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目次

目 次

序章 環境問題としてのレジ袋

... 1

1 本論文の研究目的... 1

2 本論文の視点... 2

3 なぜレジ袋なのか... 4

4 本論文の構成... 7

1

章 大量廃棄社会の現状

... 13

はじめに... 13

1 使い捨て社会の構造... 14

1.1 分断型社会システム... 14

1.2 静脈経済のメカニズム... 17

1.3 機会費用の低下... 18

2 廃棄物処理の現状... 19

2.1 廃棄物の全体像... 19

2.2 一般廃棄物... 20

2.3 産業廃棄物... 25

3 リサイクル関連法の制定... 28

3.1 容器包装リサイクル法... 30

3.2 リサイクルの効率性... 31

3.3 リデュース(発生抑制)政策の実施困難性... 33

4 廃棄物処理の費用負担... 35

4.1 税金による費用負担... 35

4.2 公共負担からごみ有料化へ... 37

おわりに... 39

2

章 レジ袋問題のメカニズム

... 41

はじめに... 41

1 わが国におけるレジ袋の現状... 42

1.1 レジ袋のライフサイクル... 42

1.2 供給面... 43

1.3 廃棄面... 45

2 政策対象としてのレジ袋... 48

2.1 なぜレジ袋が政策のターゲットになったのか... 48

2.2 上がらないマイバッグ持参率... 50

(2)

目次

3 レジ袋問題と外部性... 53

3.1 市場の失敗... 53

3.2 外部不経済と外部費用... 54

3.3 レジ袋の無料配布と有料化... 57

4 外部性の内部化... 59

4.1 レジ袋の社会的最適排出削減量... 59

4.2 直接規制... 62

4.3 ピグー税とピグー補助金... 63

4.4 次善のレジ袋削減政策... 65

おわりに... 67

3

章 レジ袋削減政策手法の選択問題

... 69

はじめに... 69

1 世界各国の取り組み状況と政策手法の類型化... 70

1.1 欧州... 70

1.2 アフリカ... 73

1.3 アジア... 74

1.4 北アメリカ... 75

2 レジ袋削減政策の公共選択分析... 80

2.1 公共選択論アプローチ... 80

2.2 公共選択分析の基本モデル... 81

2.3 レジ袋削減政策手法における各経済主体の利害得失... 83

2.4 各経済主体の選好順序... 91

3 経済的手法の短所とその補完方法... 94

3.1 課税... 95

3.2 有料化... 96

3.3 キャッシュバック... 97

おわりに... 98

4

章 アイルランドのレジ袋税

... 99

はじめに... 99

1 レジ袋税政策の意義... 100

1.1 「ごみ」の定義と削減政策... 100

1.2 リデュース政策としての位置づけ... 101

2 背景... 102

2.1 アイルランドの地理的条件... 102

2.2 都市ごみの増加と埋立て処分からの脱却... 103

(3)

目次

3 政策形成過程... 106

3.1 レジ袋税導入までの経緯... 106

3.2 税額の決定... 107

3.3 小売業界からの反応... 108

4 レジ袋税の実施(20023月) ... 110

4.1 実施上の詳細規定... 110

4.2 歳入委員会(Revenue Commissioners) ... 111

4.3 検察当局による摘発... 112

4.4 政策の実施コスト... 112

5 政策の効果と影響評価... 113

5.1 政策の効果... 113

5.2 課税の影響... 116

6 税額の引上げ(20077月) ... 118

6.1 リバウンド効果の発生... 118

6.2 都市ごみの増加... 121

6.3 課税効果減少の要因分析... 123

7 考察... 126

おわりに... 127

5

章 韓国の一回用品使用制限規制

... 128

はじめに... 128

1 日台韓3ヵ国の環境行政比較... 130

2 韓国の廃棄物管理政策... 133

2.1 背景... 133

2.2 廃棄物管理政策の段階的発展... 134

3 韓国の廃棄物処理およびリサイクルの現状... 136

3.1 廃棄物の全体像... 136

3.2 「従量制ごみ有料化制度(Volume Based Waste Fee System)... 139

3.3 「生産者責任リサイクル制度(EPR system)」... 143

4 一回用品使用制限規制の実施... 145

4.1 法的根拠... 145

4.2 規制内容および例外規定... 146

4.3 罰則... 148

4.4 環境NGOの政策関与... 148

5 政策効果および評価... 150

5.1 効果... 150

5.2 評価... 151

(4)

目次

おわりに... 153

6

章 台湾の使い捨てプラスチック製品規制

... 155

はじめに... 155

1 台湾のライフスタイルとレジ袋... 156

2 台湾の廃棄物処理およびリサイクルの現状... 157

2.1 廃棄物の全体像... 157

2.2 「廃棄物ゼロ政策(Zero Waste Policy)」... 159

2.3 家庭ごみの処理とリサイクルの取り組み... 161

3 使い捨てプラスチック製品規制の実施... 165

3.1 法的根拠... 165

3.2 レジ袋の使用制限内容... 166

3.3 段階的実施... 168

3.4 罰則... 169

3.5 事業者に対する側面的支援... 170

4 政策効果および評価... 170

4.1 効果... 170

4.2 評価... 172

おわりに... 176

7

章 オーストラリアの自主的取り組み

... 179

はじめに... 179

1 自発的アプローチ... 180

1.1 定義と概要... 180

1.2 自発的アプローチのインセンティブ... 182

2 オーストラリアにおけるレジ袋の使用状況... 187

2.1 レジ袋の消費量... 187

2.2 レジ袋のポイ捨て状況... 190

3 レジ袋削減自主行動規制の概要... 192

3.1 これまでの経緯... 192

3.2 自主行動規制の合意内容... 193

4 政策効果および評価... 194

4.1 レジ袋の削減効果... 194

4.2 グループ2の参加率の低迷理由... 196

4.3 部門別の行動結果... 197

4.4 店舗におけるレジ(会計)係の対応... 200

5 考察... 202

(5)

目次

5.1 強制的アプローチへの移行... 202

5.2 自発的アプローチの引き延ばし... 203

おわりに... 206

8

章 欧州および日本の自主協定

... 209

はじめに... 209

1 ポリシーミックス・アプローチ... 210

1.1 背景... 210

1.2 定義... 211

1.3 レジ袋削減政策のポリシーミックスモデル... 212

2 自主協定... 213

2.1 定義と特徴... 213

2.2 日本発の政策手法... 214

2.3 EU各国での広がり... 214

3 日本のレジ袋削減自主協定... 218

3.1 レジ袋削減手法の分類... 218

3.2 レジ袋削減政策の実施状況... 220

3.3 自主協定の補完的機能... 226

3.4 ポリシーミックスの階層性... 228

4 自主協定締結の要因分析... 230

4.1 概要... 230

4.2 要因分析... 231

4.3 小括... 243

5 事業者から見た自主協定のインセンティブ... 246

5.1 地域環境CSR ... 247

5.2 レジ袋にかかるコストの削減... 248

5.3 情報発信の手段... 250

5.4 政策形成への関与... 251

おわりに... 252

9

章 日本の先進自治体の取り組み

... 254

はじめに... 255

1 杉並区の廃棄物問題の経験... 256

1.1 東京ごみ戦争... 256

1.2 「杉並病」問題の発生から杉並中継所の廃止へ... 261

2 レジ袋税の制度的背景... 266

2.1 地方独自課税制度の創設... 266

(6)

目次

2.2 地方環境税導入の背景... 269

3 レジ袋税の政策形成プロセス... 271

3.1 レジ袋税の導入過程... 271

3.2 新税の検討... 272

3.3 議会での審議経過... 274

3.4 レジ袋税条例成立のポイント... 276

3.5 レジ袋税条例のその後... 277

4 税方式から有料化への転換... 281

4.1 レジ袋税条例制定後の動き... 281

4.2 改正容器包装リサイクル法の成立... 282

4.3 レジ袋有料化の問題点... 282

4.4 地域自主協定の締結... 285

5 レジ袋有料化の削減効果... 287

5.1 レジ袋削減率と売上げへの影響... 287

5.2 事業者の政策コスト負担... 289

5.3 リーケージ(leakage)問題... 290

6 レジ袋有料化等推進条例... 291

6.1 条例によるレジ袋有料化推進の意義... 291

6.2 有料化実施店舗の拡大... 292

6.3 フリーライダー問題... 295

おわりに... 296

10

章 環境政策の動態化

... 298

はじめに... 299

1 ケーススタディのまとめ... 300

1.1 政策導入の背景... 300

1.2 政策手法および効果... 301

2 自主協定による分配問題の緩和... 303

2.1 経済的手法の有効性と実施困難性... 303

2.2 協定の社会化... 306

3 環境政策手法の動的相互作用... 310

3.1 課税手法の検討... 310

3.2 環境政策手法の相互依存性... 312

むすび... 314

参考文献

... 317

(7)

目次

図表1-1 分断型社会システム... 16

図表1-2 動脈経済と静脈経済... 18

図表1-3 廃棄物の区分... 20

図表1-4 廃棄物等の発生量内訳(2007年度) ... 21

図表1-5 ごみの総排出量と11日当たり排出量の推移... 22

図表1-6 11日当たりごみ排出量と1人当たりGDPの推移... 22

図表1-7 リサイクル率と最終処分量の推移(一般廃棄物) ... 24

図表1-8 最終処分場の残余容量および残余年数の推移(一般廃棄物) ... 24

図表1-9 産業廃棄物排出量の推移... 25

図表1-10 リサイクル率の推移(産業廃棄物)... 26

図表1-11 最終処分場の残余容量および残余年数の推移(産業廃棄物)... 27

図表1-12 循環型社会形成推進のための施策体系... 28

(8)

目次

図表1-13 家庭ごみ全体に占める容器包装廃棄物の割合... 30

図表1-14 リサイクルの効率性... 32

図表1-15 リサイクルとリデュースの経済への影響... 34

図表1-16 ごみ処理サービスの外部便益と過小供給... 36

図表1-17 ごみ処理事業経費の推移... 37

図表1-18 ごみ有料化実施自治体数の推移... 37

図表2-1 レジ袋のライフサイクル... 43

図表2-2 国内で流通している平均的なレジ袋のサイズ... 43

図表2-3 レジ袋およびポリエチレン製袋の国内供給量... 44

図表2-4 ポリエチレン袋の輸入先割合... 45

図表2-5 京都市の家庭ごみに含まれるレジ袋... 46

図表2-6 家庭ごみ全体に占める容器包装廃棄物の割合(図表1-13再掲)... 46

図表2-7 容器包装ごみ分別収集集計見込(2008~12年度) ... 47

図表2-8 一般商品の需要と供給... 49

図表2-9 レジ袋の外部性による市場の失敗... 56

図表2-10 レジ袋有料化の効果... 57

図表2-11 レジ袋の外部費用と排出削減費用... 60

図表2-12 レジ袋の社会的最適排出削減量... 61

図表2-13 レジ袋削減政策の3政策手法の費用効率性比較(ファーストベスト) ... 63

図表2-14 直接規制とボーモル=オーツ税の費用効率性比較(セカンドベスト)... 66

図表3-1 欧州におけるレジ袋削減政策実施国... 71

図表3-2 アフリカにおけるレジ袋削減政策実施国... 73

図表3-3 アジアにおけるレジ袋削減政策実施国... 74

図表3-4 アメリカ合衆国におけるレジ袋削減政策を実施している州(市を含む) ... 75

図表3-5 世界のレジ袋削減政策実施状況(2010年現在) ... 77

図表3-6 社会的純便益の最大化... 82

図表3-7 課税と補助金および直接規制の等価定理... 83

図表3-8 各削減政策手法の定義... 84

図表3-9 課税および有料化手法の利害得失... 85

図表3-10 キャッシュバック方式の利害得失... 85

図表3-11 厚さ規制の利害得失... 87

図表3-12 所得効果による影響の相違... 89

図表3-13 スタンプカード(ポイント付与)方式の利害得失... 90

図表3-14 有料化と特典提供(ポイント付与)方式との政策効果比較... 90

図表3-15 事業者と消費者の選好順序(CBの原資負担の異なるケース) ... 92

図表3-16 政府および環境被害者の選好順序... 94

図表3-17 3手法の短所と補完手法... 95

(9)

目次

図表3-18 レジ袋代金の2重取り構造... 96

図表4-1 ごみ処理フローの概念図... 101

図表4-2 アイルランドの経済成長率の推移... 103

図表4-3 アイルランドの都市ごみ発生量の推移... 103

図表4-4 家庭ごみの埋立てリサイクル比率... 104

図表4-5 包装廃棄物の埋立てリサイクル比率... 105

図表4-6 包装廃棄物リサイクル率の推移... 106

図表4-7 レジ袋に対する支払意思額(WTP) ... 107

図表4-8 レジ袋税の適用除外項目... 110

図表4-9 1人当たり年間レジ袋使用量... 113

図表4-10 レジ袋税収と徴税コストの推移... 113

図表4-11 小売業者へのアンケート結果... 115

図表4-12 レジ袋税に対する各戸意識調査... 116

図表4-13 アイルランドのポイ捨てごみ構成比(2008年) ... 118

図表4-14 レジ袋需要の推移... 119

図表4-15 アイルランドの年間ポイ捨てごみ排出量に占めるレジ袋排出割合... 119

図表4-16 環境中のレジ袋残存量... 120

図表4-17 アイルランドの都市ごみ発生量の推移... 121

図表4-18 年間1人当たりの都市ごみ発生量... 121

図表4-19 アイルランドの包装廃棄物リサイクル率と目標値... 122

図表4-20 包装廃棄物の埋立て量とリサイクル量の比較... 123

図表4-21 包装廃棄物全体に占めるプラスチック類の埋立て処分割合... 123

図表4-22 アイルランドのGDPデフレーター... 124

図表4-23 レジ袋税額15セントの実質価値(2002年価格基準)... 124

図表4-24 小売販売指数... 125

図表5-1 日台韓の環境行政組織および予算規模と基本法令等の比較... 131

図表5-2 韓国の最終処分場数および残余容量 ... 134

図表5-3 韓国の廃棄物政策の変遷... 135

図表5-4 韓国の廃棄物の区分... 136

図表5-5 韓国の廃棄物排出量内訳(2008年) ... 137

図表5-6 韓国の廃棄物排出量の推移... 138

図表5-7 韓国の生活廃棄物の排出量と11日当たりごみ排出量の推移... 138

図表5-8 一般廃棄物の処理別割合(19901994)... 140

図表5-9 一般(生活)廃棄物の処分別処理量の推移... 144

図表5-10 一般廃棄物の各処分比率... 144

図表5-11 一回用品使用規制対象および例外規制... 146

図表5-12 一回用品削減のための協定内容... 149

(10)

目次

図表6-1 台湾の廃棄物区分... 158

図表6-2 台湾の廃棄物排出量内訳(2009年) ... 158

図表6-3 台湾の廃棄物排出量の推移... 159

図表6-4 一般廃棄物の処分別割合... 160

図表6-5 台湾の一般廃棄物の排出量と1人1日当たりごみ排出量の推移... 161

図表6-6 一般廃棄物のリサイクル量とリサイクル率の推移... 162

図表6-7 一般廃棄物の処理別処分量の推移... 164

図表6-8 一般廃棄物の各処分割合... 164

図表6-9 厚さ規制と有料化政策のミックス... 168

図表6-10 プラスチック製容器包装類使用制限規制の段階的実施状況... 169

図表6-11 プラスチック産業関連業者に対する側面的支援... 170

図表6-12 レジ袋削減率(2005) ... 171

図表6-13 レジ袋使用制限規制に対する政策意向調査結果... 172

図表6-14 レジ袋需要の真のMNB曲線... 173

図表6-15 都市廃棄物に占める紙類およびプラスチック類の排出量と構成割合... 174

図表6-16 台湾におけるプラスチック業者の経営状況... 175

図表7-1 自主的取り組みの公的関与度... 181

図表7-2 オーストラリアのレジ袋消費量... 188

図表7-3 レジ袋の国内生産量と輸入量... 189

図表7-4 レジ袋の年間平均使用量... 189

図表7-5 レジ袋のポイ捨て状況(平均) ... 191

図表7-6 レジ袋削減目標値と削減結果... 195

図表7-7 部門別レジ袋消費量および変化率の推移... 197

図表7-8 グループ1およびグループ2のレジ袋消費量と前年比変化率... 198

図表7-9 レジカウンター(会計時)での消費者行動... 200

図表7-10 レジ係の対応... 201

図表7-11 イギリスにおけるレジ袋削減の自主的取り組みの経緯... 204

図表8-1 EU各国の自主協定数... 216

図表8-2 EUにおける環境問題別自主協定数... 216

図表8-3 レジ袋削減取り組み手法の分類... 218

図表8-4 レジ袋削減政策実施自治体数 ―都道府県レベル―... 221

図表8-5 レジ袋削減政策実施自治体数 ―市町村レベル―... 221

図表8-6 有料化手法による実施自治体数の推移... 222

図表8-7 全国の市町村数とレジ袋有料化実施状況一覧... 223

図表8-8 レジ袋有料化に伴うマイバッグ持参率(レジ袋辞退率)の推移... 225

図表8-9 地方自治体における有料化実施形態の内訳... 225

図表8-10 レジ袋有料化の売上げに対する影響... 227

(11)

目次

図表8-11 レジ袋を有料化しない理由... 227

図表8-12 ポリシーミックスの階層性... 229

図表8-13 年代別のごみ有料化実施都市数の推移... 231

図表8-14 全国都市のごみ有料化実施率推移... 232

図表8-15 全国市区町村の有料化実施状況(201012月現在) ... 232

図表8-16 都道府県別レジ袋削減自主協定締結の要因に関するデータ... 233

図表8-17 ごみ有料化実施自治体に占めるレジ袋有料化実施自治体の割合... 235

図表8-18 都道府県別「レジ袋有料化実施率」と「ごみ有料化実施率」の相関図... 236

図表8-19 都道府県別「レジ袋有料化実施率」と「生活系ごみ排出量」の相関図... 236

図表8-20 都道府県別「ごみ有料化実施率」と「生活系ごみ排出量」の相関図... 237

図表8-21 都道府県別レジ袋有料化実施率と消費者団体数の散布図... 238

図表8-22 都道府県別レジ袋有料化実施率と環境者団体数の散布図... 238

図表8-23 消費者団体の関心事項別割合... 239

図表8-24 環境団体の活動内容別割合... 240

図表8-25 1990年以降の主な一般廃棄物(中間)処理施設および最終処分場問題... 241

図表8-26 レジ袋有料化先行実施自治体の自主協定の実施手法... 244

図表8-27 事業者のレジ袋排出抑制に対する意識... 249

図表8-28 レジ袋有料化に向けた課題... 250

図表9-1 全国のごみ排出量と11日当たりごみ排出量の推移(1968-1990年度)... 257

図表9-2 杉並清掃工場の建設経過... 258

図表9-3 全国のプラスチックの消費量および排出量の推移(1990-2004年) ... 262

図表9-4 杉並中継所に搬入されたごみの割合(2006年) ... 264

図表9-5 杉並病と杉並中継所をめぐる主な動き... 265

図表9-6 法定外税の状況... 267

図表9-7 現行の地方税の体系... 269

図表9-8 杉並区レジ袋税条例可決までの経緯... 273

図表9-9 杉並区のレジ袋税の概要... 276

図表9-10 レジ袋の削減目標と運動結果(2002.7-2005.7) ... 278

図表9-11 20057月の業態別マイバッグ等持参状況... 278

図表9-12 レジ袋削減運動に関する認知度調査(2004年)... 279

図表9-13 レジ袋の削減目標と運動結果(2002.7-2007.1) ... 281

図表9-14 レジ袋有料化実施に対する反応... 283

図表9-15 地域自主協定の仕組み... 286

図表9-16 レジ袋削減政策のポリシーミックス... 286

図表9-17 レジ袋有料化実験によるマイバッグ等持参率... 287

図表9-18 レジ袋有料化実施前後の比較... 288

図表9-19 客数,客単価及び売上平均の推移... 288

(12)

目次

図表9-20 事業者の費用増減比較... 290

図表9-21 近隣コンビニエンスストアへの影響... 290

図表9-22 杉並区レジ袋有料化等推進条例の概要... 291

図表9-23 条例制定前後の有料化実施店舗数及びマイバッグ... 293

図表9-24 条例対象事業所区分別マイバッグ等持参率... 293

図表9-25 レジ袋年間使用量の業態別割合... 295

図表10-1 ケーススタディで取り上げた世界各国・地域のレジ袋削減政策... 303

図表10-2 強制的アプローチと自発的アプローチの動的相互作用... 311

図表10-3 環境政策選択の視点の違い... 313

(13)

1 本論文の研究目的

序章 環境問題としてのレジ袋

1 本論文の研究目的

現在,私たちの周りでは様々な環境問題が発生している。地球的規模で発生してい る温暖化問題から日常生活に身近な廃棄物問題に至るまで,その範囲やレベルを異に して実に多くの環境問題が山積している。これらの環境問題の解決を図るべく,それ ぞれに応じた環境政策が世界中で実施されているが,それらの環境政策は私たちの社 会にとって望ましいものとなっているのであろうか。果たして選択された政策手法は 社会全体から見て最善のものとなっているのであろうか。

本論文の目的は,望ましい環境政策とはどのようなものかを明らかにすることであ る。とくに,いくつかある環境政策手法の中でどの手法が最も望ましいのかという政 策手法の選択問題に焦点を当てる。ただし,本論文で扱う選択問題は,これまでの環 境政策手法の選択問題とは異なる。環境政策の目的は,私たちにとってより良い社会 を実現するため,現在発生している環境問題を解決し持続可能な社会を構築すること にある。そこでは,これらの理念の実現を図るために具体的な政策手法が選択される ことになるが,現実の選択場面では,理論分析で散見される直接規制と経済的手法と の比較や経済的手法間での優劣が議論されることは少ない。むしろそこでは,政策手 法の優劣だけでなく,各政策主体の利害得失が争点となり,効率性とは異なる次元の 問題である分配問題についても解決していかなければならなくなってきているのであ る。

実際には規制や課税といった“強制的アプローチ”と自主的取り組みや自主協定な どの“自発的アプローチ”の選択が議論されることになり,しかもどちらか1つの手法 が選択されればそれで事足れりという訳ではない。これらのアプローチは相互に作用 し合い,政策手法の変更や揺り戻しを繰り返しながら政策目標の実現を目指すことに なる。また,複数の政策手法を同時に実施するポリシーミックスを形成することもあ る。つまり,最終的な政策目標の達成を目指し,環境政策手法は現実に対応しながら ダイナミックに変化し続けているのである。本論文では,このような仮説に基づいて 社会的に望ましい環境政策のあり方を考察する。

(14)

0 序章 環境問題としてのレジ袋

2 本論文の視点

本論文の視点は

3つある。それは“各政策手法における関係主体の利害得失”,

“分配 問題の緩和”および“環境政策手法の動的相互作用”である。

第1の視点は,それぞれの政策手法によってもたらされる各政策主体(消費者,事業 者,行政)への利害得失を明らかにすることである。現実の政策形成過程では,その政 策決定に直接的に関与する利害関係者の選好が大きな決定要因となる。各主体は,そ の政策が実施された場合に発生する利害得失を判断材料に政策の順位づけを行うので ある。こうした政策決定過程における各主体の選択行動を経済学的にアプローチする 政治経済学は,公共選択論と呼ばれている。

公共選択論が経済学である所以は,市場で行動する主体と同様に,政策決定過程に 関わる利害関係者に自己利益の最大化を図る合理的経済人の仮定を置いているからで ある。レジ袋削減政策の決定過程でも,各主体は自己利益の最大化を図ることになる。

消費者はこれまでどおり便利なレジ袋を無料でもらい続けたいと考えており,それに よって効用の最大化が図られる。また事業者は,当該地域における顧客獲得競争のも と自らの利潤や売上高の最大化を追求することになる。そのためには,顧客サービス の一環であるレジ袋の無料配布をやめるわけにはいかないのである。行政は,自らの 部や課の予算規模や行政管理権限が最大になるように行動し,さらに首長や議員は次 回の選挙でも当選することを最大の目標とするため,その支持率の最大化を図るよう に行動するのである。本論文ではこのような公共選択論アプローチの行動仮説に基づ き,政策の決定プロセスにおける各主体の行動を分析することで,現実の環境政策の 政策形成プロセスに接近していくことを試みる。

第2の視点は,分配問題の緩和について検討することである。近年の環境政策手法の 選択においては,税や排出量取引をはじめとする経済的手法の有効性が注目されてい る。とくに環境税は従来の規制と違い,発生原因者である経済主体の経済計算の中に その外部費用を組み込み,その内部化を図ることを意図している。また,排出量に応 じた形で税負担がなされることから,排出に対する削減インセンティブが働き,その 費用効率性の高さから検討実施が進んでいる。ただし,現実の環境政策を見ると経済 的手法が単独で実施されている例は少ない。経済的手法は産業界や業界団体を中心と する多くの利害関係者の反対を受けやすく,その導入が困難となる場合が多いのであ る。わが国における環境税導入議論においても,経済競争を重視する産業界の反対を 受け,毎年見送りを繰り返しているという状況にある。

実は,経済的手法は効率性(資源配分:allocation)を是正することはできるが,公平(衡 平)性(所得分配:distribution)は政治に任せることを前提としている。したがって,政 策の利害関係者の中に不利益を被る者,それをフェアと考えない者がいる場合には,

政策実施上の合意形成が困難になる。そこには効率性とは異なる次元の分配問題が明

(15)

2 本論文の視点

確に存在しており,これらの解決なくして最適な政策手法を導入することは難しい。

とくに,環境対策に取り組むことが直接的な企業利益につながらなければ,企業から の政策合意を引き出すことはできず,それはとりもなおさず効率的な環境政策の導入 をあきらめることになる。いかに効率的で効果的な政策手法であったとしても,実際 に実施されなければその政策効果は期待するべくもない。このように,政策の実現可 能性の低下はとりもなおさず社会的損失を引き起こし,社会的厚生の最大化を目指す 観点からすればマイナス要因を構成することになる。

これらの事実を前提に,政策の実効性を確保しようとするならば,政策の損失者も 合意できる環境政策を模索する必要があり,必然的に公平(衡平)性についても配慮せ ざるを得ないことが理解できるであろう。また,政策実施のための財源は乏しく,し かも政策の便益が見えにくくなってきている現在の状況では,政策をめぐる利害対立 が顕著になりつつある。このように,政策決定過程では,効率性のみならず分配面お よび政策の受容性といった側面についても配慮が必要となるのである。

第3の視点は,強制的アプローチと自発的アプローチ相互間における環境政策手法の 動的相互作用について考察することである。先述したように,実際の政策選択の場面 では,環境政策の理論的な分析で散見される規制的手法と経済的手法のどちらが効率 的かといった議論はあまり見られず,むしろ政策当局が直面しているのは,自発的ア プローチかあるいは強制的なアプローチかといった両アプローチ間における選択問題 である。

通常,何らかの環境問題が顕在化し,その対策の実施が決定されると,その政策効 果の高さからまず直接規制や課税などの強制的アプローチの導入が検討されることに なる。しかし,とくに課税は事業者をはじめとする産業界からの強い反対に遭い,次 善の策である自発的アプローチに落ち着くことになる。そして,自発的アプローチに よっても思ったほどの政策効果が上がらなかった場合には,当初検討された強制的ア プローチへと段階的に移行していくのである。このように,自発的アプローチは強制 的アプローチへの変更や揺り戻しの可能性を残すことによって,その実効性を担保し 続けると考えられ,両者を対立的なものとしてではなく,常に相互依存的なものとし てとらえることが必要となる。

現実の環境政策を見ると,費用効率性およびその政策効果の観点から経済的手法の 導入を検討したものの,最終的には経済的手法以外の手法が選択されているケースが 多く見られる。それらの多くは,政策に対する合意形成が不十分もしくは未達成であ ったことによるものと考えられる。環境上の理念を実践するために政策が存在すると するならば,政策は実践されてこそはじめてその意味を持つ。いくら政策効果の高い 手法であっても,実践されなければ何ら意味を持たないであろう。本論文では,これ らの観点から導かれる最適な環境政策手法を模索し,実現可能性の高い環境政策のモ デルを提示することを目指す。

この論文では,世界各国で実施されているレジ袋削減政策を通じて,その政策選択

(16)

0 序章 環境問題としてのレジ袋

の記述的理由を首尾一貫した理論に基づいて問うつもりである。なぜレジ袋を削減す る必要があるのか,なぜ規制や課税,自主的取り組みといった政策手法の違いがある のか,製造業や小売業といった産業界は自主的取り組みを選好し,一方で政府が課税 を選好するのはなぜか,また,事業者と行政はなぜ自主協定を締結するのかといった それぞれの疑問を理論的に明らかにしていく。そして,レジ袋と廃棄物全体との関連 性および生産・流通・消費・廃棄の各段階にどの程度政策が影響を及ぼすのか,さら に,その先に見えてくる循環型社会への政策統合とはどのようなものか,これらにつ いてレジ袋を題材に問いたいのである。

現実の政策選択には国や地域固有の文化的・歴史的要因が無視できない影響を及ぼ している。しかし,観察された事象をそれぞれ異なった独立の理由で説明できても学 問的な意味はあまりないと考える。もし国や地域固有の要素を取り除いたならば見え てくるであろう普遍性のある政策選択のメカニズムを探求することにこそ,学問的な 意味があると考える。個別に見るとばらばらに見える取り組みも,理論的・制度的な 観点から考察を加えることで一定のかたちや枠組みが見えてくるであろう。そのフレ ームワークを通じてのみ,持続可能な社会に向けた政策展望を見通すことができると 考えられるのである。レジ袋削減政策を一過性のブームとしてとらえることも可能で ある。しかし,これだけ多くの国・地域でその削減の取り組みが実施されているのに は,それなりの理由が存在すると思われる。本論文では理論的・制度的なフレームワ ークからレジ袋削減政策を分析し,その意義を問いたいのである。

本論文を読み進めるに従って,一見するとレジ袋に限定した幅の狭い研究のように 見える本論文が,実は私たちの日常生活を構成する経済社会システム全体の縮図とな っていることに気づくであろう。本研究はレジ袋を素材として,政府・消費者・企業 といった各経済主体の合理的行動を前提に,生産・流通・消費・廃棄までを含んだ市 場経済メカニズムに影響を及ぼす社会的に望ましい環境政策とは何かを明らかにする 政策研究である。

3 なぜレジ袋なのか

現 在 で は , 政 策 の 個 別 具 体 的 な タ ー ゲ ッ ト は 異 な る も の の 「 持 続 可 能 な 社 会

(sustainable society)」を構築することが環境政策の最終的な目標とされることが多い。

持続可能な社会の実現は,現行のあらゆる環境政策実施上の理念と言っても過言ではな いであろう。これらの理念は単なる言葉ではなく,実践されてこそ意味を持つ。そして この理念の実践こそが環境政策であり,費用と効果の観点から社会的に最善と思われる 政策手法が選択されることが望ましい。

これらの環境政策手法を実証的に観察するためには,分析の対象が明確に定義されか

(17)

3 なぜレジ袋なのか

つ合理的に限定されている必要がある。政策を論じる場合,この対象の限定は重要な意 味を持つ。とくに環境政策を論じる場合には,この定義の枠が失われると議論が収斂せ ず,環境に対する価値論争へと議論が拡散していく恐れがある。そこで,本論文でも分 析上の対象を明確に定義し限定したいと思う。

本論文では,数ある環境政策のなかでもとくに私たちの生活に身近な廃棄物政策を取 りあげる。より具体的には,わが国のみならず今や世界中でその削減の取り組みが実施・

検討されている「レジ袋削減政策」に焦点をあてる。そこでは,環境経済学の立場から レジ袋問題の発生メカニズムを解明し,このレジ袋問題の解決にとってどのような政策 手法が最も望ましいのかという政策選択の問題に取り組んでいく。そして,理論的・制 度的な分析を踏まえた上で,持続可能な社会の構築という観点から望ましい環境政策の あり方について政策的提言を行うことを目的としている。

本論文では,この「レジ袋(plastic shopping bag)」を題材に環境政策の本質に切り込 んでみたいと考えている。しかしながら,なぜ「レジ袋」なのかという疑問が生じるで あろう。そこで,はじめにレジ袋を研究対象に取り上げる意義を明らかにしておきたい と思う。それは以下の

4

つの理由による。

1

に,これまで無料であった財が有料へと変化する際のダイナミクスを観察するこ とができるからである。買い物時に配布されるレジ袋は,商品販売の促進のために消費 者に無料で提供され,その利便性の高さから瞬く間に大量に消費されるようになった。

経済原則を持ち出すまでもなく,需要があるにもかかわらず価格がついていなければ,

その財は無尽蔵に消費されることになる。レジ袋はまさにそのような財と言えるであろ う(ただし,レジ袋の価格は商品価格に含まれているのが一般的である)。しかし,そのレ ジ袋が税や有料化などによって価格付けがなされ,これまで内包されていた潜在価格が 表面化したとたん,レジ袋需要は減少に転じ始めることになる。価格シグナルによって その需要が抑制されるといったこれらの行動原理は,すべからく経済的インセンティブ に基づくものであり,経済学の合理性の仮定が成立していることが見てとれるのである。

また,無料から有料への変化の過程では,これまでの利害得失にも変更が加えられる ことになる。そのため,有料配布によって便益が発生する主体からは歓迎されるが,無 料配布によって便益を得ていた主体からの抵抗は激しく,制度変更を妨げるための様々 なレントシーキング活動が顕在化してくるのである。これらの行動もまた経済合理性に 基づくものであり,各主体の合理的選択の結果であると考えられる。このような各経済 主体の行動が,これら一連の政策形成過程の中で如実に浮き彫りとなってくるのである。

2

に,レジ袋削減政策は大量生産と大量廃棄の間に位置する大量流通および大量消 費に対する政策と位置づけることができるからである。これまでの廃棄物政策といえば,

大量生産された財の後始末,つまり使用後に大量廃棄された財(廃棄物)を適切に処理する ことが命題であった。廃棄物処理施設を増設し,焼却および埋立てによって大量の廃棄 物を処理することが社会的要請であったと言える。その後,住民運動の高まりによって 処理施設の建設が次第に困難になり,最終処分場の残余年数も逼迫してきたことから,

(18)

0 序章 環境問題としてのレジ袋

廃棄物の減量へと政策の中心課題が移っていった。そして

3R(Reuse,Reduce,Recycle)と

いったかけ声のもと,大量廃棄を抑制するために各個人や家計レベルにおけるごみ減量 運動が広まっていった。これは,廃棄物処理を川の流れに例えて「下流対策」と呼ばれ,

この時点での政策のターゲットは「廃棄」行動となる。たとえば,ごみ有料化政策は消 費者の排出時行動に影響を与える政策であり,ごみの削減量が政策の効果となる。

しかしながら,レジ袋削減政策は消費者の商品購入時の購買行動,つまり「消費」に 直接影響を与えるとともに,小売事業者も関わるゆえ間接的には「流通」も含まれるこ とになる。そして,その先にある大量生産へと影響を及ぼす可能性があると考えられる のである。これは先述した下流対策に対して「上流対策」と呼ばれるものである。この 上流対策は,地域の廃棄物問題・政策に加えて地域商業のあり方も問われ,結果的には 循環型社会のまちづくりへの政策統合へとそのターゲットが広がることになる。レジ袋 削減政策は,廃棄物問題の解決を「中流」にまで押し上げ,そしてさらに「上流」へと 押し上げる可能性を持っていると考えられるのである。

3

に,レジ袋削減の取り組みは,非常に「わかりやすい」ということである。この

「わかりやすさ」は政策実施にとって決定的に重要である。レジ袋は多くの人々にとっ て馴染みのあるものであり,単にもらわないようにするだけという極めてシンプルなも のである。このように誰もが知っており,取り組むことが容易なレジ袋削減政策は,使 い捨てによって引き起こされる廃棄物問題対策の縮図ということができ,問題を広く可 視化させることにつながるであろう。実は,廃棄物問題については,これまでも廃棄物 処理施設と周辺住民のところでは可視化されており,処理施設の建設反対運動や有害物 質による健康被害の発生など,様々な問題が顕在化していた。しかし,レジ袋削減政策 はその範囲を局所的な問題からより一般的な問題へと「分散化」させることになった。

これは,実質的な削減量という政策効果とは異なった効果であり,その意義は大きいと 考えられる。もはやレジ袋は私たちの日常生活に欠くことのできない必需品となってお り,その削減政策は一般生活者にとっては切実でさえある。この切迫度の高さとシンプ ルな行動が政策効果を加速度的に上昇させ,このことが消費者に意識の変化をもたらし,

使い捨て社会への再考を促すことにつながると考えられるのである。

4

に,わが国のレジ袋削減政策では,日本独自の自主協定の意義を再認識すること につながると考えられるからである。わが国におけるレジ袋削減政策は,有料化とあわ せて地方自治体と事業者・消費者団体などが自主協定を締結しているところがほとんど である。環境政策における自主協定は海外でも見られるが,その多くは契約・取引的な 性格を有しており,事業者にとっては環境規制の緩和や税額の割引など,何らかの見返 りが存在するのが通例である。しかしながら,わが国の環境政策で採用されている自主 協定には具体的な見返りはない。レジ袋削減政策においても,売上げの減少や客離れを 嫌う事業者は有料化に反対するが,自主協定とのミックスによって有料化に踏み切る事 業者が多く存在する。そこには目に見えない形での利得が存在しているものと考えられ る。このような自主協定のインセンティブ構造を明らかにすることで,わが国発の地域

(19)

4 本論文の構成

環境政策の新しいかたちを模索することができるかもしれない。

このように,レジ袋問題は生産・流通・消費・廃棄・リサイクルといった一連の経済 活動の全てのプロセスの中にあり,資本主義が要求する拡大再生産システムの帰結とし ての使い捨て社会のあり方全般に通じる問題である。レジ袋問題は,まさに私たちの暮 らす経済社会全体の縮図であり,一つのレジ袋には,私たちが持続可能な社会をつくり 上げるために実践していかねばならない多くの問題が象徴的に含まれていると考えられ るのである。

4 本論文の構成

本論文は序章を含め,全部で

11

の章によって構成されている。以下にその概要と全体 のフローチャートを示す。

1

章「大量廃棄社会の現状」では,大量生産,大量消費の帰結としてもたらされる 大量廃棄の現状とそれらをめぐる廃棄物管理政策について概観し,わが国の使い捨て社 会の問題点を浮き彫りにしていく。

ここで明らかになることは,使い捨て社会の根底にはあらゆる場面で経済メカニズム が働いており,各経済主体は廃棄物処理をその経済計算に含めないことで便益の最大化 を図ってきたということである。実は廃棄物問題も需要と供給のバランスの上に成り立 っており,その経済調整の結果として使い捨ての大量廃棄社会が出現してきたことにつ いて述べる。このことは,現在実施されているリサイクルについてもあてはまる。リサ イクルも需給バランスの影響下にあり,市場調整による不確実性の影響を大きく受ける ため,不安定な仕組みであることを指摘する。また,ごみ有料化を取り上げ,その費用 負担論について一定の整理を行っている。

2

章「レジ袋問題のメカニズム」では,レジ袋問題発生の仕組みと削減政策の理論 的背景について解説している。

レジ袋問題とは,社会的最適量を大幅に上回る過剰利用と使用後の廃棄物としての集 積および環境中への無造作な投棄が引き起こす環境中への負の外部性と定義することが できる。そこで,本章ではなぜレジ袋の過剰利用が発生しているのか,その原因を環境 経済学の理論に基づきながら仮説的に解き明かしていく。そこでは,レジ袋が引き起こ す外部性によって,効率的であると考えられている市場メカニズムが有効に作用せず,

いわゆる「市場の失敗」が発生していることを示す。次に,その市場の失敗の解決を図 るために「外部性の内部化」という概念を導入する。外部性の内部化は,レジ袋の外部 性を市場内部に取り込み,各経済主体の行動にその外部不経済を織り込ませることで,

レジ袋の過剰利用および過剰廃棄を抑制することを目指す。ここでは,その具体的な政 策手法として直接規制や課税および補助金について理論的に検討し,これ以降の章で見

(20)

0 序章 環境問題としてのレジ袋

ていくレジ袋削減政策の理論的基礎の整理を行っている。

3

章「レジ袋削減政策手法の選択問題」では,世界中の国や地域で実施されている レジ袋削減政策手法の類型化を試みるとともに,公共選択論アプローチによる各経済主 体の利害得失について理論的に明らかかにしている。

世界中のレジ袋削減政策手法を分類すると規制的手法と経済的手法,そして自主的取 り組みの

3

つに大別することができるが,レジ袋を削減するという単一の政策目標に対 して,なぜ異なる政策手法がとられるのかその理由を探る。たとえば,なぜある国では 強制的な直接規制が実施されているのに,他の国では自由度の高い自主的取り組みが採 用されているのか。また,なぜ課税手法はほんの一握りの国でしか実施されていないの か。これらは政策の選択問題と呼ばれ,これらの分析には公共選択論からのアプローチ が有効であることを示す。このアプローチにより,政策手法ごとの各経済主体の利害得 失とその選好順位が理論的に明らかとなる。

4

章「アイルランドのレジ袋税」は,世界初の消費者課税を導入したアイルランド のケーススタディを紹介している。

2002

3

月,これまで買い物時に無料で配布されていたレジ袋に対し,アイルランド 政府は

1

枚につき

0.15

ユーロ

(約 20

円)の課税,いわゆるレジ袋税(Plastic Bag Levy)を 導入した。レジ袋の製造業者や輸入業者に対して課税を実施している国や地域はいくつ か存在するが,現在のところ消費者を担税予定者としてレジ袋税を実施しているのは世 界中でアイルランドのみである。しかしながら,導入後

5

年を経た

2007

7

月に突如 として

1

0.22

ユーロ(約

29

円)に税額の引き上げが行なわれ,そしてさらに,現行の 税額から約

2

倍となる

0.44

ユーロ(約

57

円)への引き上げを現在検討中である。本章で は,この特徴的な環境税であるアイルランドのレジ袋税の制度設計およびその政策効果 について考察する。

5

章および第

6

章は,東アジア地域におけるレジ袋削減政策に焦点を当てる。具体 的には第

5

章で韓国を,続く第

6

章で台湾を取り上げ,その政策手法と効果について考 察する。ただし,両国ともにレジ袋単体での規制政策は実施されておらず,レジ袋を含 む使い捨てプラスチック製品全般をその対象としているところに特徴がある。そこで,

レジ袋削減政策をそれぞれの国の廃棄物管理政策全体の中で相対的に位置づける作業を 行ない,両国におけるレジ袋削減政策の政策的意義を浮き彫りにしていく。

5

章「韓国の一回用品使用制限規制」では,まず日台韓

3

ヵ国の環境行政比較を行 なった上で,韓国の廃棄物管理政策の背景および発展過程について述べる。韓国ではそ の狭小な国土と都市部における人口の集中が廃棄物処理施設の設置を困難にしており,

これらが同国の廃棄物行政における大きな課題となっていることを論じる。続いて,韓 国の廃棄物処理およびリサイクルの現状について説明し,韓国を代表する廃棄物削減手 法である「従量制ごみ有料化制度」および「生産者責任リサイクル制度」について解説 している。韓国の廃棄物政策では,このような経済的手法が多用されており,複数政策 手法の組み合わせによって高い政策効果がもたらされていることを指摘する。また,環

(21)

4 本論文の構成

NGO

や一般市民による政策参加も積極的になされていることについても触れ,これ らの相乗効果によって廃棄物管理政策全体がワークしている様子について述べる。これ らを踏まえ,韓国の廃棄物管理政策全体から見たレジ袋使用制限規制の意義を明らかに する。最後に,これらの考察から見えてきたいくつかの課題について言及し,今後の韓 国の廃棄物管理政策の方向性について述べる。

続く第

6

章「台湾の使い捨てプラスチック製品規制」では,まず台湾の使い捨てプラ スチック製品の現状について述べる。台湾の食文化ではテイクアウトが主流であり,そ の持ち運びに便利なレジ袋やプラスチック製使い捨て容器が大量に流通している。これ らが大量に廃棄されることになり,深刻な環境問題を引き起こしていることを見ていく。

次に,台湾 における廃 棄物処理お よびリサイ クルの現状 について説 明する。こ こでは

2003

年からの「廃棄物ゼロ政策(Zero Waste Policy)」のもと,埋立て処分量の減少とリ サイクル率の向上が図られていることについて述べる。台湾の使い捨てプラスチック製 品規制について特徴的なのは,規制対象を徐々に拡大していく段階的実施と,厚さ規制 と有料化政策とのミックス政策を採用しているところである。ただし,この政策は後に プラスチック製買い物袋に関する部分のみ廃止されることになってしまうという課題を 残した。これらについての評価を行い,その廃止の原因について考察を加える。最後の まとめでは,前章の韓国のケーススタディも踏まえ,両国のレジ袋規制がわが国にもた らす政策的含意を示す。

7

章「オーストラリアの自主的取り組み」では,環境政策における政策手法の1つ である「自主的取り組み(自主規制)」を取り上げる。

自発的アプローチとして位置づけられる自主的取り組みは,仮に政策目標が達成され なかったとしても,事業者に罰則やペナルティといったサンクションは何ら発生しない ため,それほど高い削減効果は望めないことが知られている。なぜ,政策決定当局は自 発的アプローチを選択するのであろうか。結論を先取りすれば,その最大の理由は政策 の実現可能性の高さにある。これらの視点に基づき,強制的アプローチの実施困難性と の関連から自発的アプローチの意義を浮き彫りにしていく。本章では,オーストラリア におけるレジ袋削減のための自主行動規制を取り上げ,自発的アプローチの意義と限界 について述べる。オーストラリアでは,当初この手法が選択されたが,削減目標の未達 成を理由に南オーストラリア州においてレジ袋配布禁止の規制的手法が導入されるに至 っている。これら一連の政策プロセスを動的に分析することで,環境政策における自発 的アプローチの政策的意義をよりよく理解することが可能となるであろう。

8

章「欧州および日本の自主協定」では,レジ袋削減政策のポリシーミックスにつ いて取り上げ,複数政策手法の同時実施の有用性について考察している。とくに,規制 的手法や経済的手法の短所を補完する自主協定に着目し,その役割と機能について明ら かにする。

欧州における環境政策としての一般的な自主協定の形態は,政府と事業者との一種の 契約であり,環境目標が達成されなかった場合には事業者に何らかのペナルティが発生

(22)

0 序章 環境問題としてのレジ袋

することになる(「契約・取引型」)。ただし,自主協定の締結は事業者の任意に基づいて おり,その締結に特段の強制力はない。つまり,協定を締結するかしないかは事業者次 第ということになる。このような意味合いから,自主協定は自発的アプローチの一つに 位置付けられている。実は,わが国のレジ袋削減政策はこの自主協定が中心となってい る。しかし,その政策手法としての使われ方を詳しく見ていくと,欧州のそれとはかな り異なっていることに気づく。結論を先取りするならば,欧州の自主協定の使い方が「契 約・取引型」であるのに対し,わが国の場合は行政や住民からサポートの約束を取り付 ける「応援・後ろ盾型」と言うことができる。このように,欧州と日本の自主協定の違 いに立脚しながらも,自主協定には効果的なポリシーミックスを形成するための第

3

の 手法としての意義が存在していることについて述べる。

9

章「日本の先進自治体の取り組み」では,わが国におけるレジ袋削減政策の先進 自治体である東京都杉並区に焦点をあて,一連の政策形成プロセスおよびその政策効果 について分析している。

現在,わが国では政府主導による全国一律的なレジ袋削減政策は実施されてはいない。

レジ袋削減のための条件的整備が整った地域から,順次地方自治体の主導により様々な 取り組みが実施されているという状況にある。杉並区は,過去に「東京ごみ戦争」(1970 年代)や「杉並病」問題(1990年代)といった廃棄物問題を経験している。これらの歴史的 出来事から,2000年の地方分権一括法による法定外目的税の創設および

2005

年の容器 包装リサイクル法の改正などの諸影響を織り込みながら,「レジ袋税」から「レジ袋有 料化」,そして「レジ袋有料化等推進条例」の制定といった政策手法の変遷について,

その間の住民意識の変化等を中心に紐解いていく。これらの政策プロセスを詳細に見て いくことで,10年以上の長期にわたって杉並区がレジ袋削減政策のトップランナーであ り続けている要因を明らかにする。

10

章「環境政策の動態化」では,本論文の最終章としてこれまでの分析結果をもと に今後の望ましい環境政策のあり方を示す。

これまでの各ケーススタディの考察から明らかになることは,第

1

に経済的手法の有 効性の再認識とその導入の困難性であり,第

2

に自発的アプローチと強制的アプローチ の間には動的な相互依存性が見られるということである。これらの視点から,今後の環 境政策の

1

つのあり方として,費用負担問題も取り込んだ政策手法の適切な選択と組み 合わせ,およびそれらの動的な相互作用に着目した環境政策を提案している。具体的に は「自主協定による分配問題の緩和」と「強制的アプローチと自発的アプローチの動的 相互作用の活用」である。本論文では,このような環境政策のミックスや動的変化の過 程を「環境政策の動態化」と呼び,環境政策を構成する各政策手法がその相互依存関係 の中で選択と組み合わせを繰り返すことによって,環境政策自体が進化していく様を表 す。社会経済状況を反映・先取りする形で変質し続けるこの「環境政策の動態化」が,

今後の望ましい環境政策の必要条件となることを最後に示す。

(23)

4 本論文の構成

本論文のフローチャート

理論・制度分析

第1章 大量廃棄社会の現状

―使い捨て社会の構造と廃 棄物管理政策

第2章 レジ袋問題のメカニズム

―レジ袋問題発生の仕組みと削 減政策の理論的基礎

3章 レジ袋削減政策手法 の選択問題

―世界のレジ袋削減手法の類型 化と公共選択論アプローチ

10章 環境政策の動態化

―環境政策手法の組み合わせとその動的相互作用

実証分析Ⅰ 強制的アプローチ

4章 アイルランドのレジ袋税

―世界で唯一の消費者課税 の導入事例

5章 韓国の一回用品 使用制限規制

―廃棄物管理政策におけるレジ 袋規制の位置づけ

第6章 台湾の使い捨て プラスチック製品規制

―レジ袋の厚さ規制と消費者 需要との乖離

実証分析Ⅱ 自発的アプローチ

7章 オーストラリアの 自主的取り組み

―自発的アプローチから強制的 アプローチへの移行

第8章 欧州および日本の 自主協定

―レジ袋削減政策のポリシー ミックス・アプローチ

第9章 日本の先進自治体の 取り組み

―東京都杉並区を事例として

(24)

0 序章 環境問題としてのレジ袋

(25)

0 はじめに

第 1 章 大量廃棄社会の現状

―使い捨て社会の構造と廃棄物管理政策

はじめに

私たちの暮らす経済社会では生産と消費が日々繰り返され,それによって私たちは快 適性や利便性といった生活の豊かさを享受している。そこでは常に新しい欲求が生まれ,

それを満たすための商品やサービスが提供され,そして消費されることになる。しかも それらは過剰と言ってもよいほど多様にかつ大量になされており,現代経済社会におけ るこの生産と消費の連鎖は,私たちの欲望が無限である限り永遠に続くであろう。

このように,無尽蔵に生産され消費された財は,その後どうなるのであろうか。それ らは間違いなく不用物としての廃棄物となる。廃棄物の量がそれほど多くないうちは,

大きな社会問題とはならなかった。しかしながら,今や廃棄物は大量に発生し,生産や 消費と同じように日々処理が行われている。むしろそれらは処分し続けなければならな いという状況にあると言ってよいであろう。このように,大量生産と大量消費そして大 量廃棄のスパイラルが形成され,大量廃棄社会を出現させているのである。いかにして この大量廃棄社会発生のスパイラルに楔を打ち込むことができるか。これは無限の欲望 を持つ私たちにとって切実な問題である。

このような大量廃棄社会の現状を横目に見ながらも,とにかく不用物である廃棄物は 適切に処分し続けなければならない。しかし,廃棄物はどのような処理過程を経たとし てもこの世からなくなるわけではないため,最終的にはどこかに廃棄する必要がある。

現在は文字通り最終処分場で埋立て処理がなされているが,このまま廃棄物が増え続け るならば,いずれその場所も満杯となり新たな処分場を確保しなければならないだろう。

ただし,廃棄物を捨て去る場所には限りがあることも事実である。

最終処分場は有限である。このことから,廃棄物問題はつまるところ最終処分場とい う資源の相対的希少性に関する問題と言うことができよう。このような希少資源である 最終処分場の枯渇問題に対し,その搬入量を少なくするリサイクルは有効であると考え られている。搬入量が少なくなれば,その分延命化を図ることが可能だからである。こ のことから,現在では製品ごとの個別リサイクル法が制定されている。しかしながら,

リサイクルするにも費用がかかり,その費用効率性について考慮しなければならないと いう状況にあるのも事実である。

本章では,このような大量生産,大量消費の帰結としてもたらされる大量廃棄の現状

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