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カザフスタン:カシャガン油田の生産再開により今年後半には増産基調を回復へ

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– 1 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 更新日:2017/4/18 調査部:本村眞澄 公開可

カザフスタン:カシャガン油田の生産再開により今年後半には増産基調を回復へ

・2016 年 9 月 24 日、カスピ海の Kashagan 油田が 3 年ぶりに生産再開となった。 ・2017 年 3 月、Kashagan 油田は 18 万 bbl/d を生産しており、硫化水素を多く含む随伴ガスの貯 留層圧入ができるようになる2017 年末ごろ、生産量は 37 万 bbl/d を見込む。 ・カザフスタンは非OPEC として 2016 年 10 月末の 170 万 bbl/d から 2 万 bbl/d の減産を約束し ているが、2017 年 1 月時点ではこれを達成したものの、3 月には 172 万 bbl/d と増産となった。 カザフの減産枠は2万bbl/d とシンボリックなものだが、減産合意未達への懸念が高まっている。 ・カザフスタンは主要3大油ガス田の増産は維持し、他の中小油田の生産抑制を行う方針。2017 年後半からは増産基調が維持され、2021 年までの 5 年で 18 万 bbl/d の増産を目指している。 ・新規開発としては、Tengiz 油田に隣接する Korolev 油田が対象、26 万 bbl/d の生産量増強とな り、これもカザフスタン全体での増産基調に寄与するもの。 ・Kashagan 原油の輸送ルートとしては、黒海へ出す CPC ルート、ロシア経由輸出となる

Atyrau-Samara ルート、中国 Alashankou へ出す Kazakh-China ルートがあるが、将来的にはカ

スピ海東岸のKuryk 港まで鉄道輸送し、アゼルバイジャンの Sangachal ターミナルまで内航タン カー、それ以降はBTC パイプラインで地中海 Ceyhan まで輸送する計画も立案されている。 ・カザフの2017-19 年予算での油価は$35/bbl を前提としており、操業コストの低い油田が多い。 ・油価下落で経済は打撃を受けたものの、2016 年に GDP は 1.0%の成長を見せ、堅調である。。 1. カシャガン油田の生産開始 (1)カシャガン油田の本格生産開始 2016 年 9 月 24 日、待望久しかったカシャガン(Kashagan)油田の生産が再開となった(図1 参照)。同油田は、2000 年に発見され、2013 年 9 月 13 日に一旦は生産開始となったが、硫化水 素(H2S)を伴う随伴ガスのリークが発見されたことから、10 月には生産がサスペンドされ、硫 化水素で腐食した油田の配管の溶接部を取り換える作業が進められていた。今回の生産再開によっ て、本格生産へ結びつくことになった。 現状、Kashagan 油田は、2017 年 3 月現在 18 万 bbl/d を生産しており、累計では 2017 年 1 月 にまず累積で100 万 t、近々200 万 t を達成すると、同油田の操業会社 NCOC(North Caspian

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– 2 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

Operating Company N.V.)の Aran van Dijk 生産部長が述べた1

カザフ・エネルギー省の2017 年の計画では、石油 910 万 t(平均で 18 万 2,748b/d)、ガス 57 億m3を生産するとしていたが、これを上回るペースである。これは、D 人工島と Bolashak のガ ス処理施設の始動を前提とするものである。第1フェーズで硫化水素を伴う随伴ガスを貯留層に圧 入する作業ができる様になると、生産量は37 万bbl/d まで引き上げられる。2017 年末に37 万bbl/d とする計画だが、30 万 b/d 程度との予想もある。第2フェーズで 70 万 bbl/d、第3フェーズで 120 万bbl/d を計画している2。最終的なピーク生産レートを150 万 bbl/d とする報道もある。

H2S は随伴ガスに 15~18%含まれる。操業会社 NCOC の Brouno Jardin 社長は、環境規制の

厳しさを指摘しており、これに十分対処する必要がある。 Kashagan 油田の「地質的埋蔵量」は 48 億 t(380 億 bbl)で、これは恐らく原始埋蔵量のこと と思われる。可採埋蔵量は100 億 bbl である。ガス埋蔵量は 1 兆 m3 以上と言われている3 図1 カスピ海周辺の油ガス田。カシャガン(Kashagan)油田、テンギス(Tengiz)油田、カラ チャガナク(Karachaganak)ガス・コンデンセート田の位置を示す。(JOGMEC 作成) 1 Kazinform, 2017/3/25 2 PON, 2017/2/07 3 Azernews, 2017/2/09

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– 3 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2. カザフスタンの石油生産動向と減産合意遵守度合い (1)カザフスタンの石油生産 カザフスタンの石油の生産量は、2013 年の 8,930 万 t(178.6 万 bbl/d)をピークに減退傾向に あったが(図2)、2016 年の石油生産目標は 7550 万 t(151 万 bbl/d)のところ、実績はやや伸 ばして7,800 万 t(156 万 bbl/d)であった。2017 年には 8,100 万 t(162 万 bbl/d)と前年から 3.8% の増産が計画されている。但し、2016 年 9 月には Kashagan 油田の生産開始があり、折から非 OPEC の協調減産の議論のある中で、2016 年 11 月には減産をしやすくするために、駆け込み的 に170 万 bbl/d を生産している。 カザフスタン共和国全体の原油生産量は、楽観的なシナリオでは、2017 年に 8,000 万 t(160 万bbl/d)、2018 年に 8,200 万 t(164 万 bbl/d)、2019 年に 8,500 万 t(170 万 bbl/d)、2020- 2021 年に 8,700 万 t/年(174 万 bbl/d)となると見込んでいる。また、悲観的なシナリオでは 2017 年に7,900 万 t(158 万 bbl/d)、2018 年に 8,100 万 t(162 万 bbl/d)、2019-2021 年に 8,400 万t(168 万 bbl/d)となると見込んでいる。ベースラインのシナリオでは、2017-2019 年期の油価 は$35/bbl、2020-2021 年は$40-45/bbl と見込んでいる4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 20 12 20 13 20 14 20 15 20 16 カザフスタン アゼルバイジャン ウズベキスタン トルクメニスタン 図2 カスピ海諸国の石油生産量の推移(BP 統計による) 4 Interfax, 2016/9/15

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– 4 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2017 年 2 月、ナザルバーエフ大統領は、Bozumbayev エネルギー相に対して、Tengiz 油田、 Karachaganak ガス・コンデンセート田、Kashagan 油田の増産により、原油生産と精製量5を増 やすよう指示した。Tengiz 油田および隣接する Korolev 油田の可採埋蔵量は 7.5 億~11 億 t、掘 削・未掘削地域の「探鉱埋蔵量」は31 億 t(260 億 bbl)と推定され、拡大余地は十分ある(後述)。 Karachaganak ガス・コンデンセート田の埋蔵量はコンデンセート 12 億 t、ガス 1.35 兆 m3、オ ペレーターはBG から Shell へと変わった。カザフスタンのガスの 45%、液分の 16%がこのガス・ コンデンセート田からである。この時、大統領はエネルギー分野の民営化を進めるとともに、 Balkhash 熱供給プラントの建設を引き合いに、国のガス化(gasification)推進の重要性を説いた という6 (2)減産合意の遵守度合い 一方で、非OPEC 減産合意に関しては、カザフスタンは 2016 年 10 月末の基準値 170 万 bbl/d から2 万 bbl/d を削減することになっていた。カザフスタン・エネルギー省によれば、2017 年の

前半にカザフスタンはAktobe, Kyzylorda, Mangystauの中小規模・老朽化油田を中心に、2万bbl/d

減産するが、Kashagan, Tengiz, Karachaganak の巨大油ガス田は減産しない方針であった7。ま

た、これら3 油ガス田は、主に外資に開放された油田であり、カザフ政府の影響力は限定的である。 表1 CIS 産油国の減産状況 (単位):万 bbl/d) 2016.10 2016.12 2017.1 2017.2 2017.3 減産目標 減産量 3 月遵守率 Azerbaijan 80.7 78 79 78 73 77.2 3.5 220% Kazakhstan 170 170 168 172 172 168 2 -100% Russia 1,124.7 1,121 1,111 1,110 1,105 1,094.7 30 66% 出典:諸情報からJOGMEC とりまとめ カザフスタンの減産の状況を諸情報から表1にまとめた。2017 年1月には目標まで減産したも のの、2 月以降は逆に 2016 年 10 月末の基準レベルを上回る 172 万 bbl/d となっており、上記の大 統領の指示とも平仄が合っている。そもそも、2 万 bbl/d の減産というのはシンボリックな面が強 5 カザフスタンの製油所は北のPavlodar、西のAtyrau、南のShymkentの3施設で、精製能力は35万bbl/d、 一方2015 年の精製実績は 33.7 万 bbl/d、国内消費量は 27.1 万 bbl/d で、一部は製品輸出されれいる。操業 は国営KMG の精製子会社 KazMunaiGaz-Refining and Marketing。

6 Azernews, 2017/2/09 7 Akipress, 2016/12/12

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– 5 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 く、もはや減産コミットを遵守する意欲が放棄されている可能性がある。Bozumbayev エネルギ ー相によれば、現地の報告ではKarachaganak及びKashaganの増産が顕著になった来たためで、 「どの位の生産カットがあるかという問題ではなく、増産するだけ」と述べている8 クウェートで開催された監視委員会には、イラク、UAE が参加し、カザフスタンは呼ばれたも のの出席しなかった。他産油国の間では、カザフスタンによる減産合意未達の懸念が高まっている。 一方で、アゼルバイジャンは3.5 万 bbl/d を減産する計画であったものが、3 月時点で 7.7 万 bbl/d も生産量を減じている。これは油田の生産調整というよりも減退である。このことから、カザフス タンの増産は現状では問題化するところまでは行っていない。 3.拡充されるカザフスタンの石油輸出ルート カザフスタン・エネルギー省によれば 2017 年、Kashagan 油田の生産原油は、黒海の Novorossiysk 港向け 1,700km の CPC パイプライン経由で 20.8 万 bbl/d(1,040 万 t)、ロシア領 内向けのAtyrau-Samara パイプラインで 22.9 万 b/d(1,145 万 t)、その他中国新疆ウイグル自治 区との国境Alashankou 向けのカザフ-中国パイプラインでも 3.1 万 bbl/d(155 万 t)輸出される ことになる(図3)。Kashagan 原油は 45-46°API と軽質で、且つ低硫黄という性状である。硫 黄分は随伴ガスにのみ含まれる。Novorossiysk 港から地中海に出る品種は CPC パイプラインを通 るCPC Blend と言われ、既に 100 万 bbl/d(5,000 万 t)の出荷実績がある。2017 年は 140 万 bbl/d (7,000 万 t)の見込みである。 Kashagan 油田の PS 契約では、各パートナーが独自に権益原油を処分できる。このことから、 一部のパートナーの間で、カザフスタン領カスピ海東岸のKuryk 港から内航タンカーでアゼルバ イジャンのバクー近郊にあるSangachal ターミナルまで海上輸送し、BTC(Baku-Tbilisi-Ceyhan) パイプラインで東地中海のCeyhan ターミナルまで輸出する計画が現在浮上してきている9。アゼ ルバイジャンとしては、国内の生産減で容量120 万 bbl/d の BTC パイプラインには輸送能力に余 剰を抱えており、カザフ原油を取り込む計画に対して前向きと伝えられる10

2016 年 10 月 6 日、アゼルバイジャンの Natig Aliyev エネルギー相は、Kashagan 油田の原油

を15 万 bbl/d、BTC(Baku-Tbilisi-Ceyhan)パイプライン経由で輸出することが可能であると明

8 PON, 2017/4/07 9 Trend, 2016/10/06 10 PON, 2017/2/07

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– 6 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

言した。Kashagan 油田に参加している企業の内、Eni, Inpex, ConocoPhillips, Total の 4 社は、

同時にBTC パイプラインのシェアを合計で 15%保有する。よって、この 4 社は輸出に当たって 15 万バレル/日を BTC に振り向ける権利を有しており、法的な障害はない11 図3 カザフスタンからの石油輸出ルート(NCOC による) 今後、Tengiz 油田,、Karachaganak コンデンセート田の増産も期待できることから、このルー トからの輸出の必要性が増すものと考えられる。2015 年には、カザフの原油・石油製品 290 万ト ンがアゼル経由でジョージアのBatumi まで送られ、2016 年では 8 月までで 160 万トンという実 績があり、鉄道を組み合わせた輸送は活発に行われている。

Tengiz 原油も扱っているトレーダーの Vitol は、カザフ国営石油 KMG(KazMunaiGaz)の原

油販売権を2016 年 7 月、$10 億で取得したので、BTC パイプラインの潜在的な利用者になったと 言える。Atyrau-Samara パイプライン(能力 30 万 b/d)も輸送可能であるが、ロシアから輸出さ れる時はUral Blend というサワー原油として扱われるため、経済的に魅力に乏しい。8.33%を持 つCNPC は 2016 年末に 2 万 bbl/d、2017 年央に 3.1 万 bbl/d の原油を、能力 40 万 bbl/d のカザ フ-中国パイプラインで受け取る。但し、カザフスタンからの原油輸入は2015 年は 9 万 bbl/d、

11 BTC Co. の株主は BP (30.1 %), AzBTC (25 %), Chevron (8.9 %), Statoil (8.71 %), ТРАО (6.53 %), Eni

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– 7 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2016 年第 2 四半期は 4 万 bbl/d を切る状態となっている12。これは、同パイプラインを利用して、 ロシア産原油が約 14 万 bbl/d 中国向けに輸出されるためである(実際にはロシア原油が北部の Pavlodar 製油所に供給され、等量のカザフ原油が中国に輸出されるというスワップ)。 3.他の油ガス田開発の動向 (1)テンギス(Tengiz)油田の動向

Chevron は 2016 年 7 月 5 日、Tengiz 油田および Korolev 油田13に関して、$368 億を投じて 26 万 bbl/d の能力アップを図る計画を策定した。これによる同油田の生産量は 85 万 bbl/d まで拡 大する。2020 年にもこの追加による増産が始まる見込みである。2015 年の生産量は 59 万 bbl/d 弱でこれまで最高であった14 Korolev 油田については、1988 年 12 月、Chevron がソ連邦時代の石油工業省と共同探鉱につ きFS を実施したものの、Chevron は同油田単独では経済性がないものと結論し、隣接する Tengiz 油田も加えるようソ連側に求め、1990 年 6 月 2 日に Tengiz 油田開発に関して FS を実施し経済性 が確認できた場合にはChevron が排他的に JV の可能性を追求できるという契約を結んだ経緯が ある。JV 契約は 1991 年 1 月に結ばれて、操業会社 Tengizchevroil 社が設立され、Tengiz 油田は 脱硫装置の完成を待って、同年4 月 6 日から生産を開始した151991 年 12 月のソビエト連邦崩 壊の後、このJV 契約は新たに独立したカザフスタン共和国に承継されたが、その後も Korolev 油 田については Tengizchevroil 社は開発に着手することなく時間が経過していた。今回ようやく開 発計画が俎上に載ることになった。 (2)カラチャガナク(Karachaganak)ガス・コンデンセート田の動向 R/D Shell は 2015 年 4 月 8 日、英国ガス企業 BG を買収することで合意し、2016 年 2 月 15 日 に買収が実施された。BG は Karachaganak ガス・コンデンセート田の 29.25%の権益を保有し、 同じ規模の権益を保有していた Eni とともにオペレーターとなっていたが、この操業権が R/D Shell に移ることとなった。Karachaganak ガス田のコンデンセートの生産量は、2015 年は 20.3 万bbl/d で 2014 年から 1.5%減少したもののほぼ安定している。また生産されたガスの 50%は貯 12 IOD, 2016/8/29 13 筆者が現地で聞いたところでは、Korolev というのはこの地域出身の宇宙飛行士の名前とのことである。 14 PON, 2016/7/06, 日経、2016/7/06 15 拙稿(1992)「テンギス油田の開発とカザフ共和国・北カスピ堆積盆地の石油地質」石油の開発と備蓄,1992,

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– 8 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 留層圧の維持のために貯留層へ再圧入されている。今後、液分の生産を維持するためのガス圧入能 力の向上には追加投資が必要で、政策当局との利益分配に関して論議を呼んでいる。R/D Shell は 同ガス・コンデンセート田の操業に自信を持っていると言われる16。なお、圧入分以外の生産ガス は脱硫装置のあるロシア側のOrenburg ガス田までパイプラインで輸送され、精製される(図4参 照)。 図4 中央アジアがら欧州までの天然ガスパイプライン図-Karachganak ガス田の位置を示す。 カザフスタン東部にはガスパイプラインが全くない(JOGMEC 作成) Vol.25, No.1, p.57-74.参照。

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– 9 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (3)新規地域

国営石油KMG(KazMuaiGaz)の探鉱生産部門子会社 KazMunaiGas Exploration Production

(KMG EP)は 2016 年 2 月 19 日、カスピ海堆積盆地陸域 3 か所で新規発見のあったことを発表 した。South Nurzhanov 油田北東翼では、三畳系から 7mm チョークで 900bbl/d を産した。その 後、ジュラ系、白亜系のフローテストを行う計画である。現在の埋蔵量評価で2,769 万バレルとな る。2016-17 年に 2 坑の評価井を掘り、2018 年に試験生産をおこなうことを予定している。 Liman 鉱区では二畳-三畳系の岩塩層下位から 20bbl/d の出油を見た。2017-2018 年に生産開始 の予定。Akkuduk 油田近隣では中部ジュラ系から 110bbl/d の出油を見た17 (4)首都に向けてのLNG ローリー輸送

2017 年 2 月 14 日、カザフスタンの Global Gas Group がロシア・エカテリンブルグにある Gazprom の子会社 Gazprom Transgaz Yekaterinburg からのローリー輸送の小規模 LNG を受け

入れ、首都Astana の再ガス施設へ供給を開始した18。これは2016 年 12 月に、2017 年末までに 5,000t の LNG を供給することで合意したことを受けてのもので、これはガスパイプラインの全く ないAstana 周辺(図4)でのエネルギー事情を改善するためのものである。 5.CIS でも最も堅調なカザフスタンの政治経済状況 (1)経済の動向 2015-16 年の油価の下落で、カザフスタン経済も打撃を受けたが、最近の報道では油価の回復に 対応して、経済指標の好転が目立つ。 2016 年の GDP 成長率は、ロシア(-3.1%)、ベラルーシ(-4.8%)、ウクライナ(-14%)とい ずれも低迷する中で、カザフスタンのみは1.0%の GDP の伸びを示している。2017 年には 1.9%、 2021 年には 3.1%と予測され、CIS 諸国でも最も経済的にはダメージが少ない19 通貨は、2015 年 8 月までドルペッグ制を採用し$1=150tenge であったが、2016 年 1 月 29 日に は$1=365tenge まで下落した。9 月時点で、$1=338.86tenge にまで戻した 202017 年には $1=320tenge まで回復してきている。但し、原油輸出が主要産業となっているカザフスタンでは、 16 PON, 2016/6/08 17 OGI, 2016/2/19 18 IOD, 2017/2/15 19 Daily Mail, 2016/9/15 20 Daily Mail, 2016/9/15

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– 10 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ロシアと同様に自国通貨安は国内経済には悪い影響ばかりではない。 カザフスタンの政府系ファンド(SWF)、サムルク・カジニャ JSC は 550 億ドルの資産を運用 していたが、2014 年央以降の原油相場の急落で痛手を被った。問題ある油田投資を抱え込んで資 金繰りが行き詰まった子会社を助けるために、サムルクは2015 年 10 月、初めてシンジケート・ ローンから15 億ドルを借り入れた。石油収入が落ち込んだため、一部のファンドは規模が縮小し ており、政府による資金引き出しが続いた212016 年9 月 15 日、カザフスタン経済省は、中期経 済見通しで油価$35 前提とした22これにより、支出の引き締めが強化された。2017 年1月に入 り、政府系ファンドの収入は160%、2月には 62%回復し、赤字は解消している。 (2)政治の状況 ナザルバエフ大統領は2015 年 4 月、さらに 5 年の任期で再選された。 2016 年 3 月 20 日、下院議員選挙(定数 107)が行われ、中央アジア・カザフスタンの中央選管 は22 日、ナザルバエフ大統領の与党ヌル・オタン党が 84 議席を獲得したと発表した。アクジョ ル党が7議席、共産国民党も7議席を得た。残りの9議席は大統領直属の国民総会が21 日に選出 し、各少数民族団体の代表らに割り当てられた23。政権は基本的に安定している。

同年3 月 25 日には、Vladimir Shkolnik に替わり Kanat Bozumbayev をエネルギー大臣に任

命する大統領令が発令された24 しかしながら、同年5 月 21 日、カザフスタンの主要各都市で反政府デモが行われた。治安部隊 は数十人を拘束、政権は主要都市の広場などを封鎖し、事実上集会を禁止した。主力輸出品である 原油価格下落のあおりを受け、昨年は通貨テンゲが45%下がり、市民の不満が噴出したことが主 たる理由とされた。1991 年の独立以来政権にいるナザルバエフ大統領に反発する野党の呼び掛け で最近デモが頻発し、政権は神経をとがらせ強権的な手法を強めている25 同年9 月 16 日、カザフスタン上院はナザルバエフ大統領の長女のダリガ・ナザルバエワ氏(53) を国際関係・国防委員会の委員長に選出した。ダリガ氏は昨年9月に副首相に就任したが、今月の 内閣改造に伴い大統領が上院議員に任命した。この人事を巡り、ダリガ氏を上院議長にする布石で はないかとの見方が出ている。 21 WSJ, 2015/12/24 22 Daily Mail, 2016/9/15) 23 共同, 2016/3/22

24 Kazakhstan 政府 Press Release, 2016/3/25 25 共同、2016/5/22

(11)

– 11 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 更に、2017 年に入ってナザルバエフ大統領は 2 月 3 日、有力政治家と言われていたイマンガリ・ タスマガムベトフ副首相(60)を解任して、駐ロシア大使に任命した。これは事実上の政権からの 排除と言ってよい。かつてカザフの共産党青年組織のリーダーだったタスマガムベトフ氏は、州知 事、2つの主要都市の市長、国防相、首相、大統領府長官を歴任し、石油資源が豊富な同国西部地 域を中心に、広く国民の支持を受けていたが、これで同副首相が大統領職を引き継ぐ可能性は極め て小さくなった。同氏の立場が弱まったことにより、ナザルバエフ大統領の娘で上院議員であるダ リガ氏や、彼女のいとこで国家保安委員会第1副議長であるサマト・アビシュ氏が有利な立場に立 つことになる26 全体には、ポスト・ナザルバーエフの姿は明確に見えてはいないものの、体制固めが図られてい ると言える。 (了) 26 Reuters, 2017/2/04)

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