塞 近 畿 大 学 農 学 部 紀 要 第45号47‑93(2・12) 47
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け る キ ノ コ群 集 の季 節 別 、 環 境 別 変 化
大 伴 遥香 ・福 間 千 咲 ・桜 谷 保 之
近畿大学農学部環境管理学科
Seasonal and environmental changes of mushroom communities
on the Nara Campus of Kinki University
Haruka OOTOMO, Chisa FUKUMA and Yasuyuki SAKURATANI
Department of Environmental Management, Faculty of Agriculture Kinki University 3327-204 Naka-machi NARA 631-8505, Japan
Synopsis
Communities of mushrooms were observed in various vegetation on the Nara Campus of Kinki University (central Japan) with coppice (Satoyama) in 2010. Forty-seven families, 398 species and 91,973 individual of mushrooms were recorded. The peak of the species richness was found to be from early October to early November, and the H' (species diversity index) was highest in the pine forest, and lowest in the secondary forest. The values of C it (overlap index between community) were high between the forest with marsh and the secondary forest, and low between the lawn and the secondary forest. Most of the mushrooms were infested by insects, and some mushrooms were parasitic for some insects. The relationships between the mushroom community and the environment were discussed.
Key Words: Mushroom community, Vegetation, Seasonal change, Satoyama (Coppice)
1.は じ め に
キ ノ コ類 は 日常 的 で い た る と こ ろ に 生 育 して い る た め 、 目 に留 め る 機 会 は 多 い 。 しか し、 キ ノ コ と呼 ば れ る 生 き物 は カ ビ の仲 間 で あ り、 私 た ち が 日 ご ろ 目 に して い る 物 は キ ノ コ の 全 容 で は な く、
そ の 本 体 は 地 中 や 朽 木 の 内 部 な ど に 存 在 し て い る 。 キ ノ コ類 や カ ビ は生 物 五 界 説 の 中 の 菌 界 に位 置 し、 菌 糸 と呼 ば れ る 糸 状 の 細 胞 が 無 数 に 集 ま り、 形 作 られ た もの が き の こ と呼 ば れ て い る(柴 田,2006)。 菌 類 は 生 態 系 の 中 に お い て 分 解 者 と して 食 物 連 鎖 の 中 で 重 要 な役 割 を担 っ て い る 。 食 物 連 鎖 に は 、 一 般 的 に よ く知 られ て い る生 きた も
の を 食 べ る 流 れ の生 食 連 鎖 と、 菌 類 や 細 菌 が 主 体 の 腐 食 連 鎖 が あ る(Cain他,2004)。 腐 食 連 鎖 と は 、 生 食 連 鎖 で は使 わ れ な い 落 ち 葉 や 小 枝 な ど の
物 質 が 取 り込 ま れ る 。 こ れ らの 物 質 は 菌 類 や 細 菌 な ど に よ っ て 分 解 さ れ 、 有 機 物 は 無 機 物 へ と還 元 さ れ る 。 作 ら れ た 無 機 物 は 、 植 物 に利 用 さ れ る こ と に よ っ て 、 再 び 生 食 連 鎖 や 腐 食 連 鎖 へ と つ な が っ て行 く。 生 態 系 内 の 物 質 は 生 食 連 鎖 よ り も腐 食 連 鎖 に 回 る量 の 方 が は る か に多 く、 菌 類 が 存 在 しな け れ ば 、 腐 食 連 鎖 も起 こ ら な い 。 分 解 者 で あ る キ ノ コ類 が 、 腐 食 連 鎖 に よ り生 態 系 を支 え て い る役 割 は 大 き い 。 つ ま り、 豊 か な 自然 を育 ん で い る の は 菌 類 の 分 解 能 力 の 効 果 で あ る。
キ ノ コ と は 、 生 物 学 上 、 子 実 体 と呼 ば れ て お り、 繁 殖 の た め に胞 子 を作 る 器 官 の こ と を 言 う (柴 田,2006)。 植 物 で 言 え ば 、 子 実 体 は花 、 胞 子 は種 と例 え ら れ る が 、 全 く同 じ働 き を し て い る わ け で は な い 。 キ ノ コ と い う呼 び 方 は 生 物 の 分 類 学 上 、 正 式 名 称 で は な く便 宜 上 、 菌 類 の 子 実 体 が 肉
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眼 で確 認 で き る ほ ど大 き く な っ た もの を ひ と ま と め に き の こ と呼 ん で い る。 こ の 集 団 は、 菌 類 の 分 類 学 上 、 子 嚢 菌 類 と担 子 菌 類 の2大 グ ル ー プ の 両 方 に ま た が っ て い る 。 菌 類 の 中 で も最 大 の グ ル ー プ で あ る 子 嚢 菌 類 で は 、 子 嚢 と呼 ば れ る 袋 状 の 器 官 内 に子 嚢 胞 子 と呼 ば れ る 有 性 生 殖 胞 子 が 、核 融 合 と減 数 分 裂 を起 こ して 形 成 され る 。 この 子 嚢 の 集 ま り を 子 嚢 果 と 言 い 、 こ れ が キ ノ コ と呼 ば れ る。 胞 子 が 内 部 に あ る 子 嚢 は 、 キ ノ コ の 表 面 や 内 部 に作 られ 、 代 表 的 な もの に は トリ ュ フ類 や チ ャ ワ ン タ ケ類 が あ る 。 担 子 菌 類 で は 、 担 子 器 と呼 ば れ る 細 胞 の 中 で2つ の 細 胞 核 が 融 合 と減 数 分 裂 を 起 こ し、 担 子 器 上 に担 子 胞 子 を 形 成 す る 。 こ の 担 子 器 を形 成 す る器 官 を 担 子 器 果 と言 い 、 一 般 的 に は キ ノ コ と呼 ば れ る 。 担 子 器 は き の こ の ひ だ や 管 孔 に作 られ 、 代 表 的 な もの に は マ ツ タ ケ や シ イ タ ケ 、 サ ル ノ コ シ カ ケ 類 が あ る(本 郷 他,2006)。
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス(以 下 キ ャ ンパ ス)は 奈 良 市 郊 外 に あ る 矢 田 丘 陵 に位 置 し、 里 山 内 に は 様 々 な生 物 が 生 息 ・生 育 して お り、研 究 対 象 と さ れ て き た 。 しか し、 キ ノ コ類 に 関 して は 、 食 用 と さ れ る もの に 関 して は 一 部 、 山 菜 と して 報 告 さ れ (大 伴 ・桜 谷,2011)、 そ の 栽 培 方 法 や 成 分 の 研 究 が 行 わ れ て い るが 、 広 範 囲 に わ た る 自然 環 境 下 で の キ ノ コ類 の 生 態 に 関 す る 研 究 は 行 わ れ て い な い 。 そ の 理 由 と して 、 キ ノ コ類 は未 発 見 の もの や 名 前 の 付 い て い な い もの が 多 くあ る 。 また 、 発 見 は され て い る が 分 類 や種 の 特 定 が 困 難 で 、 研 究 者 に よ り様 々 な 意 見 が あ る た め 、 ま だ ま だ研 究 途 中 の 段 階 で あ る 。 しか し、 自然 豊 か な キ ャ ンパ ス 内 で 、 生 態 系 を 支 え る分 解 者 で あ る キ ノ コ類 の 研 究
は 、 環 境 を保 全 して い く上 で も必 要 で あ る 。 本 研 究 で は 、 キ ャ ンパ ス 内 の 異 な る環 境 下 で キ ノ コ 類 の 生 態 を調 査 、 解 析 し、 比 較 す る 。 そ れ に よ り季 節 的 に 各 環 境 で ど の よ う な種 が 生 育 して い る の か を 明 らか し、 キ ノ コ類 の 生 態 系 で の 役 割 を 把 握 す る こ と を 目的 と した 。
2.材 料 と 方 法
(1)調 査 地 の 概 要
調 査 地 の 近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ン パ ス は 、 奈 良 市 西 方 の 矢 田 丘 陵 に 位 置 し(34°40N、135°43E)、
海 抜 は150m〜260m、 面 積 は110haで あ る 。 コ ナ ラQ麗70鰐367z磁 αや ク ヌ ギQ鰐7c鷹 θ漉 ∬ 伽 α
な どの 落 葉 広 葉 樹 や ス ギ α 膨o〃z6加 ブ砂o航 αや ヒ ノ キC加 規α66塑磁 ∫o∂嬬 αな ど の 針 葉 樹 が 混 生 す る(馬 場 ・岩 坪,2001)(図1)。
調 査 地 は 、a‑1.芝 生1、a‑2.芝 生2、b.ア カ マ ッ 林 、c.サ ン シ ョ ウ ウ オ ビ オ トー プ 含 む 周 辺 の 湿 地 帯 、d.手 す り 一三 叉 路 、e.三 叉 路 一258地 点 、五竹 林 の 計6か 所 の 調 査 地 を設 け た(図1)。
①a‑1.芝 生1
バ ス 停 の 西 側 に 位 置 す る 芝 生 地 は 中央 に ケ ヤ キ 乃 伽 襯s67名o吻 が あ り、 そ の周 辺 に は マ テ バ シ イ
」Pα∫α忽αθ伽 傭 や シ ラ カ シQ粥76鷹 規翼 ∫勿α⑳ 伽 な どの ブ ナ科 、 コ ブ シ 晦 ηo伽 肋 伽3や クス ノ キ α 槻 α〃zo鰍〃z6α〃zρ勿 名αな ど の 広 葉 樹 、 オ カ メ ザ サS〃 ∂α惚 α勧 規αsαcαな どの 低 木 が 芝 生 地 周 辺 に 植 栽 さ れ て い る。 中 央 の ケ ヤ キ の 木 の 周 辺 は 日当 た り も良 く、 全 体 が 芝 生 で 覆 わ れ て い る が 、樹 木 下 で は 日陰 に な る た め 地 面 に は コ ケ が 広 が っ て い る。
②a‑2.芝 生2
芝 生1よ り も面 積 は 小 さ く、 芝 生1か ら道 路 を 挟 ん で 北 に あ る。 ア カ マ ツ ーP勧 ∫4θ螂 解07α や ク ス ノ キ 、 ツバ キ 林 な どの 樹 木 が あ り、 調 査 地 の 半 分 ほ ど が 日 陰 で あ る 。 地 面 は 芝 生 だ が 、 樹 木 下 で は 枯 葉 で 覆 わ れ て い る 。2010年8月 に 建 築 工 事 が 始 ま っ た た め 、8月 で 調 査 は 終 了 し た 。 芝 生 地 で は 定 期 的 に 芝 刈 りが 行 わ れ 、2010年 で は5月 、 6月 、7月 、8月 に機 械 に よ る 芝 刈 りが 行 わ れ た 。 そ の 時 生 育 して い た キ ノ コ類 も 同 時 に 刈 り取 ら れ 、 か な り人 為 的 に管 理 され た 場 所 で あ 。
③b.松 林
校 舎 の 北 東 側 の斜 面 に ア カ マ ツ林 が あ る 。 一 部 コ ナ ラ な ど の 広 葉 樹 や 低 木 を含 む 調 査 地 全 体 に ア カ マ ッ が 生 育 して お り、 調 査 地 の ほ と ん どが 日陰 と な る 。2010年7月 下 旬 に 工 事 の た め に 機 材 が 置 か れ 、 調 査 が 出 来 な くな っ た 所 が あ り、 調 査 地 を少 し変 更 し、 バ ス 停 か ら校 舎 へ と上 っ て くる 道 路 側 の 斜 面 に あ る ア カ マ ツ の 樹 木 下 の 調 査 を追 加 した 。 地 表 は ア カ マ ツ の 葉 が 堆 積 して い る が 、 日 射 し が 当 た る と こ ろ に は 草 本 植 物 が 茂 っ て い る。
そ の た め 、 ア カ マ ツ林 も定 期 的 に草 刈 りが 行 わ れ て い た 。2010年 で は 、6月 、7月 、8月 、9月 に 機 械 に よ る草 刈 りが 行 わ れ 、 キ ノ コ類 が 発 生 して い た 切 り株 が 壊 れ る こ と もあ っ た 。
④c.サ ン シ ョ ウ ウ オ ビ オ トー プ(以 下 、SB) ス ギ や ヒ ノ キ な ど の 針 葉 樹 が 多 く、 ア ベ マ キ
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け るキ ノ コ群 集 の季 節 別 、 環 境 別 変 化 49
Q粥7耀 ∫観 磁 ∂〃sや コ ナ ラ な ど の 広 葉 樹 と混 生 す る 里 山 林 内 に 、 沢 が 流 れ 、 奈 良 県 選 定 の 絶 滅 寸 前 種 カ ス ミサ ン シ ョ ウ ウ オ1む ηo傭 ∫%伽Zo∫ 鋸 が 生 息 す る。 斜 面 と沢 に樹 木 が 密 集 して お り、 や や 暗 い 。
⑤d.手 す り 一三 叉 路
里 山林 内 の斜 面 で あ り、 コ ナ ラ、 ク ヌ ギや リ ョウ ブ α θ孟加α ∂α7伽67廊∫、 ピ サ カ キE曜yα ブ砂o競 α な どの 広 葉 樹 が 多 く、 針 葉 樹 や低 木 と密 集 して 生 育 して い る環 境 で あ る 。 日射 し は 地 上 に あ ま り届 か ず 、 や や 暗 い 。 枯 れ た 木 や 倒 木 も多 く、 コナ ラ 等 の 木 で 造 られ た 階 段 に キ ノ コ類 が 発 生 す る こ と も多 い 。
⑥e.三 叉 路 一258地 点
手 す りか ら三 叉路 を登 り切 っ た尾 根 の道 。 ク ヌ ギ や コナ ラ、 モ チ ッ ッ ジR勿4046%6ZOπ 辮αC名OS¢ρα1%〃Z な どの 広 葉 樹 と局 地 的 に ヒ ノ キ な どの 針 葉 樹 が 多
く混 生 して お り、樹 木 問 に 一 定 の 間 隔 が 開 い て い る た め 、 明 る い 環 境 で あ る 。
⑦f竹 林
校 舎 か ら南 側 の 西 グ ラ ウ ン ドよ り も さ ら に 南 に あ る モ ウ ソ ウ チ クP勿 〃o∫孟α6勿∫ヵπ加∫6碗∫の 群 落 は 、 近 くに水 路 が 流 れ て い る 。 竹 林 の 中 に は と こ ろ ど こ ろ に ク ヌ ギ の 木 な ど の 広 葉 樹 が 点 在 す る が 、 樹 木 間 は 広 く、 明 る い 環 境 で あ る。 竹 林 の 中 を通 る水 路 に 沿 っ て 歩 き な が ら、 斜 面 を 登 り、 尾 根 を 下 っ て 調 査 地 を見 て 回 っ た の で 、 全 調 査 地 の 中 で はd.手 す り 一三 叉 路 と並 び 高 低 差 が あ る。
(2)調 査 方 法
調 査 は2010年4月 中旬 か ら12月 中旬 ま で 行 っ た 。 一 定 ル ー トを 歩 き、 左 右 各3メ ー トル の 範 囲 内 で発 見 さ れ た キ ノ コ類 を 記 録 す る ル ー トセ ン サ ス 法 を 主 体 と し、 乱 芝 生 地 は 、 調 査 地 全 体 を 蛇 行 して 回 り、b.松林 、c.SB、d.手 す り 一三 叉 路 、e.三 叉 路 一258地 点 、f竹 林 の 計6か 所 の 調 査 地 ご と に ル ー トを 設 定 した 。 発 見 し た キ ノ コ類 は 全 体 像 、 傘 、 ひ だ な どの 写 真 を 撮 り、 図 鑑 と見 比 べ て 同 定 した 。 写 真 だ け で 分 ら な い 場 合 は 、 採 取 して 持 ち 帰 り、 胞 子 紋 を と り、 胞 子 を顕 微 鏡 で 確 認 し て 同 定 し、 標 本 作 成 を 行 っ た 。 ま た 、 キ ノ コ類 を 食 用 とす る昆 虫 の 写 真 を撮 り、 同定 を行 っ た 。
調 査 は 雨 の 日 の 翌 日 に は 行 う よ う に し、 全 調 査 日程 の う ち62%は 当 日 ま た は 前 日 に 雨 が 降 っ て い た 。a.芝 生 とb.ア カ マ ッ 林 は 午 前 中 に 調 査 を
行 い 、c〜eの 里 山 内 は 午 後 か ら 調 査 を 行 っ た 。 f竹 林 は11時 か ら1時 の 正 午 前 後 に 調 査 を行 っ
た 。a〜eは 週2回 、fは 週1回 の 調 査 を行 っ た 。 調 査 時 の 気 象 と して 気 温 、 湿 度 、 土 壌 水 分 量 を調 査 時 間 内 に測 定 した 。 気 温 と湿 度 は 校 舎 か ら東 側 の 、ab.fは そ れ ぞ れ の 調 査 地 で 測 定 値 を定 め 、 十 分 間 待 っ て か ら記 録 し た 。 里 山 内 のc〜eは 、S
B、 手 す り、 三 叉 路 、258地 点 で 記 録 した 。 土 壌 水 分 量 は 、 調 査 地 内 で5か 所 の 土 壌 水 分 を 測 定
し、 そ の 平 均 を算 出 した 値 で あ る 。
胞 子 紋 は本 郷(2001)の 方 法 に従 っ て 、 次 の よ う に して 採 取 した 。
① 採 取 した キ ノ コ類 の 大 き さ を測 定 し、 柄 と傘 を切 り離 す 。
② 傘 の ひ だ を下 に して 、 ろ紙 の 上 に 置 く。
③ 湿 ら した テ ィ ッシ ュ ペ ー パ ー を 傘 の 中央 に 置 く。
④ ネ ジ カ ッ プ を か ぶ せ て 一 晩 置 く。
⑤ 翌 日 に ネ ジ カ ップ と傘 を取 り除 く と、 ろ 紙 に 胞 子 が 付 着 して お り、 胞 子 紋 の 完 成 。
(3)使 用 器 具 類
① 調 査 用
調 査 シ ー ト、 ペ ン 、lm折 れ 尺 、 時 計 、 温 度 ・ 湿 度 計(お ん ど と りJr:RTR‑05B1)、 土 壌 水 分 量 測 定 器(DM‑18)、 デ ジ タ ル カ メ ラ(CanonIXY DIGITAL)、 小 型 ス コ ッ プ 、 紙 袋 、 新 聞 紙 、 ナ イ
ロ ン 袋 、 フ ィ ル ム ケ ー ス 、 カ ウ ン タ ー
② 同 定 用
図 鑑(引 用 文 献 参 照)、 ネ ジ カ ッ プ(70mm、
95mm)、 ろ 紙(55mm、90mm)、 テ ィ ッ シ ュ ペ ー パ ー 、 カ ッ タ ー 、 ピ ン セ ッ ト、 テ ー プ 、 生 物 顕 微 鏡(オ リ ン パ スCX31N‑11)
(4)解 析 方 法
① 群 集 構 造
各 調 査 地 か ら 得 ら れ た 結 果 を も と に 、 群 集 の 多 様 性 を 測 る 多 様 度 指 数 と し て 以 下2つ の Shannon‑weaverの 情 報 量 関 数H(木 元,1976)、
Simpson多 様 度 指 数 λ を 用 い た 。 な お 、 集 計 や 計 算 はExcelソ フ ト2010で 行 っ た 。
【ShannorトWeaverの 情 報 量 関 数 】
コ
π'一 Σ 饗1・9・欝
ゼ=1
た だ し、Nは 総 個 体 数 、niは 第i番 目の 種 の 個
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け るキ ノ コ群 集 の季 節 別 、 環 境 別 変 化 61
な か っ た こ とか ら、 降水 量 が 直 接 キ ノ コ 類 の 発 生 に影 響 して い な い と推 察 され る 。
そ れ ぞ れ の気 象 だ け で は キ ノ コ類 の 発 生 に 直 接 影 響 を与 え る こ と は で きず 、 す べ て の 気 象 条 件 が そ ろ っ て 初 め て キ ノ コ類 が 発 生 して い る と推 察 さ れ る 。
B.キ ノ コ 類 の 生 活 (1)キ ノ コ類 と植 生
キ ノ コ 類 は 一 般 に分 解 者 と して は 知 られ て い る が 、 そ の 生 活 様 式 な ど は あ ま り知 ら れ て い な い 。 まず 、 キ ノ コ類 が 栄 養 とす る もの は 、 有 機 物 で あ る。 す る と 、 キ ノ コ類 は有 機 物 を生 産 す る植 物 と の 関 わ りが 強 い の で あ る 。 キ ノ コ類 の 生 活 様 式 に は 、3通 りあ る 。1つ 目 は 、 生 き た 植 物 を殺 し て 栄 養 に す る 寄 生 。2つ 目 は 、 土 壌 中 の 養 分 や 枯 れ た 植 物 を 分 解 して 栄 養 にす る腐 生 。 最 後 に、 生 き た 植 物 か ら栄 養 を 得 て樹 木 の 生 長 を 助 け る共 生 が あ る 。 キ ノ コ類 は 分 解 能 力 が 高 く、 他 の 菌 や微 生 物 が 分 解 で き な い 硬 い 樹 木 を分 解 す る こ とが で き、 動 物 の 排 泄 物 や 遺 体 な ど を 分 解 す る た め 、 森 の 掃 除 屋 と して 自然 の 中 で 生 きて い る の で あ る 。 近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス 内 で 発 生 した キ ノ コ類 の 種 数 を 、 環 境 ご と に科 で ま とめ て そ の 割 合 を 図 13に 示 し た 。 そ の 結 果 、 キ シ メ ジ 科 は 全 て の 環 境 で 発 生 が 確 認 で き た 。 ま た 、 芝 生 や 松 林 で は ヌ メ リ ガサ 科 や ベ ニ タ ケ科 の 種 数 が 多 く、 テ ン グ タ ケ 科 の 種 数 が 少 な い の に対 して 、SBな ど の林 内 で は ヌ メ リ ガ サ 科 が 少 な く、 テ ン グ タ ケ 科 が 多 か っ た(赤 枠 内 参 照)。
次 に 、 各 調 査 地 で 発 生 した きの こ類 の 発 生 場 所 を、 地 表 、 切 り株 、 倒 木 、 幹 、 根 元 、 地 中 、枝 に 分 類 して 記 録 し、 種 数 で 示 し た(図14)。 か な り の キ ノ コ種 は複 数 の 場 所 に 生 育 して い る こ とが 多 い が 、 今 回 は 主 に 見 られ た 場 所 に絞 っ た 。 そ の 結 果 、 地 表 が 全 て の 環 境 で 高 い 割 合 を示 し て い た 。 次 に 倒 木 上 が 多 く、3番 に 樹 木 の 根 元 に 多 か っ た 。
(2)キ ノ コ と他 の 生 物 と の 関 わ り
① キ ノ コ類 と動 物
キ ノ コ 類 は 植 物 と の 関 わ りだ け で は な い 。 動 物 と の 関 わ り も重 要 で あ る 。 キ ノ コ類 と動 物 は 、 動 物 の排 泄 物 や 遺 体 を分 解 す る 関 係 で もあ る が 、 そ れ だ け で は な く、 キ ノ コ類 が 動 物 に 寄 生 す る こ と も あ る。 動 物 に寄 生 す る キ ノ コ類 は 、 キ ャ ンパ ス
内 で発 生 が 確 認 で きた ス エ ヒ ロ タケSc厩 砂 勿 〃醐 co〃z〃z%%が あ る(柴 田,2006)。 ス エ ヒ ロ タ ケ は 、 枯 れ た 木 材 に 付 く腐 生 菌 で 、 世 界 中 の ど こ に で も 見 ら れ る キ ノ コ類 で あ る(図 版1)。 人 の 体 内 に 入 る と 、 肺 で 発 芽 し寄 生 す る 。 しか し、 人 体 に寄 生 す る こ と は ま れ で あ る 。 ま た 、 動 物 の 遺 体 か ら 発 生 す る キ ノ コ類 もあ る た め 、 分 解 者 と して キ ノ
コ類 は 動 物 類 と も深 い 関 係 が あ る。
キ ノ コ類 と動 物 は寄 生 の 関 係 だ け で は な く、 捕 食 被 食 の 関 係 も あ る。 植 物 の 木 の 実 な ど を 食 べ る 動 物 も、 冬 に な る と食 糧 が 減 り、 雪 に 覆 わ れ て し ま う た め 、 キ ノ コ類 を 食 糧 と す る種 が い る(相 良,1989)。 キ ャ ン パ ス 内 で キ ノ コ類 を 食 糧 と す
る動 物 は 、 生 息 が 確 認 さ れ て い る ニ ホ ン リ ス で あ る 。 しか し本 調 査 期 間 で は 、 食 糧 が 無 く な る ほ ど 厳 しい 環 境 は 訪 れ な か っ た た め 、 動 物 類 が きの こ 類 を 食 糧 と して い る と こ ろ を 見 る こ と は で き な か っ た 。
② キ ノ コ類 を 食 べ る 昆 虫(図 版2〜 図 版4) キ ャ ンパ ス 内 で は様 々 な キ ノ コ類 が 生 育 して い る が 、 そ れ と と も に 昆 虫 も よ くみ ら れ る 。 調 査 中 、 発 見 した キ ノ コ類 に は 昆 虫 類 に よ る 食 痕 が 必 ず と言 っ て い い ほ ど見 ら れ た 。 そ こで 、 調 査 で 確 認 され た キ ノ コ類 を 食 用 とす る 昆 虫 類 を表4に 示
した 。 そ の 結 果 、 全16科17種 が 確 認 で き た 。 ラ ン ダ ム サ ン プ リ ン グ に よ る 食 痕 率 の 結 果 、 成 菌 で は15科 の う ち10科 が50%以 上 の 食 痕 が 見 ら れ た(図15)。 全 体 で は52%に 食 痕 が 見 ら れ た 。 ま た 、 ズ キ ン タ ケ 科 とキ ク ラ ゲ 科 の2種 だ け が 極 端 に 低 く、10%以 下 で あ っ た 。 逆 に、 幼 菌 で は 不 食 率 の 方 が 高 く、 ほ と ん ど の 科 で 食 痕 率 が 50%を 下 回 っ て い た 。 一 方 で 、 ホ コ リ タ ケ 科 の み が63%と 食 痕 率 が 高 い こ と が 分 か っ た 。 ウ ラ ベ ニ ガ サ 科 ・シ ロ ソ ウ メ ン ガ サ 科 ・ズ キ ン タケ 科
は幼 菌 を発 見 で き な か っ た た め 、 グ ラ フ は作 成 し な か っ た 。
③ キ ノ コ類 が 食 べ る昆 虫(図 版5)
キ ノ コ類 は 昆 虫 類 の 食 糧 と も な っ て い る が 、 逆 に キ ノ コ類 が 昆 虫 類 を食 べ る場 合 が あ る 。 そ れ が 冬 虫 夏 草 で あ る 。 冬 虫 夏 草 と は 、 生 きて い る 虫 の 体 に 菌 が 侵 入 して 宿 主 を殺 し、 そ の 死 体 内 で 繁 殖 して 養 分 を利 用 しつ く した と き、 虫 の 外 郭 を破 り キ ノ コ と な っ て 出 現 す る キ ノ コ 類 の こ とで あ る。
寄 生 さ れ る もの は 主 に 昆 虫 だ が 、 果 実 か ら生 じた 冬 虫 夏 草 が 発 見 され て い る 。
62 大 伴 遥香 ・福 間 千 咲 ・桜 谷 保 之
そ れ を も と に 、 キ ャ ンパ ス 内 で も昆 虫 類 か ら発 生 す る冬 虫 夏 草 を4種 発 見 す る こ とが で き た 。 以 下 は キ ャ ンパ ス 内 で 発 見 で き た 冬 虫 夏 草 と 、 寄 生 主 で あ る(表5)。
(3)考 察
キ ノ コ類 が 生 育 とす る場 所 は 多 様 で あ り、 調 査 地 の ど の 環 境 に お い て もキ ノ コ類 の 発 生 が 確 認 で き た 。 キ ノ コ 類 の 発 生 種 数 に 関 して 違 い が で た こ と か ら 、 キ ノ コ類 に は 好 み の 環 境 が あ る の で は な い か と考 え られ る 。 キ シ メ ジ科 や(オ ニ)イ グ チ 科 は 、 発 生 種 自体 は異 な る が 、 ど の 環 境 か ら も発 生 が 記 録 さ れ て い る こ と か ら 、 キ シ メ ジ 科 や(オ ニ)イ グ チ 科 は、 さ ま ざ ま な環 境 下 で 生 育 で き る 多 様 性 が 高 い と考 え られ る 。 逆 に 、 ヌ メ リ ガ サ 科 や ベ ニ タケ 科 、 テ ン グ タ ケ 科 な ど の 偏 りが み ら れ た もの は 環 境 へ の 多 様 性 が 低 い と考 え られ る 。 こ の こ と か ら 、 キ ノ コ類 に は科 に よ っ て 環 境 の 変 化
に対 応 で き る 多 様 性 が あ る も の と そ う で な い もの が 生 育 して い る とい う こ とが わ か っ た 。
生 育 場 所 で は 地 表 が 多 く、 根 元 が 少 な か っ た が 、樹 木 か ら離 れ て い て も土 壌 中 で 他 の樹 木 な ど と共 生 して い る可 能 性 もあ り、 地 表 に発 生 す る キ ノ コ類 も根 元 の もの に含 ま れ る 可 能 性 が あ る 。 し か し、 他 の 植 物 と共 生 せ ず 、 土 壌 中 で 生 育 して い
る種 も あ る た め 、 今 後 、 明 ら か に して い く に は 、 土 壌 養 分 の 分 析 も必 要 と な っ て くる 。 また 、 植 物 の 遺 体 で あ る 倒 木 は 里 山 林 内 で よ く見 ら れ た た め 、 地 表 の 次 に多 くな っ た と考 え られ る が 、 地 中 や 枝 、 幹 な どの 割 合 が 少 な い の は見 つ け に くさ が 多 少 影 響 して い る と考 え られ る 。
松 林 内 で は 、 動 物 類 が 主 に 食 べ る チ チ タ ケ 属 や ベ ニ タ ケ 属 、 ヌ メ リ イ グ チ 属 や ア カ ヤ マ タ ケ 属 が 多 数 発 生 して お り、 リス に 食 べ られ た と思 わ れ る ど ん ぐ りや 松 ぼ っ く りが 発 見 で きた こ とか ら、 雪 が 積 もっ た 時 期 に は ニ ホ ン リス が キ ノ コ を 食 べ る 可 能 性 が あ る の は で な い か と考 え られ る 。
キ ノ コ類 は 動 物 だ け で な く、 昆 虫 類 に も食 糧 と さ れ て い る こ とが 言 え る が 、 動 物 類 と は 異 な り、
昆 虫 類 は 年 間 を通 して 食 糧 と して い る 。 ま た 、 キ ノ コ類 の ほ と ん どの 科 で 食 痕 率 が 高 い の に 対 し、
ズ キ ン タケ 科 と キ ク ラ ゲ 科 は低 か っ た 。 こ の2科 は他 の 科 の キ ノ コ類 と は異 な り、 傘 と柄 が 取 れ に
く く、 ゼ ラ チ ン 質 で あ り、 昆 虫 類 に と っ て 食 べ る に は 、 硬 す ぎた の で は な い か と考 え ら れ る 。 昆 虫 類 の 餌 が 豊 富 な夏 で もキ ノ コ類 が 食 べ られ て い る こ と か ら 、 昆 虫 類 は 好 ん で キ ノ コ類 を 食 し て い る。 そ の 理 由 と して 考 え られ る の は 、 キ ノ コ類 に 含 まれ る 成 分 が 昆 虫 類 に は 必 要 だ か ら で あ る 。 そ の 成 分 は キ ノ コ 類 、 つ ま り菌 類 を 構 成 す る 物 質
表4.近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け る キ ノ コ 類 を 食 用 と す る昆 虫 類(図 版3‑5)
門 目 科 亜 科 種 学名
オ オ キ ノ コム シ科 ケ シ キ ス イ科 ゴ ミム シ ダ マ シ 科 コ ウチ ュ ウ 目
ベ ニ ホ タル科 コガ ネ ム シ科 コガ ネ ム シ科
チ ビオ オ キ ノ コム シ 亜科 ケ シ キ ス イ 亜 科
キ マ ワ リ亜 科 ベ ニ ホ タル 亜科 セ ンチ コガ ネ 亜科
ク ロチ ビ オ オ キ ノ コ キ イ ロ セマ ル ケ シ キス イ
キマ ワ リ ネ ア カベ ニ ホ タ ル
セ ンチ コ ガ ネ エ ンマ コ ガ ネ の一 種
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節 足 動 物 門 グ ンバ イ ム シ科
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表5.近 畿大 学奈 良 キ ャンパ スで見 られ た冬 虫夏 草 と宿主
冬 虫夏 草 カ メ ム シ タ ケ セ ミ ノ ハ リ セ ンボ ン コ ナ サ ナ ギ タ ケ ガヤ ドリ ナ ガ ミ ツ ブ タ ケ 学 名 Co7の6θ カ3肱 孟αη3 ∫σガ α 孟Ol肋 〃2ガ捌 ∫伽 例sガ 乃α7∫αカ7腕osα Co7の6ゆ3魏 加76%Zα 孟α
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64 大 伴 遥香 ・福 間 千 咲 ・桜 谷 保 之
で 、 キ チ ン とい う物 質 で あ る 。 こ の 物 質 は昆 虫 や エ ビ な どの 節 足 動 物 や 軟 体 動 物 の 外 郭 を構 成 す る 物 質 で あ る(相 良,1989)。 そ の こ と か ら も、 昆 虫 類 は 身体 の 強 化 の た め に キ ノ コ類 を食 べ る 必 要 が あ る の だ と考 え ら れ る。 ま た 、 ズ キ ン タ ケ 科 や キ ク ラ ゲ科 の 食 痕 率 が 低 か っ た の は 、 この キ チ ン と言 う物 質 が 、 少 量 あ る い は含 ま れ て い な い 可 能 性 も考 え ら れ る。
次 に、 キ ノ コ類 が 幼 菌 時 は ま だ 胞 子 も成 熟 して お らず 、 そ の た め ひ だ が 露 出 し な い よ う、 傘 自体 が 閉 じ て い る か 膜 質 の もの が ひ だ を 覆 っ て い る。
こ の こ とか ら、 キ ノ コ類 は 幼 菌 時 に 昆 虫 類 か ら胞 子 を守 る た め の 構 造 を と っ て い る こ とが 分 か る。
成 菌 と な れ ば 胞 子 も 成 熟 し、 ひ だ も露 出 す る た め 、 昆 虫 類 が 食 べ に く る。 そ れ に よ り、 成 熟 した 胞 子 は 他 の 土 地 へ と運 ば れ る 。 こ れ は 、 近 年 に な っ て 胞 子 が 昆 虫 類 の 消 化 管 を 通 過 後 も生 きて い る こ とが 明 ら か に な っ た こ と か ら言 え る(相 良, 1989)。 しか し、 幼 菌 時 で も食 べ ら れ て い る こ と
は事 実 で あ る 。 だ が 、 成 菌 時 に 比 べ て 少 な い こ と か ら、 昆 虫 類 は キ ノ コ類 の 傘 や 柄 な ど よ り も、 胞 子 が あ る ひ だ を最 も好 ん で い る と考 え られ る 。 こ
こ で 、 幼 菌 時 に お け る ホ コ リ タケ 科 の 食 痕 率 の 高 さが 矛 盾 す る 。 しか し、 ホ コ リ タ ケ 科 は ひ だ を持 た ず 、 胞 子 が 外 に 出 る の は 、 成 菌 時 に刺 激 を 与 え た 時 だ け で あ り、 常 に 胞 子 が 露 出 して い る わ け で は な い 。 加 え て 、 幼 菌 時 の ホ コ リ タ ケ 科 は キ ク ラ ゲ 科 の よ う に ゼ ラ チ ン質 で も な く、 特 別 硬 い わ け で もな く、 む しろ ふ わ ふ わ と や ら か い た め 、 昆 虫 類 は ま だ 未 発 達 な 胞 子 を狙 い や す い と考 え ら れ
る。
キ ノ コ類 が 食 べ る昆 虫 類 と して キ ャ ンパ ス 内 で 発 見 で きた 冬 虫 夏 草 は た っ た4種 だ っ た 。 冬 虫 夏 草 が 発 生 す る 環 境 は 、 空 気 が 清 浄 で あ り、 空 気 中 湿 度 が 高 く、 適 度 な樹 陰 が あ る と こ ろが 最 低 条 件 で あ る(清 水,1979)。 キ ャ ン パ ス 内 の 里 山 内 な ら ば 、 この 環 境 に 当 て は ま っ て い る と思 わ れ 、 今 後 新 た な 冬 虫 夏 草 が 確 認 で き る の で は な い か と思 わ れ る。
C.キ ャ ン パ ス の キ ノ コ に 関 す る 資 料
(1)キ ャ ンパ ス の キ ノ コ の 発 生 種 と食 毒 の 可 否 に つ い て 付 表1〜 付 表4に 示 した 。
(2)キ ャ ンパ ス の キ ノ コ の 発 生 時 期 に 関 して付 表 5〜 付 表8に 示 した 。
(3)キ ャ ンパ ス の キ ノ コ の 発 生 場 所 に 関 して 付 表 9〜 付 表12に 示 した 。
(4)キ ャ ンパ ス で 撮 影 さ れ た キ ノ コ を写 真(図 版 6〜 図 版13)に 示 した 。
5.総 合 考 察
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス(以 下 キ ャ ンパ ス)内 で キ ノ コ類 は 調 べ れ ば 調 べ る ほ ど、 そ の 数 が 増 え て い く。 個 体 数 に 限 り は な く、 種 数 に も限 り は 無 い 。 そ れ ゆ え に 、 こ れ ま で 調 査 が 行 わ れ な か っ た が 、 本 調 査 で は期 間 と場 所 の 範 囲 を定 め る こ と に よ っ て 、 大 量 に あ る キ ャ ンパ ス 内 の キ ノ コ類 の 生 態 を把 握 す る こ と に努 め た 。 環 境 別 に キ ノ コ類 の 個 体 数 や 種 数 を記 録 した 結 果 、 各 調 査 地 に しか 生 育 して い な い 種 が 存 在 し、 そ の 個 体 数 も100を 超 え て い た こ とか ら、 そ れ ぞ れ の 環 境 下 で 、 最 も生 育 に 適 した 種 が 存 在 し、 調 査 場 所 が 近 く と も、 同 じ里 山 内 で あ っ た と して も、 そ れ ぞ れ の 発 生 環 境 が 異 な っ て い る こ と が は っ き り と し た 。 ま た 、 種 数 の 変 動 は梅 雨 と秋 に 増 加 が み られ た の だ が 、 春 に も個 体 数 の 増 加 が み られ た 。 しか し、 種 数 の 増 加 が そ れ ほ ど見 られ な か っ た こ とか ら 、 す で に 地 中 内 で 生 育 して い た キ ノ コ類 が 適 度 な気 温 に よ っ て 発 生 した が 、 他 の 環 境 条 件 が 足 りず 、 他 の 種 が 発 生 す る に至 ら な か っ た の で は な い か と推 測 で き る 。
一 般 的 に、 キ ノ コ類 は 、 暗 くて じめ じめ し た所 に発 生 して い る イ メ ー ジが あ る 。 そ こ で 、 キ ノ コ 類 は 日 陰 な どの 気 温 が 低 く、 湿 度 が 高 い と こ ろ に 発 生 す る と い う仮 定 す る と、 有 効 積 算 気 温 が 最 も 低 く、 年 平 均 湿 度 が 最 も高 か っ た サ ン シ ョ ウ ウ オ ビ オ トー プ が キ ノ コ類 の 発 生 に 適 し た場 所 と言 え る。 実 際 、 発 生 種 数 が 最 も多 か っ た の は サ ン シ ョ ウ ウ オ ビ オ トー プ だ っ た の で 、 こ の 仮 定 は正 しい こ と に な る 。 しか し、 種 多 様 度 指 数H'と λ で は 、 最 も高 か っ た の は 松 林 で あ り、 次 に 竹 林 と な っ た 。 こ の 結 果 の 理 由 と して 、 芝 生 地 は 日陰 に な る と こ ろ が 限 られ て い る た め 気 温 が 高 く、 松 林 と比 べ て 、 キ ノ コ類 の 好 む 環 境 が 少 な か っ た 。 し か し、 松 林 で も気 温 が 高 く、 湿 度 や 土 壌 水 分 が 低 い こ と か ら 、 全 調 査 地 で 最 も乾 燥 し た環 境 だ と わ か っ た 。 だ が 、 キ ノ コ類 に と っ て 厳 しい 環 境 で あ る は ず の 松 林 が 最 も種 多 様 度 指 数 が 高 か っ た こ と が 謎 で あ り、 今 後 解 明 して い くべ き 問 題 で あ る。
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け るキ ノ コ群 集 の季 節 別 、 環 境 別 変 化 65
そ の 一 方 で 、 里 山 林 内 で は 、 大 部 分 が 日陰 で あ り 気 温 が 松 林 や 芝 生 に比 べ て や や 低 く、 キ ノ コ類 が 栄 養 とす る倒 木 や 枯 葉 な どが 多 く存 在 し、 予 想 よ りキ ノ コ 類 が 最 も好 む 環 境 で あ る た め 、 種 数 も多 か っ た 。 環 境 が 良 す ぎ る た め に 地 中 や 朽 木 内 の 菌 糸 体 が 十 分 す ぎ る ほ ど生 長 で きた の だ と考 え ら れ る。 だ が 、 環 境 が 良 け れ ば 、 そ の 環 境 で 生 育 す る キ ノ コ類 の 菌 糸 体 は どの 種 も生 長 す る は ず で あ る が 、 キ ノ コ類 の 菌 糸 体 は常 に他 の キ ノ コ 類 や微 生 物 との 間 で 栄 養 素 を奪 い あ い 、 機 械 的 に ま た は分 泌 物 質 を介 して 生 長 を妨 害 しあ っ て い る(堀 越 ・ 鈴 木,1990)。 そ の 結 果 、 一 部 の 種 が 菌 糸 体 を広 範 囲 に 広 げ 、1種 の 個 体 数 が 多 くな り、 種 の 個 体 数 差 が 大 き く な っ た こ と で 、 全 種 の バ ラ ン ス が 崩 れ 、 種 多 様 度 指 数 が 松 林 よ り も低 く な っ た と考 え ら れ る。 竹 林 で は 、 調 査 日数 の 違 い が 影 響 して い る の で は な い だ ろ う か 。 同 じ回 数 だ け調 査 を して い れ ば 、松 林 よ り も種 多 様 度 指 数 が 高 く な っ た 可 能 性 が 考 え られ る 。
キ ノ コ 類 が 発 生 す る 条 件 と して 気 象 条 件 が 考 え ら れ る。 本 調 査 で は温 度 と湿 度 の 相 関 関 係 は 得 ら れ な か っ た が 、 温 度 と湿 度 の そ れ ぞ れ が 発 生 条 件 と し て 関 わ っ て い る こ と は 確 か で あ る。 柴 田 (2006)に よ れ ば 、 い ろ い ろ な種 類 の キ ノ コ の 発 生 に 大 き な影 響 を お よ ぼ して い る の は気 温 だ と言 わ れ て い る 。 多 くの キ ノ コ に と っ て 、 菌 糸 体 が 生 長 す る た め の 適 温 は、22〜27℃ と言 わ れ て い る 。 一 方 で、 キ ノ コ の 芽 が 作 られ る た め に は 、 十 分 に 生 長 し た 菌 糸 体 が5〜20℃ 以 下 の 低 温 に お か れ る 必 要 が あ る(柴 田,2006)。 実 際 、 キ ャ ンパ ス 内 で も気 温 の 減 少 が 見 られ た と き に キ ノ コ類 の 発 生 種 数 が 増 加 して い る こ とか ら、 一 度 気 温 が 減 少 す る こ と に よ り、 キ ノ コ類 の 発 芽 が 促 され 発 生 種 数 が 増 加 した と考 え られ る 。 これ に よ り、 気 温 は キ ノ コ 類 の 発 生 に 影 響 して い る と 言 え る。 し か し、 気 温 の 減 少 だ け な ら ば 、 冬 に い く らで も キ ノ コ類 は 発 生 出 来 る が 、12月 の 調 査 で は キ ノ コ類 の 発 生 は そ れ ほ ど見 られ な か っ た こ と か ら 、 キ ノ コ類 が 発 生 出 来 る 限 界 温 度 が あ り、 そ の 一 定 の 温 度 を超 え る とキ ノ コ類 の 発 芽 が 止 ま る こ とが 推 測 さ れ る。 気 温 は キ ノ コ類 の 発 生 ス イ ッ チ の 様 な も の で 、 キ ノ コ 類 が 好 む 発 生 温 度 に な っ た と き に 、 湿 度 や 降水 量 と言 っ た そ の 他 の 気 象 条 件 が 合 わ さ る こ とで 、 キ ノ コ類 が 発 生 で き る と 考 え られ る 。 一 年 を通 して、 気 温 の 変 化 が あ る こ と で 、 キ ノ コ
類 が 地 中 内 で も菌 糸 を伸 ば して 生 長 で き、 次 の 時 期 に 広 範 囲 に わ た っ て キ ノ コ を作 り出す サ イ ク ル が で きて い る と考 え られ る 。 つ ま り、 キ ノ コ類 が 地 上 に発 生 して い な い と きで も、 菌 糸 体 は 地 中 内 で 活 動 して お り、樹 木 や 落 ち葉 な ど を分 解 す る こ と で 、 次 に キ ノ コ類 を発 芽 させ る た め の 栄 養 を 蓄 え て い る と考 え られ る 。 温 度 条 件 は 、 生 態 学 的 に 見 れ ば 、 キ ノ コ の 発 生 時 を 決 め る重 要 な 環 境 要 因 で あ る(堀 越 ・鈴 木,1990)。
気 温 と土 壌 水 分 で は 逆 比 例 関 係 に あ り、 負 の 相 関 関 係 が あ る こ とが は っ き り と した 。 土 壌 水 分 量 が 高 い ほ ど キ ノ コ 類 は 発 生 す る と は 言 え ず 、 図 11‑aの グ ラ フ の よ う に 気 温 との 関 係 に よ っ て キ ノ コ類 の 発 生 に 関 わ っ て い る と考 え られ る 。 ま た 、水 分 量 で 言 え ば 、 大 気 中 の水 分 量 で あ る 、 湿 度 も環 境 要 因 と考 え られ た が 、 種 数 と湿 度 の 相 関 関 係 は得 ら れ な か っ た 。 湿 度 は 日 々 不 規 則 に 変 化 して い る もの な の で 、 自然 界 で キ ノ コ類 の 形 成 を 引 き起 こす 基 本 的 な要 因 に な っ て い る と は 考 え に くい 。 しか し同 じ水 分 量 で も、 降 水 量 が 多 い 年 に は キ ノ コ 類 の 発 生 数 も 多 くな っ て い る こ と が 分 か っ て い る(堀 越 ・鈴 木,1990)。 今 回 の 調 査 で は 降水 量 と種 数 の 関 係 に は っ き り と した 結 果 は得 ら れ な か っ た が 、 月 単 位 で 発 生 種 数 と比 較 す る の で は な く、 年 単 位 で 比 較 す る こ と に よ っ て 、 初 め て 明 らか に な る の で は な い だ ろ う か 。 キ ノ コ類 に つ い て 書 か れ た 文 献 を見 て も、 各 年 の 降水 量 と種 数 の 変 異 を比 較 して い る た め 、1年 とい う短 い 調 査 期 間 で は 降 水 量 と の 関 係 を 明 ら か にす る こ とは で きず 、 今 後 の 継 続 調 査 に よ っ て 、 キ ノ コ類 の 発 生 条 件 の 一 つ と して 数 え る こ とが で きる 可 能 性 が あ る 。
キ ノ コ類 と生 物 と の 関 わ りは 食 物 連 鎖 か ら も明 ら か だ が 、 特 に植 物 との 関 係 は 強 い 。 植 物 の 遺 骸 と もい え る朽 木 や 枯 葉 な ど を分 解 す る こ と は もち ろ ん 、 生 き て い る 植 物 に と りつ き 、 そ の 植 物 か ら 栄 養 を奪 い 取 っ て 枯 らす か 、 栄 養 を お 互 い に 供 給 す る こ とで 共 存 して い る キ ノ コ類 と植 物 の 関 係 が あ る 。 キ ャ ンパ ス 内 で は 、 地 上 に 多 くの キ ノ コ類 が 発 見 出 来 た こ とが 明 ら か に な っ て い る が 、 地 中 内 の こ と ま で は わ か ら な い た め 、 地 上 に 生 育 して い て も地 中 で 他 の 植 物 と共 生 ま た は 、 寄 生 して い る可 能 性 が あ る 。 ま た 、 樹 木 上 に発 生 し て い る キ ノ コ類 は 、 種 数 は 少 な い が 、 個 体 数 は他 の 種 に比 べ て 最 も多 い 。 樹 木 上 に発 生 す る キ ノ コ類 に は広
66 大 伴 遥香 ・福 間 千 咲 ・桜 谷 保 之
葉 樹 に発 生 して い る種 が 多 い と思 わ れ た 。 里 山 内 で は 様 々 な樹 木 が 混 生 し、 枯 れ た 樹 木 も多 く あ る。 そ の 中 で 広 葉 樹 の コ ナ ラ や リ ョ ウ ブ な どの 倒 木 が 多 く見 られ 、 そ れ ら の 倒 木 や 朽 木 に キ ノ コ類 が 発 生 して い た 。 針 葉 樹 の 落 葉 が 広 葉 樹 の 落 葉 よ
り も分 解 さ れ に くい と同 様 に 、 木 材 も針 葉 樹 の 方 が や や 腐 りに くい こ とか ら、 針 葉 樹 の 腐 朽 菌 に対 す る 抵 抗 力 が 高 い(高 橋,1989)。 そ れ に よ り、
樹 木 上 に 発 生 す る キ ノ コ類 が 広 葉 樹 に 多 い と感 じ ら れ た 。 だ が 、 調 査 地 の 里 山林 内 は 広 葉 樹 の 方 が 多 く、 広 葉 樹 林 上 に キ ノ コ類 が 多 く発 生 す る の は 必 然 と も考 え ら れ る 。 今 回 、 針 葉 樹 林 の 調 査 を 断 念 した こ と か ら 、 ど の よ う な植 物 類 に キ ノ コ類 が 多 く発 生 す る の か な どの 傾 向 は 明 らか に な っ て い
な い 。 今 後 の 調 査 が 必 要 と な っ て く る。
昆 虫 類 の 関 係 で は 、 食 糧 と して キ ノ コ類 は 重 要 な役 割 を 持 つ と 同 時 に 昆 虫 類 を 利 用 す る こ と に よ り、 キ ノ コ類 が 繁 殖 し て い る こ とが 推 測 さ れ る。
そ の 方 法 と して 、 昆 虫 類 に 食 べ ら れ る こ と に よ っ て 胞 子 を 別 の 土 地 へ 運 ん で も ら う方 法 と、 昆 虫 類 に取 り付 き 、 寄 生 す る こ とで 、 別 の 土 地 で 新 た に で きた 胞 子 を 散 布 す る 方 法 が あ る。 ど ち ら も、 昆 虫 類 と互 い に 利 用 しあ う こ と で 、 キ ノ コ類 は そ の 種 を 増 や して い っ た と考 え ら れ る。
分 解 者 で あ る キ ノ コ類 が 自然 環 境 内 に 生 育 して い る こ とで 、 豊 か な 自然 環 境 が 保 た れ て い る 。 落 葉 樹 の 落 ち葉 や 動 物 の 排 泄 物 や 死 骸 を分 解 す る き の こ 類 は 森 の 掃 除屋 で あ る 。 しか し、 キ ノ コ類 の 役 割 は そ れ だ け に 終 わ らず 、 自然 環 境 に 生 息 ・生 育 す る各 種 生 物 の 食 糧 と な っ た り、 生 長 の 手 助 け を行 っ た り と キ ノ コ類 に は分 解 者 以 外 の役 割 が あ る こ とが 分 か っ た 。 キ ノ コ類 の 本 体 で あ る 、 菌 糸 体 は 地 中 や 木 材 の 中 に あ る た め 、 目で 確 認 す る こ
と は 難 しい が 、 キ ノ コ類 は様 々 な 自然 環 境 に 生 育 して い る 。 キ ノ コ類 の 全 容 に つ い て 把 握 す る こ と は ま だ ま だ 時 間 が か か る こ と だ ろ う。 しか し、 今 回 キ ャ ンパ ス 内 で 調 査 を行 う こ と に よ り、 そ の 一 部 で は あ るが 、 キ ノ コ類 の 実 態 に つ い て把 握 す る こ と で 環 境 を保 全 す る こ と に 役 立 つ と考 え ら れ る。 富 士 山 で 調 査 が つ づ け ら れ て い る キ イ ロ チ チ タ ケ の 発 生 量 の 減 少 が 、 森 林 が 衰 え 始 め た 時 期 と 一 致 す る と い う報 告 が あ る が、 今 の と こ ろ 、 あ る 種 の キ ノ コ の 発 生 量 の 増 減 が 、 森 林 生 態 系 が 変 化 す る 兆 し に な る か ど うか に つ い て は 、 は っ き り と
し た 結 論 が 出 さ れ て い る わ け で は な い(柴 田,
2006)。 しか し、 も し撹 乱 後 も個 体 数 は 変 わ ら ず 発 生 し て い た 芝 生 地 の キ ッ ネ タ ケ 属 の き の こ が 、 こ れ ま で 発 生 して な か っ た 場 所 に発 生 した の だ と
した ら 、 そ れ は そ の 環 境 で 何 らか の 撹 乱 が あ っ た と考 え られ る 。 豊 か な 自然 環 境 は豊 か な 土 壌 環 境 か ら な り、 きの こ類 の 本 体 は 地 中 に 広 が っ て い る た め 、 キ ノ コ類 の 発 生 変 化 が 土 壌 環 境 の 変 化 に つ なが りは しな い だ ろ うか 。 キ ノ コ類 と土 壌 環 境 に 関 係 が あ る の な ら ば 、 環 境 指 標 と して 、 キ ノ コ類 の 発 生 変 化 は 有 効 で あ り、 自然 環 境 の 変 化 に も対 応 で き る の で は な い か と思 わ れ る 。 そ の 変 化 を 知 る た め に は 、 今 後 の 継 続 調 査 に よ り、 キ ノ コ類 の 個 体 数 や 種 数 を 記 録 して い く必 要 が あ る。 ま た 、 今 回 で き な か っ た 、 日射 に よ る 個 体 数 の 影 響 な ど 、 今 後 調 べ て 行 く こ と で き の こ類 の 発 生 条 件 が よ り明 確 に な る は ず で あ る 。
6.謝 辞
本 研 究 を遂 行す るにあ た り、調査 や研 究 で御助 言 、 ご指 導 いた だい た近畿 大学 農学 部環 境管 理学 科環 境 生 態学 研 究 室 の ジ ン ・タナ ン ゴナ ン講 師、
近畿 大学 農学 部環 境管 理学 科環 境政 策学 研 究室 の 前 潟 光 弘准 教 授 に厚 くお礼 申 しあ げ ます 。 ま た 、調査 や研 究 に ご協 力 い ただい た近畿 大学 農学 部環 境管 理学 科環 境生 態学 研 究室大 学 院生 の久 光 彩 子氏 には、御 指導 、御 助言 い た だ き、厚 く御 礼 を申 し上 げ ます 。 また 、 日 ごろか ら調 査 ・研 究 に御 協力 してい ただ いた近 畿大 学農 学 部環境 管理 学科 環境 生態 学研 究室 の 内藤 勇輝 氏 、 同研 究 室 の錦 一 郎氏 、昆 虫類 の 同定 を してい た だい た同 研究 室 の三 田 隆弘氏 、 同研 究室3回 生 の寺 田 早百 合氏 、福 間 千 咲氏 、 同研 究室 の皆 様 に も御 礼 を申 し上 げ ます 。
12
3
7.引 用 文 献
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CainL.Michael・LueA。Robert・YoonKaesuk
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け るキ ノ コ群 集 の季 節 別 、 環 境 別 変 化 67
Caro1・DammanHans・ 石Jl【 統 ・塩 川 光 一 郎 ・堂 前 雅 史 ・広 野 善 幸 ・三 浦 徹 (訳)(2004)ケ イ ン生 物 学pp768東 京 化 学 同 人
4.久 光 彩 子 ・曽 我 部 陽 子 ・寺 田 剛 ・大 隅 有 理 子 ・寺 田 早 百 合 ・平 野 綾 香 ・杉 田 麻 衣 ・松 尾 扶 美 ・片 山 涼 子 ・荻 野 直 人 ・高 見 晋 一 ・桜 谷 保 之(2009)2009 年7月22日 の 部 分 日食 に 対 す る 生 物 の 反 応
一近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け る例 一 pp13近 畿 大 学 農 学 部 奈 良
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9.今 関 六 也 ・大 谷 吉 雄 ・本 郷 次 雄 (1988)山 渓 カ ラ ー 名 鑑 日 本 の き の こ pp623山 と渓 谷 社 東 京
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28.牛 山 素 行(2000)身 近 な 気 象 ・気 候 調 査 の 基 礎pp195古 今 書 院 東 京
29.昆 虫 エ ク ス プ ロ ー ラhttp://www.insects.
jp/index上tm(2011年2月12日 閲 覧) 3αWeb東 奥http://wwwtoonippo.cojp/index
asp(2011年2月12日 閲 覧)
68 大 伴 遥香 ・福 間 千 咲 ・桜 谷 保 之
要 旨
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス 内 で は多 数 の 生 物 が 生 息 ・生 育 して い る た め 、 これ ま で 多 くの研 究 が 行 わ れ て きた 。 しか し、 き の こ類 も 同 様 の 環 境 下 で 多 数 生 育 して い る と思 わ れ る が 、 詳 しい 調 査 は行 わ れ て い な い 。 農 学 部 で は 、 食 用 とす る き の こ類 に 関 して の 研 究 は 進 ん で い る が 、 自然 環 境 下 で 広 範 囲 に わ た る き の こ類 の 発 生 や 、 生 態 に 関 して 詳 しい研 究 は行 わ れ て い な い 。 きの こ 類 は 未 だ研 究 途 中 で あ る た め 分 類 や 種 が 確 立 して い な い が 、 き の こ 類 は 生 態 系 の 中 で 分 解 者 と して 重 要 な役 割 を 担 っ て お り、研 究 は不 可 欠 で あ る。
キ ャ ンパ ス 内 で 生 育 す る き の こ類 を環 境 別 に調 査 、 解 析 を行 う こ と で 、 季 節 的 に各 環 境 で どの よ
う な種 が 生 育 して い る の か を 明 ら か に し、 きの こ 類 の 生 態 系 で の 役 割 を把 握 す る こ と を 目 的 と し た 。
調 査 は2010年4月 中 旬 〜12月 中 旬 ま で 行 い 、 ル ー トの左 右3メ ー トル の ル ー トセ ンサ ス 法 を用 い た 。 調 査 地 はa,芝 生 、b.ア カ マ ツ 林 、c.サ ン
シ ョウ ウ オ ビ オ トー プ(以 下SB)を 含 む 湿 地 帯 周 辺 、d。手 す り 一三 叉 路(斜 面 、 広 葉 樹 を多 く含 む 混 生 林 が 密 集)、e.三 叉 路 一258地 点(尾 根 、 広 葉 樹 の 他 に 局 地 的 に 針 葉 樹 を か な り含 み 、樹 木 間 に 間 隔 が あ る)、f竹 林(2010年6月 中 旬 〜12 月 中 旬)の 計6箇 所 を 調 査 地 と して 設 定 した 。 調 査 頻 度 は 、a〜eは 週2回 、fは 週1回 、 調 査 地 を歩 き、 各 調 査 地 で 確 認 さ れ た きの こ類 の 種 数 、 個 体 数 を 記 録 し、 気 温 、 湿 度 、 土 壌 水 分 を測 定 し た 。
調 査 の 結 果 、47科398種 、91,973個 体 の き の こ 類 を 記 録 し た 。 総 種 数 で はSBが 最 も 多 く、
150種 を 記 録 し た 。 種 数 が 最 も増 加 した 時 期 は 、 各 調 査 地 と も10月 上 旬 か ら11月 上 旬 に か け て で あ っ た 。 ま た 、 気 温 が 低 下 した 時 期 に きの こ 類 の 種 数 が 増 加 傾 向 を 示 した 。 発 生 種 の 増 加 は環 境 に よ る も の で は な く、 気 温 の低 下 が 影 響 して い る と 考 え ら れ た 。 月 平 均 の 積 算 気 温 で は 松 林 が197.3
日 度 と最 も高 く、 種 数 が 多 か っ たSBで はa〜e の 調 査 地 の 中 で は177.5日 度 で 、 最 も低 か っ た 。 湿 度 と種 数 で は、 湿 度 が 高 い 時 期 に 発 生 種 も多 く
な る とい う相 関 関 係 が 一 部 の 調 査 地 で 得 られ た 。 湿 度 と土 壌 水 分 の 平 均 を そ れ ぞ れ 出 した と こ ろ 、 SBが 最 も高 く、 松 林 が 最 も低 い 結 果 と な っ た 。
こ の こ とか ら、 気 温 は 低 く、 湿 度 は 高 い 場 所 が き の こ類 の 発 生 に適 した 環 境 だ と言 え る 。 キ ャ ン パ ス 内 で 発 見 され る き の こ類 に は 昆 虫 類 の 食 痕 が 付 い て い る 個 体 が 多 く、 食 毒 に 関 係 な く全 体 の 52%の 個 体 が 食 べ て られ て お り、 昆 虫 類 の 餌 と な っ て い る 。 ま た 、 きの こ類 も幼 菌 時 に 食 べ られ な い た め の 構 造 と な っ て い る た め 、 幼 菌 の 食 痕 は 老 菌 に比 べ て 少 な か っ た 。 成 熟 した 胞 子 が 昆 虫 類 に食 べ られ る こ と に よ っ て 、 他 の 場 所 へ 運 ば れ る た め 、 きの こ 類 と昆 虫 は共 生 関 係 に あ る と考 え ら れ る 。 きの こ 類 の 生 態 を さ ら に 明 らか に す る た め に は 、 今 後 範 囲 を広 げ 、 継 続 的 な調 査 が 必 要 で あ る。
近 畿 大 学 奈 良 キ ャ ンパ ス に お け るキ ノ コ群 集 の季 節 別 、 環 境 別 変 化 69
付 表1発 生 種 と食毒 の可 否a
科 亜 属 種 学名 食毒の有無
ア カ カ ゴ タケ 科 サ ン コ タケ 属
サ ン コ タケ P∫ 召忽060伽3∫o加 〃6%わ θ79ガα6(Sumst.)
Johnson 不食
ア ンズ タケ 科 ア ンズ タケ 属 ア ンズ タケ Cα κ漉 α7θ〃z6∫oガ ろα7脇sFr. 有毒 食用
トキ イ ロ ラ ッパ タケ C伽 漉 α76〃%31泓 召oco籾%∫Bigelow 食用
イ グ チ 科 イグチ亜科 イ グ チ 属 キ ア ミア シ イ グ チ Bo陀'z6∫o〃 η'ψ6∫Peck 不 明
コ ウジ タケ Bo16オz63ノ ラα彪 〃zz4∫Peck 不食
ヒメ コ ウジ タケ β016砒sαo肋 食用
ヤ マ ドリ タケ モ ドキ Bo16'zご ∫76だ6%1ご τ'z6∫Schaeff 食用 キ イ ロ イ グチ 属
キ イ ロ イ グ チ ∫)z〃麗70ろ016'z637α 刀6π6♂ 〃(Berk.et,Curt.)
Murrill 食用
キ ク バ ナ イグ チ 属 キ クバ ナ イ グ チ Bo16オ6〃z6∫6〃20諺6η3ガ ∫(Berk.)Sing. 可 食 ニ ガ イ グ チ 属
ウ ラ グロ ニ ガ イ グチ T .ylo/)〃%sα ガ〃z伽 ∫(Peck)Sing.Var...
exlrn1US 不 明
コ ニ ガ イ グ チ 7ンZρ ≠)ガ1z6∫7z6gz4♂o∫07召々α 〃α'z6sHongo 不食 ニ ガ イ グ チ 7yo吻 伽5彦 〃醐s(Bul1,Fr.)P.Karst 不 明 ヌ メ リ ニ ガ イ グ チ 7こy10」りπz6∫oα ∫孟αη認6勿 ∫Hongo 食用
ミ ドリ ニ ガ イ グ チ 71y1の ガZz6∫房76π5(C房%)Hongo 可食
ベ ニ イ グチ 属 ベ ニ イグ チ 肋 ガ窺 ガ6〃αブ6ψoηガoαHongo 可食
ヤ マ イ グチ 属
ア カ ヤ マ ドリ 五 召oo飾%〃z6κ 〃 召〃zガ07ガ6舵 α♂6(1.Vassilieva)
Sing, 不 明
ヤマ ドリ タケ 属(イ グチ 属) ダイ ダイ イ グ チ Bo16オz63♂ α2〃 ∫∫ガ〃zz63Hongo 不 食 オ ニ イ グ チ 亜 科 オ ニ イグ チ 属 オ ニ イ グ チ S'70ろ πo〃z夕c6sco7ψ45z4sSing. 価値 な し
オ ニ イ グ チ モ ドキ S〃oろ ガZo〃z∠y66∫co励 ∫z6∫Sing. 食用 コ オ ニ イ グ チ S〃o観o〃z夕c6∫ ∫6〃z加%伽3Hongo 食用 ヌ メ リ イ グチ 亜 科 ヌ メ リ イ グチ 属 ヌ メ リ イ グ チ S忽 〃%∫ 伽 陀z6s(L,:Fr⊃Gray 食用 ハ ンノ キ イ グチ 亜 科 ク リイ ロ イグ チ 属 ク リ イ ロイ グ チ Gッ7砂07%∫6αs孟 α麗z6∫(Bull.:Fr.)Quel.
ク リイ ロ イ グ チ 亜 科 ビ ロー ドク リイ ロ イ グチ αy7ψ07%51)麗 πc孟α伽 ∫L.Vassilieva 食 用(中 毒 例 あ り) イ ッポ ンシ メ ジ 科 イ ッ ポ ン シ メ ジ属 ア オ エ ノ モ ミ ウ ラ タケ 亜 属 ヒメ コ ンイ ロ イ ッポ ン シメ ジ R加 ゴρρ加 〃%∫oo616s'ガ フ膨 ∫(Fr.)Quel.Var. 不食
イ ッ ポ ン シ メ ジ亜 属 クサ ウ ラベ ニ タ ケ E漉010窺 α 沈040カo〃%籾(Fr.)Kummer 不 明 コ ンイ ロ イ ッポ ン シメ ジ E7z̀010〃zα ん吻z66ηs6(Hongo)Hongo 不 明 ナ ス コ ン イ ッポ ン シ メジ Rlzo4(ψ1zツ 〃銘∫ ん吻 麗朋 ∫ガ∫Hongo 不 明 モ ミウ ラモ ドキ亜 属
ア カ イ ボ カサ タ ケ E雇010〃zα6(1%α ゴ7α魏 〃z(Berk.EtCurt)
Horak 有毒
キ イボ カ サ タケ E寵oZo〃zα 〃zz〃zα ガ(Berk.EtCurt.)Sace.F.
..
rnurral1 有毒
シ ロ イ ボ カサ タ ケ Eπo♂o〃zα 〃zz〃zα ガ(Berk.EtCurt.)Sacc.F.
album(Hiroe)Hongo 有毒
シ ロ イボ カ サ モ ドキ Eπ'o♂o〃zαsp. 不 明
ソ ラ イ ロ タ ケ Eπ'010〃zα α67z69ガ η05z6〃zHiroe 不 明 ム ッ ノ ウ ラベ ニ タケ 属 ム ツ ノ ウ ラベ ニ タケ 1ぞ乃oゴocツ∂6規%η ゴ〃 α(Lasch)Sin募 不 明
ミイ ノモ ミウ ラ モ ドキ Rぬ060/)耽y〃%∫3'αz〃03/)07%3.(Bres.)J.
Lange 価値 な し
ウ ラベ ニ ガサ 科 ウ ラベ ニ ガサ 属 ア カエ ノベ ニ ヒ ダ タ ケ P♂鷹 〃∫sp, 不 明
ウ ラベ ニ ガサ ∫)Zz6ホ召z6∫α〃ゴoの)〃π5(Batsch)Fayod 不 明 ヒイ ロベ ニ ヒ ダ タケ pZ厩6%sα%7α 雇 ガo㍑go∫%∫(Tro9)Sacc. 価値 な し
ウロ コ タケ 科 カ タウ ロ コ タケ 属 モ ミジ ウ ロ コ タ ケ XyZoろo伽5幼6砿 α∂〃 ∫(Klotz.)Boiden 不 食
キ ウ ロ コ タ ケ属 チ ャ ウロ コ タケ X'676%〃zos〃6α(B1.EtNees)Fr. 不 明 カ レエ ダ タケ 科 カ レエ ダ タ ケ属 カ レエ ダ タ ケ C1α〃〃 加 αoガs嬬 α(Holmsk.:Fr.)Schroet. 価値 な し
キ ク ラゲ 科 キ ク ラ ゲ属 ア ラゲ キ ク ラゲ .4%7∫c〃 α7ガαρo壇7励 α(Mont.)Sacc, 食用
キ ク ラ ゲ 且%沈%1σ 万σ 砺7ガo%!α(Hook.)Underw. 食用
キ シ メ ジ科 キ シメ ジ 属 キ シ メジ 亜 属 シモ コ シ T7ガc乃010〃zα α%zα オ%〃z(Fr.)Gil1. 食用
ツ エ タケ 属 ビロ ー ドツエ タケ 亜 属 ビ ロ ー ド ツ エ タ ケ Oz646〃zα η∫飽 〃 α/)%ゴ6/z∫(Pers.)Pegler 可食 カ ヤ タ ケ属 ア オ イヌ シ メ ジ α 伽 の ノ∂θoゴ07α(Bull.:Fr,)Kummer 可食 キ シ メ ジ属 シ ロ ケ シ メ ジ τ7嬬010規 αoo1%溺 ろ6惚(Fr.)Kummer 可 食
キ ッ ネ タケ 属 ウ ラ ム ラサ キ 五αccα磁 α耀 吻 ∫磁(Bu11.)Murri11 食用
カ レバ キ ッ ネ タ ケ 五 α60α ガ αzノ加 αc60αz/6♂Zα π6αHongo 価値 な し キ ッ ネ タケ 五 α6cα7ガαZαocα孟α(Scop.:Fr⊃Berk.&Br.F.
1accata 食用
キ ッ ネ タ ケ モ ドキ 五αcoα舶o厩 π36(Mont)Sing 不 食 ク ヌ ギ タケ 属 クヌ ギ タケ 晒c6π α 即Z67ゴ σ%1α 孟α(Scop.:Fr.)S,F.Gray 食用 コ ウバ イ タ ケ 班yo6η α α40溺s(Bull.:Fr.)Gray 不 明 サ ク ラ タケ ル勿c6η α 勿7α(Pers.:Fr.)Kummer 有毒 チ シ オ タケ ル勿06照 加6規 厩o卿 ∫(Pers.:Fr.)Kummer 不食 ニ オ イ ア シナ ガ タケ 晦06η α,が10勿s(Bull.:Fr.)Kummer 不 明
ヒメ チ シ オ タケ ルかc6π α5α πg%ガ ノzo16η 如(Alb.&Schw.:Fr.)
Kummer 価値 な し