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気体を実感するための実験教材開発 粒子概念の形成を目指して

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Academic year: 2022

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研究論文

1 はじめに

気体を実感するための実験教材開発 粒子概念の形成を目指して

星野由雅(長崎大学大学院教育学研究科)

森内秀学(長崎大学教育学部附属小学校)

気体は,空気に代表されるように目に見えないもの,つまり無色のものが多く,また人 聞は 1気圧(1013.15hPa)下で日常生活を送っているため,大気圧に慣れてしまい,空気 を実感することが乏しい。現行の小学校学習指導要領解説理科編1)によれは,小学校第4 学年の「空気と水の性質」と「金属,水,空気と温度」に関する単元において,閉じ込め た空気にカを加えた際の体積や圧(お)し返す力の変化を調べること及び空気を温めたり 冷やしたりして,体積の変化や温まり方について調べることを通して,空気の性質につい て考えをもつことができるよう図ることが小学校の理科学習に求められている。また,中 学校第 1学年の「力と圧力」, 「物質のすがた」及び「状態変化」に関する単元において,

大気圧の実験を行い,その結果を空気の重さと関連付けてとらえさせること,気体の発生 や捕集などの実験を通して気体の種類による特性を見いださせること及び水が温度によっ て水蒸気に変化する状態変化を粒子のモデルと関連付けて理解させることが求められてい る汽このように,小学校段階では粒子モデルによる現象の仕組みの理解までは求めていな いが,中学校段階では粒子モデル,すなわち気体分子の運動によって状態が変化すること の理解を求めている。したがって,中学校段階で粒子モデルによる気体の関わる現象の理 解を図るためには,小学校段階で,少なくとも 粒子の存在 までは意識させ,理解させ

ておく必要がある。

ところで,理科の学習指導要領解説13)には,内容を4つの柱, 「エネルギー」 「粒子」

「生命」 「地球」で構成した表が例示されている。 「粒子」では, 「粒子の存在』 「粒子 の結合」 「粒子の保存性」 「粒子のもつエネルギー」の4つに学習内容の項目が分類され ている。この分類は系統性を重視した分類であり,細かい点にまでは関連を例示していな い。例えば,小学校第 3学年では「風やゴムの働き」は, 「エネルギー』領域の『エネル ギーの見方」に位置づけられている。しかし,風は空気の流れであり, 風の働

f

によ り帆を張った模型の車や船が動くのは, 気体分子 が帆に衝突するからである。この現 象はまさに 粒子の存在 を示している。そして,この気体分子である粒子の存在は中学 校においては, 大気圧 に繋がってくる。この圧力については,学習指導要領解説では 中学校第 1学年で,やはり「エネルギーの見方」に位置づけられているが, 「粒子の存在」

さらに「粒子のもつエネルギー」にも位置づけられる。このように学習内容を新たな視点 から見直した構成表の例を表1,表2及び表3に示す。これらの構成表を活用すると,小 学校,中学校,さらに高等学校での学習内容を系統的かっ備隊的に見ることができ,子ど

(2)

もたちが今後進んでいく上位校での学びを見通した効果的な学習指導を行うことができるロ さて,学習内容の系統性や僻敵的な見方ができたとしても,子どもたちが教師の意図す る学びを習得できなければ,意味はない。特に,粒子概念形成過程での大きな課題は,粒 子が普段は 見えない存在 だからである。そこで,本研究では子どもたちが気体の存在 を実感,すなわち 見える存在 として捉えられる実験教材を開発し,その効果について 検討したので報告する。

表 1 粒子概念形成のための系統性を考慮した学習内容構成表(小学校)

校 学 粒子の存在 粒子の結合 粒子の保存性 粒子の持つ

種 年

エネルギー

 

物と重さ

1風やゴムの働き ・形と重さ

1・鳳の働き ・体積と重さ

年に−−−−−−−−・

第 空 気 と 水 の 性 質 金属、水、空気と温度

4 ・空気の圧縮 ・温度による体積変化

学 ・ 水 の 圧 縮 ・温まり方の遣い

(体積変化と圧力〕 ・水の三態変化

学 第

I

EEEE方−−−園、

物の溶け方

校 5 1・溶解度(限度量) −溶解度(限度量)

1・溶ける量の変化 ・溶ける量の変化

・重さの保存 ・重さの保存

1・溶質の取り出し

, 

.溶質の取り出し

、 』 ー ー ー ー ー ー ー ー , 、

燃焼の仕組み 水溶液の性質

・物(有機物)の燃焼 ・酸性、中性、アルカリ性

・酸素の消費と ・気体が溶けた水溶液

二酸化炭素の発生 ・金属を溶かす水溶液

※破線で固まれた単元が新たな位置づけ 2 教材開発

2‑1  空気の圧縮に関する教材開発

小学校第4学年で扱う空気の圧縮に関するこれまでの代表的な教材は,筒に空気を入れ,

先端を閉じた状態で筒に挿したピストンを押すことによって,空気の体積が減少するとと もに子どもたちは空気が圧し返す 手応え を感じるものである。この教材によれば,子 どもたちは,筒を縦に置いてピストンを押すことによりピストンが下がることを視覚的に 認識するとともに,押しているピストンを通じて空気の圧し返す手応えを触覚的に認識す る。しかし,空気そのものは見えていないため,視覚的な認識は触覚的な認識に比べて高 くない。そこで,本研究では空気を圧縮すると空気の体積が減少することを視覚的に認知 できる教材を開発することとした。視覚的な認識力を高める目的で,対比の実験教材も考 案した。教科書4)に記載がある筒とピストンを用いてもよいが,ここではディスポーザブル 型の注射筒にスポンジを入れたものと,発泡スチロールあるいはポリワレタンを入れたも

(3)

2

粒 子 概 念 形 成 の た め の 系 統 性 を 考 慮 し た 学 習 内 容 構 成 表 ( 中 学 校 )

校 学 粒 子 の 存 在 粒 子 の 結 合 粒 子 の 保 存 性 粒 子 の 持 つ

種 年 エネルギー

物質のすがた 状態変化

・身の回りの物質とその性質 水溶液 ・状態変化と熱〔粒子運動)

(無機物、有機物、プラスチツヴ) ・物質の溶解 ・体積変化と質量の比較

・気体の発生と性質 (均一性と透明性) ・物質の融点、沸点

f

i ; J i

五ーーーー−−. ・溶解度と再結品 「五 i;Ji五ーーーー-~.

•圧力(気圧と水圧) ~

l

物質の成り立ち 化学変化

・化合

第 | 物 質 の 分 解 .酸化と還元(酸素との化合)

2

l .

原子・分子 ・化学変化と熱(発熱、吸熱反応)

|  l化学変化と物質の質量

|  |・化学変化と質量の保存

−質量変化の規則性 水溶液とイオン

・水溶液の電気伝導性 酸・アルカリとイオン

・原子の成り立ちとイオン ・酸・アルカリ(指標pH、指示薬)

・化学変化と電池 ・中和の意味(塩と水の生成)

:  r

科学技術の発展

自然環境の保全と 科学技術の利用

※ 破 線 で 固 ま れ た 単 元 が 新 た な 位 置 づ け

3 粒 子 概 念 形 成 の た め の 系 統 性 を 考 慮 し た 学 習 内 容 構 成 表 ( 高 等 学 校 )

粒 子 の 存 在 粒 子 の 結 合 粒 子 の 保 存 性 粒 子 の 持 つ

種 エネルギー

化 学 基 礎 化学と人間生活とのかかわり

・人間生活の中の化学(金属、プラスチッヲの例とその性質)

−化学とその役割〔洗剤、食品添加物、アスコルピン酸など使用 量と効果・危険性)

物質の構成粒子 物質と化学結合 物質の探求

・原子の構造 ・イオンとイオン結合 ・単体・化合物・混合物(元素の確認、

−電子配置と周期表 −金属と金属結合 炎色反応)

・最外殻電子数と性質 −分子と共有結合 −熱運動と物質の三態(粒子の熱運動〕

物質量と化学反応式

−物質量(粒手数、質量、気体の体積)

−化学反応式

化学反応

・酸・塩基と中和(pH,水素イオン遺産、

水の電離)

−酸化と還元(電子授受、漂白剤、電池、

金属のイオン化傾向、代表的な酸化 剤と還元剤など)

の を 教 材 と し た 。 注 射 筒 に ス ポ ン ジ を 入 れ , ピ ス ト ン で 押 し て も , ス ポ ン ジ の 中 に 空 気 が

(4)

自由に出入りできるため,スポンジ自体の体積は変化しない。一方,発泡スチロールある いはポリウレタンの場合は,ポリスチレンあるいはポリウレタンの泡の中に空気が閉じ込 められているので,発泡スチロールあるいはポリウレタンの外側の空気を圧縮すると図1 のように発泡スチロールあるいはポリウレタンの体積も小さくなる。これにより,子ども たちは空気を圧縮すると体積が減少することを視覚的にも認識することができる。

E

図 1 発泡ポリウレタンを注射筒に入れ,ピストンを押して圧縮している様子

これを模式的に表したものが図2である。空気が閉じ込められたポリウレタンに気体分 子が四方八方から衝突することで,ポリウレタン全体の体積が小さくなる。中学校の圧力 の学習において,ともすると生徒は空気や水が及ぼす圧力は,力を加えた方向にだけ働く

と誤った理解をしていることがある。これは,粒子概念がしっかり身についていないこと によると考えられる。小学校段階で,この例のように空気を押し縮めるとポリウレタン全 体の体積が小さくなるという実験・観察を行っておくことで,中学校段階で、の誤った理解

を防ぐことが可能となる。

なお,授業においては空気と水の圧し縮められ方の違いを知るために,注射筒に水と豆 腐の切れ端を入れた実験も行うと良い。豆腐を押し縮めようとピストンに力を入れても,

豆腐の体積は変化しない(潰れない)。これは,水を押し縮めることがほとんどできない からであり,児童にはこの実験を通して,水で満たされたパック詰めの豆腐が積み重ねら れていても,立腐の形が崩れない理由を考えさせる契機になる。

ー ー ー + 〉

二|ノノノノ//

A

EE BE AT EE

− 

aEEI

A

EE EE

EEI 

AT EE

− 

AEEl

図 2 四方八方からの気体分子の衝突によりポリウレタン全体の体積が小さくなる様子

(5)

2‑2 空気の温度変化に伴う体積変化をダイナミックに表す教材開発

小学校第 4学年の「金属,水,空気と温度」の単元(教科書では例えば「ものの温度と 体積」)で空気の温度変化に伴う体積変化を観察するために,教科書あるいは「小学校理 科の観察,実験の手引き」で紹介されている教材は,試験管やベットボトルに空気を入れ ておき,その口の部分に石鹸膜を張り,試験管やベットボトル本体を湯や氷水に浸し空気 の体積変化を石鹸膜の凹凸の様子から知るもの,あるいは空気を入れた試験管に水を少し だけいれたゴム栓付のガラス管を差し,ガラス管内の水の動きで体積変化を知るものなど がある。しかし,いずれも変化量はわずかであり,実験・観察後に子どもたちの記憶に留 まる印象も薄いと思われる。

そこで,空気の温度変化に伴う体積変化をよりダイナミックに表し,子どもたちの記憶 に留め,後の学習にも生きる教材を考案し,開発することにした。開発した教材は,空き 缶 2つを繋ぎその先にゴム手袋を装着し,空き缶を温めることで中の空気が膨張して手袋 を膨らませるもので,空気の体積変化を視覚的にダイナミックに確認できる。また,この 教材は小学校第 4学年の児童が複数名で協力して作製することが可能であり,後の関連す る内容を学習する際に,児童自身が作製したことで記憶に残り,学習内容を振り返るきっ かけともなる。この教材は,手袋が膨らんだ際に顔が現れるようになっており, 『ハロー 君』という名前を付けた。以下に, 『ハロー君』を作製するための準備物と手順を記す。

2‑2‑1  『ハロー君』の作製準備物

準備物は,ゴム手袋以外は容易に入手可能なものである。ゴム手袋は,ホームセンター あるいは学校に出入りする教材販売業者から購入できる。

(ハロー君 1セット用)

・アルミニウム製空き缶(容量:約500mL,同サイズのもの) 2個

・ピニールテープ 1巻

・はさみ 1挺

・千枚どうし(錐)あるいは釘 l本

・金槌 l本

・ゴム手袋(サイズXS) l枚

・マジック(黒など) l本

(実験用)

・加熱器具(ガスバーナー,アルコールランプ,カセットコンロなど) l台

・三脚(必要に応じて) l台

・セラミック付金網(必要に応じて) l枚

・スタンド l台

・ムッフ付クランプ l個

・軍手(児童用) l組

2‑2‑2  『ハロー君』の作製手順

『ノ、ロー君』の作製手順を写真とともに以下に記す。

①  同じ容量の空き缶を2個用意する。

(6)

②  1個の空き缶の底に錐(千枚通し,釘)と金槌を使って穴を開ける(図3)。

③  空き缶の飲み口同士を合わせてビニールテープで、しっかり繋ぐ(図 4)。

④ XSサイズのゴム手袋にマジックで顔を描く。

⑤  穴を開けた底の方にゴム手袋をはめてできあがり(図5)。

図3 錐と金槌で空き缶の底に穴を 開けている様子

図5 ゴム手袋をかぶせて完成した

『ノ、ロー君』

2‑2‑3  『ハロー君』を使った実験方法

図4 ビニールテープで、2つの空き缶を繋 いでいる様子

図6 加熱をして膨らんだ状態の『ハロ 一君』

(7)

『ノ、ロー君』を使った実験方法は,安全に留意しながら次のように行う。

①  『ハロー君』をスタンドに固定したクランプで挟んで固定する。ハロー君を掴むこと のできるクランプがない場合は,セラミック付金網に載せる。

②  金網を通してガスパーナーあるいはアルコールランプで加熱する。この時,炎の強さ に注意する。あまり強い炎にすると空き缶の塗料が焦げて異臭を発するロ

③加熱を始めると徐々にゴム手袋が膨らみハロー君の顔が現れるが,加熱を始めたら子 どもたちには缶を置接手で触らないよう指導しておく。もし,何らかの理由で缶に触れ る必要がある場合は,軍手をしてから上の缶に触るように指導する。

④加熱を始めて数分以上経っても,ハロー君の顔が最後まで膨らまない場合は,繋ぎ目 のところから空気が漏れている可能性がある。時間があれば−Ji加熱を止め,常温に戻 ってから繋ぎ目をはずして,もう一度隙間のできないように繋ぎなおしてから実験を行

うと良い。

⑤加熱により顔が明瞭に現れたら(図6),暫くしてから加熱を止め,常温に戻ってか らハロー君をクランプからはずす,あるいは三脚に載せた金網から実験台におろす。

3 授業実践

3‑1  対象及び実践日

長崎県下の小学校l校の第4学年の1クラス(男子14名,女子15名,計29名)を対象 にした。授業は, 2013年9月26日に 1授業時間(45分)の実践を行った。

3‑2 授業実践の目的

今回の授業実践では,空気の温度変化に伴う体積変化を実験・観察する授業に用いる教 材として『ハロー君』が適切かどうかを調べることを目的とした。そのため,授業後に児 童に教材としての適切さに関する質問紙調査を行った。

3‑3 授業実践の内容

児童は,前時までの学習で金属球を温めると体積が大きくなり,それまで通過していた 金属の輸を通過できなくなることや空気を入れた試験管の口に石鹸膜を張り,試験管の本 体を温めたり冷やしたりすると石鹸膜が膨らんだりへこむ様子の観察から,ものは温めた

り冷やしたりすると体積が変化することを学んでいる。

授業の冒頭には,空き缶を提示し,この倍をへこませるにはどうしたらよいかを問いか け,飲み口のついたキャップを空き缶の口にはめて,児童からの「中の空気を吸うと良い。」

という答えを実践し,実際に空き缶をへこませた。次に, 『ハロー君』を取り出し, 「で は,この空き缶の中の空気の体積を大きくするにはどうしたらよいでしょうか?」と問い かけた。児童は,これまでの学習から温めると良い,という回答を容易に導き出した。そ こで,実際に確かめてみよう,ということで, 『ハロ}君』をビーカーに入れた湯の中に 浸けた。しかし, 『ハロ}君』は顔の部分のゴム手袋は,少ししか膨らまずはっきりと顔 を見ることはできなかった。では,どうしたらよいかをもう一度児童に問いかけ, 「もっ

(8)

と温めると良いのではないか。アルコールランプを使うと良い。」という回答を導き出し,

実際に班毎に『ハロー君』を作製し,アルコールランプで温めると缶の中の空気の体積が 大きくなるかを実験で確かめてみることにした。

2‑2‑2の作製手順を示し,班毎(3人/班)に材料を渡して『ハロー君』を作製した。

その後,実験上の注意点を説明したあと,班毎に『ハロー君』をアルコールランプで加熱 し,ゴム手袋が膨らんで『ハロー君』の顔が現れるかどうかを確認した。

2つの班を除いて,残り 7つの班は『ハロー君』の顔が現れた。アルコールランプで加熱 することでゴム手袋が膨らんだ、現象について,その理由を各班で考えさせ発表させた。す ると「温めることで中の空気がふくらんで,手ぶくろに空気が入ってきた」と意見を発表 した。最後に『ハロー君』を元気にするポイントを児童に問いかけ, 「かんを高い温度で 温め,中の空気の温度を高くするとよい。」という発表を導き出した(図7)。

図7 児童の意見を書き込んだ板書

3‑4 質問紙調査

授業後に29名の児童に次の内容の質問紙調査を行った。質問の内容と回答数を(

内に,また自由記述の主な内容を示す。

問1.あなたの性別を教えて下さい。 ア 男 (14) イ 女(15)

問2.この「ハロー君」を作り、実験を行なう授業は楽しかったですか?最も良くあてはま るものを一つだけ選んで下さい。

ア とても楽しかった。 (24)  イ 楽しかった。 5)  ウ 少しだけ楽しかった。 ( 0)  コ

二 あまり楽しくなかった。 0)  オ まったく楽しくなかった。 ( 0) 

問3.作った「ハロー君」を使って、 「ハロー君」はふくらみましたか?一つだけ選んで 下さい。

ア 顔がわかるぐらい、しっかりふくらんだ。 (20) 

(9)

イ ふくらみが少なかったけど、顔はわかるぐらいふくらんだ。 ( 3)  ウ ほんの少しだけふくらんだ。顔はよくみえなかった。 ( 6)  エ まったくふくらまなかった。 ( O) 

間4. 「ハロー君」を作って、実験をするときにむずかしかったところは、どこですか?

当てはまるところ、すべてにOをつけて下さい。

ア空き缶にくぎで穴をあけるところ。 ( 1)  イ 二つの空き缶を合わせて、テープでつなぐところ。 ( 9)  ウ 空き缶の頭に「ハロー君」の顔の手袋をかぶせるところ。 (10)  エ 「ハロー君」をあたためて、ふくらませるところ。 (12) 

間5. 「ハロー君」の缶の下をあたためると、どうして「ハロー君」の顔がふくらんだと 思いますか?

ア 缶の中の空気があたためられて、上のほうに行ったから。

イ 缶の中の空気があたためられて、大きくなったから。

ウ 缶の中の空気があたためられて、あばれたから。

( 4)  (25)  ( 0)  エ缶の中に水があって、その水があたためられて水蒸気になったから。 ( 0)  オ そ の ほ か の 理 由 ( )  ( 0)  間6.今日の授業(実験)に対する感想・意見があれば、書いてください。

(主な感想・意見)

・今日の授業は,むずかしいところもあったけど楽しかったです。

・顔が見えるくらいふくらんでほしかったo

・ハロー君を作るのはとても楽しかったし実験もすごく楽しかったけど,軍手は全員分あ ったほうがよかった。

・今日の授業はとってもわかりやすくて楽しかったです。これからも手をあげてがんばり たいです。

「ハロー君」が水でもふくらむかためしてみたい。

.ーから自分たちでやるのがよかった。

・とっても楽しくってもういっかいやりたかった。ほんとうにためになった。

・空気のせいしつが楽しく,くわしく,わかりやすく知れました。

・もうちょっと考える場面(むずかしい方)がよい。

・中の空気がこんな大きくなるんだと思ったo

・ハロー君の顔が見えた時はピックリしたし,おもしろかったです。またやりたいです。

・ハロー君という名前がおもしろかったし,工作をするのも楽しかったし,ふくらんだと ころが作ったかいがあったなと,思った。

4 授業実践からの考察

今回の授業実践の目的は,空気の温度変化に伴う体積変化をダイナミックに表す教材と して『ハロー君』が適切かどうかを調べることである。まず,児童が自分たちで容易に作

(10)

製可能な教材であるかどうかについて検証する。授業後の質問紙調査の中で実験時に児童 がむずかしいと感じた箇所を尋ねた結果, 「イ 二つの空き缶を合わせて、テープでつな ぐところ」を挙げた児童が 9名, 「ワ 空き缶の頭に「ハロー君」の顔の手袋をかぶせる ところ」を挙げた児童が 10名, 「エ 「ハロー君」をあたためて、ふくらませるところ」

を挙げた児童は12名であった。 29名の児童のうち,約3分のlの児童が何らかの点で実験 上の困難さを感じていた。今回の授業において,ハロー君の顔が明確に確認できなかった 班が 2班あったことは,二つの空き缶を合わせて、テープでつなぐところをしっかりと行 えていなかったためである。しかし,残りの 7つの班はハロー君の顔を確認できているこ とから,事前の説明及び机間指導によってこの課題は解決できると考えられる。

次に,実験そのものに対する児童の満足感,充実感についてみてみる。 『「ハロー君」

を作り、実験を行なう授業は楽しかったですか?』という聞に対して, 25名の児童が「とて も楽しかったJ' 4名の児童が「楽しかった』と回答しており,児童の満足感・充実感は高 いものであることがわかる。これは,自由記述にも一部見られるように児童自らが教材を 作製したことが大きく影響していると考えられる。

最後に,学習内容の理解度に関してみてみる。ハロー君の缶をあたためるとハロー君の 顔が膨らんだ理由を問う設聞に対する解答では, 「ア 缶の中の空気があたためられて、

上のほうに行ったから」と回答した児童が 4名, 「イ 缶の中の空気があたためられて、

大きくなったから」と回答した児童が25名であったo このことから,多くの児童が空気の 温度変化に伴う体積変化の現象を正しく理解していることがわかる。自由記述にも, 「わ かりやすかった」という記述が多く見られた。このことは, 『ハロー君』が単に楽しいだ けの教材に留まらず,子どもの学習意欲を喚起するとともに理解面においても高い効果を 示していると言える。

5 まとめと今後の活用

空気の温度変化に伴う体積変化をダイナミックに表す教材として, 『ハロー君』が高い 効果を示す教材であることが授業実践の結果,明らかになったo このハロー君は,本単元 の官頭での利用も想定されるが,むしろ単元の最後で活用することで児童の学習面での理 解により高い効果を発揮すると考えられる。また,ハロー君はクランプで固定すれば,告 を真横あるいは顔の部分を少し下向きにセットして加熱することもできる。このことで,

「缶を温めて,中の空気も温められ,その温かくなった空気が上に行ったから手袋がふく らんだのではないか。 Jと考える児童への反証となる実験を行うことができる。さらに,

中学校においては,大気圧を実感する実験教材としても応用が可能である。 2つの缶を繋 いだ後,手袋をかぶせる代わりに缶の中に少量の水を入れ,缶を加熱して缶の中を水蒸気 で満たし,穴をビニールテープで塞ぎ直ちに水道水で缶を冷却する。すると,水蒸気が一 気に液体の水となり大気圧に耐えられなくなり缶が大きな音を立ててへこむ現象が確認で きる。 『ハロー君』は,このように2つの空き缶を繋げただけの教材であるが,簡単な作 りであるがゆえに子どもたちでも作製が可能であり,教材としての高い有用性を有してい る。

(11)

参考文献

1)小学校学習指導要領解説理科編,文部科学省,大日本図書(2008). 2)  中学校学習指導要領解説理科編,文部科学省,大日本図書(2008). 3)高学校学習指導要領解説理科編,文部科学省,実教出版(2009). 4) 新 版 た の し い 理 科 4年,有馬朗人他,大日本図書(2014年検定済).

参照

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