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重病下の認知症高齢者のせん妄に関する病院看護師 の意識

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(1)

著者 中村 陽子

雑誌名 福井大学医学部研究雑誌

巻 15

号 1

ページ 19‑37

発行年 2015‑01

URL http://hdl.handle.net/10098/8701

(2)

重病 下の認知症 高齢者 のせん妄に関する病 院看護 師の意識

中 村 陽 子

看護 学科 臨床看護 学講座

HospitalNurses,ConsciousnessofCareRelatedtoDeliriumonwhichDevelopsDemented GeriatricPatientswithCriticalIllness

NAKAMURA,Y6ko

P吻 吻z翻(ゾC1翻6α1N協 ゼ㎎ β 伽01σ 翫7吻9砺 ∫雄 ∫勿 〔ゾ翫 々痂

Abstract:

Studyobjectives:Tbdeterminetherelationshipbetweenconsciousnessofhospitalnursestowarddementedelderly

patientswithcriticalillnessandcaretowarddelirium,andtoexaminecaringfortheprotectingdelirium.

Design:Groundedtheoryapproach.

Setting:AnacutewardinthegeriatricshospitalandacutewardsincludingICUinthegeneralhospitalinAcity Participants:Thestudypopulationconsistedofllnursesworkingforacutewardsinthehospitals.

Reslllts:Consciousnessofhospitalnursesrelatedtodeliriumofdementedgeriatricpatientswithcriticalillnesswas discoveredin3categoriesand10subcategories,and3categoriesweremutuallyrelated.Inthisstud呂 communicationformedacceptanceprocessofhospitalnurseswerefound.Thedementedelderlypatientshave increasedrisksforthedevelopmentofdeliriumandoutcomesrelatedtocommunicationandcircumstancewhichis

prevalenttoICU.Whileoutcomessuggestthatcommunicationandcircumstancearenotmerelyriskfactorsfor adjustingforseverityofillness,hospitalnursesshouldnoticepatients'needswhenprovidingcriticalcare.

Additionall又acceptantprocessofhospitalnursesshowedemotionalresponse.

Conclusions:Inthisstud鵠hospitalnursesmadetherapypriortoanyothers.Deliriumofdementedoldpatientsare associatedwithcomplicationsandincreasedlesslikelihoodoffamilysupportafterrecoveryCaringofcriticallyill elderlydementedpatientsinvolvedunderstandingofchangingsignorcues.Hospitalnursesshouldfocusonhow tobestcareforprotectingdelirium,notseetheillness,butwatchonthehumanwhohasillness.

KeyW6rds:consciousness,hospitalnurse,delirium,dementedelderlypatient,criticalillness

(ReceivedlSeptembe蔦2014;accepted4Novembe蔦2014)

(3)

1.は じめ に

2013年,65歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 は3,079万 人 で あ っ た 。 そ の う ち,認 知 症 と診 断 さ れ た 高 齢 者 が15%に 当 た る462万 に 達 し た 。 加 え て,MCI(mildcognitive impairment:軽 度 認 知 障 害)の 高 齢 者 は 約400万 で,4人 に1人 が 潜 在 的 認 知 症 リ ス ク を 抱 え て い る 。 ま た,認 知 症 有 病 率 は74歳 ま で10%以 下 で あ る が, 85歳 を 過 ぎ る と40%を 超 え,加 齢 に 伴 い 高 く な る (www.nikkei.com/article)。 こ れ ら の 統 計 は 当 初 厚 労 省 の 推 計 よ り も は る か に 上 回 っ て い た 。

認 知 症 高 齢 者 も ま た 複 数 の 慢 性 疾 患 を 抱 え,そ の 重 篤 化 や 進 行,あ る は 転 倒 等 の 不 慮 の 事 故 等 に よ り 入 院 ・加 療 を 余 儀 な く さ れ る こ と が あ る 。 近 年,医 療 の 高 度 化 に 伴 い こ の よ う な 高 齢 者 で あ っ て も 積 極 的 に 外 科 的 治 療 やICU管 理 も 一 般 的 に 行 わ れ て い る(Ban, 1984)。 し か し,ICUの 環 境 下 で は 高 齢 者 の 約1/3に せ ん 妄 を 発 症 す る と い う報 告 が あ る(Balas,2009)。 本 で も,高 齢 患 者 の せ ん 妄 発 症 率 は10〜30%程 度 と報 告 さ れ て い る(綿 貫 ら,2002;今 村 ら,2009)。 特 に, 心 臓 手 術 は 平 均38.5%,整 形 手 術 は47.3%,肺 移 植 手 術 は 平 均73%と 全 身 麻 酔 下 で 長 時 間 の 大 手 術 に な る ほ ど術 後 せ ん 妄 と の 関 連 性 が 強 い(今 村 ら,2009)。 ん 妄 の 誘 発 要 因 に は,加 齢,視 覚 障 害 や 難 聴,薬 剤(降 圧 剤,麻 酔,H2プ ロ ッ カ ー),排 尿 留 置 カ テ ー テ ル, CVP,低 血 糖 の 他,ス ト レ ス フ ル な 環 境 要 因 が あ る(綿 貫 ら,2002)。 ま た,せ ん 妄 は 術 後 回 復 過 程 の 遅 延(Tate ら,2013),術 後 合 併 症 の 増 加(Balasetal,2009)お よ び 致 死 率 の 上 昇(ElγEetal,2001;Linetal,2012),

等 と の 関 連 が 報 告 さ れ て い る 。 ま し て や 認 知 症 高 齢 患 者 で は,せ ん 妄 と の 関 連 性 は よ り強 く な る(Coleetal, 2009)。

せ ん 妄 と は,一 時 的 な 意 識 障 害 を お こ し,記 憶 障 害, 認 知 障 害 を 生 じ る 状 態 で あ り(川 島,2010),3種 類 の せ ん 妄 に 分 類 さ れ る 。 興 奮 状 態 で 行 動 を 伴 う 活 性 せ ん 妄 と静 か で 無 反 応 を 示 す 非 活 性 せ ん 妄 と そ の ミ ッ ク ス タ イ プ が あ る(Tate,2013)。

重 篤 な 疾 病 を 抱 え る 高 齢 者 ケ ア の 中 で,人 工 呼 吸 器 下 に お け る せ ん 妄 誘 発 要 因 は 痛 み,眠 気,そ し て 寒 さ と の 関 連 性 を 指 摘 し,看 護 師 一患 者 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン も 内 包 し て い た(Marik2006;Pisani,2009;司oro,

2008;Tate,2013)。 挿 管 中,看 護 師 は,患 者 と ア イ コ

ン タ ク トを多 用 してい た(Elyetal,2001)。 ま た,術 後 で は,麻 酔,加 齢,薬 物,体 動 制 限 に よ りせ ん 妄 を ひ き お こ しや す い と い う報 告 が あ っ た(沖 田 ら, 2007;今 村 ら,2009;綿 貫 ら,2002;Balasetal,2009)。

上 述 の 先 行 研 究 か らも,せ ん 妄 は一 般 の 高 齢 者 の み な らず 認 知 症 との強 い 関連 性 が 明 らか に され た。 しか し, 看 護 師 の 高 齢 者 との 関 わ りに お い て,認 知 症 の 有 無 に よ りせ ん 妄 誘 発 に大 き な 相 違 が あ る。 術 後 の 不 安 や 混 乱 を緩 和 す る う え で,看 護 師 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョン は大 事 で あ る。 しか し,認 知 症 高 齢 者 は,看 護 師 との 言 語 の 理 解 や 看 護 師へ の 苦 痛 の 伝 え方 もで きず 不 安 や 混 乱 を助 長 し,せ ん 妄 を 容 易 に 発 症 す る と考 え られ る。

しか し,重 病 下 に お け る 認 知 症 高 齢 患 者 へ の せ ん 妄 に 関す る 看 護 師 の 意 識 に 関 す る研 究 は ほ とん どな い 。 そ こで,看 護 師 が 重 病 下 に お い て せ ん 妄 を ひ き起 こす 認 知 症 高 齢 患 者 と どの よ うに 関 わ り,そ の 患 者 を ど の よ うに受 け 入 れ てい る か調 査 し,認 知 症 高 齢 患 者 ケ ア の 難 しさ を 看 護 師 が どの よ うに 意 識 して い るか 明 ら か に した。 この 研 究 は,認 知 症 高 齢 患 者 ぼ か りで な く高 齢 患 者 の せ ん 妄 ケ ア の改 善 に 繋 が り,ま た 看 護 師 の せ ん 妄 ケ ア の対 応 の一 助 とな る と考 え る。

II.用 語 の 定 義 1)せ ん 妄(delirium)

一 過 性 の 意 識 障 害 の 一 種 で,軽 度 の 意 識 混 濁 を 呈 す る 。 注 意 力,認 知 機 能,記 憶 力,判 断 力 等 が 障 害 さ れ た 状 態 で あ り,し ば し ば 興 奮 状 態 や 幻 覚 ・妄 想 を 伴 う。

せ ん 妄 は 突 然 も し く は 数 日 で 発 症 し,概 ね 一 週 間 程 度 で 改 善 す る 。(Symptomcommunicationduringcritical

illness,J.Tate,atelよ り,JGN,2013) 2)重

慢 性 疾 患 の 悪 化,が ん の 進 行,ま た は 肺 炎 等 に 伴 う 死 の リ ス ク を 負 う重 い 病 の 状 態 を 指 し,モ ニ タ ー リ ン グ 下 で 急 性 期 的 治 療 を 必 要 とす る 。場 合 に よ っ て はICU 管 理 も含 む 。 加 え て,全 身 麻 酔 下 で の 術 後 管 理 や 大 腿 骨 骨 折 に よ る 牽 引 と そ の 後 の 術 後 管 理 下 で 体 動 制 限 を 余 儀 な く さ れ る 状 態 も 内 包 す る 。

3)意 哉(consciousness)

主 体 が 鮮 明 に 現 前 化 さ れ た 存 在 内 容(記 憶,表 象, 思 考)を 認 め,か つ こ う し た 内 容 を 体 験 し て い る 自 分 に 気 づ け る こ と を 指 す 。 意 識 は い つ も 現 在 の 瞬 間 と結

(4)

びつ い て い て,そ の 内容 は 記 憶 を 通 じて の み 再 生 され る。(看 護 大 事 典,2010)

皿.研 究 方 法 1)研 究 デザ イ ン

質 的 ・帰 納 的 方 法 の1つ で あ るGroundedtheory approachを 用 い る。

2)研 究 対 象

急 性 期 内科,外 科 病 棟,そ してICUに 勤 務 してい る 看 護 師15名 程 度,看 護 師 歴5年 以 上 を 有 し,高 齢 者 を 専 門 的 ・包 括 的 に ケ ア で き る看 護 師 と した。

3)研 究 施 設

A市 内 に あ る総 合 病 院 と老 人 病 院 に お い て,急 性 期 治 療 を 実 施 し重 病 認 知 症 高 齢 者 に対 して モ ニ ター リン グ シ ス テ ムや 人 工 呼 吸 器 を完 備,あ る い はICU管 理 が で き る2施 設 で 実 施 した 。 総 合 病 院 で は 内 科 病 棟(血 液 科,循 環 器 内 科)と 整 形 外 科 お よ びICU,老 人 病 院 で は急 性 期 内科 病 棟 の5病 棟 を使 用 した。

4)デ ー タ収 集 期 間

福 井 大 学 医 学 部 倫 理 審 査 委 員 会 の研 究 承 諾 と研 究 施 設 か ら の研 究 許 可 を得 た後 か ら約2カ 月 程 度 と した。

5)調 査 手 順 と方 法

福 井 大 学 医 学 部 倫 理 審 査 委 員 会 と各 研 究 施 設 の 承 諾 を得 た後,各 研 究 施 設 の教 育 関 係 者 や 管 理 者 に 研 究 の 主 旨 の説 明 を 行 い,研 究 の 主 旨 に該 当 す る 対 象 者 の 選 択 と勤 務 ス ケ ジ ュー ル と照 合 し てイ ン タ ビ ュー に対 応 で き る よ うに 施 設 側 に依 頼 した 。 対 象 者 に は 研 究 につ い て の イ ンフ ォー ム ドコ ンセ ン トを文 書 と口 頭 にて 実 施 し,同 意 を 文 書 にサ イ ンで 得 た。 イ ン タ ビ ュー は, 半 構 成 的 質 問 紙 を 用 い て 聞 き取 り方 式 で 行 な った 。 イ ン タ ビュ ー は,各 施 設 の被 験 者 の 勤 務 状 況 に 合 わ せ な が ら実 施 した 。 ま た,面 接 時 間 は一 人1時 間 を 目安 に 実 施 した。質 問 内 容 は ① 重 症 疾 病 にお け る急 性 期 治 療 下 に お い て せ ん 妄 を 引 き起 こ し た認 知 症 高 齢 者 の 関 わ りに お い て どの よ うな点 に 留 意 して い る か 。 ② そ の よ うな状 況 下 で の ケ ア に お け る困 難 な点 は 何 か 。 ③ 重 篤 な状 態 に お け る認 知 症 高 齢 者 との コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン に お い て 大 切 に して い る こ とは 何 か を 中 心 聴 取 した。

本 調 査 の 実 施 前 に1名 の対 象 者 を プ レテ ス トし,イ ン タ ビ ュ ー 場 所,イ ン タ ビ ュー の 時 間配 分,質 問 内容 に つ い て調 整 を 行 な っ た。 質 問 内容 に お い て は 抽 象 的 質

問(せ ん 妄 につ い て の イ メ ー ジや せ ん妄 に つ い て の考 え方 等)を 避 け,な る べ くケ ア に即 した 内 容 に修 正 し た以 外 は 問題 な く本 調 査 に入 っ た。

6)分 析 方 法

デ ー タ分 析 は,Groundedtheoryapproach(南,

1999)の 手 順 で 行 っ た。 一 人 ず つ 面 接 を 実 施 し,認 知 症 高 齢 者 の せ ん 妄 へ の 対 応 に つ い て個 々 の 意 味 を 解 釈 した。 解 釈 の プ ロ セ ス は5WlHで 問題 を 見 つ め 同 時 に対 象 同 士 の 比 較 を行 い な が ら 問題 を 明 確 に し,次 の ス テ ップ で 仮 説 検 証 を行 った 。 こ の プ ロ セ ス を 飽 和 状 態 に な る まで 続 け,同 じ意 味 同 士 の も の を グル ー ピ ン グ し,さ らに理 論 構 築 しな が ら抽 象 化 させ た。

7)倫 理 的配 慮

福 井 大 学 医 学 部 倫 理 審 査 委 員 会 と各 施 設 内 の 倫 理 審 査 を受 け許 可 を得 た(838号)。 そ の 後,研 究 条 件 を満 たす 対 象 者 と病 棟,お よ び 対 象 者 の勤 務 に 支 障 が な い よ うに 勤 務 ス ケ ジ ュ ー ル に 沿 っ た面 接 日を 各 施 設 に依 頼 し,指 定 され た 日時 に イ ン タ ビ ュー を 実 施 し た。 ま た,ICレ コー ダー の許 可 も得 た が拒 否 して も不 利 益 に な らな い が,眼 前 で の記 録 記 載 の 許可 を得 た 。 ま たIC

レコ ー ダ ー の 音 源 は研 究 終 了 後 消 去 す る こ と,質 問 に 関 して も拒 否 は可 能 で あ り,す べ て 匿名 扱 い で あ る こ と,守 秘 義 務 を 負 う こ と,デ ー タ保 管 は鍵 の か か る場 所 で あ る こ と,デ ー タ は 本 研 究 の み に使 用 し,研 究 終 了 時 に は シ ュ レ ッ ダ ー 処 理 す る こ と等 を説 明 し た。 面 接 は他 者 に 聞 か れ な い 場 所 で,落 ち着 け る場 所 を 施 設 側 に依 頼 し,面 接 室 に て実 施 した。

(5)

w.結 果

表1対 象 者 の特 徴 n=11

性別 女性 11名

年齢 平 均 32.8歳

SD ±7.03

経験 年数 平 均 11.4年

SD ±6.50

職位 主任 1名

副主任 1名

ス タ ッ フ 9名

看護師以外 保健師 2名

の資格 DM療 養 指 導 師 1名

結婚歴 未婚 4名

既婚 7名

家族構成 2世 帯 家 族 3名

3世 帯 家 族 5名

独居 3名

1)対 象 者 の特 徴

対 象 者 はA市 内 の総 合 病 院 と老 人 病 院 に て 急 性 期 病 棟(ICUを 含 む)に 勤 務 して い る看 護 師(全 員 女 性) で11名 で あ った 。 平 均 年 齢 は32.8歳(±7.03),看 護 師 と して の平 均 職 務 歴(以 下,キ ャ リア)は1L4年 (±6.50)で あ っ た 。そ の うち2名 の 看 護 師 は,主 任 と 副 主 任 と して の 管 理 職 で あ った が,残 りの9名 は ス タ ッ フ看 護 師 で あ っ た。看 護 師 以 外 の 資 格 取 得 と して は, 保 健 師2名 と糖 尿 病 療 養 指 導 者1名 で あ っ た 。 結 婚 歴 は7名 が 既 婚 者 で4名 は未 婚 者 で あ っ た 。 家 族 構 成 は 二 世 代 世 帯3名,3世 代 世 帯5名,そ して 単 独 世 帯 が 3名 で あ った 。 全 員 基 本 的 に 健 康 で あ っ た が,鼠 径 ヘ ル ニ ア,肺 炎,良 性 乳 腺 腫 瘍,卵 巣 出血,肘 脱 臼の 既 往 歴 が あ っ た。

2)重 病 下 の 認 知 症 高 齢 患 者 の せ ん 妄 に 関 す る病 院 看 護 師 の意 識

病 状 の 重 篤 化 に伴 い急 性 期 治 療 に お い て モ ニ ター リ ン グ下 で の 複 数 の 持 続 輸 液,ま た は高 カ ロ リー 輸 液, 酸 素 吸 入,尿 道 留 置 カ テ ー テ ル 装 着,器 械 装 置 の ア ラ ー ム音,お よ び 牽 引 や 術 後 に よ る 体 動 制 限 ま た は 拘 束, 心 肺 機 能 低 下 に伴 う気 道 確 保 に よ る人 工 呼 吸 器 の 装 着 と身 体 面 の み な らず 環 境 の 変 化 に伴 う精 神 的 ス トレ ス が 大 き くの しか か る環 境 に 認 知 症 高 齢 患 者 は 置 か れ る

こ とに な った 。 そ の よ うな 環 境 下 に お い て,一 般 の高 齢 患 者 の み な らず 認 知 症 高 齢 患 者 の戸 惑 い や 不 安 は予 測 を は る か に 超 え た も の で あ り,そ の 中 で 認 知 症 高 齢 患 者 一 看 護 師 の 個 別 的 な 関 わ りに お い て 一 般 の 高 齢 患 者 とは 相 違 し た配 慮 す べ き ケ アの 提 供 に お い て ど の よ うな意 識 を も っ て実 施 して い るか に焦 点 化 し た。 こ の よ うな病 院 看 護 師 の ケ ア に 関 す る意 識 に お い て,病 院 看 護 師 と認 知 症 高 齢 患 者 との 人 間 関係 や 周 囲 との 相 互 関係,お よび ケ ア行 為 に 関 す る意 味 の理 解 に お い て質 的 ・帰納 的 方 法 で分 析 した 。 そ の 結 果,3つ の カ テ ゴ

リー と10の サ ブ カ テ ゴ リー を 発 見 した 。

病 院 看 護 師 の せ ん妄 を ひ きお こす 認 知 症 高 齢 患 者 と の 関 わ りを 通 して,認 知 症 高 齢 患 者 一看 護 師 間 の 相 互 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョン に お い て 《一 方 通 行 の コ ミ ュ ニ ケー シ ョ ン》,《 患 者 の 安 全 ニ ー ズ の充 足 》,そ して

《 回復 遅 延 を お こ させ な い た め の せ ん妄 予 防 》 の 看 護 師 の3つ の 意 識 を発 見 した 。 《 一 方 通 行 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン》 に は認 知 症 高 齢 患 者 一看 護 師 の 相 互 間 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン を形 成 す る プ ロセ ス が あ り,そ こ に は4phasesで 構 成 され て い た。 先 ず,看 護 師 の患 者 へ の あ い さ つ や アイ コ ン タ ク トの 【コ ミュ ニ ケ ー シ ョン を お こす 前 段 階 】 か ら始 ま り,認 知 症 高 齢 患 者 の ニ ー ズ の探 求 は観 察 に基 づ い て のcues(手 が か り)や サ イ ン を見 つ け る た め の 【相 互 関係 を 通 して の手 探 り】,こ れ ら2つ の方 法 を通 して,【患 者 の ニー ズ に 向 け て の実 践 】,そ して 【評 価 】 の プ ロセ ス で あ った 。 加 え て,3 つ の カ テ ゴ リー か ら看 護 師 の 認 知 症 高 齢 患 者 の 受 容 プ ロ セ ス を 発 見 した。 この プ ロセ ス はせ ん 妄 の 現 場 に立 ち会 い,感 情 的 発 動 を伴 う((戸 惑 い))か ら コ ミ ュニ ケー シ ョ ンに お い て認 知 症 高 齢 患 者 と看 護 師 間 の 相 互 理 解 が得 られ ない こ とや そ れ に よ るせ ん 妄 ケ アの 失 敗 の繰 り返 しに よ る((空 し さ)),そ こ か ら再 度 プ ロ意 識 に立 ち戻 り回復 を優 先 させ よ う とす る((職 務 感)),そ

して最 後 に仕 事 へ の((や りが い))へ と発 展 して い た。

これ らの 受 容 プ ロ セ ス は 看 護 師 と して の プ ロ意 識 と職 業 へ の生 き がい に繋 が っ てい た(図1)。 表 記 に 関 して,

《 》 は カ テ ゴ リー,〈 〉 は サ ブ カ テ ゴ リー,〔 〕 は カ テ ゴ リー の要 素,【 】 は コ ミ ュ ニ ケー シ ョン形 成 プ ロ セ ス の位 相,〈 〉 は 位 相 の要 素,(())は 病 院 看 護 師 の認 知 症 せ ん 妄 患 者 の受 容 プ ロ セ ス と した。

(6)

戸惑 い 空 し さ 職務感 や りが い

図1病 院 看 護 師 の 重 病 下 に お け る認 知 症 高 齢 者 の せ ん 妄 ケ ア に 関 す る意 識 の 関 連 図

《一 方 通 行 の コ ミュ ニ ケー シ ョン 》

認 知 症 高 齢 患 者 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンに お い て, 看 護 師 は 重 病 下 の 認 知 症 高 齢 患 者 に ケ ア の説 明 を 行 い, 必 要 時 ケ ア へ の 参 加 を要 求 した 。 しか し,認 知 症 高 齢 患 者 は 看 護 師 の 説 明 が理 解 で き ない こ とで,的 外 れ な 反 応 とな り,看 護 師 も認 知 症 高 齢 患 者 の 話 す 内 容 や 表 現 が理 解 で き な い とい う矛 盾 を 常 に抱 え な が らケ ア を 行 わ な け れ ば い け な か っ た 。 加 え て,人 工 呼 吸 器 装 着 や 重 病 下 とい う会 話 困難 な 状 況 に お い て 看 護 師 か ら の 一 方 的 な働 き か け に な りや す い こ とも あ っ た。よ って, 看 護 師 に と って 常 に これ で い い の か とい う不 確 か な 意 識 の 中 で 認 知 症 高 齢 患 者 と関 わ ら な け れ ば い け な か っ た。 結 果 と して 看 護 師 と患 者 間 で相 互 に 意 思 疎 通 にお い て不 十 分 な 状 態 とな り,信 頼 関係 の構 築 に も影 響 を 与 え た。 この よ うな 状 況 下 で の コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンは, 多 くを 望 ま ず 認 知 症 高 齢 患 者 の 最 小 限 の ニ ー ズ を 見 つ け,理 解 しよ う と懸 命 に 関 わ っ た。

《一 方 通 行 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン 》 に は く看 護 師 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン形 成 の プ ロセ ス 〉 〈 情 緒 的 反 応 〉 の2つ のサ ブ カ テ ゴ リー で構 成 され て い た。

〈看 護 師 の コ ミュ ニ ケー シ ョン形 成 プ ロセ ス 〉 急 性 期 治 療 を 受 け て い る 状 況 下 に お い て,認 知 症 高 齢 患 者 と看 護 師 問 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョン を 通 して 看 護 師 は数 少 な い 認 知 症 高 齢 患 者 の 発 す る メ ッセ ー ジを 受 け取 り,そ の メ ッセ ー ジ を 理 解 し よ う とす る 行 為 が あ っ た。 患 者 の 発 す る メ ッセ ー ジ に は患 者 の ニ ー ズ が 含

ま れ て い るた め コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン は不 可 欠 な も の で あ っ た 。 しか し急 性 期 治 療 下 の 認 知 症 高 齢 者 の 発 す る メ ッセ ー ジ の 理 解 困難 や コ ミ ュニ ケー シ ョ ン に よ る相 互 間 の 共 感 とい う知 覚 体 験 は 少 な く,そ の た め 看 護 師 の認 知 症 高 齢 患 者 の ニ ー ズ の 把 握 は一 般 の 高 齢 患 者 と 相 違 し容 易 な も の で は な か った 。 加 え て,重 病 下 の認 知 症 患 者 に は 急 性 期 治 療 下 で は な い 認 知 症 患 者 よ り表 現 や 反 応 の 低 下 に よ りコ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン困 難 が あ っ た。そ こに は病 院 看護 師 が 認知 症 高 齢 患者 との コ ミ ュニ ケー シ ョン を形 成 す る プ ロセ ス が あ った 。 この よ うな コ ミュニ ケ ー シ ョンプ ロセ ス は4phaseの 位相 か ら構 成 さ れ,各phaseの 構 成 要 素 に つ いて は 以下 の通 りで あ っ た。

Phase1【 コ ミュ ニ ケー シ ョン を お こす 前 段 階 】 認 知 症 高 齢 患 者 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンを 始 め る前 に 「お は よ う ござ い ま す 」や 「昨夜 は 眠 れ ま した か?」

等 の あ い さ つ と 同 時 に 患 者 へ の タ ッ チ ン グや アイ コ ン タ ク トを と り,患 者 の顔 の 表 情 を み て気 分 や 精 神 面 を 判 断 した 。 この 時 す で に コ ミ ュニ ケー シ ョ ン は始 ま っ てい るが,ま ず は コ ミュニ ケ ー シ ョンの プ ロ ロー グで あ っ た。 よ って,こ こで の要 素 は 〈気 分 の 確 認 〉 と した 。

総 合 病 院 の 血 液 内科 病 棟 に 勤 務 して い るA氏 は看 護 師 と して8年 の キ ャ リア を 有 してい た。 老 人 病 院 の急 性 期 病 棟 で勤 務 して い るB氏 は21年 の キ ャ リ アが あ っ た。 コ ミ ュニ ケー シ ョ ンを これ か ら行 お う とす る前 ス テ ップ と し て患 者 との ア イ コ ン タ ク トや タ ッチ ン グ の重 要 性 を指 摘 し,そ れ に つ い て 以 下 の よ うに 述 べ た 。

(7)

・患者 さ ん との コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンで そ の 前 とい い い ます か,一 番 最 初 に とい い ま す か,先 ず ア イ コ ン タ ク トを と ります ね 。そ の 人 の 目を 見 て あ い さ つ す る こ とで 患 者 さん の 気 分 が 分 か ります しね 。 そ れ と認 知 症 の方 って 嫌 い な看 護 師 とは 目 を合 わ せ て くれ ませ ん の で,目 を 見 て くれ る こ とは そ れ な り に嫌 わ れ て い な あ っ て こ とが 分 か りま す の で そ の 日の ケ ア が で き る こ とで も あ って 大 切 な こ とな ん で す よね(A氏)

・挿 管 して い る 患者 さ ん に は 先 ず は 患者 さ ん の 目を み て ゆ っ く り話 しか け ます ね 。そ の表 情 の 反 応 を み て そ れ か らの こ とを 判 断 し ます(B氏)

急 性 期 治 療 下 にお け る 看 護 師 は認 知 症 高 齢 患 者 との コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン に お い て,先 ず は ア イ コ ン タ ク ト を と り,認 知 症 高 齢 患 者 の 目の 表 情(穏 や か とか イ ラ イ ラ感 等)を み て 患 者 の気 分 を ア セ ス メ ン トし,ど の よ うな コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンを とれ ぼ よ い か 判 断 して い る こ とが明 ら か に な っ た。

Phase2【 相 互 関係 を通 して の手 探 り】

認 知 症 高 齢 患 者 の気 分 の 確 認 後 に コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン を 開 始 した 。 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン の 目的 の 一 つ は患 者 の ニ ー ズ の 探 求 で あ っ た 。 こ こ で は患 者 の 示 す 繰 り 返 しのサ イ ンやcues(手 が か り)が 患 者 の どの よ うな ニ ー ズ を 意 味 して い る か を 検 討 し た。 ま た 患 者 の 特 徴 的 な表 現 や 患 者 の 訴 え も何 を 意 味 す る か を 検 討 し,患 者 の ニ ー ズ の 理 解 に加 え た 。 よ っ て,こ こで の 要 素 は

〈繰 り返 し〉 と した 。

認 知 症 高 齢 患 者 の ニ ー ズ の 理 解 に つ い て,C氏(15 年 のキ ャ リア,総 合 病 院 の 血 液 内 科 に 勤 務)とD氏(15 年 のキ ャ リア,総 合 病 院 のICUに 勤 務)は,以 下 の よ

うに述 べ た。

・毎 日患者 さ ん と関 わ る こ とで そ の 人 の 癖 とか し ぐ さが わ か る よ う にな る と,そ れ を 一 つ の 起 点 に し て そ う じゃな い か な あ とい う推 測 が で きて,そ れ を ケ ア に繋 げ る こ とが で き ます ね(C氏)

・状 態 の悪 い 中 ,コ ミュニケーシ ョン もほ とん どと れ な い で,そ れ で もい つ もの サ イ ンを 送 っ て くれ る と ち ょ っ と分 か った よ うな 感 じが して,そ れ が 患 者 さ ん の ニ ー ズ に つ な が れ ば これ ほ どの 喜 び はな い で す ね(D氏)

患 者 の 繰 り返 し行 う し ぐ さや サ イ ン を 通 して 看 護 師 自身 の もつ 感 受 性 を ヒ ン トに 勘 を 働 か して そ の 意 味 を

模 索 した 。 そ こ に は看 護 師 の ひ た む き な 懸 命 さが み ら れ た。

Phase3【 患 者 の ニー ズ に 向 け て の実 践 】

繰 り返 しの 患 者 の 示 す サ イ ンやcues(手 が か り)から そ の意 味 を 模 索 した後,そ れ を ケ ア の 中 で 実 践 した。

しか し,患 者 の 示 す サ イ ンや し ぐさ は予 測 通 りの 結 果 に結 び つ か な い こ とも あ り何 回 も失 敗 を 繰 り返 す こ と に な っ た。 『よ って,こ こで の 要 素 は 〈一 致 点 を見 つ け る〉 と した。

日々 の認 知 症 高 齢 患 者 へ の看 護 実 践 につ い てE氏(6 年 の キ ャ リ ア,保 健 師 の 資 格 を 有 す る)は 以 下 の よ う に述 べ た。

・こ う じゃ な い か ,あ あ じゃないか ととにか く色々 とや って み る こ とで す ね 。 こ こか ら患者 さ ん の 反 応 を 見 て 確 か め ます ね

認 知 症 高 齢 者 は直 接 ニ ー ズ を 伝 え る こ とが で き な い た め,看 護 師 は考 え られ る あ ら ゆ る看 護 実 践 を 行 っ て 患 者 の反 応 を み な が ら患 者 の ニ ー ズ との 一 致 点 を 探 さ な け れ ば い け な か っ た 。 そ の た め に看 護 師 に と っ て 時 間 とエ ネ ル ギ ー の消 耗 が 激 し く,根 気 強 く行 わ れ な け れ ば い け な か っ た。 そ の 中 に 人 して,人 生 の 先 輩 と し て の尊 敬 の 念 を 忘 れ な い ヒ ュー マ ニ テ ィ(愛 情)が 求 め られ る こ とも認 知 症 ケ ア の特 徴 で あ っ た。

Phase4【 言平イ面】

患 者 の ニ ー ズ に即 した ケ ア に関 して の 看 護 実 践 の評 価 で あ る が,患 者 の ニ ー ズ が 看 護 実 践 に お い て 一 致 で き れ ば,認 知 症 高 齢 患 者 一 看 護 師 間 で の コ ミ ュニ ケー シ ョ ンの 成 果 を 見 出 し,相 互 に共 感 を得 る こ とが で き る が,多 くの ケ ー ス で 共 感 を 得 られ ず,看 護 師 は空 し さ を体 験 した 。 こ の評 価 が 下 述 の 看 護 師 の く情 緒 的反 応 〉 と して表 出 され た。 こ こで の要 素 は 〈看 護 の 理 解 〉

と した。

ケ ア に お い て,認 知 症 高 齢 患 者 の ニ ー ズ の 理 解 の 困 難 さ につ い て,F氏(ll年 の キ ャ リ ア,保 健 師 の資 格 も有 す る)は,以 下 の よ うに述 べ た。

・コ ミ ュ ニ ケー シ ョン で お互 い に伝 わ らな い し,患 者 の 言 っ て い る こ と も分 か らな いの で,そ ん な 時 は他 の 看 護 師 に も 聞 い て も ら っ て 総 合 的 に判 断 し ます

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認 知 症 高 齢 患 者 の言 語 的 意 味 や 表 現 に お い て 理 解 す る こ とは 困 難 で あ る が,重 病 下 で あ る と意 思 伝 達 機 能 は も っ と低 下 し,意 識 レベ ル の 低 下 して い る 場 合 も あ る。 よ っ て,一 人 の看 護 師 で は 理 解 困難 な 時 に 個 人 的 判 断 よ り看 護 師 の 総 合 的判 断 に基 づ い て ケ ア を 遂 行 し て い た 。 この 方 法 は,過 去 の 失 敗 体 験 に基 づ い た も の で,個 人 の 不 確 か さ を排 除 し,よ り正 確 な 患 者 理 解 に 繋 げ よ う とす る行 為 で あ り,患 者 へ の負 担 も減 少 させ る も の で あ る と考 え られ た。

〈情 緒 的反 応 〉

上 述 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン プ ロ セ ス のphase4【 評 価 】 よ り得 られ た看 護 師 の 感 情 的 反 応 で あ り,患 者 と よ り一 生 懸 命 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 図 ろ う とす る看 護 師 ほ どケ ア 後 の 感 情 的反 応 を 強 く表 出 した 。 認 知 症 と い う疾 病 故 の 特 徴 で あ る 中 核 症 状 や 行 動 ・心 理 症 状 (BPSD)よ りも た らさ れ る空 しさ,も どか しさ,ジ レ ン マ,そ して 言 語 的 コ ミ ュニ ケ ー シ ョン の 限 界 等 を 強

く感 じてい た の で あ っ た。

A氏 やG氏(25年 の キ ャ リア)は せ ん 妄 を 引 き起 こ して い る 現 場 に遭 遇 した 時 の 事 を 振 り返 り,以 下 の よ うに述 べ た。

・興 奮 状 態 の 中 でベ ッ ド上 で失 禁 して,体 を ブ ル ブ ル 振 るわ せ て い た患 者 さん を 見 た と き,本 当 に び っ く り しま した し,一 瞬 ど う しよ うっ て 思 い ま し た ね(A氏)

・せ ん 妄 を お こす と普 段 とは 違 う特 別 な 力 が 入 っ て い ます し,目 つ き も鋭 くて ど う しよ うっ て 思 い ま す ね(G氏)

予 測 な くせ ん 妄 に遭 遇 した 瞬 間,看 護 師 は 「ど う し よ う」 と瞬 間戸 惑 い を感 じた。

H氏(7年 の キ ャ リア)やD氏 の よ うに 過 去 に多 く のせ ん妄 の ケ ア体 験 を もつ 看 護 師 は情 緒 的 反 応 に も相 違 が あ っ た。

・夜 間 で忙 しい とき にせ ん妄 で転 倒 した り,点 滴を 自己 抜 去 され る と 「も 一 っ 」て 思 い ます け ど,何 回言 っ て も わ か っ て く れ な い 空 し さ が あ りま す ね(H氏)

・(認知 症 で)し ゃべ る人 で も十 分 表 現 で き な い の で 私 た ち に も伝 わ らな い し,患 者 さ ん も 辛 い で し ょ うね(D氏)

せ ん 妄 ケ ア を 多 く体 験 す る こ と は,情 緒 的 反 応 に対

す る 時 間 的 な プ ロ セ ス が あ った 。 せ ん妄 症 状 を 表 す 認 知 症 高 齢 患 者 に 出 くわ した 最 初 の 頃 は単 に 戸 惑 い を知 覚 す る の み で あ っ た が,何 回 か の せ ん妄 症 状 を 表 す 患 者 の ケ ア 体 験 を す る こ とで,戸 惑 い は消 失 し看 護 業 務 の煩 雑 さ に 加 え,そ こに は 危 険 性(転 倒 や 感 染 等)を 内包 して い る こ とを 同 時 に 知 覚 して い た 。 よ っ て,看 護 師 は2つ の 情 緒 的反 応 を 同 時 に知 覚 して い た 。 一 つ は,何 回 もの 繰 り返 しの 説 明 や 直 接 的 ケ ア を 行 っ て も 認 知 症 高 齢 患 者 一看 護 師 間 で相 互 に伝 わ らな い((空 し さ))で あ り,ケ ア す る立 場 の看 護 師 に と っ て,「 分 か っ て あ げ られ な くて 御 免 な さ い 」 とい う も う一 つ の ((空 しさ))が あ った 。これ は 理 解 しな い 患 者 責 め つ つ, 一 方 で 看 護 師 の 自 己反 省 で あ り,看 護 師 の 徒 労 感 で も あ っ た。

一 方,E氏 は現 状(せ ん 妄 を お こす)を 直 視 し な が らも前 向 き に捉 え よ う と して い た。

・何 度 説 明 して も分 か っ て くれ な い 空 しさ は や っ ぱ りあ ります ね 。 この 患者 は 認 知 症 な ん だ っ て 分 か って い て も です ね 。で も今 は こ うで もい つ ま で も こ ん な 状 態 は 続 く こ と は な い と思 い ケ ア し て ま す ね 。現 状 は 現 状 と して 明 け ぬ 夜 は な い と思 い 前 を見 る しか ない です ね

1氏(ICU勤 務3年,全 体 で7年 の キ ャ リ ア)はH 氏 同様,認 知 症 高 齢 患 者 の 理 解 困難 に対 して,看 護 師 も分 か っ てや れ な い こ とへ の無 念 さ を述 べ た。

・患 者 さん も分 か って や れ な い 看護 師 に大 き なス ト レス で し ょ うね 。 で も夜 勤 で す しね,ず 一 っ と患 者 さん に つ い て あ げ れ ませ ん し,御 免 な さい って 感 じで す ね,本 当 に(1氏)

・看 護 師 が 分 か って や れ な い の で す か ら患 者 さ ん に は気 の 毒 です よね 。 ご免 な さ い っ て い う感 じで す よね(H氏)

《患 者 の安 全 ニー ズ の 充 足 》

重 篤 な 症 状 悪 化 に よ り急 性 期 治 療 を要 す る認 知 症 高 齢 患 者 に 対 し て,看 護 師 は 治 療 を 最 優 先 に 患 者 と 関 わ っ て い た 。 認 知 症 高 齢 患 者 の 治 療 中 に ひ き お こす せ ん 妄 に お い て は,ベ ッ ドか らの 転 倒 ・転 落 に よ る二 次 的 骨 折,点 滴 ライ ンや 人 工 呼 吸 器 の 自己抜 去 に よ る二 次 感 染 等 の 潜 在 的 リス ク,せ ん 妄 に よ る病 気 回 復 遅 延 や 認 知 症 の進 行 等 を予 測 しな が ら予 防 ケ ア を遂 行 した。

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《患 者 の 安 全 ニ ー ドの 充 足 》 に は く治 療 優 先 〉 〈事 故 防止 対 策 〉 の2つ の サ ブ カ テ ゴ リー で構 成 さ れ て い た。 治 療 体 制 下 にお け る 看 護 師 の 認 知 症 高 齢 患 者 に対 して 回復 優 先 を 基 調 に プ ロ と し て冷 静 に割 り切 り関 わ っ た。 本 カ テ ゴ リー の要 素 は 〔折 り合 い を つ け る〕 で あ っ た。

〈治 療 優 先 〉

看 護 師 の 認 知 症 高 齢 患 者 に 対 してせ ん 妄 ケ ア の 大 き な 目 的 は 早 期 の 回復 と退 院 で あ っ た。 治 療 を 最 優 先 さ せ る た め に 安 全 に治 療 を受 け られ る環 境 の 提 供 が 最 も 重 要 で あ った 。 そ の こ とが 患 者 に とっ て の 最 優 先 ニ ー ド と し,患 者 の 早 期 回復 に 繋 が る こ とを 信 じて ケ ア を 遂 行 した。

D氏 は安 全 を維 持 す る た め に以 下 の よ うに述 べ た。

・ICUに 入 って く るな り興 奮 す る人 もい ます よ。 い ろん なル ー トが 入 って き ます が,術 後 の 一 般 的 ル ー トは静 脈2本 ,動 脈1本,そ れ と ドレー ン1〜

2本,尿 道 カ テ ー テ ル と消 外(消 化 器 外 科)な M‑tubeも は い って き ま す し。 そ の ほ か 酸 素 マ ス クや モ ニ タ リ ン グで す ね 。そ の ル ー トが 気 に な る の か 手 を 動 か し た り,体 を ず ら した り,ベ ッ ドか ら起 き 上 が っ た り足 を ベ ッ ドか ら垂 ら した り本 当 に危 険 極 ま りな い 行 動 を します か ら。い く ら説 明 し て もそ ん な 時 って 通 じ ませ ん で し ょ う。だ か ら事 故 防 止 に抑 制 帯 を せ ざ るを 得 ない で す ね 。抑 制 し て もそ れ を 取 ろ う とす るの で す け ど。

認 知 症 高 齢 患 者 に とっ て 麻 酔 が 覚 め た 直 後 に 従 来 と 環 境 の違 うICUに 入 室 させ る こ とはせ ん 妄 を ひ きお こ す 環 境 で あ っ た 。 よ って,ICU看 護 師 は せ ん 妄 を お こ す こ とを 予 測 して 抑 制 帯 を 準 備 し て い た 。 そ の 方 法 は よ りせ ん 妄 を 助 長 させ る か も しれ な い とい う危 惧 感 を も ち な が ら も 「ご免 な さ い 」 とい う情 緒 的 な セ ンチ メ ン タ リズ ム よ り安 全 を確 保 し治 療 を優 先 さ せ る とい う 職 業 的 な((職 務 感))が み られ た。 看 護 師 は 認 知 症 高 齢 患 者 の 健 康 回 復 を ケ ア の 最 優 先 に掲 げ,そ の 間 患 者 に身 体 拘 束 に よ る デイ ス トレス を 最 小 限 で 与 え な い よ うな ケ ア(ケ ア 中 は拘 束 を 解 く)や 家 族 の 面 会 を 実 施 したが,身 体 拘 束 とい うケ ア に お け る 「無 害 」 「善 行 」 の倫 理 原 則 か ら逸 脱 した妥 協 を伴 うも の で あ っ た。

〈事 故 防止 〉

早 期 回復 の ため 転倒 ・転 落 や 自己抜 去 予 防 の ため の ケ アを 実施 した。E氏 は認 知 症 高齢 患 者 に とっ て気 が か り

にな る もの を患 者 の視 界 か ら遠 ざ け る方 策 を とった 。

・ここ の病 棟 は循 環 器 病 棟 で す の で ,入 院 して直 ぐ に微 量 点 滴 や 栄 養 の 点 滴 な ど沢 山 の ル ー トを 確 保 します が,患 者 さ ん に は そ れ が 見 え な い よ うに 袖 の 下 を 通 し た り点 滴 の 刺 入 部 を 包 帯 で 保 護 し た りして 対 応 してい ます 。そ れ とル ー トや バ ル ー ンを 引 っ張 らな い よ うに頻 回 に訪 室 した りも し ま す 。 この よ うな 対応 はす べ て 事故 防止 の た め です

1氏 は 患 者 の 側 で危 険 が な い よ うに寄 り添 っ た。 ま た,身 体 拘 束 を 行 う場 合 は 客 観 的 ア セ ス メ ン トを して 拘 束 の有 無 を判 断 した。

・挿 管 して い る患 者 さ ん な ら抜 管 し な い よ う に と か,血 圧 の低 い患 者 さ ん で ノ ル ア ド(ノ ル ア ドレ ナ リ ン)の 微 量 点 滴 を 使 っ て い る な ら抜 去 さ れ な い よ う に先 ず は命 に 関 わ る こ とな の で そ こ に 一 点 集 中 で す ね 。 興 奮 が ひ ど く暴 れ る よ うだ っ た ら,患 者 さ ん の 側 で つ き っ き りで 看 て い る こ と も あ ります よ

・せ ん 妄 が お き る と意 識 は 朦 朧 と して 何 を す る か 予 測 が で き ませ ん ので,か わ い そ うだ け ど上肢 を 縛 る か ミ トン を 装 着 す る か しか な い で す か ら。 当 然,身 体 拘 束 ア セ ス メ ン トス コ ア ー を 取 りま す よ。 これ も安 全 第 一 です か ら

B氏 はせ ん 妄 の既 往 歴 の有 無 を情 報 収 集 した。

・前 の 病 院 でせ ん 妄 の 既 往 が あ るか ど うか を 調 べ , 患 者 さ ん の 個 別 の 理 解 を 十 分 に して お か な け れ ばい けな い と思 い ます

以 上 の よ う に個 々 の 患 者 の せ ん 妄 の特 徴 に 沿 っ て個 別 の対 策 を 取 り,事 故 に よ り二 次 的 障害 を 看 護 師 自 ら が 原 因 を作 らない よ う細 心 の注 意 を払 っ た。

《 回復 遅 延 を お こさ な い た め のせ ん 妄 予 防 》

認 知 症 高 齢 患 者 のせ ん 妄 の 繰 り返 しは 治 療 に も少 な か らず影 響 を 与 え,結 果 的 に 回 復 ス ピー ドを 遅 延 させ る可 能 性 が あ る こ とを 看 護 師 は 認 知 して い た 。 そ の た め,看 護 師 は 再 度 せ ん 妄 を お こ さ な い よ うに ケ ア を遂 行 した 。 看 護 師 は認 知 症 高 齢 患 者 との コ ミ ュニ ケ ー シ ョン を通 して,患 者 の表 情 や 気 分,お よ び せ ん 妄 を ひ き お こす 要 因 の ア セ ス メ ン ト,専 門職 と して の せ ん妄 の知 識,そ し て看 護 師 して の 確 固 た る使 命 感 を も っ て 認 知 症 高 齢 患 者 と関 わ っ てい た。

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《 回 復 遅 延 を お こ さ な い た め の せ ん 妄 予 防 》 に は くせ ん 妄 の 前 駆 徴 候 の特 徴 〉 〈せ ん 妄 の リス ク要 因 〉

〈看 護 師 の 主 観 的 せ ん妄 観 〉 〈せ ん 妄 予 防 の 対 応 策 〉

〈せ ん 妄 予 防 の た め の専 門 職 域 の 経 験 と知 識 の 活 用 〉

〈看 護 師 と して の 使 命 感 ・役 割 〉 の6つ の サ ブ カ テ ゴ リー で構 成 さ れ て い た。 本 カ テ ゴ リー の 要 素 は 認 知 症 高 齢 患 者 の 【自分 ら しさ の 復 活 】 で あ っ た 。 治 療 とケ ア に て認 知 症 患 者 に退 院 の 希 望 を 知 覚 さ せ る こ と は在 宅 で の 日常 生 活 を 取 り戻 せ る こ と で あ り,そ の こ とが 生 き る 目 的 に繋 が る こ とで あ っ た。

〈せ ん 妄 の前 駆 徴 候 の特 徴 〉

看 護 師 と して 長 年 認 知 症 高 齢 患 者 との 関 わ りを 通 し て培 っ た 観 察 力 に よ りせ ん 妄 を 引 き起 こす 前 駆 徴 候 に は大 き く2つ の 特 徴 が あ った 。 そ れ ら は 落 ち 着 きが な い こ と と不 安 で あ っ た。C氏 の 指 摘 す る 徴 候 は 以 下 の 通 りで あ っ た。

・この 患者 さ ん は せ ん 妄 を 起 こ しそ うだ な あ って 予 測 で き る時 は,い つ もよ りそ わ そ わ と落 ち 着 き が な い こ と なん で す が,特 に ベ ッ ドに じっ と寝 て お れ ん か っ た り,車 椅 子 に い て も直 ぐに 立 ち 上 が っ た りし ま っ た りす る時 な ん で す が,そ ん な 時 は ス テ ー シ ョン に連 れ て 行 っ た り,患 者 さ ん の 話 を い つ も よ りよ く聴 い た り して 落 ち 着 か せ る よ うに し ます ね

J氏(5年 の キ ャ リア)の 指 摘 す る徴 候 は 以 下 の 通 りで あ っ た。

・せ ん妄 を お こ しそ うな 時 は ,コ ミュニケーシ ョン が 全 く噛 み 合 い ませ ん し,看 護 師 の 言 葉 に も集 中 し ませ ん 。そ れ と不 安 感 も強 く周 りを き ょろ き ょ ろ見 て落 ち着 か な い で す

・ベ ッ ドか ら転 落 しそ うに な った の で抑 制 帯 を つ け た ら,急 に ブ ツ ブ ツ と独 語 ら し き もの を 言 っ て, 幻 視 ・幻 覚 が表 れ大 声 で 喚 き ま したね 。 抑 制 さ れ た こ とで も っ と不 安 感 が 出 たの だ と思 い ます ね

1.薬 物 要 因

薬 物 要 因 は,主 と して 鎮 痛 薬,麻 酔 薬,そ し て化 学 療 法 開 始 時 に焦 点 化 さ れ た 。C氏 や1氏 は 薬 物 要 因 に つ い て以 下 の よ うに述 べ た。

・せ ん 妄 を お こす 時 は うち の 病 棟 で す と痛 み 止 め の 麻 薬 を 使 っ た りとか です か ね(C氏)

・化 学 療 法 開始 時 で すね 。入院 して直 ぐ治療は始ま るの です が,そ の夜 間 に も う 出 る方 が い ます ね 。 だ か ら入 院 後 患 者 さん の 言 動 を 注 意 して 看 て ま す ね え(C氏)

・抜 管 した 時 の 方 が せ ん 妄 を 起 こさ れ る 患 者 さ ん が い ら っ し ゃい ます ね 。挿 管 中 は 薬 物 の 影 響 で ぼ 一 っ と し て よ くわ か らな い と思 い ます が,抜 管 し て,薬 が 切 れ て くる と今 ま で の 流 れ が よ くわ か ら な くって,急 に 現 実 に戻 さ れ る の で 混 乱 す る の で し ょ うか ね え(1氏)

薬 物 が 直 接 的 に認 知 症 高 齢 患 者 の脳 機 能 に 影 響 を与 え て い る こ と とせ ん妄 と中 枢 神 経 薬 剤 との 関 連 性 につ い て看 護 師 に は認 知 してい た。

2.環 境 的要 因

せ ん 妄 の リス ク要 因 の 一 つ で あ る環 境 的 要 因 に は, 入 院,手 術 後 のICU入 室,病 室 の部 屋 替 え,そ して長 期 臥床 等 が あ っ た。これ ら の要 因 に 関 してC氏,H氏,

K氏(5年 の キ ャ リア,整 形 外 科 病 棟 勤 務)は 以 下 の よ うに述 べ た。

・せ ん 妄 を 起 こす 時 は ,部 屋 が替わった りとかの環 境 の 変 化 が大 きな リス ク要 因 に な ります ね(C氏)

・ペ ー ス メ ー カ 装 着 の 手 術 当 日の 夜 とか 入 院 した そ の夜 とか 環 境 が 大 き な要 因 にな ります ね(H氏)

・整 形 外 科 病 棟 で は 術 前 ・術 後 を通 し て,治 療上仕 方 な い こ とな ん で す が 比 較 的 長 期 臥 床 を 強 い る こ とが あ りまで し ょ う。そ ん な 時 直 達 牽 引 中 で も ベ ッ ド上 に立 っ てい たな ん て こ と も あ り,そ ん な 時 はそ の ま ま即 手 術 にな ります 。そ の 患 者 さ ん は 術 後 もせ ん 妄 を 起 こ し ま し た(K氏)

せ ん 妄 の 前 駆 症 状 を知 る こ と で,看 護 師 は 予 め せ ん 妄 の予 測 が 可 能 とな る た め,せ ん 妄 へ の 準 備 や 予 防 対 策 が 可 能 とな る こ とが明 ら か に な っ た。

〈せ ん 妄 の リス ク要 因 〉

ケ ア を 通 して 認 知 した 看 護 師 の せ ん妄 の リス ク要 因 に は大 き く5つ に分 類 で き た 。 これ ら は 薬 物,環 境, 身 体 的,ス トレ ス,そ して複 合 的要 因 で あ っ た。

せ ん 妄 と環 境 との 関 連 性 に つ い て,認 知 症 高 齢 患 者 が もつ 見 当 識 障 害 に加 え 環 境 の 変 化 が誘 発 され た と考 え られ た。

3.身 体 的要 因

認 知 症 高 齢 患 者 自身 が もつ せ ん 妄 の発 症 リス ク で あ り,本 研 究 で は加 齢 と脱 水 が あ っ た。A氏,K氏 は身 体 的 要 因 につ い て以 下 の よ うに述 べ た。

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・加 齢 が そ も そ も病 気 を つ く り,目 の前にあるあ り と あ ら ゆ る 身 体 の 変 化 に 対 応 で き な くな る た め で し ょ う(A氏)

・化 学 療 法 や な ん か で食 事 が で き な か っ た り,水 分 を 十 分 に と らな い,ま た は とれ な か っ た りで 脱 水 で せ ん 妄 を ひ き起 こす こ とが あ ります ね(K氏)

加 齢 に よ る代 謝 機 能 や排 泄 機 能 低 下 と関 連 し循 環 血 液 量 低 下 に よ る脳 へ の低 酸 素 血 症,お よ び 脱 水 も 同 じ よ うに体 内 の 循 環 血 液 量 低 下 に よ る脳 へ の 低 酸 素 血 症 を ひ き起 こ しせ ん妄 を誘 発 す る と考 え られ た。

4.ス トレス要 因

ス トレス 要 因 は,主 と して 環 境 的 要 因 や 心 理 的 側 面 を 内包 し,看 護 師 自体 が患 者 の もつ ス トレス を 把 握 で き て い な か った 。 ス トレス 要 因 に 関 してA氏 とB氏 は 以 下 の よ うに述 べ た。

・せ ん 妄 が お き る 大 き な 原 因 は ス トレス だ と思 い ま す が,は っ き り言 っ て 何 が ス トレス か よ く分 か り ませ ん 。そ れ だ け の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン が で き て い ませ ん の で 。夜 間 部 屋 の 電 気 を つ け て い た こ と が 刺 激 に な っ たの か,部 屋 が 替 わ っ た こ とな の か よ くわ か りませ ん で し た(A氏)

・夜 間 に患 者 さ ん が寒 い か らっ て い わ れ て ,看 護師 が そ の 訴 え に 応 え られ な く てせ ん 妄 を お こ しま し た(B氏)

こ の 問 題 は 認 知 症 高 齢 患 者 一看 護 師 間 の コ ミ ュニ ケ ー シ ョン 障 害 と信 頼 関係 の 欠 如 が 影 響 して い る と考 え られ た。

5.複 合 的要 因

上 述 の1〜3の 単 体 で せ ん 妄 を 引 き起 こす とい うよ り重 複 的 要 因 に よ っ てせ ん 妄 を ひ き お こす こ との 方 が 臨床 に お い て は 一 般 的 で あ った 。A氏 とJ氏 は 複 合 的 要 因 につ い て以 下 の よ うに述 べ た。

・せ ん妄 の原 因 は一 つ だ け とい うこ とで は な く,い くつ もの こ とが 重 な り合 っ て起 こ る の で は な い か と思 い ます し,患 者 さ ん お 一 人 お 一 人 違 い ま す の で 難 しい で す ね え(A氏)

・せ ん妄 を繰 り返 す人 っ て ,2〜3日 で 安 定 す る か と思 う と ま た そ の 後 に起 き た りを 繰 り返 し ま す よね 。そ の原 因 っ て 色 々 あ って 一 つ っ て 言 え な い で す よね(J氏)

せ ん 妄 の 要 因 は極 め て 個 別 的 で あ り個 人 に よ っ て相 違 が あ り,か つ 繰 り返 し発 症 す る こ とへ の 危 惧 感 を看 護 師 は も っ てい た。

〈看 護 師 の主 観 的せ ん 妄 観 〉

認 知 症 高 齢 患 者 に対 す る 看 護 師 の主 観 は,今 ま で培 っ た看 護 経 験 を 基 に基 礎 的 知 識 に よ る ス テ レオ タイ プ な考 え で な く,個 別 的 で パ ター ン化 しな い もの で あ っ た。 せ ん 妄 を 起 こ しや す い 人 につ い て 問 う と,A氏,

B氏,そ してC氏 は以 下 の よ うに述 べ た。

・私 は男 女 差 は な い と思 い ま す ね え。せん妄を起 こ しや す い 人 って,依 存 心 の 強 い 人 に 多 い よ うに 思 い ます け ど(A氏)

・せ ん妄 を起 こ しや す い人 は ,家 族関係がよ くな く て,余 り面会 に来 て くれ な い人 とか,老 人 施 設 に 入 っ て い る 人 と か 女 性 よ り男 性 に 多 い よ う な 気 が し ます ね(B氏)

・男 性 の患 者 さん に 多 い よ うな気 が します ね 。 そ れ と在 宅 の高 齢 者 の方 に多 い よ うに思 い ます(C氏)

看 護 師 の 主 観 は,対 応 した 認 知 症 高 齢 患 者 に よ っ て 相 違 が あ り,看 護 師 の 偏 見 も入 っ て い る 可 能 性 も あ っ た。 一 般 的 に不 確 か さ が 特 徴 で あ っ た。 また,せ ん妄 の鑑 別 に お い て も看 護 師 の 認 知 の 閾値 が 広 く,せ ん妄 の症 状 で あ る興 奮,意 識 混 濁,気 分 変 動,多 動,会 話 の理 解 困 難 等 に焦 点 化 さ れ て お り,引 き こ も り等 の非 興 奮 症 状 に つ い て は比 較 的 理 解 して い な か った 。 こ の よ うな せ ん 妄 の 症 状 に つ い てA氏 は以 下 の よ う に述 べ た。

・うち の 病 棟(血 液 病 棟)の 患 者 さ ん は そ ん な に 激 しい せ ん 妄 を起 こす こ と はあ りませ ん け ど,あ っ て も軽 い も ので 一 日位 で 収 ま ります し,繰 り返 し もな い で す ね 。で も時 々 い つ も と違 っ て ぶ つ ぶ つ と何 か を 言 って い た り,い つ もよ りイ ラ イ ラ して い る なあ っ て こ と は あ ります け ど,も の す ご く興 奮 した りも し ま せ ん の で そ の ま ま放 置 して ま し た。今 振 り返 って 考 え ま す とあ れ って せ ん 妄 だ っ たん だあ っ てい う こ と も あ って,ど こか らせ ん 妄 か よ くわ か りませ ん ね え

〈せ ん 妄 予 防へ の対 応 策 〉

認 知 症 高 齢 患 者 に よ る 繰 り返 され るせ ん 妄 や せ ん妄 の再 発 に お い て,看 護 師 は そ の せ ん 妄 を 阻 止 し,そ し て正 常 な 日常 生 活 へ の 復 活 に 向 け て個 々 の 認 知 症 高 齢 患 者 の 問 題 点 を 整 理 し,そ の せ ん 妄 の リス ク要 因 を把

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握 し,そ れ を ケ ア に生 か そ う と した。 対 応 策 に は 睡 眠 パ タ ー ン の 正 常 化,現 実 感 を 与 え る,環 境 の 整 備,そ

して家 族 サ ポー トが あ っ た。

1.睡 眠 パ ター ン の正 常 化

昼 夜 逆 転 の 生 活 を正 常 化 させ る た め看 護 師 の 日 中 の ケ ア の 重 要 性 を 再 確 認 し,認 知 症 高 齢 患 者 に 合 っ た生 活 リズ ム を 考 えて い た。 そ の 結 果,日 中 覚 醒 を 促 し, 脳 へ の刺 激 を 与 え る た め適 度 の 運 動 や 夜 間 睡 眠 で き る 環 境 に す る た め 医療 処 置 を 日 中 で終 わ らせ る よ う に配 慮 した。B氏,C氏 は以 下 の よ うに述 べ た。

・夜 間 は看 護 師 の数 も少 な い し,せ ん妄を起 こした 患 者 さん だ けを 看 て もお れ ませ ん しね 。や は り 日 中の ケ アが い か に大 切 か を 痛 感 させ られ ます ね 。 日 中 はで き る だ け寝 か せ ず 刺 激 を 与 えて,散 歩 と か 足 浴 とか 日 中活 動 させ て夜 眠 るパ ター ン,つ ま り生 活 リ ズム の 正 常 化 で す ね,そ れ を 身 に つ け れ ば 夜 間 せ ん 妄 な ん か お こ さ な い と 思 い ま す よ (B氏)

・せ ん 妄 は 夜 間 起 き る の で 点 滴 な ん か は 日中 の み で 終 わ らせ る よ う に して,夜 間 は 何 も しな い 状 態 に し ます ね(C氏)

2.現 実 感 を与 え る

認 知 症 高 齢 患 者 は疾 病 の 特 徴 に お い て,見 当 識 障 害 を早 期 か ら発 症 す る た め,せ ん 妄 の対 応 い か ん に関 わ らず 重 要 な ケ アで あ っ た 。 特 に治 療 上 動 け な い 状 況 や 外 部 の刺 激 が 少 な い 環 境 下 に お い て,せ ん 妄 の 予 防 ケ ア は,一 日の メ リハ リを つ け る た め の生 活 リズ ム の 考 慮 や 見 当 識 に 特 化 した意 図 的 に 働 きか け を行 って い た。

そ の点 につ い てA氏,D氏 は以 下 の よ うに述 べ た。

・ケ ア と して は 現 実 感 を 常 に 与 え る よ うに して い ま す 。今 何 時 とか朝 です よ とか で声 か け し,一 日の メ リ ハ リ を つ け て わ か る よ う に し て い ま す (B氏)

・環 境 と して は夜 間 眠 れ る よ う に消 灯 し た りとか , 日 中 は ラ ジオ を 聴 い て も ら っ て,今 日は 何 月 何 日 で あ る と か 好 き な 音 楽 を 聴 く とか し て も ら っ て い ます(D氏)

治 療 上 活 動 規 制 を余 儀 な く され て る認 知 症 高 齢 患 者 は,ラ ジ オ か らの 情 報 刺 激 は 時 間感 覚 を 維 持 させ る の に役 立 つ ツ ー ル と して活 用 され てい た。 この 時 間 感 覚 が 日常 の 生 活 リズ ム を正 常 化 させ た り,か つ 脳 刺 激 の 活 性 化 に も役 立 たせ てい た。

3.環 境 の整 備

今 い る 環 境 を 替 え な い こ とや 部 屋 の配 置 に お い て も 廊 下 側 よ り窓 側(現 実 感 を 受 け 入 れ や す い)や 看 護 ス テー シ ョ ン に な るべ く近 い 場 所 等 を鑑 み,そ れ を 実 践 した。A氏 やH氏 は そ の 点 に つ い て以 下 の よ う に述 べ た。

・い つ も 同 じ環 境 で 治 療 す る こ とが 大 切 な ん で す (A氏)

・せ ん 妄 に な っ た 人 や な る か も しれ な い 患 者 さ ん は 看 護 ステ ー シ ョンの 近 くに病 室 を配 置 し,目 が 行 き届 くよ う に しない とい けな い です(H氏)

で き る 限 り環 境 調 整 を 行 い な が ら,看 護 師 との コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 多 く もつ こ と は認 知 症 高 齢 患 者 の気 分 や 情 緒 的安 定 を導 くた め よい 予 防対 応 で あ っ た。

4.家 族 サ ポー ト

看 護 師 は 認 知 症 高 齢 者 の 気 分 や 情 緒 安 定 に は家 族 の サ ポ ー トは 必 要 不 可 欠 で あ る こ とを誰 もが 認 知 して お

り,家 族 の 面 会 を強 く要 望 して い た。A氏,1氏,J 氏 は そ の点 につ い て以 下 の よ うに述 べ た。

・も と も と患 者 さ ん と関 係 が い い 家 族 は 問 題 な い の です が,そ うで ない か ど うか 分 か りませ ん け ど, 患 者 さん を 入 院 させ て しま う と安 心 され るの か, な か な か 面 会 に来 て くれ な い ご 家 族 も 多 い で す ね 。今 で は半 々位 で しょ うか ね え。 せ め て お 顔 く らい 見 せ に来 て くれ る と有 難 い です ね(A氏)

・認 知 症 患 者 さ ん の ご家 族 っ て ,あ んま り面会に来 られ ない です が,家 族 が 来 れ ば 患者 さ ん も落 ち 着 き ます の で も っ と来 てほ しい で す ね(1氏)

・家 族 が 来 られ て も格 段 嬉 しそ うな 表 情 は しま せ ん が,家 族 が 帰 られ る と ソ ワ ソ ワ し た りし ます ね 。 そ れ と家 族 が 話 しか け られ る と静 か に 聞 い て い ます か ね 。や は りい い刺 激 に な っ て い る と思 い ま す よ。患 者 さ ん がICUに 入 って い る 間 は ご家 族 は よ く面 会 に来 られ る ので す が,ICUを 出 る と結 構 遠 の くご家 族 もお られ ます ね(J氏)

看 護 師 は 家 族 と家 族 関 係 に 注 目 し,認 知 症 高 齢 患 者 の家 族 の 中 で の 位 置 づ け や 役 割 の 変 化,そ して 立 場 の 低 下 が家 族 の 関 心 と関連 して い る こ とに気 づ い て い た。

加 え て,家 族 の 関心 が 病 状 の 重 篤 な程 度 と関 連 し て い る こ とに も注 目 して い た。

〈せ ん 妄 予 防 の た め の専 門職 域 の経 験 と知 識 の活 用 〉 専 門職 と し て の看 護 の 経 験 が せ ん 妄 予 防 とい う症 状

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へ の対 応 に お い て,知 識 が どの よ うに生 か さ れ て い る か とい う こ とで あ っ た。 せ ん 妄 予 防 とい う視 点 にお い て の看 護 師 の 経 験 と知 識 の 統 合 にお い て,せ ん 妄 の 前 駆 症 状 の 異 常 の 早 期 発 見,薬 剤 の 使 用,そ して 患 者 ニ ー ズ の理 解 が あ っ た。

1.前 駆 症 状 の異 常 の早 期 発 見

くせ ん 妄 の リス ク要 因 〉 と関 連 して い る が,普 段 と は違 う徴 候 の 違 い を看 護 経 験,特 に観 察 に お い て 異 常 を早 期 発 見 し,そ れ を早 期 に ケ ア に繋 げ よ う とす る も の で あ っ た 。A氏 は化 学 療 法 の 開始 時 や 術 後 の よ うに 大 き な 治 療 の 施 行 後 に脳 器 質 に影 響 を与 え る こ とを 予 測 し,認 知 症 高 齢 患 者 の 言 動 に注 意 し観 察 を 行 っ た。

A氏 は そ の事 につ い て以 下 の よ うに述 べ た。

・認 知 症 の あ る 患 者 さ ん の 治 療(化 学 療 法)が 始 ま る とそ れ だ け で も 認 知 機 能 の 低 下 と い う リ ス ク を 考 え て治 療 当 日か ら異 常 の 言 動 が な い か や 気 分 の 変 化 に気 を つ けな い とい けな い の で す が,そ の 時 に 患 者 さ ん が 急 に 同 じ こ とを 繰 り返 し話 さ れ た り,検 査 な ん て な い の に 検 査 が あ る の で 食 事 は しな い とか 予 想 外 の 言 動 が 表 れ た ら 要 注 意 で す ね

一 方,G氏 は異 常 に気 づ い た時 は声 か け を した。

・せ ん妄 に は前 駆 症 状 が あ っ て ,い つ もよ りソワソ ワ と落 ち着 か な か った り,目 つ き な ん か も違 い ま す の で,そ の 時 に 声 か け した りす る と結 構 落 ち 着 くこ と も あ ります ね 。問 題 は タ イ ミ ング な ん で す よ。声 か け した こ とで 返 っ て 興奮 さ せ て しま う こ と だ って あ ります の で

ま た,D氏 は せ ん 妄 を予 測 し たが,ケ ア に お い て 失 敗 す る こ との 方 が 多 か っ た 。 しか し,失 敗 を 恐 れ ず 繰

り返 し行 うこ とが予 防 に繋 が る と述 べ た。

・せ ん 妄 を 繰 り返 す 患 者 さ ん の 原 因 っ て 本 当 よ く分 か ら ない こ とが 多 い で す よ。 だ っ て,そ の 人 の 原 因 っ てい つ も 同 じ じ ゃな い し,そ の 日に よ って も 違 い ます か らね 。で も と りあ え ず 考 え られ る ケ ア を や って み る と ヒ ッ トす る こ と も あ るん で す よ。

そ れ が ひ ょ っ と して せ ん 妄 予 防 に も繋 が っ た り し ます の で。で も当 た らな い こ との 方 が 多 い で す け どね 。 で も繰 り返 す こ とが大 切 で す し,そ の 中 か ら き っ と予 防 に 繋 が る ケ ア を 見 つ け られ る か も しれ ませ ん か ら

せ ん 妄 を お こす 一 歩 前 で 誘 発 因子 を 除 去 で き れ ば 最

適 な ケ ア とな る が,そ の 因 子 の 特 定 要 因 の 発 見 に は 困 難 を極 め るが ケ ア の継 続 を 根 気 強 く行 う こ とが 重 要 で あ っ た。

2.薬 剤 の使 用

せ ん妄 予 防 の た め に夜 間 睡 眠 薬 の投 与 が 一 般 的 に行 わ れ て い た 。 ま た人 工 呼 吸 器 の 装 着 中 時 は 会 話 不 可 に よ る ス トレス 緩 和 の た め の 麻 酔 薬 や 催 眠 薬,あ るい は 精 神 安 定 薬 を 使 用 して 意 識 レベ ル を低 下 さ せ て い た。

F氏 やB氏 は薬 剤 使 用 に 関 して以 下 の よ うに述 べ た。

・人 工 呼 吸 器 を つ け て い らっ し ゃる 患 者 さ ん に は 少 し意 識 レベ ル を 落 とす た め に薬 剤 を 用 い て い ま す け ど苦 痛 緩 和 の た め に は い い ん じゃ な い か と 思 い ます よ(F氏)

・不 安 感 の強 くて ,せ ん妄をお こしやすい患者さん に は 精 神 安 定 剤 か 睡 眠 薬 で 寝 て い た だ く こ とは い い と思 い ます よ(B氏)

但 し,F氏 は睡 眠薬 の 内 服 時 間 や 回数 を 注 意 深 くコ ン トロ ー ル し ない と睡 眠 パ ター ン を逆 転 さ せ,返 っ て せ ん 妄 を引 き起 こす 要 因 に な る こ とを指 摘 した。

認 知 症 高 齢 患 者 の薬 物 投 与 は 加 齢 に よ る薬 物 代 謝 や 排 泄 時 間 の 延 長 に よ る薬 効 等 を 十 分 に配 慮 しな が ら薬 物 コ ン トロー ル す る必 要 性 が あ る こ とを 看 護 師 は十 分 周 知 してい た。

3.患 者 の ニー ズ の理 解

せ ん妄 予 防 に は患 者 の 個 別 性 が 高 い。 よ って,言 葉 の傾 聴 や 認 知 症 高 齢 患 者 の 背 景 を 知 る こ とは,認 知 症 高 齢 患 者 の 人 生 を知 り,そ の 人 の もつ 価 値 や 信 念 を理 解 で き る 。 せ ん 妄 予 防 に お け る患 者 の ニ ー ズ の 理 解 に つ い てA氏 やD氏 は以 下 の よ うに述 べ た。

・患 者 さ ん の ニ ー ドを理 解 す る こ とは ,せ ん妄予防 に繋 が ります よね(A氏)

・患 者 さ ん の言 っ て い る こ とを よ く聴 い た り,家 族 か ら情 報 を 得 て そ れ を ヒ ン トに し た りす る こ と が 大 切 で す よね(D氏)

患 者 の ニ ー ズ の理 解 は,せ ん 妄 の誘 発 因 子 や 要 因 の 究 明 に役 立 つ も の で あ る 。 そ れ が で き れ ば,直 接 的 な ケ ア に繋 が っ てい く と考 え られ る。

〈看 護 師 と して の使 命 感 ・役 割 〉

看 護 師 に 課 せ ら れ た 仕 事 の 任 務 や 役 割 は,入 院 患 者 を受 け 入 れ,早 期 の健 康 回 復 を 図 る こ とで あ る。 そ れ

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