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(1)

異なる色の医療用ユニフォーム

に対する印象評価

(2014 年 7 月 31 日受付;2014 年 11 月 19 受理) 庄山 茂子* 青木 久恵** 窪田 惠子** 下北 裕樹*** 栃原 裕**** *長崎県立大学 **福岡女学院看護大学 ***フォーク株式会社 ****九州大学 * ** ****文化ファッション研究機構

Impressions and Assessment of Medical Uniforms in Different Colors

Shigeko SHOYAMA * Hisae AOKI ** Keiko KUBOTA**

Hiroki SHIMOKITA*** and Yutaka TOCHIHARA**** *University of Nagasaki, Nagasaki,Japan

**Fukuoka Jo Gakuin Nursing College, Fukuoka, Japan

*** Folk Co.,Ltd., Saitama, Japan

**** Kyushu University, Fukuoka, Japan

* ** **** Bunka Fashion Research Institute, Tokyo, Japan Abstract

A survey involving 394 outpatients was conducted to examine their impressions of medical uniforms in different colors. Staff of a dental clinic were asked to wear scrubs in eight colors and white pants.

(1) Of the eight samples, the largest number of patients considered the light red-purple scrubs as “very favorable” or “favorable”, followed by the white scrubs. There was no difference in the favorability between gender and age groups.

(2) No relationship was noted between patients’ anxiety over illness and their favorable impression of each sample.

(3) A factor analysis extracted four factors: “kindness/comfort”, “trust/responsibility”, “activeness”, and “design”. In a given color, the higher the brightness, the higher the score for “kindness /comfort”. The score for “trust/responsibility” (the second factor) was high when the scrubs were purple-blue, green, or a cold or similar color , and the score was low when scrubs in a warm or similar color, including red-purple and yellow-red, scrubs were worn.

(Received July 31, 2014;Accepted November 19, 2014) Key words: medical uniform ,scrub, impression,outpatient, color, factor analysis

(2)

―― 要 旨 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 歯科診療所のスタッフに医療用ユニフォームとして異なる 8 色のスクラブと白のパンツを着用し てもらい,外来患者 394 名を対象に印象を調査した. (1)8 色のサンプルの中で,「好ましい,やや好ましい」の割合が最も高いのは,明るい赤紫(lt-RP) で,次に好まれたのは白(Wt)であった.好ましさに,性別,世代間の差異はみられなかった. (2)各サンプルにおいて,患者の病気に対する不安と看護服の好ましさに関連はみられなかった. (3)因子分析の結果,「親しみやすさ・癒し」,「信頼・責任」,「活動性」,「デザイン性」の 4 因子が 得られた.「親しみやすさ・癒し」は,同一色相に着目すると,明度の高い方の因子得点が高かっ た.また,第 2 因子の「信頼・責任」の因子では,青紫(PB),緑(G)の寒色系や寒色系に近い 色相の因子得点は高く,赤紫(RP),黄赤(YR)の暖色系に近い色相や暖色系の色相の因子得点 は低かった. キーワード:医療用ユニフォーム,スクラブ,印象,外来患者,色彩,因子分析 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1.緒 言 近年,医療用ユニフォームのスタイルは,ワン ピースだけでなく,上衣とパンツや上衣とスカー トなど様々である.しかも白に加え様々な色や柄 の施されたものがみられる.このようなデザイン の多様化には,機能性や衛生面の向上,男性看護 師の増加,現代ファッションスタイルの個性化, 医師や看護師の白衣をみると患者が緊張して血圧 が高くなる白衣高血圧症が問題視されるようにな ったこと等,様々な背景が考えられる. 医療用ユニフォームについては衛生面1)~4)から の研究や白衣高血圧症に着目した研究5)~8)は数多 くなされてきたが,柄の有無やスタイルの異なる デザインについて着用者と患者の視点から分析し た研究はみうけられない.そこで前報9) では,異 なる 6 種のデザインの看護服に対する印象を患者 と看護師ならびに衛生士を対象に調査し,デザイ ン間の印象の違いを明らかにした.その結果,「や や好ましい,好ましい」の割合が高いのは,患者 群と病院スタッフ群ともに上衣が花柄のチュニッ クと下衣が白のパンツで,「あまり好ましくない, 好ましくない」の割合が高いのは,両群ともに上 衣が暗い赤紫(dk-RP)のスクラブと下衣が白の パンツであった.特に,暗い赤紫(dk-RP)のス クラブについては,不安の程度の高い患者ほど「好 ましくない」と回答した.このことから医療用ユ ニフォームのデザイン要素の一つである色彩の重 要性が示唆された. そこで,本報では色に着目して,同一スタイル で異なる色の医療用スクラブと白のパンツのスタ イルに対し患者がどのような印象を抱くか調査し, 今後の医療用ユニフォームに求められる色彩につ いて考察することを目的とした. 2.調査の概要 (1)調査に用いたスクラブ 調査に用いたスタイルは,図 1 に示すように上 衣はスクラブ(ポリエステル 65%,綿 35%)で, 下衣は白のストレートのパンツ(ポリエステル 100%)である.上衣のスクラブには 8 種類の色を 用いた.8 種の色については,表 1 に示す通りで ある.医療用として多く使われる白の他,赤系, 青系,緑系を選択し,比較対象として各色の明度 と彩度(トーン)を変化させた 8 色とした.医療 用ユニフォームとして上下に同色を組み合わせる 場合もあるが,前報9) では,暗い色のスクラブは 不安の高い患者ほど好まなかったことから,上下 に暗い色を用いた際の患者の心理状況に配慮し, 今回の調査ではパンツを白に統一した. (2)調査場所:長崎県内の歯科診療所

Fig.1 Samples used in the survey Table 1 Sample’s color サン プル マンセル値 JIS 系統色名 記号 1 N9.5 白 Wt 2 7.5PB6.0/8.0 明るい青紫 lt-PB 3 7.5RP7.0/8.0 明るい赤紫 lt-RP 4 10G6.0/8.0 やわらかい緑 sf-G 5 7R4.5/12.0 強い黄赤 st-YR 6 6PB2.5/9.5 こい青紫 dp-PB 7 10RP3.0/11.0 こい赤紫 dp-RP 8 2.5G3.0/4.0 暗い緑 dk-G

(3)

(3)調査対象者:外来患者(全 394 名,平均年齢 50.3 歳,SD14.6 歳) (4)調査時期:2012 年 7 月~8 月 (5)調査方法:歯科診療所において,全スタッフ 女性 9 名(医師 1 名,歯科衛生士 7 名,受付 1 名) に 1 日 8 色が揃うように着用してもらった.なお, 1 人は 3~4 色を着用し,1 人が同一色のみ着用し ないよう配慮した.同一の患者に,8 色すべての 回答を依頼するのが望ましいと考えたが,患者へ の倫理的配慮から 1 日 1 人に対し 1 色を依頼した. サンプルを着たスタッフをみてもらい,他の色と 比 較 し て 質問 紙 調 査で回 答 を 求 めた ( 回 収率 100%).スタッフは,採寸して体型にあうサンプ ルを着用した.診療所では,約 1 年前にポロシャ ツスタイルからスクラブに制服を変えている.顔 の表情は,人物の印象形成に影響を与えることが Douty10)によって明らかにされている.また,患者 との話し方や接し方や身体的特徴等も影響すると 思われるが,実際の診療の場面においてそれらの 影響を排除せずに調査した. (6)調査内容:①性別,年齢,病気や治療に対す る不安,②の看護服に対する好ましさ 5 段階評価, ③看護服に対するイメージ;評価は,被服や色彩 の感性的なイメージ,看護師に求められるイメー ジを含む 25 項目に対する 5 段階評価. (7)分析方法:単純集計,フィッシャーの直接確 率法,因子分析,一元配置分散分析. 統計処理には統計解析ソフト SPSS Ver.20.0 for Windows を用いた. 3.結 果 3-1 調査対象者について 8 サンプルに対する調査対象者を表 2.1(性別) に示した.全患者,男性,女性の平均年齢につい て 8 サンプル間に有意差はみられなかった.男女

Table 2.1 Survey subjects (males/females)

の平均年齢を比較すると,サンプル 1 とサンプル 3 に つ い て有 意 差 がみら れ た ( サン プ ル 1: t(48)=2.33 p<.05,サンプル 3:t(49)=2.22 p<.05).また,全患者を世代別に分類した結果を 表 2.2 に示した.18 歳~29 歳を若年層,30 歳~ 59 歳を中年層,60 歳~79 歳を高年層と分類した. 各世代の平均年齢については,8 サンプル間に有 意差はみられなかった.

Table 2.2 Survey subjects (age groups) 若年層(18~39 歳)人数 (平均年齢±SD) 中年層(40~59 歳) 人数 (平均年齢±SD) 高年層(60~79 歳) 人数 (平均年齢±SD) サンプル 1 15 (32.5±6.8) 16 (50.0±6.2) 19 (63.7±3.4) サンプル 2 20 (29.1±5.0) 14 (54.0±4.8) 16 (64.2±3.5) サンプル 3 (31.2±5.9)13 (48.9±6.5) 23 (64.4±3.6)15 サンプル 4 (31.1±7.1)7 (47.8±5.6) 16 (66.5±5.5)24 サンプル 5 (28.5±6.2)11 (50.0±5.8) 15 (65.4±4.0)21 サンプル 6 (32.7±4.6)14 (51.1±5.6) 17 (63.3±2.5)19 サンプル 7 (28.8±4.8)17 (51.0±4.9) 17 (63.7±2.2)15 サンプル 8 (33.0±5.3)12 (50.0±6.7) 18 (65.6±4.0)20 3-2 サンプルの好ましさについて 8 サンプルと 5 段階の好ましさについてのクロ ス集計(表 3)に対し,フィッシャーの直接確率 検定を行った結果,8 サンプルの好ましさに有意 差がみられた(p<.01).サンプル 3(lt-RP)が 最も好まれ「やや好ましい,好ましい」の割合は, 86.0%であった.次に好まれたのはサンプル 1(Wt) で,「やや好ましい,好ましい」の割合は,71.4% であった.「好ましい」の回答が最も少なかったの はサンプル 7(dp-RP)(16.3%)で,次はサンプ ル 6(dp-PB)(20.8%)であった. すべてのサンプルにおいて,好ましさに性別, 世代間の有意差はみられなかった.しかし,次の ような傾向がみられた.サンプル 1(Wt)は,「好

Table 3 Favorability rating of the eight types of scrub

全人数 (平均年齢±SD) 男性人数 (平均年齢±SD) 女性人数 (平均年齢±SD) サンプル 1 (49.8±4.0) 50 (55.3±10.6) 20 (46.2±14.9) 30 サンプル 2 (47.3±6.1) 50 (50.6±17.4) 11 (46.4±15.9)39 サンプル 3 (48.9±3.6) 51 (54.7±10.0) 17 (46.0±14.4)34 サンプル 4 (54.9±14.4) 47 (59.2±12.1) 18 (52.2±15.1)29 サンプル 5 (51.9±15.6) 47 (52.7±16.2) 7 (51.7±15.6)40 サンプル 6 (50.7±13.1) 50 (53.1±12.3) 9 (50.1±13.3)41 サンプル 7 49 (47.2±15.1) 13 (48.9±16.8) 36 (46.6±14.7) サンプル 8 (52.0±13.9) 50 (57.0±11.4) 14 (50.0±14.5)36 好まし くない あまり 好ましくない どちらで もない やや 好ましい 好ましい サンプル 1 1(2.0) 6(12.2) 7(14.3) 13(26.5) 22(44.9) サンプル 2 2(4.1) 3(6.1) 10(20.4) 12(24.5) 22(44.9) サンプル 3 1(2.0) 2(4.0) 4(8.0) 11(22.0) 32(64.0) サンプル 4 2(4.4) 5(11.1) 10(22.2) 13(28.9) 15(33.3) サンプル 5 1(2.2) 6(13.0) 10(21.7) 17(37.0) 12(26.1) サンプル 6 4(8.3) 6(12.5) 16(33.3) 12(25.0) 10(20.8) サンプル 7 3(6.1) 11(22.4) 12(24.5) 15(30.6) 8(16.3) サンプル 8 1(2.0) 10(20.0) 13(26.3) 11(22.0) 15(30.0) 人数(%)

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ましい」の回答は男性の中年層,高年層に多くみ られ,サンプル 2(lt-PB)は,「好ましくない」 の回答は女性にみられた.サンプル 3(lt-RP)は, 「好ましい」の回答は女性の若年層に多くみられ た.サンプル 5(st-YR)は,「好ましくない」の 回答は男性の高年層にみられた.サンプル 7 (dp-RP)は,「好ましい,やや好ましい」の回答 は女性に多くみられた. 患者に対して,診察や治療前に,病気や治療に 対する不安や心配があるか質問した.回答は,な い,ほとんどない,どちらでもない,ややある, あるの 5 段階で求めた.不安や心配の程度と各サ ンプルの好ましさについて,すべてのサンプルに おいて関連はみられなかった. 3-3 サンプルのイメージについて 8 種のサンプルのイメージについて,5 段階によ る評価で印象を求めた.図 2 に示すようにイメー ジ 25 項目すべてで,8 種のサンプル間に有意差が みられた.顕著なイメージとして,サンプル 1(Wt) は,「清潔である」のイメージが最も高く,サンプ ル 2(lt-PB)は,「洗練されている,真面目な印 象をうける,冷静な印象をうける,知的な印象を うける,責任感があるようにみえる,信頼できる」 のイメージが高い.サンプル 3(lt-RP)は,「美 しい,やわらかい,明るい,温かい,親しみやす い,思いやりのある印象を受ける,癒される,安 心できる,落ち着ける」のイメージが高く,サン プル 4(sf-G)は,その他のサンプルと比較して 特徴的な項目はない.サンプル 5(st-YR)は,「積 極的な印象を受ける,外交的な印象を受ける」の イメージが高く,サンプル 6(dp-PB)は,「流行 しているスタイルである」のイメージが高く,「温 かい」のイメージが低い.サンプル7(dp-RP) は,「個性的である」のイメージが高く,「真面目 な印象をうける,冷静な印象をうける,知的な印 象をうける,責任感があるようにみえる,癒され る,安心できる,落ち着ける」のイメージが低く, サンプル 8(dk-G)は,「明るい,親しみやすい, 思いやりのある印象をうける,心が広い印象をう ける,積極的な印象を受ける,外交的な印象を受 ける」のイメージが低い. 次に,各サンプルのイメージについて性別,世 代別に分析した.サンプル 1(Wt)の結果を図 3 と図 4 に示した. 性別では,25 項目すべてに男女間に有意差はみ られなかった.世代間では 25 項目 1 項目に有意差 がみられた.有意差がみられたのは,「個性的であ

Fig.2 Images of the eight samples

Fig.3 Images of sample 1 (white)

Fig.4 Images of sample 1 (white)

思 わ な い あ ま り 思 わ な い ど ち ら で も な い や や そ う 思 う そ う 思 う 1 2 3 4 5 派手である 美しい 流行しているスタイルである 洗練されている 個性的である 上品である やわらかい 明るい 温かい 清潔である 親しみやすい 思いやりのある印象をうける 心が広い印象をうける 積極的な印象をうける 外向的な印象をうける 動き易そう 軽快である 真面目な印象をうける 冷静な印象をうける 知的な印象をうける 責任感があるようにみえる 信頼できる 癒される 安心できる 落ち着ける 派手である 美しい 流行しているスタイルである 洗練されている 個性的である 上品である やわらかい 明るい 温かい 清潔である 親しみやすい 思いやりのある印象をうける 心が広い印象をうける 積極的な印象をうける 外向的な印象をうける 動き易そう 軽快である 真面目な印象をうける 冷静な印象をうける 知的な印象をうける 責任感があるようにみえる 信頼できる 癒される 安心できる 落ち着ける 思 わ な い ま り 思 わ な い ち ら で も な い や や そ う 思 う そ う 思 う 1 2 3 4 5 * p <.05 ** p <.01 *** p <.001 *** ** ** *** *** *** *** *** *** *** * * ** * ** * *** *** *** *** *** *** *** *** *** 思 わ な い あ ま り 思 わ な い ど ち ら で も な い や や そ う 思 う そ う 思 う 1 2 3 4 5 * p <.05 * 派手である 美しい 流行しているスタイルである 洗練されている 個性的である 上品である やわらかい 明るい 温かい 清潔である 親しみやすい 思いやりのある印象をうける 心が広い印象をうける 積極的な印象をうける 外向的な印象をうける 動き易そう 軽快である 真面目な印象をうける 冷静な印象をうける 知的な印象をうける 責任感があるようにみえる 信頼できる 癒される 安心できる 落ち着ける

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Table 4 The number of items with a significant difference for each sample

る」の項目で,若年層ほどサンプル 1(Wt)を「個 性的でない」と回答した. その他のサンプルについて,性別,世代別で有 意差のみられた項目数を表 4 に示した. サンプル 2(lt-PB)は,男女間に有意差はみら れず世代間で 4 項目に有意差がみられた.中年層 が「個性的である,やわらかい,温かい,癒され る」を低く評価した.サンプル 3(lt-RP)は,男 女間に有意差はみられず世代間で 5 項目に有意差 がみられた.中年層が「洗練されている,心が広 い印象をうける,真面目な印象をうける,責任感 があるようにみえる,信頼できる」を低く評価し た.サンプル 4(sf-G)は,男女間では 4 項目に 有意差がみられ,世代間で有意差はみられなかっ た.女性の方が「積極的な印象をうける,動き易 そう,軽快である,冷静な印象をうける」を高く 評価した.サンプル 5(st-YR)は,男女間,世代 間とも 4 項目に有意差がみられた.女性の方が「積 極的な印象をうける,外交的な印象をうける,軽 快である,信頼できる」を高く評価した.中年層 が「洗練されている,癒される,安心できる,落 ち着ける」を低く評価した.サンプル 6(dp-PB) は,男女間,世代間に有意差はみられなかった. サンプル 7(dp-RP)は,男女間に有意差はみられ ず世代間では 3 項目に有意差がみられた.若年層 が「派手である」を高く評価し,「真面目な印象を うける,冷静な印象をうける」を低く評価した. サンプル 8(dk-G)は,男女間で 1 項目に有意差 がみられ,世代間で有意差はみられなかった.女 性の方が「責任感があるようにみえる」を高く評 価した. 3-4 同一色相で明度と彩度の異なるサンプルの イメージの違いについて 同一色相で明度と彩度の異なる 2 色にどのよう なイメージの違いがみられるか全対象者で比較し た.サンプル 2(lt-PB)とサンプル 6(dp-PB)で は,図 5 に示すように 25 項目中 2 項目で有意差が みられ,サンプル 2 の方が「清潔である,思いや りのある印象をうける」が高く評価された. サンプル 3(lt-RP)とサンプル 7(dp-RP)で は,25 項目中 17 項目で有意差がみられ,サンプ

Fig.5 Images of sample 2 and sample 6

Fig.6 Images of sample 3 and sample 7

Fig.7 Images of sample 4 and sample 8

サンプル 1 2 3 4 5 6 7 8 男女差 0 0 0 4 4 0 0 1 世代差 1 4 5 0 4 0 3 0 思 わ な い あ ま り 思 わ な い ど ち ら で も な い や や そ う 思 う そ う 思 う 1 2 3 4 5 ** p<.01 ** ** 派手である 美しい 流行しているスタイルである 洗練されている 個性的である 上品である やわらかい 明るい 温かい 清潔である 親しみやすい 思いやりのある印象をうける 心が広い印象をうける 積極的な印象をうける 外向的な印象をうける 動き易そう 軽快である 真面目な印象をうける 冷静な印象をうける 知的な印象をうける 責任感があるようにみえる 信頼できる 癒される 安心できる 落ち着ける 派手である 美しい 流行しているスタイルである 洗練されている 個性的である 上品である やわらかい 明るい 温かい 清潔である 親しみやすい 思いやりのある印象をうける 心が広い印象をうける 積極的な印象をうける 外向的な印象をうける 動き易そう 軽快である 真面目な印象をうける 冷静な印象をうける 知的な印象をうける 責任感があるようにみえる 信頼できる 癒される 安心できる 落ち着ける 思 わ な い あ ま り 思 わ な い ど ち ら で も な い や や そ う 思 う そ う 思 う 1 2 3 4 5 *** *** * p<.05 ** p<.01 *** p<.001 * *** *** *** *** ****** * ** * ** * *** *** *** 派手である 美しい 流行しているスタイルである 洗練されている 個性的である 上品である やわらかい 明るい 温かい 清潔である 親しみやすい 思いやりのある印象をうける 心が広い印象をうける 積極的な印象をうける 外向的な印象をうける 動き易そう 軽快である 真面目な印象をうける 冷静な印象をうける 知的な印象をうける 責任感があるようにみえる 信頼できる 癒される 安心できる 落ち着ける 思 わ な い あ ま り 思 わ な い ど ち ら で も な い や や そ う 思 う そ う 思 う 1 2 3 4 5 * * p<.05 * p<.001 *** *** *

(6)

Table 5 Results of factor analyses ル 3 の方が全体的に高く評価された.特に,サン プル 3 の方が「やわらかい,明るい,温かい,清 潔である,親しみやすい,思いやりのある印象を うける,軽快である,癒される,安心できる,落 ち着ける」が高く評価された(図 6). サンプル 4(sf-G)とサンプル 8(dk-G)では, 25 項目中 4 項目で有意差がみられ,サンプル 4 の 方が,「明るい,積極的な印象をうける」が高く評 価され,サンプル 8 の方が「派手である」が低く 評価され,「真面目な印象をうける」が高く評価さ れた(図 7). 3-5 8 種のサンプルのイメージ構造について 次に,8 種のサンプルのイメージ構造を明らか にするために全対象者の 8 種のサンプルのイメー ジをまとめて因子分析(主因子法によるプロマッ クス回転,固有値 1 以上)を行った結果,4 因子 が抽出された(表 5).各因子の意味づけとして, 第 1 因子を「親しみやすさ・癒し」,第 2 因子を「信 頼・責任」,第 3 因子を「活動性」,第 4 因子を「デ ザイン性」の因子とした. サンプルごとに平均因子得点を求め,因子ごと にどのような違いがみられるか検討した(表 6). その結果,すべての因子において 8 サンプル間 に有意差がみられた(p<.001).第 1 因子の「思 いやり・癒し」と第 2 因子の「信頼・責任」を 2 軸にした各サンプルの平均因子得点の分布を図 8

Table 6 Mean factor scores for each sample

Fig.8 Distribution of first- and second-factor scores

Fig.9 Distribution of third- and fourth-factor scores

に示し,第 3 因子の「活動性」と第 4 因子の「デ ザイン性」を 2 軸にした分布を図 9 に示した. 第 1 因子の「親しみやすさ・癒し」は,サンプ ル 3(lt-RP)が最も高く,次にサンプル 2(lt-PB) が高い.第 2 因子の「信頼・責任」は,サンプル 2(lt-PB)が最も高く,次にサンプル 1(Wt)が 高い.第 3 因子の「活動性」は,サンプル 7(dp-RP) が最も高く,次にサンプル 5(st-YR)が高かった. 第 4 因子の「デザイン性」は,サンプル 3(lt-RP) が最も高く,サンプル 8(dk-G)が最も低かった. 4.考 察 8 色の医療用スクラブの中で,「好ましい,やや 好ましい」の割合が最も高いのは,サンプル 3 (lt-RP)で,次はサンプル 1(Wt)であった.「好 ま し い 」 の回 答 が 最も少 な い の はサ ン プル 7 (dp-RP)で,次はサンプル 6(dp-PB)であった. 第 1 因子 第 2 因子 第 3 因子 第 4 因子 癒される 0.929 -0.026 0.007 -0.094 親しみやすい 0.866 -0.044 0.040 0.017 思いやりのある印象をうける 0.845 -0.026 0.091 -0.006 温かい 0.839 -0.369 0.097 0.139 落ち着ける 0.831 0.280 -0.073 -0.174 安心できる 0.794 0.286 0.008 -0.165 やわらかい 0.774 -0.145 -0.307 0.332 心が広い印象をうける 0.670 0.094 0.186 -0.039 明るい 0.479 -0.254 0.211 0.297 軽快である 0.440 0.175 0.245 0.060 冷静な印象を受ける -0.146 0.912 -0.044 -0.085 知的な印象をうける -0.158 0.911 -0.005 0.081 真面目な印象を受ける -0.011 0.888 -0.099 0.040 責任感があるようにみえる -0.099 0.847 0.206 -0.003 信頼できる 0.094 0.695 0.133 0.085 清潔である 0.256 0.499 -0.159 0.242 動き易そう 0.224 0.345 0.345 -0.009 積極的な印象をうける 外向的な印象をうける 0.068 0.150 0.188 -0.002 0.689 0.675 -0.007 0.019 個性的である -0.023 -0.141 0.654 0.069 派手である -0.228 -0.467 0.481 -0.006 美しい 0.047 0.008 0.088 0.702 洗練されている -0.120 0.379 0.170 0.559 上品である 0.193 0.332 -0.130 0.534 流行しているスタイルである 0.024 -0.020 0.378 0.383 因子名 親しみやすさ 癒し 信頼・責任 活動性 デザイン性 因子間 親しみやすさ・癒し 0.538 0.383 相関 信頼・責任 活動性 デザイン性 ― ― 0.279 ― 0.621 0.452 0.302 ― 第 1 因子 第 2 因子 第 3 因子 第 4 因子 親しみやすさ 信頼・責任 活動性 デザイン性 癒し サンプル 1 -0.035 0.353 -0.704 0.235 サンプル 2 0.290 0.512 -0.118 0.241 サンプル 3 0.658 -0.343 -0.178 0.441 サンプル 4 -0.168 0.018 0.208 -0.304 サンプル 5 0.251 -0.299 0.547 0.128 サンプル 6 -0.407 0.246 -0.052 -0.170 サンプル 7 -0.394 -0.765 0.662 -0.198 サンプル 8 -0.234 0.235 -0.268 -0.416 P *** *** *** *** 7 7 7 7 自由度 335 335 335 335 F 7.126 10.079 12.707 5.284 *** p<.001

(7)

8 サンプルを日本色研のトーン図11)に配置すると (図 10),患者は明度の高い色を好ましいと回答 したことが明らかである.田岡12)の施設介護に携 わる介護者のためのユニフォームに関する研究で は,介護に携わる人は,望ましい介護服の色にピ ンク・水色・白などの明るく淡い色をあげている. 介護に携わる人と本研究の患者の結果は,同様で あった. 前報では 9),病気や治療に不安な患者ほどダー クトーンを好ましくないと感じていたが,本調査 で用いたダークトーンやディープトーンにはみら れなかった.前報では同じ色を同時に 5 人が着用 したため,同じダークトーンが集団となった場合 には,威圧感や不安を感じさせることが推察され る.また,今回は様々な色が着用されたことで色 の対比による効果が生じたことも考えられる. 本調査では,各サンプルの好ましさに性別,世 代間に有意差が認められなかったことや,イメー ジに大きな差異がなかったことから,患者群とし てまとめて因子分析を行いイメージ構造を明らか にした.その結果,「親しみやすさ・癒し」,「信頼・ 責任」,「活動性」,「デザイン性」の 4 因子が得ら れた.「好ましい,やや好ましい」の割合が最も高 かったサンプル 3(lt-RP)は,「親しみやすさ・ 癒し」,「デザイン性」の評価が最も高く,「好まし い,やや好ましい」の割合が最も低かったサンプ ル 7(dp-RP)は,「親しみやすさ・癒し」,「信頼・ 責任」の評価が最も低かった.サンプル 7 が好ま れなかったのは,「親しみやすさ・癒し」,「信頼・ 責任」の評価が低いことによると考えられた. 第 1 因子の「親しみやすさ・癒し」では,3 色 相とも明度の高い方(サンプル 2,3,4)が明度 の低い方(サンプル 6,7,8)より評価が高い(図 8,図 10)ことから,「親しみやすさ・癒し」を求 める場合には,高明度を採用することが望まれる. しかし,図 10 に示すようにサンプル 2 と 6,3 と 7 には彩度差もあるため,今後は同一色相におい て明度を一定にして彩度を変化させた場合の検証 も必要と考えられる. また,サンプルを日本色研の色相環11)に配置し てみると,第 2 因子の「信頼・責任」の因子につ いては,青紫(サンプル 2,6),緑(サンプル 4, 8)の寒色系や寒色系に近い色相の評価が高く,赤 紫(サンプル 3,7),黄赤(サンプル 5)の暖色系 に近い色相や暖色系の色相の評価が低かった(図 8,図 10).青は「冷静な,理知的な,冷淡な」と いう意味があり,赤の「熱狂的な,情熱的な,親

Fig.10 Sample’s tone and hue

しみのある」と対をなすといわれている13).サン プル 2 と 6 の色相は,青紫であることから青の「冷 静な,理知的な」が「信頼・責任」の評価をあげ たことが推察された.「親しみやすさ・癒し」,「信 頼・責任」は看護師に求められる重要な要素であ ることから,本研究では両方の要素を具備したも のは,サンプル 2(lt-PB)であるといえる.しか し,患者が最も好ましいと評価したのは,サンプ ル 3(lt-RP)であった.「親しみやすさ・癒し」, 「信頼・責任」の両方の要素を具備するデザイン を明らかにすることは重要であるが,患者の心理 的な状態を考慮しながら,1 つのスタイルに限定 するのではなく,いくつかのデザインを採用する ことも必要ではないかと思われる. サンプル 1(Wt)に着目すると,活動性の評価 は最も低いが,その他の因子に着目すると評価は 比較的高い.白には清潔な,明白な,高級なとい うイメジージ13)があり,包帯,ガーゼなどの衛生 用品には白が用いられている.好まれるのもサン プル 3(lt-RP)に次いで高かった.このことから, いくつかの色を採用する場合には,必ず白を採用 することも必要である.集団として白 1 色になる ことが,白衣高血圧症などのマイナス要因になる と思われる. また,サンプル 7(dp-RP)は,「好ましくない」 理由として,患者だけでなく着用者からも「真夏 には暑い感じがするが冬には適するかもしれな い.」という感想がみられた.庄山14)の女子学生 を対象にした季節別の色彩嗜好に関する研究で, 色相ごとに季節変化をみた場合,赤と無彩色に有 意差がみられ,赤は冬に好まれている.したがっ て,季節変化について分析する必要があるととも に,医療用ユニフォームにも色彩の効果をクール ビズやウォームビズに活かせるといえる. 本調査では,色の持つ意味が性別や世代をこえ てほぼ一致し,医療用ユニフォームの色が着用者 の印象評価につながることが明らかとなった.

(8)

様々な色の中からユニフォームを採用する場合に は,色の持つ意味を考慮する必要がある. 5.結 言 医療用ユニフォームとして,異なる 8 色のスク ラブと白のパンツを歯科診療所のスタッフに着用 してもらい,外来患者 394 名を対象に印象を調査 した.その結果,次のことが明らかとなった. (1)8 のサンプルの中で,「好ましい,やや好ま しい」の割合が最も高いのは,明るい赤紫(lt-RP) で,次に好まれたのは白(Wt)であった.好まし さに,性別,世代間の差異はみられなかった. (2)各サンプルにおいて,患者の病気に対する不 安と看護服の好ましさに関連はみられなかった. (3)因子分析の結果,「親しみやすさ・癒し」,「信 頼・責任」,「活動性」,「デザイン性」の 4 因子が 得られた.「親しみやすさ・癒し」は,同一色相で は,明度の高い方の因子得点が高かった.また, 第 2 因子の「信頼・責任」の因子では,青紫,緑 の寒色系や寒色系に近い色相の因子得点が高く, 赤紫,黄赤の暖色系に近い色相や暖色系の色相の 因子得点が低かった. (4)白に着目すると,「活動性」の評価は低いが, その他の因子に着目すると評価は比較的高かった. 医療用スクラブの色の違いより,印象評価が異 なることから,多くの色から医療用のユニフォー ムを採用する場合は,色の持つ意味を考慮する必 要がある. 追記 本研究は,文部科学省 平成 24 年度「特色 ある共同研究拠点の整備の推進事業」委託費によ る「服飾文化共同研究」の助成を受けました.長 崎県立大学一般研究倫理委員会の承認を得て遂行 いたしました. 謝辞 サンプルについて有益な助言ならびにご協 力をいただきました(株)ワコール人間科学研究 所の各位をはじめ調査にご協力いただきました歯 科診療所の関係者各位,患者の皆様に感謝申し上 げます. 引用文献 1)船津美智子,渡辺健治;院内感染と病院用ア パレルの衛生(第 1 報),日本衣服学会誌, 41(1):23-34(1997) 2)船津美智子,渡辺健治;院内感染と病院用ア パレルの衛生(第 2 報),日本衣服学会誌, 42(1):27-34(1998) 3)田爪正氣,豊田淑恵,糠信憲明,築地真実, 守屋優一,田近智子;病院実習で着用した看 護学生の実習衣における細菌学的汚染調査, 東海大学健康科学部紀要,6:75-79(2000) 4) 河地洋子,佐々木美津子,石本律子;抗菌素 材使用のナースウェア製作に関する研究,日 本服飾学会誌 16:119-131(1997) 5)肥塚昌子,桑島巌,鈴木康子,松下哲,蔵本 築;老年者における白衣効果の検討,日本老 年医学会雑誌,29(12):912-917(1992) 6) 平泉武志,宗像正徳,田口文人,富家直明, 古口高志,熊野宏昭,山内祐一,吉永馨;白 衣高血圧と心理・行動特性,自律神経機能の 関係,心身医,37:121(2001) 7) 宗像正徳,布川徹,金澤正晴,吉永馨;白衣 性高血圧の成因-心理,行動特性,自律神経機 能との関連性-日本循環器学会,61:360(1998) 8) 大西美也子,三宅良明,佐藤和雄;妊娠時高 血圧病態における白衣高血圧の頻度について, 日本妊娠中毒症学会雑誌,1:81-82(1993) 9)庄山茂子,青木久恵,窪田惠子,栃原裕;異 なるデザインの看護服に対する印象評価,日 本繊維製品消費科学学会誌日本繊維製品消費 科学学会誌,54(2):62-69(2013)

10) Douty H.L.; Influence of clothing on perception of persons, Journal of Home Economics, 55 (3): 197-202(1963) 11) 大井義雄,川崎秀昭;カラーコディネーター 入門 色彩,日本色彩研究所:12-15(1996) 12) 田岡洋子,近藤信子,中川早苗;施設介護に 携わる介護者のためのユニフォームについて –介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護 療養型医療施設の比較-,京都短期大学紀要, 33(1):11-27(2005) 13) 日本色彩研究所;色彩ワンポイント 5 色彩 と人間,日本規格協会:80-104(1993) 14) 庄山茂子,青木迪佳,今岡春樹;女子学生の 季節別色彩嗜好に関する傾向分析,日本繊維 製品消費科学学会誌,38(10):54-61(1997) ---Corresponding Author: Shigeko Shoyama, Faculty of Global Communication University, 1-1-1, Manabino, Nagayo Cho, Nishisonogi Gun, Nagasaki 851-2195, Japan,E-mail: [email protected]

連絡先:庄山茂子,長崎県立大学国際情報学部 〒851-2195 長崎県西彼杵郡長与町まなび野 1-1-1

Table 2.1    Survey subjects (males/females)
Table 4  The number of items with a significant difference  for each sample
Table 6  Mean factor scores for each sample

参照

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