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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

金属微粒子膜におけるプラズモニック特性と金属/被 覆分子界面電子状態の相関性に関する研究

斉藤, 昴

http://hdl.handle.net/2324/2236026

出版情報:Kyushu University, 2018, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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(様式6-2)

氏 名 斉藤 昴

論 文 名 A study on the dependence of plasmanic properties of metal nanoparticle sheets on its electronic states at the metal/capping-molecule interface

(金属微粒子膜におけるプラズモニック特性と金属/被覆分子界面電子状態 の相関性に関する研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 玉田 薫 副 査 九州大学 教授 寺嵜 亨 副 査 九州大学 教授 瀧上 隆智 副 査 九州大学 助教 龍崎 奏

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本学位論文は、有機分子で被覆された金属微粒子が示すプラズモニック特性の起源に関する研究 で あ る 。 金 属 微 粒 子 に 光 を 入 射 す る と 、 局 在 表 面 プ ラ ズ モ ン 共 鳴 (Localized Surface Plasmon Resonance: LSPR)により微粒子近傍に入射光よりも強い電場が得られる。そしてこのLSPR増強電 場を光電子デバイス等に応用する研究が広く進められている。LSPR特性は、「金属種」「粒径」「形 状」「粒子近傍誘電率」によって決まることが古くから知られており、さらに膜などの集合体では「粒 子間距離」も重要な因子となる。これらの因子を制御することで、様々なLSPR特性を示す金属微粒 子およびそれら集合体が開発されているが、近年さらに金属微粒子の安定化に用いられる表面被覆 分子がLSPR特性に大きく影響することがわかってきた。本研究では、被覆分子のみが異なる金属微 粒子二次元膜を作製し、LSPR特性と金属/被覆分子界面における電子状態の相関性を調べ、界面電 子状態が金属微粒子のLSPR 特性に与える影響について明らかにした。

本論文では金属種、粒子形状、粒径、粒子間距離、粒子近傍誘電率は同じであるが、異なる末端 基を有する長鎖炭素分子で被覆された金属微粒子二次元膜を作製して実験に用いた。具体的には、

分子が微粒子にイオン結合しているミリスチン酸被覆銀微粒子膜(AgMy)、分子が微粒子にチオー ル基によって共有結合している1-tetradecanethiol被覆銀微粒子膜(AgSC14)、さらに両端にチオール 基を有する1.16-hexadecanedithiol被覆銀微粒子膜(AgDT16)の三種類である。これらの微粒子膜を 比較することで、LSPR特性における被覆分子の影響、さらに金属/被覆分子界面における電子状態 の違いを議論した(2章)。

3章では、AgMy膜、AgSC14膜、AgDT16膜における被覆分子の誘電率、界面電子状態密度、お よび各膜の誘電関数の評価を通じて、LSPR特性と金属/被覆分子界面における電子状態との相関に ついて調べた。具体的には、被覆分子の末端基の界面結合部位における電子状態密度の違いに伴い、

粒子近傍の誘電率が変化することを初めて解き明かした。これまで炭素鎖で構成されている分子は いずれもほぼ同じ誘電率を有するとして取り扱うのが一般的であったが、本成果により、末端基の 種類による誘電率の違いが無視できないほど大きいことを明らかにした。特に各分子の誘電率につ

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いて末端基がAgと結合することで大きな有意差が生じることを見つけたのは特筆すべき成果であ る(3章)。

論文の後半では、これらの知見を活かし、コアの金属は変えずに被覆分子だけを変えることで様々 な物性を示す微粒子膜の作製を行った。例えば、可視域において広い吸収を示す微粒子膜の黒体を 作製したが、この膜の可視域の消衰係数は、代表的な黒体であるグラフェンと同程度の値であった。

その他にも被覆分子をジチオールに変えることで有機溶媒に対する耐久性を向上させ、フォトリソ グラフィーや電子線リソグラフィーのプロセスに耐えうる微粒子膜を作製し、パターニングを施す ことに成功した(4章)。

本学位論文では、金属微粒子のLSPR特性と被覆分子との関係について明確な結論を出すことがで きた。これまで炭素鎖で構成されている表面被覆分子の誘電率はいずれもほぼ同じとして扱われて いたが、本成果により粒子近傍誘電率は末端基の性質により大きく異なるという新たな知見を示す に至った。これらの成果は、金属微粒子のLSPR特性の本質を理解する上で非常に重要な理学的知見 であり、広く化学の発展に寄与するものである。さらに金属微粒子黒体などに関する成果は先導物 質化学的な意義も有している。よって、本研究者は博士(理学)の学位を受ける資格があるものと 認める。

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