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社会科教育における実蹴句意思決定力の育成
一公民的分野単元「どうする?私の住むまち・住みたいまちJの開発を通して一
教科・領域教育専攻 社会系コース 井 上 巧 也
序章研究の目的と方法
本研究は、実践的意思決定力の育成を目指し、
中学校公民的分野において小単元「どうする?
私の住むまち・住みたいまち」の開発を行うこ とである。
近年の子ど、もたちの課題として、「判断の根拠 や理由を明確に示しながら自分の考えを述べた り、実駒吉果を分析して解釈・考察し説明した りすること」を苦手としている点や、「自分の判 断射す動がよりよし、社会づくりにつながるとし、
う意識jが低い点等が挙げられるが、これらは 若者の決定からの逆鎚を引き起こしている。
しかし、決定しさえすればよいのではなく、
自分が納得できる決定が必要だ。私たちは日常 生活のなかで適切に判断し、意思決定すること が求められるが、自分の感情をないがしろには できない。よって、未来の社会を担う生徒は、
意思決定過程を知り、合理と感情のはざまで妥 協と調整を繰り返し、現実的に意思決定する力
(実践的意思決定力)を培う必要がある。
第
1
章社会科教育の目的と中学校社会科公 民的分野の特質社会科の目標は、社会認識を通して市開句資 質を育成することである。市開句資質の育成を 最終目標とするならば、子どもたちは必撚的に 意思決定力や解決のための直接的な行動をとっ
指導教員 梅 津 正 美
ていく力を、授業を通して身に付ける必要があ る。
現代の子どもたちに必要な教育は、概念化に よる例月性の高し、社会認識を基盤に、個人と集 団を行き来する学習を通して知識・概念の活用 を図る教育である。社会との結びつきを積極的 に考え、態度や人間性の形成を行うことができ るという点で社鉾にそ得意とする教育である。
第
2
章社会科教育と意思決定力の関係、価値観が多様化する社会においては、人々が 正しさを吟味できることが要求され、「その上で、
自らが責任をもった社会的行為の選択を行うこ と」が必要であり、「この選択に必要なのが、意 思決定力である」。
正しし、社会論哉に基づく正しし、意思決定こそ が市民的資質の育成へと繋がると考えられ、社 会科教育は進められてきた。従って、合理的意 思決定力が社会斜教育の主流になり得たのであ る。しかし、合理的意思決定力育成型の授業で は、自分の立場や感情は二の次となり、科学的 事実に基づく結論しか得られない。
これに対し、実蹴句意思決定力とは、自己の 判断・決定に「感情Jを含め、現実性を担保し た意思決定を行うことができる能力である。実 蹴句意思決定力の育成には、基盤として合理的 意思決定過程も含まれる。合理的意思決定過程
− 248 − を担令するのではなく、踏まえた先の過程として 相主し、両過程を達成することで初めて実践的 意思決定力が育成される。
第3章意思決定力育成型授業の特質と課題 知子研究の分析から、多くの社会問題に対応 していくためには実蹴句意思決定力の育成が重 要であり、自己問題化や合理性と感情の融合を 取り入れた実践的意思決定力育成までの過程が 必要であることが明らかとなった。また、合理 性と感情の融合には妥協と調整を繰り返す必要 があるが、妥協と調整には決定する際の評価基 準を明確にする必要がある。実騨句意思決定は 合理的意思決定の過程を含むものであるため、
実騨句意思決定力育成までの過程は、合理的意 思決定、葛藤の認識、評価基準の吟味とし、う手 順で行われる必要がある。
第
4
章実践的意思決定力の育成をめざす授 業開発1. 授業構煽命
目標は、実践的意思決定力を育成することで ある。合理的意思決定のプロセスを行えるよう になるのはもちろんのこと、本音や葛藤といっ た「感情」が合理的意思決定にどれだけ影響を 及ぽすのかを言雷哉し、判断・決定の難しし、社会 問題に対しても現知句な判断・決定ができる子
どもの育成を目指す。
学習内容は、①本音と建前としりた合理性だ けでは判断・決定が難しし、佐会問題を取り扱う、
②国や地或、人々(自分も含む)の今後のあり ょうを考えるという2点をふまえ、構成する。
学習過程は、①「問題喚起」、②「問題把握」、
③「合理的意思決定」、④「評価基準の吟味」、
⑤「自己課題化J、⑤「実蹴句意思決定」の
6
段階を踏んでいく。
実践的意思決定力を育成する学習は、「理 解J・「説明J・「意思決定Jを学習方法の原理と
して用いる。
2 .
授業開発一小単元「どうする?私の住むま ち・住みたいまちJ中学校社会科公民的分野において、全
8
時間 構成で開発した。生活の基盤である「私の住む まちJf
こ焦点を当て、「よりよいまちJの発展に ついて考えさせることで、「地方自治jに対する 理解や態度を深めさせる。また、政策の賛否を 問う意思決定過程を通して、合理性のみの視点 に留まらず、自己や他者の感情を考慮した実践 的意思決定力を育成する。終章研究の成果と課題
本研究の成果としては、①
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断己の子ども たちに必要な資質・能力との関係性から、従来 の社会科で考えられていた意思決定力の育成に 疑問を呈し、これからの社会科教育における実 践的意思決定力育成の必要性を明らかにした点、②自己問題化や合理性と感情の融合等の課題を 克服するものとして実蹴句意思決定力育成の方 略を明らかにし、目標、内容構成、授業過程の 組織、学習方法の選択から構成される授業構成 論を構築した点が挙げられる。
本研究の課題としては、構築された理論によ って、本当に実蹴憶思決定力が育成されるの かを明らかにで、きなかった点で、ある。今後は長 い期間での子どもの変化に着目し、実践的意思 決定力の育成に関する謝面を行う必要がある。
また、授業実践も行えていないため、今後は授 業を実践し、実騨句意思決定力育成に向けて実 際の子どもとの対応を図りながら、よりよい授 業の開発を行う必要がある。