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出雲市内神社本殿の特徴

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Academic year: 2021

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奈文研紀要 2017

桁行 2 間、梁行 2 間

階隠あり(別棟・独立)階隠あり(別棟・主体部と連続)階隠なし 主体部の桁を前方に延ばす

その他の形式:11 件

H3形式の近世の1件 は 1842 年建立 近世の1件は当初 D3 形式から近代以後の 改修

主体部の桁 階隠の桁

(弊殿が木階を覆う)階隠なし

桁行 2 間、梁行 2 間、正面 1 間 桁行 1 間、梁行 1 間

はじめに  奈良文化財研究所では、2016年度に島根県 出雲市の委託を受けて、出雲市内に所在する神社本殿の 調査をおこなった。出雲市では、2015年度に島根県神社 庁に登録されている189件の神社を対象として、所在や 沿革、本殿の形式などについての1次調査をおこなって いた。2016年度は、それらを元に、市職員と奈文研の研 究員が現地に赴き、主として外観から本殿の特徴や建立 年代などについて調査した(2次調査)。これを162件に ついて実施し、本殿の形式を分類した上で、17件につい て、本殿内部や棟札等を確認する3次調査をおこなっ た。ここでは、2次調査の成果をふまえ、出雲市域の神 社本殿の特徴について概観したい。

概 要  出雲大社が立地する出雲市には、切妻造・妻 入のいわゆる大社造の本殿が多いと予想された。調査の 結果、流造が29件、隅木入春日造が3件、入母屋造が2 件、切妻造・平入が4件、その他が1件で、これ以外は ほぼいわゆる大社造に分類される。暴風雪対策のため 本殿を板で囲われ、形式(後述)が不明なものを除けば、

118件について大社造の形式分類が可能である。

大社造の形式と特徴  いわゆる大社造に分類できる切 妻造・妻入の本殿は、平面のほか、本殿主体部の桁の架け 方や階隠の有無などにより、図29のように分類できる。

紙数の関係から各形式の詳細な説明は省略するが、A~

D3形式はすでに川上貢による指摘 1)があり、E1~E5形 式は奈文研の調査 2)で知られていたものである。今回は 新たにD形式のうち背側面に縁のないD4・D5形式、Fの 3形式、Gの2形式、Hの3形式を確認した。

 平面の特徴は、縁をもたないE1・E2・E4形式もある が、通常は正面に縁をもち、しばしば正面の縁の出を他 の3方よりも広くとってその両側面に柱間装置を設け、

正面に建つ幣殿と一体的に屋内空間として利用する点で ある。これは建物利用の目的だけでなく、暴風雪から保 護する役割を期待したものだろう。また独立した階隠を もたないF形式は、正面の木階を幣殿の屋根が覆う場合 がほとんどで、幣殿をもつことを前提とした形式である。

 構造的には、御扉内部に御神体を祀る身舎とともに、

正面の縁や木階を覆う屋根をどのようにかけるかで、い

くつかの形式が見られる。E・F形式は、E2を除き正 面に角柱を立て、身舎の桁を延ばして一体的にかけてお り、構造形式としては、身舎と正面の縁が主体部を構成 するため、梁行よりも桁行が1間大きくなる。階隠をも つH形式では、階隠の柱が身舎の桁を受けており、階隠 の構造的な強化が図られている。A・C・D形式で階隠 と正面縁の側面に柱間装置を入れるのは、独立した階隠 の耐風対策とともに、構造的な強化をはかるためでも あったと考えられる。

 年代的には、近世に溯るものが26件、戦前が64件、戦 後が28件で、戦後の物件でも伝統形式を残すものもあ る。またA~F形式は江戸後期頃までの物件を確認でき るが、G・H形式はほぼ近代以降の物件である。主とし て外観からの調査のため、特徴的な意匠をもたなけれ ば、年代の判定材料が部材の風蝕のみという物件も少な くない。本殿内部に棟札を残す事例も少なからずあり、

詳細な年代の追究には内部の調査が必要である。

他の形式の社殿  先述したような、いわゆる大社造以 外の形式の社殿にも興味深い特徴をもつものがある。形 式的には流造や隅木入春日造等の本殿でも、身舎梁行が 2間で、桁行の背面のみを2間とした形式がある。すな わち柱配置では、G1やF1と同じものがあるのである(流 造で各2件、5件)。さらに1間社では、柱配置はE3やF2 と同じとなるものがある(流造で各5件、6件)。

 正面に幣殿を設けて、本殿正面と接続させるものが多 いが、正面の軒先が低くなるため、小規模な本殿を中心 に基壇を高める場合がある。また、やはり正面の縁や木 階を室内に取り込んで一体的に利用するものが多い。

まとめ  この調査を通じて、市民にとってもっとも身 近な神社の本殿が、出雲大社の本殿やその境内社など形 式を受け継ぎつつ、また流造にも影響を与えるなどしな がら、さらに近代の変容を経て現在の姿になっている様 相の一端をつかむことができた。これは出雲市に限られ た事象ではないと想像され、身近な神社本殿を調べるこ とで、その地域の神社建築の変容の様相などをあきらか にできる発展性を秘めている。2017年度は以上の成果を 報告書にまとめる予定である。  (箱崎和久)

1) 川上貢「島根県の近世社寺建築」『島根県近世社寺建築緊 急調査報告書』島根県教育委員会、1980。

2) 奈文研『出雲大社境外社建造物調査報告』2009。

出雲市内神社本殿の特徴

-出雲市内神社調査の成果から-

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Ⅰ 研究報告 桁行 2 間、梁行 2 間

階隠あり(別棟・独立)階隠あり(別棟・主体部と連続)階隠なし 主体部の桁を前方に延ばす

その他の形式:11 件

H3 形式の近世の1件 は 1842 年建立 近世の1件は当初 D3 形式から近代以後の 改修

主体部の桁 階隠の桁

(弊殿が木階を覆う)階隠なし

桁行 2 間、梁行 2 間、正面 1 間 桁行 1 間、梁行 1 間

図29 いわゆる大社造の形式分類平面模式図(内部の数字は今回の調査で確認した件数。( )内はそのうち近世の件数)

参照

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