世帯、高齢夫婦のみ世帯の買物行動を分析し、. 17.8%. 5. 25. 単身世帯. 9. 20.8% 15.5%. 傾向が強く、買物先での交流が見られる。. 週 4-5 日. 344. 119. 買物頻度 ほぼ毎日. 26. 7.6% 100.0%. 48.6% 10.2% 100.0%. 2.4%. 表 4. 高齢世帯の買物頻度. (表3)。「枝光本町」 「荒生田・高見」は、 「東田」に比べ、. 合計. 無回答. 243. 21.8% 38.8%. 60%. 7. 24.1%. 3. 23.1% 4. 11. 57.9% 5. 41.7% 6. 85.7% 4. 13.8% 1. 7.7% 3. 19. 100.0%. 12. 100.0% 7. 100.0% 29. 100.0%. 13. 100.0%. 16. 6.3%. 31.3%. 18.8%. 25.0%. 18.8%. 100.0%. 4 7.8%. 7 13.7%. 13 25.5%. 11 21.6%. 16 31.4%. 51 100.0%. 行動の分析を行う。まず、居住エリアを見ると(表 5)、. 単身世帯. 平地に居住する世帯は 30%のみで、70%の世帯が中. 3 11.1%. 2 7.4%. 10 37.0%. 5 18.5%. 7 25.9%. 27 100.0%. 夫婦世帯. 1 4.2%. 5 20.8%. 3 12.5%. 6 25.0%. 9 37.5%. 24 100.0%. 腹または山手に居住している。また、接道条件の良い. ※車輌アクセスが無回答の 3 世帯は除く。. 42-3.

(4) 住宅に居住する世帯は平地に集中しており、車輌進入. 単位 : 世帯数. 不可の住宅は中腹または山手に多く、特に中腹 B に. エリア (n 値). は単身世帯が多く居住している。. 8. 東田. 次に、主な買物先別の行きと帰りの交通手段を見る. 枝光本町. と(図5)、「徒歩」は約 3 割であり、他の交通手段 最も多くなる。買物先別に比較すると、 「東田」は「徒. 合計. 徒歩. 家族の車. 50.0 50.0. 8 20. 45.0 30.0. 20 8. 荒生田 高見. が多く利用され、特に帰りは「タクシー」の利用者が. 交通手段 バス. 47. 31.9 25.5. 47. 23.4. 全世帯. の利用意向を見る(図6)。まず現状では、全世帯に. 25.5. 帰り 0. 行き. デイサービス の買物ツアー. 続いて、買物負担を補うサービスの利用状況と今後. 25.5. 34.0. テレビショッピ ングによる宅配. 超高齢世帯. ス」が 6 割強を占める。. インターネット 注文による宅配. 生田・高見」では、「徒歩」で通う世帯はおらず、「バ. 12.5 12.5. 25.5. 27.7. 移動販売. (n 値). 商店・スーパー の配送サービス. 利用者は 4 割おり、他と比べて割合が高くなる。「荒. 生協などの宅配. クシー」が増加する。また、「ジャンボタクシー」の. 40.0 40.0. 12.5. 29.8. 23.4. 図 5.超高齢世帯の買物先別の交通手段. おいても「徒歩」の割合は高いが、帰りは減少し、 「タ. 25.0 25.0. 35.0 45.0. 62.5 62.5. ※複数回答. 歩」が最も多く、「家族の車」も多い。「枝光本町」に. ジャンボ タクシー. 25.0 25.0 25.0 20.0. 20.0 25.0 12.5 12.5. 8. タクシー. 37.5 37.5. 51. 50. 100%. 凡例 現在利用している. 現在利用していない が今後利用したい. 940. 20% 10% 5%. 比べて超高齢世帯は「生協などの宅配」や「移動販売」. 図 6. 買物サービスの利用状況と今後の利用意向. を利用する世帯がやや多い程度であり、買物のための. 6. まとめ. 外出負担を軽減するために宅配サービスを積極的に利. 本研究では、以下のことを明らかにした。. 用しているとは言い難い。一方、今後の利用意向は、. 1)買物先の選択要因のひとつに大型店の有無が挙げ. 全体では「商店・スーパーの配送サービス」と「移動. られる。大型商業施設の進出により周辺の買物先が衰. 販売」の割合が高いのに対し、超高齢世帯では「デイ. 退するなか、食品スーパーと商店街を有する地区は多. サービス実施の買物ツアー」の割合が高い。このこと. くの高齢者が利用しており、特に利用者が多い買物先. から、超高齢期を迎えても、店頭での買物に対するニー. は、高齢者の買物負担を軽減する取組みが見られる。. ズは高いと考えられる。. 2)住民に多く利用されている買物先の交通手段は徒. 5-2. 高齢者の買物環境に関する改善手法. 歩が多く、なかでも高齢者の利用が多い買物先は徒歩. 以上では、超高齢世帯について、車輌進入不可の斜. の割合が特に高いため、高齢者の買物先の選択には徒. 面中腹に居住し、交通機関を利用し買物をする世帯の. 歩利用のしやすさが影響している。. 存在と、買物負担を補うサービスへのニーズを明らか. 3)多くの高齢者が利用する買物先では、なじみの店. にしたが、本節ではさらに高齢者の買物環境の改善手. 舗があり、世間話などの交流が生まれている。. 法を考察する。. 4)超高齢世帯は、買物頻度が週 1 日以下の世帯が多. 高齢者が利用する公共交通機関のなかでも、「ジャ. く、約 7 割が車輌進入不可の斜面中腹に居住している。. ンボタクシー」は地域の交通弱者の移動手段として機. 交通手段は公共交通機関を利用する世帯が多く、宅配. 能し、「枝光本町」の利用を促している。加えて、利. サービスによって買物負担を軽減する世帯がいる一方. 用者へのヒアリングから車内で利用者同士の交流も生. で、店頭での買物に対するニーズは高い。. まれていることがわかった。しかし、停留所から自宅. 今後、買物環境を改善する上で、移動負担の緩和に. まで移動負担は大きく、事業者の調査では利用者は. より外出を促し、店頭での買物の機会を作ることに. 年々減少し、運行ルートと便数が少ないなどの要望が. よって、高齢者の買物支援のみならず、買物先の商業. 挙がっている。一方、「タクシー」は、利便性は良い. 機能も維持する仕組みの検討が求められる。. ものの料金が高いことが、超高齢世帯の買物頻度の低. 謝辞. 下に影響している。. の方々に多大なご協力を頂きました。ここに記して深謝いたします。. 本研究にあたり、枝光第一自治区会、枝光一区地域まちづくり協議会、ならびに住民. 今後、これらの交通手段の負担を軽減し、高齢者の. 参考文献. 買物環境を改善するためには、ジャンボタクシーの利. 竹下 輝和・志賀 勉・他 1995 年度日本建築学会大会学術講演梗概集. 1) 斜面住宅地における定住環境形成に関する研究その1〜6 2) 買物不便が高齢者の食生活に与える影響とその対策. 用者や、買物先での交流をもつ高齢者同士が、帰りの. - 板橋地域における高齢者買物調査の結果分析 -. 交通手段にタクシーの乗合を行うなど、経済面と移動. 樋野 公宏 2002 年度日本建築学会計画系論文集. 面の負担を緩和し、買物に係る外出を促す必要がある。. 平成 18 年度全国都市再生プロジェクト推進調査. 3) まちなか斜面地の保全・再編誘導まちづくりに関する検討調査. 42-4.

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(3)市街地再開発事業の施行区域は狭小であるため、にぎわいの拠点

C 近隣商業地域、商業地域、準⼯業地域、⼯業地域、これらに接する地先、水面 一般地域 60以下 50以下.

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