はまな
No.542 平成 25 年 5 月
静岡県水産技術研究所浜名湖分場
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目 次
平成 24 年度トラフグはえ縄漁期を振り返る
~漁獲は低迷、単価はやや上昇~ ・・・1
平成 24 年度シラスウナギ採捕結果 ・・・3
県下のウナギ及びアユ養殖における魚病発生状況 ・・・4
「ふじのくに農芸品フェア」に西部地区の水産物を出品 ・・・6
平成 24 年度トラフグはえ縄漁期を振り返る ~漁獲は低迷、単価はやや上昇~
今中 園実
平成 24 年度(平成 24 年 10 月~ 25 年 2 月)のトラ フグはえ縄漁期が終わりました。今期も漁獲量や単価を 振り返り、過去の動向と比較をしてみたいと思います。 はじめに、漁獲量を見てみましょう。24 年度の漁獲 量は 13 トンと大変少なく、漁獲統計が残っている平 成 5 年度以降では、3 番目の不漁年となりました(図 1)。静岡県のトラフグ漁獲量は、22 年度以降は減少傾 向にあり、昨年度(23 年度)の漁獲量 も 15 トンと少なかったのですが、今期 は前年度比でも 84%であり、不漁のほ どが伺われました。漁獲量を月別に見 てみると(図 2)、例年と異なり 10 月、 11 月の漁獲量が少ないのが特徴的でし た。静岡県におけるトラフグの漁獲量 は、例年は解禁直後の 10 月、11 月に 多く、その後は減少する傾向が見られ ます。図 2 では、豊漁であった 20,21 年度は、特にその傾向が顕著です。し かし今期は、どの月も漁獲量が大変少 なく、月ごとの差がほとんどなかった ことが分かります。 図 3 は、24 年度と過去 4 年分の 10 月漁獲物の全長組成をグラフにしたも のです。解禁直後の 10 月の全長組成を 見ると、豊漁年・不漁年それぞれの特 徴が良く分かります。グラフを見ると、 豊漁であった平成 20,21 年度は、10 月は比較的小型の1歳魚が漁獲物の大 半を占めています。しかし、不漁が続 いている 22 年度以降は 1 歳魚が少な く、2 歳魚以上の割合が高くなってい ます。今期の漁獲物も、2,3 歳魚が多 いのが特徴的でした。 静岡県のトラフグはえ縄漁は、漁獲 サイズ(700g 以上)に新しく加入し た 1 歳魚がどのくらいいるか、にその 年の好不漁が左右されます。今期は、 新しく1歳魚となった資源量が極めて 少なく、例年にない不漁になったと考 えられます。全長測定のため訪れた市 場では、幅 50cm ほどの活魚水槽に辛う じて入るような大型の魚が目立ち、思わず「大きい!」 と声が出たものですが、このような光景は、全体の漁獲 量が少ない証拠でもあるのです。 不漁を反映し、漁獲金額の合計は約 93 百万円と、平 成 5 年以来最低となりました(23 年度は約 100 百万円)。 その一方で、平均単価は 7,205 円 /kg と上昇し、7 年 ぶりに 7,000 円以上を記録しました(図 1)。漁獲量と図 1 静岡県のトラフグ漁獲量と平均単価の変化
図 2 トラフグ月別漁獲量の経年変化
単価の関係を見ると(図 4)、不漁年 は単価が上昇するのが一般的な傾向 ですが、18 年度以降は不況の影響 もあり、不漁でも単価の上昇幅が少 ない年が続いていました。しかし、 今期は平成 18 年度以降では平均単 価が最も高くなり、漁獲量の少なさ に、市場がやや反応したことが伺わ れました。平均単価を月別に見ると (表 1)、例年は 12 月に単価が上昇 する傾向があるのに対し、本年は、 11 月に 8,676 円 /kg と最も高くな りました。12 月も 7,869 円 /kg と、 比較的高値を維持していましたが、 11 月の単価を上回ることはありませ んでした。 前述したように、静岡県のトラフ
図 4 漁獲量と平均単価の関係
●:平成 5 ~ 17 年度
○:平成 18 ~ 24 年度
図3 10 月に水揚げされたトラフグの全長組成
平成24年
漁獲399尾
30
40
50
60
全長(mm)
1 歳魚 2歳魚以上
平成23年
漁獲498尾
30
40
50
60
全長(mm)
平成21年
漁獲782尾
30
40
50
60
全長(mm)
平成20年
漁獲1,407尾
0
5
10
15
20
25
30
40
50
60
全長(mm)
出
現
頻
度
(
%
)
平成22年
漁獲784尾
0
5
10
15
20
25
30
40
50
60
全長(mm)
出
現
頻
度
(
%
)
単位:円/kg
平成 20 年度
平成 21 年度
平成 22 年度
平成 23 年度
平成 24 年度
10 月
4,266
2,043
3,683
5,796
5,807
11 月
5,162
3,124
4,369
6,185
8,676
12 月
4,802
3,413
5,723
8,180
7,869
1月
7,391
4,552
5,187
6,316
6,762
2月
9,064
4,697
4,531
7,291
6,591
る1歳魚の資源量に依存するため、年による好不漁の波 が非常に大きいことが特徴です。次年度以降、漁獲量の表 1 トラフグ月別単価の経年変化(平成 20 ~ 24 年度)
平成 24 年度シラスウナギ採捕結果
阿久津 哲也
平成 21 年度から続くシラスウナギの不漁は、養殖種 苗や養殖産物である成鰻の不足及び価格高騰を招き、ウ ナギの流通や加工関係の業界にも大きな影響を与え、最 終的には消費者が高値から鰻商材の利用を避ける状況を 産み出しました。一方で、平成 24 年初夏の産卵場にお単位:g
浜名湖
遠州灘
その他地域
県全域
平成24 年度
平成23 年度
過去10 年平均
平成24 年度
平成23 年度
過去10 年平均
平成24 年度
平成23 年度
過去10 年平均
平成24 年度
平成23 年度
過去10 年平均
平成11~20 年度平均
12 月
560
11,926
100,117
0
16,221
122,488
0
7,396
9,242
560
35,543
231,846
301,151
1月
27,179
49,288
186,173
11,541
66,456
107,829
373
17,286
36,378
39,093
133,030
330,380
455,085
2月
32,094
87,583
268,893
23,168
162,877
192,259
2,586
18,584
44,329
57,848
269,044
505,481
632,215
3月
52,830
106,147
160,566
55,852
90,423
177,760
13,104
16,212
36,012
121,786
212,782
374,338
474,351
4月
40,618
27,399
42,562
53,534
144,165
76,214
13,015
8,026
16,768
107,167
179,590
135,545
101,841
計
153,281
282,343
758,311
144,095
480,142
676,551
29,078
67,504
142,729
326,454
829,989
1,577,590
1,964,642
ける調査ではウナギの産卵が不漁期より北部で確認され たことから、養鰻業者をはじめとする多くの関係者が、 平成 24 年度こそはシラスウナギの採捕量が好転すると の期待を持っていました。 平成 24 年度のシラスウナギ採捕は例年同様に 12 月表 1 平成 24 年度シラスウナギ採捕結果
回復を期待したいところです。から平成 25 年 4 月末まで行われま した。その採捕量は、326kg とこ れまでの過去最低量であった平成 22 年度の 564kg、過去 10 年平均 の 1,578kg 及び 4 年にわたる不漁 が始まる前の 10 年平均(平成 11 ~ 20 年度)の 1,965kg を大きく下 回り、残念ながら過去最低量を更新 しました。また、平成 3 年度以降 で採捕量が 1 トン未満の年度は平 成 9、16、19 年度及び平成 21 ~ 24 年度と 7 回あり、そのうち 6 回 は直近 10 年間に記録しています。 シラスウナギの不漁は、静岡県に 限ったものではなく、東アジア全 体で同様の傾向がみられています。
県下のウナギ及びアユ養殖における魚病発生状況
阿久津 哲也
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324
採捕量(
ト
ン
)
平成年度
その他
遠州灘
浜名湖
図 1 平成 3 年度以降のシラスウナギ採捕量の推移
平成 24 年のウナギ及びアユ養殖における魚病発生状 況を把握するために、養殖業者を対象としたアンケート 調査を実施しました。その結果がまとまりましたので、 お知らせします。 アンケートの回収率は、ウナギ養殖 86%(36/42: 回収数 / 配布数)、アユ養殖 100%(6/ 6)でした。 各項目の引用元または算出方法を表1に示しました。ま た、アンケート調査による数値は、回収率で割り戻して 算出しました。なお、平成 23 年のアユ養殖に関しては、 養殖実態をより正確に捉えるために、経営体数を主要な 経営体のみに絞り込み、各項目を算出しなおしました。 1 養殖生産状況 養殖生産状況について表 1 に示しました。 ウナギの養殖経営体数については、ウナギ養殖組合傘下 の実稼動数は 42 経営体で 2 経営体減少しました。平成 24 年は、生産量が 1,629 トン、1kg 当りの単価が 3,483 円、生産金額が 5,675 百万円となりました。生産額が 50 億円を超えるのは、平成 10 年の 54 億円から 14 年 平成17年まで 平成18年 平成19~24年 経営体数 農統A*1 アンケート*2 アンケート 生産量 農統B*3 農統A 農統A 生産額 農統B 農統A 生産量×単価*5 単価 生産額/生産量*4 生産額/生産量 アンケート 魚病被害状況 アンケートア ンケート アンケート 医薬品使用状況 アンケートア ンケート アンケート 集計年表1 各項目の引用元又は算出方法
*1 農林水産統計年報の数値 *2 アンケート調査の数値 *3 平成 16 年のアユを除く。平成 6 年のアユはアンケート調査の数値 *4 生産量及び生産額ともに農林水産統計年報の数値 *5 生産量は農林水産統計年報の数値、単価はアンケート調査の数値表 2 ウナギ及びアユ養殖の生産状況
表 3 魚病被害量及び被害額の推移
表 4 ウナギ養殖における疾病別被害量 表 5 アユ養殖における疾病別被害量 ぶりとなります。 アユの養殖組合傘下の経営体数は、6 経営体で 2 経 営体減少しました。平成 24 年は、生産量が 237 トン、 生産金額が 278 百万円、単価が 1,172 円でした。単価 が 1,200 円を割るのは平成 18 年の 1,134 円から 6 年 ぶりとなります。 2 魚病発生被害状況 平成 15 年以降の魚病被害の経年変化を表 3 に示しま した。 平成 24 年の魚病被害は、ウナギ養殖では被害量が 78.8 トンと大きく減少しましたが、ウナギの単価が高 かったため被害額が 235 百万円と高い値となりました。 養殖アユでは魚病被害量 2 トン、被害金額は 2.6 百万 円と減少しました。 養殖ウナギ及び養殖アユともに、生産量に対する魚病 被害量の割合と生産額に対する魚病被害額が近年では低 15 148.3 ( 8.1 ) 179.2 ( 7.3 ) 36.4 ( 8.9 ) 59.7 ( 11.2 ) 16 149.9 ( 8.0 ) 211.2 ( 7.7 ) 8.0 ( 1.6 ) 19.1 ( 3.3 ) 17 142.2 ( 6.6 ) 248.1 ( 8.6 ) 2.1 ( 0.6 ) 3.7 ( 1.0 ) 18 108.9 ( 5.8 ) 102.4 ( 4.0 ) 10.1 ( 2.8 ) 9.8 ( 2.1 ) 19 108.6 ( 5.6 ) 201.5 ( 7.0 ) 10.3 ( 3.0 ) 18.8 ( 4.4 ) 20 107.5 ( 6.3 ) 197.7 ( 5.2 ) 10.0 ( 3.2 ) 15.7 ( 4.3 ) 21 168.1 ( 9.3 ) 275.5 ( 7.2 ) 6.4 ( 1.6 ) 8.6 ( 2.3 ) 22 151.1 ( 8.0 ) 289.6 ( 7.5 ) 11.0 ( 3.6 ) 16.5 ( 5.4 ) 23 121.8 ( 6.8 ) 223.6 ( 4.5 ) 7.5 ( 3.5 ) 8.2 ( 3.0 ) 24 78.8 ( 5.2 ) 236.0 ( 4.2 ) 2.2 ( 1.0 ) 2.6 ( 1.0 ) 年 ウナギ アユ 被害量:トン (被害割合%) 被害額:百万円 (被害割合%) 被害量:トン (被害割合%) 被害額:百万円 (被害割合%) ・農林水産統計年報による。また、括弧内の数値は独自調査による。 ・*印は概数値 ・平成 18 ~ 24 年の生産額に関しては、農林水産統計の生産量から再推定を実施 経営体数 生産量 (トン) 生産額 (百万円) 単価 (円/kg) 経営体数 生産量 (トン) 生産額 (百万円) 単価 (円/kg) 15 62 1,840 2,466 1,340 24 409 535 1,308 16 61 1,880 2,738 1,456 22 (497) (577) (1,151) 17 58 1,633 2,899 1,775 19 355 389 1,095 18 (50) 1,4262,568
1,801 (10) 404 458 1,134 19 (50) 1,704 (2,890) (1,696) (10) 350 (425) (1,214) 20 (45) 1,632 (3,821) (2,341) (14) 299 (364) (1,217) 21 (45) 1,833 (3,822) (2,085) (14) 307 (370) (1,205) 22 (45) 1,799 (3,873) (2,153) (14) 253 (308) (1,217) 23 (44) 1,865 (4,983) (2,672) (8) 216 (268) (1,240) 24 (42) 1629* (5,675) (3,483) (6) 237* (278) (1,172) 年 ウナギ アユ H23H 24 ウイルス性血管内皮壊死症 13,545 16,094 点状出血症 0 401 板状出血症 11,024 6,771 カラムナリス症 10,850 2,209 滑走細菌性鰓病 733 0 パラコロ病7 ,020 4,814 寄生虫症 39 0 骨曲がり 73,031 45,426 その他3 ,656 112 合計 121,793 78,751 不明 1,894 2,923 魚病被害量(kg) 病名 H23H 24 ビブリオ病 157 101 冷水病 720 900 シュードモナス症 00 細菌性鰓病 00 真菌性肉芽腫症 00 ミズカビ病0 0 グルゲア症 500 0 ギロダクチルス症 00 チョウチン病 0 100 ボケ病1 ,620 700 不明 1,490 350 合計 4,487 2,151 病名 魚病被害量(kg)い値となりました。 表 4 にウナギ養殖における魚 病被害量を疾病別に示しまし た。疾病別の被害の傾向は、昨 年と同様で、感染症ではウイル ス性血管内皮壊死症(通称「棒 状 」)16 ト ン (20 % )、 板 状 出 血症 7 トン(9%)、パラコロ病 5 トン(6%)の順に多くみられ、 発症原因が不明な骨曲がりによ る被害が 45 トン(58%)と最 も大きな魚病被害でした。 表 5 にアユ養殖における魚病被害量を疾病別に示し ました。被害の大きな順に、冷水病 900kg(42%)、異 型細胞型鰓病(通称「ボケ病」)700kg(33%)でした。 この 2 つの疾病で被害量の 75%を占めていました。